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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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361.  ニクソン
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』に『フロスト×ニクソン』、果ては『ウォッチメン』に至るまで、アメリカ人にとってニクソンとは気になって気になって仕方のない特別な政治家であるようですが、そんな数あるニクソンものの中でも本作は決定版とも言える堂々たる仕上がりとなっています。3時間超えという上映時間にも関わらず一瞬たりともダレることはなく、ムダな場面、ムダなセリフは一切なし。大変に見応えのある作品でした。。。 本作で意外に感じたのは、ハリウッドきってのリベラリストであるストーンが、ニクソンに対して非常に同情的な目を向けているという点です。金なしコネなし学歴なし(ハーバード大には合格していたものの、実家が貧しく東部で下宿する費用を捻出できなかったため、仕方なく地元の大学に進学した)の状態から人並み外れた努力によって大統領にまで登り詰めたものの、マスコミから嫌われたために国全体から悪意を向けられ続け、最終的には唾を吐かれながら大統領の座を失った悲しい男の物語として本作は製作されています。政治面では並みの大統領数人分に匹敵する実績を残したにも関わらず、その功績はほとんど評価されず、外交面での目覚ましい成果に至っては部下だったキッシンジャーの手柄にされてしまったという彼のあんまりな人生が、かなりフェアな目線で描かれているのです。ベトナムから撤退した際に「国民やマスコミが望んだ通りにしたのに、なぜ俺が叩かれるんだ」と嘆いた場面などは、特に気の毒に感じました。本作を観れば、ニクソンに対する評価が大きく変わるはずです。。。 一方で問題に感じたのは、客層があまりに限定されすぎているという点です。60年代から70年代のアメリカ社会や世界情勢についての知識を持っていることは当然、ウォーターゲート事件に至っては、リアルタイムで事件を見ていた世代でなければわからない程の不親切な描写となっており、80年代以降に生まれた私のような世代にとっては、かなり厳しい内容となっています。誰でも理解できるように作られていた『JFK』と比較すると、ちょいと不親切過ぎではないでしょうか。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-17 01:57:16)
362.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
本作は、インフレ率を考慮すると後の『スパイダーマン』や『ダークナイト』をも超える興行収入を叩き出しているのですが、アニメでもスペクタクルでもないヒューマンドラマがここまでの数字を出した例は後にも先にもこれ一本のみ。今回、十数年ぶりに鑑賞してみたのですが、確かにこれはアメリカ人から熱狂的に支持されて当然の映画だと感じました。。。 本作の舞台となる60年代から70年代にかけて、アメリカはまっぷたつに分裂していました。大統領を含む政治的リーダーはしょっちゅう命を狙われ、公安組織は市民のデモ隊に対して容赦なく暴力を振るうという世相であり、それはもはや内戦状態とも言える有様でした。そんな時代を反映するかの如く、このドラマには二人の人物が登場します。国家に対して従順なフォレスト・ガンプと、反権力に生きるジェニー・カランです。通常の映画であれば反権力に身を置く者が主人公とされるところなのですが、本作では権力に寄り添うフォレスト・ガンプが主人公となっています。そして、ガンプが堅実に生きた結果としてアメリカン・ドリームを手にする様は、あの時代のアメリカ社会の肯定を意味します。これまで真っ暗闇として描かれてきた60年代から70年代のアメリカは、本作によってようやく復権したというわけです。一方、反権力のジェニーはと言えば、ガンプやババが戦場で命を張っている間、仕事も勉強もせずに仲間と遊び呆けて暮らしています。彼女は権利ばかりを主張して義務を果たすつもりはないという身勝手な生き方をするのですが、それは反権力とかプロ市民に対して一般人が持つ反感を見事に具現化したものです。自堕落な人生のツケを払わされるかの如く、彼女がエイズで命を落とす様は、もはや勧善懲悪の世界でした。。。 以上の通り、本作は強烈な政治性を帯びているのですが、コメディを得意とするロバート・ゼメキスの演出によって程よくマイルドに落ち着いており、アメリカ人以外でも楽しめる仕上がりとなっています。あき竹城みたいな東洋人を連れて久しぶりに姿を現したダン中尉が、爽やかな笑顔で「俺にもフィアンセが出来たんだ」と言う場面なんて、涙が出る程笑ってしまいました。また、ノンフィクションものを得意とするエリック・ロスによる脚色も見事であり、歴史的事実とファンタジーとの間で絶妙なバランスをとっています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-17 01:55:08)(良:3票)
