90.《ネタバレ》 実話ベースの冤罪物語。半世紀近く前の話とは言え、当時そこそこの年齢であったにも関わらずこれほどの重大な現実の事件を殆ど記憶しておらず、それでいいのか?と複雑な心境です。 冤罪というものが、幸いにも(と言うと不謹慎かもしれませんが)身近なものになることなく生きて来た身としては、あくまでもマスコミの情報を通じての想像の域を超えないものの、恐らくはこのような状況で捏造されているのだろうなと思うと背筋が凍る思いです。エマ・トンプソン演じるところのピアース弁護士の奮闘がなければ、父子の努力だけでこの冤罪が晴れる日は来たのでしょうか? 未見の法廷ものとして探し当てた本作ですが、法廷場面は思いのほか少なく、服役中の父子の愛憎(父には愛しかありませんが)と、父の背中を見ることによる子の人間的成長が描かれていることで、社会派作品としてだけでなく優れたヒューマンドラマとして楽しむことが出来ました。 ちなみに、真実を隠ぺいしたことが明らかになりながらも3人の検察官等は何故無罪だったのか?ピアース弁護士が情報公開の対象外文書を持ち出した行為は許されたのか?証拠として認められたのか?誤って彼女に手渡してしまった係官の処遇はどうだったのか?などなど、大なり小なり幾つか気になってしまいました。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-12-23 10:33:13) |
89.《ネタバレ》 法廷もの・冤罪ものとしてはシンプルな筋で、基本的な部分は分かり易いしラストも十分に盛り上がるので、その時点で間違い無く良作だとは言えると思います。私も序盤から話に簡単に引き込まれ、ラストまでハラハラワクワクしながら一気に観終われました。 ただ、私は勝手にこのお話をジェリーの成長物語として観ていたのかもしれません。その観点からすると、意外とその部分はそんなに分かり易くもない、というか、特に父親が亡くなった後にジェリーが人間的に変化する、という側面は思ったホドは分かり易く描かれているワケでもないかと感じました。もう一つ、弁護士のピアースとの関係性もあまり掘り下げられてはおらず、そこら辺の人間や人間関係の描かれ方にはあまり深みというものを感じ取れませんでした。前述どおり総合的に良作であることは間違い無いと思いますが、人間ドラマとしては少しだけ浅いかもと。 とは言え、前半は父親のピート・ポスルスウェイトの落ち着いていながらも毅然とした様子が非常にグッドだし、彼の亡くなった後半も、代わって今度はデイ=ルイスとエマ・トンプソンの演技の質の高さが映画の緊張感を素晴らしく維持していきます。重ねて、総合的には良作だと思います。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-02-09 23:59:53) |
88.《ネタバレ》 良かった。 ただ、あのホームレスからの供述が行われていたことの 説明描写不足な気もするが・・ ラストの裁判がひっくり返る大事のポイントなのに、 最初はどういうことなのか、分からなかった。 ビデオを巻き戻しての再見で、あの写真がホームレスだと分かった。 ダニエルデイルイスの父親(ピートポスルスウェイト)は素敵だった。 獄中でも、あのお父さんは尊敬を受けてたのだろう。 亡くなった日の囚人たちの鎮魂の炎が美しかった。 絶望のピークで、エマトンプソンが女神のように現れるのは、正直、泣けた。 傑作です!この映画。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2021-01-09 19:08:20) |
★87.《ネタバレ》 英国の司法界史上最大の汚点とされるギルドフォード・パブ爆破事件と冤罪によって苦しめられた人々の姿を描いた作品。 刑務所と法廷劇が絡んだ作品といえばマーク・ロッコの「告発」もあるが、俺はこの作品の方が惹かれるものがあった。
爆破事故からはじまるこの物語は、1970年代の北アイルランドの騒動から幕を開ける。
定職にも付かず警察相手に挑発を繰り返す若者たち。 家族のために望んだ一時の天国、テロを疑われ一気に地獄へ。
IRA暫定派(アイルランド共和軍暫定派)は、イギリスにいまだ支配される北アイルランドを取り戻そうとテロを続ける。
標的な基本軍人だが、エスカレートするテロリズムは一般市民すら巻き込んでいく。
事件を何としても解決したい警察もまた、苛立ちや焦り、さらには事件を喰い止められない事によって世間の目が気になって気になってしょうがない。
焦りは冷静な判断を失わせ、狂気と化した警察は誤認逮捕が発覚しても隠蔽しようとする。 疑わしきは罰せよ・・・着せられた無実の罪。
世の中が腐れば、警察も腐る。その逆もしかりだ。
耳を引っ張るやつは凄い痛いんだよなあ。悲痛な表情が辛そうだ。 遂にはその家族にまで手をだし、マフィアのように「親を殺す」と脅迫までやってのける。 若者は「地獄に堕ちろ!」と哀しみと怒りをぶつけるが、届かない虚しさ。 やりもしない罪をでっちあげねばならない苦しみ、“妥協”が地獄から逃れる唯一の選択。だが、一度押された烙印は一生その人間を苦しめる。意思を貫くか、妥協するかは貴方しだいだ。
IRAのジョーの暴れ振りが凄まじい。火炎放射器まで作ってしまうのだから恐ろしい。そりゃ警察だってこんな奴いたらおかしくもなるわ。
彼らを救い出す騎兵隊は来なかったが、弁護士という名の救いの女神は彼らを見捨てなかった。 説得に次ぐ説得、迫る父の死期、父の息子や家族に対する祈り、「ゴッドファーザー」は父の死を暗示する、闘志が蘇る息子、法廷でまくしたてる迫力!
