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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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921.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
この映画のすばらしいところは、SFとしてのアイデアがぜんぜん凝縮されていないことにあります。タイムトラベルを題材にする場合、どうしても過去や未来にまたがった壮大な話を思いつくもんです。その際には誰もが知ってる大事件に巻き込まれたり、歴史上の人物に遭遇することでタイムトラベルの興を高めるものですが、本作においてタイムトラベルはあくまで手段にすぎず、「うちの親は若い頃何やってたんだ?」という人類普遍のテーマこそが本質なのです。これはコロンブスの卵というか、「その手があったか!」って感じですね。自分と同じ年頃の親だなんて、誰だって気になるでしょ。「うちの父親はケンカが強くて勉強もできたって言うけど、そんなの信じられる?」「母親は若い頃は美人だったって言うけど、それは本当なのか?」。親の方が自分より優れててもイヤだし、かと言って若い頃の親が惨めでもイヤだし。それにそれに、若い頃の親が自分を見るとどう思うのか?気になりますよ。やっぱり俺のこと気に入ってくれるのか?って。もう想像が止まりません。私なんて、これを見終わると必ず昔の親と自分が出会ったらどうなるんだって考えてしまいますね。人類はこれまで多くの物語を生み出してきましたけど、そんな楽しみを与えてくれるお話は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」以外にはありません。「2」「3」ではよりSF的な方向へと話が広がっていくので、私はダンゼン「1」を支持します。これほどの大ヒット作であるにも関わらず現在に至るまで類似作すら存在しないことからも、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がオンリーワンな傑作であることがわかります。
8点(2004-09-24 01:51:01)(良:3票)
922.  スター・ウォーズ
至って単純明快、場合によっては「幼稚だ」と切って捨てられるタイプの作品でもあります。しかしあらためて鑑賞すると、この映画の作りはダテではないことに気付かされます。 本作のキャラクターには過不足がなく、どのキャラクターも活き活きしています。冒険に目覚める純朴な青年、青年を導く人格者の老人、お調子者のお供二人、愛すべきならず者とその相棒、勝気なお姫様、、、冒険物語においては定番中の定番の布陣なのですが、奇をてらっていない分、キャラクター造形には高いレベルが求められます。特にC-3POにあたるキャラクターは時に冒険の足を引っ張り、観客から嫌われかねない難しいポジションなのですが(ジャージャー・ビンクスは完全に嫌われましたね)、ルーカスはこれをほぼ完璧に作り上げています。ダテ男(死語?)のハン・ソロも一歩間違えればダサダサ人間になる可能性があったものの、ルーカスの脚本とハリソン・フォードという俳優によって狙い通りのキャラクターに。各キャラクターがこれほどまでにポジション通りの機能を果たしている作品は滅多にありません。また、物語も王道ど真ん中ですが、王道だからこそシェフの腕がモロに試される難しい素材。これを期待通りに仕上げてみせた腕前は評価に値します。そして何より凄いのが世界観の構築で、見る度に新たな発見があり、続編やスピンオフ小説を山ほど作れるほどの基礎をこれ一本で作り上げています。当初より想定されていた裏設定から後付けの話までいろいろあるのでしょうが、ともかく続編を5本も作って綺麗につながる物語となっていることには驚かされます。ルークの口からオビワンの名前を聞いた瞬間、オーウェンおじさんとベルおばさんが怪訝な表情をするところ、R2-D2を見た瞬間、オビワンが遠い目をするところなどは、30年も後に製作されたEPⅢと綺麗につながるのですから大したものです。  【2018/6/29 追記】 新作『ハン・ソロ』公開にあたり、設定年代の近い本作と『ローグワン』を再度鑑賞してみました。 優秀なクリエイター達により量産される新作で目が肥えてしまったためか、あらためて見返すと展開は鈍重で、見せ場にも目を奪われませんでした。40年も前の映画なので仕方のないこととは言え、シリーズへの新規ファンの参入を妨げているのは本作の存在ではないかという気もしてきました。 また、後のシリーズで明かされるスカイウォーカーの家系図については、本作の時点ではまったく構想がなく、後付けの設定でしかなかったんだろうという点も気になりました。特にレイアの妹設定は本作のドラマの流れとはまったく整合しておらず、それどころか妹設定を念頭に置いて見るとなかなか気持ち悪いことになっており、この後付け設定は失敗だったと思います。同じく、ベイダー=ルークの父=オビワンの親友という設定を念頭に置くと整合しない会話もいくつかあって、ルーカスはもうちょっとうまく後付け設定を付け加えればよかったのにと思いました。 他方で、今回の鑑賞で気づいた良さもありました。明るく楽しいSF大作のようでいて、人の死をちゃんと描かれています。帝国軍に襲われたオーウェンおじさんとベルおばさんの死体がバーンと出てきて、それでルークは危険な冒険に出る決意をしたり、ヤヴィンの戦いでも撃墜される瞬間にパイロットの断末魔の様を見せて、ただでさえ少ない味方がさらに減ったということを観客に見せて危機感を煽ったりと、人の死という重大なイベントとドラマの進行をうまくリンクさせているのです。現在に至ってもこういう丁寧な映画はなかなかないなと感心させられました。
