61. エスター
《ネタバレ》 観よう観ようと思いつつも微妙な尺の作品なので、鑑賞作品(ホラー系)を選ぶ度に手頃な尺の作品を観てしまっていた私。それもこれも本作が「ホラー」であると認識していたからで、今回やっと意を決して?観てみれば一番の感想は「ホラーじゃないじゃん!」でした。確かにWikiとかでホラーの定義を参照すれば本作は紛れもないホラー映画なんでしょうけれど、あくまでも個人的カテゴライズでは「サイコサスペンス」なんです。もっとも、「ホラー」「サスペンス」「スリラー」の境界なんてものは元々無いに等しいような気もしますが。 などと意味のない拘りで書き始めてしまいましたが、「ホラーじゃないじゃん!」の趣旨は「恐くないじゃん!」でして、それは決して「つまらないじゃん!」ではありません。実に楽しく鑑賞出来ました。これだけの有名作ながらネタバレ記事を回避し続けて来たことも功を奏したようで、肝心要の種明かしは今回の鑑賞で初見でした。 斬新なアイディアとは言えないでしょう。しかし、それを巧みに包み隠しつつしっかり伏線は張る。そして見事にその演出を生かし切ったイザベルさんの怪演。称賛されて然るべき出来栄えだと思います。 子どもの持つコワさを見せつつ、実は本当にコワいのは大人というお話。登場する子どもたちは皆子ども然としています。子どものコワさは無邪気にも通じるある種の清らかさであって、大人の濁り切って垢まみれのコワさとは本質的に違うもの。エスターのコワさが子どものソレから大人のソレに転じる流れが素晴らしかった。 少々しつこいような演出や多くの皆さんが指摘しているラストシーンの良し悪し等々、気になるところは少なからずありますが、約2時間飽きることなく楽しませてくれた作品にほぼ8点の7点献上します。 ちなみに、少々変化球気味の原題よりもさりげない邦題の方が良いかと思います。原題は、せめて不定冠詞を付けて欲しいところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-05-13 11:24:27)(良:2票) |
62. ハウス・シャーク
《ネタバレ》 ひさびさにサメのトンデモ映画を観て大笑いしたかったのですが、大いに選択ミスをしてしまいました。ひさびさに「オレの時間を返せ!」的な怒りの気持ちと「貴重な人生のひとときを何でこれに費やしてしまったのか?!」的な後悔の念に苛まれてしまいました。 それでも冒頭のサービスカットに期待感が湧き、下ネタの連発に下品ながら大笑いの予感。登場するサメの上半身とヒレと下半身が別パーツ感のチープさにホッコリし…決して悪い雰囲気ではなかったのですが、兎に角流れがダルい。尺が長い。下ネタが微妙にズレてる。登場人物のキャラがキモい。サメ退治の作戦がウケない。ほぼ全面的にダメでした。図らずもチョットだけ笑ってしまうカットがあったので最低点ではなく2点献上します。 マジで「2」を作りたい感マル出しのエンディングとエンドロール後のオマケカットですが、仮に「2」が出来ても観ないだろうなぁ。否、欲望に負けて観ちゃうのかなぁ…。 [インターネット(字幕)] 2点(2024-05-08 20:45:06) |
63. クロノス 記憶の転送
《ネタバレ》 主人公のクロノスは所謂マッドサイエンティストなのでしょう。自らの記憶の刷新に拘泥していますがその理由は不明。クロノスが施設に送り込んだタナトスは同じくマッドサイエンティスト的なキャラクターながら理性を維持している存在。クロノスの暴走をタナトスは阻止しようとして排除されてしまう訳ですが、二人の関係性が不明瞭。 そして実験に失敗して記憶を失ったクロノスが何故か酒を飲めば何とかなると思いつき酒屋に行くという謎の流れ。更にそこに登場する物語のキーマン、というほどでもないけれど重要な役割を負う酒の密売人オグ。このキャラが何にせよウザい。何でクロノスに粉骨砕身して協力するのか不明。住処が欲しいだけ?それにしちゃ重労働。足が不自由なのに。 更には謎の兄弟とか登場して最早カオス。そもそも他人の記憶を吸収して再構築と言ったって一人分だって大変だろうに死体を何体使ったことか。そんな膨大な情報量を詰め込めばおかしくもなりますよ。それにしちゃ思い出シーンが貧弱ですが。 神話由来と思しき登場人物のネーミングもまた謎です。作り手は何らかの意図を持って採用したのでしょうけれど。 一言で言わせていただければ「取っ散らかってアイディア倒れした作品」です。肝心のアイディア自体も決して斬新とは言えず、限りなく1点に近い2点献上です。 [インターネット(字幕)] 2点(2024-05-07 14:04:34) |