彼らはつい昨日の事のように過去を振り返るが、失われた時間と家族はけして戻ってこない。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 11:32:28) |
86.《ネタバレ》 親が悪い、社会が悪い、自分は不運だった。だから盗みもやるし、クスリにも手を出す。仕方のないことだ…。そんなジェリーを変えた父の姿。このような苦境に立たされても決して希望を捨てない。嘆願書を書き、祈り続ける日々。堕落していく息子にも失望はしても見放しはしない。そんな父を演じたピート・ポスルスウェイトの素晴らしいこと。同じ刑務所に入れられたというのはフィクションらしいけど、冤罪事件をベースにした父と子の物語は一粒で二度おいしい。真犯人が現れ、同じ刑務所にやってくるなど飽きさせない展開でもある。そのせいか駆け足に感じる部分も無くはないが、それでも自信を持ってお薦めできる一本。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-20 00:00:46) |
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84.《ネタバレ》 ○実際ではそれほど年の離れていないダニエルとピートの親子役は素晴らしかった。○IRA関係は割りと映画化されているので多少はわかったが、長年牢に入っていた感じがあまりしなかったのと、弁護士の活動があまり描かれていなかったところは少しだけ残念。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-10 13:15:44) |
83.正直、題名から想像する父子の物語よりも、酷い冤罪事件の映画という感じだった。まぁ、実話ベースだからしょうがないけど。爆弾作ってた容疑の兄弟とかむごすぎる。お父さんはとても良かったけど、俺にはヤケになっていた息子のスイッチがどこで変わったのかイマイチわからなかった。 【ラグ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-03-15 02:08:28) |
82.《ネタバレ》 当時のIRAやイギリスに関する知識が深ければ、また違った感想を抱くことができるのかもしれませんが、こればかりは仕方ありませんね。私は単純に冤罪、そして父子の絆の物語として観賞しました。 冤罪ものとして、本作ではまさに「生贄」ないしは「見せしめ」として文字通り血祭りにあげられてしまうコンロン親子とその家族に対し、同情の念を禁じえません。最後に無罪を勝ち取りますが、奪われた15年間という歳月はもう二度と戻ってはこないのです。父ジュゼッペの、妻や家族のいるところで最後を迎えたいという願いすらかないません。 主観的に見ても客観的に見ても、コンロン親子とその家族は暴走した国家権力の犠牲者です。しかも、コンロン親子でなくとも誰でも良かったというのがまた恐ろしく理不尽であり、不条理なわけです。その日、ジュゼッペがもしロンドンに行っていなければ、別の誰かがテロの被害者と国民の溜飲を下げるための生贄にされていたのでしょう。その日、ロンドンにいたアイルランド人であれば誰でも良かった、この事実が最も恐ろしい。 普段、情報操作されがちな私達大衆への警告のようなものすら感じます。 とてもわかりやすく、もしかすると映画用に多少脚色なりアレンジがされているのかもしれませんが、それをふまえても一度は見る価値のある映画だと感じました。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-09-19 02:41:29) |
【ケンジ】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-29 09:53:39) |
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80.実話が基になっているようで、一応社会派ドラマのジャンルなんだろうけど、 父と子の絆を核にしたシナリオ作りで、ドラマとしてのストーリーに厚みを持たせてます。 しょーもない息子のキャラあってこそのラストの流れが、思わずう~んと唸らせてくれる。 父親役の俳優さんがとても優しそうな顔をしてて、本作ではハマリ役だったかと。 実話ベースでなければもう少し高い評価をつけたいところだが、総体的には良作な映画だった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-08-14 03:59:37) |
【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-06-09 18:19:28) |
78.良いところも悪いところもすべてを見せてくれるからこそ、実話もののすばらしさがある。ダニエル・デイ=ルイス演じるジェリーは決して良い人間ではない。盗みはするし麻薬に手を出すし、素直さにも欠ける。何度も自暴自棄になるがそれがいかにもリアルだ。そのジェリーを見捨てず、あくまで家族を大切に考える父。その父親の姿が、私には亡くなった私の父にも似て涙でだんだんかすんでくる。冤罪ものの映画としては、ショーシャンクをも超えていると私は思う。 まちがいを間違いと認めず、さらなる大きな嘘で真実を歪める不正、私たちはそういう不正に対して、決然と対決すべきだ。感動を呼ぶ名作して賞賛したい。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-01-11 18:14:07) |
