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Roxyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 61
性別 男性
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roxy0001_2002▲yahoo.co.jp
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1.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
幸福と不幸は実はお互いが正面を向き合うものであり、人生自体が一つの天秤であるということを知らせる一作。“何かを得れば、必ず何かを失う”例え過去に干渉して未来をいじくってみても、人々の無数の分岐点において神のごとく振る舞ってみても、彼または彼女の人生をまるごと引き受けるわけにはいかない。少なくとも物語の終盤までは、エヴァンは自らの幸福を追求し続けるエゴイストで、またそのことに全然気づかないのですが、最後の最後で自分に関わる者が不幸にならない為にはどうすればいいかという結論に達する。8mmに映るあの出会いの場面で最大の幸せを捨て去ることにより、ある意味エヴァンは全員の人生の面倒を見たのだろうと私は解釈しました。自分も含めた他者の人生の天秤を平衡に戻したわけですね。それにしても、非常に痛みを伴う決断です。はたして同じことをやれるかどうか、私にはまったく自信がありません。性懲りもなく、もう一度修正を試みるかもしれない(というか、きっとやる)。もしかすると、今の自分も誰かの干渉によって変えられたかもしれないと思うのも、いたかもわからないもう一人の自分の人生がより良いものになっている可能性に嫉妬している表れなのかもしれません。
[DVD(吹替)] 8点(2007-09-24 15:58:15)(良:1票)
2.  スパイダーマン3 《ネタバレ》 
善と悪の隔たりとは意外なほど薄く、細い。善良な心根を持った人間でも、人間であるが故にたやすくその境界線を踏み越えてしまうことがある…そんな主題をスーパーアクションの衣を纏わせながら、説教臭くなく語りかけてくる。当てられる光が強ければ強いほど、つきまとう影はいっそう黒く深くなるのだということ、そしてなによりも「赦し」こそが自らを、そして他者をも重い足かせから解放するたった一つの道なのだという、ともすればアクションムービーから大幅に逸脱しそうな内容をこれだけうまく料理できるのだから、サム・ライミの手腕とはたいしたものである。恩讐を越えることがいかに困難か、苦痛を伴うものかをこの映画を観てもう一度認識させられたのだが、まさかアメコミ映画にこんなことを教えられるとは思わなかった。そういう意味で希有な作品。でもさすがに次作はないでしょう。
[映画館(字幕)] 8点(2007-06-12 16:27:24)
3.  スーパーマン リターンズ 《ネタバレ》 
ブランドン・ラウスの熱演には申し訳ないが、劇場の大スクリーンで1作目を観てしまっている者には、ブランドンの姿の後ろにどうしても彼が透けて見えてしまうのである。それが彼の役者としての幸福であり、不幸でもあったと考えると、オマージュ以外の意味を今作に見出すのが難しくなってしまう。オープニングにしてもしかり。やたら郷愁を誘うような演出は、スーパーマンのキャラクターから脱却しきれずに苦心した草葉の陰のクリストファー・リーブに何だか失礼なような気がするのですが…それはともかく、本当に興味があったのはオリジナルでジーン・ハックマンが演じたレックス・ルーサーだったりする。ヘラヘラ笑いを浮かべつつ、あくまでも軽いノリでとんでもない悪事を企むマッド・サイエンティストという人物設定をハックマンは実にうまくこなしていたが、此度のケビン・スペイシーでは酷薄さが一層前面に出ていたせいで、かなりの違和感を覚えた。クリプトン・ナイトをナイフ代わりにスーパーマンを刺すというのは、彼のキャラには合わない。まるでマフィアの親分である。ルーサーは本質的になぜか不動産に拘る小悪党なので(オリジナルでもカリフォルニアを海に沈めたがっていた)、この作品がオマージュならその点も継承して欲しかったです。
[DVD(吹替)] 6点(2006-12-29 20:05:45)(良:2票)
4.  硫黄島からの手紙
