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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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301.  セプテンバー 《ネタバレ》 
雰囲気やセリフなど、かなり質の高い優れた映画だと思う。 男女6人のそれぞれの満たされない想いが実に切なくて哀しい。そして、分かっていてもどうしても愛を求める姿や、代替的な愛に逃げてしまう姿に、人間はなんて弱々しくてもろい存在なのかと感じる。まさにfragileという言葉がぴったりの映画だ。 愛したくても愛せない、愛されたくても愛されない、そんな想いに対する答えはみつからないのかもしれない。ただ、人は出会い、そして別れていく。時が流れて、季節も変わる。夏が終わり、そして秋が訪れる。満たされない想いが癒される一つの答えは、時間だけなのかもしれないという情感あふれたラストになっている。 本作では、男女の愛だけでなく、母娘の愛についても描かれている点も面白い。やはりお互いの気持ちが向き合うことはないのだが。 レイン(ミアファロー)の母親も自己中心的でありながらも、レインに対しては強い愛情をもっている。一人でコックリさんをやっている時の表情や、ピーターとレインの仲を取り持とうとダンスを勧める様子などをみても分かる。ただ、愛情は持っていても、その愛情の示し方や、レインに対する接し方が分からないだけなのだろう。レインの母は、過去のことは過去のことと割り切るタイプなので、過去に囚われて前に進めなくなっているレインとどのように接していいのかが分からないのは無理がない。 一方、レインは事件のことも、家のこともすべてを自分に押し付けて、勝手気ままに生きる母親に対しては我慢できないでいるが、自分の満たされない想いを自分のせいではなく、母親へ責任転嫁しているだけではないか。たとえ、ニューヨークに行ったとしても、幸せになれるだろうか。本当の幸せは、目の前(ハワード)にあるのに、周囲が見えなくなっている状態を、ミアファローが素晴らしく演じている。 ステファニー(ダイアンウィースト)も夫婦間の満たされない想いをピーターへぶつけてみたり、ピーターは作家になりたいという満たされない想いを、レインやステファニーにぶつけている。 しかし、好きでもないレインに手を出すピーターや自分を試すためにピーターを誘ったステファニー、娘を理解できないダイアンなどに特別な悪意があるわけではない。ただ単に、人はみな弱々しくて、その弱さを何かで埋めるしか術を知らないだけなのだから。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-08-07 23:07:03)
302.  ラジオ・デイズ 《ネタバレ》 
古きよき時代の古きよき思い出が、「ラジオ」にまつわるエピソードと「美しい音楽」を通して語られていく。 時代とともに忘れ去れてしまう過ぎ去りし日の美しい思い出というのは、「具体的」でありながらも、意外とぼんやりとした「抽象的」な要素も含まれていると思う。このような形があるようで、ないような難しいテーマを「映像化」するということはなかなか難しいと思うが、ウディアレンは核となるストーリーを置かずに、「家族の愛」を中心にエピソードを積み重ねることで描いた。 このたわいもないエピソードかもしれないが、誰しも必ず一つ二つ思い当たるフシがあるのではないか。「俺にもそんなことをしたり、そんなことを考えたことがあったなあ」と観客に感じさせることにより、観た人により共感しやすくさせることを狙ったのかと思われる。 さらに、アレン監督の繊細さが、よりノスタルジックに、より感傷的にさせている。まさにウディアレンだからこそ創り上げることができた良作と思う(フェリーニ監督作品は未見)。 そして、ラストもかなり良い。「年が明ける」ことを描くことにより、「古きよき時代」も過ぎ去ったように感じさせている。「古きよき時代」が過ぎ去った「もの悲しさ」を描くとともに、「新しい時代」の幕開けを祝う陽気さも同時に描いている。確かに「古きよき時代」は去っていったのかもしれないが、これからの「新しい時代」も「古きよき時代」と同じように、よい時代にしていこうという希望的な明るさも感じさせているような気がした。
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-05 00:16:14)
303.  スーパーマン リターンズ