[DVD(吹替)] 7点(2004-09-23 22:41:24)(良:3票)
923.  ネメシス4
主人公の女サイボーグをやってるスー・プライスさんは女性のボディビルダーか何かだと思うんですけど、筋肉だらけのとんでもない体格をしてます。顔も、女だてらにドルやシュワに負けないほどゴツゴツしてて、何か悪い薬でもやってる感じです。そんな化け物な彼女ですけど、またよく全裸になるんです。全裸で車から出て来たり、全裸で人を待ってたり(街角で)、全裸で長話をじっくり聞いてたり。全裸でなくても基本的には上着を1枚着てるだけで、パンツもブラもズボンつけずに街をウロウロしてました。シュワやスタのように80年代には裸がユニフォームだった方々も多くいますけど、その女版だと解釈すべきなんでしょうか。それにしてもパンツぐらい履かせてやれよって感じですけど。さらに乳首から必殺の針が出てくるなど、さすがサイボ-グ!な描写もあり。しかしそこまでのサービスにも関わらず、恐ろしいまでに欲情させないのはさすがプライスさん。男にはエロさを微塵も感じさせず、かと言って女から「スー・プライスさんって裸になってもいやらしくないよね」などと言われるような代物でもなし。「男子中学生でも興奮しねぇよ」なんて思って見てると、学ランみたいな服来た同僚サイボーグ(男)が彼女を助けにやってきました。出会って早々に2人は男女の行為をはじめるんですけど(サイボーグ同士で)、さすがプライスさん。彼女は1枚限りの上着を脱いですぐに全裸になるのですが、学ランサイボーグは男なのに裸にならないんですよ。裸どころか、上着を1枚脱ぐだけという学ランサイボーグ(田代まさしみたいな髪型)。こんな扱いを見るにつけ、スー・プライスさんが不憫に思えてきました。化け物みたいとは言え女性としてまったく大事にされてないわけですから。さっきからずっと裸、裸って言ってますけど、本当それだけの映画なんです。ヘボいアクション、セットを作るお金がなかったのか、基本的に同じ場所をウロウロしてるだけの狭すぎる世界観、たまに出てくるこれ見よがしな特殊メイクやCG(しかもショボい)。そのすべてを象徴するすばらしいシーンが、ヘリによる機銃掃射のくだりです。CGモロばれな弾道を小走りで逃げるスー・プライスさん。くるっと振り返ると、ピストルから放った2発でヘリを撃墜します。こんな脱力感みなぎるシーンを見るにつけ、「ピュン、あんた何年アクションやってんだ」って気分になります。
1点(2004-09-21 17:17:36)
924.  天国の門 《ネタバレ》 
すごい力作だと思うんですけど、天国どころか地獄のように長い。ひとつひとつのシーンが異様なまでに長いんです。それもそのはずと言うか、この映画はすべてにおいてリアリティーにこだわり抜いたために、何もかもを見せたいという衝動にかられたんだと思います。序盤に出てくる駅ひとつにしたって、アメリカ中を探して見つけ出した年代物の機関車をモンタナまで運び、線路を敷き、駅を建設して撮影したわけですから、そりゃじっくり見せたいでしょ。荒野の雰囲気を出すために画面には常に塵や煙が舞っていますが、それにしたって計算されたかのような動きを見せるし、撮影は基本的に自然光。キューブリックにゃ負けとれんってわけですね。映画はいかにウソをつくかの勝負で、バカ正直にセットを丸々作ったり、わざわざ自然光のみにこだわることもないだろう、なんてことはこの際言いますまい。映画会社をひとつ潰したほどのこだわりなんて、見てて楽しいし。演技派揃いの渋い俳優陣もよかったのですが、画面をさらうような美男美女がいないってあたりもリアリティーのうちなんでしょうか。そしてエラ役のイザベル・ユベールさんは景気よく脱ぎまくってましたが、そのわりにスタイルの方がアレなのもリアリティーの一種でしょうか。なんてことを言いつつ、実は佳境に入るまでは話にのめり込んでたんですよ。だって金持ちが農民を虐殺しに来るという題材の時点で男気を燃えさせますよ。仲間割れする農民をまとめつつ保安官が戦いを挑むんだろう、その時にはエラに説得されたウォーケンも加勢に来て重要な役割を果たすんだろう、そしてクライマックスでは片方が死んで三角関係も丸く収まる、なんてアツイ展開を想像しながら見てたんですけど、佳境に入るとすごい展開に。決戦を前にしてウォーケンはアッサリ死に、一方保安官はフラれたショックで保安官を辞めるとゴネ出し、結局農民達は自発的に闘いを挑みます。おいおい、俺の燃える展開は?って感じですよ。しかもアクションにしたってカタルシスがまったくなし。リアリティーを残しつつでも、もっとかっこよく撮れたでしょうに。そして最後は大宮サティのカート野郎さん同様、あんまりピンときませんでした。「で?」って感じです。クライマックスに向けてもっと盛り上げてくれれば、西部劇の決定版になった映画かもしれないんですけどね。少なくとも監督はそのつもりで撮ってたんでしょうけど。