64. サラリーマン・バトル・ロワイアル
《ネタバレ》 何やら既視感のあるシチュエーション。箱様の建物でもなく、地下室でもなく、離れ小島でもなく…鉄壁の要塞化したオフィスビルが舞台のサバイバル。 出勤したらいつになく厳重なセキュリティチェック。そこで気付けよ!と思う間もなく一気に軟禁状態に。お約束のように響き渡る天の声。否、この場合悪魔の囁きか。既視感あります。 悪い冗談かと思いきや早速見せしめの如き犠牲者が。しかも狙撃ならぬ自爆死。埋め込まれたチップは超小型爆弾なのね。これまた既視感。 正直なところ誰が誰だか区別が付きにくい状況で死亡フラグが連立して行く。そしてお約束どおりに裏切り者が登場。 などなど、全編通じて(エンディングも含む)既視感のオンパレードです。が、だからこその面白さもある訳でして、スピーディな展開、誰が死んでも不思議ではない状況(実際、流石に「え?死んじゃうの?」的な人物も)、決して退屈することなどなく一気に楽しめました。 とは言え、(実際の予定は知りませんが)シリーズ化に向けて意欲満々的なエンディングはどうかなと。本作限りで完結!という意気込みを感じたかったというのが正直な感想です。 ちなみに、邦題はストレートですね。必ずしも「バトル・ロワイアル」しているとも思えませんが。少々内容が分かりにくい原題の方が、謎めいていて良いような気がします。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-05-04 16:39:13) |
65. ウェザリング
《ネタバレ》 ヒロインを襲う不気味な影。その正体は?というのが本作のキモな訳ですが、クライマックスのプールのシーンまで自然に引っ張るのには脚本的にも演出的にも難しかったと思います。 結局、襲われている状況は彼女の妄想ということでしょう。かと言って自傷行為を伴った錯乱状態ではなく、負ったはずの顔の傷も実は存在しないということのようです。 丁寧に仕上げられたショートフィルムだと思います。ヒロインの熱演にも好感。ただ、ハッピーエンドで終わるのは良いのですが、あたかも憑き物が落ちたかのように一気に解決してしまうところがあっけないと言うか、短編故の宿命と言うか。S.キングばりの救いようのないエンディングは求めませんが、ちょっとあっけなかったような気がしないでもなく、迷いつつ高めの7点献上させていただきます。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-05-04 16:24:30) |
66. 美しい湖の底
《ネタバレ》 時間逆行型の手法を用いた作品を鑑賞するのは初めてではありませんが、一度観た限りでは何かしっくりと来ず全体像もボヤけたまま。もう一度見直して漸く了解した感じです。私の理解力が乏しいだけなのか?? 一見物語的には見応えのある感がするものの、仮に時間を逆行させずに描いたならば特に意外性がある訳でもなく、一番まともそうな人物が実は一番悪党でしたという一種王道的なミステリー。それを時間を逆行させて種明かしをしていく演出と、随所に挿し込まれるコメディテイストによって観る者を惹き込む作品に仕上げたという点で作り手を称賛すべきかなと思うところです。 ただ、それにしても少々描き込みは足りないように思えます。エドが自らの子と思っていた子どもが実は…という意外な事実を用意しつつ、その子どもがどういう経過で爆発事故に巻き込まれたのか、ステファニーとジークは何故エドが子どもを殺したと言っているのか、また判事の弱みのテープの件もサラっとしすぎているような。 短めの尺の中であれもこれも入れ込むことは、かえって作品の魅力を損なってしまうことになるのかも知れませんが、もう少し丁寧な描き込みが欲しかったと思うところです。 さらっと観るには面白い作品。ミステリーとしての深みが欲しいという方にはお薦めしにくい作品。6点献上します。 ちなみに、保安官の姪・サリー役のイザベル・ダヴという子役さんがとても可愛らしかったです。その後の出演作が見当たらないのが残念。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-05-04 00:01:24) |
67. クリニカル