感想を書く前にまず、かつての敵国の人間にこのような映画を撮られてしまったことについて、日本の映画関係者が何を思ったのかを知りたい。切歯扼腕しただろうか。それとも、“アメリカの資本で、しかも監督がイーストウッドだからしょうがない…”と諦めに近い気持ちで本作を眺めただろうか。まあ、おそらくどちらかになるだろうが、私みたいな無責任で偏屈な一鑑賞者としては、実はどっちも許せないのである。つまり、本作のような“逆輸入邦画”、それも我々日本人が何にもましてそれなりの金額を投じ、時間をかけ、かつ慎重に作り上げなければならないものを今までなおざりにしてきた事実という罪(あえて罪と言う)を日本映画界は犯したということ、それがとても残念でなりません。TVドラマの延長のごとき軽佻浮薄な作品を垂れ流してきたバチが当たったのではないでしょうか。いろんな意味であらゆる日本人が襟を正して観るべき映画だと思うし、細かいディテールがなってないなど、おのずと評価は分かれようとも、日本人という異文化民族に対するエキゾティックな先入観をできる限り排して作られたこのハリウッド映画を、今度は我々自身が真正面から受け止めなければならない、とも思います。栗林中将の「自分たちのこの戦いを、後世の日本人は必ずや評価してくれるだろう」の台詞が重く、そして痛い。その通り。栗林さん、あなたの言葉は間違っていなかった。ただ、そのことをアメリカに教えられるとは考えもしなかったでしょうけど。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-29 19:06:46)(良:1票)
5.  ターミネーター2
この「2」を観た後で,大昔好きだったTVドラマ「ジャイアント・ロボ」の最終回を思い出した。操縦者の草間少年の命令にひたすら従い戦い続けてきたロボが,敵ボスとともに宇宙で自爆するというシーン。“帰ってこい,ロボ!命令だ,帰ってこい!”と必死で叫ぶ主人の命令を無視しつつ,最後はボスもろとも大爆発。そして地球は救われた…そんな内容だった。子どもだった私は大変なショックを受けたようで,落ち込む息子を見かねた母親がTV局に手紙を書いたらしい。私はロボが命令を実行するだけの機械だと思っていたので,まさか自己犠牲という人間性を発揮するとは,まったく想像もしていなかったのである。そしてT-800。「2」の幕切れで,私はジェームズ・キャメロンはもしかしたらあのジャイアント・ロボの最終回を観ていたんじゃないか,と勘ぐってしまった。「1」では文字通りの殺人マシンとして描かれていただけに,「2」でのT-800はほとんど守護天使にしか見えないが,人間性を有さない一個の機械だという点においては,両者はまったく同一だということをつい忘れがちになってしまう。かたや“サラ・コナーを殺せ”,かたや“ジョン・コナーを守れ”というプログラムを,お互い遵守しているにすぎないのである。にも関わらず,同じT-800であると頭ではわかっていてもなかなかそう思いづらいのは,機械が人間性を獲得したからではなく,人間側が機械という対象に願望や希望などを投影しているからだと思う。私が「1」と「2」は初めから意図された連作ではないか,と疑っている理由はそこにある。つまり,両作に登場する共通のキャラクターのコントラストをくっきりと際だたせることによって,自律性を持たない非生物に映し出される人間の感情をいっそう強く表現できるからに他ならない。それは時には背筋が凍る恐怖であり,そして時には哀惜の涙であったりもする。「ターミネーター」を巡るキャメロンの意図とは,もしかするとそういうことだったのかもしれない。
[映画館(字幕)] 9点(2006-07-20 19:25:44)(良:1票)
6.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
公開当時,あまりの面白さに呆然となった記憶がある。今更,付け加えることもありません。もし“シネマ・テーマパーク”のようなものがあるとすれば,『愉快になりすぎて,口からよだれが垂れないようご注意を!』という札がかけられて然るべき映画です。
[映画館(字幕)] 10点(2006-07-19 06:56:28)
7.  アイス・エイジ
フルCGアニメという分野にはPixerというスタンダードが存在するために,他社組はどうしても比較されてしまうのが現実。実際これは辛いところだが,にもかかわらず,そのスタンダードに果敢に挑戦するかのごとく,いろんな切り口で新作を出してくるのがいかにもアメリカらしいというか,製作市場の広さを感じる。さて,観る前はまったく期待していなかったのだが,観終わってみればPixerの二番煎じ的な感触がなかったわけではないにせよ,それなりに満足できる内容だった。続編が観たくなりました。シナリオの運びは紋切り型であっても,予定調和であっても,「努力」「友情」「勝利」というのは少年ジャンプの専売特許ではなく,国際的な約束事というのがあらためてよくわかった。字幕と吹替,両方試してみましたが,これは絶対吹替がいい。皆うまいし,第一その方が子どもも喜ぶでしょう。
[DVD(吹替)] 7点(2006-07-18 18:54:23)(良:1票)
8.  鷲は舞いおりた 《ネタバレ》 
地味な戦争映画といわれれば確かにその通りなのだが,戦争映画は地味なのが意外に面白かったりするので要注意です。これもその一つ。製作がアメリカ・イギリス共同というのも興味深い。英米人なら『ど畜生のナチ野郎』と罵りがちなところをぐっと抑え,古き良きプロイセン軍人の矜持を漂わせつつ任務に赴く兵士達の姿を誇り高く描いて,観ているこちらはぐっとくる。敵味方入り乱れての大スペクタクルなどは一切ありませんが,戦争映画の魅力とはドンパチだけではないという好個の例になった作品だと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-07-18 13:11:39)
9.  メメント 《ネタバレ》 
このアイデアを思いついた監督は,さぞ小躍りしたことでしょう。「やったやった!すごいの考えついちゃった!」いや確かにその通りで,私もすごいと思うのですが,どちらかというと映画に物語性を求めるたちなので,こういう複雑な手技を出してくるのは,脳力の足らない私にとっては今一つ。シーンが変わるたびに,主人公のぶつ切りされた記憶をこちらも思い出さねばならないので,それだけでも大変だった。でも時間軸を元に戻したら,別に何てことはない話だと思うんですがね…その斬新な発想ついでに,ストーリーにも新味を加えて欲しかったというのは,きわめて贅沢な希望でしょうか?後進の監督にチャレンジしてほしいけど,作品の出発点があまりに際だっているので,亜流を許さないかもしれません。本当なら5点くらいだろうな,と思いつつ,やはり他人とは違うものの考え方をしたという点を評価して,プラス1点。相撲で言うなら,これは技能賞でしょうね。
[ビデオ(吹替)] 6点(2006-07-18 09:44:12)
10.  きみに読む物語 《ネタバレ》 
いったい何が足りないのだろう。貧しい青年と裕福なお嬢様とのロマンスという,使い古されすぎた物語のせいなのか,あるいは全体を通じて感じるチープ感(安普請という意味ではなく,何となく昼ドラの雰囲気っぽいといえばわかっていただけるだろうか)が,さらなる良作に仕上がるはずのものの価値を下げているのか。判別できません。ステレオタイプとはいえ決して悪くない話だし,むしろ,もっと高く評価したいとも思うのだが,それができない。自分なりの物差しで作品を測り,その上でできる限り率直に感想を述べたいにもかかわらず,どうしてもそれができないのは,おそらく私の母親が認知症にかかっているからだと思う。一途ゆえに障害を乗り越え,結ばれるべくして結ばれた男と女の話だ,と自分に言い聞かせても,私の目はやはりあの年老いた婦人に向けられてしまう。自らの記憶を手放してしまうことがどういうことか,ことにそれを受け止めなければならない連れ合いの辛さというものを身近にわかっているだけに,私はこの映画を公正に観ることができませんでした。なので,初めに書いたようなことも思い切り的はずれのような気がして,不安になる。ちゃんと把握できているか自信がなくて,複雑な気持ちです。複雑なんですが……でも,結局泣いてしまった。束の間記憶を取り戻した妻と一緒に夫がダンスをするシーンは,万感胸に迫った。年老いた自分の両親の姿,とくに,ひたすら自分を抑え滅私奉公型だった母親の頭を撫でながら「あんたの面倒はわしがちゃんと見たるから」と言った父親の姿と重なって,ただただ涙が流れました。
[ビデオ(吹替)] 8点(2006-07-05 07:48:31)(良:1票)
11.  M:I-2 《ネタバレ》 
監督が誰か知らないまま観ていたのだが,二丁拳銃?スローモーション?もしかしてジョン・ウーか?と思っていたら,その通りだった。「ミッション・インポッシブル」ではなく「スパイ大作戦」で育った年代のせいか,銃の乱射に爆発ドカーンは恐ろしく違和感があって,TVシリーズのようなクールな頭脳戦のかけらもない。普通につくっていればそれなりのアクション映画になったはずなのに,ケレン味たっぷりのジョン・ウー流演出がこれまた胸焼けしそうなくらいくどくて,生あくびが出てきた。本来引き締まった体つきの男が,今はたっぷりついた中性脂肪でモタモタやってる,という印象である。ところで,バイクのタイヤを砂浜でいきなりブロックタイヤに変えたのが観客にバレていないと思っていたなら,バイク好きを完全にナメている。あんないいマシン(トライアンフのスピードトリプルにデイトナ)を使っておいて,凝視するなという方が無理。そいでもって2人の男が,空中でフライング・ボディアタックを炸裂させたのは笑ってしまった。バイクを使うんなら,最後まで格好よく使ってよ。
[地上波(吹替)] 4点(2006-07-03 06:32:20)
12.  ヒドゥン(1987)
単純に面白い。B級映画とはかくあるべし,というお手本のような映画だ。観ているうちに,監督のジャック・ショルダーが,メジャー街道を駆け上がる直前のジェームズ・キャメロンと重なって見えた。あるいは,見えた気がした。実際そうならなかったのは残念だが,歯切れ良いテンポとともに物語を前進させていく手腕は,凡百とは違う卓越したストーリーテラーであることの証明になる。白皙の美青年という表現がぴったりのカイル・マクラクランの存在が,作品全体にどことなくまとわりつく静謐さを醸し出していて,一風変わった雰囲気のSFアクションに仕上がった。ところでいつも思うことだが,こういう脚本勝負の秀逸なB級映画が,なぜ我々日本人にはつくれないのだろう。悔しくもあり,羨ましくもある。
[地上波(吹替)] 7点(2006-06-28 22:17:27)
13.  パニック・イン・スタジアム 《ネタバレ》 
10万人の観衆でごった返すスーパーボウルの競技場に,1人の男が忍び込んだ。素性の知れないその男の手には,高性能ライフルが……という設定は,物語としては手垢がついているのかもしれないが,本作ではサスペンスの盛り上げ方がとても秀逸で,無理がない。冒頭の,ホテルの窓からたまたま通りかかった自転車の男を射殺する場面では,これから何が始まるのかを観る者に予感させて,思わずぞっとする。犯人の姿はテレビカメラ,あるいはSWAT隊員のライフルスコープ越しでしか見えず,それも不鮮明に映るため,不気味さと恐ろしさは倍増である。それだけなら一本調子で終始しがちなところも,競技場を訪れた観客たちの人間模様を同時並行で見せることで,ストーリーに奥行きを持たせてある。サスペンス映画としても,アクション映画としてもよくできていると思った。なお,状況的にはSWATチームの負け。2名が殺され(1人が犯人に射殺されてロープで宙吊りになっても,試合に興奮する観客たちは背後にぶら下がる死体に気づかない),隊長も撃たれたのだから。仇を取ったのが,寄る年波を隠せないチャールトン・ヘストンというのが何だか反則のような気もするが,これは御大に花をもたせたというべきでしょう。SWAT隊長を演じたジョン・カサヴェテスのサングラス姿が渋い。最後まで正体不明だった犯人について言った,最後の台詞もまた渋い。「……奴のことはマスコミが全部調べてくれるさ。住んでいるところはどこで,仕事は何で,家には優しいママがいて,そして,それが終わったらまた次のニュースだ。でも俺たちは……」みたいな内容だった。兇悪犯罪へのやりきれなさが余韻となって残る。 《追記》1975年に公開されたTV映画「パニック・イン・テキサスタワー」を明らかに意識しています(昔,金曜ロードショーあたりで何度か放映)。あるいはモチーフを拝借したかもしれません。余談ですが,「パニック・イン・テキサスタワー」の無差別射殺犯は,当時まだ無名だったカート・ラッセルが演じていました。作中ではほとんど喋っていません。
[地上波(吹替)] 8点(2006-06-26 11:30:46)
14.  キング・コング(2005)
ピーター・ジャクソンは積年の思いのたけを映像に詰めたという。では,33年版オリジナルのどの点に彼は心を奪われたのだろう。観ていて,この疑問が最後までつきまとった。特殊撮影で命を吹き込まれた架空のモンスターの姿にか?それとも,ただ文明批判をしたかったのか?それならわかるが,もし人間の女とモンスターとのラブロマンスを描きたかったというなら,それは単なるお涙ちょうだいである。中盤からやけにその手のシーンに時間を割いているようだが,では肝心のオリジナルはというと,そんな甘ったるいところは意外なほどない。ヒロインは最後までキャーキャー喚いている。彼女を守ろうと身体を張ったコングには申し訳ないが,つまり,一方通行の片想いなのだ。ピーター・ジャクソンがそのことを不憫に……と考えたのなら,強い思い入れが勢い余って,いらぬ演出を施してしまったとしかいいようがない。要するに,擬人化しすぎているのである。そうすれば間違いなく観客の共感は得られるし,懐の財布は分厚くなるが……しかし,そんな風に安易なメロドラマにしてしまっていいものか。本当に彼はオリジナルのどこに惹かれたのだろう。
[DVD(吹替)] 6点(2006-06-26 10:00:47)
15.  モンスターズ・インク
数あるPixer作品の中でも,とりわけ光り輝いていて,実にすばらしい。精緻を極めたCGも,練りに練り込まれたシナリオも抜群だが,この作品の肝は,観る側もそして創る側もみな子供の視点という椅子の上に座っているということである。いや,座らされていると言うべきか。無理矢理そうさせられるのでなくて,あざとくなく自然とそうなっていくのだ。うまいという表現はもはや当たらず,あえて作品が持つ魔術的な磁力のせいと言わざるをえない。Pixerのスタッフたちが心から楽しみながら仕事しているという雰囲気が映像から伝わってきて,何だか羨ましい。こういう洒脱なファンタジーは,残念ながら日本人の手に余るのをまざまざと思い知らされるせいもあるかな。全編,洒落た遊び心が満ち満ちて,ケチをつける気にすらならない。文句なしの満点です。ところで,終盤,敵役のランドールが追放されたトレーラーハウス。あれって,バグズ・ライフにも登場してます。そんなどうでもいいことを,楽しい仕事ゆえの余裕からか,何のてらいもなくやってしまうPixerの懐の広さに脱帽であります。
[ビデオ(吹替)] 10点(2006-06-23 17:45:37)(良:2票)
16.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
法学部の学生だった頃に,ゼミの教授から“いやしくも法律を学ぶ立場の者なら,必ず観ておくべし”と言われた。ゼミの単位を落としたくない私は,観た。確かに面白い。いや,面白いだけでなく,なぜ私たち学生にあんな事を言ったのか,その理由もわかったような気がした。“なるほど,これが民主主義か!”てなものである。ヘンリー・フォンダが,あたかも自由と正義の守護天使のように見えたものだ。そして,シドニー・ルメットが描きたかったのは,人を裁くということを通じて謳い上げた人間賛歌であると。そう強く思ったのが,およそ20数年前のことである……そして今,あらためて今作を観て,あの時教授が言ったことの本当の意味がわかって,わずかばかり慄然とした。あの被告の少年は,私が見ても状況的に限りなくクロに近い。彼は真犯人ではないと完全に言い切れる物的証拠は,正直どこにもないのである。あるのは,あくまで推論のみ,それも現場から遠く離れた密室で,警察官でもない普通の男たちが鼻つき合わせて議論するだけだ。そこに,能弁で頭が切れ,かつ相手を意識誘導できるような人間が混じっていたなら……結果は映画の通りである。物語としては,あれでよかったのだろう。しかし,本当の真実はあの映画では依然見えない……背筋をそっと軽く撫でられるような恐怖感を覚えたりするのは,ひょっとすると私がおかしいからでしょうか。シドニー・ルメットの意図がもしそういうところにあったとするなら,彼は実に人をくった大ボラ吹きとしか言いようがない。まこと,あっぱれ。というわけで,あくまでそんなひねくれた見方をした上での10点です。
[地上波(字幕)] 10点(2006-06-22 12:31:10)
17.  ターミネーター
「2」よりも,この「1」の方に異質なほどの強烈な暴力性を感じる。「2」がハリウッド式娯楽大作製造機にかけられてできた一種のテーマパーク的映画なのに対して,本作にはそういった影はない。もっとも,さほど期待をかけられていなかった時のキャメロン作品だから,と言うと身もふたもないのであるが,実際にはそれが正解なのだろう。しかし私はそんな風には思わない。「1」が映像として「2」に見劣りするのは認めても,映画として格下だとは思わない。私はこの「ターミネーター」が大好きだ。劇場,ビデオも含めて十数回は観た。そこまで惹きつけられる最大の理由とは何かと問われると,それは冒頭に書いたように,他の凡百のアクション映画とは肌触りが違う暴力性だとしか答えられない。そのことに大きく貢献しているのがシュワルツネッガーであることは,今更言うまでもない。この頃のシュワ氏は箸にも棒にもかからない大根役者で,もしガタイがゴツいだけで彼が選ばれたのであれば,キャメロンは実に幸運な選択をしたと思う。筋肉自慢の役者は大勢いても,爬虫類の目をしたマッチョはそんなにはいないからだ。極限的に非人間的で,反撃する気力も萎えるほどの強力さを備えたキャラクターにぴったりとはまる役者。演技の出来不出来以前に,何かしら相手を不安に陥れる男。当時のシュワ氏にはそれらがすべて内包されていた。確かめるために,あとでもう一度観てみようと思う。ところでこの映画,銃器マニアを面白がらせる工夫が結構あります。例えばアクション映画のお約束となったM16をあえて使わず,AR18という玄人好みのやつにしたとか,ガンショップでシュワの「プラズマライフルは?」の問いに,店主が「まだ入荷しておりません」と答えるところなど。ニューモデルが頻繁に出る銃業界では,売る側が知らなくてもあえてそう応対するのが通例となっているということを,この映画で初めて知った。キャメロンは細かい部分をいじくるのが好きですね。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-07 10:11:09)(良:2票)
18.  セルラー
導入部でどこのオバハンかと思いきや,えっ,キム・ベイシンガー?よもやこんなに老け枯れて(こんな風にしか表現できない)いたとは……。彼女に特別な思い入れがなくてよかった。でなければ,この映画を嫌いになるところだった。それはともかく,なかなかの掘り出し物でした,これ。細かいディテールとかバックボーンとかを,あえて切り捨ててまで監督が見せたかったもの,それは観客をほいほいとノセていく掟破りのテンポに他ならない。あ~れ~という間もなく非日常に巻き込まれていく速度は,記憶にある限りで本作が最速だ。かといって,致命的な破綻も見あたらない。だからあそこがあーだ,ここがこーなってないなどと考えるのは少々野暮な話で,ここは一つ,ジェットコースターに身を任せてみようという気になる。少なくともこういう映画で90分を過ごしても,“金返せ”とはならないでしょう。8点です。最後のスタッフロールでニヤリ。
[DVD(字幕)] 8点(2006-01-06 15:50:11)
19.  フォーン・ブース 《ネタバレ》 
低予算かつ短い撮影スケジュールとくると,次は“やっつけ仕事”となるのが相場だが,それらをむしろ逆手にとった設定。金と時間,どれも手駒にしては少ないというハンディに無理矢理直面させられたのか,あるいはあえて挑んだのかはわからないにせよ,一発かましてやろうというスタッフの意気込みを感じる。なかなか楽しめました。ところで作中,ポルノ王と会社重役を殺したのは俺だ,と犯人は言っていた。でもはたしてそうかな?ちょっと疑問。主人公スチュは不遜で人品卑しい男。まぁ,いけすかない奴だが,人は大なり小なりああいう面があるとすれば,彼は社会悪の象徴とはとても思えない。犯人はやたらスチュの妻への不義理に拘って,それをターゲットにした理由の一つにしていたけど,いかにもとってつけたようで……結局,あの街に住む者なら誰でもよかったのでは,と思う。ただ無作為に選んでおきながら,その相手を十分リサーチしたり,たまたま状況に割り込んできたチンピラ兄ちゃんを容赦なく殺したりするところに,電話の男の本当の異常性が見える。人が次第に袋小路に追い込まれもがき苦しんでいくのを,嬉々として自らの糧にするような,そんな怖ろしさを観ていて感じた。ラスト,犯人の顔見せは余計。7点。
[DVD(吹替)] 7点(2006-01-02 22:55:06)(良:1票)
20.  トイ・ストーリー
Pixerは大したものだ。今のところ全戦全勝ではないだろうか。クォリティに若干ばらつきはあっても(絵ではなくて),大はずれがないという点で誰にでも安心して薦められる。特にこの「トイ・ストーリー」,何度観ても面白い。この魅力はどこからやってくるのか。精緻を極めたそのCGか?それとも軽妙洒脱なセリフ回しか?何だかどれも違うような気がする。その本当の答えとは,とっくにオッサンになった私などではなく,率直な眼で物事を見渡せる子供だけが知っているのではないか。この作品を好きにならない子供が世界に何人いるだろう。そしてお気に入りだったオモチャをいくつも置き去りにしてきた我々大人は,ちくちく痛み出す内心を隠してこの作品を子供に見せるのである。最後に一言。「ジブリさん,これがアニメだよ!」
[ビデオ(吹替)] 9点(2005-12-29 15:23:25)
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