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《ネタバレ》 暗闇で静かに雪が吹雪くオープニングシーンから素晴らしかったです。派手な音楽を排除し雪に閉ざされた北欧の寒くて暗い雰囲気は、失敗するとやたらと暗い映画になりがちですがこの映画はそうなっていません。配役、演出、カメラワーク、80年代風な共産的色の少なさ等、とにかく全てが素晴らしい映画でした。プールのシーンは本当に素敵で、描き過ぎない美学というものを感じました。でもオスカーが頭を押さえられて沈められている前を何かが横切るシーンは物理的に?ですね、、まあそこ突っ込むのは野暮というものでしょうか。
エリにとっては打算もあろうかと思いますがラストの電車のシーンでは色んな想いがよぎります。大人の男女であっても色々あるのに、この子達ったら・・(泣) ただ、映画では12歳で頭脳も成長も止まっているのか、頭脳はずっと成長を続けているのかの説明がありませんでしたので、場合によっては200歳の年増でやり手ババアな可能性もありますが・・ エリやオスカーの気の毒具合が理解できてこその映画だと思いますので、彼らの立場に立つことができなかった人にはあまり感動がない映画かもしれません。ハリウッド版リメイクの「モールス」しか見ていない方は是非オリジナルであるこちらも見てほしいです。 2020/11追記 原作小説を読みました。非常に良かった。あまりに面白くて3日で上下巻とも読破しました。原作小説の出来栄えが非常に良いので先に小説を読んでしまうと映画が面白くなかった可能性が高いです。もちろん映画のほうも2時間弱という短い時間で原作小説の大切な部分を上手にかいつまんでありますが、悪くいってしまうとあまりにもダイジェスト的でした。絶対に映画を見てから原作小説で情報補完するのが正解だと思われます。 小説ではエリの過去・ホーカンの気持ち・中年カップルたちの状況・オスカー(オスカル)を取り巻く詳細な事情・唯一オスカーの友人トンミのことなどが詳細に描かれています。およそ映画と小説は同じ結末を迎えますが、映画にはトンミは出てきませんし、ホーカンの結末もかなり違います。ラストの締めくくり方としては小説のほうがキレイでしたが、よくぞここまで小説の世界観を壊さずに上手に映画化したものだと感心します。 映画を見た段階ではエリはしたたかな200歳のババアかもしれないと思っていましたが、小説を読むと違っていました。エリ(エライアス)は身体も心も頭脳も全てが12歳のままで止まっている可哀そうな子なのです。そういう前提で考えるとオスカルとのラストはとても美しいです。(ただし極めて破滅的ではありますが)映画も本もどちらも本当に素晴らしい作品でした! 【追伸】 他の方もおっしゃっていますが、日本版のボカシとタイトルのせいで映画の基本かつ根底部が捻じ曲げられています。監督のトーマス・アルフレッドソンは日本の配給会社や映倫を訴えてもいいレベルです。今からでも撤廃すべき由々しき問題、心底残念でならない。(いや、大真面目に) 【アラジン2014】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 16:46:01)
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