363.  JUNO/ジュノ
本作の脚本でオスカーを受賞したディアブロ・コーディは、大学卒業後に普通に就職したものの興味本位でストリッパーに転職し、その後、ブログにおける圧倒的な文章力が評価されて脚本家に転身したという変わり種。そんな彼女によって生み出された本作が普通の青春映画であるわけがなく、16歳の女の子が妊娠しても誰からも怒られないし、クラスメイトからイジメや嫌がらせを受けるわけでもなく、赤ちゃんへの責任で思い悩むこともありません。妊娠して早々に、「今の自分に養育能力はないから、子供を欲しがっているお金持ちにこの子を引き取ってもらおう」という結論を出してしまうのですから。この手の映画で考えられるネタはほとんど外してきているのですが、それでいて奇をてらった嫌らしさはなく、コーディの個性がそのまま反映されたかのような奔放さに溢れています。。。 押しつけがましいドラマを嫌うジェイソン・ライトマンによる演出も、本作にはピタリとはまっています。変わった切り口ではあるものの、世の真理を突くかのような鋭さがあるために映画への共感は絶えないし、過剰ではない笑いにも独特のセンスが光ります。この映画が全米でブームとなり、フォックス・サーチライト史上最高の収益を上げた理由も理解できます。この映画には独特のセンスの良さやかわいらしさ、かっこよさがあって、この映画の良さを理解できること自体がファッションとなりうるのです。これについては、ジェイソン・ライトマンの手腕によるものと考えるべきでしょう。。。 エレン・ペイジは完璧にジュノになりきっています。皮肉屋で変わり者なんだけど、たまに女子の一面を覗かせるという絶妙な演技は、彼女以外ではちょっと無理だったのではないかと思います。なお、ジェイソン・ライトマンの映画はセリフの量が多く、かつ微妙なニュアンスの会話が交わされるので吹き替えでの鑑賞が向くのですが、特に本作におけるジュノの声のハマり具合は絶妙なので、DVDでご覧になる方はぜひとも吹き替えをお試しください。
[地上波(吹替)] 7点(2012-10-13 02:49:09)
364.  カンパニー・メン
個人のパフォーマンスが芳しくなかったり、業界の景気状況が悪化したりすれば簡単にクビを切られる世界で働く身としては、他人事とは思えない映画でした。MBA持ちで30代にして大企業の部長を務める主人公が、リーマンショックの影響によって呆気なくクビに。主人公に非があったわけではなく、部門の統廃合によって運悪く余剰人員の一人となってしまったという点が同情を誘います。そして、リストラ後に繰り広げられるのはサラリーマンにとっての地獄絵図。「自分にはまともな学歴と職歴があるし、きっとすぐに再就職先が見つかるはずだ」という見当は外れて無職の期間がどんどん長引き、親や子供、親戚やご近所さん達にも自分が無職であることが知れ渡ります。家族には迷惑をかけまいと思っていても月々の支払いは容赦なく迫り、家や車を手放すことに。空気を読んだ子供達が家計に気を使うに至っては、申し訳なさと情けなさで胸が張り裂けそうになります。親戚に頭を下げて仕事をもらっても不慣れな作業にはまったく馴染めず、不甲斐なさと自己嫌悪はさらに増長するのみ。観ている間中、こちらまでが胃の痛むような思いをさせられました。。。 監督のジョン・ウェルズは主にテレビ界で活躍してきた人物であり、中でも『ER』では長年に渡って脚本・監督を務めてきました。テレビで培った構成力やリサーチ力は長編デビュー作である本作においてもいかんなく発揮されており、リストラサラリーマン達の姿は驚くほどにリアルです。さらに、個人の物語をメインとしながらも時事的な大企業批判もうまく織り込んでおり、その構成力の高さには舌を巻きます。本作は非常に上質なドラマだと思います。その一方で映画的な抑揚に欠ける点もあり、悪い意味でもテレビ的な面が出てしまったことが残念です。サラリーマンにとっては身近な話であっても、主婦や学生さん達が本作を観てどの程度感情移入できるのかについては疑問が残ります。
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-09 01:19:49)
365.  リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 《ネタバレ》 
実話を基にした中年版『タクシードライバー』とも言える本作ですが、この映画は主人公と観客との間の距離の取り方が抜群に優れています。ある程度の共感の接点は設けるものの、主人公の内面を全面的に支持するようなことはせず、最後には突き放してしまうという、かなり客観的な構成としています。『タクシードライバー』はジョン・ヒンクリーという現実の犯罪者を生み出すに至りましたが、本作を観て主人公サミュエル・ビックのようになりたいと考える者は現れないでしょう。善良な小市民がちょっとした頑固さや愚かさから精神を病み、最終的には大勢に迷惑をかけた挙句に射殺されるという物語を見れば、ほとんどの観客は日常の大切さを思い知るはずです。。。 ショーン・ペンは貫録の演技力を披露。弱肉強食のショービズ界の頂点に長年君臨し、暴行での逮捕歴も持つペンが、本来の自分とは正反対の小市民に見事になりきっています。ナオミ・ワッツやドン・チードルら脇を固める俳優たちも高いパフォーマンスを披露しているのですが、中でも素晴らしいのが主人公の上司を演じたジャック・トンプソン。自信家で嫌味な性格ではあるが、その一方で面倒見がよく、常に良い上司であろうと努めている男という、善悪両面を兼ね備えた人物を丁寧に作り上げています。こういうタイプの上司は現実社会にもよくいるだけに、彼の存在によって物語に大変なリアリティが与えられています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-02 21:08:57)
366.  狼の死刑宣告 《ネタバレ》 
アグレッシブにも程があるタイトルに惹かれて手に取ったのですが、そんなタイトルとは裏腹に、意外なほどよく出来た映画でした。内容はオーソドックスな自警団ものなのですが、『ソウ』のジェームズ・ワンの高い演出力によって同ジャンルの作品としては頭ひとつ抜けた仕上がりとなっており、最初から最後まで存分に楽しむことができました。。。 とにかくこの映画、テンポが良くて退屈しません。イントロ部分で被害者家族の人となりを手際よく描いたら、間髪空けずすぐに悲劇が訪れます。そして親父はあれこれ悩むことなくさっさと復讐を決行。この勢いの良さはなんでしょうか。その後、親父は街のチンピラとの抗争に突入するのですが、ここでも深く悩んだりすることなく、言葉よりも先に手が出るというムダのない構成で安心させられます。あれこれ悩まずとも、険しい表情のケビン・ベーコンさえ出しておけばドラマは成立すると踏んだ監督の判断力も見事ならば、そんな監督の期待に応えてみせたケビン・ベーコンの演技力も見事なものです。ここまで振れ幅の激しい役を演じられる俳優なんて、ケビン・ベーコンとウィレム・デフォーぐらいのものでしょう。。。 とはいえ問題もあります。肝心な時に気配を消し、事が終わってから偉そうに説教を垂れる警察が面倒で仕方なく、彼らの存在が映画のテンションを大きく下げる原因となっています。家族の警護をミスったにも関わらず謝罪ひとつなく、相変わらず上から目線の説教をやめないという状況に至っては、チンピラ軍団以上に憎たらしく感じさせられました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-30 00:01:14)(良:1票)
367.  デス・レース(2008) 《ネタバレ》 
なぜか一部で神格化する動きもありますが、オリジナルの『デス・レース2000年』は紛れもない駄作です。ポール・W・S・アンダーソンが素晴らしいのは、往年の名作のリメイクで勝ち目のない戦いを挑むのではなく、知名度ある駄作のリメイクを思いついたということ。どうやってもオリジナルより良くなるしかないのですから、企画を思いついた時点で勝ったようなものです。案の定、この企画にはハリウッドの目利きトム・クルーズが飛びつき、2001年頃にはトム主演で『デス・レース3000年』として企画が進んでいました。しかし、現場をコントロールしたがるトムに監督が手を焼いたのか、『デス・レース2000年』のリメイクに出演することはリスキーであるとトム側が判断したのか、いつの間にか『3000年』の企画は消え去っていたのでした。。。 ジェイソン・ステイサムを新たな主演に迎えて仕切り直した本作を観ると、この企画からトムが降りたのは正解だったように思います。本作は世界観の脆弱性という大きな弱点を抱えているのですが、B級番長ステイサムの偉大なB級オーラが観客の疑問をすべて掻き消してしまい、とてもピュアな気持ちで映画を鑑賞することが出来るのです。トム・クルーズでは、こんな特殊な芸当は不可能でした。内容は力押し一辺倒でツッコミどころも大量にあるのですが、ともかく勢いあるB級アクションとしては満足できる仕上がりとなっています。中盤で登場する武装トレーラーのバカバカしさなどは一見の価値ありで、マシンガンや火炎放射器が車体の至るところに取り付けられ、ケツには戦車をくっつけられているという小学生の落書き並みのデザインには頭が下がる思いがしました。主人公とライバルが共闘してこれを迎え撃つという週刊少年ジャンプな展開もバチっと決まっており、王道のB級ぶりが心地よくて仕方ありませんでした。これに巨乳美女というオマケも付くのですから、男子必見の映画だと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-29 23:51:00)(笑:1票)
368.  13デイズ
中国との間の尖閣諸島領有問題がこじれにこじれ、反日デモで日本企業がボコボコにぶっ壊されるわ、尖閣に中国の大船団が迫っているわ、中国報道官の日本に対する悪口が日々エスカレートするわと、只事ではない事態に直面している最近の日本。その一方で我らが野田総理の存在感は薄く、彼は一体何をしているのだろうかと考えながらふと思い出したのが本作でした。。。 今回の鑑賞であらためて感じたのですが、この映画の面白さは異常です。本作は戦争に至らなかった事件を舞台にしており、見せ場らしい見せ場は皆無。あーだこーだと議論するおっさん達の姿が上映時間の9割を占めるという何とも暑苦しい内容ながら、これをアクション映画もかくやという娯楽作にまで高めているのです。ロジャー・ドナルドソンによる演出が素晴らしく、膨大な登場人物の入り乱れる複雑な物語を、極めて簡潔に仕上げています。映画全体のテンポの作り方や、イベントに向けての盛り上げ方も見事であり、この監督なくして本作は完成しなかったであろうと思います。。。 ただし、傑作にはなりきれていないという印象です。かつて『ダンス・ウィズ・ウルブス』を製作し、『JFK』にも主演したリベラル一直線のケビン・コスナーの影響か、本作は問題の捉え方があまりに一面的すぎるのです。何が何でも武力行使に持ち込もうとする軍人達が悪として断罪されており、危機を作った張本人であるソ連以上に否定的に描かれています。この手の映画は「あなたならどうしますか?」という問いを観客に投げかけてこそ価値があると思うのですが、製作側が善悪を断定してしまっているのでは楽しみが半減してしまいます。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-25 00:51:42)
369.  地獄の逃避行 《ネタバレ》 
突如挿入される自然の描写や詩的なモノローグといったテレンス・マリックの手法がすべてぶち込まれており、デビュー作の時点でスタイルを確立してしまっている点には恐れ入りました。『天国の日々』以降20年も監督業から遠ざかっていたのも、「これ以上監督業を続けても同じことの繰り返しだろう」と考えた結果なのだろうと思います。。。 『俺たちに明日はない』の二番煎じのようなあらすじですが、その実態は当時流行していたアメリカン・ニューシネマへのアンチテーゼ。負の感情をぶちまけまくっていたアメリカン・ニューシネマに対して、本作はいかなる感情をも排して光景のみを切り取るという作業に専念しています。1958年に発生したスタークウェザー=フューゲート事件をモチーフとし、無軌道な若者による連続殺人というショッキングな題材を扱いながらも、主人公を義賊とも悪人とも扱っていない点がなかなかユニークです。この主人公には何の目的意識もなく、行く先々でただ人を殺しているのみ。しばらくは決死の逃避行を繰り広げていたものの、飽きがくると自ら車のタイヤをパンクさせて警察に投降。逮捕後にも悪びれもせず、それどころか全米を騒がせた有名人として無邪気にはしゃぐという有様。なかなか斬新なアプローチではあるのですが、このレベルの無茶な犯罪に手を染める人間の心理って、案外こんなものではないかと思います。当初は殺人を犯す意図はないものの、目の前で発生した問題を解決するもっとも簡単な手段として殺人を選び続けた結果、死体の山が築かれるという。こうした本作の切り口にはなかなか惹かれるものがありました。。。 また、『シン・レッド・ライン』以降のような冗長さがない点でも、本作を良いと感じました。なんせ上映時間は94分ですからね。無意味に長い環境映像や、周りクドくて訳の分からんポエムは一切なし。物語をサクサクと進めていく簡潔な演出には感心しました。やれば出来るじゃないか、テレンスさん。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-02 03:47:35)(良:2票)
370.  デビル(2010) 《ネタバレ》 
本作は、シャマランが書き溜めてきたアイデアを若手クリエイターが映像化する「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一弾。これまでシャマランは自分のオリジナル脚本を他人に委ねることがなかっただけに、本作の出来がどうなるのかは気になっていたのですが、幸いなことにこの試みは成功しています。。。 内容は「お天道様は見ていますよ」といういつものシャマラン映画なのですが、若手クリエイターの力によって、これまでとは一味も二味も違う作品に仕上がっています。従来シャマランが不得意としてきた悪人の描写が充実し、サスペンスホラーとしての奥行きがしっかり出来ているのです。シャマランは悪人よりも善人の描写に力を入れる監督なのですが、一方、本作の監督を担当したジョン・エリック・ドゥードルは善人にほとんど関心を示していません(ラストでは善人に救いがもたらされるのですが、その救いをほとんど描かずにさっさと映画を切り上げてしまうという有様)。それに代わって「正常に見えていた人間が、実は悪人だった」という点の描写に力を入れたため、サスペンス映画としてちゃんと面白くなっています。。。 本作の構成は独特で、オカルトと犯罪ミステリーという相反するはずの二つの要素が食い合うことなくうまく共存しています。犯人は悪魔であることがはっきりしているのに(そもそも、タイトルが『デビル』だし)、その前提でもなお犯人探しのミステリーを成立させてしまった脚本力・演出力には脱帽なのです。抜群の発想力・構成力を持っているものの、監督としての引き出しの少ないシャマランと、勢いのある演出はできるものの、ともすれば緻密さに欠ける若手クリエイターが、お互いの短所を補完しあうことで作品を完璧なものとしたようです。本作は興行的にも成功した様子なので、「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第2弾にも期待です。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-02 02:31:25)
371.  プロメテウス 《ネタバレ》 
IMAX3Dにて鑑賞。初挑戦ながらリドリー・スコットは見事に3D技術を使いこなしており、3D料金を払う価値のある映像に仕上がっています。この辺りの柔軟性、技術に対する積極性は、さすが巨匠といったところです。。。 本編もまた、良くも悪くもリドリー・スコットの映画でした。とにかく映像美は完璧で、VFXの使い方も完璧。『アベンジャーズ』でコテコテのCGを観た直後だっただけに(あれはあれで楽しいのですが)、ロケーションとVFXが違和感なく融合し、あたかもそこに存在するかのような映像のリアリティには驚かされました。『ブレードランナー』以来30年ぶりのSF映画ですが、この監督のセンスはまったく衰えていません。その一方で、脚本はかなり適当。『エイリアン』の登場人物が7人だったのに対して本作の登場人物は17人に増やされているのですが、不要な人間が何人もいます。特に要らないのが科学者グループで、専門性を発揮することもなくただワァワァ騒いでいるだけ。肝心の研究・調査は同行したロボットがたった一人で進めているという有様であり、これならば科学者グループを丸ごと切ってしまい、代わりにプロメテウス号の操縦クルーを主人公にしてしまった方が映画全体のまとまりが良かったように思います。創造主に会えば寿命を延ばしてもらえると思ったウェイランド社長や、せっかく育てた人類文明を滅ぼそうと考えたエンジニアの行動原理は理解不能であり、これらについてはより突っ込んだ説明が必要だったように思います。製作スケジュールに余裕がなかったためか、スコットは映像表現に全精力を注いで物語は二の次・三の次としているようです。ジェームズ・キャメロンのような完璧主義者とは違い、ある程度のところで割り切ってしまう適当さがスコットらしいと言えます。。。 人類の起源とエイリアンを結び付けようとするそもそものアプローチが、個人的には好きではありません。「出会ってはならない二つの種族が出会ってしまったことによる悲劇」というオリジナルシリーズのアプローチの方がしっくりきます。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-26 01:28:24)(良:2票)
372.  アベンジャーズ(2012)
IMAX3Dにて鑑賞。この映画の3D効果は非常に素晴らしく、IMAX料金に3D料金も加算されて二人で4,400円というえらい入場料を取られたものの、それだけの価値のある体験はできたと思います。。。 単独主演作のなかったキャラクター達にまず見せ場を持たせ、続いて主役格のヒーロー達に各々ド派手な再登場シーンを与える。この序盤の構成だけでワクワクさせられました。オタクの神様ジョス・ウェドンは多くのキャラが入り乱れるこの物語を愛をもって丁寧にまとめ上げており、その仕事は驚異的と言えます。また、各キャラに対して均一に見せ場を与えるというサジ加減も絶妙。雷神ソーやハルクと比べると、凡人をムキムキにしただけのキャプテン・アメリカなんてのは圧倒的に見劣りするヒーローなのですが、そんなキャップにもかっこいい見せ場がちゃんと与えられているのです。ドラゴンボールで言えば、サイヤ人達が入り乱れる中でヤムチャや天津飯にも活躍の場が与えられているという状態であり、それを思えば、この映画の脚本がいかに優れているかがわかります。。。 と、キャラクターものとしては素晴らしい作品ではあるのですが、キャラクターの交通整理に終始して映画全体としてはイマイチだったように思います。原作がそうだから仕方ないとは言え、ヒーロー達の仲間割れが延々と続く中盤の展開はめんどくさかったし、クライマックスの大バトルはパラマウントが昨年製作した『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』を下敷きにしていることがモロバレとなっています。世紀の超大作を謳う割にはサプライズが少なく、やや拍子抜けさせられました。。。 この映画が不幸だったのは、日本公開が全世界同時公開から3か月も遅れてしまったこと。もちろん世界最遅公開。このタイムラグで自分の中では熱が冷めてしまい、お祭り騒ぎに参加するという心境で鑑賞することができませんでした。もし熱狂の中で観ていれば、前述した欠点も「見過ごすべき小さな問題」として捉えられていたかもしれないと思うと、この手のイベント映画には鮮度が重要であるということを再認識させられました。2015年の公開が予定されている『アベンジャーズ2』ではそこんとこよろしくお願いしますよ、配給会社のみなさん。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-25 02:18:50)(良:1票)
373.  ツイスター
公開時には中坊なりに「えらく中身のない映画だなぁ」と感じたのですが、今回16年ぶりに再見して印象は変わりました。どうやらこの映画、「雑に作られたハリボテ大作」ではなく、「面白くなりようのない題材を高い構成力でまとめあげた苦心作」であるようです。スピルバーグが子飼の優秀なスタッフを大勢提供しながらも自ら監督しなかった点や、ユニバーサルがワーナーに共同出資を持ちかけてリスク分散を図っている点から見ても、本作が着地点の見えないリスキーな企画だったことが窺えます。。。 考えてみれば、竜巻とは長編映画にとってえらく不向きな題材です。地震、土石流、火砕流、溶岩流、火山灰と災害のフルコースだった『ダンテズ・ピーク』と比較すると、何の前触れもなく現れ、短時間で壊滅的な被害を与えるという竜巻を扱った本作では、映画全体の構成が非常に困難であったことが容易に想像できます。そこで苦し紛れに登場させたのがストームチェイサーという科学者グループだったわけですが、自ら竜巻に突っ込んでいく人々を主人公にしたのでは、生きるか死ぬかという緊張感やドラマは当然薄くなってしまいます。そのためディザスター映画にありがちな湿っぽいドラマはスッパリと落してしまい、夫婦の再生の物語を映画の横糸としたわけです。これはジェームズ・キャメロンの『アビス』と同じ構成なのですが、男女の役柄を入れ替えることで話の印象をガラリと変え、安易な二番煎じにしていない点には感心しました。出演者は知名度よりも実力重視。翌年にオスカー女優となるヘレン・ハントを筆頭に、無名時代のフィリップ・シーモア・ホフマンやジェレミー・デイヴィスを配置するという先見の明には恐れ入りました。。。 ヤン・デ・ボンは企画が本質的に抱える弱点をよく理解しており、ドラマは深掘りせずに徹底して勢いで乗り切るという作戦に出ています。マーク・マンシナの軽快な音楽に乗せてテンポよく見せ場を繰り出し、なんとか2時間をもたせているのです。見せ場に平凡なものはなく、どの場面もアイデアに溢れて目を飽きさせません。人と竜巻との追っかけがしつこく続くラストの力技はさすが『スピード』の監督と言える仕事であり、スピルバーグでもこのレベルは不可能だったのではと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-08-14 20:30:10)(良:1票)
374.  エンジェル ウォーズ
既存コンテンツをピカピカに作り直すことで成功してきたザック・スナイダーが、はじめて挑んだオリジナルストーリー。今回は自ら脚本も執筆しており、並々ならぬ意気込みで製作された本作なのですが、完成した映画はかなり独特。面白いと判断するか、そうではないと判断するかはまさに紙一重であり、実際、劇場公開時には興行的にも批評的にもかなり苦戦しました。とはいえ新しい試みに対して拒否反応は付き物であり、かつて『フィフス・エレメント』や『V・フォー・ヴェンデッタ』がそうであったように、時とともに評価は安定していくタイプの映画だろうと思います。。。 かく言う私も、最初の見せ場である鎧武者との対決にはポカンとしてしまいました。アクションとは物語の中に存在してこそ盛り上がるものであり、文脈から切り離された所で派手なアクションを見せられても感情がうまく乗っからないのです。しかし、映画を見進めていくことで徐々にこの映画の鑑賞方法が分かり、それからは素晴らしいアクションの連続を楽しむことができました。本作の製作にあたって、監督は『ムーラン・ルージュ』からの影響についてしばしば言及しています。つまり、これはアクション映画というよりもミュージカル映画に近く、本作におけるアクションはミュージカル映画における歌と同様の位置づけにあるようです。それまで普通に喋っていた人が、感情の高ぶりとともに突然歌い出すというミュージカル映画でお馴染みのアレを、本作ではアクションに置き換えているのです。。。 ザック・スナイダーにとっては物語すらその圧倒的なイマジネーションの枷となっていたようで、ミュージカルの手法を採り入れることでその制約から解き放たれた本作の見せ場は圧倒的な迫力と面白さに溢れています。これは駄作と切って捨てるには惜しい完成度であり、今後本作を受け入れる人が増えればいいなと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-08-14 20:28:07)(良:1票)
375.  宇宙人ポール
