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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2594
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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681.  ザ・ムーン
人類が「冒険」をしなくなって久しい。「アポロ計画」は、人類が臨んだ最後の「冒険」となっているのではないかと思う。  1本のロケットもまともに打ち上げられなかった時代、「人類を月に送る」と宣言したJFKは、その計画に対しどれほどの「確信」があったのだろう。 作品の中でも語られているが、彼(JFK)は、ヒーローだったのか、夢想家だったのか、狡猾な政治家だったのか、そのすべてだったのか。 ただ何よりも重要なのは、大国の歴史的リーダーが、自国の威信と誇りをかけて「未知」へと進むための具体的なアクションを起こしたということだと思う。 失敗も成功も、何かをしなければ得られないわけで、すべてはJFKの宣言から始まったのだろう。  月へ向かった宇宙飛行士たちが語るアポロ計画の真実、そして「未知」を経験した価値。それぞれのコメントも実に印象深いものばかりだったが、それ以上に感じたことは、彼らの「目」の輝きだった。皆、80歳前後の老齢のはずだが、その目の輝きは、おそらくかつて月へ向かったかの日のままなのだろうと感じた。  莫大な予算を投じ、多くの犠牲もあった。しかし「冒険」の価値は、そのすべてを凌駕する。 有史以降、未知に向けてのチャレンジは、人類自体の成長そのものだったと思う。 即ち、人類としての「冒険」を止めてしまうことは、人類という「種」自体の退廃に直結する。  大偉業から40年。人類は再び、冒険に向かうべきではないか。 
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-25 22:02:02)(良:1票)
682.  トランスフォーマー
これほどまでに、「クソクソ面白いクソ映画」は観たことがない。(下品ですみません)  ストーリーなんてあって無いようなものという言い回しはよく聞くが、これほどまでその文句に相応しい映画もない。 そもそもの発端の設定から、主人公のキャラクター性、他のキャラクターたちの言動に至るまで、本来あるはずの整合性はほころびまくり、ただただブロックバスター映画としての“勢い”だけで突っ走る。  ただ、その“勢い”が馬鹿馬鹿しいまでに物凄い。  「トランスフォーマー」という玩具は、自分も幼少時によく遊んだおもちゃで、持っていたのは、戦闘機からロボットに変身(トランスフォーム)するタイプだった(今作の中では悪役……)。 自分が遊んでいた時には、漫画とかアニメとかは無かったと思う。 基本的に“一人遊び”が好きな子供だったので、一人好き勝手にストーリーを想像しつつ、「ドカーン」、「バキューン」と遊んでいた記憶が、沸々と蘇ってきた。  「物凄い」のは、誰しもがやっていたであろうそういう“一人遊び”のまさに延長線上に、この莫大な製作費によって生み出されたブロックバスター映画が存在するということだ。  ハリウッドを代表するいい大人たちが、よってたかって「子供の空想」を真剣に映像化するという試み。 「理屈」や「リアリティ」なんて言葉の意味すら知らないよ、と言わんばかりの怒濤の映像世界には、感嘆を通り越し、心底ほくそ笑んでしまう。  「なんて馬鹿馬鹿しい……」と思いつつ、これほどまで楽しめてしまうその要因は、ハリウッドでエンターテイメント映画を創り続ける重鎮たちの意地とプライド、そして偉大なる“永遠の子ども心”に他ならない。  子どもの頃に遊んでいた時、何を考えていたか全く思い出せない様に、この映画を観て「何かが残るか?」というと、何も残らない。“クソ映画”と吐き捨てても仕方あるまい。  ただし、圧倒的に「面白い」がね。
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-24 01:58:02)(良:2票)
683.  天使と悪魔
