2. 軽井沢シンドローム
《ネタバレ》 高校生の頃に偶然知り全巻読んでみた。結構な流行を起こしファンクラブまであったマンガだが社会人になるとこの作品の薄さに気付く。…男女共に個性的な美形揃いにしたうえで成人マンガの艶っぽさと少年マンガの可愛いさの2パターンで描かれた登場人物、20代が好む音楽ジャンルがサブタイ、ハイセンスな車が続出、円谷特撮とサンライズアニメのキャラが小出しに出てくる和みネタ、トレンディドラマぶった色恋沙汰が展開されるストーリー、と、いかにもバブルの時期らしい御気楽物語。そしてストーリーがネタ切れしていた。それも当然で、読めば解るのだが作者の実体験が乏しいためらしく、各キャラの人物設定に説得力が無く嘘くさい。だから物語そのものが破棄したんだと思う。何より最も説得力が無いのが主人公で劇中の要で、いつでも物語の中心にいる相沢耕平。巨大暴走族の創始者で纏め役で、愛人でも良いから肉体関係を続けたいと願う女が無数いて、関わる人間に次々と尊敬される優男で、格闘戦では数十人の武装暴走族でも極道の用心棒でも一撃で打ち倒す!だと?。なんというか…不良ぶってる坊やが自分の願望を有りったけ描いてみたようなこんな奴、いる訳ねぇだろと(笑)。で、この耕平は本編でも全然、人を惹きつけるような強さも優しさも感じさせない男だった。他のキャラもだいたい同じような感じ。シリアス顔になって格好つけて語りだしてる台詞の、内容の適当なこと軽いこと…。作品そのものがバブルだったんだなと思う。【若干付記・1】…第一巻冒頭での絵里の台詞・『そーいうのはダメよ。きっと醗酵の美少女だわ』。←これに対しマスターが『糸なんか引いてたりしてな』と言ってるところからこの作者、そして編集者も、【薄幸の美少女】を【醗酵の美少女】と本気で認識していたらしい(笑)。【若干付記・2】…松沼薫が、主人公・耕平の子を初めて身篭ったという回にて、それを知った登場人物たちのほぼ全員が仰天・驚愕・落胆・戦慄、といった負の反応をしているという描き方が酷いと思った。二郎はカッコつけて『俺なら迷わず北海道に逃げる』などと責任放棄のバカ話を真顔で喋り、薫本人は顔面蒼白になっており、原因を作った耕平が『未来と将来の具合が悪い』などと言って酒を飲んでいる。こんな奴らだから、モテるとか強いとかいう設定がデタラメになってると思った。 3点(2010-07-24 11:28:00)(良:1票) |