77.うーん、評価しづらい作品。冤罪モノと一括りにしていいのか。容疑もないのに7日間の拘留を認める法律が出来ちゃったからこそ、この話は起きたんでしょう。これはものすごくヒステリックな法律だけれども、ヒスってのは、ある種の過剰な正義論から生まれもするわけで、背景が不透明な事件事故でも、必ずや誰かを犯人なり責任者に仕立て上げて「血祭りに上げる」ことで、当事者及び大衆が溜飲を下げる、みたいな現象はよく起きる。そこで本来は、背景を含めた事の本質を見ようとする冷静さが問われなければならないはずだが、起きた事象だけに耳目が集まり、ヒスへの流れを止められなくなる。翻って、本作は、そもそも、アイルランドの複雑な歴史的背景が一切排除されているので、警察の横暴振りだけが前面に出ているが、宗教的対立に根差す理屈で語れない「民族感情」が根底にあったことが軽視されている。これは結局、本作自体、起きた事件を「実話モノ」として事象だけなぞってしまうことで、ヒスの流れに乗ってしまっている気もしなくはない。実話モノってのは、見る側の良識度というか、冷静さが問われる気がするので、作品自体の評価は本当に難しい。父子が同じ房に入っていたり、鑑賞会で「ゴッド・ファーザー」がかかっていたりと、これも事実だったのなら、この刑務所は、ある意味かなり鷹揚な刑務所のようにも感じる。映画としてみれば、ダニエル・デイ=ルイスは相変わらず素晴らしいし、表現も抑えた感じでよいとは思うけれども。いずれにしても、製作者の立ち位置としては疑問符がつく。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-08-22 17:41:17) (良:1票) |
76.ピート・ポスルスウェイトはデイ=ルイスと12才しか違わないが、とてもそうは見えない。重厚な父親像そのものである。ジム・シェリダンの演出はここでも観客を煽ることなく抑え気味だが、父子の情は濃く伝わる。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-20 00:00:04) |
75.《ネタバレ》 IRAうんぬんよりも父子関係の物語に主眼があるように思った 【マーガレット81】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-07-10 21:25:57) |
74.《ネタバレ》 重厚なトーンと俳優の演技力で惹き込むが、全体として焦点を絞りきれていない印象を受けた。材料はいいのに調和していない、というか……。刑務所の窓から灯火を落とす映像は、まとめるために無理に挿入された感じで、感動のクライマックスとしてはちょっぴりぎこちない。D・デイ=ルイス目的で観たからそれなりに満足はした。だが他の映画でもそうだったように、彼の演技に頼りすぎて脚本がバランスを失している。 ところで完全に余談ですが、最近起訴が取り下げられた足利事件、唖然としましたね。この映画は結構前の、しかもIRAに関わる事件であるのに対し、九十年代の日本における政治性のまったくない事件で、拷問のような取調べで自白を引き出していたという……。DNA判定があったとはいえ、暴力による強制的な自白が冤罪を生むのは過去の事例でわかりきっているのに、あまりに前時代的過ぎる。 この映画は七十年代の事件を「英国司法史の汚点」と評していますが、似たような失敗を二十年経っても繰り返しているこの国の司法って、なんなんでしょう。 【no one】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-17 22:24:33) |
73.「父に素直になれない子」の心情が痛い。家族の情愛は美しく語られることが多いけど、本当は複雑怪奇なものですよね。同じ監督、主演の作品は「ボクサー」のほうがオススメですが、かつて見たとき、自分がとても疲れていた頃だった記憶があります。借りてたビデオをもう一度見ようとは思わなかったのですが、いつかもう一度改めて見てみたい作品の1つです。 【おばちゃん】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-03 00:10:09) |
72.《ネタバレ》 実話ってのは難しい。無くてもいいようなエピソードも実話なんだから入れなきゃならん。そうこうしてるうちに話が長くなる。かといって削らなきゃ商品として成り立たない。そのせいなのかどうか知らないがIRAと英国の泥沼の関係は誰もが当然知っているものとして話は進む。英国におけるアイルランド人に対する根の深い差別がこの事件の根底にあることもあまり言及されていない。だから民族対立を鑑みない、単なる警察の怠慢が原因の冤罪のようにも見えてしまいかねない。もちろんこの映画が描くのは民族対立の歴史ではなく、あくまで父の息子への強い想いとその想いを息子がどう受け止めてゆくのかというお話ではあるのだろう。でもそれにしちゃ、息子が捕まるまでのエピソードとか長くないか?けっきょく冤罪事件のスキャンダラス性に父と息子のお話は負けてないか?やっぱり実話ってのは難しい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-10-03 17:53:48) (良:1票) |
71.無実の罪というありふれた題材だが、時代の背景がそれを後押しして不条理さがとにかく辛い。そして、父と子の関係の描き方もかなり良いです。僕自身が、そんな時代があったという事に実感できればもっとのめりこめたかも。良い映画です。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-06-10 18:17:24) |