Menu
 > レビュワー
 > アンドレ・タカシ さんの口コミ一覧。4ページ目
アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546474849
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546474849
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
414243444546474849
>> カレンダー表示
>> 通常表示
61.  ミシシッピー・バーニング 《ネタバレ》 
タイトル通り、たくさん燃えてました。人種差別を扱った映画の中でも、かなり強烈な部類に入る作品です。組織的な暴力で黒人を迫害するKKKに対し、官憲が大掛かりな捕り物を行う。実話が元になっている作品のようですが、一度はこういう「戦争」をやらないと、差別の大勢は変わらなかったのだと思います。 凶悪な差別描写と並行して、性格と方法論が異なる二人の捜査官の対立と協調が映画的な面白さを担保しています。問題を提起する社会派作品でありながら、エンタテイメントとしても一級品。映画の醍醐味が味わえる逸品だと思います。 劇中、南部に住む人は「差別」を教えられて育つと語られます。「差別」と「イジメ」の違いは、歴史的な背景の有無だと思いました。歪んだ教育は未来への禍根になります。横道に逸れますが、現在の東アジアの情勢を見ていて、歪んだ教育の愚に思い至ります。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-08-14 18:24:44)(良:1票)
62.  終戦のエンペラー 《ネタバレ》 
とても良いものを見させて貰いました。昭和天皇の戦争責任を巡って、当時の日本の国民性・精神性が検証されます。信奉するもののために従順にも凶暴にもなれる国民という所見によって、占領政策の大綱が建設的な方向で進んだことが分かります。日本国民にとって、昭和天皇が好戦的な方で無かったことは周知の事実かも知れないけれど、法廷的な意味での証拠を挙げるとなると簡単では無い。フィクションも入っているはずなので正確なところは分かりませんが、開戦の責任では無く、終戦への寄与で立場が安置される決着は納得し易かったです。それらの方針決定に、GHQの親日家が尽力したことは初めて知りました。 本作のクライマックスは昭和天皇とマッカーサーの会談です。その内容に感動している自分に少し驚きました。「占領」の事実しか窺えない例の写真を見るたびに、やはりどこか悔しい想いがあったのだと思います。これからは、違った視線で見られる気がします。 細かいことだけど、教科書には載らないような描写で自分のなかの「戦後」が肉付けされました。A級戦犯を特定した過程、GHQの高官でも皇居には立ち入れなかったこと、昭和天皇・マッカーサー会談のために踏まれた手順、などです。近衛文麿の言葉で戦争責任の根底にある欺瞞にもチクリと棘を刺します。内容の濃い映画だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2013-08-06 01:37:29)(良:1票)
63.  スターリングラード(2001) 《ネタバレ》 
二次大戦の局地戦を舞台とした狙撃手のお話。ジュード・ロウとエド・ハリスのガチンコが醸す緊迫感がとても良かったです。 狙撃手の一騎打ちが、まるでアムロとシャアの戦闘のように戦場の趨勢を決するような描き方は眉唾ですが、横軸にも見どころがたくさんありました。それは多くを見た記憶がないロシア軍の描写です。実際のところは分かりませんが、とてもそれらしく酷い軍隊でした。一挺の銃を5人で使い回す。銃を持つ兵士が死んだら、その後ろにいる手ブラの二人目が銃を持つ。二人目が死んだら三人目。さすが、資本を共用する社会主義国家らしい戦法でした。統制の基盤が「恐怖」というあたりもそれっぽい。民兵的な女性兵士も本作のように多かったのでしょうか? フルシチョフさんは歴史の教科書で習った横顔とは違っていました。偉そうに語る言葉はすべて個人的な都合の言い換えです。それは主人公の友人(=ジョセフ・ファインズ)も同様でした。嫌らしい見え方ですが、生身の人間らしいとも言える。その友人の最期の挺身には少し違和感がありましたけど。 そんな中で最も私の脳裏の残っているのは、レイチェル・ワイズの真っ白で大きなお尻です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-06-29 00:09:03)
64.  ガタカ 《ネタバレ》 
