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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  ヒトコワ2 -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
全5話のオムニバスである。 【ペットモニター】 最後にニッと笑ったが、すぐ真顔に戻ったので許されたかどうかわからないのは困る。しかし、ペット愛が他の全てに優先する人格を表現しようとしたエピソードと考えれば、やはり許されたのだということにはなる。ただしペットを貶められただけで殺人というのも単純すぎるので、そもそも不倫の件で恨みがあったことにして補強したと解される。 【ヘビと初恋】 小公園は埼玉県越谷市。オチがないようなのは困惑する。目撃者が他にいないと知って自らダークサイドに落ちたと見える(悪人メイク)がそれだけか。 【二人の約束】 男に対する女の執着が異常なのかと思っていると、その後にもう一段の展開がある。題名の印象からは、男が約束を守らないのが問題だということになるが、実はそれよりも、束縛を嫌っていきなり凶行に出るのが異常だということか。妻が妊娠中なのをいいことに遊び回っていたところ、浮気はしない約束のはずだと妻に咎められ、逆に妻が浮気して妊娠したのだろうと言いがかりをつけて殺したが、その後に遊びと思って付き合った相手までが、一途な遊女よろしくしがみついて来たので排除したとも取れる。 【自転車をとめないでください】 埼玉県越谷市で撮影したことを執拗にアピールしている(映像中に文字情報が多い)。「こうかい」だけでなく、その前のも「とめると」がブレーキの意味だったか。つまんねー。 【共通の趣味】 盗撮が異常なのかと軽く思わせておいて、実はさらに異常な性癖だったという展開かも知れないが、両者のつながりが弱いため単に散漫な構成に見える。彼氏が合鍵を提供したので入れたのはいいとして、入るタイミングが変だ。  「ヒトコワ」シリーズの2つ目である。初回の時点で2と3は見ないと書いておきながら、結局全部見てしまったのは阿呆だ。暇なのか。 別に怖くもなく面白味もないが、それほど極端にバカみたいなのはないとはいえる。しかし展開の意外性を優先したためか物語の芯になるものを素直に受け取れず、独自の解釈(上記)を理屈で考えて辻褄を合わせるのが面倒臭い。 また今回最悪だったのは、好意的になれる登場人物(男でなく)が誰もいなかったことである。それがなければC級ホラーなど見る意味もなく、芸能事務所のプロモーション上の意義もないことになる。個人の好みで今回は当たりがなかっただけかも知れないが。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-06-04 13:40:36)
2.  ビブリア古書堂の事件手帖 《ネタバレ》 
原作は読んだことがあるが、作中に出る本を読みたくさせる小説として有名らしい。ちなみに自分としては「たんぽぽ娘」は読んだ(いかにも自分好み)。 場所設定としては原作・映画とも北鎌倉が中心で、加えてこの映画では鎌倉らしさの表現として切通しを見せている。ただエンドロールの撮影協力に常陸太田市と伊豆ばかりが見えたのは、地元の皆さんには申し訳ないが落胆要因だった。  物語としては原作1巻の1話から4話に直接つながる形で構成しており、原作が軽めに流していく感じなのをじっくり掘り下げたようではあるが、個人的には微妙な印象だった。昭和のメロドラマと平成の恋物語を並行させる形になっているが、本と引き合わせてくれた人との出会いという点が共通するだけで、話の性質は違っているので連関があるようにも感じない。太宰治を気取る「駄目な男」にも、太宰の言葉にかこつけて開き直る異常者にも当然ながら全く共感できない。 ただ意味的な面では、350万円で売れる本よりも、本を大事にする人を大事に思う人の心を大事にしたい、という結末だったらしいのは悪くない。平成の主人公男女が関係を深化させる過程も原作とは変えており、ラストで一気に「あなたが必要です」というのは唐突だったが、要はトラウマを解消させてくれた人物だったから、という理屈をつけたようではあった。 ほかメロドラマの男が長身なのは見た通りとして、主人公の母親役(神野三鈴)も意外に168cmとのことで、何気に遺伝的なつながりを表現していたらしい。また映画独自の点として、主人公の男が店を手伝う条件にしたのが読み聞かせだったのと、店でも絵本ばかり読んでいたらしいのは、子ども時代からやり直そうとしたという意味かも知れない。  登場人物に関して、原作の栞子さんは小柄でカワイイ系で巨乳気味の美女というアニメ向きキャラだが、この映画の黒木華という人は、演技でカバーしている(口元をかわいく見せている)とはいえ外見的に合っているかは何ともいえない。しかし原作ではライトノベル風のイラストに騙されていただけで、実物がいるとすれば本当はこんな人だったりするかも知れないとは思った。快活でなれなれしい妹(演・桃果)もいい感じだった。 また特に今回は(今回も)夏帆が見せる素朴な可愛さには見入ってしまったので、いろいろあるだろうが今後とも末永く活躍してもらいたい。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-01-30 14:28:17)
3.  ビハインド・ザ・コーヴ ~捕鯨問題の謎に迫る~ 《ネタバレ》 
