1. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 いかにもといったモチーフをこれ見よがしに散りばめて社会批判、一丁上がり、最後はどうせ修羅場に持ち込んでお茶を濁すんじゃないの、という悪い予感はあったのだけど、実際にそういう展開になってしまうのを目にすると、つくづくウンザリしてしまう。一体、いつまでこんなコトやってんだか。これはもしかして、「オールド・ボーイ」病とでも言うべきものなのでしょうかね。 ただし、劇中では戯画化されているとは言え、ある種の真実がここに反映されていることは、確かでしょう。格差社会による貧富間の分断は、弱者が強者に寄生して他の弱者を蹴落とす「弱者間の分断」にまで至る。政治・経済の面では保守と革新が骨肉の争いを繰り広げて、李政権・朴政権が行った革新への徹底的な弾圧に対し、現在(2021年初頭)は文政権が保守に対し粛清と言ってもよいような弾圧を繰り広げている。末期を迎えたトランプ政権が引き起こした騒動は、世界を驚かせたけれど、これだって「韓国ではすでに何度も見られてきた」お馴染みの分断の一光景、と言えるのかもしれない。 「近代社会の崩壊」という観点では、おそらく、我々の隣国は世界最先端を走っている。そして他国もまた同じ流れを辿ろうとする以上、決して対岸の火事とは言い切れない訳で。そういう、時代の危機感とのリンクがあってこその、本作のパルム・ドールとオスカーW受賞なのでしょう。 [地上波(吹替)] 5点(2021-01-11 10:35:58)(良:2票) |
2. スノーピアサー
これは一種のシベリア超特急? 極度の階級社会である未来のディストピアを、走り続ける一本の列車内に設定している、というのが、誇大妄想というか、それとも誇小妄想とでもいうべきか、すでにやや陳腐なニオイを感じてしまうのですけれど、それはともかく。 この列車内という世界に、革命の動きが起こる。しかし、疾走する列車内、という感覚は、音からも揺れからもまるで感じられず、なのにいざ暴動が発生すると、これでもかと義務のようにカメラを揺らしまくり、ここまで律儀に揺らしてくれると、つい笑ってしまいます。 途中、段取り良く登場人物たちが一人また一人と斃れていくのは、『ポセイドン・アドベンチャー』も同じようなシステムでしたけど、あちらはそのシーンすべてが印象的だったのは、人物の描き方のうまさでしょう。本作のこの雑なキャラたちの雑な死に方とは大違い。一方では、死んだのかと思った実はヤツが生きている、どころか、自分がさっき刺されるなり撃たれるなりしたことを憶えてないんじゃないのか、と思えてくる場面もあったりして。 列車映画の楽しみってのは、列車の上を歩くとか・列車の側面にしがみ付いて窓から窓へと伝っていくとか・流線形の機関車前面にへばりつくとか、そういうシーンのヤミクモなカッコよさにあったりする訳で、せめてそういう楽しみが本作にあればもうちょっと見どころもあったのでは、と思うのですが、登場人物たちが車内に居続けて(しかもあまり車内には見えない)、列車の疾走する「勢い」のようなものがまるで感じられない本作、勿体なあとも思うのですが。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2019-12-30 10:35:28) |
3. シンクロナイズドモンスター
《ネタバレ》 どうせ誰も見てないと思って自堕落でヤサぐれた生活送ってたら、誰も見てないどころか、地球の裏側では自分の行動が、怪獣によって完全コピーされており、衆人環視の中で大々的に披露&大勢の人々に迷惑にかけちゃってる、というワケですが。 このアイデアだけ見れば、よくこんなコト思いつくねえ、と感心もするのですが、映画自体はそこから伸び悩んだ印象。 主人公がアン・ハサウェイで、本来ならアルコールでグダグダになってるダメダメ女性の役柄のハズなんですが、まあ、美人過ぎですね(笑)。こういうタイプの役柄は、男性には割と受けがイイので、その分、女性からどれだけ反発を買うことか、想像するだにオソロシイ・・・。いずれにしても、題材にしては腐女子・汚ギャル指数はかなり低くって、「そんな指数が高かったら見る気が失せる」という声もあるでしょうが、タメが無ければ飛距離も出ない、という話もあります。 怪獣や巨大ロボは一応、それなりのCG描写でそれなりに楽しませてくれはしますが、怪獣映画としての本気度は(遠い異国の出来事として描いている点を差し引いても)あまり高いと言えず、少々踏み込み不足。では一種の女性映画として見ればどうかというと、さらに踏み込み不足で、いったい何が描きたかったんだ、と言いたくもなります。過去を「投げ飛ばして」オシマイ、って、そんなんでいいんですかね??? 怪獣が現れるのがソウル、ってのも何だか胡散臭くって、単に「日本=怪獣映画」のイメージにちゃっかりタダ乗りしてるだけの印象。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-22 13:56:18) |
