みんなの連続ドラマレビュー Menu
ザ・チャンバラさんのレビューページ
プロフィール
コメント数 32
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

表示切替メニュー
シーズン エピソード別
レビュー関連 レビュー表示レビュー表示
-レビュー表示(作品別)
レビュー表示(評価分)レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示-
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示-
あらすじ表示-
統計関連 製作国別レビュー統計-
年代別レビュー統計-
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示-
(登録済)作品新規登録表示-
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  FARGO/ファーゴ
シーズン1を奇跡的な傑作だとすると、このシーズン2は普通に面白いドラマ。充分に面白いものの、奇跡が二度は続かなかったようです。 内容はシーズン1とほぼ同じ。ヤクザ同士の抗争と、思いがけずその抗争に巻き込まれる一般人、そして地域の治安を守る保安官という3つの物語で構成されています。さらに、キツめのバイオレンスと、笑っていいのか悪いのか分からないタイミングで繰り出されるユーモアという味付けもシーズン1と共通しており、シーズン1を気に入った人に提供されるおかわりとしては適正な内容となっています。ちゃんと楽しめました。 ただし、一般人の物語を主・ヤクザの物語を副としたシーズン1とは対照的に、ヤクザの物語を主としている点が本シーズンの大きな特徴であり、この変更のために、やんごとなき事態に巻き込まれて抑え込まれていた本性が爆発する小市民というシーズン1における重要な要素が丸ごとなくなっています。 また、感情も人間として積み重ねてきた歴史もなく、単なる暴力のかたまりでしかない殺し屋・マルヴォという絶対悪がシーズン1の異様な空気に大きく貢献していたのですが、本シーズンのヤクザもの達には全員それなりの事情や背景があり、ちゃんと人間として描かれている点も、本作を平凡にする要因となっています。マルヴォに相当すると思われるハンジーにおいても、彼を強力な殺し屋に変貌させた背景がちゃんと説明されるために、その存在からは超越性や神秘性が失われています。さらには、UFOやロナルド・レーガンといった突飛なアイコンもうまく本筋と絡んでおらず、企画倒れに終わっている要素がいくつか見られました。 良かった点としては、シーズン1と繋がった世界観であり、何人かの登場人物はシーズン1と共通しているものの、本作単独でもまったく問題なく成立する内容であり、1年前に見たシーズン1の復習が必要なかったという点が挙げられます。最近は前シーズンの内容を細部まで覚えておかないと新しい情報を理解できないドラマが多く、好きなんだけど途中リタイアを余儀なくされる作品も出始めているため(「ゲーム・オブ・スローンズ」「ブラッドライン」)、1シーズンを一まとまりとした本作の作りには大変好感を持てました。
[テレビ(吹替)] 7点(2017-07-01 09:39:32)
2.  ブラッドライン
真綿で首を絞められるように緩やかに崩壊していくことがこのドラマの味なんですよねぇなんてシーズン1ではレビューしましたが、続くシーズン2は一転して怒涛の展開を迎えます。そこいらの海外ドラマを凌ぐほどの勢いでサスペンスとドラマが疾走し、シーズン1が序章に過ぎなかったと言えるほどの急加速を見せるのです。その圧倒的な勢いと熱量には圧倒されたし、二転三転しつつも破綻を来さない緻密な作りには感心させられました。 前シーズンのクライマックスにてジャックはダニーを殺害したものの、直後にジャックが心臓発作を起こしたことから偽装工作が不完全なものとなっており、そこにはいくつもの綻びが残っていました。他方、地元の名士であるがゆえにレイバーン家には様々な思惑を持つ者が出入りしており、そうした者たちに思わぬことからダニー殺害に係る糸口を掴まれそうになります。そうして問題が起こる度にレイバーン3兄弟は付け焼刃での対応を迫られるのですが、良かれと思ってとった行動が余計に穴を大きくしたり、かと思えば、ある人物による要らん行動が巡り巡って良い結果をもたらしたりと、展開がまるで読めないため見ているこちらまでが冷や冷やさせられます。 そんなギリギリの状況下でレイバーン3兄弟は精神的に疲弊していくのですが、芸達者揃いのキャスティングゆえにそのやつれっぷりも見事に表現されています。「あの時、お前が〇〇したのが悪いんだろ!」という血縁者同士の罵り合いは極めてリアルで、関係の悪い家庭内でしばしば見られる光景がまんま切り取られています。”Bloodline”というタイトルは、本作でも健在なのです。ただし、この3兄弟がいるのは殺人や麻薬取引が発覚するか否かという非常事態の真っただ中。親の介護や遺産で揉めることが関の山と言える普通の家庭とはまったく状況が違うのです。どれだけムカついても、自分は巻き込まれただけだと思っていても、運命共同体である3人は支え合わねば全員で倒れることとなるのですが、極度の疲労と緊張感の中で正常な判断能力を失っていき、最終的にはバラバラに分解して崩壊を待つしかないという状況にまで追い込まれます。この3人には、限定ジャンケン開催中に内輪揉めを起こす仲間に向かってカイジが言った「一頭のライオンが三つに分かれて生きてけるかって言ってんだ!」というセリフを送りたくなりました。 また、前シーズンでは「どうやらマイアミで事業に失敗したらしい」ということしか語られなかったダニーの過去が明らかにされ、それに伴いダニーの元嫁(『オブリビオン』でトム・クルーズの相手役を務めたアンドレア・ライズブローが脱ぎまくってます!)とその彼氏(ジョン・レグイザモが脱ぎまくってます!って、こちらは有難くないか)、そしてダニーの息子・ノーランが新キャラとして登場します。特にスポットを当てられるのがノーランなのですが、彼は父・ダニー同様、家族からまともな愛情を受けられなかったことで道を踏み外す一歩手前にいます。サスペンス面でもドラマ面でも彼が本シーズン最大のキーパーソンであり、彼を救うのか、ダニー同様に放り出してしまうのかという選択がレイバーン家の命運を左右することとなります。彼のドラマは大変に見応えがあったし、回想場面においてそもそもダニーが里帰りをするきっかけを作ったのがノーランだったことも明らかにされ(ダニーが里帰りしなければ、レイバーン家は表面上は幸福なままでいられた)、本作は複雑な因果に包まれたドラマであることがさらに強調されます。
[テレビ(吹替)] 8点(2016-07-11 13:03:05)
3.  ブラッドライン
Netflixにて鑑賞。 家業であるホテルの式典にあたり、トラブルメーカーらしい長男が久しぶりに実家に戻ってきた。この長男がせっかくの式典をぶち壊しにするのではないかという緊張感と、「こういう困った身内いるよなぁ」と多くの人が実感できる絶妙なレベルに調整された不快感、そして、その後の家族の破滅を匂わせる不気味なフラッシュフォワードと、大したことが起こるわけでもないのに、第一話はかなり引きの強いエピソードとなっています。このプロローグで、私は完全に心を掴まれました。 車寅次郎とゲイリー・オールドマンを合わせたような長男ダニーを演じるのは、『アニマル・キングダム』で見た目は普通だが性根が完全に腐りきったキ〇ガイを演じて全世界を震え上がらせたベン・メンデルソーン。メンデルソーンは本作でも怪物ぶりを披露しているのですが、同時に、ある不幸な事件によって人間性を歪められた被害者であるということや、家族との関係修復に彼なりに努力しているものの、当の家族にその思いを受け取ってもらえず挫折しているという多面性も見事に表現しており、その演技の幅の広さには驚かされます。名優揃いの本作においてメンデルソーンの知名度は劣っているものの、ドラマ内における存在感は出演者中でも突出しており、全13話を通じてほぼ彼の独壇場となっています。本作のファンだというスピルバーグは新作” Ready Player One”の主演にメンデルソーンを抜擢しましたが、その抜擢も当然と言えるほど、本作でのメンデルソーンの演技には鬼気迫るものがあります。 本編は、緩やかに崩壊へと向かうある家族の現在の物語を通して、彼らの現在を作り上げている過去の事件が薄皮を剥がすように明かされていきます。どれだけ憎み合っても離れることのできない家族という因縁が、真綿で首を絞めるように全員を不幸にしていくという何とも暗いドラマであり、刺激的な事件や意外性ある展開とは無縁の内容であるため通常の海外ドラマと比較するとテンポが遅いものの、脚本・演出・演技のすべてのレベルが高いため退屈はさせられません。
[テレビ(吹替)] 7点(2016-06-28 17:33:02)
4.  FARGO/ファーゴ 《ネタバレ》 