「ザ・コーヴ」(2009米)というのが話題になったのは知っていたが、金を出して見る気にならないので裏側の方だけ見た。 撮影・監督・編集の八木景子という人は映画制作の素人だったそうで、作中では登場人物にピントが合っていないといったところもあるが、現地の歴史的・文化的背景を積極的に紹介する一方、地元住民や行政関係者、政府機関、学者などにかなり幅広く話を聞いて、日本人の気に障る事柄を次々に暴いている。上記映画の監督や主演の人物、また活動団体のリーダーにもインタビューして、いかにも胡散臭い発言を引き出していた。 ラストに出ていたまとめのメッセージのうち「裏側で何が起きているか疑いを持って」の部分には素直に賛同できる。作中では「隠し撮りをするようなインチキな映画がアカデミー賞を獲るなんて世も末だなと思った」と語った住民もいたが、逆にいえば、映画とか芸術とかの皮を被せれば虚偽でも言いがかりでも何でも通ると思っている下司な業界など全否定してやるくらいの国民が増えればいい。しかし、初めから事実かどうかなど関係なく利得のために動く勢力とか、事実かどうかなど関係なく自分の信じたいことだけを信じる連中など、話の通じない相手がどこの国にも恐らく一定割合いるのはどうしようもない。 一方で日本政府(外務省?)の態度を問題視するところもあったようで、登場人物からはIWCなど脱退して我が道を行けというような発言もあったが、今年6月に本当に脱退してしまった時はさすがに驚いた。国際連盟からの脱退(1933)をどうしても思い出すわけだが、これが結果的にいい方向へつながるのであれば結構だ。  ところで題名にある「捕鯨問題の謎」というのは、要はベトナム戦争がらみの謀略があったということらしい。取材をもとにして突っ込んでいった結果としてその結論に至ったのはいいとして、国対国の話になってしまったのは行き過ぎのように感じられる(レイシズム批判はともかく)。忘れられない恨みというのはあるにせよ、現在の国際情勢を考えれば米豪を敵にしないのが無難だろうと思うわけだが、しかし終盤で個人としてのアメリカ人などに物わかりのいいことを言わせて対立感情を和らげている面もあった。ちなみに真珠湾vs原爆の話まで出て来たのは、ワシントンDC?の街頭でPR活動中の人物に取材したのが原因ということだろうが、この人物が仕込みではなく本当にたまたまここにいて、これを使わない手はない、と思ったのならわからなくはない。この人物の素性も明らかにしてもらいたかった。 公開後にはこの映画に対する批判も出たようで、その裏にもまた何らかの思惑なり都合なりがあるのだろうから争いの絶えない世の中だが、とりあえず強大な敵に手弁当で立ち向かって行った監督の姿勢には好意的である。この人が鯨の竜田揚げを自由に食べられる世界であってもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-10-19 17:23:32)
4.  ひとりね 《ネタバレ》 
かつて清純派として活躍した榊原るみという女優が裸身をさらすことを売りにした(多分)映画である。個人的にはそれほど馴染みのない人だが、特撮番組「帰ってきたウルトラマン」(1971-72)のヒロイン役(ただし2クールで降板)の記憶はある。ちなみにこの人と監督は夫婦の関係らしい。 白黒映画というのは裸体を生々しく見せないためかと思ったが、同時に年代感や閉塞感の表現にもなっている。全般的に映像が暗く陰鬱で気が滅入る映画であり、また特に序盤は殊更に古臭く見せている。公開規模が小さかったらしく、ネット上の評判を探った限り、ほとんど誰も見なかったのではという印象がある。  【ここから解釈】 キャッチコピーにいう「もう一人の私」とは、本人の持つ理性を体現する存在ということらしい。44歳になった主人公が、いわば人生の中間点を迎えるに当たって適切にリードするため出現したように見える。 中間点の前段階では、同居のエロジジイが不倫常習者だったことから、主に男女関係にまつわる人間の醜さが描写されている。主人公は家に従属する古風で貞淑な妻に見えたが、実は性的な面で本質的に他の連中と変わらず、またエロジジイと同居していたのも打算があったからで、そういう自分をしっかり認識することが中間点を越える準備になったらしい。 もう一つ必要だったのは、中間点を過ぎて下り坂になり、やがて老境を迎える心構えである。エロジジイを看取って否応なくそのことに向き合わされたようで、20年という年齢差を「わずか」と言っていたのは、自分もほどなくそこに至ると自覚したのだと思われる。性的な快楽に溺れたのもいわば最後の花火で、中間点を越えればもう独りということを実感させられた終幕なのかと思った。 ちなみに白蛇の表すものは、夢占いだと幸運(金運)到来ということらしく、また一般的には性欲のイメージかも知れないが、劇中にはキリスト教会の場面もあったので、知恵の樹の実を勧めた者の意味があったのかも知れない。 【ここまで解釈】 以上に関して上り坂の人々には意味不明だろうし、すでに下り坂の人間は暗澹とさせられるだけで誰が得するのかわからない。いい映画だったとは言いたくない映画だった。  なお主演女優のほか、エロジジイ役をはじめ名のある役者が出ているが、意外な出演者として、主人公の少女時代の子役は飯田里穂という人ではないか。よく知らないがとにかく見覚えのある個性的な顔だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-09-28 08:27:54)
5.  氷菓 《ネタバレ》 