約20年ぶりに復活したシリーズ最新作は、続編でありながら、原点回帰のリメイク的な内容にもなっている面白い造りだ。今まで観た事がない人でも十分楽しめる内容にはなっているが、「Ⅰ」とリンク(マーロンブランドの重要なセリフ等)する部分もあるので、事前に「Ⅰ」だけでも観ておくとより一層楽しめるだろう。 【評価とテーマ】なかなか評価は難しい。「なぜスーパーマンが必要なのか」というテーマを相当ねちっこく、かつ丁寧に創りこんだため、完成度は高く、スーパーマンに対する深い愛情も感じられる良作というジャッジもできるが、2時間30分という長尺と派手なバトルがあるわけでもないストーリーとのバランスを踏まえると「長い・飽きる・くどい」といった評価も聞こえてきそうだ。「初代」に思い入れのある人には高評価で迎えられると思うが、最終的にはあまり高い平均点は期待できないかもしれない。 【ブランドンラウスが演じるスーパーマンについて】見た目や雰囲気はクリストファーリーブを彷彿とさせる見事なチョイスかもしれない。しかし、肝心の演技ができるかどうかは別だ。彼のスーパーマンは「表情」が語っていない。鉄火面のような無表情、CGのような無機質さを感じる。「人類に対する慈悲深い無償の愛」が根底にあるのは分かるが、「表情が豊かではない」→「感情が伝わらない」→「行動に対して共感できない」→「さっきから同じことの繰り返しじゃないか」という思考が延々とループしてしまった。もっと人間くささを出してもよかったように思える。 【ケヴィンスペイシーが演じるレックスルーサーについて】「セブン」のようなゾクゾクするような悪役を期待していたが、やや魅力を欠いている。好意的な評価をしても初代のジーンハックマンと同レベルかなという印象。もっとはじけてもいいと感じたが、本作のテーマを踏まえて、キャラクターとしての存在感を抑えたようにもみえる。本シリーズは、悪役が目玉となる「バットマン」とは根本的に異なり、あくまでも主役はスーパーマンという方針なのかもしれない。 【その他】幼年期のジャンプシーンは「スパイダーマン」や「ハルク」、着地時には「ミッションインポッシブルⅠ」を思い出した。ルーサーの出獄理由は「ダーティハリーⅠ」と似ているし、「タイタニック」のようなシーンもある。パクリではなくサービス的な意味合いでなかなかユニークと感じた。
[試写会(字幕)] 7点(2006-08-02 21:01:38)(良:2票)
304.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 
ライバル設定は面白いけど、結末がすっきりしなかった。 当時の技術では映像化できなかったのかもしれないけど、もう少しちゃんとしたバトルを展開させないと、このせっかくの設定がもったいないだろう。これだと、スーパーマンはただの騙まし討ちで勝ったとしか思えず、結局あまり強くはないんだなとしか感じない。そして、ゾッド将軍とデカイ無口な男は事故のような形で死んでいったが、チカラを失ったもう一人の女性をロイスがぶん殴って奈落の底に叩き込むというのは、ただの殺人であり、興ざめもいいところだ。ロイスはスーパーマンの正体を明らかにしたいがために川に飛び込んだり、エッフェル塔に登ったり、勝手に悩んで一睡もできずに泣き崩れたりと、やることの度を越えている。そりゃあ、記憶を消されて、次作で別の女性に走られても文句はいえないよね。 ラストであの例のレストランに戻るのは面白いが、チカラがなければ何もできないという描き方は最低だ。 いったい、彼が一旦「人間」になって何を学んだのかがまるで見えてこない。暴力と金だけで解決するというのが、彼が「人間」になって学んだことなのか。 チカラを失って初めて、チカラを誇示したり、暴力だけで全てが解決できるわけではないということに気づいて欲しかった。 例え、チカラが戻ったとしても、チカラで対抗するのではなく、大男に殴られても殴られても、こちらからは一切手を出さない。相手に対して暴力を振るっても意味がないことを諭す必要があったのではないか。そして、殴られても殴られても倒れない彼の姿を周囲の人々に見せつけて、彼らを奮い立たせることによって、暴力という手段を取らずに大男に謝罪させ改心させるということも必要だったのではないか。あれでは、大男はまたあのレストランに来て、これまで以上にひどいことをするだろう。 「せっかく修理したのに」と叫ぶ店の主人をよそに、私怨込みでボコボコにし、店内を必要以上にメチャクチャにした挙句、金を放り投げて立ち去る姿にヒーローの資格はあるのだろうか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-31 23:21:06)(良:1票)
305.  スーパーマン(1978) 《ネタバレ》 
