竜とそばかすの姫 の 53羽の孔雀 さんのクチコミ・感想

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竜とそばかすの姫 の 53羽の孔雀 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 竜とそばかすの姫
製作国
上映時間121分
劇場公開日 2021-07-16
ジャンルSF,アドベンチャー,ファンタジー,アニメ,ミステリー,青春もの,音楽もの,ネットもの
レビュー情報
《ネタバレ》 サマーウォーズのオズの世界をより現実に近くした版+美女と野獣。
ちょっと、悪い点が目立ってしまったというか、悪い点に目が行ってしまった。

■美女と野獣要素
 主人公のアバターの名前が美女と野獣の主人公のベル、正体を知られないように城に閉じこもる竜=野獣、美女と野獣で言うルミエールらのような主人に従える従者たち、城のエントランスやダンスホールはそのまんま、ダンスホールでダンスする様がそのまんま、ベルの見た目がディズニー調のクリッとした目と厚い唇、竜=野獣のベルへの咆哮、竜=野獣がベルを守る描写、ベル&竜=野獣&ガストンの存在、時に物怖じせず積極的なベル、徐々に打ち解けていく様子。

 これらは全て前半半分に詰め込まれているが、そのまんますぎる。
 美女と野獣リスペクトなのは見ればわかるけれど、「美女と野獣のこの点が好きだから強引にそれを入れ込んで繋げた」感がすごく、全然入り込めないというか、不自然。
 無理に美女と野獣のベルのキャラクターに合わせようとしたもんだから、現実世界ではめっちゃ控えめな主人公が突然美女と野獣のベルに近い性格になり、特段の深い理由なくトントン拍子で竜と心を通わせた、と見える。
 そのため前半の山場であろうミュージカルっぽいシーンに全然入り込めず、ポカーンとしてしまった。
 無理に美女と野獣要素を入れる必要が全くなかったように感じる。

■悪意描写
 サマーウォーズのオズの世界にいる人々は「ネット空間だが現実のSNS等よりも良心的」という感じで、それ故にアニメ的であり、不快な描写は特に見られなかった。
 しかし本作の登場人物は非常に現代的(2023年現在)でリアルであり、人を妬んで悪意ある表現をしたり、ネット上で自分を偽ろうとしたり、「叩き」だったり、といった現実のネット社会でよく見る不快な要素がそのまんま詰め込まれている。
 そのため、「なんでアニメ映画を見ている中でも不快にさせられなきゃならんのか」という感想を抱く。

 その人物の情報を知るために瞳に反射した映像を拾ったり窓の外の居場所から場所を割り出したり、いわゆる「特定」をそのまんまやっている。アバターが解除されて現実世界の本人が露になるというのは「晒し」であり、いや闇深すぎだろ何があったんだよ、と思った。

■キャラクター設定
 サマーウォーズの主人公は数学オリンピックで2位だったという実績があり、電車の中で誕生日の曜日を即座に計算するなどの「普通とは違う」という特徴を見せ、それがあるから世界でごくわずかな人しか解けなかったオズの暗号を解いた、というのは理解できるし流れとして納得できる。
 一方で本作の主人公の特徴は「歌」であるが、「歌が好きだった」という描写は僅かになされるものの、「なぜ世界トップレベルに歌が上手いのか」という理屈付けがない。しかも歌という主観的というか感覚的なものであるため、いかに本人の潜在能力を引き出すシステムといっても、「いやそのレベルなら世界にゴロゴロいるやろ」と思ってしまう。
 指標が客観的でないため、イマイチ凄さがわからず、それ故納得感が薄い。

以上が主たる点で、特に前半の無理矢理感がすごく、個人的にあんまり・・・という感想となりました。
53羽の孔雀さん [インターネット(邦画)] 4点(2023-11-01 01:06:38)
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