1.アニメと実写を合成するっていうのは、それまでに幾つか例があって、そこでどんな具合になるのかは予想がついたでしょうに、この映画はそれをちっとも学んでないかのような世界でした。リアリズムとは無縁のマンガチックな絵をはめ込んだんじゃ、そりゃシリアスな映画になるはずもなく、だけど一方で市川演出は、あくまでリアルを追及しちゃってて、ちぐはぐもいいとこ。せめてアニメにバカな笑いを入れずに実写とのシンクロを主眼に置いてくれていれば、こんなヘンな映画にはならなかったでしょうに(ピンクレディーの「UFO」なんてネタを入れてしまったら、ちょっと時間が経過しただけですぐ褪せる事くらい判ると思うんですけど)。手塚治虫のセンスに過大に期待して依存しててはダメなんじゃないかなぁ、って気もしました(現実として、マンガはともかく映像面では必ずしも名作を遺していたとは言い難い訳ですし)。