《ネタバレ》 終盤に至るまで何が真実なのかが上手く包み隠されていて、ミステリー要素やホラー要素を備えた見応えのある心理サスペンスだと思いました。ヒロインのPTSD、謎めいた男アレックスのPTSD、それぞれの過去が交錯する作りは、そこそこ強引ではあるものの十分練られていると思えます。 ただ、肝心のヒロインに今ひとつ感情移入出来ません。精神科医療のメソッドに詳しい訳ではないので良く解らないところですが、患者に対してのどうにも強引で指導者然とした態度には疑問ばかり感じてしまいました。そのくせ自らの弱点は認めようとしない。その結果、気が付けば再び酷い目に遭っている。そもそも原因はアナタにあるんじゃない?ぐらいに思えてしまいました。 結局一番可哀そうなのはノラ。そして巻き添え食って殺されてしまった恋人や友人、知人。ラストシーン、アレックスの死体を見る彼女は何も考えていないように思えて仕方ないのは私だけでしょうか?直後に流れるクリスマスソングが何とも空虚でした。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-05-01 14:55:15) |
68. 最終絶叫計画5
《ネタバレ》 ひさびさに鑑賞しました、「絶叫計画」シリーズ。 下品です。相変わらず下品。下品の極み。でも笑ってしまう。最後まで観てしまう。笑ってしまった段階で作り手の術中にはまってしまっているのですね、多分。 各シーンがどの作品のパロディなのかぐらいを考え、他は何も考えずに暇つぶしするには最適の作品。テーマとかは無いに等しいし考える必要もないでしょう。 そうは言いつつも、この手のおおよそ邦画ではあり得ないタイプのお下劣な作品は実のところ大好物。ですが、子ども(とりわけ赤ちゃん)乱暴扱い表現はやっちゃいかんという自分なりのポリシーみたいなものはあるので、その分減点して5点分笑わせていただきました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-04-26 13:52:09) |
69. クリープ
《ネタバレ》 POV作品も随分と増えました。本作は後発作品と言って良いでしょう。それにしては捻りがないのです。どこまでも直球勝負。思わせぶりな凶器が開始間もなく登場。思ったとおりそれが凶器、というのもストレート過ぎる気がします。 早い段階でジョセフの異常性が明らかになり、その時点で何となく結末が見えてしまう作品。それが何よりストレート。どんでん返しが欲しかった。アーロンも撮影が終わり帰ろうとしたまでは良かったものの、ジョセフの執拗な誘いを断れずに一杯飲んでしまったところで「あーあ」という感じ。クルマのキーを失った段階で死亡フラグが立ちあがり始め、アンジェラの電話を信じなかった段階でフラグ確定。そのあたりもストレートに過ぎるところです。 決して退屈などしないで集中して観ることが出来たのにも関わらす満足感は伴わない。勿体なさを感じる作品でした。 それにしても被害者の多いこと。ビデオ時代からDVD時代まで。一体何本(何人分)「トロフィー」があるのやら。隠してるなよ、アンジェラ!というのが最終的な感想です。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-04-26 12:08:11) |
70. ラヴレース
《ネタバレ》 物語の舞台となっている70年代初頭の空気感が丁寧に描かれていますね。2013年の作品とは思えない出来栄えです。件の作品「ディープ・スロート」をリアルタイムで観た訳ではありませんが、後年になってボカシダラケの同作をつまみ食い的に見た記憶が蘇りました。 同作はアイディア一発のコメディ作品。本国での大ヒットで本邦でもかなり名を馳せたものですが、では名作か?と問われれば、変化球的ポルノ映画の先駆者というところに留まるのではないかと。正直、申し訳ないような気がしますが、主演のリンダ・ラヴ・レースについての記憶は容姿も含め全くありません。 なので、観る前は、ライトなコメディ調ポルノに出演して好き勝手に演じていた(そもそも演じていない?)女優の人生?そりゃ誰にだって波乱万丈の人生はあり得るだろうけれど、あのハチャメチャなコメディ調ポルノに出てたぐらいだから…などと思っていました。 しかし、それだけに観終わった後は重かった。ズシンと来る重みがありました。しかも54歳という私よりもずっと若くして事故死していたとは。正直、全く知りませんでした。 世間知らずのままに男にいい様に利用され、なまじ有名になったことで逃げ出すことも出来ずに消耗しきってしまった彼女。夫を始めとする様々な魔手から逃れた後、持ち前の反骨心を発揮して反ポルノの旗手的な生き方に転じた彼女。夫と子どもとの生活はそれまでの彼女の人生に空いてしまった空洞をどのくらい埋めることが出来たのでしょうか? 考えさせられることの多い佳作でした。もう少し彼女の人柄を知るためのエピソードが描かれても良かったのでは?との思いが残り、8点寄りの7点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-23 14:28:36) |
