221. スカイハイ[劇場版](2003)
人気テレビドラマを映画化するとイマイチで終わることも多いが、本作もそんな印象。 原作の良さを理解しない者が作ると駄作になる典型か。 漫画やドラマよりアクションに重点を置いたのが間違いで、チープで見ていられない。 エロ妖術対決が売りのVシネ『くノ一忍法帖』シリーズからエロ要素を抜き取ったようなC級感。 ちゃんと名の通った役者も使っているだけに、なおさら違和感が強くなる。 [地上波(邦画)] 2点(2013-11-08 19:58:04) |
222. おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-
《ネタバレ》 ケラリーノ・サンドロビッチの舞台は何度か観たが、ユニークなキャラクターとウィットに富んだセリフがおもしろい。 その特長が本作にも活かされている。 投身自殺と思われた料理教室の講師の死をめぐって真相を解明していくサスペンス形式だが、犯行トリックは無理筋で推理クイズ並みのこじつけレベル。 そういったことは実はどうでもよくて、あくまでケラ得意の軽妙な会話が肝になったライト・コメディに仕上がっている。 インタビュー形式のモノローグを時折り挿入したり、クライマックスで教材のナレーションが犯行の解説に移行したり、演出も巧み。 ラストは名探偵の子どもを買収して探偵ゴッゴの継続を表すオチで、しっかり計算された構成。 主演の奥菜恵はコミカルな役にハマって好演。 脇を固める犬山イヌコ、池谷のぶえのオバサンキャラも個性的で抜群の存在感。 ただ、ケラ作品は生の舞台のほうがインパクトがあって好き。 映像でもおもしろいんだけど、内容自体は頭に残らず、しばらくすると忘れてしまうような軽さがある。 テレビやDVDならいいけど、決して映画館で見たいとは思わない類の作品。 [DVD(邦画)] 7点(2013-11-07 23:09:14) |
223. ポテチ
《ネタバレ》 伊坂幸太郎原作の映画で感じるのは伏線がきちんと張られた構成の巧みさと少し漫画チックなキャラ設定。 この作品もそう。 冒頭の健康診断の話、車中のポテトチップでの涙、尾崎への異常な肩入れなど、謎を提示しながら引っ張るのがうまい。 主人公の母と若葉の会話にも、女の子との取替えや飲み放題への切り替えができなかったことがヒントになっていた。 最後まで観るとすべての意味がわかってスッキリ。 ニュートンや三角形の内角の和のエピソードも効いているし、エンドロール中のオチもオシャレに決まった。 ただ、デフォルメされたようなキャラが多いので、リアリティがなくて違和感を覚えるところがある。 また、血液型を知るのが遅いことやホームランなどご都合主義的、予定調和的なところも目につき、ファンタジーっぽくさえある。 役者では木村文乃が魅力的。 1時間余りの短い作品なのでアッサリした印象。 こってり本格派の濃厚な作品が好みなら拍子抜けするかもしれないが、これはこれでアリかと思える。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-22 00:14:17)(良:1票) |
224. 愛のコリーダ
ハードコアの話題性のみで内容は期待はずれ。 主演女優に魅力を感じないのが残念。 定と吉蔵の性的嗜好も事件を起こした心の動きも理解できない。 内面の掘り下げがないため、事件を表層的になぞっているだけに見える。 藤竜也はなぜこのオファーを受けたのか不思議。 [インターネット(字幕)] 2点(2013-10-09 23:21:21) |
225. 曲がれ!スプーン
超能力のファンタジーもので緩い感じで物語が進行する。 超常現象を信じたい気持ちは、サンタの存在を信じる童心にも通じて微笑ましい。 コミカルな小ネタにはクスリとさせられるし、エスパーたちと心を通わせる長澤まさみもかわいい。 ただ、元が舞台用の戯曲なので舞台のほうが向いている内容。 舞台ならもっと面白かっただろうけど、映像で見ても緩く間延びしたようで食い足りない。 [DVD(邦画)] 4点(2013-10-07 20:19:20) |
226. クライング・ゲーム
《ネタバレ》 IRAが人質にとった英軍兵士の黒人が死んでしまって、人質との約束を守ってその彼女に会いにいくファーガス。 そこまでなら普通の話だが、彼女のディルが普通じゃなかったことから後半は一風変わった物語に。 サソリと蛙の寓話は含蓄があって面白く、哀しい性を考えさせられる。 また、主人公と人質の黒人との間に芽生えた友情に色を添えてもいる。 ただ、ディルに魅力を感じないので恋愛話となると乗っていけない。 ディルの正体については外見的にもしかしたらというのは感じられるが、ストーリー的には意外性があっていい。 犯人と人質の友情、男と男の恋愛という本来成立しない間柄がつながっていく面白さはある。 [ビデオ(吹替)] 5点(2013-10-06 19:53:45) |
227. 血と砂(1965)
《ネタバレ》 同じ岡本喜八監督の戦争物でも『日本のいちばん長い日』とはまったく違ったテイスト。 ユーモアとペーソスにあふれ、戦争物にありがちな重苦しさがない。 「聖者の行進」の軽快なジャズ演奏の中、終戦の日に壮絶な玉砕を遂げる兵士たちの姿が脳裏に刻まれる。 反戦を声高にアピールするのではなく、戦争の愚かさを押し付けがましい表現ではなくサラッと描いているのが好印象。 楽隊の少年兵たちをもう少しエピソードを入れながら立体的に描きこんでくれれば、もっと感情移入できたかも。 小杉や古参兵はとても個性的なのに、13人の軍楽兵がみんな同じような感じに見えてしまったのが惜しい。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-04 21:32:08) |
228. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