前半・中盤は、結構丁寧に創っているなという好印象だったけど、あのラストにはさすがに言葉が出なかった。時代背景が違うとはいえ、この脚本をみて常識あるワーナーのお偉いさんとか誰も何も言わなかったのかな。 あんなメチャクチャなラストで物事を解決するのではなく、個人的には「失った命は結局救えない」というラストでも良いのではないかと思われる。 ヒーローはなんでもできると思われがちだが、決して神というわけではなく、できることには限界がある。だからこそ、救うことができたはずなのに救えなかったという苦悩や苦しみが産まれ、かけがえのないものを失った悲しみや、限りあるものの美しさが描かれるのではないか。 このラストでは、「人類の歴史を変えるな」という父親の教えを無視する上に、自然の摂理に反する行為である。子ども達にも影響を与えるはずなのに、物事はすべて駄々をこねれば解決できるという子どもじみた発想でしかなく、ヒーローとして、また大人としての成長が感じられないと思う。 ところで、このシリーズのⅠ~Ⅲを通してみたけど、スーパーマンへの変身のシーンで、Ⅰで電話ボックスをちょっとはチェックするもののボックスタイプではなく諦めるシーンがあっただけで、結局変身の際にほとんど電話ボックスを使うことがなかったのには驚いた(Ⅳは未見)。Ⅰでは自動回転ドア、Ⅱでは証明写真用のボックス、Ⅲではクルマの中だったかな。その他には、誰もいないところで走りながらとか、ビルから飛び降りながらとかで、電話ボックスではなくて結構いろいろな場所や方法を利用していたのは、新たな発見だった。
[DVD(字幕)] 5点(2006-07-31 23:05:41)
306.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
スコッセッシ監督の作品は良作が多いけれども、それほど自分にピタッとはまるようなものは少なかった。しかし、本作は彼の作品の中でも全く異なる印象を受けた。かなり自分にピタッとはまった。これほど丁寧に、繊細にかつ念入りに人間の孤独、心の闇を丁寧に描いた作品にはそうお目にかかれることはないだろう。一見するとテンポが悪いようにもみえるが、じわじわと一人の孤独の男が心の闇に支配されていくような感じも受けて、ぞくぞくする興奮を覚えた。トラヴィスは元々から狂っているわけではない。特殊な存在ではなく、どこにでもいるただの普通の寂しい男だ。寂しさを紛らわせるために、タクシードライバーを始め、働いているうちに道で見かけた女性に恋もしたりもする、やはり普通の男だ。ベッツィにとっても、彼のような不器用ながらも直球を投げてくるタイプの男は珍しかったのだろう。二人は少しはよい関係になるが、ありがちなコミュニケーション不足や、女性に対する接し方の経験不足から、あっさりとふられてしまう。振られた痛手が導く「自分が認められない、自分を受け入れてもらえない」気持ちと、さらに汚れた街、孤独な街がトラヴィスの心を一層、孤独にし、闇に染めていき、狂気へと駆り立てていく。しかし、どこかにまだ心の中に自分を必要としてくれる人がいるのではないかという希望は消えていない。それが忘れられない20ドル(アイリスの存在)である。トラヴィスの一方的な思い込みではあるが、やはり彼は完全な狂人ではなく、救いを求めている人間らしいところも垣間見れる。救いを求めたとしても、心の闇に支配された男はそう簡単に変われるものではない。狂気は実現へと進んでいく。狙撃する対象は、別に誰でもよかった。大統領候補でも、ギャングでも。この世界と、自分の環境が少しでも変わり、自分という存在が誰かに認められ、自分の孤独が少しでも癒されればよかった。しかし、大統領暗殺の犯罪者から一転して、トラヴィスはヒーローに祭り上げられた。アイリスの両親からも感謝され、新聞にも取り上げられた。自分の存在を誇示するように、新聞の切り抜きを自宅の壁に貼り付けるものの、彼は変わっただろうか。少しも自分の心の乾きは潤されることはなかった。ベッツィと復縁のチャンスがあっても、自ら孤独から逃れる機会を拒否している。やはり、孤独な男はいつまでも孤独でしかないのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-29 02:18:13)(良:3票)
307.  スタンドアップ 《ネタバレ》 
