12.《ネタバレ》 パニック映画は好きなジャンルの一つですので、点数は甘めになります。
本作はパニック映画としてのバランスが非常に良い作品です。酸性化する温泉に、にごる水。プロローグで火山噴火の恐ろしさを体感し、大切な人を亡くしている主人公だからこそ、噴火の予兆に過剰に反応するプロットに説得力が生まれています。そしてそこで当然生じる関係者各位との軋轢も自然で良いです。もちろんそのために初動が遅れ、危機的状況が訪れるというパニック映画の定石を踏んでいるわけですが、だからこそ面白い作品だと言えそうです。
ただ、主人公のハリー、レイチェルとその家族にスポットをあてすぎたために、パニック映画としての醍醐味に欠ける部分もあります。不特定多数の人々の災害時における状況を映してこそのパニック映画だと思っています。そういった意味では空間の広がりやスケールの大きさに、物足りなさを感じます。
また、山から降りようとしない祖母がその理由を語らなかったり、火山を研究しているプロの地質学者が車で溶岩の上の走りきろうとしたり、少々演出に強引さが感じられます。無理矢理作られた人為的な危機的状況というものは、『ハラハラ』というより『イライラ』しちゃうものです。
とは言え、祖母の家に溶岩が押し寄せてくるシーンなど、映像だけでもかなり怖いシーンがありますので、それだけでも本作に関しては『一見の価値アリ』と言えそうです。