7点(2004-09-20 07:52:15)(良:1票)
925.  アウトブレイク
公開当時はエボラ大流行と重なってすごい話題になり、NHKの報道番組でもこの映画の映像が使用されたほどでした。で、実際に鑑賞してみると満足と不満が半々って感じでしたね。娯楽作としては非常によい出来なんですけど、そのまとまりのよさがかえって不満にもつながってるわけで。陸軍による町の封鎖などハリウッド大作ならではの迫力シーンはリアリティーを高めてるんですけど、一方で後半の都合よすぎる展開はどうかと。軍の陰謀という部分をスッパリ抜いてしまった方が面白かったと思います。なんて考えながら見てたんですけど、思えばこれはハリウッド大作。ウォルフガング・ペーターセンが監督してんだし、本来はリアリティー3割に娯楽性7割と思って見るべき映画なんですけど、エボラ事件のせいでカン違いした私も悪かったんです。要するにこれは「カサンドラ・クロス」の豪華版をやりたかったんですね。そう思えば、後半のヘリチェイスは「カプリコン1」にも見えてくるわけでして。ちなみに豪華俳優陣の中では、ホワイトハウスで「これは町ごと灰にするしかない。お前ら、自己保身のために抜け駆けとかすんなよ」と煽りまくるJ・T・ウォルシュが一番印象に残りました。ドナルド・サザーランドはちょっと作りすぎでしたね。「ア・フュー・グッドメン」のジャック・ニコルソンでもやりたかったんでしょうか。
7点(2004-09-17 20:01:55)(良:1票)
926.  ダイ・ハード3
「ダイ・ハード」のレビューで述べたのですが、傑作「ダイ・ハード」のアクションのよさは、その凝り具合にあるんです。大味なようで実は細かいところまでよく配慮して作ってあるので、おかげで荒唐無稽なアクションにも味が出るんですね。その後のアクション映画は基本的に「ダイ・ハード」の影響下にありますが、それらがことごとく本家を越えられていないのは、派手さのみが先行して細部の作りが杜撰になったためです。で、同じ俳優、同じ監督で作られた「ダイ・ハード3」ですが、皮肉なことにこれもダイ・ハードシンドロームにかかってしまっています。わざとらしく並べ立てられた危機また危機には緊迫感のかけらもなく、安心して見られる作りに。いかに派手な見せ場を作るかのみに腐心したために、アクションから説得力が奪われたためです。ナンバーくじやダンプの盗難など、冒頭でわざとらしく並べられる伏線は細かい配慮とは言いませんよ。ちなみにこの映画で私的に一番おもしろかったシーンは、テロリストが手際よく金塊を強奪していくシーンです。このシーンだけはテロリスト側の周到な計画を流れるように見ることができ、やはり見せ場に流れは必要なのだなと感じました。その他のシーンはどんなに派手でも全然ダメ。アクションが話と連動しておらず、スポットのみになっています。話があちこち飛ぶのもよくなかったと思います。いい例が爆弾のタイムリミットで、これが演出上のスパイスになる予定だったんでしょうけど、話に焦点を絞り込めていなかったためにまったく効果をあげていません。ま、サービスに気を使いすぎたのが悪かったんです。あと細かい邪推を少々すると、ジョン・マクティアナンは「2」がかなりお気に召さないようです。「3」では「2」の話がなかったことにされてるのがいい証拠です。さらにマクレーンのキャラ設定にしても、「1」では脚本の時点ではタフだったマクレーンを、マクティアナンは意識的に普通の中年にしようとしたのですが(大正解!)、一転して「2」のマクレーンはアクションヒーローに。そして「3」ではその反動か、「1」とは比較にならないほどしがない刑事となっています。あそこまで情けない男にしなくてもよかったような気が。 
5点(2004-09-13 03:10:53)
927.  ジョニーは戦場へ行った
この映画の存在を知ってから実際に見るまでに数年あったのですが、あらすじを想像するだけで背筋が凍りました。そして実際に鑑賞すると、夜も眠れないほどの衝撃を受けました。ここまで問答無用に人間の心を刺激するドラマは他にはないでしょう。人類がこれまでに生み出してきた物語の中でも、これは突出した存在ではないかとすら思います。実は私、これを反戦映画とは感じませんでした。たしかに製作側の意図は反戦にあったのでしょうけど、このドラマはすでに反戦というテーマすら越えています。ここで展開されるのは、人間にとっての究極の絶望。死が唯一の希望という深い絶望が、単なる概念ではなく、しっかりと画面に展開されるのです。いかなる形容詞もこのドラマには通用しません。多くの方がおっしゃるように、この映画は1度の鑑賞だけで十分です。もちろん、出来に不満があるからでも、嫌いだからでもありません。あまりに衝撃度が大きすぎて、2度目を見る勇気すらわかないのです。その裏を返せば、一度でも鑑賞すると、一生忘れないほどの深い衝撃を受けるということです。アカデミー賞を受賞したいかなる名作であろうと、ここまで心に刻まれるドラマは存在しません。そんな唯一無二の傑作が、いかなる映画ランキングにも登場しないことを私は不思議に思います。たしかに一般的な知名度はゼロに等しい映画ですが、なぜプロの評論家からも無視の状態が続いているのか。もしかしたら、この映画を正確に評論できる人がいないからなのかもしれません。私だって、この映画のレビューにはかなり気を使っています。あまりに映画がすごすぎて、ヘタな賛辞では作品を矮小化しはしないかと思うからです。それほどの究極の力作です。
