21. 男はつらいよ 葛飾立志篇
おはなはんの樫山文枝さんがヒロイン。今回は立志伝の名のごとく、学問に志す寅さんか。考古学とか孔子とか教養あるところが出てきても、登場人物が皆いい人ばかりで嫌みがない。シリーズの中でもほほえましさに関しては抜きんでている。おっと中三トリオでデビューの桜田淳子さんももう高校生か。お巡りさんが、クッククックと歌いながら店を通り過ぎるのに思わずニヤリ。 [映画館(邦画)] 7点(2013-02-03 23:41:52) |
22. お父さんはお人好し
《ネタバレ》 私の子どもの頃、人気があったラジオドラマと言えば「お父さんはお人好し」 花菱アチャコと浪花千栄子の夫婦に子ども12人が繰り広げるドタバタ喜劇だったが、とにかくおもしろかった。最後の決め台詞はアチャコさんの「もうー、無茶苦茶でございますがなー」映画も家族で見に行ったけど、この映画だったかどうかはわからない(何本かシリーズになったので)だけど映画もラジオ同様のおもしろさだった。ちなみに子どもの名前の付け方が振るっている。京都→京子、大津→乙子、米原→米太郎と東海道線の主な駅名を順にたどって、最後は品川→品子に新橋→新子と続くのだ。アチャコさんと浪花千栄子さんの会話のやりとり(かけあい)は天下一品で、本物の夫婦と思っていた人もたくさんいたという。 [映画館(邦画)] 7点(2012-09-09 20:12:41) |
23. 鬼婆
《ネタバレ》 一面にひろがる芒の原にモノクロ画像、いかにも近代映画社の映画という感じだが、見る者を引きつける力は十分、飽きさせない。タイトルのイメージからもっとおどろおどろしいホラーかと思ったら、ほどよい社会派映画でもある。 荒んだ戦乱の世で苦しむのは一般庶民、男手を失っても生きていくためには盗み人殺しも仕方がないのか。そこへ紛れ込んだ息子の仲間、鬼の面をかぶった落ち武者を巡っての物語はおもしろい。ラストはほぼ予想はできるが・・・。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-08-24 07:09:19) |
24. おはん
《ネタバレ》 夫を旦那様と呼び、浮気をされようと粗末に扱われようと嫌な顔一つせずただひたすらに尽くす。そういう女性の生き方を現代に生きる人たちはどれだけ理解できるだろうか。ウジウジした嫌な女と思われるのが落ちではなかろうか。 この映画の時代背景はいつ頃だろうか。人力車が通っているところを見ると明治のようだけど、戦争に勝った話が出てくると日清日露かその後の大正時代かと思う。その頃は女は男より一歩身を引き慎み深くという教育をされていたであろう。しかしその中でもこのおはんはまれな存在である。亭主が女の元に身を寄せるときも暖かく見送っているし、別れた後もじっと見守っている。子どもができたことさえ知らせたりはしない。 このような女の生き方があったのだと共感できなければ、この映画や原作小説は決して理解されないだろう。そうした一途な女性おはんを吉永小百合が演じている。彼女はこの年「天国の駅」とまったく違った犯罪者の女性をも演じている。この幅広い演じ方があったればこそ、日本アカデミー賞の主演女優賞が取れたのだと思う。 対するおかよは笑ったり泣いたり、人を責めたりする普通の女性、いや強い女性である。この対照がまたすばらしい。そして確信犯たる石坂浩二の幸吉の煮え切らない態度、許せない存在なのだが・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2012-08-10 19:15:19) |
25. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 70年代は毎年恒例のように寅さんを見に行ったのだけど、今回は私の好きな十朱さん。私の小さい頃は、NHKドラマ「バス通り裏」の明るくやさしいお姉さんでとても憧れていたっけ。 その十朱さん、映画では明るさにプラスして、とてもひょうきんな面をも見せてくれる。とくに、雨降って地固まるの下りでは思わず笑ってしまった。 ひげづらの歌手上条さんも、この頃大活躍をしていたし、パンダのぬいぐるみもこの頃の流行だった。赤ん坊の父親月亭八方さんもとてもおもしろい落語家なのだけど、ちょっと落語っぽい話が始まったかと思ったら、春川さんに話を取られてしまった。もっちょっと例の調子で聞きたかったのに・・・。 総じてよくまとまった映画だったと思う。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-11 06:38:09) |
26. 狼(1955)