「女性」として、そして「母親」として、あるいは「娘」としてのジョージー・エイムズという人間をシャーリーズセロンが見事に演じきった。自分の力だけで子供たちを育てていきたいという芯の強さ。弁護士、父、母、同僚、友人多くの人々に支えられながら、決して泣き寝入りすることなく常に戦い続けたいという激しさ。不当に罵られた際に親友や子ども、周囲にあたってしまう弱さ。父や周囲に蔑まれても「過去」を一人で抱えてしまう「苦しみ」。セクハラや恐怖に対する怯え、苦しみ、怒り、やるせなさ。これらの複雑な感情が観客にもダイレクトに伝わる迫真の演技だったと思う。 しかし、全般的に優れた作品で穴がなく、かなり「リアル」なストーリーなのだけれども、どこか「押し」の強さや盛り上がりが足りない感じもした。最初8点くらいの作品かなと感じていたけど、そこまで高得点を与えてよいのかと悩んでしまう映画だった。 そして、個人的に残念だったのは法廷シーンが少なかったこと。本作で日本にはないクラスアクション制度(集団訴訟)について少し勉強できるかなと思っていただけに残念。不勉強ながらちょっとかじったことがあるのでクラスアクションについて知っていることを書くと、普通の一般の訴訟では、被害を受けた被告と原告が、自分の権利を巡って争うものであるが、クラスアクションは、クラス(本作ではセクハラで被害を受けた女性のすべて)を代表して、クラス全体の権利を個人が争うものである。勝手に他人の権利を処分することになるので、クラスにいる者には通知する必要があるが、クラスにいる者は積極的に「除外(オプトアウト)」の手続きを取らなければ、判決の効力はクラス全体に及ぶという制度である。いろいろと弊害も多い制度(自己の権利が勝手に他人に処分されるおそれ、高額な賠償額による企業経営の切迫、弁護士の金儲けの手段)であるので、EU諸国でも導入されておらず、おそらくアメリカ特有の制度である。アメリカでも、今ではクラスアクションをなんとか押さえ込もうとしている始末であるため、日本で導入されることはまずないでしょう。日本にも選定当事者制度(あまり利用されていない)という類似の制度があるけど、こちらは被害を受けた複数の者が、自己の権利を被害を受けた者に委任して、一人ないし複数が代表して訴訟を争うものである。似ているけど、本質は大きく異なる。
[DVD(字幕)] 7点(2006-07-21 23:33:20)(良:1票)
308.  ザ・メキシカン 《ネタバレ》 
脚本自体は面白いと思う。伝説の銃を巡り、様々な欲望・思惑が絡み合いながら、主演の二人が別れて旅する二つのロードムービーというのは珍しい作りだ。 主演の二人はちょっとオーバーアクト気味であったがビッグネームであり存在感がある。他の共演陣もそれほど悪くなかったと思われる。 それにもかかわらず、この映画はまったく面白くないと感じられない。どうしてこの設定で、ここまで面白くない映画になるのかを考えると、まず演出のリズムのテンポが悪いからではないか。全体的にダラダラとした印象を受けた。ストーリーを踏まえると、この映画はもっとこきみよいテンポかつスリリングにみせた方がよかった。 そして、監督があまりテーマを意識してないようにも思えた。この映画のテーマは、「愛し合っている二人が上手くいかないとき、本当の終わりはいつ来るのか」というものである。 こういうテーマを意識しない創りのために、スパイスがなく締まりが悪い、ダラっとした印象を受けるのかもしれない。 観客は本作を鑑賞して、主役の二人がこの事件を経験して、二人の関係やお互いに対する意識が何か変わったと感じただろうか。主演の二人がパートナーと離れて一人になったときに、失って初めて気づく大切な存在、失って初めて気づく喪失感がまるで感じられない。メキシカンという銃も愛し合っている二人が引き離されそうになった際の愛の結晶ではなかったか。そういう設定や今の二人と昔の二人のストーリーが上手くリンクしていない。 また、せっかく主演二人が別れて旅をしているという面白い設定が全く活かされていない。この二人は果たして再会できるのかというドキドキ感も感じられないのは勿体無さすぎないか。ラストも驚くほど悪すぎる。ブラピがジュリアに対して、銃を撃つなと言っているにもかかわらず、構わず銃を撃つジュリア。たしか、プラピに対してジュリアは利己的だという点に対して怒りを覚えていたような気がしたが、あの行為のジュリアは利己的ではないのか。途中でも触れたが、やっぱりこの二人は何も変わっていないように思える。普通ならば、ラストはお互いの二人の絆を確かめ合えるような展開を用意するのが常道ではないだろうか。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-18 00:06:34)
309.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 《ネタバレ》 
