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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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1.  MEMORIA メモリア 《ネタバレ》 
全体的に長回しが多くて、総カット数は少ない。だけどカメラがめまぐるしく人の動きを追うことはなくて、あくまで固定ショットとゆっくりとした移動ショットが主体。 舞台は南米のコロンビアですが、あえて観光名所的なところは外していて、どこか怪奇現象ドキュメンタリーのようなところがある。 ジェシカ (ティルダ・スウィントン) の風貌がどこかオカルト風なのも、うまいキャスティングではないだろうか。 そして、映画を包み込むような静寂の中において、ジェシカの脳内に響き渡る怪音、無機質な機械音、人間による楽器の演奏、、ありとあらゆる「音」だけが異彩を放ち、映画にリズムを与えているような節がある。 あの「音」が何に聞こえるかもそうだが、個人的には、この映画自体が「心理テスト」のようなものと思っていて、観た人それぞれの心が感じたもの、それが答えでいいと思ってる。例えば私なら、この心理テストから浮かんだのは、これはジェシカにまつわる輪廻転生と、その既視感 (デジャヴ) の物語。これは音によって導かれた、ジェシカの前世を巡る旅、と考えている。もしかしたら、ジェシカは、頭蓋骨に穴の空いた太古の少女の生まれ変わりなのかもしれない。だから、あの「怪音」は少女の頭蓋骨に風穴を空ける音か、あるいは、この化石を発掘した掘削機の音である、と私は勝手に想像するが、全ては憶測の域を出ない。(だが、そう考えることによって、この得体のしれないストーリーは、つじつまが合う気がしている) 魚の鱗を取る男のエピソードはこれから考えるとして、飛び立つ宇宙船の遊び心にはジャ・ジャンクー監督「長江哀歌」へのオマージュを感じた。 この世には、化学では説明のできない "何か" が存在すると思うし、そういう知的探究心のある方には強くオススメしたい映画ではあると思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-05 11:08:53)
2.  湿地
湿地・ビッチ・墓荒らし・写真・骨・脳みそ・レイプ・ネズミ・悪性遺伝・アインシュタイン・・・・ キーワードだけ並べても意味不明だろうが、アイスランドに行きたくなるようなお話でないことだけは確かである。 しかし、人間たちが汚らわしいおかげで、その風景だけは、あまりにも尊く美しく感じてしまった。 主演の刑事や犯人一味のキャラの濃さは、ある意味ではストーリー以上にインパクトがあったかな。 そうそう、まだ未見の方、くれぐれも食事中に鑑賞しないように。でも登場人物たちがやたらとよく食うんだよね、、よりによって骨付き肉とか、それもうまそうにむしゃむしゃと、まるでジブリ映画のように、、嫌がらせですかねぇ・・。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-10-12 23:43:55)
3.  希望の灯り 《ネタバレ》 
思い出したのは、アキ・カウリスマキ監督の映画と「アスファルト」。 映画の舞台がほぼスーパーマーケットの資材置場という、たいへん思い切った脚本。彼らの住まいはほとんど登場しません。よく、退屈やルーティンの隠喩として職場 (とその作業) が繰り返し登場することはありますが、本作はそれを逆手にとった面白い発想と思います。職場こそ楽しい人生、行きたくない「家」という。 ブルーノが東ドイツ出身ならば、クリスティアンは西ドイツ出身だろうか? ソ連によって西と東に分断された、再統一した、そういう国の一方的な事情に翻弄されて職を失った者、あるいは奇しくも芽生えた出会いや連帯感といったものを、寒々しい旧東ドイツの郊外に垣間見た気がしました。 場面の乏しさや会話の少なさはキライではなく、むしろ好みではありますが、どうにも残念なのがこの邦題。せっかくの個性的で素晴らしい原題が台無し。 直訳こそ名邦題、過去の名作映画を観ればそれがわかるでしょう?