「教皇選挙(コンクラーベ)」の表裏で渦巻く思惑と陰謀。暗躍する秘密結社“イルミナティ”の存在。宗教と信仰で重ねられた歴史の中で埋もれてきた「謎」を解き明かすプロセスは、とても興味深く、未知の領域に引きずり込まれる感覚はエキサイティングだった。  映画作品としての前作「ダ・ヴィンチ・コード」は、キリスト教そのもののタブーをピンポイントでえぐり出しいた分、特に信者でない者にとっては、逆に今ひとつ衝撃性に欠ける部分があったというか、ピンとこなかった。 しかし、今作は宗教と信仰のもっと根本的な部分、即ち人間そのものの不完全さを物語の核心として描き出しているので、随分と移入しやすかったのではないかと思う。  宗教の歴史的な謎解きに留まらず、そこに「殺人」、更には「陰謀」という要素を絡め、一つの壮大なサスペンスへと昇華していく。 そしてその中で、信仰と科学の「対立」による軋轢と、そこから導き出される「融和」を巧みに描き出す。  原作を未読なので、例によってこの“映画化”が成功しているのかどうかということは、実際のところ判別できない。 ただし、“映画”単体としては、物凄く良い映画だと思ったし、純粋に楽しめた。  この映画を、文芸作品とか歴史作品などとして捉えることは間違いで、そんな見方をしては決して楽しめない。 この映画は、娯楽であり、崇高なエンターテイメント映画だと思う。  重厚でサスペンスフルな展開に身を委ね、バチカンの教会や彫刻の多さに感嘆し、ユアン・マクレガーのマルチぶりに賞賛を送りつつ、「結局、宗教って何なのだろう」と漠然と問う。そうやって楽しむ映画だ、と思う。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-16 00:46:35)
684.  バーン・アフター・リーディング 《ネタバレ》 
下世話な欲望の連鎖に、CIAの機密情報が絡んだらどうなるか? コーエン兄弟くらいしか思いつかないだろう題材を、どこまでも馬鹿馬鹿しく描いた映画だった。  シュールでブラックなユーモアセンスは、相変わらずのコーエン節で愉快だった。 ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、フランシス・マクドーマンド、ジョン・マルコビッチ、ティルダ・スウィントン、とアカデミー賞クラスの俳優をずらりと並べた豪華さは、強く興味深かったし、それぞれの俳優のアクの強い演技は流石だったと思う。 (特にブラッド・ピットの馬鹿野郎ぶりは、「ベンジャミン・バトン」を観た後だっただけに、殊更強烈だった)  しかし、そういう利点に相反して、映画としての魅力をあまり感じることができない。 馬鹿馬鹿しさの中にしっかりと“巧さ”のあるストーリーだけれど、面白くない。  その原因の一つとして、豪華な俳優を揃えたはいいが、それぞれの直接的な絡みが希薄であることがあげられると思う。 同シーンに存在はしているけど、台詞の掛け合いがあまりないので、巧い俳優それぞれが「独り相撲」をしている格好になっている。  結果として一番面白かったシーンは、スター俳優の登場しない、CIAの管理職同士のやり取りであった……。  キャスティングの段階で力を注ぎ過ぎてしまい、肝心の映画づくり自体に軽薄な印象を、観客に与えてしまったことは、残念。
[映画館(字幕)] 5点(2009-05-02 12:08:37)
685.  スラムドッグ$ミリオネア
クイズ番組が好きだ。  問題に答えるための「知識」は、自分がこれまでの人生の中で生み出した結晶で、クイズ番組はそれを確認できる一つの方法だからだ。  「知識」は、積極的な勉学の果てに得たものだろうが、偶然知り得たものであろうが、その価値は変わらないと思う。  自分だけのオリジナルの人生を経て、結果として“知っていた”ということ、それが最も重要なことだ。  そういう概念を根底に敷いて、スラム街に生まれ育った青年の一つの「運命」を、巧みな映画術で描き出した良い映画だったと思う。  前面的に描かれる“クイズショー”は、インドのスラム街の現状とそこに生きる子供たちの現実を如実に表現するための「縮図」で、出題される問題の一つ一つが、主人公の青年の人生にリンクしていく構成が見事だった。  当たり前の様にゴミ山の中を裸足で走り回り、当たり前の様に孤児になり、当たり前の様に物乞いをし、当たり前の様に犯罪に手を染めていく少年たちには、不思議なくらい陰惨さを感じない。 それは、彼らが自分たちが生きるその環境を「当たり前のこと」として受け入れ、生きる覚悟をしているから。  欺瞞に満ちたクイズショーで大金を手に入れることも「運命」。 銃弾を浴び札束で溢れたバスタブで果てることも「運命」。  そのさじ加減を一体誰が決められるというのだろうか。 
[映画館(字幕)] 7点(2009-04-28 23:58:40)(良:1票)
686.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