遺伝子情報が個人の特定だけでは無く、個人の資質に決定的な評価を下す近未来社会。その評価は、劇中でも語られるように「差別」として機能する。その「差別」に抗い夢を実現しようとする主人公の前に、殺人捜査のストレスが「差別」を代弁してのしかかる。サスペンスとして見応えのある一本でした。 ただ、本作は下半身不随の遺伝子情報提供者を外して語れないと思います。夢の陰陽を見せる意味で必要な設定だったことは分かります。彼のような不運が無くとも、叶わない夢の方が多いのが現実の世の中ですから。だからこそ、率直に彼には死んで欲しくなかった。人は夢から希望をもらうと同時に絶望ももらいます。ルートを閉ざされた夢はもろ刃の剣となってその人を苛みます。でも、ひとつの夢が唯一絶対ではないはずです。ベタなストーリーになったとしても、彼には主人公のサポートを通して新たな生き甲斐を見つけて欲しかったです。身近にハンディを負った友人を持つ者の感想です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-01 00:34:05)(良:2票)
65.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
タイムトラベル的な要素があるけど、SFではなくファンタジーです。全体がマイルドに、温かくまとめられています。その雰囲気に包まれ、とても楽しい時間を過ごしました。 パリが最も輝いていた(と主人公が思っている)時代の芸術家たちがゾロゾロと出てきます。美術的知識が乏しい私でさえ、名前くらいは知っている人ばかり。そして、みなさんとても個性的。彼らのアクの強さが可愛いく思えるのは過去の人として評価が定着しているからでしょう。本作は、そんな芸術家たちが集った街としてパリを捉えています。時間を越えてそこを訪れる主人公と、パリの空気感の中に息づく芸術家たちとの交流が愉快で刺激的。「芸術の都」の美術品めぐりではなく芸術家めぐり。その構成が秀逸です。 懐古に対する皮肉もチクリと効かせます。芸術は常に現在進行形の葛藤の中から生まれて来たということです。でも、そんなお題目がテーマということでは無く、単純にパリを魅力的に見せたい映画だったという印象が残りました。冒頭のパリのスナップが情緒に満ちています。特に演出されなくても絵になるところに、改めて感心した次第です。 NY以外は認めない人だと思っていたウデイ・アレンは、その反動なのか、このところは〝世界いい街発見〞で楽しんでいるようです。日本も撮って欲しいです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-21 13:05:26)(良:2票)
66.  遠い空の向こうに 《ネタバレ》 
損得なしに何かに打ち込めることは若者の特権で、その熱意と経験の浅さのギャップがドラマになります。いわゆる青春映画です。本作は、打ち込んだ興味の対象を人生の突破口にしたことでさらに一歩踏み込んだ作品でした。 ロケットを高く遠くへ飛ばすという単純な目的の根元にあるのは、未知への憧れです。それが、閉塞した環境で地中を掘り進む仕事と対照的に描かれる。主人公は逡巡した末に、ロケットを取ります。ロケットが飛ぶ先には空があり、さらにその先には宇宙があります。漠然とした対象であっても、そこに抱く憧れが希望にカタチを変える。その化学変化に尊さを覚えます。好きなことを人生に反映させられるほど、幸せなことはないでしょう。憧れは追及されるために存在します。 ガンコ親父との関係も感動を誘いますが、というか、本来はそこが見せどころだと思いますが、元天文少年の私には宇宙を目指すことだけでお腹いっぱいでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-06 13:20:50)
67.  わたしを離さないで 《ネタバレ》 
大きな嘘をひとつかまして世界観を構築するのがSFだと思います。本作は「もしも、臓器提供だけを目的に生を受けたクローンがいたら」と云うことですが、それでは足りない。「もしも、臓器提供で死ぬことに疑問を持たない教育を施されたクローンがいたら」からスタートしているSFでした。似たような設定にも見える「アイランド」などとは全く違う種類の映画で、静謐なテーマを掲げていると思います。 29歳で余命1年と99歳で余命1年の違いは分かり易い。でも、29歳で余命1年と10歳で余命20年の違いは直ぐに実感できません。本作は、それを表現しようとした映画だったと思います。若くして死を受け入れた少年少女が、少しでも長く生きたいと願うのはどんな時か。それは大切な人が出来た時でした。すでに2回の「提供」を経た後で、本来の鞘に納まるようにお互いを認識した二人は「延長」を申請します。死を受け入れている彼らは逃げたりしませんが、その状態を少しでも長く享受しようとするのでした。「生」への執着とは、生きているうちに何をするかと云うことより、その状態を少しでも持続させたいと願うこと。まぁ、そんな理屈より、この哀しさの深さにやられました。 原作は未読ですが、優れた作品であることが容易に想像できました。さらに、映像化による工夫も見て取れました。終始、日が射さない風景を連ねて重たい宿命を暗示します。砂浜に打ち上げられた難破船も同様。潮さえ満ちれば漕ぎ出すことも叶うけど、その海に潮が満ちることは無い。閉塞した状況描写の中にテーマを語る、稀有なSF映画だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-01-13 02:25:36)(良:2票)
68.  天使にラブ・ソングを・・・ 《ネタバレ》 
