21. 口裂け女2
《ネタバレ》 「2」となっているが、前作とはまったく違う映画です。前作では“口裂け女”をオカルトホラーの対象として扱っていたけど、今作にはしっかり実体がある。明るく健康的な少女が、ある事件をきっかけに、不幸な坂を転がり落ちて行きます。結果として彼女が“口裂け女”になるんだけど、原因となったその事件は彼女と関係のない三角関係から起こり、地方都市らしい噂の拡がりが彼女を追い詰める。もう、不条理感たっぷり。とどめは肉親の裏切り。絶望的な青春映画という趣きで、見応えは救いが無いところ、という類いの映画です。彼女の精神が壊れ始めて、身の内に“口裂け女”が育って行くところの見せ方が上手い。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-19 01:14:47)(良:2票) |
22. クローズド・ノート
《ネタバレ》 引っ越してきた部屋にあった前の住人の日記を読んでしまうエリカ嬢。そこには彼女が目指している教職に就いている女性が、一人の男性への想いを綴っていた。エリカ嬢はその記述に共感し、アクションを起こす勇気をもらう。まぁ、同じ男を好きになっていたんだから、共感するのも当たり前か。あるコンテンツから何かを得るかどうかは、そのコンテンツに共感するかどうかと同義だと思う。ご大層な中味であっても、共感しないと自分の中を素通りするだけ。エリカ嬢は、教職という仕事と片想いの進捗に痛く共感して、色々なものをあの日記から授かったようでした。ちなみに、自分の名前が隆(リュウ)という字を使うタカシなので、伊勢谷友介の素性はすぐにバレました。そこが分かると伊吹先生の去就に関しても同様です。そもそも、日記を取りに来ないことが変だ。ほとんどの人が途中で気づくオチですが、それがこの映画の評価を下げることはないでしょう。小学生に戻って伊吹先生に教わりたくなる映画でした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-08 04:16:28)(良:1票) |
23. 黒い家(2007)
微妙だなぁ。どうしても原作との比較になってしまうんだけど、主人公の不幸な過去を挿入することで全体的に丸くなった気がします。物語に厚みを持たせたかったのだろうか。主犯の姉ちゃんの壊れた人間性だけで突っ走って欲しかった。コメディに見えかねない日本版の印象よりは、底冷えのするホラーにはなっていますが、異物混入で怖さの純度が薄まった感じです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-15 02:22:19)(良:1票) |
24. クロスファイア(2000)
《ネタバレ》 登場人物全員が少しずつ頭が悪い。極端に悪い奴はいないが、みんな平等に仲良く頭が悪い。例えるなら、かつての社会主義国家が国民に不幸と貧乏を平等に分け与えているみたいである。で、女性主人公もその頭の悪い人たちの中に入ってしまうので、イマイチ盛り上がりに欠ける見応えでした。 宮部みゆき原作の最初の映画化が本作のようです。読み物としての作品数やレベルを考えると、満足に映像化された作品がほとんど無いことに驚きます。面白そうな原作を適当に映像化してしまう。宮部さんは邦画の悪しき慣習の被害者かもしれません。 [インターネット(邦画)] 4点(2022-02-19 05:28:53) |
25. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード
《ネタバレ》 悪フザケが多いシリーズではありますが、本作は特に悪フザケだけで固めたような内容でした。でも、濃いゲストキャラがたくさん出て来て楽しかったです。個人的には「地獄の黙示禄」のサーフィン好き中佐がイチバンかな。あの自分勝手で超然とした特徴を上手く誇張していました。あり得ないことのオンパレードですが、幼稚園児が大人より速く自転車を走らせるような「ありえなさ」は好きじゃないです。体力勝負的な部分をもう少し工夫して欲しいところです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-04-04 02:17:31)(良:1票) |
26. 狂った果実(1956)