4. 墨攻
最初は、何だかメリハリなく戦闘シーンの続くだけの映画かと思いながら観てたのですが・・・いやあ、最後はホント、感動しました。前半、立て込もり外敵との闘いを繰り広げた城、その光景がクライマックスにおいて、変容を繰り広げ(ナゼ水浸しなのか、などとヤボは質問は当然しない)、また登場人物たちの置かれた立場や互いの関係もまた激しい変化を見せる(支配する立場とされる立場が入れ替わること。また敵同士だった者が心を通わせること)。何と言うのか、前半においては、ある意味律義に死体の山を築き続けた映画が、後半、「解」を仄めかしつつも、もの凄いカオスとなっていく有り様に、何だか感動してしまったのです。あとこの映画、時々妙にクロサワチックなシーンがありますね。意識してるんですかね。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-08-06 09:32:42)(良:1票) |
5. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
Part I が「さあいよいよ決戦」みたいな終わり方だったのに、いざPart IIが始まると、いやあ結構引っ張りましたねえ。Part Iのクライマックスの合戦も、何だか弱い者いじめみたいで感じ悪かったけど、Part IIも、散々引っ張った挙句、合戦が始まる頃には、何となくすでに決着がついてしまってるような印象で、やっぱりヤな感じでした。 [地上波(吹替)] 4点(2011-06-06 21:03:20) |
6. レッドクリフ Part I
監督はジョン・ウーだそうですが、“製作ブラッカイマー、監督マイケル・ベイ”というノリの映画ですね。「どこまでが実写でどこまでがCGか分からない」とは言っても、決してCGの出来が良いからではなく、実写も含めて何でもかんでもCGに見えてしまう、この印象の軽さ。マズいでしょう。超大作と銘打っておきながら、こうも変テコな出来だと、ワザとやってるんじゃないかと疑ってしまう。と言う訳で、なぜこんな変な作品になってしまったのか、事件・事故の両面から捜査中です。 [地上波(吹替)] 4点(2011-06-06 20:56:20)(笑:1票) |
7. グエムル/漢江の怪物
《ネタバレ》 「CGってすごいね、ボク達にも怪獣映画作れちゃったよ」みたいな感じの映画で、何がしたかったのやら、よくワカリマセン。モンスター映画として観れば明らかにヘンテコ、じゃあモンスター映画の形式を借りて何かを表現したかったのかというと・・・やっぱり上記の「 」の通りなのでは? と言う訳で、以下ぼやき。①怪獣が怖くない。行動が何となく読める。②そもそも、怪獣ほったらかしで、ウィルス騒動ばっかし。その肝心のウィルスが嘘でした~って、そりゃ殺生やで。③3人きょうだいとオヤジが怪獣退治。主人公連中のせっかくの冴えないキャラが、いい味出す間もなく、銃を平気で振り回す。つまらん。④特にポンコツの長兄。体力だけはピカイチらしいのは、最初の怪獣登場シーンでわかるけど、物語を通じた彼の成長って、「寝ないで店番できるようになりました」だけかいな。⑤プレッシャーから金メダルを逃すアーチェリー選手の妹。しかしそのエピソードから何のトラウマも受けず、アーチェリーを平気で振り回し続ける、盛り上がりの無さ。ラストの火矢なんぞミエミエ以下で背中がむず痒くなっちゃうぜ。⑥娘に新しいケータイを買うために貯めていた金は、「カップ麺の中の小銭」だった。じゃあ、映画のどこかで、それを取り落して小銭をぶちまけてしまうシーンでもあるのかと期待したけど。賄賂としてこっそり人手に渡すだけとは(それも無理やり入れたような場面だしなあ)。ついでに言えば、この雨の中の車中シーン、車が走ってるのか止まっているのか、よくわからんのだが。もうちょっとうまい撮り方は? ⑦ラストの怪獣との死闘。そこに至るまでの本作には色々と非日常的な場所にもカメラが入るシーンもあったのに、これまた平凡な場所で戦うもんですなあ。⑧突然参戦する謎の浮浪者。これが噂の、大日本人ならぬ、大韓国人なのか(デカくは無いけど)。⑨結局、あの猛毒の薬を撒いて欲しかったのでしょうか、撒いて欲しくなかったのでしょうか(薬が撒かれる事に関しては、唐突すぎで説得力無し。なのに、この薬のおかげで怪獣を仕留められたようなもの)。⑩まだ文句を言いたい点があった気もしますが、それでもいくつか、印象的なシーンも、あるにはあったのです。次はいっぺん、CG抜きでじっくりと怪獣映画を作ってみては?? [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-01 11:05:04) |
8. 我が心のオルガン