公開時に観た時はウーピーの奇天烈キャラが修道院を改革して行くような印象だったけど、改めて観ると彼女はとても常識的な人でした。ウーピーの生き方や言動は修道院の習慣とは相容れないものですが、彼女が殊更に反抗的な態度を取っている訳ではありません。思ったことを正直に言うので誤解を受けやすいタイプではあるけれど、それが良い意味での刺激となって周囲に影響を与え、ポジティブな波動となって拡がって行く。修道女たちが仲間として認め、頑固な院長も認め、街の人達も認め、ローマ法王も認める。自己実現理論では高次に位置付けされる承認欲求が次々に満たされる訳で、この格別の心地良さは学説も支持しております。自身が認められるだけでは無く、周囲が変化して行く環境に身を置くことは楽しく刺激的でもあります。さらに、その多くを歌の力で実現させるところが本作の醍醐味だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2013-01-13 00:30:20)(良:1票)
69.  ナインスゲート 《ネタバレ》 
核心には到達しないストーリーですが、雰囲気だけで高得点を付けてしまうくらい好きな作品です。悪魔とはどんな存在なのか? 9つ目の門の先には何があるのか? 主人公は選ばれた人だったのだろうか? 妖しく光る女の目が、興味を掻き立ててくれます。超自然的な匂いを現実味のある描写のなかに散りばめるポランスキーの語り口が好きです。個人的にはジョニー・デップのベスト3に入ります。ちょっと癖のあるフツーの人。彼はこういう作品が似合うと思っています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-24 01:16:02)
70.  ローズマリーの赤ちゃん
真綿で首を絞められて行くような緊迫感がスリリングで、とても見応えがありました。派手な描写は無いけど、立派なオカルトです。安易に驚かせるような映像を排し、細かな記号を積み重ねて恐怖を煽って行くロマン・ポランスキーの語り口が秀逸です。20代前半のミア・ファロー、こんなに綺麗な人だったんだと改めて感心しました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-12 22:58:49)
71.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
子供の頃、12月8日前後に民放がよく放送していて何度も観た作品です。太平洋戦争の戦端となった真珠湾奇襲に至る経緯とその攻撃が大きな流れで描かれる。日本側に関しては、陸軍と海軍の方針の違い、山本五十六の姿勢、南雲中将の弱腰、宣戦布告の通達遅れなどが主に描写される。米国側は概して危機管理の甘さが指摘されるような描写になっている。あくまで概要描写だが、記録映画として意義があると思う。 しかし、何と言っても圧巻は真珠湾攻撃シーンである。実際に多くの偽装ゼロ戦を編隊飛行させ、低空から雷撃させる。CGを使っていないと云う事より、その標的になった側から、ゼロ戦がどのように見えていたのかが明確に分かるアングルがこの上なくリアルに映る。離陸途中に撃墜される戦闘機を始め、多くの航空機を爆発・炎上させていて、その業火から逃げる米兵役者の恐れもリアルに伝わって来る。アメリカのスタントパイロットが操縦したらしいが、開戦当時は世界一と言われていた日本の海軍航空隊の操縦技術の高さを、合作とは言えアメリカ側が再現したことには驚きさえ覚える。黎明の空をバックに、シルエットのゼロ戦が空母から発艦して行くシーンは厳かな美しさを湛えており、数ある戦争映画の中でも屈指の名シーンだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-11-19 00:18:51)(良:2票)
72.  スミス都へ行く 《ネタバレ》 
タイトルから田舎のおのぼりさんの都会見物話かと思っていました。そして、確かにそんな描写もあるのですが、原題は「都」ではなくワシントン。「政界」へ行く、というのが正しい理解でした。 現在でも地元の経済的な実力者と政治家が絡むのは普通にある風景でしょう。その癒着を暴き、対決するストーリーですが、本作の特色は、主人公が政治の理想に燃えあがっていること。ワシントンにあるリンカーン像などを象徴的に使って、民主主義の志を高らかに謳います。 主人公は青臭い奴ですが、度を越えると清々しさに変わる。その熱意が見応えになって、最初は厄介者扱いをしていた秘書と同様に、主人公を応援してしまう。 製作年度は二次大戦が始まったとされる年。後に戦争状態となる日独と較べ、彼の国が浴している「自由」の意義と責任の再確認でもあったと思います。キャプラ監督の作品は綺麗ごとが多くてあまり好きでは無く、本作も都合の良い締め方なのですが、シンプルな構成は観ていて力が入ったので高評価です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-27 22:11:17)(良:1票)
73.  プロメテウス 《ネタバレ》 