[DVD(字幕)] 6点(2021-01-12 12:19:00)(良:1票)
4.  メランコリア 《ネタバレ》 
鬱病の話は散々出たのでもうやめておこう。 これはつまり、巨大惑星メランコリアを男性になぞらえた、壮大な愛の物語だ (笑) 全ての発端は、ジャスティンの「誘惑」だ。誘惑と書いて字の通り、彼女の美しい裸体が惑星を誘う。彼は地球の近くを素通りするつもりが、素っ裸で森林浴をする彼女に気づいてしまった。地球上で最高の「美」を見つけてしまったから、さあ大変。彼女に一目惚れしてしまった彼はしばらく悶々と地球付近に停滞したが、彼女の求愛サイン (枝のヤツ) にとうとう抑えきれなくなり、まっしぐらに彼女のもとへ、、 メランコリア (鬱病) とジャスティン (鬱病) は抱擁し合い、その愛は地球を救う・・・ どころか、その愛は地球を破滅させてしまった。 色々な警告だろうな、さすがは、ラース・フォン・トリアーだ。
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-22 02:21:35)
5.  ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ) 《ネタバレ》 
リリとハーゲンが小高い丘の上から見下ろす風景の美しさに息を吞むとともに、あぁこの瞬間が少女と犬にとって幸福の絶頂なんだなあ、と予感めいたものが確かにありました。 そのハーゲンが捨てられた直後、いったん彼目線の展開になるので、このまま「銀牙-流れ星」のような犬目線の冒険活劇になるのかな (笑) と思いきやそうでもなく、なかなか壮絶な人生、、ならぬ犬生ではありました。 どうしても犬の殺処分ばかりを問題提起しがちですが、そもそも血統書付きと雑種を区分けしたり、リリを「ホワイト・ゴッド」と称するあたり、人間が気づかぬうちに血によって「命」の重さそのものを値踏みしている事実、その警告が含みとしてありそうです。思えば、冒頭の白衣に飛び散った食用牛の血、拭っても消えないその濃さが、本作の根の深さを暗示しているようにも思えます。 市街地を疾走する野犬の群れはスペクタクルではあるし、トランペットの音色が実は重要な伏線であったり、映画としてツボは外していないと思います。 ただ、本作は怒りとか悲しみとか、そういった心が揺さぶられるような感情はなかったです。 知っていながら見て見ぬふりをするしかない、というやり切れなさ、そういう嫌な部分を見透かされたような、そんな心境になりました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-06-19 22:47:55)
6.  ハッピーエンド(2017) 《ネタバレ》 
題名に嘘偽りなく。トランティニャン爺がこの結末を自ら望んだのだから、彼の主観的に見るならば、紛うことなきハッピーエンドなんでしょう。そして、誰もが羨む金持ち一家が迎えた終焉ということで、客観的には "他人の不幸は蜜の味" というハッピーエンドでもある。そこが、ハネケのイヤラシイところ。 しかし、これをSNSというフィルターを通して見れば、少女が見ず知らずの車椅子の老人を快楽的に海に突き落として動画撮影しているようにしか見えず、残念ながら当事者たち以外には「ハッピーエンド」には全く見えない。 要するに、世界中に溢れる芸術性のかけらもない稚拙な映像作品によって、意図的あるいは偶発的に真実が歪曲されて伝わること、そこをハネケは警告しているのだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2020-06-01 14:07:41)
7.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
物語半ば、ゼヴの奏でるピアノの美しい旋律。 でも、その姿は上流階級者の風格が確かにあって、かつてアウシュビッツに収容されていたユダヤ人には見えないというか、、とにかく違和感を覚えました。このあたりから、彼自身の、まさかの正体を疑ってしまったのです。だから、個人的にはどんでん返しとは言えるような驚きはなかった。 しかし、それが低評価の材料にはならないほど、本作は人間たちのドラマに感動し、心を打たれるものがありました。理由の一つとして、かつてトラップ大佐を演じてナチスに反旗を翻したクリストファー・プラマーと、まるで使命のようにヒトラーを演じたブルーノ・ガンツという、この歴史にゆかりの深い名優が演じたことが大きいと思う。 これは、最後まで生き残ったナチスの残党二人が、自らその歴史に終止符を打った、という物語。(と思いたい) 「だから彼ら (ナチスの戦犯者たち) を追うことは、もう終わりにしてほしい」 名優二人は、そんな願いを役に込めたような気がしてならない。