原作もアニメも抜きで映画から見た。公開中から大爆死とかいう評判だったが、これだけ見れば別に悪い映画には思われないので、人気のある原作やアニメ(特にアニメ?)に便乗しようとする企画姿勢が反感を買ったのだろうと思っておく。映画の最後はまだまだ先がありそうな雰囲気で終わっていたが、以後の映画化はなさそうで寂しい気もする。  内容としては、ミステリーにふさわしく彩度を落とした暗めの映像だが陰気でもなく、特に最初は結構ユーモラスな展開で、「ラッキーアイテム」のところの人物の動きとか顔のイラストなどには笑わされた。しかしそれで羽目を外すわけでもなく、学園もののイメージを保ちながらテンションを抑えた劇中世界を作っている。メインキャスト4人は高校1年生というには無理のある役者ばかりだが、それは他の映画でもよくあることで、この映画ではかえって落ち着いた雰囲気につながっている。 登場人物としては、個人的にはヒロインの「私、気になります」の顔がかなり好きだ。温和でおしとやかに見えても有無を言わさない迫力があり、自分も腕を掴まれて謎解きを強要されてみたくなる。もう一人の女子は高校生ながら可愛いとも断言できない微妙な役だが悪くない。また問題の人物は、高校時代の面構えがなかなかよかったが、失踪直前の物悲しい表情も心に染みる。 ストーリー的に変だと思ったのは昔の事件で、問題の人物が生贄にされた経過が不自然だったことである。しかしそのような理不尽に対してこそ団結して斗争すべきところ、全員が保身を図って沈黙したというのがリアルかどうかは別として、この頃の騒動などその程度のものだった、と見切ったような筋書きだったのは面白い。ちなみに江戸時代の民衆運動なら、代表者は本当に生命を失う覚悟が必要だったわけである(岐阜県内の例では郡上一揆)。  なお映画の後で原作(小説)を読むと、付加と省略はあったがかなり忠実に映画化されていたようである。映画にあった「千反田が納得することだ」という台詞は原作にはなかったと思うが、真に必要なことを端的に言い表しているという意味では悪くない。また問題の人物が今いる場所を推定してみせる場面が原作にはなく、これは「納得」の具体例として映画で付加したものかも知れないが、それ以前の場面であらかじめ失踪場所への言及がなかったため、主人公の発言が若干唐突に感じられたのは惜しい。
[DVD(邦画)] 7点(2018-04-30 23:58:10)
6.  ひかりをあててしぼる 《ネタバレ》 
2006年に渋谷で起こった殺人事件を題材にした映画とのことである。なぜかアメリカのホラー映画賞(最優秀作品賞と最優秀主演女優賞)をとったそうだが、普通一般のホラーとして見れば怖くも何ともないのでそういう見方はしない方がいい。 内容的には自分が見る限り、大変申し訳ないが何が言いたいのかわからない。実際の事件に合わせた展開に見えるが事件自体の映画化ではないらしい。また仮に普通の夫婦でも起こりうることを表現しようとしたのなら、まずは夫婦の相対関係の変化を地道に積み上げる形にしてもらいたかったところだが、特に序盤は実際の事件に合わせたエピソードが取ってつけたようで説得力に欠けている。第三者的に見る限りは何も感じ取れない話だったので、あとは個々の観客が、それぞれの事情に照らして見るべきところがあると思うかどうかの問題だと思われる。  出演者に関しては、夫役はこの役者としては普通の役どころに見えて特に驚きもなかったが、妻役の女優はこの人自体が見どころと思わずには済まない存在感を出している。この女優は近年では「渇き。」(2014)でも結構ハードな役をやっていたので、今回のこれもそういう流れの延長上と捉えるべきか。 観客側の立場としては、女優を見るからには主に表情とか声色とかを気にしているわけだが、しかし本人としては“身体の筋が見えるような(力のこもった?)動きが妻の怖さを表現している”というようなことが重要だったらしい。自分としても酒瓶を全力で振り下ろすのは思い切った感じでよかったと思うが、その後に細く長い手足で力技というのも強烈だったかも知れない。ボディラインが見える場面が多いので本当に細身の人だというのが印象づけられる(昔からそうだったが)。
[DVD(邦画)] 5点(2017-12-27 19:52:34)
7.  美少女探偵団~飛鳥からの風~ 《ネタバレ》 
グラビアアイドルで人目を引こうとする安手の企画である。 基本的には奈良県明日香村を中心に女子高生4人組が歴史名所をめぐる「旅情ミステリー」とのことで、合間に水着姿も披露したりするので暖かい目で見たいところだが、女子高生が見事にやかましい+苛立たしい連中なので反感しか生じない。唯一、主人公ではないがキーパーソンの坪井ツクシ(演・大蔵淳子)が素朴な感じで和むものがある。  物語としては、飛鳥時代の遺物を受け継いだ女子高生(上記ツクシ)が、友人3人とともに飛鳥を訪れて奇跡を起こす感じの話である。飛鳥時代から現代までの間に室町時代のエピソードを挟み、さらに現代から30年ぐらい前の出来事も加え、各時代に関わる人々の思いを重ねて現代に伝える形になっている。 特に室町時代の話は変に深刻で、歴史の重みと社会体制に抑えつけられた人々が、いつとも知れない奇跡にあくまで希望を託すのかどうか迷う心情が切なく感じられたといえなくもない。そこで語られていた「4人の賢者」というのが女子高生4人組のことだったらしく、さすがにそれはこじつけが過ぎるだろうと思ったと同時に劇中人物の台詞で「いいじゃないですか!」と笑い飛ばされたので黙らされてしまう場面もあった。確かに、ほとんどありえないとしても、希望が全くないよりはあった方がいいとはいえる。 最後は何が起こったのか正直よくわからなかったが、起こったはずの奇跡をどう生かすかは観客次第という投げかけだったのか。対象が「ひのもと」全部であるからには、「恋のおまじない」限定というより人の世のあり方全てが問われていたと思われる。  キャストとしては現在すでに引退している人も多いようだが、女子高生4人組のうち西原楓役の古賀美智子という人は、現在は「F チョッパー KOGA」なる名前でガールズバンド「Gacharic Spin」のベース兼リーダーを担当しているそうである。この当時は16歳くらい??で非常に愛嬌のある顔をしているが(今もかわいく見えるが)、劇中人物としては最高度にバカの役だったのは残念である。また謎の美女・茜役のあだち理絵子という人は、すでに2児の母だそうだが劇団に所属して芸能活動を続けている。ほか男では、室町時代の頭領役の古賀亘はアクション俳優で、現在はモーションキャプチャーアクターとして名が知られているらしい。それぞれ活躍中のようなのは他人事ながら喜ばしいことである。