アメリカン・コミック映画は好きである。 スーパーヒーローや悪役たちの独特の「大味」さや、良い意味での設定の大雑把さは、“クオリティー”という円周を一周して、物凄く完成された“文化”だと思う。  ただ、日本の「漫画」がそうであるように、「アメコミ」も踏み込めば踏み込むほど、“マニア趣向”になっていき、価値観は多岐に広がり、必ずしも万人受けする類いのものではなくなってくると思う。  そう、スーパーヒーローたちの「陰」を徹底的に描いた今作、その異質さは素晴らしいと言えるが、必ずしも面白くはない。  一言で言うと、あまりに「スマートでない」ということを感じた。  さらに平たく表現するならば、“スーパーヒーロー”という宿命を持った者たちの、心の闇と葛藤をベースに、ウジウジウジウジと悩み、崩れ落ちていく様を描いた映画だ。  詰まるところ、爽快感とは程遠く、3時間近い長尺が進むにつれ、観ている方もどんどん滅入ってくる。  先に言ったように、アメコミ映画の本流に反するその異質さは良いと思う。 「正義」と「平和」を体現するスーパーヒーローたちが、その本質に疑問符を持ち、迷い、堕ちる様など、崇高な哲学性をも備えるテーマ性だと思う。  ただし、その描き方があまりにクドい。 主体となるキャラクターがあやふやなので、それぞれの俳優たちに華もないので、今ひとつ感情移入ができない。 そして、ウジウジ、クドクドと引っ張った挙げ句、それほど大した結論は得られない   この無情さ、邪道さが好きな人もいると思うし、ほんの少し映画の作り方が違っていれば、大好きな映画になっていたかもしれない。 ただ現実としては、オープニングだけでジューブンな映画だった。
[映画館(字幕)] 2点(2009-04-10 15:14:26)
687.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
「映画」が好きな人間にとって、「映画を観るということ」の価値は計り知れない。 それは理屈ではなくて、ただただシンプルに「好き」ということになると思う。  レンタルビデオの中身が消えてしまった。じゃあ自分たちで勝手にリメイクしてしまおう。予想外に面白かったから、また観たい! ストーリーの設定自体は強引すぎるほど強引で、リアリティなんてまるでない。 でも、その根本的な願望は、とてもシンプルで理解できる。  映画が好きだから、街が好きだから、店が好きだから、そうして作られた映画を、みんなで観て、共に泣き笑う。  そのささやか「幸福感」に感動する。
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-29 11:09:27)(良:2票)
688.  魔法にかけられて
劇場で予告編を観た時から、これはただのディズニー映画ではないし、ただのパロディー映画でもないなという直感はあった。  「メルヘンなおとぎ話」+「現実のNYでの恋人模様」=「今まで見たことのないラブコメ」という構図が、とても面白く、巧い。  もっと安直なアニメと実写映画のコラボレーションを想像していた。 しかし、物語は、メルヘンの世界から現実世界へ送り込まれたプリンセスの揺れ動く絶妙な心理描写と、理路整然と現実世界で生きるシングルファーザーの心理変化までを、とても丁寧に描き出している。  メルヘン世界に対する現実世界の厳しさや哀しさを描き出しつつ、常にファンタジー性やファニー感を保ち、最後には登場するキャラクターも観客も、すべてを“ハッピー”にさせてしまうストーリー展開に、ディズニー映画の強さとプライドを感じた。   現実世界の人生は、当然おとぎ話ではないから、嬉しい時、悲しい時に歌って踊ってなんていられない。 でも、だからこそ歌って踊ってみれば、人生は大きく変わるかもしれない。  ディズニーが真剣にディズニー映画のパロディーに挑んだ意味と答えは、そういうことなのではないかと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-25 15:42:54)(良:2票)
689.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