1996年にアカデミー脚本賞を受賞した名作『ファーゴ』とタイトルと舞台を同じくしているものの、映画版と交錯する設定を一点だけ持つ以外は年代も登場人物も別物であり、本作は続編でもリメイクでもありません。そのため、映画版を未見であっても本作の鑑賞にあたって特に問題はなく、名作の看板を借りながらも間口の広い作品となっています。 主人公は田舎町で保険セールスマンをやってるレスター・ナイガード。レスターは40歳になった今でも高校時代のイジメっこから侮辱と暴力を受け続け、しかもそれに対して何もやり返せないという、超絶気の弱い男です。ただし一定の自尊心は残っているのか、「あんな奴と揉めても仕方ないから好きにさせてんだよ」なんて言って自分自身を納得させています。そんなレスターですが、病院の待合室で出会った謎の男(正体は殺し屋ローン・マルヴォ)から「あんた、そこまでされて怒らないの?」と言われ、「そのイジメっこ、代わりに俺が殺してあげようか」と冗談なのか本気なのか分からない提案を受けます。そして数日後、イジメっこが本当に殺されてしまうので驚くのですが、この一件をきっかけにレスターは本能のままに生きるマルヴォに感化され、それまで抑え込んできた自我が一気に開放されてどんどんバイオレンントな方向へと突き進んでいきます。稼ぎが悪いだの、役立たずだのとさんざん自分をバカにしてきた奥さんを撲殺し、イジメっこの巨乳の奥さんを寝取り、イケメンで金持ちで美人の奥さんをもらってる自分の弟を犯罪者に仕立て上げようとします。まさにやりたい放題なのですが、視聴者はアウトローと化したレスターの姿からある種の爽快感を得られます。 平凡な中年がバイオレンスに目覚めてむかつく連中を片っ端からなぎ倒していく様は『ブレイキング・バッド』のウォルター・ホワイトに通じるし、ルールや常識に囚われず自由に生きる殺し屋マルヴォは『ハウス・オブ・カード』のフランク・アンダーウッドを彷彿とさせます。むかつく相手を容赦なくなぎ倒すことで視聴者をスカっとさせるという傾向が近年のヒットドラマに見られますが(日本で大ヒットした『半沢直樹』も同様)、本作はその傾向をきっちりと踏まえて作られているので面白くて当然なのです。 さらには、イジメっこは隣町のマフィアに関係した人物だったことから、その殺害を抗争と勘違いしたマフィアが殺し屋を送り込み、殺し屋vs殺し屋の血みどろの展開を迎えます。ボンクラ中年が覚醒する物語と、殺人マシーンが暴れ回る話という、僕らの大好きなものがふたつもぶちこまれた超贅沢な内容で、中盤以降はドラマからまったく目が離せなくなります。 また、コーエン兄弟は脚本や演出に直接関与していないものの、兄弟特有のブラックなユーモアは本作でも健在であり、上記の通りかなりハードな内容でありながら語り口には独特の間があって、とんでもないところで笑わせてきます。この辺りの空気感の作り方も絶妙であり、秀作が多い近年の海外ドラマの中でも、本作は頭ひとつ抜けた出来だと思います。
[DVD(吹替)] 9点(2016-05-25 00:33:03)
5.  ブレイキング・バッド 《ネタバレ》 
昔、『天国に行けないパパ』という映画がありまして、自分は末期がんだと勘違いした刑事が、家族に金を残すために殉職しようとするがなかなかうまくいかず、それどころか捨身であるがゆえに多くの手柄を挙げてしまうというコメディだったのですが、本作からはそれに近い印象を受けました。 主人公は小市民で戦闘能力は限りなく低いが、死への恐怖が薄いために度胸とハッタリを武器にマジのヤクザ相手に善戦し、数々の危機を乗り切ってしまうという痛快さ。また、ハードな現場に不慣れな者が、右往左往しながら事態への対応を手探りで考えていく姿の滑稽さ。こうしたものがしっかりと描かれており、笑ってハラハラさせる上質なエンターテイメントとして仕上がっています。特に、クレイジーエイト殺害に係る一連の展開は当シリーズの本質をよく表現したもので、ウォルターとジェシーはクレイジーエイトを捕えるもののその殺害には消極的で、本来は敵である彼を殺さないで済む理由を必死に探そうとする倒錯したやりとりが笑わせました。ウォルターとクレイジーエイトは一時的に打ち解けてほのぼのとさせるものの、ヤクザの世界はそれほど甘いものではなく、最終的にはクレイジーエイトを殺さざるをえなくなるという冷酷な着地点もよく考えられており、二人が片足突っ込んだのは修羅の道であることを視聴者に対して強烈に印象付けます。本作における人の死は軽いものではなく、それは生き残った者の心に確実に傷を残していきます。こうした倫理観も本作の味となっています。 また、本作はホームドラマでもあり、アメリカの医療制度の問題点や、終末医療のあり方を考えさせる社会派な一面もあります。さらには、組織論や意思決定論といった経営学的なモチーフがそれとなく登場することもあり、製作者の知見がたっぷりと込められた見応えあるドラマとなっています。他のアメリカドラマと比較するとビックリ仰天するような急展開はなく、勢いという点では見劣りするのですが、安易な視聴者サービスを排除したゆえの堅実な作りには好感が持てます。
[DVD(吹替)] 7点(2016-05-24 09:06:29)
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6515.62%
71753.12%
8825.00%
926.25%
1000.00%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS