2.《ネタバレ》 前作に続いての昭和30年代前半テーマパーク映画です。地方都市だったら昭和40年代初頭までは残っていたような町並みと人付き合いの良い面だけを再現して、当時を体験した人には良い思い出話、知らない人には過去へのあこがれをかき立てる作品でしょう。今回は茶川エピソード等のエピソードに重点を置いているので、前作ほどのテーマパーク映画性は低下してますが、それでも美化された当時の雰囲気を味わい、その中で繰り広げられる人情物語を楽しむには十分な出来です。ちょっと気になったのは、物語では4ヶ月後からのお話になのに2年後の製作なので、子役が大きくなっていること。この作品単体でみればまったく問題は無いんですが、前作を覚えていると、一平はまだ許容範囲ですが、淳之介はえらく背が高くなっているし声変わりが始まっているしで、ちょっと厳しかったかな。あと、画面合成の粗が見える場面がけっこうあったのも残念な点。せっかく背景をあれだけ丁寧に再現しているんだから人物との合成はクロマキーの縁取りが見えないようにして欲しかったですね。いろいろ不満は残りますが、素直に見ればけっして悪くない出来です。
本編の方は前作に比べるとやや劣るかなという気もしますが、冒頭に思わぬサービスシーンが。せいぜい2階建ての木造家屋の町並みを蹂躙していく様が、現代のデジタル技術と昔の映画風にわざと粗した画面のおかげで、史上最高のゴジラ映像として見られます。映画館を出るとき周囲から、あの技術でゴジラ映画を作って欲しいという会話がちらほらと聞こえてきました。考えてみればゴジラが無理なく映画上で暴れ回れるのは昭和30年代までなんでしょう。科学技術が発達し(高層ビルの建ち並ぶ現代では何をやっても嘘くさくなってしまいそうです。制作者の意図はわかりませんがゴジラもまた昭和30年代の郷愁の対象なのかもしれません。昔のゴジラファンとして1点プラスで8点献上です。