[DVD(邦画)] 3点(2017-10-23 22:42:43)
8.  ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ 《ネタバレ》 
完璧な映画では当然ないにしても、多少のことは主人公のキャラクターだけで全部許しちゃるという気分だった。自然体で邪気のない愛すべき人物で、東京に行ってからもぜひこの方言のままで通してもらいたい(周囲に真似されそうだ)。終盤で、この主人公が父親と祖父の間で手をつないだところでは少し感動した。最後の歌もかなりいい感じである。 全体としても、基本的には退屈せずに見て、それなりに盛り上がってからすっきり終わる普通に面白いアニメだった。しかし一方では必然性不明の設定とか細切れの事物が流れ去っていくような落ち着かない感じの話になっており、また宮崎ヒーロー並みの離れ業とかコリコの街の発明少年のようなのとか第3新東京市で使徒を迎撃するような状況には新しさを感じない。それでも全部通して見れば、細かい点でわからないことはあっても(考える気がない)何を表現したかったのかはおおむねわかる気がする。 個人的な疑問点としては、2020年までに自動運転車を実現するというのが変に現実味のある設定で、単に事実に取材しただけのようで夢が感じられないことである。人が要らない完全自動運転にしても、すでに現実の延長上に見えるものであって驚きも何もないわけだが、あるいはもしかすると“発達した技術は魔法と区別がつかない”というような主張を、抽象論ではなく今ある現実に即して見せようとするとこうなるのかと思ったりした。またそれよりも自分としては、“年配の科学者が不可能だと言った場合、それはほとんど間違っている”(クラークの三法則の1より)ということの方が思い出され、これから伸びようとする若い世代への期待を込めた物語だったのかという気もした。 そういうことで点数は、主人公のおかげもあって少しいい点にしておくが、これはDVDで見た場合の点数であって、もし映画館で見ていればさらに+1くらいにはしていたかも知れない。 ついでに、関係ないかも知れないが思いついたので書いておくと、劇中の整備工場(特に灯台の下にあった方)は、エドワード・ホッパーの「海辺の部屋」のイメージ(部分)かと思ったりした。
[DVD(邦画)] 6点(2017-10-02 19:55:51)
9.  向日葵の丘 1983年・夏 《ネタバレ》 
日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」とのことである。その映画を見たことがないので比較できないが、多分この映画に似た感じなのだろうと思っておく(若い頃に家を出て30年くらいして帰って来るなど)。 どれだけ似ているかは別として、この映画に関していえば受け取り方がなかなか難しい。映画への思い、時代の変化に対する複雑な感情、ものや金より大切なことといった各種要素が交錯していたようだが、少なくとも自分にとっては結論が見えない映画という印象である。うち高校パートで出ていたような学校が悪い、親が悪いといった話は同じ監督の「海と夕陽と…」(2006)でも聞いた気がするが、今となってはもう戦前世代も世を去りつつあるわけで、昔の怨みは捨てて和解に転じたようにも見える。また一方、映画とは時代の記憶を伝えるものという意義づけがされていたようでもあり、題名のヒマワリも映像には残せなかったが、自主映画の題名としてかろうじて残されたとも解釈できる。 見た人がそれぞれ勝手に何かを受け取ればいい映画なのかも知れないが、自分としては懐古趣味というものがあまりないので大感激ということにはならなかった。ちなみに突っ込みどころがかなり多いので、さすがにもう少し締めてもらった方がよかったのではという気がする。  そのほか終盤で登場人物が重要事項を延々と語るとか、女子高生の可愛らしさが印象的なのも前記「海と夕陽と…」と共通に見える。特に上映会の場面では、現在の3人と高校時代の3人を直接比較する形になり(比較してしまって申し訳ないが)、若い方の溌剌さが際立つので非常に和むものがあった。また主演の常盤貴子という人もそれなりの年齢なわけだがかなりキレイで可愛く見えるので、高校時代の若手女優との間でも違和感がなかったが、そのせいで30年も経っているという実感も全くなかった(藤田朋子とも差があり過ぎだ)。 ついでに書くと、前半の映画撮影の場面で、可愛らしい若手女優(芳根京子)が大御所俳優(津川雅彦)に対し、「何でできないんですか!」というのは笑うところだと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2017-09-25 20:29:06)
10.  日野日出志のザ・ホラー 怪奇劇場 地獄小僧 《ネタバレ》 