71. ディアボリカル
《ネタバレ》 予備知識なしに鑑賞したので、単なるお化け屋敷モノと思って観ていたら実はSFだったということで結構意外性がありました。ところが、改めてポスターや予告編を見てみたら「SFタイムトリップホラー」とか「邪悪さは時を超えて」とかのキャッチフレーズ。先に知っていたら印象は違っていたかも。 タイムトリップに関わる研究施設から発せられる電磁エネルギー?の延長線上に主人公の家が位置しているがために、未来から送られて来た男が夜となく昼となく現れる。怪人の正体は彼ら。未来の囚人が実験台になっているようで、現れるのは3人。しかもそのうちの一人は主人公の愛息。 息子は幼いながらカッとなると暴力に走るタイプで、友だちを怪我させて学校(児童相談所?)が経過観察中。タイムトリップの実験台になっているのだから、将来は暴力事件でも起こして収監されているのでしょうか?でも、自分の母親を傷付けるほどに狂暴なのかなと思えないでもなく、母親が大怪我しながらも息子に添い寝して未来に飛ぶ理由が今ひとつハッキリしないような。 アイディアとビジュアル的には決して悪くはないし、観ていて面白くないということもないのですが、少しばかり設定に無理があると言うか詰めが甘いと言うか、SF作品を標榜するのであればもっと理詰めの展開が欲しかったところです。なので5点献上に留めます。 ちなみに、原題は「不愉快な」とか「鬱陶しい」とか「極悪非道」という意味だと思うのですが、内容とマッチしていないような? [インターネット(字幕)] 5点(2024-04-20 00:31:13) |
72. 一分間タイムマシン(2014)
あまりに短い尺なのでネタバレなしにします。アイディア一発(誉め言葉です)のウィットに富んだ小粋な小品。たった5分余りの短な尺とは思えない濃さを味わえました。作り手のセンスの良さが光る佳作。ピンポイントで好みの作品に9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-04-17 14:06:11) |
73. スーパーヒーロームービー!! 最'笑'超人列伝
《ネタバレ》 ホントっにくだらない!コッテコテに下品!道徳観も倫理観もあったもんじゃない!なのに最高に面白い!ひさびさにこの手のアメリカンコメディを鑑賞しました。 パロディとしてもかなりのハイレベルだと思います。勿論下品にハイレベルですが。でも、これ自体面白いのに元ネタを思い浮かべると重ねて面白いという二重の楽しさ。 そして御大レスリー・ニールセン様の存在感。本作出演の2年ほど後に他界されてしまいましたが、まだまだ楽しませていただきたかったという思いが10年以上を経た今でも湧いて来ます。この人が出て来るだけで、下品でも不道徳でも何だか許せてしまったりもします。 人の命を軽く扱い過ぎることとか、実在の有名人物を揶揄したり死なせたりとか、諸手を挙げて称賛は出来かねますし、アメリカはこれって許されるの?訴訟社会じゃないの?とか心配になったり恐くなったりもしますが、何せこの手の下ネタ&ブラックユーモアが大好物なので思い切って8点献上です。あぁ面白かった。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-04-09 22:30:22) |
74. search #サーチ2
前作を観た時、確かに面白いけれど柳の下に二匹目は居ないだろうなと思ってしまった私。撤回します。甘かった。これは前作を凌ぐと言っても決して過言ではない面白さ。と言うか前作以上にスリリングで意外性に富んだ素晴らしい脚本ですね。数々の伏線も漏らさずキッチリ回収。脱帽ものでした。 前作を観た時、喋ってる分の字幕とPCのディスプレイに表示されている英語の訳文が横書き縦書き乱れ飛び、目が疲れて大変だったので今回は吹替え版で観てみたのですが、私のような英語不得手な方には吹替え版をお勧めします。それでも理解力が衰えつつあるお年頃の私、リプレイしないと追い付けない場面もあったりして。なので、個人的には毎回入れ替えの昨今の映画館では鑑賞不適な作品とも言えそうです。 次作があるかどうかの情報を知らないのですが、前作と今作ではスタッフが巧みにローテーションしてこの出来栄え。是非是非再度の チャレンジを望むところです。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-04-06 19:24:51) |
75. ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結
《ネタバレ》 遅れ馳せながら鑑賞。前作と比べて少なめのレビューながら、良い点もそうじゃない点も概ね皆さんに語り尽くされた感がありますね。私は肯定派、支持派です。思いっきり楽しませていただきました。 いきなりでまさかの精鋭部隊?捨て駒作戦、キッチリ始末したと思ったら実は味方だったというブラックジョーク、サメやらネズミやらイタチやら動物たちの大活躍(サメはハイブリッドだしイタチは活躍の予感だけですがw)、レトロでサイケなラスボスの大暴れ、前作同様ハーレイ・クインの魅力爆発等々、やや長尺にも関わらず中だるみ皆無でラストまで惹き付けられっぱなしの上にエンドロールにはオマケが2個。良い意味でおなか一杯になりました。まさに「ゴチソウ」でした。 強いて言わせていただければ、トリ馬鹿のワタクシ的には冒頭の小鳥ちゃん受難(後で仇討ちしてもらえるけど)と少し後の鳥カゴ放火シーンがNGですが、人の命を思いっ切り軽視している本作では全く聞いてもらえない意見ですね。 次回作やスピンオフに期待せずにはいられない快作に9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-04-05 11:32:06)(良:3票) |
76. シェイプ・オブ・ウォーター
《ネタバレ》 公開から早6年余り。気になっていながら何故か縁がなく、遅れ馳せながらアマプラにて鑑賞しました。そして、そのタイムラグがあってこそ、尚更に現代的な愛が語られる大人のファンタジーとして受け止めました。 全編を通じてフィルターの如くヒロインを覆う緑色。そこに落とし込まれる血の赤、映画館のドアの赤、終盤になって変化するヒロインのカチューシャ(ヘアバンド?)の赤、ラストシーンのヒロインのオーバーコートの赤。更には異形の生物の発する青い光。それぞれに象徴的な色使いの妙ですね。 そして、これもまた全編を通じて細密に描かれる60年代。それは背景であったり大道具小道具であったり映像であったり音楽であったり家族の風景であったり。作り手の拘りの極みと言ったところでしょうか。勿論そこにも象徴的な意味合いがそれぞれに込められている。 異形の生物(個人的には塩水の矛盾はあるものの「半魚人」というより「半両生類」と感じましたが)の造形も素晴らしく、異形でありながら深い人間性が込められ、所作も含め表情豊かに演じられているところには感動すら覚えました。 最初から最後まで大人のファンタジー、大人版「美女と野獣」或いは「人魚姫」として世相を反映しつつ語られる純愛の物語。傑作と称して間違いない作品に9点献上します。 1点マイナスの理由?ラスボス的存在の権力の象徴たる元帥閣下が、無傷のままに物語が終わったことがあまりに現実的でやるせなかったというところでしょうか。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-04-03 16:25:38)(良:1票) |
77. ドント・ウォーリー・ダーリン
《ネタバレ》 色鮮やかな映像、レトロで垂涎モノのクルマ、そしてキュートなヒロイン。幻想部分も含め、視覚的には申し分のない出来栄えですね。 その中で繰り広げられる華やかさの中に不穏な空気が常に漂う物語。中盤から何となく仕掛けが見えてしまう些か使い古された感のある物語ではありますが、大きく破綻することもなく練り上げられていて、個人的には好物分野(サイコサスペンスとか不条理系スリラー)に近い味わいのある作品とも受け取ることが出来、大いに魅力を感じました。 ただ、それならばかなりの高評価?と自らに問いかけてみるものの何か釈然としない。女性に係る社会問題的要素が見え隠れするもののメインテーマとして明確に主張されていないからなのか。ヒロインの行動や言動が尺が長い割には拙速だったり唐突だったりしているからなのか。理路整然と纏め上げるのではなく、もっと不条理な世界観に向かって欲しいと期待してしまったからなのか…。 確かに魅力的、惹き付けられる作品でしたが、総じてみればある意味古典的と言えないこともないSF作品(ジャンルに足したいところですが足すとネタバレになっちゃいますね)なのかなとも思え、個人的にはあと一歩驚愕の展開が欲しかった非常に惜しい作品でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-04-01 12:08:47)(良:1票) |