ラスト1分間だけは面白いが、残りの2時間余りは面白くもつまらなくもない可も不可もない映画。一言でいえば、冒険映画だけれども全く冒険しない無難な仕上りとなっている(既存の映画のごった煮的な作り)。 問題はディズニーとかブラッカイマーではなく、監督のゴアヴァービンスキーでしょう。彼の作品は何本か観たけどリズムやテンポが致命的に悪すぎるし、盛り上げ方や緊張感の出し方など全く考えていないような気もしてしまう。まだ、マイケルベイの方が数倍マシではないか。いいドル箱シリーズだけに他の監督の演出だったら、もっといい作品になっただろうと悔やまれてしかたない。 監督の演出だけが悪いとは言えないにしても、今回は悪役も含めてそれぞれのキャラクターが全く輝きを欠いている。ジャックスパロウも今回も頑張っていたけど、前回よりもやや存在感を欠いた印象。前回のようなサプライズアカデミーノミネートは今回はないだろう。 ウィルターナーは今回は主役ともいっていいはずなのに、ビックリするくらい全く存在感が感じられない。むしろノリントンの方が存在感あったような気がした。 エリザベスは今回最重要の役柄だったけど、あまり苦悩というか、行動の理由付けが感じられなかった。伏線は張ってあるので脚本は問題ないはず。 <ネタバレ注意>演出の何が問題なのか具体例をあげると、ターナー親子がデイビージョーンズと賭けをする際のやり取りなどは、自分の命を賭けているのだから最大に盛りあがってしかるべきである。しかし、緊張感も感じられず、「この三人さっきから何やってんだ」っていう風にしか自分には見えなかった。ただ単に鍵の在りかを探るだけにせよ、その後も鍵の強奪も簡単に事が運びすぎる。「これで観客がドキドキするだろうか」と観客を意識して本気で創っているのかと疑いたくなる。ただ単に脚本をスケジュール通りに撮っているだけじゃないか。 また、最大のラストのエリザベスとジャックスパロウのやり取りも淡々としすぎている。これはキーラの演技もやや足りないと感じたが、あまり観客に訴えてくるものがなさすぎる。あのシーンには色々な感情(キーラのジャックとウィル両者への想いなど)が混ざり合ってしかるべきだ。  脚本の問題としては、宝箱の中身は大した事ないけどラストまで明かすべきではなかっただろう。途中で明かさなければ、観客の緊張感がちょっとは違ってくるはず。
[映画館(字幕)] 4点(2006-07-16 16:39:50)(良:3票)
310.  カーズ 《ネタバレ》 
映画を観終わって、これほど清々しい気分になったことはあっただろうかと思ったほど、素晴らしい映画だった。 今までのピクサー映画の印象は悪くはないけど、個人的にそれほどハマッてはなかった。今回も正直言って全く期待しておらず、クルマは所有しているものの、クルマやF1などにはほとんど興味がないという状態。 それにも関わらず、なぜこれほど感動できたかを考えると、マックイーンは自分に似ているからなのだろうと思う。マックイーンは勝つことだけを考えて周りを信用することなく、なんども一人で自分の力を信じて、自分の能力だけで済まそうとしている。 自分も日々の仕事を終電がなくなるまでガムシャラに頑張るものの、あまり他人を信用することなく、協力して仕事をするのではなく、自分の力だけで仕事をこなしていたように思える。ちょうど最近自分の仕事に対する姿勢に疑問を抱き、仕事に対する情熱に陰りを見せ始めていたところだった。 それがこの映画をみて何か変わったように感じた。特に、他のレビュワーには不評の途中の中だるみのシーンを観て、自分の中で何か変わったように思えた。見方によってはなんということもないシーンなのかもしれないが、大した事のないエピソードの積み重ね、美しい風景によって、心が徐々に洗われる感触を覚えた。とげとげしかった心が徐々に丸くなっていく感覚、まさにこれこそ心の洗濯なんだろうなと感じた。 そして主人公とともに気づいていく。自分一人で生きているのではない。周りの人に助けられ、または助けながら、共に生きているということを。 ラストのマックイーンの行為には涙なしには見れない。勝負に勝つことも大事かもしれないけど、それ以上に大事なことがある。卑怯なことをしてただのカップを得ることよりも、あの行為は、共に戦かったライバルを敬い、彼の家族を救い、そして過去にとらわれていたドックハドソンをも救うことができる行為である。 この映画は、子ども達が観ても楽しめる映画であるが、もっと大人の人達にも観てもらいたい。失った何かをきっと発見できるのではないか。
[映画館(字幕)] 10点(2006-07-10 22:02:26)
311.  クライシス・オブ・アメリカ 《ネタバレ》 
複数のオスカー俳優が出演し、オスカー監督が撮った映画なのにB級っぽい感じになったのが残念。 面白そうなストーリーなのに、なんとなく緊張感が欠け、生ぬるい映画になっていないだろうか。 湾岸戦争の後遺症なのか、それとも本当に洗脳なのかをもっとラスト間際まで引っ張った方がよりスリリングな展開になる気がする。 しかし、ラスト間際の自分の本当に好きな人を手に掛け、それを自覚することもできなかったレイモンドショーの操り人形の苦悩が感じられた点と、政界に影響力をもつ大企業を告発することなく狙撃犯のすり替えを行ったことも一つの「クライシスオブアメリカ」と感じられた点は良かったと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-09 23:48:45)
312.  サスペクト・ゼロ 《ネタバレ》 
前々からネタが面白そうだなと気になっていたけど、ようやく見たもののどうもネタの面白さを活かしきっていない気がする。 まず、透視能力者の苦悩というあまり共感できないテーマを前面に押し出すのはいかがなものか。 やはり、FBIが透視能力者を追い、透視能力者が連続殺人犯を追うという二重の構図を活かしてスリリングかつ新タイプのサスペンスを創りあげた方が良かったのではないか。 そして事件の裏に透視能力者の苦悩や、連続殺人犯を殺す深い動機みたいなものが感じられるようにした方が万人受けしそうな気がする。 キャラクターを見ると、キングスレーの役柄はほとんど理解できるのだけれども、エッカートとモスの役柄がイマイチ中途半端に思える。 エッカートの過去の失態や透視能力の有無などが本編のストーリーに上手く活かされていないのではないか。 むしろ、エッカートは透視能力者の資質を備えた者という描き方をせずに、FBIのプロのプロファイリングという設定にして、プロファイリングvs透視能力者という構造にした方がより万人受けしたかもしれない。
[DVD(字幕)] 4点(2006-07-09 23:35:04)
313.  インサイド・マン 《ネタバレ》 
ストーリーのみを振り返るとかなりすっきりした気分になれる内容になっているはずである。しかし、映画を観終わった後にまったくすっきりした気分にはなれなかった。 社会への風刺が含まれていたり、人種差別などを盛り込んだりして、スパイク監督ならではの演出もあったかもしれないが、本作のような内容ならば、それにふさわしい人が演出した方がよかったのではないか。短期間で雑に仕上げられた印象もあり、監督の実績作りに利用された感も受けた。 個人的に一番気に入らなかったのは、途中途中で入る人質になった人たちの尋問シーンである。この手法自体は面白いアイディアと思うが、問題は中身である。「人質に対する事情聴取」というアプローチならばよいと思うが、どう考えてもあれでは「容疑者に対する尋問」である。 つまり、序盤にあの尋問シーンがあるために、すでにワシントンVSオーウェンの戦いはワシントンの負けということが分かってしまう。既に結果が分かっているゲームを眺めるだけである。序盤に大量得点が入って勝負が決した野球の試合をみるのにも近い。 あの演出に対する創り手の視点としては、ワシントンとオーウェンがどちらが勝つのかという激しい駆け引きを描くのではなく、いかにしてオーウェンが事を成し遂げたのかという点に重きを置いたからなのかもしれない。そうだとしてもこの手の映画には「緊張感」というのが重要であり「緊張感」をわざわざ減らす必要はない。そもそもこのゲームはワシントンに有利になることなく、オーウェン側のかなり一方的な試合展開になっているため、一層緊張感を欠く。 したがって、あの場面は「容疑者に対する尋問」ではなく「関係者への事情聴取」に留めておくべきだったと思われる。人質の口から、この計画の隙のなさを語らせるというのであれば、全く問題なかった。「スティーブ」「スティーブO」「スティービィー」と呼び合っていることを人質の口から語られることにより、オーウェンの手法の全貌を観客は知ることができる。 それにしても冒頭からもはっきりと言い過ぎではないか。 「狭いところと刑務所とは違う」というのは明らかネタバレしすぎだ。むしろ、冒頭において、オーウェンは刑務所にいるのではないかという誤解を逆に観客に与えてもよい。最初のインプレッションとは全く異なる展開が、緊張感や面白みを生むこともある。
[映画館(字幕)] 6点(2006-07-09 17:48:04)(良:2票)
314.  ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