日野日出志という漫画家の作品から、全6話を別々の監督が選んで映像化したうちの一つである。なお導入部は各話共通のものを使っているのでこの映画固有のものではない。 「監修」として高橋洋氏の名前が出ており、公開月日は前後するが「ソドムの市」(2004)と同路線のようでもある。ところどころにマンガそのものの表現を混ぜているのが特徴で、これは低予算なのを“もともとマンガだから”と開き直る手法かも知れないが、実写にマンガを入れればふざけた映画としか受け取れず、登場人物が真面目な顔をするほど茶番の印象が強くなる。茶番として作ったのならそれも一つの考えだろうが、少なくとも原作マンガはそれ自体としてまともに作られたものだったろうから、全部が全部ふざけた映画としてしか見られなくなるのはさすがに問題がある。最後はもうどうでもいいから早く終われという感じだった。 ちなみにこれを見たあと原作を読むと、原作にけっこう忠実にできていることはわかったが、だからといって上記の悪印象が薄れるわけでもない。また映画では、少年が元の(染谷将太の)姿に戻る際の法則性もよくわからなくなっていた。 まあひと昔以上前のものにいまさら何を言っても仕方ないわけだが、自分として一つだけ肯定できるのは、墓地(というか死体の埋却場)にあった風車状の設置物が、現実的な意味は不明ながらもこの場の性質を端的に表現したものとして受け取れることだった。要は雰囲気でごまかしているだけなわけだが。
[DVD(邦画)] 2点(2017-05-27 10:19:01)
11.  日野日出志のザ・ホラー 怪奇劇場 怪奇!死人少女 《ネタバレ》 
日野日出志というホラー漫画家の存在は知っていたが、絵柄が独特なこともあり、よほどのマニアが読むのだろうと思って以前は無関心だった。この映画はそれを映像的にリバイバルした形で、全6話を別々の監督が選んで映像化したうちの一つである。白石晃士監督といえば現在の邦画ホラー界では有名人だろうが、この時点ではまだそれほどの存在感はなかったものと思われる。  序盤は明らかに戦後期を意識した作りになっており、原作は1987年(昭和62年)の発表のはずだが映画は昭和30年代以前にも見える。大仰なショック音楽とともに題名が表示され、ドロドロしたバックの上にクレジットが出るのは昔の怪奇ドラマのようで笑ってしまう。その後もわざとらしく杭打ちの音や犬の遠吠えを入れてみたり、昔風の音楽が鳴り続けたりするのがユーモラスである。主人公が放浪を始めてからは少し冗長な気もしたが、ラストはまたあっけらかんとしてほのぼのとした印象になっており、別に大感動作というわけでもないが、最後に一応の救いを持たせてあるのは悪くない。 ちなみにこれを見たあと原作を読むと、オチの普遍性という意味では原作の方が上のような感じである。主人公をめぐる状況を殊更にシビアにしたのは映画独自のことで(監督の個性?)、原作の方は意外に穏健で良心的に見えた。  なお主演女優は制服姿が一応可愛らしいので、未来ある若手女優がこんな映画に出るべきでない、と言いたくなったが本人には特に不満はなかったらしい。メイキングを見ると、この女優と共演の森下能幸氏との関係性が可笑しい(先輩役者のはずだがなめ切っている)。
[DVD(邦画)] 5点(2017-05-27 10:18:57)
12.  ピクニックの準備 《ネタバレ》 
「夜のピクニック」(2006)の前日談9編からなるオムニバスで、それぞれの主人公の名前が明示されている。[ ]内は個別の点数。 「おまじない」杏奈編: 「かわいく悩む」という表現はいいが短い。これだけでは海外ロケの意味がない。[3] …ただし、特別編『「片想いの長さ」もう一つの杏奈編』(セル版特典)を見ると少し世界が広がる。[5] 「告白」さくら編: 本編のどこに出ていたかほとんど憶えていない人物像を思い切り掘り下げた形。なぜか寸劇が始まるので笑ってしまうが、やがて泣く。[8] 「序奏」高見編: MV風で面白いがMITOGALとは何なのか。ラストは暗転という印象だが、その後に本編を見直しても希望が見える気はせず、要は単なるバカかと。[7] 「願い事」千秋編: だから何だという感じ。本編を見直しても接続部分が極めて小さく存在意義も疑わしいが、妙にほんわかしているのと主人公が可愛いので和む。本編よりずっと可愛く映っている。[4] 「シナリオの行方」梨香&忍編: 主人公(梨香)を見ているだけで面白い。オバサンなど出さなくてもと思うが、やはり演劇は観客がいないと成り立たないということか。[6] 「おかいもの」亮子編: 鶴田法男監督なのにホラーでない(ホラーにしてしまえばよかったのでは)。少々おふざけが過ぎるようだが終幕は印象深い。 [5] 「むりっぽい」貴子編: 題名が好きだ。妄想癖があるようだがこの主人公も好きだ。[6] 「ひみつ」美和子編: 主人公の顔が見どころ。初恋のお姉さん。[7] 「はてのない」融編: けっこう切ない。顔つきは悪いが純な男。[7]  本編よりさらにコメディ色が濃いので笑いながら見られる。本編を見てからでないとわからないだろうが、これを見ても逆に本編のどこにつながるかわからないところがあり、それで結局本編を見直して、両方を把握して初めて表裏一体で効果を発揮する感じになっている。全体的に劇中人物への親しみが増す内容になっており、特に本編でほとんど存在感のなかった人物が大きく扱われていたのはよかった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-05-15 18:51:03)(良:1票)
13.  ヒトコワ3 -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
全5話のオムニバスである。  【落としもの】 埼玉県越谷市という地名が出るが実際に同市内で撮影したらしい。自分としては主演の森川葵という人に期待していたわけだが、非常にいいというほどでもなく普通だった。ただしこの時点ですでに演技派たることを求められていたように見えなくもない(序盤のコント部分)。ちなみにお話としては呆れるほど面白くない。  【見られてはいけない】 途中から登場人物の人格が一変したように見えるのは、よくあることだが反則である。ちなみに不気味なオバサン役は、舞台中心に活動している蒻崎今日子という女優だと思うが、この人は『「風の谷のナウシカ」全編一人芝居』を特技としているのだそうで興味深い。 【ずっと一緒に】 途中まではいいがラストが何でそうなるかと呆れる。それはそれとして、この回では主役の人(早瀬英里奈)の表情(顔)が見どころのようで、こういうのはこのシリーズのいいところかも知れない。  【赤い服を着た女の子】 なぜか静岡県御殿場市。古典的な都市伝説に便乗した話のため意外感が全くない。主役の人(しづか、以前は宮沢静香、現在は坂野志津佳?)が艶めかしいのでこの人だけ見ていた。  【ダイエット】 理屈で納得させるものがない。申し訳ないが主役(菊池友里恵)よりその友人役(星名美津紀、「映画 みんな!エスパーだよ!」の東三河新聞の人)の方に目を引かれてしまった。   「ヒトコワ」シリーズの3つ目である。本来見る予定はなかったが、森川葵という人が出ているので見ないわけにはいかなくなった。宣伝写真を見るとこの人が看板女優である。 基本的にはスターダストプロモーション所属タレントのPV集のようなもので、各話の主演女優と主要人物の一部がスターダストの所属である(なぜか第4話だけ違うらしい)。ホラーとしてはほとんど最低レベルであり、ストーリー的な面白さがほとんどないため褒める気にはならないが、見どころが全くないわけでもないので全否定もできない。
[DVD(邦画)] 2点(2016-06-15 23:38:42)
14.  ひとまずすすめ 《ネタバレ》 
群馬県藤岡市が舞台になっているが、積極的に地元PRをしようという意思は見えない。たまたま主演女優(斉藤夏美)がここの出身だったので地元としても協力した、という程度のことらしい。 本編は30分の短い映画だが、ほかに17分のスピンオフ「ひとまずすすんだ、そのあとに」も制作されており、これは3話オムニバスで後日談と続編を含んでいる。さらにマンガ版というのがあるが内容は前日談である。このマンガ版を本編・続編のリアルな実写版と比べると、身も蓋もない現実をこのように美化するのが少女マンガだ、ということを示したようで面白い。以上がDVDには全て入っており、全部見るとかろうじて通常の映画1本を見た気分になる。  ストーリーとしては人生の特定時期に、特定タイプの人物に起こりそうなことを淡々と描いた感じで、そのタイプに該当すればかなりの共感をもって見られるかも知れない。これが実際どの程度広く受け入れられるものかわからないが、宣伝文にある「現代の空気」というよりは、もう少し普遍的な内容になっているように思われる。 ただし当然ながら女子の都合に合わせた話になっており、かつファンタジーでもなく現実感のある内容のため、自分(男)としては素直に受け取れないところも少しある。まあそれはいいとしても最大の問題は、あまりにも話が普通すぎる、ということではないか(少し呆れた)。映画に刺激を求める人々には全く受けないだろうが、しかし、そういうものをあえて平然と作ろうとする態度は悪くない。これで普通の人々が元気をもらえるというなら他人事ながら喜ばしい。
[DVD(邦画)] 5点(2016-04-12 20:02:07)
15.  非金属の夜 《ネタバレ》 
予告編で出る曲が面白そうだったので見たが、映画よりも予告編の方が長く聞けるのだった。 内容としては若年者向けなのだろうが、若年でない立場からいえば見事に誰にも共感できない映画である。かろうじて、劇中人物専属の女神さまのように見える連中のうち最も可愛らしいのが言ったことは辛辣で結構だった。 また申し訳ないが劇中人物のほとんどが生きていても仕方ない人間に見える。劇中で最もまともに生きていたように見えたのは怖い兄さんだったが、その怖い兄さんに殺された男などは死んでしまってかえってよかっただろうという気にさえなる。主人公も女神さまにつきまとわれていた男も、他人の目から見れば生きようが死のうがどうでもいいので勝手にしろという感じだった。 結局、人間が生きる意味など本人が決めるものであるから、自分でそれができなければどうしようもない。最後に男が死んだのは本人の意志なら構わないが、一方で主人公の女は、この男と序盤の女が先に行ったことでいわば安心したらしく、それでとりあえずは生きていることにしたようだった。そのうち生きる意味を自分で見出すこともあるだろうし、結果的に生きていてよかった、ということになれば結構なことである(おれには関係ないが)。 そういうことで共感できない映画ではあるが、しかし見ていて意外に退屈しなかったので、エンターテインメントとしては結構うまくできているのかも知れない。それにしても主人公の顔つきは少々作りすぎである。微妙に昭和くさいのは誰の趣味か。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-18 00:37:05)
16.  POV〜呪われたフィルム〜 《ネタバレ》 