78. ビッグフットVSメガロドン
《ネタバレ》 全編通じての(少し前の)ビデオゲームレベルのCGと時折り挿し込まれる実写映像によって構成されるSF作品。と言っても、恐らくはかなりの低予算作品と思われ、CG部分は台詞だけ変えた繰り返しが目立ちますし(てかシツコイ)、僅かな実写部分もフリー素材っぽい感じです。ただ、見れないレベルかと言えばそうでもなく、案外普通に鑑賞してしまいました。 台詞が矢鱈に多いですね。もっともらしく難しい理屈を並べているような部分も多いのですが、よくよく考えれば大したことないものを小難しく理屈っぽく言ってるだけのような気がしないでもありません。否、多分そうです。 また、そんなへ理屈台詞の合間合間、カリ王女とヘルシングとの子作り談義に始まり、何かと下ネタを挿し込むあたりは、作り手としては遊び心とかコメディ的演出なのかも知れませんが要らない気がしてなりません。 何より邦題も原題そのままというタイトル。確かにビッグフット(小柄過ぎるし単なるゴリラのようでもあるし)とメガロドン(メガロドンじゃないし)が出ますが、両者が正面から戦うこともなく看板倒れのような。本サイトのカテゴリに「サメ映画」があったとしても、本作は該当しないような気がしないでもありません。 特に加点要素も見出せず、1点献上に留めたいと思います。 [インターネット(字幕)] 1点(2024-03-31 12:23:36) |
79. オンマ/呪縛
《ネタバレ》 確かにホラーとしての要素を備えた作品ですが、個人的には殆ど恐さを感じませんでした。 主演のサンドラ・オーさんの熱演、主人公の電気アレルギーによる電気のない生活がもたらす終始暗い画面、オンマの亡霊が現れる場面で用いられるジャンプスケアと、恐さの演出には事欠かない作品でありながら恐くないのです。 郊外の一軒家がオドロオドロしくなく寧ろ牧歌的な雰囲気であったり、娘クリス役のファイヴェル・スチュワートさんの素朴な可愛らしさ、母娘の唯一の友人であるダニー役のダーモット・マローニーさんの柔和で包容力十分な雰囲気等々が、恐さを打ち消しているようにも思えますが、何より作品全体がホラーと言うよりも主人公が過去の呪縛から脱して娘と前向きに生きて行くことを決意するまでに至るヒューマンストーリーだからなのかも知れません。 確かにオンマの亡霊は登場し、いくつかの霊障ももたらす訳ですが、それらの存在感よりも主人公の胸に刻まれた苦しさや悲しみの方が常に前面に押し出されている感じです。ただし、十分に表現されているかといえば多少なりとも物足りなさを感じてしまいますが。 結果、ホラー作品として観るならば極めて平均的な出来栄えだと思いますし、ヒューマンドラマとしてはホラー要素が盛り込まれた分弱くなっていることと、主人公の過去や韓国のお国柄についての説明不足を感じてしまいました。 サンドラさんの熱演の分を加点しても5点献上が妥当かなと思う次第です。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-03-31 11:49:35) |
80. マスターズ・オブ・ホラー(2018)
《ネタバレ》 現実なのか異世界なのかハッキリとしない謎めいた映画館。無人の客席。突如映し出される自らの姿と将来。設定と仕掛けは斬新とまでは言えないまでも大いに魅力的です。 五人五様の作風はそれぞれに特徴的で魅力的。テーマを異にしたショートストーリーは、深みこそ感じないものの楽しめました。特にどれが気に入ったということもなければ特にどれがダメということもなく、上手い具合にセレクト出来たな、という感じです。 強いて言えば、謎の映写技師としてミッキー・ロークさんが登場しますが、ストーリーテラーでもなければ死神や悪魔的存在と言う訳でもない。何人かは殺してしまっているようにも見えますが、少しばかり存在感強過ぎの感が無きにしも非ず。もっと不気味で得体の知れない存在として登場した方が良かったのでは?ガタイが良過ぎる人を選んでしまったような。 とは言え、映画でも小説でもこの種のアンソロジーは好物なので甘めの7点献上です。 ちなみに、邦題は監督への賛辞的な意味でしょうか?原題の方が良いかと。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-31 10:27:50) |