8.《ネタバレ》 “愚の骨頂”あらゆる意味でこの映画にこの言葉はふさわしい。
はっきり言って「くだらない」と一蹴してしまうことを戸惑う作品ではない。間違いなく「くだらない」。
でもこれほどまでに、東宝特撮映画が自らに対する記念碑的映画としてふさわしい出来栄えもないかもしれない。
“とにかく、あらゆる東宝ネタを詰め込もう!!”という根本のコンセプトは間違っていないと思う。
海底軍艦の出撃に、妖星ゴラスの襲来、謎のX星人……ある種のオールスター的要素を心から喜ぶ人達はとても多いだろう。
ほとんど支離滅裂に登場する怪獣たちの存在も充分に楽しめる要素である。
ある種のチープさは、東宝特撮映画の良い意味での伝統であり、それこそ黄金時代を象徴する娯楽性だったと思う。
しかし、それでも、やはりこの映画は冒頭の言葉に終始する。
その原因はただ一つだ。
そう、このゴジラ最終作の監督に北村龍平という人間を起用したことに尽きる。
一辺倒の格闘シーンしか紡ぐことの出来ないこの監督は、自分に与えられた仕事の意味と責任を何も分かっていなかった。
製作発表の段階で、誰もが抱いた最大の不安は、見事に的中した。
近年のゴジラ映画には希望の光が見えていただけに、製作会社のこの“大見誤り”は「残念」では済まされない。
長いゴジラ映画の歴史の中で、ひとつの区切りとしてこういう映画があるのはべつに良いと思う。
しかし、これで“終わり”では、日本映画最大のヒーローがあまりに可哀想だ。
この映画にハリウッド版「GODZILLA」を愚弄する資格などどこにもない。