2.《ネタバレ》 『続・三丁目の夕日』で東京タワー展望室内を再現するために、ほとんど画面に映ることが無かったにも関わらず当時の展示資料をスタッフが
借りに来たことがあって、そのこだわりぶりと労力に感心した覚えがある。
そうしたことから、本作でも時代の再現に関する美術面は大いに信頼してもよいと考える。
送迎デッキで船を見送る・迎える大勢のエキストラの衣装ひとつとってもよく作り込まれていて、その画面作りには頭が下がる。
記念写真の用法も山崎映画の特徴となっているが、夫婦のドラマの弱さと共に今回は印象が弱い。
岡田を舳先に立たせて並走する水上シーンのローリングも一瞬の高揚だけで後には続かない。
劇場予告の時点で耐性はついているものの、力みかえった絶叫芝居も相変わらずなら、煽情的な劇伴も山崎印である。
社歌を歌って労働するシーンにBGMを被せるセンスがもう理解出来ない。
何より、この時制を頻繁に往還させる作劇がしんどい。