「エンドゲーム」公開に向けたMCU作品ミニマラソン二発目。 無論、MCU作品(映画作品に限る)はこれまで全作品鑑賞しているが、初めて鑑賞した作品は、「アイアンマン」ではなくこの「インクレディブル・ハルク」だった。 日本国内では、今作の方が「アイアンマン」よりも先に公開されてしまったため、そういう鑑賞順になってしまっている映画ファンは多いと思う。 当時は、MCUというクロスオーバー企画そのものの存在を認知していなかったので、エンドクレジット後のシークエンスで“トニー・スターク”ことロバート・ダウニー・Jrが登場してきてもピンとこず、今作自体に対するフラストレーションも手伝って、「ああ企画ものなんだ……」と揶揄的に捉えてしまった。  初鑑賞時もそうだったのだが、今作は、良作揃いのMCUの作品群の中では随一の“不出来”と言わざるを得ない。 初鑑賞時は、自分自身の勘違いもあったが、同キャラクターを描いた2003年の映画「ハルク」(アン・リー監督)の“続編”と認識してしまっていたこともあり、根本的な“違和感”を禁じ得なかった。 今回、MCUの一作品として再鑑賞してみても、その“違和感”は拭いきれなかった。その大きな原因は、ヒーローの「誕生」をきちんと描いていないことだと思う。 今作では、オープニングクレジットで、“ハルク”が誕生してしまった事件のあらましと、主要登場人物たちの苦悩の様がフラッシュバック的に“雑”に映し出される。 これが当初の自分の勘違いの通り、「続編」としてのオープニングであれば全然問題ないのだけれど、まったく別ベクトルのリブート作品で、しかも今後展開されるクロスオーバー企画の主要キャラを描き出す単独作品というのであれば、この手法にはあまりに愛がなく、作品単体として面白みに欠けてしまうことは必然だったと思える。  ブルース・バナーという辛辣な運命を背負った人間の描きこみが冒頭の時点から希薄なままストーリーが展開されるので、主演のエドワード・ノートンがいくら心痛な面持ちをしてみせたところで、今ひとつ感情移入ができない。 加えて、エドワード・ノートン演じる主人公本人もそうだが、リブ・タイラー演じるヒロイン、その父親で一応の悪役であるロス将軍(ウィリアム・ハート)も、言動の一つ一つが今ひとつ利口に見えないので、それぞれ一流の科学者だったり、軍の要人というキャラクター設定に説得力を感じることができなかった。  それと比較すると、「アベンジャーズ」以降でブルース・バナー(ハルク)を演じるマーク・ラファロのハマりぶりは見事で、少ない描写の中でしっかりとブルース・バナーという一人の人間と、ハルクという哀しいモンスターを演じきっていることは、改めて賞賛に値するなと思える。
[DVD(字幕)] 4点(2009-03-21 02:16:13)
690.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
実際にドイツ内部で起こったのヒトラー暗殺計画。  史実を基にした作品だけに、シリアスな緊迫性で迫っている点は良いと思う。 ただ、主演のトム・クルーズ率いるヒトラー暗殺を企てる反逆者サイドが“正義”であるという構図は、いささか安直であり、違うのではないかと思った。  詰まるところは、同国内でのクーデターであり、実際は善玉・悪玉と区別できる類いのことではない。 悲劇的な戦渦の中で、戦争を繰り広げる張本人たちに「正義」などあるわけがないという結論に個人的には帰着する。  そういう意味で、描かれる物語の重々しさほどには、映画としての価値はそれほど高くはないと思う。 もう少し史実における「ヒトラー暗殺計画」に関わった人間たちの群像を大河的に描き、事実に対して独自の視点で深く切り込んでみるような「挑戦」があれば、もっと深みのある良い映画になったのではないかと思う。  トム・クルーズは実在の伝説的将校を体現しようと頑張っていたと思うが、映画全体として彼のスター性に頼りきってしまったことで、他のキャラクターの人間性が見えてこなかったとも言える。 スター俳優としてのピークは越えたであろう彼が、今後どういう映画俳優へ転じていくか、一映画ファンとして見ていきたいもの。
[映画館(字幕)] 6点(2009-03-21 01:42:16)(良:2票)
691.  タロットカード殺人事件 《ネタバレ》 
永遠の“女好き”ウッディ・アレンが、新たなディーバとしてスカーレット・ヨハンソンを迎えた第二作。  連続殺人事件を追うという主題に反してコメディ要素たっぷりのストーリーテリングの中で、いかにヨハンソンを魅力的に映し撮るか、その部分に徹底的に心血を注いだウッディ・アレンは流石だ。 他の作品ではクールな役柄が多いスカーレット・ヨハンソンだが、そのセクシーさを保ちつつ、見事にコメディエンヌぶりを発揮していて、終始ニヤニヤしながら観てしまった。  邦題がいかになミステリ調なので、サスペンスフルな展開を期待していると肩すかしをくってしまうだろうが、ウッディ・アレンという監督を知っている人であれば、相変わらずの調子に安心感を覚えつつ、良い意味で終始“のんき”に楽しめる作品だった。  ヨハンソン演じる主人公に終始振り回されながら、大事なところであっさりあの世いきしていしまう道化的な役割を自らに当て込むあたりにも、ウッディ・アレン独特のらしさと、コメディ作家としてのある意味でのプライドを感じられた。 もう80歳近い高齢のはずだが、これからも楽しい映画をつくり続けてほしいものだ。  スカーレット・ヨハンソンの魅力に酔い、ウッディ・アレンのユーモアを心ゆくまで堪能する。そういう愛すべき映画だと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2009-02-22 13:07:16)