9点(2004-09-11 04:09:35)(良:2票)
928.  ズーランダー
「モデルはバカ」だけがテーマという、実に素晴らしい映画です。笑いましたとも。この映画はキャラ設定がすばらしすぎます。ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンというちょっと違う顔の2人が超ナルなモデルを演じる一方で、まさしくスーパーなルックスのミラ・ジョボビッチがブっとんだビッチを演じるというこのバランス加減。そんなファッション業界のバカさ加減がもう最高です。とくにラスト、必殺の‘マグナム’が決まるシーンは大爆笑でした。ちなみにこの映画、吹き替えで見ないと笑いが3分の1以下に激減します。「日本人ではアメリカのコメディーは笑えない」というよく意見はよくあるし、私もその通りだと思いますが、吹き替えでなら声優がそのギャップをかなり埋めてくれています。やっぱり笑いは言葉が命ですよ。せっかくのネタをぶっきらぼうな字幕で読まれてしまっては、ベン・スティラーも浮かばれません。
7点(2004-09-11 03:00:57)
929.  ブラッド・ワーク
(注意!:激しくネタバレしてます。未見の方が読まれると必ず後悔します。自己責任で読んで下さい) 地道な捜査を重ねて行くあたり、本物のサスペンスって感じでうれしかったです。こういうの書かせるとブライアン・ヘルゲランドはうまいですね。確かにツッコミどころもいろいろあって、冒頭、あのシチュエーションで犯人が逃げおおせたのは不自然だし、銃撃した車に逃げられても何のフォローもなし。あの車、早く警察で追跡しろよ。ラストだって、イーストウッドひとりで助けに行く前に、早く警察に連絡しろよって思ったし。しかし、全体としてはなかなかに上質なサスペンスだったと思います。心臓移植された元刑事というヘンテコな設定もちゃんと活きていて、イーストウッドが発作で死にはしないかと終始ハラハラしながら見ることができました。ジェフ・ダニエルズがよくないという意見もありますが、私はよかったと思いますよ。確かに後半、キ○ガイがバレた後の演技は月並みでしたけど、気のいいごくつぶしの演技はピッタリきてました。「Mrダマー」とか「スピード」とか、相変わらず相棒役が似合いますねと思いながら見てました。そのおかげでドンデンは結構衝撃的でしたよ。イーストウッドもこの意外性を狙ってキャスティングしたんだと思います。そして最後に残る印象は「ダーティーハリー6」。そう思えば、ジェフ・ダニエルズもスコルピオに見えてきます。
7点(2004-09-10 23:34:51)(良:1票)
930.  ダイ・ハード
小3の時に日曜洋画劇場ではじめて見たんですけど、普段にも増して興奮気味の淀長解説からして「これはエライもんだろうな」と期待しました。そして至福の2時間にただただ感動しましたが、あれから十数年、これを超えるアクションはいまだに登場していません。本作の斬新だった点はテロリストを敵としたことにあります。これ以前にテロリストを本格的な敵とした映画は、ジョン・フランケンハイマーの「ブラック・サンデー」くらいだったと思います。テロリストを敵とすることにより、犯罪組織のような従来の敵では設定上不自然なほどの過激な爆破アクションが可能となりました。そういえば「ブラック・サンデー」でも、飛行船がスタジアムに突っ込むなどなかなか過激なことをやってましたね。こうした見せ場の過激化がその後のアクションの雛型となったわけですけど、しかしそれらの映画がことごとく「ダイ・ハード」を越えられていないのは、表面的なドンパチや勢いのみを追求したためです。ロケット砲で装甲車を攻撃、C4でビルの屋上ごとヘリを吹っ飛ばすなど、「ダイ・ハード」のアクションは当時の常識をはるかに越えるほど壮大なものでしたが、その実、細部までよく考えられた凝ったアクションになっています。エレベーターや無線機など道具の使い方が非常にうまいし、敵は銃だけでなく装備の入ったバッグを携帯し(実用面から考えて合理的)、マクレーンは敵を倒すと、必ずそこから装備を奪います。銃撃戦になるときちんとマガジンをチェンジするのも、他のアクションには見られない丁寧演出。そうしたわかってらっしゃる描写のおかげで、荒唐無稽なアクションにも派手さだけではない味が出るんですね。そして何より人物描写の充実ぶりです。ピンチにもオヤジギャグを欠かさないマクレーンは愛すべきキャラだし、頭の切れるハンスのリーダーぶりもナイス。ビルの外にいる連中が何の役にも立たないってあたりも、アクションの極限ぶりを高めています。ああ、これを越えるアクションはいつ登場するのでしょう?
10点(2004-09-10 18:38:18)(良:3票)
931.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
この映画をWASP思想に絡めて批判する意見をたまに聞きますけど、それは的外れもいいところです。「指輪物語」は英国にも新たな伝説をってことで、ヨーロッパのさまざまな民間伝承や英雄物語を研究して作られた物語なので、その映画版が白人中心になるのは当たり前。桃太郎や一寸法師に日本人以外が出てこないからって、それが民族主義になりますか?魔法使いや英雄に有色人種がいないのがそんなに不満ですか?私の場合、有色人種が大活躍する「ロード・オブ・ザ・リング」を想像する方がゾっとします。黒人や黄色人種が出てきた時点で、雰囲気も情感も吹っ飛びますからね。そしてオークやウルク・ハイなどの異形の者たちが有色人種の象徴だとする考え方も、それはそれで不自然です。善の対極に悪がいるのが物語の基本だし、その悪がなぜ有色人種につながるのか?その根拠がわかりません。オークが仏教徒だったり、ウルク・ハイが漢字の読み書きができるなら、私も有色人種だと認めますけど。白人による差別という被害者意識ありきで妄想が飛躍してるように思います。これは娯楽作なんですから、もっとピュアに楽しみましょう。ちなみに私は9点をつけていますが、残りの1点は年末のSEEのためにとっておきます。本格的なレビューもSEEで行うつもりです。
9点(2004-09-10 04:24:28)(良:6票)
932.  ギャング・オブ・ニューヨーク 《ネタバレ》 
一度目は「つまんないなぁ」って思ったんですけど、2度目の鑑賞は楽しめました。よく作りこまれてる映画なので、2度3度見る方が絶対に楽しめるんですね。この映画はなかなかに意欲的で、ヤクザの抗争にリンクさせて激動のアメリカ史が描かれています。「ゴッドファーザー」サーガは時代とともに変わりゆくマフィアの姿を描いていましたが、ここではギャングが時代そのものとして描かれます。時代に翻弄される映画は数あれど、時代そのものを描く映画は少ないように思います。脚本の出来がよく、個人である各キャラクターの行動とアメリカ史の推移が違和感なくシンクロしています。さらにすべてのエピソードがクライマックスへ向けて収斂しており、本当によくまとまっています。クライマックス、混沌が支配する街でフツフツと堆積していた不満がついに爆発し、全市を席巻する大暴動へと発展。暴動の中でのネイティブズ(建国以来のアメリカ人)VS移民(新たなアメリカ人)の果し合いは、まさに世代交代の瞬間です。ここでのビルの死は古いアメリカ人の敗退、そして新しいアメリカ人の勝利を意味しており、それは移民が主役となって成長してゆくその後のアメリカの象徴でもあります。同時に、ここでの果し合いは政府による砲撃で中断しますが、それはギャングによる支配の終わりを意味します。それまでのNYはギャングの支配下にありました。ギャングこそが法律であり、政治家ですらギャングと共存関係にありました。しかしついに政府の力が全市に及び、彼らによる支配は終わりを迎えたのです。ネイティブズとギャングという2つの時代の終焉をこの映画は描いていたのです。そしてラストでは、ビル・ザ・ブッチャーとヴァロン神父という過去の遺物の墓標が見守る前で、NYは現在へと成長をしていきます。そしてテーマ曲「The Hands That Built America」と来るわけですから、もう震えましたね。そんな立派な映画なわけですけど、問題点は主人公のアムステルダムにあると思います。彼は状況に流されて右往左往してるだけで、どうにも行動が弱い。別にディカプリオがというわけでなく、描写自体が弱いんです。このあたりがスコセッシの限界というか、彼はキレた人とかキ○ガイとか、要するに傍若無人なまでに我が道を行く人を描かせるとピカイチなんですけど、一方で迷い悩む人間を描くのはあまり得意ではないようで。
8点(2004-09-10 02:51:17)(良:1票)
933.  アンブレイカブル