結構ベタなオハナシで、ヌルイと言えばヌルイんだけども、どこか懐かしいテイスト、美しい風景にも支えられ、いやいやこれ実はイイ話なんじゃないか、とも思えてくる、なかなかの作品。田舎に赴任してきたオボコ顔の小学校教師、イ・ビョンホン(うわー若いー。きゃー)。主人公の年増小学生の少女はビョンホン先生に恋心を抱くが、ビョンホン先生は別の美人教師に好意を抱き・・・という、ウレシハズカシ赤面モノ、しかし「ちょっと意外な」予想通りの展開あり(?)、思わぬスペクタクルあり(?)で、目が離せない。映画を通じ、LPレコードという小道具もうまく使われ、背景の季節の移り変わりも美しく、魅力的です。タイトルの「オルガン」はサホド活躍しませんが・・・。前半イモっぽかったビョンホン、ホントに素でイモなのかと思いきや、やはり役作りだったようで(当然か)、後半では先生らしい顔立ちに「成長」してくれます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-04-23 13:16:34) |
9. オールド・ボーイ(2003)
裏には裏があり、底には底がある二重三重のストーリー構成、どこまで行っても逃げ切れないような泥沼の世界には、正直唸らされました。それにまた、カッチョよいのよね、場面場面が・・・と言って素直に面白かったと言って終わりたかったのだけど、さすがにクライマックスは「やり過ぎ」、ここまでくると白けてきちゃいました。残酷描写に頼った衝撃は(特に繰り返しの鑑賞には)威力を損ねやすいもの。せっかく「カッチョええなあ」と思って観てたシーンの数々が、遡ってどれもこれも嘘臭く感じられてきちゃったのよね。ああ、あのタコの踊り食いも、所詮はコケオドシだったんだよなあ、と、醒めた気分で思い返してしまう。さらには、「ウヒョウヒョ、これ、グランプリ、決定ね。誰か文句ある~?」とか言ってタランティーノが喜んでる光景すら想像されてしまう。というわけで、残念な部分の残る映画でした。とは言っても、観終わってから、(最近はロクに聴くこともなくなった)ヴィヴァルディの「四季」の「冬」をフト無意識に口ずさんだりしてた私。やっぱり、この映画、カッチョよかったのは間違いないんだね。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-02 23:22:31)(良:1票) |
10. 純愛中毒
《ネタバレ》 ドラマ『美しき日々』の室長役で全国のマダム(ウチの奥さんを含む)のハートをわしづかみにした韓流スター、イ・ビョンホン主演の問題作!(以下、妻に倣い、ビョンビョンと呼ぶことにする。トホホホ) 観ながら、「まさか、こ~んな感じのオチだったりしてねえ、うひょうひょ」と冗談で言ってたら、なんと、まさにその通りの展開となり、何だか嬉しくなっちゃいました、うひょひょ。偶然、兄弟で同時に遭った事故、ビョンビョンはナゼ、兄も自分同様に事故にあったと知っているのか?しかも実際は兄は昏睡状態だったのに、死んだと思い込んでいたのは? こりゃまさか、兄の事故そのものが、ビョンビョンの仕組んだ壮大なスリ替わり計画の一端だったりして、と深読みしてしまった私、これはさすがに深すぎました。兄の私生活に詳しいのは結構だが、「机の下のコイン」まで知ってたら、こりゃマズイでしょ。それにスピード馬鹿のビョンビョンが器用な兄に成りすまし続けるのも、「兄嫁さんが余程ニブくなければ」まず無理でしょう。ミステリでこんなミスディレクションかましたら、読者にボロクソ言われまっせ。それに、こんな回りくどい責め方するより、自慢のキラースマイルで兄嫁に正面からアタックした方が100倍くらい成功確率高そうなんだけどなあ。というわけで、ストーリー的にはどうにも納得いかず、ビョンビョンの魅力の面でも、単調な表情でイマイチ、演出の面でも、あんまり感心しなかった、そんな映画だったのですが、それでも、ラブシーンはなかなか良かったですねえ。決してイヤラしく描くことなく、(夫なんだけど)夫でない男性に身を任せていく、誰も知らない二人だけの静かな夜の片隅、その物悲しさというか、切なさというか、をじっくり描き、ここだけはなかなか美しかったですぅ。さすがビョンビョン! [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-12-11 22:43:59)(笑:1票) |
11. ペパーミント・キャンディー
よく、悲しい結末の映画を続けてもう一度最初から観ようとする時、2回目は冒頭を観ただけで悲しくなってきます。結末を、私は知ってて、主人公は知らないわけですから・・・。この映画は、時間の流れと逆にエピソードを並べることで、それに似た感覚をもたらしてくれます。不必要にトリッキィな伏線を張らず、淡々とした語り口であるのが効果的で、好感が持てます。が、その分、観終わった時のダメージも大きいです。 8点(2003-06-01 00:45:41) |
12. 外人球団
以前、「恐怖の外人球団」というタイトルでビデオが出てたようです。原作は漫画のようで、ものすごいスポコンものに仕上がっています。映画の技術は素人の私が見ても明らかに発展途上。ヘンテコなシーンも数限り無く。でもいいじゃないか。これは熱い、とにかく熱い映画です。ラストは、予想できませんでした(そりゃそうだ)。 7点(2003-05-16 22:54:14) |