「エイリアン」では背景でしかなかった異形の宇宙船と化石化した異星人にプロフィールが与えられた。なぜエイリアンの卵が積まれていたのか、それをどのように使うつもりだったのか。それが徐々に明らかになって来るに連れて、人類の起源なんてどうでも良くなって行きました。その宣伝文句に魅かれて観た人には不満が残る内容かもしれないけれど、自分には永年の疑問が解消してスッキリした気分です。リドリー・スコットが作るSFの世界観は、厚みと色気があってとても魅力的でした。謎の宇宙船の中味はもちろんだけど、それ以外にも「エイリアン」と似たシチュエーションが多用されていて、たぶん意識してやっているのだと思います。当時の技術では出来なかったことをやり直しているような印象を受けました。生き残った女性のモノローグで終わるあたりにニヤリとします。登場人物たちに安易な行動が見られることが残念だけど、それを差し引いてもこれほど先の読めない映画は珍しく、終始ワクワクしながらスクリーンに見入りました。シャーリーズ・セロンの人工物のような美しさが異彩を放っていました。それだけに、彼女の最期は残念でしたね。
[映画館(字幕)] 8点(2012-08-25 00:44:02)
74.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
ここに投稿してから他の方々のレビューを読んで、大きな勘違いに気が付きました。ラストで執事のアルフレッドが見たブルース・ウェインは彼の願望が見せた「幻影」と思い込んでいました。主人公の生死を取り違えて長いレビューを書いてしまったので、書き直す元気なし。評価だけは5点から8点に変更。
[映画館(字幕)] 8点(2012-08-01 00:58:53)(良:1票)
75.  グラディエーター
ラッセル・クロウ=闘う男。その象徴的な作品。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-08 03:31:21)
76.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 
CSで145分の「ディレクターズ・カット版」を観ました。快作でした。中盤、ストーリー展開にやや漫然を覚え、どこに辿り着くのか見えなくなりました。なんだかんだと、さほど結束が固い仲間とも思えない悪党ども。でも、女を抱いてスッキリしたら「さあ、行こうか」とばかりに銃を携え仲間の救出へ向かう。このシーン、4人が横に並んで歩み出すカットが衝撃的にカッコいい。痺れます。あのワンカットだけでも観た価値を感じる西部劇です。エンディングで爺さんがソートソンへ向けた「昔どおりとは行かんが、面白いぞ」という台詞がテーマだったと思います。枠に囚われない自由な精神を描いた作品です。さらにラストカット。馬上で歩み去る老境の悪党の後姿にエンドロールが重なり、そのストップモーションが小さくなって「THE END」が被さります。彼らが生きた時代を惜しみ、敬意を持って映像化したという印象でした。大げさですが、近代化へアンチテーゼだと思いました。流れに逆らうことの意義を訴えています。キャプテン・ハーロックが好きな人にはオススメです。サム・ペキンパーはバイオレンスシーンのスローモーション描写を特筆される監督さんですが、本作で初めてその真髄を見せてもらいました。ちなみに、最後の銃撃戦の前にアーネスト・ボーグナインが一人だけ、戸外で待ってるのが可笑しかったです。早いのか、ダメなのか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-21 21:11:59)
77.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
「1」はファミリーの内実と代替わりを描いた。本作は、その前とその後の時代を交互に見せる。勢力を伸ばして行くドン・コルレオーネと、苦悩するマイケルが対比される。この二人の違いは何なのかと考える。時代の違いなのか、仕事内容の違いなのか、人間の器の違いなのか。家族=ファミリーを守りたいと思う気持ちは共通していたはずだけど、最後はその家族までも自らの手にかけるマイケル。二人の能力の差と言ってしまうのは簡単だけど、私は組織体の盛衰の本質を見る思いでした。時代の流れに自分の目的を添わせ組織を大きくしたドン・コルレオーネと、巨大化した組織の維持を優先せざるを得なかったマイケル。時代の移り変わりは、その流れに乗っている者に有利に働く訳で、よほど上手く代謝できない限りは廃れて行きます。突飛な例えかも知れないけど、マイケルの世代は高度成長を経た後の日本の大手家電メーカーに似ていると思います。日本のメーカーが技術力で後れを取ったとは思わないけど、後発の韓国企業に業績で抜かれてしまいました。背負うものを持たずに次の事だけを考えられる組織が時代に適合し、牽引する勢いを持つと云うことだと思います。日本企業の断末魔に似た人員整理とマイケルの苦悩のリストラが被ります。本作は1974年の製作ですが、今さらながら「組織と人」という点において多くの啓示を持った作品だったのだと思います。まだ若いデ・ニーロは、この時すでに名優でした。マーロン・ブランドに似せた口の周りの演技と表情としゃがれた声。顔の骨格は違っても、それらしく見えるところが凄いです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-09 21:53:08)