『ホット・ファズ』のチームが手掛けただけあって、相変わらず丁寧な娯楽作に仕上がっています。スピルバーグ愛全開ではあってもオマージュやパロディは「わかる人がわかればいい」という程度に抑えられていて、80年代SF映画に関心のない人でも楽しめる間口の広い内容としている点には好感が持てました。娯楽作としてのバランスの取り方は絶妙で、速すぎず遅すぎず観客の生理に合わせた映画となっています。登場人物は多彩なのですが、振り返ると主人公2人以外のキャラはドン底とも言える人生を歩んできた暗い人たちばかり。ポールは60年間監禁生活を送り、脱出時には解体手術を受ける寸前のところだったし、かつてポールを助けた少女はキ◯ガイ呼ばわりされて60年間を孤独に過ごし、ヒロインとなる女性は30歳を遠に過ぎているのに家の外のことをほとんど知らず、イカれた父親から性的虐待を受け続けていることが暗に仄めかされています。こういうビターな設定を加えたおかげで映画は独特の味わいを得ているし、同時に「宇宙人騒動に参加する人間がマトモな社会人であるはずがない」という説得力ある設定にもつながっています。職を失い、妻子を捨ててまでUFO騒動にのめり込む男の姿を描いた『未知との遭遇』に違和感を覚えた私としては、本作のこの設定には大いに納得できました。。。 とまぁ全体的には満足できたのですが、不満な点が二つほどあります。一点目は、脚本が教科書的すぎて、伏線が見え見えになってしまっていること。作り手が意図したサプライズが観客にとってのサプライズになっていない場面がいくつかありました。二点目は、クライマックスに登場する宇宙船が手抜きだったこと。例えば『ギャラクシー・クエスト』は、クライマックスに本家『スター・トレック』をも超えるスピード感ある見せ場を準備して「SFは最高だ!」という思いを観客にも抱かせることに成功しました。このチームの前作『ホット・ファズ』も、クライマックスにバカバカしくも壮絶な銃撃戦を準備して観客を興奮させました。本作のラストにも、本家『未知との遭遇』と同等かそれ以上のスペクタクルが必要だったと思います。スピルバーグ映画を観た時と同じ感動を観客に味わわせてこそ、真のリスペクトであるはずです。
[DVD(吹替)] 7点(2012-08-07 01:10:51)(良:1票)
376.  バットマン(1989)
10数年ぶりの鑑賞でしたが、ヒーローを現実世界に引きずり出そうとする最近のアメコミ映画にすっかり慣れてしまっていたので、コミックの世界の完全再現にこだわった本作にはかえって新鮮さを感じさせられました。この映画がすごいのは、わざわざ説明をしなくてもすべてが自然に成り立っているということ。ジョーカーが毒入り化粧品や毒ガス散布でゴッサム市民を虐殺しようとするトンデモない話なのですが、その動機や目的は一切語られません。悪人であるジョーカーと舞台となるゴッサムシティが完璧に作り込まれているので、もはや悪事の理由を説明する必要すらないのです。背景や理由をくどくどと説明するブライアン・シンガーやクリストファー・ノーランの映画とはまるで違い、画だけで観客を納得させる構造になっている点には感心しました。。。 だからといってこの脚本が頭空っぽというわけではなく、目に見えない設定部分は徹底的に理詰めで考えられています。例えばバットマンの設定。仮面をかぶって犯罪者をこらしめて回る大富豪などマトモな人間であるはずがないので、常人を装いつつも激しい凶暴性を内包した狂人という設定としています。この映画のブルース・ウェインはノーラン版と違って社会正義を一言も口にせず、己の暴力衝動を充たすために犯罪者をターゲットにしていることが明確化されています。恋人ヴィッキーに正体を明かす場面は象徴的で、彼はバットマンであることを誇ることはなく、「やめようにもやめられないんだ」とあたかも悪い中毒のようにヒーローとしての自分を語ります。バットマンの働きに感謝したり、その活躍を応援したりするゴッサム市民が一人も登場しないのも意図的な演出でしょう。。。 以上、本作が図抜けた映画であることは認めるのですが、娯楽作としてはそれほど楽しめないことが難点。バットマン・ヴィッキー・ジョーカーの三角関係が物語の核となるのですが、生粋のオタクで恋愛に不慣れなティム・バートンがこの部分をまったく扱えていません。さらにはアクション演出ももたついており、スリルや迫力をまったく感じさせない見せ場が連続します。もうちょっと引き締まっていれば見違えるような傑作になったかもしれないだけに、本作製作時点のバートンの未熟さを残念に思います。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-20 01:10:31)
377.  ヒットマンズ・レクイエム
ゴールデングローブ最優秀男優賞受賞にアカデミー脚本賞ノミネートと本国では高く評価された一方で、日本ではDVDスルーとなった本作。かなり陰惨な内容を捻じれた笑いで包んでおり、独特の雰囲気を作り出しています。誰一人として普通ではない登場人物、微妙にズレた会話、際どい人種ネタ、綺麗に回収される伏線と脚本の出来は上々で、役者もピタリとハマっていて完成度はかなり高いのですが、ストレートな映画ではないので好き嫌いは分かれると思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-07-17 00:57:19)
378.  インモータルズ/神々の戦い
