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「記憶」とは人生そのものといっていいかもしれない。人生とは体験を重ねてそれを記憶していくことであるが、死ぬこととは体験がなくなり、記憶も消滅する状態である。実は、この映画の「記憶」を保てない男の人生とは、死の恐怖と非常に近いと思う。今まで自分が生きてきたことの意味が全く自分で自覚できなくなるとともに、その後の数百年、数千年という時の流れが自分の意識とは全く無関係に過ぎていく恐怖。この映画は、その状態を生きながらにして味わうことになった男の悲しさを感じさせられた。「記憶をなくす恐怖」すら「記憶」出来ない男の悲しさ。僕にとっては、そこが一番の恐怖だった。映画としては、「10分間しか記憶を保てない男が、妻を殺した男に復讐する」というビッグアイデアが、文句ナシに今年一番であった。
【スネオヘッド】さん 10点(2001-12-12 00:36:55)(良:1票)
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