[DVD(字幕)] 8点(2020-05-31 22:44:24)
8.  ギャング・オブ・ニューヨーク
できれば、"ネイティブ・アメリカンズ" と "デッド・ラビッツ" のグループ抗争にもっと焦点を当てて、クライマックスでダニエル・デイ=ルイスとリーアム・ニーソンの名優二人による決闘がいい。  これを合わせて160分ほどにのばして、デカプリオとキャメロン・ディアスの出演シーンを6分程度に圧縮したディレクターズカット版がぜひ観たい。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-05 21:46:05)
9.  知らなすぎた男 《ネタバレ》 
冒頭の空港スタッフとの全くかみ合わない会話。もちろん、 本人はかみ合ってると思っています。私的にはもう、これでつかみはOK。そして、弟宅のメイドさんをいきなり抱擁する壮絶な空気の読めなさ。色々とウォレス・リッチーという男を紹介する入り方としては上々で、巻き込まれていることに最後まで気づかない巻き込まれ役、としての資質は充分、ということを概ね理解させていただきました。 もちろん、随所で気の利いたアドリブがパッと出るのも、彼が役者志望の映画好きということで説得力を持たせています。 そしてストーリーについては、皆様が言われている通り。あり得ませんね、堂々たるコメディです (笑) 何しろ弾に当たらないし。でも極めて低確率の超偶然が何十回と続いていく展開であって、決して超常現象が起こるわけではありません。 だからこのストーリーが成立するのは確率0%ではないのが本作の面白いところ。現実でもいつか世界を悪の手から救うのは、意外とこんなヤツ、かもしれません。 さあ、みなさんも一緒に、Let's ポジティブシンキング!!
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-29 00:01:13)
10.  エル ELLE
ピンポイントで。個人的には一堂全員集合の食卓のシーンが映画的高揚の頂点でした。この場面、敵対心、嫌悪感、倒錯した愛、、それぞれの思惑を想像するだけでハラハラ可笑しくて仕方ない。もちろん、この楽しいお食事会に向けて、ここまで登場人物たちのしがらみをしっかりと描いてる。あとは冗長ぎみでちょっと長いかな、って感じなのですが、そこは眠気覚ましにおっぱいが登場するいつものバーホーベン、最後まで楽しませていただきました。ちなみに、キリスト教には "隣人愛" という教えがあります。他者への愛、身近な人々への愛、の意味なそう。でもその愛のカタチについては述べられておらず、そのカタチは人それぞれということでしょうか (笑)
[DVD(字幕)] 7点(2019-08-30 10:50:16)
11.  パイレーツ・ロック 《ネタバレ》 
この人たち毎晩飲んだり食ったり騒いでいるけど、散らかった後片付けはしないの? みなさん、いつもお洋服キマッていますが、洗濯はいったいいつやってるの? ビル・ナイの高級スーツはいつクリーニング出してるの? まぁ家事全般はいいや。でも船なんだから舵取りしてる人を一回くらいは映そうよ。表面的な部分ばかりで船上の生活感が一つも感じられないと言うか、、序盤でそのへんが気になると最後までダメですね。設定上、頭の固い体制側の人は必要でしょうが、悪役ポジションの存在に対して和解するなり罰を与えるなり、オチがないのも気になりました。生命線である音楽すら、ロックだロックだと叫んでいるだけで、まるで心に響いてこないのはなぜだろう? 確かに曲はよかったですが、それは単なるBGMとしてです。自分には合わない映画でした。
[DVD(字幕)] 3点(2019-07-14 13:10:26)
12.  パターソン 《ネタバレ》 
アダム・ドライバーがパターソンの街でバス・ドライバーのパターソンって (笑) 遊び心がすぎるぞ、J・ジャームッシュ。 かつての彼の映画は、ビリビリとした個性を放っていて近寄りがたい空気があったものだが・・。今作はずっと優しく温かくて、監督ご自身が丸みを増したかのような印象を受けました。 家と通勤路、バスからの風景、BAR、滝を望む公園。陽光、行き交う人たち、色づく街路樹。さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。大きなドラマはないが、一画一画がとても洗練されていて、まるで写真集のページをめくっていくような味わい深い映画でした。 一つ、インパクトのある台詞があります。「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」 これは、音や韻が持つ響きも含めて "オリジナル" を愛せよ、と解釈したい。 そして本当の個性とは、個性的なことではなく変わらないこと。 一見すると変化しているように見えて、変わらないその本質は、J・ジャームッシュのスタイルそのものです。