78.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
オリジナルより良かったと思います。西部劇特有の荒削りな感じを残しながらも、随所に繊細な演出が盛り込まれる。コーエン兄弟もオーソドックな作品が撮れるのねと、妙に感心しました。きっと西部劇が好きなのだと思います。ほぼオリジナルと同じ構成だけど、カットしてあるところもあれば、伸ばしてあるところもある。その匙加減が巧妙で、オリジナルの良さを損なわずに面白さを上乗せしている印象です。オリジナルはラストの無謀とも思える撃ち合いで「トルゥー・グリッド=真の勇気」を象徴していたようでもありましたが、本作はメインキャラ三名の三様の勇気を表現しているように見えました。マティの挫けない意志の強さはオリジナル通り。最初はその真っ直ぐすぎる姿勢に反感を持っていたラ・ビーフもやがて彼女を認めます。そのシーンが印象に残っていて、反感を持っていた年端も行かぬ少女を認める姿勢もひとつの勇気なのだと思います。コグバーンの勇気は4名を相手にした撃ち合いではなく、毒蛇に噛まれたマティを抱えて夜通し走るところに感じました。勇気というよりガッツかな。復讐譚ではありますが、見どころいっぱいで満足しました。マティを演じるヘイリー・スタインフェルドの、女優歴の浅さを感じさせない堂々とした演技に感心。蒼井優と宮沢りえをミックスしたような容姿で親近感が湧きます。ジェフ・ブリッジスはオリジナルのジョン・ウェインとスネーク・プリスキン(「NY1997」のカート・ラッセル)のミックスでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-04 01:38:28)
79.  シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム 《ネタバレ》 
前作より面白かったです。モリアーティの手強さ、ワトソンとの絆、ゲストキャラの魅力など、見どころがたくさんあって、アクションの凝り方も含めて良くまとまっています。前作では、過去の常識を破るような武闘派のホームズ&ワトソン像に違和感も覚えたのですが、そのキャラを定着させたうえで、深化させています。個人的には、ホームズとワトソンの関係を楽しむ映画かなと思いました。劇中、ホームズが唯一センチメンタルな佇まいを見せるのがワトソンの結婚式。友人が結婚したからと言って関係が途切れる訳では無いのですが、それ以前とは違った距離感が出来るものです。それは結婚した方より、残された側が気を遣って作る距離感だと思う。その寂しげなホームズに共感してしまいました。ひとり残された、という感じがとても良く演出されている。ちなみに、本作を楽しむポイントは、フツーはそこではありません。まぁ、結婚式後も奥さんを含めて思いっきり事件に巻き込むんですけどね。ラストシーンは粋な演出で続編があることを匂わせてくれました。最近のこの種の作品は三部作で完結させる慣習になってきたようです。楽しみです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-24 17:32:03)
80.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 《ネタバレ》 
ちょっと横道から入りますが、私は「レイダース」は高く評価しているけど「魔宮の伝説」は駄作と思っています。何が違うのかは私には明確で、主人公を始めとしたキャラクターの魅力を紐解きながら謎を追いかけて行くアドベンチャーとして極めて良くまとまっている「レイダース」に対して、「魔宮の伝説」はただ騒いでいるシーンの連続に見えるんです。活劇部分が嘘臭く見えるのも「魔宮の伝説」を評価しない点です。で、私にとっての本作は「レイダース」を観た時の興奮がリバイバルしました。冒険ものらしいスピーディな舞台の転換に初見のキャラクターの説明と個性をシンクロさせるバランスが絶妙です。ひと昔前の正義漢って感じのタンタンを正道に置いたうえで、ハドック船長とスノーウィの人柄(犬柄)とスピリットで存分に楽しませてくれる。アニメ作品のキャラクターはアカデミー助演賞の候補にならないんですかね。CGアニメは何でも出来てしまう手法ですが、リアルとハッタリの表現を使い分けて興奮させてくれるは演出はスピルバーグの真骨頂でしょう。モロッコの街でサイドカーのアクセルを全開にするシーンは、聖櫃をめぐってナチスの軍用車を馬で追うインディアナ・ジョーンズにオーバーラップして体温が上がりました。アクションだけが面白ければ良いって訳ではない冒険活劇の、原点的な面白さを存分に楽しませてもらいました。
[映画館(字幕)] 8点(2011-12-14 20:49:36)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS