50.《ネタバレ》 魂を揺さぶられる映画だった。ピート・ポスルスウェイト演じる父ジュゼッペに秘められた揺るぎない強さ。自分に利があろうと信念に反することはしない、その不器用ながら裏のない純粋な生真面目さこそが、威厳や父権の誇示とは一味違うジュゼッペの持つ強さであった。父と息子、分かり合えたと思ったときに訪れる永遠の別れ。ジュゼッペの霊を弔う炎が、ひとつまたひとつ、監獄の小さな窓から投げられる。怒り・悲しみ・憎しみ・侮蔑・・・北アイルランド闘争を巡る「大英帝国」の負の一面を描き、考えられる限りのマイナスの感情が激しくうねるこの映画の中で、その精霊流しに似た美しい場面に私は救いを見た。父の思いは荒波渦巻く海を照らす灯台のように、こんなにも多くの囚人たちの心を導いたのか。私の心象風景と一致したこの映像に涙を堪えることは不可能だった・・・そう言えばこの映画の原題は「In the name of the Father」これは「父なる神の名のもとに」という意味があるらしい。クリスチャンでない私が言うのも恐縮だが、磔になることで人々を罪から救おうとしたキリストのようでもある。ジュゼッペは命を落としても、愛する息子は今や自分の足で歩き出した。ラストの自由を勝ち得て正面から堂々と出て行くジェリーの顔のなんと誇らしいことか。巨悪は消えず許されざることはまだまだたくさんある。しかし最早過去とは違うジェリーの姿に不思議な安堵を覚えたのも確かだ。どんな事実があろうとも、もう決して逃げることはないと。弱く、落ちぶれていたとしても、人は生まれ変わることができるのだから。父親不在が言われる日本でこれほど多くの人がジュゼッペを絶賛するのも、世渡りが下手でも決して自分を曲げない、どことなく「不器用ですから」の高倉健を思わせる、少し懐かしい理想の父親像があるからではないか。どこの誰とは言わないが、近頃男の強さだの父権を誤った形で意識し、力を使うことこそ正義だと言わんばかりの人間がいるが、ただひたすらに家族を愛し神を信じ、信念を持って生きた男の「強さ」もまた、強い父親の姿であることをもう一度見直してもいいと思う。テロが題材となっている以上、今はこのような作品が作られないだろうと思うと残念でならない。序盤の住民と英国軍の衝突シーンの迫力は、アメリカ資本が入って作品の質を高めた稀有な例のひとつであるだけになおさらだ。映像も音楽も文句なし。これぞ名作。 |
49.期待しすぎました。実話ですか・・・リアリティーは感じますが、理由はどうあれ泥棒も罪は罪。平気で他人に迷惑をかける主人公に感情移入ができませんでした。刑務所がなんか気楽そうに見えたし。父親役の人(ユージュアルのコバヤシ)とエマトンプソンが個人的に苦手なのも手伝って点数低いです。大勢の人が絶賛しているのですから、いい作品なんでしょうけど。 |
48.《ネタバレ》 冒頭からして冤罪のことを言ってたので、ある程度の覚悟はしてました。けど僕も、かなり苛立ちましたね。一度出した手を引っ込めないかのように、例え無実の決定的証拠があろうとも、何がなんでも告訴したい警察。ベルファスト出身のアイルランド人ってことだけで、どうしてここまで仕打ちされなきゃいけないの?って思ってました。そんな中、ジュゼッペは本当に立派だった。わずかな可能性でも、身の潔白を証明しようと一生懸命だった。そんなひたむきな父親がとても良かったです。だから死んでしまった後、ジェリーに対して「なんでオヤジが生きてる間に、もっと父親に協力して真剣に身の潔白を証明しようとしなかったんだ!」って言ってやりたかった。ジュゼッペが生きてる間に無罪にしてあげて欲しかったです・・。今も昔も、法律は警察に甘く警察も自らの過ちにはフタをする。詫びることは恥ではないのに。それが出来ない警察気質。哀しい。作品に7点。弔いの美しい炎に1点。 |
47.前半部分は素晴らしい出来です。北アイルランドの厳戒態勢の状態をリアルにとらえた視点や言われも無いでっちあげで尋問する刑事達の劣悪さに怒りがこみ上げるばかりでした。刑務所シーンは前半部が過激すぎたせいかちょっと大人しめに抑えてあるなぁという感じでした。私としてはこれでもかと言わんばかりにくどくこの親子を追い詰めていったらもうちょっと感情移入が出来たのにと思いました。まだまだこの作品以外にもIRAを取り上げた作品があるようなのでもう少し探してみたいと興味を持ちました。何かしら観たいとか興味を持つことはどこかしら彼らに黒人的差別観とダブってしまうからでしょうね・・・。 【tetsu78】さん 8点(2004-06-08 01:45:52) |
46.爆弾テロの犯人と間違われた父子二人が、15年の歳月をかけついに無罪を勝ち取るという実話をもとにした作品。主人公を演じたダニエル=デイ・ルイス、そして父親役を演じたピート・ポスルスウェイト。演技派2人の好演も手伝い、印象度の高い社会派ドラマに仕上がっています。それにしても洋の東西を問わず、刑事による密室での取り調べと警察という組織は本当にオソロシイ。いかなる取り調べが行われようとも表に出ようはずはなく、容疑をかけられた人間はただただ泣き寝入り。日本では、松本サリン事件の犯人扱いにされた男性の、警察によるヒドい仕打ちが記憶に新しいところ。これは決して他人事ではありませんよ。凶悪な事件に限らず日常起こる犯罪で、いつどこで容疑をかけられ自白を強要させられるかもしれない。日本でも、本作のような冤罪をテーマとした力強く見応えのある作品をどんどん作ってほしいと思いますね。 【光りやまねこ】さん 8点(2004-05-22 11:09:56) |
