21. ヤング≒アダルト
《ネタバレ》 うわ!面白い!アメリカ的偽善を映画丸ごとで睨み返している。ダレダレな生活を通して、場違い且つしおれかけの大輪の花メイビスの哀れさを浮き彫りにしている。でも、側に来れば煙たい存在なのは間違いないけれど、負け犬が彼女なのかへたくそ嫁さんバンドなのか、田舎で小さくやり過ごしている私には正直判断がつかないよ。シャーリーズ・セロンの「モンスター」以上の熱演と「あなたはここにいなさい。」のシーンの辛子たっぷりの味わいに痺れ、これまた見よう!と心に誓った映画だった。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-13 22:06:55)(良:1票) |
22. コンテイジョン
カラフルな画と強いビートの音楽に引っ張られ、深刻で不安な世界に連れ込まれる。誰もが気になる本当にありそうな恐怖をベースに、極限状態の世界で息をしなければならない人々を沢山映している。けれど、あまりにも淡々と、淀みない川のように事態が流れて予想の範囲内で収束していく。魅せる力も持っているので興味深かったけれど、心に留まるものは無い。物語として、ある意味落第点である平均点しか付けられない。ホント、この文章みたいに味が無い。最後のDays1は余分に感じた。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-29 16:01:45) |
23. センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演)
《ネタバレ》 案外面白かったなぁ、と。子どもとあはははははははと笑ったり驚いたりするには最適な、すかっと爽やかな探検モノ。「ベルニアン」って、本当に存在する(した?)のかしら?みんなで車座になってヴェルヌ研究とかやっていたら、それもまた夢がある話だな。 [DVD(吹替)] 6点(2012-02-14 22:27:49) |
24. タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
楽しい楽しい、スピードとアクションと笑いも挟み込んで、大海原もサハラ砂漠もガンガン飛び回る力強い映画でした。至る所に気の利いたエピソードを盛り込み、さすがのスピルバーグ!という感じです。でもね、実写でやってくれたらもっとワクワクしたんじゃないか、タンタンやアドック船長役の俳優がお気に入りに仲間入りしたに違いない…という思いもあります。制作に関する情報は皆無で見ましたが、粒ぞろいのキャラクター達が実写と見まごうような画面の中で活躍するのを見て、なぜこういう形で映画化したのかな、と不思議な気持ちでした。スノーウィ君は確かに実写じゃ無理ですが。 [映画館(吹替)] 8点(2011-12-11 20:27:55) |
25. ザ・ファイター
《ネタバレ》 いろいろ振り払って這い上がる、それもタイトルの「ファイター」に引っかけてあるのだろう。でも時には家族だって切らなきゃいけない、家族だって金で目の色は変わる。特にこの映画の面々はそんな感じの典型だったから、兄貴の改心はともかく、急に母親が口を結んでいきなり上手い具合に収束するラストはええ?とちょっと不満。サクセスストーリーだから無理にそうまとめたような感覚が残った。でもブーイングの中ミッキー陣営が入場しながらぼそぼそつぶやくホワイト・スネイクは素晴らしいマッチング。実際にあの曲使ったのかな。 役者は、マーク・ウォールバーグに一票。普通過ぎてなのかノミネートは無かったけれど、普通にこなしたそこが良かった。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-08 18:02:31) |
26. レオニー
《ネタバレ》 画はとっても綺麗だけれど、旅の絵はがきのようにただ豪勢で工夫は感じない。大好きなエミリー・モーティマーも実力発揮で素晴らしいんだけど、私が彼女の魅力と思っている部分は不足気味。肝心の物語も、レオニーの半生を丁寧に追ってはいたんだろうけれど、なにかパンチが足らない。これもそれもあれもそう悪くないのに、見終わってみて「はて、なんだったんだろう?」という思いが残った。あの時代にアメリカ人女性が日本で暮らすのは、並大抵ではない苦労があったろうに、この映画では優しい日本人だらけ。その中で「あんた変わってんだよ!」と真正面から言い放った女中のハル役、山野海さんがいい味を出していた。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-02 01:23:46) |
27. ブラック・スワン