692.  7つの贈り物 《ネタバレ》 
主人公のベンは、見ず知らずの他人7人に対し、“ある計画”の上で各人の運命を変える“贈り物”を与えていく。 主人公を演じるウィル・スミスの瞳の中に在る決して消えることのない“愁い”が、とても印象的な映画だった。  主人公の「行為」が本質的な意味で正しいかどうか、それを判断することはとても難しい。 別の方法を選択すべきだったとも思うし、本人にとってはそれ以外無かったという決断も理解できる。  自らの中で膨張する思いに耐えきれず、断固たる意志のもとに下した"決意”は、その正当性を度外視して、心が揺さぶられる。 そして、その一連の行動の中で、残酷にも恋に落ち、愛の元で最後のプロセスを実行する様に、涙が溢れた。  この映画は、観客それぞれの価値観において、大いに是非が分かれると思う。 ただ僕は、一人の男がひたすらに苦悩し、不器用で愚かな決断をする姿に、人間の人間らしい部分を感じずにはいられなかった。 物語の美徳的な部分ではなく、そういう人間の不完全さを目の前にし、感動した。
[映画館(字幕)] 7点(2009-02-21 20:19:02)(良:1票)
693.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生
人生は、いつ終わるか誰にも分からず、故に果てしないからこそ、希望に溢れ、素晴らしいのだと思う。 老いた状態で生まれ落ち、次第に若返っていくという男の数奇な人生は、同時に明確な“終わり”を常に意識し、感じ続けなければならない過酷過ぎる人生だったと思う。  その過酷さが、イコール悲劇では決してないのだけれど、彼が携えるどこまでいっても拭いきれない「悲哀」に胸が詰まり、その彼を愛した女の人生に涙腺が緩んだ。  とても長い映画ではあるが、その尺の長さは、主人公の人生を生い立ちから描く上で必要なもので、終盤になるほど序盤の一つ一つの描写がとても効果的に効いてくる。 ついには、映画の終わりと共に、主人公の人生が潰えてしまうという必然すらも、悲しくなってくる。  皺だらけの老人から、どんどん若返り美しくなっていくブラッド・ピットの様は、ファンの女性にはたまらなかっただろうし、演技の質もとても高かった。 ただ個人的にもっとインパクトが大きかったのは、ケイト・ブランシェットの女優としての美しさと巧さ。 可憐な10代の少女を演じたかと思えば、死を間近にする老婆に転じる。圧倒的なその“女優力”は、もはや「現役最高女優」と言って過言でないだろう。  この映画は、決して短絡的に、面白かった、悲しかった、楽しかったとは言えない。 様々な感情が常に混ざり合って展開し、誰にも平等に存在する「死」へと向かっていく映画だ。 それは、決して悲劇的な意味ではなくて、その揺るがない部分こそ人生の面白さであり、素晴らしさであろう。 そういうことを、とても奇妙な一生を送った男と、その男を愛した女の「人生」の中で、ユニークに、しっかりと描いた作品だと思う。 
[映画館(字幕)] 8点(2009-02-11 23:13:37)(良:2票)
694.  カポーティ
人物の伝記映画は、観るタイミングが難しい。 創られたエンターテイメント性が期待できないことと、描かれる「事実」に対する鑑賞者の知識量が、観賞後の感想に多分に影響してくるからだ。  フィリップ・シーモア・ホフマンという決して派手さのない俳優を主演に配し、アカデミー主演男優賞まで穫ってしまったことは、映画ファンとして興味深く、随分前から観たいと思っていた。 しかし、描かれる人物“トルーマン・カポーティ”に対する知識がほとんど無かったことが、食指を鈍らせていた。  カポーティ本人がどんな人物かは知らないが、映画世界の中で独特の人物像を創り上げ体現していた主演俳優の演技は、賞に値するものだったと思う。 全編通して、作品自体にも質の高さを感じたし、あまり抑揚がないテンポで展開しつつも、観る者を巧く引き込む語り口を備えていた。  ただし、もう少し主人公であるカポーティの心情を深く描きとる必要があったかもしれない。 主演俳優は独特のキャラクターの中で絶妙に押し殺した感情を表現できていたと思うが、描写自体がどこか軽薄な感じがあり、感情を移入することがあまり出来なかったことも事実。  カポーティという作家が、残虐な殺人事件を題材に書き上げたノンフィクション小説「冷血」。 そのタイトルが示すものは、殺人を犯した犯人のそれなのか、はたまた本を書くために事件とその犯人を冷静に見つめ続けた作家のそれななのか。  そういうことを考えると、単純に感情移入を許さず、その人物の本質を各々に見出すための余白を残した映画であるとも言える。