[映画館(字幕)] 7点(2017-10-10 00:20:37)(良:1票)
13.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
結局、映画にとっても4人にとっても、こどものけんかは口実なんでしょう。全員、議題(こどものけんか)よりは、初めから自分たちのメンツや虚栄心が重要であることが丸出し。こんなおとなたち、本当見ていて恥ずかしいわ、、と思ったら監督の思惑通り。なぜならこれは、人の振り見て我が振り直せの映画なのだから。個人的には、議題には全く無関心だったアランが、マイケルの秘蔵"ウィスキー"には突然関心を示す、といったところは最も笑えました。(酒をみた時のC.ヴァルツの表情だけでプラス1点笑) その後はおとなたちが酒に飲まれる怒涛の展開。おそらく酒で痛い目にあったことがある人は、ひきつった顔をして笑っていることでしょう。やがて映画は、着地点を見失った"大きなこどものけんか"へ。ラストはけんかの真っ最中に、場面が突然公園に変わるちょっとスッキリしない終わり方。仲直りしたこどもたちが部屋に入ってきて、「けんかはやめようよ」と言ったら拍手でしたが。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-10 11:38:22)
14.  ヴィクトリア(2015) 《ネタバレ》 
まずストーリーに目新しさは全くない上、展開も取り立てて面白くない。そもそも、ワンカット撮影って、この映画の最大の見どころを事前に種明かししたようなもので、考えてみれば何だかもったいない。この撮影手法を知らずに観始めて、まさか、まさかこれは・・!と途中で気付く方が衝撃度も鑑賞後の満足度も大きかったと思う。でもワンカットってことは、この出来事=映画の上映時間(140分)ってことですよね?嘘だよ~たった140分でこんなにあれこれ起こるはずがない、絶対にどこかで編集ごまかしてる(笑)
[映画館(字幕)] 4点(2017-04-19 22:51:51)
15.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
医学的、宗教的な観点からすると難しいテーマであったと思いますが、本作はそれらはさておき(難易度の高い手術の描写も最低限だったように思う)、ある二人の夫婦に突然訪れた一つの出来事として、主に二人の心の葛藤だけに焦点を絞って描いています。途中までは淡々とした気持ちで観ていたが、ゲルダがリリーに抱いていた感情が、異性に対する愛情から、やがて母性愛に近い感情へと変貌してゆく後半からは、心が締め付けられるように切なくて苦しかった。二人は過酷な境遇に立ち向かい、もがき苦しみ悩みながらも生きて、永遠に別れるその最後まで決して自分たちの生き方に後悔はしなかったと思う。だからこれは悲劇のようだが、力強い"人間賛歌"でもある。なお主演はエディ・レッドメインとなっているが、この映画はアリシア・ヴィキャンデル(ゲルダ)の物語。リリーに芽生えたある複雑な心と、その全てを深い愛情で包み支え続けた、ゲルダの献身と葛藤の物語といいたい。"真実の愛"とは、相手の容姿や性別だけではなく、心を愛し痛みや苦しみも共に分かち合うもの。リリーはゲルダのすべてであり、ゲルダは、"リリーのすべて"でした。
[映画館(字幕)] 7点(2016-03-20 17:23:32)(良:1票)
16.  あん 《ネタバレ》 
木々を揺らす風、踏切の音、鳥の囀り、耳元で囁く声。そして、"あん" が煮立つ音。その音はどれも心地よく、目をとじていても、すぅっと心の中に入ってきます。これはとても "音" にこだわった映画だと感じました。まるで目の不自由な方でもその情景が浮かぶほどに。樹木希林さん演じる徳江を店から追い払ったどら春のオーナーは、はっきり言ってこの映画の悪役です。確かに、誰にでも自分の人生と守るべき生活はある。なのになぜこれほど嫌悪感を感じるのか? それは彼女に "罪の意識" がないからです。どら息子 (甥っ子だったか?) を店にひっぱり込んで千太郎の真心を踏みにじるあたり、彼女に罪の意識というものは微塵も存在しません。千太郎には "罪の意識" がありました。何かに苦しむ人を救えなかったり、保身の為に見て見ぬふりをしたことに、罪の意識や自責の念が強い人ほど彼の涙に共感して泣けるでしょう。僕らが差別や偏見をもってきた人たちは、おいしいものや人の笑顔を好む、豊かな感性をもった普通の人々でした。救えなかったことが悲劇ではなく、それを忘却の彼方へと葬り去ることが本当の悲劇。我々は伝えていくことでしか償うことができないのだ。
[映画館(邦画)] 8点(2015-06-09 23:38:30)(良:2票)
17.  ナイト・オン・ザ・プラネット 《ネタバレ》 
人物とタクシー、真夜中の街の風景。ジム・ジャームッシュの映画って、さすが構図がとても洗練されていて、どこを切り取っても完璧に絵 (写真) になります。そこだけでまず楽しめる。その映像だけなら本作はシャープな印象ですが、でも人間そのものはとても可笑しくて温かみがあって、映画全体としては体温が宿っている感じ。地球上のどこか、真夜中のタクシーに偶然乗り合わせた二人。さて、二人はどこから流れ着いて、どこへ向かうのか? たった数分のエピソードでありながら、人物の描写にはそれを想像させるだけの奥行きを感じます。(ローマ編に約1名、これからの人生がない人がおりますが・・) それぞれ、車中の話題は他愛もなさそうにみえて、実は互いの本心や素性を探り合うような会話をしていて、最後にタクシーから降車した後にドラマが大きく動き出す、、という点もほぼ共通していて面白い。真夜中に観始めて、ウィスキーをちびちびやりながら楽しんで、映画が終わる頃に始まる夜明け、っていうのもいいかも。
[DVD(字幕)] 7点(2013-11-28 23:01:11)
18.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
難民問題や密入国といった深刻なテーマを扱いながら、そこまでの重苦しい空気はありません。いやむしろ、年老いたバンドマンに一曲まるっと演奏させたり(笑)、アキ・カウリスマキ監督ならではの遊び心が随所に効いていて、思わずニヤリとさせられる場面も多い。世界には深刻な(人権)問題は山ほどあり、私は映画を通じてそれを伝えたいが、やはり映画は娯楽であり楽しくあるべきである。こういった監督の流儀、映画を撮る上での哲学が本作でもよく伝わってきます。登場人物たちは総じて、人生の成功者ではないが人間味のある描き方をされていて、それはとても好感が持てました。そして淡々と観ているうち、黒人の少年が不意に言い放った「あなたのことは一生忘れません」の言葉には強く心を打たれました。本作に込められた、弱い者同士みなで助け合って生きていこう、というメッセージに私も心から賛同します。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-20 22:11:26)
19.  エスター 《ネタバレ》 
トム・ハンクス「ビッグ」など、大人の姿をした子供の話はとても夢のあるファンタジー映画。その逆に、子供の姿をした大人の話は悪夢のようなホラー映画にしかならないことを認識しました。どんでん返し、というよりはミスリードの仕方が秀逸だったように思う。パッケージや映画の雰囲気から、これは絶対に悪魔憑きの話と思ってましたから。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-10-08 21:41:10)
20.  マーサの幸せレシピ 《ネタバレ》 
私的、完璧な料理映画の一つ。 ドイツ人のマーサ。美人でシェフとしても一流、でも料理に対するプライドが人一倍高くて、他人と衝突することを恐れません。しかし、こっそりとカウンセリングに通っていて、弱い一面も併せ持つという、とても人間味のあるキャラクターになっている。 イタリア人のマリオ。得意料理も仕事ぶりも、性格も、何から何まで、マーサと対象的。陽気な彼の登場によって、店 (厨房) の空気のみならず、映画自体の雰囲気が劇的に変わった。彼は、得意のパスタで、心を閉ざしていたリナの心も開いた。マーサも、そんな彼に魅了され、次第に心を開いていく。 二人のキスシーンは、いつになくロマンチックだ。そういえば、音楽も上品で美しい。調べてみたら、やはり女性監督だった。本作は、女性ならではの「美的感覚」が随所で感じられる。見て、聴いて、感じて、食欲どころか、「五感」を満たしてくれる、幸せな映画だ。 おいしい「料理」は人を喜ばせ、やがて人と人を結びつけていく。料理は、国籍やパーソナリティを越える愛と友好のキーワードだ。 さぁ、この素敵な映画をぜひみなさんも、Bon Appetit!! と、なぜか最後はフランス語で締めくくることにしよう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-08-18 21:06:00)
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