1. 血と砂(1965)
《ネタバレ》 同じ岡本喜八監督の戦争物でも『日本のいちばん長い日』とはまったく違ったテイスト。 ユーモアとペーソスにあふれ、戦争物にありがちな重苦しさがない。 「聖者の行進」の軽快なジャズ演奏の中、終戦の日に壮絶な玉砕を遂げる兵士たちの姿が脳裏に刻まれる。 反戦を声高にアピールするのではなく、戦争の愚かさを押し付けがましい表現ではなくサラッと描いているのが好印象。 楽隊の少年兵たちをもう少しエピソードを入れながら立体的に描きこんでくれれば、もっと感情移入できたかも。 小杉や古参兵はとても個性的なのに、13人の軍楽兵がみんな同じような感じに見えてしまったのが惜しい。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-04 21:32:08) |
2. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 恩師であるフェレイラ神父の棄教が信じられないガルペとロドリゴ。その二人の神父がフェレイラの消息を訪ねて日本にやってきたが、直面したのはキリスト教を拒絶する過酷な現実だった。 拷問されても信仰を捨てずに命を落とす姿に、複雑な感情が沸いてくる。形だけでも踏み絵をすれば助かるのにとも思ってしまうが、そんな簡単には神を踏みつけられないのだろう。 キチジローは人間の弱さの象徴。吐き気がするほどに醜い。我が身かわいさに身内を見殺しにしたりロドリゴ神父を密告で裏切ったりしては懺悔して許しを請う。そんなに都合よく神に許されるなら、悪行への免罪符としての利用してるだけにも見える。キチジローの懺悔を聞くロドリゴもさすがに許しがたい思いを抱いたはずだが、結局棄教したロドリゴを心から信奉し理解していたのはキチジローかもしれない。 原作は昔読んだが、詳細はすっかり忘れていた。 中学校の社会の教科書にもキリシタン弾圧で多くの信者が殺されたと書いてあったが、神が本当に存在するのならなぜ信者を救えなかったのかと子供心に思ったものだ。 秀吉は昔読んだ子供向け伝記でも天下統一した英雄だったけど、こうしたキリスト教迫害を指示した張本人である負の面を見ると、素直に英雄視できなくなってくる。 無宗教の人間にとっては、宗教や信仰は正直ちょっと怖さも感じる。宗教は本来人の心を救うものだが、ときには争いの元にもなる。それは排他性を誘発しやすいからだ。自分の信じる神が唯一絶対的な存在だから、それ以外をなかなか認めようとしない。 宗教が根っこにある紛争は、今も昔も世界の至るところで起きている。そういうこともあって宗教には無意識に深入りしないようにしてきたかもしれない。だからキリスト教のこともよく知らなかったが、この映画で少し触れることができた気はした。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-27 22:48:27) |
3. 中国の鳥人
中国奥地の大自然のスケールに圧倒される。 商社マン、ヤクザ、中国人ガイドの珍道中が笑える。 本木雅弘と石橋蓮司のキャスティングもいい。 青い目の少女と墜落した戦闘機の祖父の物語は想像力を刺激する。 もっとおもしろくできたような気もして、少し食い足りない印象。 [ビデオ(邦画)] 6点(2014-04-24 18:32:47) |
4. 超高速!参勤交代
ウェルメイドな時代劇。アイデアがあって脚本もよく練られて、うまくまとまっている。が、惹かれるものはあまりなかった。安心して見ていられる時代劇だが、もっと滅茶苦茶に型破りか、あるいはその逆にリアルな方がよかったような。その点が、ちょっと中途半端で物足りない印象に。 [DVD(邦画)] 5点(2015-08-28 22:24:05) |
5. チーム・バチスタの栄光
《ネタバレ》 真相が影の薄い麻酔医の快楽殺人というのが、結末として今ひとつスッキリ決まった感がない。 やっぱりちゃんとした動機や人間関係、葛藤があったほうがミステリーは面白い。 竹内&阿部のコンビはなかなか良かったけど。 [映画館(邦画)] 5点(2012-12-30 00:58:45) |
6. チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜
《ネタバレ》 田舎高校の部活動を舞台にした青春物なら「スウィングガールズ」や「シムソンズ」のほうが遥かに良かった。 実話物にありがちな散漫さを感じる。ダイジェスト的なところもあって、深くまで入り込めない印象。 これならドキュメンタリーで観たほうが良かったかも。 [DVD(吹替)] 4点(2020-05-03 18:16:27) |
7. 小さいおうち
《ネタバレ》 結構いい話なのに、あまり引き込まれず感情移入しなかったのはなぜだろう。 安定感は感じるけれど、どこか教科書的な作りというか。 しきりに郷愁を誘うようなレトロな演出。 そうしたあざとさが気になったのかもしれないし、板倉に惹きつけられる魅力やエピソードが足りずに、タキ、時子、板倉の恋愛感情の絡みがいまひとつ伝わってこなかった気もする。 監督に反戦へのメッセージがあって、それをさりげなく表現しようとしているのだけれど、わざとらしくてくどく感じるところもあった。 わかりやすくするのはいいけれど、説明的にすぎたような。 [DVD(邦画)] 4点(2015-02-04 22:59:02)(良:1票) |
8. ちょっとかわいいアイアンメイデン
《ネタバレ》 女子高の拷問部を舞台とした、SMレズのソフトポルノのような作品。 4コマ漫画が原作だけに、コミカルな仕上がり。 アイアンメイデンって何のことかと思ったら、拷問用具の名前だった。 以前は今まで脱いだことのないスター女優が、主演で濡れ場を披露なんてことが割とあった。 最近はそういうのをあまり見かけなくなったが、その代わりに、グラドルやイマイチ売れない清純派女優が、主演と引き換えに裸になるケースが目に付く。 木嶋のりこもグラビアでセミヌード止まりだったのが、ここではフルヌードで、しかも同性愛にSMプレイ。 そこがこの映画の売りで、グラドルだけに見事なプロポーション。 でも、それほどハードな濡れ場はなく生温いし、ストーリーはAVのドラマ仕立て部分とさほど変わらないほど陳腐で早送りしたくなるほど。 他の三人の拷問部員、吉住はるな、間宮夕貴、矢野未夏もグラドル出身で、狙いはわかりやすい。 女子高生役はどう見ても無理があり、特に一番裸を晒している矢野は場末の風俗嬢にしか見えない。 [DVD(邦画)] 4点(2014-12-27 00:10:10) |
9. 着信アリ
《ネタバレ》 秋元康原作だが、必要不可欠になってる携帯というアイテムを題材にとりいれているところは時代に敏感なところか。 原作は読む気にならないが、映画は冷静に振り返るといろいろ雑なところが目につく。 代理ミュンヒハウゼン症候群が、母親のマリエではなく姉の美々子だったという筋は面白い。 ただ、きっちりしたストーリーで怖がらせるといいうより、トレンドっぽいアイデアだけで勝負している感じ。 お化け屋敷のようなビックリさせられる怖さはあるが、話になかなか乗っていけなくて余韻が残らない。 悪霊の怨みの深さがどこからくるのかが伝わってこないせいだろうか。 柴咲コウはよかった。 [DVD(邦画)] 4点(2013-01-03 00:37:19) |