グロ映像などはなく雰囲気で感じさせるのは基本的に好印象である。主要人物2人が本人役で出ており、そのためフェイクにしてもあまり無理がないというか、初めから作り物と割り切って見ていられるところがある。序盤の携帯番組がとぼけた感じで楽しい。 ただストーリーとしては平凡なものであり、「リング」以来のメディアを通じた怪異の拡散といったところは冒頭から想像がつくわけだが、それが観客側まではみ出して来ると匂わせておきながら、実際は特に脅威を感じさせることもなく終わっていたのは拍子抜けである。ほかに若干の捻りはあるものの個別アイデアのレベルであり、映画全体の価値を高めるほどのものでもないと思われる。   ところで、突然の大音響で驚かすのは真面目なホラーファンなら嫌うのだろうが、この映画に関しては狙って多用しているらしい。皆が怯え切っているところで携帯のブザー音が鳴ったのは大笑いしたが、その後に正体不明の衝撃音が鳴り渡る中、浮足立った連中が一斉に走り出してわけがわからなくなる場面の臨場感は結構楽しめる。 またその場にいても立ってもいられない感覚の表現が巧みであり、特に前半では、画面に顔が映る直前に逃げ出す人々や再生を止めようとする人が交錯してカメラが倒れた場面が秀逸だった。後半では、一か所だけ明かりがついた場所から何かが近づいて来るのを実況中継で見ながら誰も動けないでいるのが印象的だったが、ただしこの場面では、一番怖がりなはずの人物が最前線の位置を動かずにいたのが不自然で残念である。   そのほか登場人物に関して、主要人物2人のうち志田未来は相方の川口春奈(166cm)と比べると小柄なのが目立ち、怖がっているところなど見ても非常に可愛らしい。この人が毅然とした発言でプロ意識を示したり、後輩思いなところを見せたりしていたのは、本人役でやっているため女優としてのイメージアップを促している感じもある。また個人的には、AD役の人(嶋﨑亜美)の微妙な顔つきも印象に残った(このADは何でわざわざ現場に来たのか?)。   以上、世間の評判はどうかわからないが、自分にとってはいろいろと面白い映画だったので、出演者への加算を含めて少しいい点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:29:18)(良:1票)
17.  ひ・き・こ 降臨<OV> 《ネタバレ》 
監督(吉川久岳)、脚本(宮崎大祐)、製作(アムモ98)が前作「ひきこさんの惨劇」(2013)と同じだが、出来は一段違った印象がある。 普通一般のホラーを志向したようには全く見えず、社会の中の人間を主題にしているのは「口裂け女2」(2008)を思わせるものがあり、個人的にそれほど共感するわけでもないが言いたいことはだいたい伝わる。悪しきものがインターネット上で拡大する発想は基本的に同じだが、前作にはあった安手のホラー場面を思い切りよく放棄したことで、まともな映画としての印象が一気に増している。 ただ不満だったのは割と簡単に別映画のアイデアを流用したと思われる場面があること、及びラストの締め方である。ここでの主人公の表情はいいのだが、具体的にどのような脅威が本人に及ぶのかわからないので恐ろしくない。そもそも動画に撮られて晒されること自体が怖いのか、撮られる際に身体的な暴力を受けることの方が問題なのかが整理されていないように感じられ、まだ詰めが甘いところがあると思われた。  ところで前作に続き、劇中で実在の地名(千葉県K市)を特定しているのは目につく。以前、ここの近隣在住の人から“うちは臨海工業地域と都市部、農村部から限界集落までが一つの市に含まれている”と聞いたことがあるが、今回の舞台もそういう場所であり、普通の生活環境のようでもどことなく不穏で荒れた雰囲気と隣合わせのようなのは舞台設定として効果的だった。また劇中では先の震災が微妙に影を落としていたようで、「私の故郷を汚した政治家」への復讐が話として出ていながら実現しなかったのは残念だったかもしれない。 そのほか登場人物に関して、主人公は特別かわいく撮られているわけでもないが、ちゃんと健全な色気を見せている点で前作の制作姿勢とは著しい差がある。この主演女優は事態に翻弄される普通人の役柄を誠実に演じており、「風切羽~かざきりば~」(2013)に続いて脱・制服女子高生といった印象があった。他の2人もそれぞれ個性的かつ印象的な人物を演じており、ニコ役(小宮一葉)は全編にわたって凄味を出していたほか、紀里子役(サイボーグかおり)は役者本人がかなりユニークな人物らしく、ネット上でこのOVの魅力を極めてお堅い感じで語っていたのが可笑しい(真面目に読みました)。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-02 10:21:37)
18.  ひきこさんの惨劇<OV> 《ネタバレ》 
基本的には真面目に作ってある感じだが、何を売りにしようとしているかわからない。この都市伝説を題材にしたのが世界初というわけではなく、フェイクドキュメンタリー的な構成やPOV風の映像が珍しいわけでもない。劇中にネットワーカーの存在を組み入れる一方で、現実世界のネット上で映画と連動したフェイク情報を流すといったことも2013年時点では革新的とも思われない。 そういうわけで凡作としかいいようがないのだが、制作上の各種制約との関係ではパフォーマンスが結構いいのではと想像され、実際見てもそれほど悪い印象はない。逆に低予算C級ホラーを色気も何もなくひたすら真面目に作っていること自体が特徴というべきかも知れない。   ただし難があると思われたのは、誰が何のためにこの映像を撮っているか、という理由づけに関して多少綱渡り的なものが感じられたことである。