1.《ネタバレ》 「生涯映画ファン」の自分がこの先何年生き、どの位の映画を見続けるかは?だが「好きな男優」として俳優志村の名はこれからも残っていくだろう。このレビューを見ている皆様もわかるだろう、いかに彼の演技の幅が凄いか。そしてスクリーンの人物に完全に同化し映画ファンに強烈な印象を残していった、まさに日本映画が誇る名優だと私は力説したい。彼の演歴上何がベストかと考えると結構難しい。黒澤映画だけではない、他作品にも名演が有りすぎて選択にも困る。で私見で恐縮だが、この作品は間違いなく役者志村のベストアクトに入る一本。実はこの作品、改めて見直し「坂田三吉=王将」の換骨奪胎版であることに今更ながら気付いたのだが、それを感じさせないほど志村の演技は素晴らしい。勝負の世界に生きてゆく為、家庭を顧みず自分の路を突き進む老監督をうまく演じている。そしてラスト、シーズン終了後に妻の墓に向かってしみじみと感謝の意を述べる彼、絶品。野球解説者の豊田泰光氏曰く、「邦画史上唯一の野球映画」、そして俳優志村の伝記本の表題(これも素晴らしい)にもこの映画のタイトルが使われている。私にとってはどんな男優よりも格好良い、まさに「男ありて」の映画。以上。