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《ネタバレ》 シリーズ50作目というか、後日譚ですかね。これ、もしシリーズ最終作品数が43作目とか74作目とか、中途半端な数だったら、果たして本作は創られていたかどうか。“50年50作”という節目の作品数になるから創られた、そんな数合わせ作品かもしれません。
オープニングの桑田佳祐。うん、前作の八代亜紀には感じなかった『作品に馴染んでない感』が湧いてしまいました。寅さんのコスプレしたご本人登場も、桑田さんのMVを観てるようです。 本作は満男の今と回想で進んでいきます。満男は後半の準主役だったので、本作でも語り部になるのは自然な流れですよね。でも満男が期待の新人小説家になっていたのは、思いっきり不自然な流れでした。 海外生活が馴染んでしまった後藤久美子を活かすための、国連云々の職員設定。それはわかるけど、小説家なんてどこから出てきたんだろう?夢はパイロットでなかった?大学は経済学部でなかった?小説家になったのは、クワッと見開いた目があまりに怖いからかなぁ?いややっぱり国連職員の泉と靴のセールスマンでは釣り合わないと思ったからかなぁ?きっとそっちだな。 回想でも出てきたけど、小さな印刷所で働く肉体労働者の博と、オフィスビルでキーパンチャーをしていたBGさくらとの、釣り合わない恋が実ったのが第1作目。制作陣はかつて自分たちで創った“理屈じゃない恋の面白さ”すら忘れてしまったのかなぁ。 最後のキスシーン。昔の別れのキスシーンとシンクロさせたかった意図はわかるけど、きっかけが唐突だったのと、泉と夫の関係も不透明で、まだ小学生の子供が居るママが自分からキスするとか、ホッペならともかくだけど、強引な気がしないでもないです。 懐かしい顔として、朱美復活は嬉しかった。当時のまんまだったわ、今も昔も変わらないなぁ。リリーは年相応になってたけど、良く言えば内面が落ち着いたんだな。一方、泉ママの美熟女っぷり。かつてのマドンナの中で、唯一(?)現役で“女”をやってる礼子が素敵。夏木マリってタバコの吸い方うまいよね。あれだけの灰を落とさない吸い方は流石。 個人的には本作の主人公はさくらに演じてほしかったです。男はつらいよは、時々帰って来るダメな伯父さんの物語である前に、20年ぶりに帰ってきたダメなお兄ちゃんの物語なんです。そんな兄妹の、(紅の花から)更に24年後の物語を観たかったなぁ。 最後のニュー・シネマ・パラダイスは良かったです。アッチは借り物だけどコッチは26年積み重ねた本物!…なんて変な誇りを感じてしまいました。 でも満男が寅の恋愛に首を突っ込んできたのは、29作目あじさいの恋からだったろうか?満男は初期のマドンナ知らないからなぁ。 だから本作はさくらを主役にして、あのシーンはさくらの回想にした方が、シックリ来るんだけどね。 オープニングの違和感を吹き飛ばしてくれた、歴代マドンナ・ラッシュだけでも充分満足。 リリーと礼子以外の、歴代マドンナの“今”も観たかった気がするけど、それは贅沢な望みよね。 本当にこれでお腹いっぱいです。良い最後でしたよ山田監督。最後最後。 数え間違いがなければ、全作レビューした人、私含め7名。特別編は飛ばして本作はレビューした人3名。49作までレビューした人1名。48作までレビューした人1名でした。本当に皆さんご苦労様でした。これからも男はつらいよのレビューがもっと増えると良いですね。 全50作品。寅さんは重すぎず長すぎず、他の映画を観たときの口直しに丁度良かったです。昨年5月からスタートし、およそ11ヶ月で完走。中身の薄っすいレビューもあったけど、長く楽しい旅路でした。私の寅さんレビューも、これでおしまい。さぁ次は何のシリーズに挑戦しようか。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-04-26 00:27:15)(良:1票)
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