脚本が平凡な上に監督がストーリーテリングに無関心なようで、お話しはまったく面白くありません。前半は「つまらん映画だなぁ」と思いながら観ていたのですが、ギリシャ軍vsハイペリオン軍の合戦がはじまると突如として面白くなりました。圧倒的兵力を見せつける敵にひよった自軍を鼓舞する演説はこの手の映画にありがちなのですが、本作はこれを意外なほどかっこよく演出してみせています。多くの兵が入り乱れる合戦は大迫力だし、満を持しての神様戦隊登場は笑ってしまうくらいかっこよく決まっていました。ここまでやってくれれば大満足、前半のつまらなさはクライマックスですべて帳消しになりました。。。 美しさを伴う残酷描写にスーパースローの多様と、ターセム・シンの画作りはザック・スナイダーとよく比較されますが、コミックのカットの忠実な再現を目指すザック・スナイダーに対して、動く絵画を目指すターセム・シンの画作りはより高度。『ザ・セル』を観た時には”小さなリドリー・スコット”という印象を受けたのですが、本作を観るにターセム・シンは映像派と呼ばれる監督群の中でも独自のポジションを確立しつつあるようです。そろそろまともな脚本を受け取って、ラッセル・マルケイ化する前に代表作を作って欲しいものです。 
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-07-16 16:46:53)(良:1票)
379.  シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム
前作に比べてアクションの比重が増し、よりジョエル・シルヴァー色の強くなった第2作。とにかく爆破アクションの連続なのですが、ひとつひとつの見せ場が緻密に作りこまれていて単なるバカアクションに終わっていない点がシルヴァーらしいと言えます。ハイライトである兵器工場での戦闘では、素晴らしい見せ場の連続に大興奮させられました。俳優のチョイスもシルヴァーらしく、前作のヒロインを早々に退場させ、代わってスウェーデン版『ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパスをヒロインに据えるというチャレンジングなキャスティングがなされています。ブラッド・ピットやダニエル・デイ・ルイスの登板が噂されていたモリアーティ教授も蓋を開ければシェイクスピア俳優ジャレッド・ハリス(名優リチャード・ハリスの息子)に落ち着いたわけですが、この辺りにも「スターは一人か二人いれば十分。あとは実力ある中堅・ベテランで固めるべし」というシルヴァーイズムが現れています。こうしたキャスティング面でのこだわりも本作においては吉と出ており、作品としては一定のクォリティに達していると思います。。。 ただし問題もあります。前作と同じく観客が推理に参加する形となっておらず、ホームズの長台詞を一方的に聞かされるのみというストーリーの展開方法にはややストレスを感じました。ホームズはもはや19世紀のジェームズ・ボンドと化しており、シャーロック・ホームズである必要性がほぼなくなっている点も問題。映画としては面白いのですが、シャーロック・ホームズというコンテンツの扱い方には再考の必要があると思います。 
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-07-16 02:35:01)
380.  ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-
リドリー・スコットやマーティン・スコセッシといったハリウッドの巨匠達から愛される脚本家ウィリアム・モナハンの監督デビュー作ということで期待の大きかった本作なのですが、案の定、よくできたクライムサスペンスでした。ヤクザの世界から足を洗いたい主人公と、それを許してくれない闇社会というありがちな物語でありながら、キレの良いセリフ回し、印象に残る選曲、スコセッシ譲りの暴力描写によって水準を超える仕上がりとなっています。俳優陣の配置も絶妙で、ヤクザのボスをレイ・ウィンストンに演じさせて重量級の存在感を発揮させる一方で、デヴィッド・シューリスの飄々とした個性によって作品に独特の軽さを出しています。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの終了とともにめっきり見なくなったキーラ・ナイトレイが引退した元スター女優というセルフ・パロディのような役回りで出演しているのですが、「脱ぎの仕事も文句を言わずに引き受けていた」という自虐的なセリフで笑わせます。。。 問題に感じたのは、主人公が元スター女優のボディガードであるという設定が本筋とうまく絡んでいないという点。結末から振り返ってみて、主人公の恋の相手がセレブリティである必要性が感じられません。彼女に張り付いているパパラッチを利用した反撃作戦でもあれば面白くなっただけに、もうひと捻りが欲しかったところです。 
[DVD(吹替)] 7点(2012-07-16 01:49:52)(良:1票)
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