シンプルな人間関係で、味付けも薄いかもしれないが、正攻法で勝負して、素材の良さを活かしきっている。 シンプルな演出によりホアキンの演技のよさを最大限引き出した。 ホフマンのカポーティの演技を観ていないが、ジェイミーフォックスが前年に主演男優賞 を受賞していなかったらと、悔やまれる巡り合わせ。まだまだチャンスはあるでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-09 17:24:43)
315.  マシニスト 《ネタバレ》 
役者と監督のやる気が伝わる、いい映画だったと思う。 ただ、妄想ならばなんでもありというわけにはいかないのではないか。 デイビッドリンチの世界とかなり近い感じがするけど、リンチの描く世界は、混乱しているようにみえて実はきちんと調和が取れているのに対して、本作は辻褄を合わせるために綺麗にまとまりすぎている感じがする。 だからオチが分かるとちょっとガッカリという気がする。 でも、消したい記憶と消えない記憶という都合のいい人間の記憶のプラグラムに対して、「良心」という計り知れないものを掛け合せた世界を描いたという点は評価できる。この監督には注目したい。
[DVD(字幕)] 7点(2006-07-09 17:18:52)
316.  オーメン(1976) 《ネタバレ》 
役者の演技は見事だし、監督の細かい演出はなかなかのものと感じたが、肝心の「恐怖」がさすがにいい歳になってくると感じられなくなってきた。 もっと心理的な恐怖が感じられると思っていただけに残念であった。 ダミアン役の子役は悪魔の子というよりも、たんなる可愛い子どもにしかみえない。 また、子どもを欲しており、事の真相を知らない母親がまっさきに我が息子を疑うというのも、やや違和感を感じた。母親との関係がやや希薄だった気がする。
[DVD(字幕)] 5点(2006-07-09 17:15:53)
317.  M:i:III 《ネタバレ》 
このシリーズは万人が楽しめるように創られていて好感が持てる。あまり深く考えなければ相当興奮できる内容になっている。シリーズを観てなくても楽しめる内容にもなっており、シリーズ毎に特徴を変える戦略もよい。本作では前作以上にラブストーリー色を強め、人間臭いイーサンを描き出している。原点回帰のチームプレイを重視し、非現実的な世界ながらも比較的リアリティ(変装、声、振り子の原理等)にこだわっている。オープニングから全編を通してクライマックスのように迫力あるシーンの連続で緊迫感が保たれているが、逆にいえば美味しいところを序盤・中盤にもってきているために最大のクライマックスであるラストにもう一工夫必要だったのかもしれない。 <ネタバレ>イーサンとホフマンのオープニングのやり取りにあまり意味がないことは残念だ。モナハンはアレだし、ホフマンはカウントダウンして一体何が聞きたかったんだということになる。単にホフマンの一種の遊び(遊び好きみたいなセリフもあったし)で、イーサンをパニックに陥らせて、飛行機から落とされそうになったことへの復讐だったのだろう。 また、ホフマンは雑草というセリフがあったが、雑草相手にしては奪還劇が度を越えている。度を越えた奪還劇を描きながら、ラビットフットという重要なものが存在している場所ではアジトや護衛の手薄さをみせつけられるとやや違和感を覚える。 それにしても、全シリーズ、内部から裏切り者を輩出するというのは、いったいどんな組織なのかと思わざるを得ない。方向性が違うだけで根っからの悪人ではないし、この組織にいれば普通の生活はできないというセリフで補充はされているものの。そして、肝心のラストでミシェルモナハンに銃を握らせる必要はなかったと思う。せっかくリアリティを重視した本作であるにも関わらず、初めて銃を握った女性が訓練を受けた複数の人間相手に立ちまわるのは相当の違和感である。あんなシーンよりもむしろ蘇生を重視すべきである。イーサンがなかなか蘇生せずにそれでも必死に蘇生を試みさせる姿に二人の愛の深さや信頼感を感じ、観客は感動をするのではないか。「イーサンひょっとしてマジ死んだかも」と観客に思わせる位、このシーンはもっと時間を掛けて描くべきだったと思う。不評だと思うけど、ラビットフットの正体をぼやかした点とラビットフット強奪を省略した点はなかなか面白いやり方だ。
[映画館(字幕)] 8点(2006-06-25 04:07:51)
318.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