バレエの捉え方は、舞台シーンも練習シーンも大変雑でガッカリ。山岸凉子漫画の精神世界を真似たような物語は、陳腐な流れで新しさなど感じられない。ポートマンは、もっといい演技をした役が他にいろいろある。悪い意味での驚きでいっぱいな映画。お金も注目も両手いっぱいに集めたアロノフスキー監督には、次回作めちゃくちゃ期待している。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-09-09 16:48:32)(良:1票) |
28. ファイト・クラブ
《ネタバレ》 フランス革命の道程を見ているようだった。ジャコバン・クラブ。社会生活のレールをはずれたくせに、また社会を作り妙なルールを作り要らぬ残骸を積み上げていく孤独な男。ある程度レールを走ったらどうしたらいいか解らないという幼稚な焦燥感は、恥ずかしながら私自身も痛いほど感じることがある。でもこれが火花となり破壊に向かうのが男なんだろうか。「どうしよう…」って親父に電話で聞いてみりゃよかったのに。インテリもサイコもなんでもこいのエドワート・ノートンの独壇場だった。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-24 00:48:32) |
29. わたしを離さないで
《ネタバレ》 原作読了しています。読んでいる最中は物語の中に引きずり込まれるようでした。映画については、原作が金城鉄壁でどう頑張っても越えられない、と言ってしまえば簡単だけれど、やはり観ている私たちを別世界に連れて行くパワーが足らなかったと思います。複雑な話で、物語の中にあるもう一枚の扉を開けて入っていかないとなかなか見えてこないものが多いのですが、映画ではだいたいを端折っているのであっさりと時間ばかりが過ぎていくようでした。画の色は優しく、こちらに忍び寄ってくるような美しい緑とアイボリーの空は原作のイメージそのままでした。彼らにいつも纏わり付く恐怖を表す涙も、なんの前触れもなくあふれ出す様に切なさを感じました。A・ガーフィールドは今後も注目していくべき俳優だと確信しましたが、キーラ・ナイトレーも良い女優に育ってきたと思います。 [映画館(字幕)] 6点(2011-06-06 21:42:56)(良:1票) |
30. 理想の女
《ネタバレ》 脚本が上質。導入からタイトな作りで、台詞も気が利いている。半ばどうでもいい感じの色恋沙汰からあのラストに繋がっていく展開もお見事だった。あまりにも流れるようにラストまで駆け抜けていったのも、この手の戯曲ならでは。告白してしまうよりも胸に秘め続ける方が辛いというくだりや、秘めた母の想いも素直に頷けたけれど、S・ヨハンソンが貞淑な若妻ってところがちょっと引っかかる。見えない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-05 01:29:22) |
31. ローラーガールズ・ダイアリー
《ネタバレ》 ベタ。王道。スポーツの熱を借りて、デキる役者の力をいっぱい借りて爽やかな話を作ればそりゃ面白い作品も出来る。ずるいっちゃずるいけれど、幼い頃からショウビズの世界で色々経験してきたドリューが改めて「女の子」を見つめて作ったこれは、ちょっとツーンとくる何かも味わい深かった。「31歳でローラーを始めた。好きなものを見つけるのにそれだけ時間が掛かった。」(しかもジュリエット・ルイスに言わせるという!)だって。それでいいんだよ全然。この言葉を欲している大勢の大人や子どもが、この作品に早く出逢えますように。 [DVD(字幕)] 8点(2011-05-15 17:24:28) |
32. コララインとボタンの魔女
シザーハンズならぬニードルハンズ(笑)。ビジュアルは最っ高だったけれど、夢はともかく現実の世界があまりにもリアルな現実だったかなあ。原作があると色々制限があって難しいと思うけど、コララインやパパ、ママにもう一癖欲しかった。渋いこと言う黒猫ちゃんがイカしてる。 [DVD(吹替)] 7点(2011-02-20 13:13:57) |
33. クレイジー・ハート
《ネタバレ》 年を重ねるごとにいろいろ良くなるかと思ったら、だんだん糸が絡まってどうしようもなくてどうしちゃったのよオレ…、という、哀愁漂うおじさんカントリー歌手が再生していく話。「レスラー」に似ている設定だけれど、それほど悲壮感はなく爽やかな物語で、アメリカの風景と優しいカントリーのメロディが全体を包んでいる。手放せない酒、今までの人生でないがしろにしてきたものへの想いという人生の苦さと、手をさしのべてくれる友人や後輩の存在、愛する人を持つ幸せなどの人生の魅力が、美しい風景と一緒に胸の内に浸みてくる。黒い涙を流すシングルマザージーンも可愛く、ラストは多少胸が痛んだけれど、それもまた人生。ジェフ・ブリッジスのちっちゃな瞳とカントリーの音色がいつまでも心に残る良品。 [DVD(字幕)] 8点(2011-02-13 11:51:27)(良:2票) |
