7.ストーリーは前作と大きく変わらない予定調和であるが、大ヒットの続編として、様々な制約のあったなかでよくもここまで完成度の高い作品を作ってくれたと思う。
昭和30年代というのは、今と比べてそんなに良い時代だったのか?といえば全然そんなことはないハズだ。
今よりずっと不自由で、差別的で、貧しさゆえの犯罪だってずっと多かったに違いないのだ。
だから私は安易に昭和を「良き時代」にしてしまうことには非常に抵抗がある。
しかしそんな時代に、未来への希望を持って生きた人々と幸福の本質を描くことで、本作もまた普遍的な感動作になっている。
これでもかというくらいに詰め込まれたベタなストーリーの数々は、役者たちが生き生きと演じることで、決して白々しいものになっていないし、前作同様、小物からセットまで見事に再現された三丁目の風景は、もう会えないと思っていた大好きな人に再会できたような感動を与えてくれた。
今の時代はあのころに比べてずいぶん豊かだが、未来に希望が持ちにくくなっているのは事実だと思う。
それでも「今日の夕日はなんでこんなに綺麗なんだろう」と言える幸福はきっと身近なちいさなモノの中にあるんだろうと、素直にそう思えた。