661. インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
正統派の伝記物でないのは別にいいし、この監督なら素直な作品にはならないだろうというのは予測できるんだけど、それならそれ以外の場所できちんと凝ってくれないと・・・ただ思いつきのようなシーンをスルスル重ねられても、何のために作りたかったのかが分からないです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-12-14 23:29:40) |
662. タイタンの戦い(2010)
いやもう、ニーソン&ファインズという「シンドラーのリスト」の映画史上に残る黄金善悪タッグに、あんなコスプレ対決を大真面目にさせている時点で、笑いが止まらないわけですよ。結局、このシーンが撮りたかっただけなんじゃないの?と思うくらい。マッツ・ミケルセンを投入しておいて、あんな無駄遣いぶりをしているのも凄いね。なお、作品としては、人智を超越した神々しさを描かないといけないはずのところに、人工物の最たるものともいうべきCGベタベタてんこ盛りで全部を塗りたくっている時点で、テーマと手法が分裂してしまっています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-12-12 22:25:43) |
663. パワー・オブ・ワン
《ネタバレ》 紹介文からボクシング映画かと思っていたら、それはごく一部で。音楽、語学、恋愛、そして日常的なコミュニケーションに至るまで、様々なツールを的確に用いて、社会が抱える病理をあぶり出していきます。実は白人同士でも尖鋭な根深い対立があったとか、勉強になるところもあるのですが、何よりも優れているのは、「この国を良くしたい」という登場人物の祈りが、1つの筋として貫かれていること。それによって、作品が、どこかの誰かの伝記というレベルを超えて、普遍的な意義を有しています。タイトルも、きちんと内容を象徴していますね。 [DVD(字幕)] 7点(2016-12-11 01:09:49)(良:1票) |
664. ダーク・シャドウ(2012)
最初から最後まで主人公が「ただその場にいるだけ」で、屈折感もなければ逆に躍動感もない。それどころか、いろいろ配置された周りの登場人物もみんなそう。映像はぎとっとした人工感丸出しの配色で、吸血鬼やその他もろもろが登場しそうな奥行きや底の深さがまったくない。つまり、ティム・バートンが完全に手クセだけで作ってしまったということです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-12-09 00:38:56) |
665. サルート・オブ・ザ・ジャガー
《ネタバレ》 何とも不思議な作品です。ルールの説明はおろか、「リーグ」とは何ぞやとか、そもそも人々はどういう生活をしているのかとか、そういった説明は一切なし。登場人物はひたすら、殴る、蹴る、武器で闘う。試合が終われば、何かに取り憑かれたかのように次の試合へ。その迷いのなさと確信ぶりは、試合中の描写よりも、むしろその合間の移動や休憩中にこそ醸し出されています。見ているときは「え?説明それだけ?」になるのですが、そのインパクトは、見終わった後にこそ重量感をもって押し寄せてきます。あと個人的には、壁一面に並んだ貸し出しベッドがツボでした。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-05 00:57:21)(良:2票) |
666. プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂
中身がほとんど何もないこともだけど、それ以前に、画面の色使いが全体的にギトギトしていて、役者も風景も埋もれてしまっているのが問題。これ、元はゲームらしいんだけど、映画を作りたかったんじゃなくて、実写版のゲーム画面を作りたかっただけなんじゃないの? [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-12-04 01:02:04) |
667. 特攻大作戦
《ネタバレ》 いちいち全員の名前を読み上げる導入部はただならぬ迫力を感じさせますし、肝心の12人が、どこまでいってもどことなくチンタラしているというか、渋々感が漂っているのも、逆に生々しさをあぶり出しているのですが・・・それだけやった後の頂上作戦が、さして警戒しているようにも見えず、特段の装備も見当たらないお屋敷を1つ制圧するだけって、何かしょぼくないですか?5人くらいいれば可能だったのでは? [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-03 15:17:32) |
668. スタア誕生(1954)
いや長かった・・・全般的に薄味で引き延ばし感がミエミエで、そのまんま焦点を絞って進めれば、45分くらいで終わっているでしょう。ジュディ・ガーランドのはかない栄光の姿を焼き付けた記録映画として見れば意味はありますが、だからといって物語としての面白さがあるわけではないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-25 03:35:12) |
669. ザ・ヤクザ(1974)
《ネタバレ》 タイトルにヤクザといっていながら、ヤクザは全然出てきませんでした。あと、最後の決戦(もどき)から後のグダグダぶりも結構ひどい。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2016-11-15 21:58:44) |
670. 宇宙人ポール
《ネタバレ》 主人公二人に魅力がないのが何とも致命的。オタクが宇宙人とめぐり会ってそこから大冒険の活躍、というからには、宇宙人とも一体化できるほどのハイパーオタクぶりを期待するわけですが、この二人は言葉でオタクと説明されているだけで、実際の言動は伴っていません。一方で、脇役が揃ってからはストーリーはまあまあの動きを見せており、コミック店でのやりとりのおかしさ、タラとの再会、ラストに登場する大ボスなど、終盤にかけては盛り上がりを見せるのですが、中盤までの退屈さはカバーしきれませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-07 00:34:42) |
671. ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン
《ネタバレ》 作中のニール・ショーンの台詞で、「単にYouTubeでアーネルを見つけたという話だけだったら、ここまで(の大成功のツアー)にはならなかった」という一言がありますが、この作品もまさにそのとおり。友人がアップした動画がたまたまメンバーの目にとまってスカウトされ、そのまま伝説のバンドのヴォーカルへ、という絵に描いたようなシンデレラサクセスも、あくまでも導入部にすぎません。カメラはその後も、ステージ、バックステージ、フィリピンの風景、ツアー中の何気ない光景などを地道に確実に積み重ね、その中で、一夜にしてスーパースターになってしまったアーネルの努力と苦悩を、そして周りの人達がそれをどう感じているかをあぶり出していきます。また、ジャーニーというバンドの歴史も短時間凝縮版ながらきちんとふれられており(90年代再結成以降も漏らしていないのも良い)、そこに新加入することの重みが伝わるようになっています。情報整理と編集と構築がきちんとされている、優れた音楽ドキュメンタリーです。●個人的にツボだったのは、ロス・ヴァロリー先生の渋い格好良さ、実はニール以上にバンド運営の中心っぽいジョナサン・ケインの静かな迫力、そして一瞬だけ登場するジェイソン・シェフとアン・ウィルソン。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-05 00:42:51) |
672. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
《ネタバレ》 エニグマを解読してめでたしめでたし、と思いきやそうではなくて、今度はその先に進んで、対策を立てれば解読に気づかれて、もっと大きな壁ができてしまう。また、解読した情報をどう扱うかによって、人の生死まで左右してしまう。その本質の問題に明確に踏み込んだところに、この作品の価値があります。また、戦後は不遇な扱いだった主人公の行く末まで、簡潔に凝縮しながらもきちんと押さえており、しかもそこで3本の時系列が収束する構成が、作品に立体性を与えています。●ベネディクトの演技は、興味対象以外には何の興味も持たないオタクぶりを的確に表現しており、充実しています。キーラ・ナイトレイは、お姫様系の顔立ちが災いして雰囲気から浮いており、ややミスキャスト気味。もっと地味な人にした方がよかったと思う。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-04 00:51:37) |
673. ヒット・パレード
歌や演奏をちりばめて華やかに賑やかに作ろうとした意図は分かりますが、それと脚本や演技がかみ合っていないので、勝手に盛り上がっているだけのように見えてしまうのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-31 01:33:32) |
674. ニック・オブ・タイム
《ネタバレ》 これは凄い、いきなり導入部からして、「まさかここでこの男女がデップをナンパするがごとく引っかけて、そのまま犯罪計画に利用ってことはないよね?」と思わせておいて、まさかまさかのそのまんま。その後も、コメディすれすれのボケとツッコミが随所で繰り広げられるのですが(これだったらむしろ、ローワン・アトキンソンとかジム・キャリー主演で見てみたかったと思うくらいだ)、結果としては、ジョン・バダムならではの90分一気に突っ走り攻撃で、なぜか結構はらはら見られてしまうという困った作品。焦点を一つだけに絞ったシンプルダイエットな作りが、魅力を高めているのだろう。やはり映画の足を引っ張るのは、内容の不足ではなくて、内容の過剰なのだ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-27 00:59:46) |
675. 理由なき反抗
別に不良なら不良でいいんですけど、どんな不良なのかが表現側できちんと定まっていないと、見ていても面白くないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-27 00:51:12) |
676. ディス/コネクト
《ネタバレ》 全体としては、4本の脈をうまく絡ませ、またそれでいて緊張感を切ることなく最後まで突入しており、したがって脚本の水準は優秀だと思います。ただし・・・扱われているのが、少年ポルノ、個人情報ハッキング、なりすましSNS(とそこからの性被害)と、それ自体がすでに犯罪とも呼ぶべきもので、ネット上じゃなかったってもちろんやってはいけない。そうすると、その犯罪から生じる問題をどうやって解決するかという点に重心が移ってしまい、原題(邦題も)から表れている、ネットでつながる人間関係そのものという問題意識が薄れてしまうのです。あと、最後は結局家族だよねというありがちな方向に収束していくのも、それ以外にはあまり思いつかないとはいえ、何となく安易。 [DVD(字幕)] 6点(2016-10-25 02:27:49) |
677. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)
《ネタバレ》 前半はとにかく雰囲気がのんびりしてて、殺人計画云々というスリルはほとんど感じられなくて・・・法廷シーンのあたりからは大きく盛り返してきますが、ラスト近くのたたみ込むような強引な展開で、元に戻ってしまいました。不倫倒叙犯罪系の源流としての意味はあるかもしれませんが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-18 02:13:44) |
678. キャプテン・フィリップス
《ネタバレ》 これだけの堂々たる貨物船を海賊が襲うというから、どうするのかと思っていたら、とにかく小舟で横付けして、梯子をかけて、登る。ただそれだけ。いや、言われてみればそれ以外にはないんですけど、その一点に絞った攻防で一気に見せ切る序盤戦。確かに一艘の小舟でしかないんだけど、貨物船側が武装していない以上は、いったん梯子を登られたらもう終わりなんだね。中盤では乗組員の機転といった知能戦の部分もあるが、後半では一転して米海軍の物量作戦と情報作戦が展開される。その際にも、余計な背景や説明をごちゃごちゃ入れず、何かがあると間髪入れず指示→即実行、を貫いているのが、作品の緊張感を維持しています。この手際の良さは誰だろうと思って脚本家を見たら、「ニュースの天才」や「アメリカを売った男」でもそういった頭脳的ドライブ感(?)を満喫させてくれたビリー・レイ。なるほどね。あと、交渉担当の人が、答えているようで実は何も答えていない(適当に嘘も混じっている)絶妙なやりとりをびしびしと決めてくれていて、なるほど事件進行中の交渉というのはこうするのかと参考になりました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-14 01:05:16)(良:1票) |
679. 踊るマハラジャ★NYへ行く
《ネタバレ》 マリサ・トメイのノリノリのボリウッドダンスが見られるというだけで、すでに大いなる意義のある作品。ヘザーちゃんの潔いポルノ女優っぷりも楽しい。コメディの部分は、設定上のギャップを押していけば、もっと笑いがとれたのではないか?という気はしますが。せっかくのオチの部分が割とあっさり過ぎている箇所も多く、ちょっともったいない。 [DVD(字幕)] 6点(2016-10-13 02:39:56) |
680. トゥルー・グリット
《ネタバレ》 特にひねっているわけではないストレートな復讐譚を、ここまで安定した運びで一気に見せ切る脚本の腕はさすが。ただ、あれこれ引っ張った割に、最後の復讐はほとんど「ただ撃ってるだけ」に近く、えらくあっさり終わってしまいました(メインはその後なのかもしれませんが、そうだとするとそれまでの運びからは浮いている)。ヘイリー・スタインフェルドは長台詞の応酬もなかなかの技術で乗り切っていますが、全体にどのシーンでも演技が一本調子なのが気になりました。ラビーフはもうちょっと若くて向こう見ずな感じの人の方がよかったかなあ、マット・デイモンだと雰囲気が安定しすぎです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-10 01:26:07)(良:1票) |