34. 闇の列車、光の旅
《ネタバレ》 「明日」など遠い未来。次の一瞬を迎えることさえ命懸けのギャングと少女の道行きは、常に熱気を帯びていた。まだほんの子どものスマイリーが、生き抜く手段としてギャング業にしがみつく姿もまた然り。望んだ明日を掴むのとはほど遠い、最後それでも足を踏み出す若者の姿、その目の光がこの映画のパワーとなっている。ラストの“ms”は、ニッと笑うと見えるように彫ったのかな。どのみち待ち受けるのは張り詰めた瞬間。サイラもスマイリーも。 [DVD(字幕)] 8点(2011-02-11 12:18:00)(良:1票) |
35. 運命のボタン
《ネタバレ》 内外でひどい評判の本作。話の終始がつかずに崩壊したトワイライト・ゾーンのような映画、と説明すればわかってもらえるだろうか。そんな作品にエンドロールまでただ黙って見入ってしまい、時間が経つのを忘れた自分がちょっと怖い。言葉では説明しづらいけれど、リチャード・ケリーの持つねじれた感覚がいろいろな場面で儚く切なく光っていた。寂しげにふにゃっと笑うキャメロン・ディアスや「箱」に対する語り口調も孤独感いっぱいで、この監督の醍醐味を充分味わえた。やっぱり目の離せない存在だ。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-23 02:10:59)(良:2票) |
36. 刑事ジョン・ブック/目撃者
《ネタバレ》 穏やかな農村を映す画はいつも水色に煙っていて、刑事物ということをつい忘れてしまう。仲間を殺して隠蔽する現代警察に、不文律で繋がったアーミッシュが立ち向かうシーンは感じ入るものがあった。レイチェルとジョンが戸惑いの視線を交わす姿が切なくてセクシーで、特にハリソン・フォードが猛烈に魅力的に見えるのは、自分が四十近くなったからだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-22 02:16:28) |
37. 第9地区
あああ気持ち悪かったけどやっと見終えた。さまざまな要素を詰め込んだ、人間の偽善と狂気と馬鹿さ加減オンパレードの作品。しかしこのアイロニーにアカデミー賞ノミネートですわよなんてやってる上から目線にも呆れる。こんな人間たちにもお花をください、ヴィカス。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-21 08:57:42)(良:1票) |
38. エアベンダー
今までその癖のある主張でいろいろ酷評されたシャマラン作品だけれど、どうしてどうしてこれは大変わかりやすくてスピード感あるエンターテイメント。映画としてこれはどうなのよ、というご意見もわからないでもないが、軽い気持ちで水戸黄門など楽しむ感覚で観ればOK。広く知られた原作があるのならば、この作り方もいいのではないだろうか。御伽噺のビジュアルは色も美しく、セットや衣装も豪華で見応えあり。今回己の主張は控えめにしたシャマランだけど、ちゃんとシャマランらしさも感じ取れたし、不意に落ちてくる黒い雪や鯉で描いたイン・ヤン等々忘れられない画もあった。私は続編きっと観に行くぞ。 [映画館(字幕)] 8点(2010-08-15 20:55:51) |
39. サロゲート
《ネタバレ》 安心安全なサロゲート使用生活が一気に壊滅してしまうほど恐ろしい銃が出回ったというのに、驚きや焦りがあまり感じられず淡々と話が進んでいく。決められた時間の中でサスペンスやらアクションやらの要素をキチッと詰めましたよ、といった感じの出来具合で、見やすいものの物足りなさもあった。ストーリーよりも目を奪われたのは、お肌ツルンツルンのサロゲートとそのオペレーターの見た目のギャップだった。CGやゲーム、架空の世界から脱出して、現実の空気を大いに味わおうじゃないか人間!というメッセージもあるのかな。妻役ロザムンド・パイクは、サロゲート姿の演技がいかにも血の通っていないような身のこなしで、氷のような美しさだった。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-07-18 21:53:31) |
40. HACHI/約束の犬
開始1時間経過あたりで我慢できずに泣く私。ティッシュでは足らずタオルで顔をゴシゴシ拭いて見終えた。フィクションの部分が多彩だとは思うけど、ハチ、可愛いなあ、いい子だなあって表現は十二分に伝わった。よし、明日はウチのワンコをもっともっと撫でて可愛がるぞ。ハチの映っていないシーンはどんどん飛ばしてもいいくらい犬を中心に起き、過剰な演出を付け足さなかったのも良かったと思う。私にとっては久々のヒットだったハルストレム作品。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-30 00:12:21) |