また終盤では、たまたまこのタイミングで廃校に行った人間だけが殺されたように見えていたが、虐げられた連中の怨念が発端だったことはこの時点で関係なくなっていたようで、これは観客側からすると一貫性に欠ける気がした。そのほか具体的な日付(2012/3/11など)が特定されていたのは若干目につくが、これが劇中の出来事に関連付けられているように思われず、意図不明なまま終わってしまったのも不足な気がする。 一方で褒めるようなこともでないが特徴的だったのは、劇中で埼玉県内の実在の地名を出していたことである(実際は足立区や茨城県下妻市の映像も入っていたようだが)。マイナー感のある市名のため、これがリアルさの演出にも多少貢献していると思われたが、個人的にはこのM市を選んだ動機が何だったのか少し関心が持たれる。   なお主人公はアイドルという割には華がないが、役者がタレ目気味なこともあって嫌々やらされているような情けない雰囲気は出ていた。それにしてもこの監督(吉川久岳)は、主演女優をキレイに/かわいく撮ろうという気はないのであろうか。取材される側には普通にかわいい女子が出ていたが、その差がリアルということなのか。 一方で、AD(もっちー)役の人も本職の女優さんなのだろうが、劇中では顔もろくに見えないままAD役に徹しており、ほかではどういう役をやっているのかかえって気になる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-01-02 10:21:33)
19.  ヒトコワ -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
5話オムニバスである。  【知ってはいけない友達の秘密】 有名な都市伝説から始めておいて違う結末を用意しているが、ありがちな話という印象しかない。本来はマミ役の女優が好きで見たわけだが今回はそれほどでもなく(あまりくだけすぎない方が個人的好み)、かえってエイコ役(我妻三輪子)の表情がいい。  【送り○チガイ】 最初からほとんどネタバレである上に、終わり方も本当にこんなのでいいのかという感じ。サチ役(岡本杏理)は、制服姿が似合うかどうかは別として人そのものは好印象。  【親の顔がみたい】 ちゃんとオチが付いているのはいいが、人によっては途中で結末がわかったと言い出すかも知れない。主人公は委員長タイプで、友人にもおばさんっぽいと言われていたが、個人的にももう少しかわいく見せてもらいたかったと思う。  【自分の名前を検索してみたら】 劇中の動画投稿者は見るに堪えないが、しかし井上麻子役の女優(早織)に惚れてしまうのは同感である。この人が本当にいい顔を見せているので感動する。  【あの世からの電話】 最も時間が長く、中身も少し充実している。片桐・加藤の2人の男の対比がなかなかいい感じを出しており、またユキオの母は言葉が微妙に地方人らしく聞こえ、表情も普通っぽいのがかなり真に迫っていた。オチも付いているが、最後の汗はマンガとしても面白くないのでやめてもらいたかった。   以上、全体として凡作(以下)揃いで単調な印象がある。題名のとおり超常現象によらないホラーを目指している(一部を除く)ようだが、そういうアイデア自体は以前からあるので目新しくはなく、また各話の内容もTVシリーズなどで確立したパターンを流用しているだけではないかという印象があってあまり感心しない。特に気になるのはオチらしいオチのない話があることで、別に実話怪談を装う必要はないのだから、ちゃんとお話として締めてもらうのが基本ではないのかと思う。 しかしそういった不満とは別に、スターダストプロモーション所属の多彩な女優を見るという意義はあったと思われる。このあとも続編として2と3が出ているようで、これも同様の趣旨だろうと想像するが見る予定はない。
[DVD(邦画)] 3点(2014-09-07 09:21:28)
20.  PIECE ~記憶の欠片~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、仮面ライダー・戦隊シリーズにヒーロー役で出た役者を活かすためのプロジェクト“TOEI HERO NEXT”というシリーズの第1弾である。この映画では「仮面ライダーオーズ」の2人がダブル主役で出ており、ほか自分の知っている範囲では「仮面ライダーW」の園咲若菜役も出演している。ちなみに現時点で第4弾まで出ているようである。 内容としては、変身ヒーローがおらずアクションもほとんどない東映特撮といったものだが、子ども向けというより若干シビアな感じになっている。「オーズ」のTVシリーズは見ていないので、主役2人が当時とキャラクターを変えているかはわからないが、少なくとも「零」役は5つの人格を瞬時に演じ分けるということをやっているので、これはなかなか頑張っているのではないかと思われる。特に「綾さん」を熱演しているのは非常に面白い(惚れてしまいそうだ)。本来の鑑賞動機は元カノ役を見ることだったが、そのほかイマカノ役もなかなか愛嬌のあるキャラクターを演じており、最終的には主役を含めて主要人物の皆に愛着がわいて来る作りになっている。 なお最後は明らかに謎を残して終わるので、このままでは続編がなくては済まない状態になっているが、現時点でこれの続編は出ていないようである。別に続編を期待するわけでもないが、その後がどうなったのかは気にならなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2014-06-09 20:33:17)
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