う~ん、特になにも感じなかったです。時代が変わったってことでしょう。50年以上前の作品だけど、たぶん30年前に観ていても、感じるものは無かった気がする。旬が短い映画だったんじゃないだろうか。中平康監督の絵作りにはセンスを感じるが、登場人物たちの行動にはリアリティが感じられない。彼らの階層がごく限られた富裕層というのもリアリティ欠如に繋がる要因。後に不倫大王になる津川雅彦のウブさに笑ってしまった。そう、誰でもその日までは童貞なんです。本作の北原三枝さんは榮倉奈々に似ている、って順序が逆か。榮倉奈々が似ている。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-01-14 00:51:28) |
27. クレヨンしんちゃん オタケベ!カスカベ野生王国
《ネタバレ》 環境問題をテーマにしています。ちょいと不謹慎発言ですが、エコエコと小うるさい世情に窮屈を感じる者の気持ちを代弁している内容ですね。官庁や大企業の四角四面な環境への傾倒に画一的で表層的な印象を持つ自分には、無駄遣い大好きのエゴ丸出しネエちゃんが爽快だったけど、掘り下げの浅いサブキャラに過ぎないことが残念でした。ストーリーには疑問符が付きます。ヒョウ(?)になったみさえがしんのすけをいたぶるシーンなんて残酷で観てるのが辛くなった。児童虐待をアニメでやるな。スキンシップで母子の絆を取り戻すにしても振り幅が大き過ぎます。最後は例によって家族愛で勝負する野原一家だけど、環境やエコを大義にしている相手に対して何ひとつ回答せずに戦闘に持ち込んだだけで、戦いの意義が見えません。テーマという意味では焦点がボケてスッキリしませんが、これを観た子供たちが2~3日なら無駄遣いを意識した生活をするような気がしたので、最後に1点プラスしました。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-04-27 22:09:30) |
28. クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦
《ネタバレ》 途中までは良かったけど、不健康ランドあたりからトーンダウンして、家族が変身して戦うところで平均点を割りました。このシリーズはどれも設定が荒唐無稽ですが、日常性を担保するさじ加減で作品の良し悪しが大きく変わる印象です。ただ、年代的に楽しめるポイントは盛りだくさんでした。丹波哲郎が温泉の精・タンバを丹波哲郎らしく演じたのは大笑い。改めて丹波哲郎という個性の偉大さを教えられました。アドリブっぽく「ジェームズ・ボンドと風呂に入ったことがある」って言ってましたが「007は二度死ぬ」で確かにショーン・コネリーと一緒にスパでマッサージを受けていましたね。自衛隊が怪獣大戦争マーチを鳴らし、ロボットがゴジラのメインテーマを鳴らす。伊福部音楽の代表格を競奏させる。埼玉ローカルの地名を散りばめながら東宝怪獣映画の定番描写がたくさんプロットされて、ファンにはたまらないサービスでした。このあたりは毎度のことながら劇場へ同伴する親世代を意識してモチーフを選んでいて嬉しくなる。そのセレクトが秀逸だっただけに、ラストのつまらない戦闘が惜しいです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-02-01 00:43:47) |
29. 蜘蛛巣城
《ネタバレ》 このところ、黒澤映画に出始めた頃の三船敏郎を何作か見ていたけど、現代劇より時代劇の方が世界観の中にしっくりと納まる。基本的に、武士という空気を纏っている人だったことが良く分かる。実は奥方が物の怪かと思っていたんだけど、後半は出てこなくなり、いつの間にかノイローゼになっていて残念でした。その欲深い奥方にそそのかされるところが面白かったくらいで、自分にとって他には特に観るところなし。真面目で忠勤に励んでいた武士が権勢欲に囚われ道を踏み外すような描かれ方だけど、戦国の世には普通にあることで特別とは思わない。いわゆる芝居がかったというか、歌舞伎の舞台でも観ているかのような間の取り方とか葛藤の見せ方にはちょっと辟易しました。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-01-01 15:33:56)(良:1票) |
30. 黒い家(1999)
普通にホラー映画として成立はしていると思います。大竹しのぶは頑張っていたと思います。でも、今作に関しては原作の良かった部分がかなり無くなってしまったことが残念ですね。怖さの質の話です。この原作を読んだときはとっても怖かった。怨霊やモンスターが出てこなくても、設定によっては人間が充分に怖い存在になるという点が原作の良さだと思う。常温で感じる怖さ。でも、この映画から受ける印象はコメディチックです。西村雅彦の壊れ方や内野聖陽の怖がり方が大げさ過ぎます。どこかに違和感があると云うより、あからさまに変な奴って感じ。その意味では大竹しのぶも、もう一息です。原作はゲテモノになる直前で社会派サスペンスホラーの風体を保っていて、それが評価されたと思ってます。そんな作品は日本ではあまりお目にかかれないので勿体ないです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-03-15 02:13:15) |