《ネタバレ》 題名のイメージから食わず嫌いにしていた映画だったが、100歳で亡くなった新藤兼人監督追悼の意味を込めて鑑賞。乙羽、浜村、殿山、菅井、高杉の5人の保険外交員が主役の映画で、それぞれの家庭の貧しさ辛さがつぶさに描かれている。この困難を乗り切るためにはお金が必要だ。そして思い立った郵便自動車襲撃だが、彼らはプロでも何でもない。計画だってとても用意周到とは思えないし、犯罪を隠そうとも逃れようともしない。ただそこにはお金が必要だったという動機のみ、結果は自ずと見えている。 新聞は彼らを狼だと言ったが、果たして本当の狼はどこにいたのだろう。 この映画は5人の主役を除くと後は有名俳優女優であろうとみな端役だ。ほんのちょっとしか出演しない有名人もたくさんいる。奈良岡朋子も若いが一番若いのは、私と同年齢の松山省二、乙羽の息子よっちゃんを演じている。 [DVD(邦画)] 7点(2012-06-13 07:02:24) |
27. 王将(1962)
阪東妻三郎の「王将」がずいぶん有名(私が生まれた頃の映画だから見たことがない)のようだけど、私が見た「王将」はこれである。比較はできないが、三国連太郎の阪田三吉も鬼気迫る凄い演技だと思っている。 何度も舞台に映画にリメイクされた王将、阪田三吉の実話とはいえ元はといえば舞台劇(戯曲)すなわちフィクションである。話は誇張され浪花節調になっているのは致し方ないが、だからと言って、阪田三吉の骨太な生き方が過小評価されるものではない。 女房の小春、娘の玉江も、淡島千景と三田佳子の好演が光る。ただ宿敵関根名人は平幹二朗を配したにも関わらず、少しかすんでいる。 この頃は村田英雄の歌が大ヒットし、フランク永井の「大阪ぐらし」という歌もあった。映画の中でも村田英雄が少しだけ登場するが・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2012-01-25 14:38:59) |
28. 女の一生(1967)
長編小説の映画化だけに、前半のシーンが細切れになるのはやむをえないだろう。よくぞ120分にまとめ上げたという感じだし、日本への置き換えも悪くない。ただ増村保造の「女の一生」は未見なので、比較は出来ないが・・・。 この映画では左幸子・時枝の、年の離れた姉妹が共演する。二人が相対する場面もあって、印象深かった。 [映画館(邦画)] 7点(2012-01-22 15:48:31) |
29. 男はつらいよ 柴又慕情
寅さんシリーズで最初に見た映画。「男はつらいよ」は人気映画としてシリーズ化されていったが、渥美清さん演じる寅次郎には何となく抵抗があり、見るのをずっとためらっていた。この映画は、まさに吉永小百合さん目当てで見た映画である。 吉永小百合さんは歌手として女優として人気絶頂にあり、多くの男性が熱を入れていたと思うし、私もその端くれだった。 映画を見ているうちに、寅さんに対する偏見は見事に吹き飛んでしまった。吉永さんの魅力もあったのだろうが、寅さんの周辺にいる人たちが何と言っても良い。妹役の倍賞さんについては、「家族」「故郷」「霧の旗」の山田洋次映画でそのすばらしさを知っていたので文句なかった。 この映画の翌年、吉永さんは15歳年上の男性と結婚した。そのとき、「泣け、サユリスト」と見出しが付いていたのを今でも覚えている。 [映画館(邦画)] 7点(2011-07-16 12:17:41) |
30. おっぱいバレー
題名に反して意外と良い映画だったと思います。不純な気持ちで見始めたのに、鑑賞後は爽やかな気持ちになりました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-01-19 20:58:36) |
31. 男はつらいよ 翔んでる寅次郎
男はつらいよのシリーズも始まって10年、満男君も作文を書く歳になったんだなあ。変わらないのは寅さんだけ、相変わらずの勘違いおさがわせの失恋かと思いきや今回は少し雰囲気が違う。田園地帯のマドンナ桃井かおりは花嫁衣装で結婚式から逃げ出すなど役柄がよく似合っているし、シクラメンの布施明は最後は本職の歌で締める。旅館の坊ちゃま湯原昌幸が良い味を出していた。 [DVD(邦画)] 6点(2014-05-09 11:25:42) |
32. 織田信長 (1940)
うつけ者の織田信長が政略結婚によって濃姫と夫婦になり、父の死後の跡継ぎ問題や忠臣平手政秀の自害など、ストーリーとしては子どもの頃見た市川雷蔵の「若き日の信長」とほぼ同じでおもしろい。そして所々に入る町人農民の歌と踊りは、いかにもマキノ映画風だし、信長の半生を知る上でも良い。ただ重みのある片岡知恵蔵の信長は少々立派すぎ、結婚したり家督を継いだときは十代だったはずだから、もっと若い俳優が演じるべきだったのかも。なおDVDは戦後改題され再公開された90分版。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-29 06:37:58) |
33. 男はつらいよ 噂の寅次郎
お彼岸の墓参りからスタートするなど、今までのシリーズとちょっと違う。秋のもの悲しさというか、しっくりとした雰囲気、マドンナが大原麗子ということもあるかもしれない。そして従兄室田日出男の出現にあっさり身を引く変わり身の早さ、少しばかり人生の無常ささえも感じる。 [DVD(邦画)] 6点(2013-09-18 06:02:54) |
34. 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!
寅さんが現役を引退して恋愛のコーチへ、と思ったら思いがけないところにお姉さんがいてたちまち現役復帰。ところがこのお姉さん藤村志保、皆さんご指摘のように控えめというかやや影が薄い。もちろん藤村志保らしい雰囲気は良く出ているのだが・・・。中村雅俊と大竹しのぶの若いカップルが初々しく、見ていてこちらもポッと赤くなるほどだ。この二人だが、大竹しのぶは映画「青春の門」で高い評価を得ていたが、中村雅俊はその頃はテレビドラマで活躍中で「ふれあい」という歌がヒットしていた。 [DVD(邦画)] 6点(2013-04-13 05:58:32) |
35. 女は二度生まれる
何か起こりそうだと思いつつ、何も起こらぬまま淡々と流れて行く。山村聡に山茶花究、フランキー堺、藤巻潤そして高見国一と通り過ぎていく男性は数知れず。そこには嫌みも悪気もないが、かと言ってひたすら尽くすわけでもない。まさに若尾文子の色気で成り立っているような映画だ。 [DVD(邦画)] 6点(2013-03-11 20:42:50) |
36. 男はつらいよ 寅次郎と殿様
そうか、あのオープニングの黒頭巾は鞍馬天狗だったのかと嵐寛寿郎が登場して気づく。寅さんの鞍馬天狗は、子どもの頃見た鞍馬天狗とは似てもにつかないがご愛敬。さて映画の方は真野さんがマドンナ、殿様の手紙がなければロマンスだったのかと気づかないほど今回は淡泊。それはそれで良しとしよう。 [DVD(邦画)] 6点(2013-03-02 06:13:50) |
37. 女咲かせます
《ネタバレ》 松坂慶子が何と泥棒で、足を洗う前の大勝負という映画なのだが、犯罪映画というよりはコメディ色が強い。出身が長崎の高島という昔の炭坑の島、これがどう絡んでくるのかと思ったら、トンネルを掘ってエレベーターを操作するのだ。昔取った杵柄というのがおもしろい。 [映画館(邦画)] 6点(2013-02-15 17:26:11) |
38. お嬢さん社長
シルクハットに燕尾服で歌う美空ひばりが、いつのまにか「お嬢」と呼ばれるまでに成長した。16とは思えないくらいほどの大人ぶり、美しくもなったと思う。そうは言っても社長としてはまだまだ、しかしなかなかの奮闘ぶりだ。ひばりの才能を十分に発揮しているところが良い。ところで気になったのが、最初の方でタクシー代80円を1万円で払おうとするシーンがあるが、まだこの頃は1万円札も5千円札もなかったはず、はてな?である。 [DVD(邦画)] 6点(2012-09-17 10:10:48) |
39. 俺っちのウエディング
たいして長崎らしい風景も出てこないが、ま、そこそこにおもしろかった。しかし松本サリン事件じゃないけれど、マスコミ報道って恐ろしい。しかし社会派ものとはならず、結婚前の女性関係問題が引き起こす、ちょっぴりサスペンスがかったコメディというのが良かったかも。ラストは少しあっけないが・・・。 [映画館(邦画)] 6点(2012-08-29 22:16:57) |
40. おさな妻
高校生ブルースに引き続く関根恵子映画の第2弾。衝撃的な前作に比べ結構おとなしくまとめられている。おさな妻というとどうしても興味本位に捉えられがちだが、この映画は結構まじめで過激な描写もほとんどなく、かといって手放しで賞賛しているわけでもない。問題点は問題点としてきちんと描かれていると思う。 関根恵子は若干15歳というのに非常に大人びて見える。映画の設定では17歳だが、普通に見たら20歳くらいの女性が17歳を演じているかのように見えるほどだ。だからセックスに関しては何ら問題点なさそうとさえ見える。問題は成熟した身体に見合う精神が宿っているか否かである。 映画では奥さんとしてへまばかりやっている1年生という表現が出てくる。このとき挫折していくか乗り越えていけるかが1番のポイントである。この映画では夫役の新克利を初め周囲が暖かく見守っているししっかりとサポートしている。ライバルと目される滝沢喜久子さえ、いじわるではなく最後はフォローしてくれる。 だが現実の場合、なかなかこうはならない。男にだまされたり、挫折してしまうのがほとんどだ。映画はもう少しこの点に踏み込んでも良かったのでは・・・。 なお法律的に言えば、両親がいないとはいえ女性は未成年、犯罪として立派に成立する。 [映画館(邦画)] 6点(2012-08-03 20:51:27) |