45.残酷な話なので、何だかやるせなくなってしまうが、ラストシーン(判決シーン~)には思わず涙しそうなぐらい震撼させられる。音楽もよい。IN THE NAME OF THE FATHER! 【Andrej】さん [DVD(字幕)] 9点(2004-05-03 00:38:15) |
44.《ネタバレ》 実話らしいが、主人公の狂いすぎのような性格には疲れた。また父親と息子の愛情についてしっとりと描かれているのは、観ていてちょっとむずがゆい。とは言っても重量感たっぷりでしっかりした映画だと思う。 ひたすら我慢して、我慢しつづけて、死んでいった父の無念をあらわすような、たくさんの炎が暗闇にゆらゆらと舞い落ちるシーンは美しいの一言。胸にしみた。ひとつ気になるのは、主人公の年齢と俳優の年齢にいくらか差があるんじゃないかと。よくあることなんだけどね。 【ぷりんぐるしゅ】さん 6点(2004-03-12 21:01:12) |
43.冤罪をかぶせられる過程はホントに腹が立ちます。私はこういう気分の悪くなる映画は観たくありません。確かに実話ですし、警察のひどさ、冤罪のくやしさ、それが晴れたときの開放感、正義のためにたたかう、などの点を訴えたいのはわかります。でも、観るのを辞めたくなりました。もっといい描き方があるのでは?ショーシャンクみたいに。 【どろ】さん 2点(2004-03-01 00:32:50) |
42.もし冤罪という立場に立たされたら、獄中で一体どんな行為がとれるのか、自信の裏付けになるものが全くない私は、バカがつく位真面目一筋に生きて来たがゆえ、強い精神力と愛情でジェリーを導いた父親の姿に、ひたすら頭が下がる。 【トバモリー】さん 9点(2004-02-26 17:19:43) |
41.しかし警察はひどいことするなって思ったけど実話ではないのですね。そう錯覚してしまうほど説得力があるダニエル・デイ・ルイスの説得力のある演技には本当に頭が下がる。 【hrkzhr】さん 7点(2004-02-23 00:11:34) |
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《改行表示》40.マイ・レフト・フットのときみたいな予算が少ない感があれば逆に深みが出たと思う。 ポストウェルは良かったけど、ダニエル・デイ・ルイスは役に合ってるとは思えなかった。 (映画館) 【zero828】さん 7点(2004-02-21 16:52:34) |
39.《ネタバレ》 ほんとにひどい話だなぁ~というのが観ながら感じたことです。実話と知らずに観たので驚きました。ダニエル・デイ・ルイス、すごくいいです。ピート・ポスルスウェイトも優しく強く慈悲深い父親役がとてもよかったです。欲を言えば、再審で無罪を勝ち取る法廷シーンをもう少し長く観たかったです。 【きょうか】さん 8点(2004-02-05 16:57:15) |
38.IRAと警察当局双方の卑劣さに怒りで煮えくり返った。この作品を見た翌日歯は痛いわ胃は痛いわでかなりなダメージだった。こんな抗争には必ず一般市民に犠牲者が出る。父の淡々としているが、どんな苦境にあっても節を曲げない強靭な心を持ち心底息子を想う姿に胸が熱くなった。その生き様が自分は力尽きても遺志を受け後に続く者を残したと思う。凄い作品だった。 |
37.わざとらしさが気になって、あんまり感動しませんでした。実話だそうですが・・・。 【患部】さん 6点(2004-01-31 14:07:08) |
《改行表示》36.《ネタバレ》 泣かされました。最初寝っころがって見てた私を、起きあがらせ座らせベッドから追い出し画面に釘漬けにした映画です。初めのほうのジェリーてほんとにしょーもないヤツですよねぇ。親不孝なヤツだなと思って見てたんですが、お父さんも捕まったあたりからじーんときてたまりません。このお父さんロストワールドの時とはえらい違いで泣かせますな。またこれが実話だってところにぐっとくるわけでございますな。 【ショウガ焼き】さん 10点(2004-01-28 04:50:33) |
35.なにやら中途半端な印象。実話だというのには驚いた。 【太郎】さん 6点(2004-01-22 01:42:57) |
34.見る前は「地味な話かな?」と思ったのですがとても丁寧に作られていて直ぐに話にのめりこみました。 必見は裁判シーン。再審の時は見ていてもうドキドキしました。 とっても良い作品なのに陳腐な言葉しか見つからないのが悔しい!! 【あずき】さん 9点(2004-01-10 11:54:18) |
33.俳優達の演技が抜群に素晴らしい。特にダニエル・デイ=ルイス。時を経るごとに変わっていく主人公の心境を、台詞ではなく、目線や落ち着き加減で表現していた。エマ・トンプソンもすごい。出番は少ないものの、静かなる炎を燃やす弁護士を印象的に演じていた。この弁護士の語り口で映画を作っても面白かったんではないでしょうか。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-01-01 00:35:49) |
32.凄い評価が高いね。ちょっと、ショーシャンクに被る部分があるような。あの炎には、感動したけどね。 【ボバン】さん 6点(2003-12-29 18:56:29) |
31.ピート・ポスルスウェイトとダニエル・D・ルイスの演技を観ているだけでも完璧に物語りに引込まれる。物語り自体も心が引き付けられる。 【Andy17】さん 8点(2003-12-13 13:03:26) |