面白くもないし、説明不足なのは否めない。 説明がない分、観客は与えられた意味不明な映像に「意味」を求めようとするのだろう。それが数多くの誤解を招き、数多くの議論を産みだす。そういう点において、人を惹きつける魅力をもった映画なのかもしれない。 色々なところで解説されているようだし、小説版なんてのもあるようだけど、そのような知識を借りずに、映画内で描き出された映像のみで自分なりにこの映画を解釈をしてみた。 この映画は、「人類の進化(過去と未来)」をキューブリックが独自に描き出したものだろう。400万年前の人類の祖先はその辺りのイノブタと変わらない下等な動物だったし、強い動物に襲われたりもする弱い動物だった。そんな下等動物がなぜ宇宙船を創り出すまでに進化できたのかという問いに対して、キューブリックは「宇宙人の存在(キューブリックにとっての神)」を考えたのだろう。 宇宙人の高度の知識を得て、ただの動物である猿が知識を有する人類にまで進化したとキューブリックは考えたのではないか。そして、400万年の時を経て、未来の人類は宇宙船を創りだし、月を採掘し、感情を有する機械との戦いを征して、木星にまでに辿りつくことができるようになる。これらができるようになった未来の人類は、さらに宇宙人によって高度の知識をもつ新たな人類(赤ん坊で表現)に生まれ変わるときが来るという「未来」を描いたのではないか。 確かに本作のように説明を省いた映画に対して高得点を与えることはできないと思うレビュワーには同意するし、木星にまで辿りついてワープゾーンで永遠に訳の分からない惑星の誕生シーンを観続けるハメになったときには正直うんざりしたけれども、やはり映画というものは、小説などとは違い全てをセリフや文字で表現するというような野暮なものではないとも思う。この映画は多少行き過ぎた点があるとは思うけれども、本作のようなぼんやりとした描き方によって、観た者に「あれはどういう意図をもって描いたのだろう?」と思わせるような演出の在り方には賛同したい。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-24 00:27:04)(良:3票)
319.  Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004) 《ネタバレ》 
オリジナルに比べてバランスの悪さが目立った。 オリジナルはダンスや夫婦などのパートナーの在り方や信頼感を問いた作品であるが、本リメイク作は、その視点がだいぶ欠けているのに、ストーリーや流れだけをオリジナルに近づけようとしているために、バランスが悪くなっていると思う。 オリジナルにもっと近づけるか、それとももっとアメリカ的に大胆に脚色した方がよかったのではないか。
[DVD(字幕)] 5点(2006-06-22 00:00:12)
320.  M:I-2 《ネタバレ》 
ハトが出てきたあたりから、唖然としながら画面を見つめていた。 そのあとも嘘みたいな展開が快調に繰り広げられていく。 「ミッションインポッシブルってこんな映画だったっけ??」という疑問符が脳裏をかすめながら、戸惑いながら映像を凝視し続けると、次第に嘘みたいな展開が心地よい爽快感に変わっていった。そして観終わった感想は「トムクルーズにハト意外に合うなあ。」というものだった。 この映画をみて感じたことは、トムクルーズのプロデューサー能力は相当に高いなと思われる。 ブライアンデパルマ監督のサスペンスタッチの前作が成功を収めたにも関わらず、前作の「型」にハメることなく、前作とは全く異なるテイストで攻めるというのは、なかなか出来ることではない。コケたら当然ボロクソに言われるということが目に見えているはずであり、大金が動くこの世界では比較的冒険はしないのがセオリーである。それにも関わらず、あえて新たな一面に挑戦し、その可能性に賭けた結果、大成功を収めたわけである。プロデューサーとしては一流と言わざるを得ない。 そしてジョンウー監督の起用も流石と唸らざるを得ない。その分野に秀でた監督をきちんと起用し、監督の好き勝手にやらせたであろう結果が画面からにじみ出ている。予算の関係から監督に好きにやらせない風潮が多い中で、監督の悪ノリに近いノリをそのまま映像化し、監督の長所を引き出している点からもプロデューサーとしては優秀と言わざるを得ない。 ただ、脚本は意外と筋がいいのに、その良さを上手く演出することなく放棄してしまっている点がもったいない。二人の変装の名人がいて、本物なのか、偽物なのかというスリルが残念ながら味わえない。当然ラストのトリックもあれが本物のイーサンハントだと思う人はまず、いないであろう。最初から最後まで全ての変装が完全に「ああ、変装しているな」というのが分かってしまってはもったいないところだ。
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-21 23:55:07)(良:1票)
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