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<ネタバレ>如何にもアジアンなホラー作品。本邦の怪談話に通じるテイストを備えつつ、香港やインドネシア、タイなどの東南アジア圏のホラーの色彩も強く感じられます。雰囲気は結構好きです。
ただし、さほど恐くはないし、目を背けたくなるような残虐描写もあまりない。寧ろ、かなり入り組んだストーリーで、よく考えないと解りにくい部分も多々あるような。そのあたりは、ストレート直球的な欧米系ホラーと大きく異なるように思えます。
三つのお話それぞれに共通するのは、じわじわと迫って来る悲劇性。一話目は美に執着し過ぎてしまった女優。二話目はマジシャンを目指した結果悲劇に心を蝕まれてしまった父子。三話目は突如幸せな暮らしを奪われた少女。それぞれに決して抜け出すことが叶わない深い悲しみに彩られた物語。やりきれないものがありますね。
強いて残念な点と言えば、二話目と三話目が同様の仕掛けになっているところでしょうか。そこはもうひと工夫欲しかったところです。それと、全体の進行役的な冒頭とエンディングに登場するエピソードは少しばかり軽かったかも。ホラーあるある的なラストは、中身の三つのお話に今ひとつそぐわないような気がします。三話を際立たせるための一つの手法なのかも知れませんが。
コロナ禍後のベトナムで大ヒットしたというホラー・アンソロジー。邦画ホラーがお好きな方にはお勧めかも知れません。