あまりにむごたらしい批評の数々ですが、これはスゴイ映画だと思います。史上最も丁寧に描かれた仮面ライダー第1話、「その手があったか!」とビックリ仰天でした。こんな話を思いつく人が世界でどれだけいます?そのアイデアだけでも買いですね。シャマランの映画って不思議で、テーマ自体は幼いのに、その実オトナの空気が充満してるんです。なんと言うか、ガンプラのパッケージが高級桐箱だったみたいな、メッキ部分のパーツが金箔だったみたいな。それってのは、シャマランの脚本から出るうまみだと思います。そんじょそこらのドラマ以上に人間を丁寧に描けているので、荒唐無稽な主題にも味が出るんですね。「私の体は生まれつきもろい。ならばその対極としてアンブレイカブルも存在するはずだ」というイライジャの説くアバウトかつ強引なヒーロー論も、「なるほど~」って思いながら聞きましたから。シャマランのドラマの特色は「静」にあります。一方普通の映画の描くドラマは「動」、つまり何か事件があって主人公が成長していく、主人公が何かを変えていくという話で、そこにはドラマのダイナミズムがあります。しかしシャマランのドラマはもっと地味で、彼が常に描くのは再生の物語。大筋では主人公たちに想像力の限りを尽くした大事件が起こりますが、その実、彼らの終着点は失われた関係の復元にあります。大事件を通して登場人物は自分を見つめ直し、何かを変えていこうとするのではなく、むしろあるべき姿へと帰ろうとするのです。思えば現実世界もそんなもので、そこにドラマの描くようなダイナミズム、つまり何かを変えていこうとする主体的な姿などなく、あるのは「自分に合った仕事は?」「自分に合った人間関係は?」「自分に合った生活は?」という、受動的な居心地の探求のみです。何かを目指しているようでいても、実際は自分のあるべき道を模索しているものです。そんな現実を踏まえているからこそ、シャマランの映画にはリアルな庶民が生活し、その延長としてサプライズがあるのです。
9点(2004-09-08 01:40:05)(良:2票)
934.  ネットワーク
贅を尽くした演技合戦はもうすごいばかりです。私としては、オスカーを受賞できなかったウィリアム・ホールデンとロバート・デュバルがたまりませんでした。演劇風に撮るシドニー・ルメット作品では、俳優の演技が映えますね。ただこういう映画には同時代性が大事で、当時としては斬新な設定だったのかもしれませんけど、今となってはよくできた寓話として感じられます。同じくキ○ガイが大活躍する「タクシードライバー」が現在でもその鮮度を落としていないのと比較しても、脚本がウェルメイドすぎて、荒削りな魅力が少なかったのかなとも思います。なんて思いながら見てたんですけど、細木数子さんがレギュラー番組を持って好き放題説教しまくってる現在日本を考えると、やっぱり傑作はバカになりませんねと思い知らされる今日この頃です。
7点(2004-09-07 21:45:32)
935.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
ブラッカイマーはキャスティングに抜群のセンスを持つ人物ですが、本作でもそのセンスが如何なく発揮されています。ブルームとナイトレイの絵に描いたような美男美女ぶりはファンタジックな時代劇にピッタリだし、一方で物語を進めるのはデップとラッシュという演技の出来る俳優二人。この意外な組み合わせが素晴らしく効果をあげています。デップ本人すら気付いていなかったであろう一面を開花させ、オスカーノミネートまでさせた手腕はなかなかのものです。。。と、本作を評価できるのはここまで。肝心の中身はまったく楽しめませんでした。「海賊」や「呪い」を扱っている割に恐怖心や威圧感を抱かせず、薄っぺらなアクションと軽いセリフが143分という長丁場に渡って繰り広げられるのみ。「悪い海賊に追われる→捕まる→脱出」という展開を何度も繰り返すのですが、悪役である海賊が怖くないためチェイスに緊迫感が伴っていません。ファミリー映画であっても悪役は怖く演出すべきなのですが(ディズニーのアニメ作品でもやっていることです)、ファミリー映画に慣れていないブラッカイマーは徹底的に刺激を抑えた安心品質に仕上げるというミスを犯し、活劇としては致命的に締まりのない出来となっています。また、味方となる海賊の描き方も不十分。主人公達の船を動かすクルー程度の扱いとなっているのですが、海賊たる者、大海原を自由に駆け巡るロマンを体現した存在でなければなりません。驚いたのは中盤のチェイスで、ここは彼ら海賊の腕の見せ所だったはずなのですが、海についてはド素人のエリザベスやウィルからの指示によって動き、万策尽きると「良い作戦はないか?」とウィルに尋ねる始末。何を考えてこんな展開にしたのかと不思議でなりません。ラストの戦いにしても、洞窟の中ではジャックとウィルが戦い、外では良い海賊vs悪い海賊の大決戦が繰り広げられるべきなのですが、本作では「俺達じゃ勝てないから」と海賊達がそそくさと帰ってしまいます。海賊をテーマにしながら、海賊がまったく描けていないのです。また「呪い」の扱いもマズく、バルボッサ達が呪いに苦しむ描写がないため、戦いの目的がボケボケとなってしまっています。そもそも、悪い海賊が不死身の力を手にしようとする物語ならともかく、不死身の海賊がその力から解放されようとする物語では、ジャックやウィルは快く協力してやればいいじゃないかと思うのですが。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2004-09-07 18:50:36)(良:1票)
936.  ドリームキャッチャー
恐ろしいまでに不完全で、それを楽しむか怒るかは完全に各個人に丸投げされたというセルフサービス映画です。ちなみに私は楽しみましたが、嫌いになる方の意見は十分理解できます。というより、好きになる方がおかしいと思います。この映画ではスティーブン・キング作品の悪い面がドバっと出てますね。スティーブン・キング最大の特徴は、前半のネタふりがやたらうまいわりに後半の尻すぼみ加減が尋常ではないことですけど、この映画はまさにそれ。これが嫌いと言う方でも、前半の盛り上げ方のうまさは認めると思います。うまく伏線を張っていくし、アイデアがおもしろいので先読みさせないし、印象的なビジュアルがいくつもあるし。しかし、一転して後半では「本当にそんなオチでいいの?」と思わせるのがスゴイところ。「あそこまで伏線張っといて、まさかこれはないだろう」みたいなことを堂々とやってきますからね。シャマラン映画と同じと言えば同じなんですけど、一方巧妙な脚本で想像力をかきたてないのがシャマランのうまいところ。しかしキングは容赦なく想像力をかきたて、期待を膨らませるので、後半の脱力感は高級フランス料理のデザートがガリガリ君だったみたいな感じです。4人の特殊能力や宇宙人の生態など、拾い切れてない伏線も山ほどあるし。みなさんこれに怒ってるんだと思いますけど、「イット」「ランゴリアーズ」「ザ・スタンド」などを経験してしまえば、「あ、またか」程度で許せるようになります。それどころか、その破綻ぶりが楽しみにもなります。そんなわけで、お客さんを選ぶ映画ってわけですね。これだけ豪華なメンツでそれをやってくれるってのが、好き者としてはまたうれしかったりするわけですけど。
7点(2004-09-07 11:19:39)(良:2票)
937.  アルマゲドン(1998)
【2011.12.16レビューを変更しました】 本作を最後に見たのは10年以上前のことで、一度見ればわかるバカ映画なので特に再見する気にもならなかったのですが、脚本家としてトニー・ギルロイとJ・J・エイブラムスがクレジットされていることに気付いたことから、今回もう一度見てみることにしました。。。 その結果なのですが、印象は相変わらずのバカ映画でした。科学考証のいい加減さには、この際目を瞑りましょう。科学考証をまともにやったSF大作は「コンタクト」と「サンシャイン2057」くらいで、大半のSF映画は適当なものですから。マイケル・ベイの演出にも、特に問題点は見当たりません。銃撃戦やカーチェイスといった得意のアクション演出はほぼ封印され、見せ場のほとんどをVFXが占めるSF超大作という自身初体験の企画ではあったものの、これに対して意外にも器用に対応しているのです。ベイは力押しのバカ監督だと思われがちなのですが、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」でも初体験の3D技術を見事に使いこなしていた辺りを見ると、実は相当な勉強家なのだと思います。ドラマパートも無難にまとめていて、この企画に要求されている仕事は十分にこなしています。 問題の中心は、その脚本のデタラメさにあります。スタンパー親子の確執が物語の横軸であったにも関わらず、シャトル打ち上げ前に二人が和解してしまったり、人類滅亡の危機なのに冗談ばかりで誰も焦っておらず、挙句に「訓練で疲れたから休暇をくれ」とまで言い出す始末。宇宙に飛び出してからは危機の連続なのですが、それらの大半が人災であって、ミッションそのものの困難性に起因する危機は皆無。中盤では、通信が途絶えることに焦った役人が遠隔操作で核爆弾を起動させようとする展開があるのですが、この危機を乗り切った後にもシャトルとヒューストンの通信は普通に続いており、だったらあのひと悶着は何だったんだろうかと呆れてしまいました。こうした脚本上の問題点は、数十人の脚本家に分業で書かせるというブラッカイマーの方針に原因があります。反乱シーンはロバート・タウン、大統領演説はトニー・ギルロイ、全体のセリフはJ・J・エイブラムス、アフレックとブシェミのセリフはスコット・ローゼンバーグといった具合に執筆作業を細分化してしまったために、全体でみると支離滅裂な内容となったようです。
[DVD(字幕)] 5点(2004-09-07 10:33:40)(良:2票)
938.  ニック・オブ・タイム 《ネタバレ》 
なんとなく面白い映画でした。劇場で見ればいろいろと不満も出るでしょうけど、日曜洋画劇場なら「昨日のあれ見た?」って話題になった映画だと思います。みなさんが指摘する「自分で殺せよ」問題ですが、クリストファー・ウォーケンの目的はあくまでジョニー・デップを暗殺犯に仕立て上げることであって、本当に殺すことは期待していなかったように思います。その証拠に、クライマックスではウォーケン本人が銃をかまえてたでしょ。殺しはウォーケンが確実に行い、その罪をデップに着せるハラだったと考えられます。それでもウォーケン軍団のヌルさ加減はヒドイものでしたけど。「ここで撃て」ではなく「1時半までに殺せ」ですからね。そんなアバウトな命令があるかって思いました。そんな中、何度か巡ってくるチャンスに発砲を躊躇するデップ、「お前、さっきチャンスだったじゃねぇか」と怒るウォーケン。「勇気出して告白しろよ」「でもまだ決心がつかないよ」って校門の前で揉める男子中学生じゃないんだから。そしてラスト、なにがなんでもデップの娘を殺そうとするウォーケンさんたちですが、暗殺が失敗した今となってはそんなことはまったく重要ではないと思うんですけど。そんな感じでツッコミどころ満載ですが、90分に満たない上映時間のおかげできちんと緊迫感を維持できていたと思います。これは一風変わったワンアイデアと、それをギリギリ維持できるラインの中でうまく引き上げた構成の勝利ですね。
6点(2004-09-06 00:39:19)(笑:1票) (良:1票)
939.  ソラリス
この映画を嫌いという人の意見はかなり理解できます。演出にメリハリがなく、面白い映画ではありません。でも私はこれが好きなんです。それもたまたま私の生理に合っただけで、世の中の9割の人には嫌われて当然の映画だと思います。編集も撮影も音楽も無機質で、理解も感動も拒むかのようなこの映画。考えてみれば、盛り上げることも、感動させることも簡単にできた題材なんです。しかしエモーショナルな展開になりそうになればブツっとカットが飛び、本当に説明が必要なシーンでセリフが消える。そう、これは行間を読ませるための映画なのです。そう考えて登場人物たちの心理に身を寄せれば、ここでは大変なドラマが展開されていることがわかるはずです。妻の死を悔い、レプリカにその再現を託す夫の悲しみ、自分がレプリカだと知った妻の絶望。言葉で語るにはあまりに陳腐な物語ですが、説明を排して見る者の解釈に委ねたことで、非常に深いドラマに昇華しています。思えばまんま「ブレードランナー」な物語に「2001年宇宙の旅」の語り口がくっつけられたこの作品。その試みは絶対に失敗はしておらず、SFファンなら嫌いにならないでって思いますね。
8点(2004-09-05 16:16:38)(良:3票)
940.  レッド・ドラゴン(2002)
マイケル・マン、ジョナサン・デミ、リドリー・スコットと来てブレット・ラトナーには正直「?」だったのですが、案の定作品からは深みが失われ、良くも悪くも娯楽作となっていました。この映画の悪いところは、前作にあったような怖さがなくなっていること。レクターも普通のおじさんになってたし、ダラハイドからは恐怖を感じませんでした。常識や損得を越えて何をしでかすかわからない恐怖がサイコサスペンスのキモだと思うので、その点はかなり不満。やっぱりレイフ・ファインズがサイコを演じたのが悪かったんだと思います。誰もが顔を知っていて、しかも男前の彼では、「何をしでかすか」な怖さが出ません。無名で、しかも「そりゃ盲目の人にしか愛されないだろ」ってくらいブサイクな人が演じれてば、その狂気を十分に表現できたと思います。リドリー・スコットがえらかったのはその点で、ゲイリー・オールドマンを特殊メイクでメタメタにしたのは大正解でした。一方良かった点は、娯楽作としてかなりバランスのいい映画となっていること。盛り上げるタイミングがいいし、謎解きも混乱なく無難にこなしていて、「うまくまとめていくなぁ」と感心しながら見ました。豪華キャストの配置もよくて、とくにハーベイ・カイテルは存在感抜群、画面に映るだけで文鎮のように話をしっかりと引きとめていました。単品として見れば十分に面白い映画だと思います。
7点(2004-09-04 16:04:13)
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