[DVD(字幕)] 6点(2009-02-01 11:10:04)
695.  ハリウッドランド 《ネタバレ》 
レンタル店の“ミステリー”にジャンル分けされていた今作。 もちろん、ハリウッドで実際に起こった俳優の自殺事件と、その真相を明らかにしようとするプロセスを描いている以上、そのジャンル分けは間違ってはいないと思う。  ただし、この映画の面白さは、謎が解明される顛末にあるわけではない。 往年のハリウッドのきらびやかさと、その裏に確実に広がっていた「闇」を、綿密なディディールの中で描いたところに、その醍醐味はあると思う。  ヒーロースターの死の謎を、しがない私立探偵が運命的に追い求める。 メイキングの中の言葉の通り、「人の人生を追うことで、自分の人生を見つめ直す」映画であると思う。  華やかな銀幕の世界の裏側に隠された深い闇。 それは必ずしも「犯罪」に直結するものばかりではなく、俳優をはじめとする映画に関わるすべての人間に確実に潜む“心の中の闇”であったのだと思う。  「光」は「闇」があるからこそ初めて成立する。その避けられない現実の皮肉を、ミステリーという娯楽性によって巧みに彩ってみせた作品だと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2009-01-25 10:58:36)
696.  007/慰めの報酬
ダニエル・クレイグが“ジェームズ・ボンド”に扮する新007シリーズの第二作目。 前作「カジノ・ロワイヤル」の完成度がとても高かったので、必然的に続編への期待は高まっていた。 そしてもって、今作「慰めの報酬」も極めて完成度の高いエンターテイメントだった。「賞賛」に値する。  やはり、ダニエル・クレイグが良い。 ショーン・コネリーやロジャー・ムーアが演じた往年の「007シリーズ」に愛着がある世代にとっては、無骨でスマートさがないクレイブのボンド像は、お気に召さないという評価も聞く。 が、敢えて「未完成」のジェームズ・ボンドを描き直し、そこにダニエル・クレイグというワイルドさと危うさを秘めた俳優を配したことは、一つの趣向として圧倒的に正しい。  そして、そこにはこれまでのシリーズにはなかったシリアスさとリアリティがある。  「殺しのライセンス」というものが実際にあったとして、それを与えられる者に絶対的に必要なことは、「自らの感情をひたすらに抑えつける」ということだろう。 ただし、そんなことが端から出来る人間などいるわけがない。たとえいたとしても、そんな人間は“ヒーロー”として決して魅力的でないと思う。  “ライセンス”を与えられ、そこに求められる“絶対性”を極限の状態で徐々に越えていくプロセスこそ、クレイブが演じるこの“007”シリーズの醍醐味であり、これまでのシリーズにはない魅力だと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-25 02:49:03)
697.  庭から昇ったロケット雲
志半ばで退役し、農夫となった元宇宙飛行士が、自ら作り上げた“ロケット”で宇宙への夢を追い続ける物語。  まったく。こういう映画を見過ごしそうになるから、おそろしい。  農場の納屋でコツコツと作ったお手製ロケットで、単身宇宙へ飛び立つ。 ストーリー自体はあまりに荒唐無稽で、現実味はないかもしれない。 ただ、観点を変えれば、「映画が荒唐無稽で何が悪い」ということ。  愛すべき家族に支えられ、自分の夢を実現させていく主人公の様は、決して人間として完璧で、力強いというわけではないのだけれど、観る者に正真正銘の「勇気」を与えてくれる。  この作品は、必ずしも「夢」に対する綺麗ごとばかりを描き連ねてはいない。 父親の自殺という過去、権力の妨害、金銭的な障壁、家族間での確執……、多くの人が人生の局面で味わう苦渋をしっかりと描いている。  ただし、その代わりに、「美しいもの」はきっちり美しく描いている。  冒頭のシーンから一貫して、丁寧に美しく映し出される「空」がそれを如実に物語っていると思う。 「空」は、宇宙を夢見る主人公にとって、常に目線の先にあるものだ。 その広大さ、美しさ、をワンカット、ワンカットで描き出す素晴らしさ。それを見た瞬間に、「ああ、これは良い映画だ」と感じた。   クライマックス、再挑戦のロケットが空高くのぼっていく。 それをすべての人たちが、喜びと、興奮で仰ぎ見る。  僕は、感動して、涙が出た。それ以上に何が必要か。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-30 11:27:36)
698.  潜水服は蝶の夢を見る
この映画を観ていてふいに、「美しい」と思った。 描かれる物語は「現実」であって、決して綺麗ごとだけでは済まされない内容なのだけれど、それでもやはり「美しい」と思った。  人生を謳歌する最中、突然あらゆるものからシャットアウトされてしった苦悩。 古めかしい潜水服を着せられ、海中深くに沈み込んでいくような閉ざされた世界の中で、それでも生きていこうとする人間の根本的な強さに、心を掴まれる。  左目の瞬きだけで意志を伝え、本を書き上げるという途方も無い営みの中で、彼が見出したものこそ、「人生」の美しさの本質なのだと思う。  とにかく映し出される「光」が美しい。 その光の美しさが、悲しみを和らげ、幸福感へと昇華させる。  映画というものは、あらゆる意味で「光」だと思う。 今作のような美しい「光」を見せる作品こそ、映画のあるべき姿なのだと思う。 世界は見えている以上に美しいということを、ビジュアルのそれ以上に伝える映画だ。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-23 23:35:10)(良:1票)
699.  ワールド・オブ・ライズ
中東を主舞台とした“対テロ戦争”における情報戦を描いた今作。 敵を欺き、ある時は味方さえも欺き、生と死の狭間での戦いは、決して安直な派手さはなく、その痛々しさのみが様々な側面で突き刺さる。  それは、この映画が今この瞬間も繰り広げられている「現実」の一側面を描いているからに他ならないと思う。  ディカプリオ演じる主人公が、自らの命をさらしながらも感じ続ける葛藤。 それは、“対テロ”の名の下に突き進めるこの「戦争」が、果たして正真正銘の「正義」なのかということに他ならない。  「異文化」への排除行為の先にあるものは決して「平和」などではなく、愚かしく、絶え間なく続く「報復」の螺旋である。 ということを、痛々しく見せつけてくる作品だった。   それにしても、リドリー・スコット監督作品は、「アメリカン・ギャングスター」に続き今年2本目である。 時間を空けず、これほどの骨太な大作映画を連発してくるこの巨匠のパワーに感嘆する。
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-23 18:56:48)
700.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
「ハムナプトラ」シリーズは、好きなアクション娯楽映画で、7年ぶりの続編は本来なら映画館で観ようと思っていたのだけれど、理由があり躊躇してしまった。  躊躇した理由は、二つある。  一つは、監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わってしまったこと。  製作資金さえ豊富ならアクション映画の監督なんて誰がやっても大差ないなんて思われがちだが、娯楽センスというものは確実にあって、作り手の性質によって作品の出来不出来は大きく左右される。 今作のロブ・コーエン監督がそれほど悪いとは思わない。そこそこバランスのとれた娯楽性を展開してくれたと思うが、やはりこのシリーズではスティーブン・ソマーズ監督の大胆さと小気味良さが見たかったと思う。  二つ目は、過去二作でヒロインを演じたレイチェル・ワイズが出演しなかったこと。  もはや彼女も大女優の一人なので、出演交渉は簡単ではなかっただろう。 が、個人的にはこのシリーズの出演からレイチェル・ワイズという女優を知り、その後の出演映画を見てファンになった経緯があるので、是非今作にも出てほしかったものだ。 彼女が出演していれば、映画としての質が格段に上がっていたことは間違いないと思う。  という二つの大きなマイナス要素はあるものの、それなりに楽しめた映画ではあった。 これはこのシリーズ自体が持つ独特の娯楽性の高さと、ブレンダン・フレイザーの良い意味で「大味」な存在感がマッチしているからだろう。  「インディ・ジョーンズ」シリーズと比べたりすると怒られるかもしれないが、どこまでお金をかけても“B級映画”的なノリが抜けないこの「ハムナプトラ」シリーズの方が、個人的には好きだったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2008-12-23 09:39:05)(良:2票)
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