31. 口裂け女
《ネタバレ》 こういう映画はもう少し人の行動の必然を考えてもらわないと鑑賞中に興ざめします。サトエリが刺し殺した一人目の口裂け女が普通の主婦に戻った段階で、常識的にはサトエリは自分が犯した「殺人」に対して何らかのアクションをするはずです。何事も無かったように失踪児童を捜し始めるのは変でしょ。オイオイって感じです。口裂け女の隠れ家に捕らえられていた児童を保護した後、まるで口裂け女が現れるのを待つかのようにのんびりと行動しているのも変です。普通は急いで逃げるんじゃないですか。良く出来たサスペンスやホラーは、無用な不自然さを感じさせないものです。よろしくお願いします。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-09-27 11:23:34)(良:3票) |
32. クリーピー 偽りの隣人
《ネタバレ》 序盤から中盤、不気味な隣人像は上手く演出されていました。でも、怪しい奴がそのまま悪人だったオチにガッカリ。この犯罪が過去も含めて成立していたことへのシナリオ的説得力が壊滅的に不足していると云う感想です。 竹内結子は倦怠に付け込まれたと見えなくもない。でも、それなら西島・竹内なんて美男美女じゃなくて、もっと中年臭いオヤジとおばさんをキャストして貰ったほうがそれらしく映ったと思われる。ある意味ミスキャスト。刑事が死んで元刑事が怪しいと指摘しているのに、対応皆無の警察は無能が過ぎる。両親を殺された娘の行動原理も全く分かりません。竹内の慟哭でこの雑なシナリオが清算できるとは思わなかった。 マインドコントロールがキーワードになった犯罪がありました。それを映画にしたかったようです。でも、Wikiに依るとあの犯罪は主犯が周囲を主に性行為で操っていたように読めました。本作は性行為をクスリに置き換えています。甘々ですね。実際に起こった事件の方がよほど刺激的で映画的だったと思います。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-02-13 01:59:56) |
33. グッドモーニングショー
《ネタバレ》 業界の内訳的な映画でした。 バラエティと報道ってそんなに仲が悪いのですね。ふぅ~んって感じですけど理由は分からなくもない。視聴率を稼ぐためのジャンルとジャーナリズムの先端を矜持とするジャンル。相反する需要と内容です。 で、午前9時に始まるワイドショーはバラエティの範疇に入るらしい。ふぅ~んって感じですけど、報道側から見ると近親嫌悪なのですかね。 映画としては特に響くものが無かったです。立て籠もり犯の言い分に見るべきものは無いし、視聴者投票で彼を謀る局側の態度も(事情はどうであれ)褒められたものではない。あそこで「犯人死ね」の多数結果が公開されて実際に犯人が自殺したら、その後に起こるであろう騒動こそが映画で見たい内容だと思いました。 以下余談。中井貴一と時任三郎。この二人を一緒に見ると、私は世代的に「ふぞろいの林檎」の同級生役を思い出します。しかし、映画では一緒に見た記憶が無い。そこが気になって調べましたが(少なくともこのサイトのデータでは)映画ではなんと本作が初共演のようです。だから何だ、って話ですけどw [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-11-21 16:02:38) |
34. クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃
《ネタバレ》 異空間から転送されてくる怪獣。「パシフィック・リム」はこれをパクッたのか、なんて思ってワクワクしたんですが、そこからの展開が漫然としていました。特に中盤、ただ怪獣をやっつけるだけの展開にアクビが出ました。家が汚くなっても怪獣退治を「楽しむ」両親に、これはパチンコに執心して子供を駐車場の自動車に放置する親の話なのかと思ったけど、それは深読みでした。正義とは何か、みたいな命題を冒頭に掲げた割には、そこに着地した感がありません。世間に名を残さない3分間の献身の意義などはもっと突っ込んで良かったと思うんですけど、消化していません。最後は3分ルールも無視してました。ギャグにメッセージを込めるこのシリーズらしいキレが感じられなかったです。 野原家の朝の情景は面白かったです。日常のルーチンを客観的な視線で見たら、かなり楽しめるのだと思います。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-11-04 02:02:37) |
35. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル
過去に観たシリーズの中では一番つまらなかった。特に前半、春日部防衛隊がジャングルを彷徨うあたりの展開が想像の範囲内で面白みに欠ける。私は映画でしか「クレヨンしんちゃん」を知りませんが、子供達だけで笑わせることには限界があると感じました。反対に、このシリーズはしんのすけと大人たちとの会話から生まれる笑いに強いオリジナリティがあることを再認識した次第。幼稚園児と大人の応酬に挟み込まれるそれぞれの本音が、時に深い真理に到達する快感。それが「クレヨンしんちゃん」の醍醐味だと思います。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-02-21 20:28:07)(良:2票) |
36. クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者
《ネタバレ》 散在するギャグや毒はそれなりに笑わせてくれるのだけど、単発で終わって積みあがって行く感じがしない。矛と盾と銅鐸が何たら…ってヒーロー譚っぽいうんちくから始まる。それがストーリーや世界観に活かされているかと云うと、ラスボスとの対決で初めて少しだけ意味を持った程度で、なんだか芯のない映画だった。過去に何作か観たクレしん映画はもう少し日常と非日常が上手く繋がっていてバカバカしさにも説得力があった。本作はファンタジーに振り過ぎてこのシリーズの良さを殺しているような印象です。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2010-09-08 02:18:27) |
37. グーグーだって猫である
《ネタバレ》 40歳を越えた独身女性が病気で入院したりすると、本人の心細さより周囲の人間の心配の方が勝る傾向があるようだ。心配したくなる心理は分かるけど、長い間一人で暮らしている人は見かけ以上に孤独に強いですよ。反対に、加瀬亮みたいなのと無理にツーショットにされる方が迷惑だ。周囲の気遣い自体は嬉しいし、まぁ、大人なので文句は言いませんが。以上、あくまで極めて個人的な所見です。映画としては、不必要な要素が多く意図が不明瞭。犬童カントク、「ジョゼ」はフロックだったのかな? ネコ好きな人には楽しめる映画でしょう。ネコが映っている、ってだけの意味ですが。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-08-16 21:12:13) |
38. クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
《ネタバレ》 未来のしんのすけが5歳児のしんのすけを呼び寄せた理由を放置して、そこから離れたドタバタが長く展開するので、やや散漫な印象を持ちました。でも、しんのすけの婚約者、しっかりした人でした。しかも(このシリーズの作画にしては)美人じゃないですか。どんな大人になるのやら、という懸念の一部を解消してくれました。春日部防衛隊の面々の未来の姿も面白かったです。ちなみに、5歳の頃のしんのすけが最強のオバカパワーの保有者ってことなんですね。 鑑賞中、幼稚園児に未来の自分の姿を見せるのはどうかと思っていました。それがどんな姿であれ、元の時代に戻った後の生活に良い影響を残すと思えないからです。最後に記憶を消すような配慮があるはずだとも思っていました。隕石が落ちなかったので未来も変わると言い訳したつもりでしょうが、未来の自分たちの姿を目の当たりにした彼らの記憶が変わる訳ではありません。私はそこに致命的な不手際を覚えます。3点減点です。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2013-02-06 02:02:09) |
39. 群青 愛が沈んだ海の色
沖縄ムービーは沖縄が映っているだけでも好きなはずだったのだが、ここまで内容が無いとちょっとしんどい。個々の役者はそれなりに演技はしている。でも、致命的に内容が無い。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-05-14 23:50:47) |