《ネタバレ》 この時代にこのテンポとセンス、山中監督が夭折の天才と惜しまれるのがよくわかる作品。 左膳と女将の二人とも天邪鬼で、仲良くケンカするそのかけあいが間も絶妙で実におもしろい。 しっかりと芯のある王道の人情コメディとなっていて、本作をお手本にしている邦画やコントも少なくないような気がする。 子供にきついことを言いながら、次に場面が変わると実はとても可愛がっている様子がわかるような描写。 こうしたフリ、省略、オチのパターンは今の作品でも見かける手法だ。 ただセリフの聞き取りにくいのが難点。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-01 21:52:01) |
229. 竜二
《ネタバレ》 友人の一番のオススメ映画ということで鑑賞。 それまでに見たヤクザ&ギャング映画とは違う、とてもリアルなアウトロー像。 ヤクザ者の弱さ、やるせなさが滲み出ている。 足ることを知らない人間の焦りと哀しさ。 バーゲンに並んでいる女の姿を見て、背を向けて歩き出す竜二。 それを見送る女がすべてを悟って受け入れている様子なのがとても不憫でせつない。 そんな男に惚れたのが悪いといえばそれまでだけど。 竜二を全然カッコいいとも思わないし決して好きなタイプの映画ではないが、なにか心に残るような。 長渕剛のヤクザものドラマを見ると本作の影響を受けているのがよくわかる。 この作品を作るために生まれてきたような金子正次の人生にも思いを馳せてしまう。 滑舌が悪くてセリフの聞き取りにくいところが難点。 [DVD(邦画)] 6点(2013-09-07 00:54:32) |
230. 東京★ざんすっ
《ネタバレ》 つんくプロデュース、乗り物をテーマにした7人の監督作品のオムニバス。 ①過剰な親切アナウンスにクレームをつける会社員。だから何?って感じではある。 ②監督は野沢直子だが意味不明の世界。 ③ベタでわかりやすいファンタジー。 ④擬人化された体重計の視点から。女風呂だけにお色気サービスたっぷり。オチが読めてしまう。 ⑤奇をてらいすぎてドラマになっていない。 ⑥ヤクザの息子と警官の息子の運動会での競争。わかりやすくまとまっている。 ⑦老婆をめぐる四人の爺さんたちのレース。ナンセンスギャグ風。 全般的に個性的ではあるが、ただの悪ふざけのようなものもあって見るべきものがあまりない。 初監督で本職じゃない人が撮っているので、やっぱり本職の監督との差を感じずにはいられない。 笑わそうとしているのか何なのか狙いのよくわからないのもあって、これをもし映画館で見せられたら苦痛を覚えるだろうレベル。 [DVD(邦画)] 2点(2013-08-31 21:46:19) |
231. ドロップ
漫画は未読だけど映画はそれほど楽しめなかった。 シンプルなヤンキー映画でベタな展開のために意外性はない。 初監督作品にしてはまとまってはいるけど、少し古い感じもして物足りなかった。 [DVD(邦画)] 3点(2013-08-29 22:50:38) |
232. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 前半のゆるい感じが続くのかと思えば、後半からの展開は予備知識がなかったので意表をつかれた。 ネタばらしに入ってからがおもしろい。 ドルジの日本語にまったくなまりのないのが突っ込みどころではあるけれど、うまく騙されてしまう。 もう一度見直してみると、いたるところに伏線が張ってあるのに感心する。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-29 22:49:42) |
233. 大停電の夜に
うまく作っていてオシャレだとは思うが、おもしろいとはいえない。 複数の人間ドラマを並行して描きながらそれぞれを交錯させることで、どうしても都合のよすぎる展開に。 こうした群像劇は『ラブ・アクチュアリー』や『クラッシュ』と同じような趣向だけど、前者ほどはじけてはおらず、後者ほどエピソードにインパクトがない。 [DVD(邦画)] 4点(2013-08-28 22:36:22) |
234. インシテミル 7日間のデス・ゲーム
似たような設定のヒット作に続こうとの下心が見えるが、内容ははるかに及ばない。 リアリティも緊張感も意外性もない。 [DVD(邦画)] 2点(2013-08-27 20:37:46) |
235. ぼくたちと駐在さんの700日戦争
バカバカしいけどギャグタッチの軽い笑いでくすぐられる。 警官との子供のケンカのような戦いも漫画的かつ牧歌的でほのぼの。 笑いのツボから外れると後は何も残らない映画だが、意外とおもしろかった。 市原隼人の演技は他の作品では鼻につくこともあったけど、この役は合っていて良かった。 映画館で観るより深夜テレビでゆるく観るのがふさわしい内容。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-27 20:36:39) |
236. おくりびと
《ネタバレ》 いわゆる良い話なんだけど、パターン通りで意外性はない。 石文のエピソードで、亡くなった父が我が子への思いのこもった石を握っていたのもベタすぎる。 広末のいい嫁っぷりは癒されるけど、こちらもちょっと理想主義。 納棺師の仕事ぶりは興味深かった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-10 02:39:00) |
237. 鬼畜
子役の演技がもう少しマシだったら全然違ったろうに。 岩下志麻の愛人に対する怨恨と緒方拳のダメ親父っぷりが見事な演技だけに余計にそう思える。 昔の日本映画は子役のレベルが低いのかも。 子供への虐待を描いた『トガニ 幼き瞳の告発』の子役と比べると雲泥の差。 あのレベルの子役で本作を見てみたかった。 今は邦画も上手な子役がいっぱい出てきているので、それだけにもったいないような気がする。 [ビデオ(邦画)] 6点(2013-08-09 00:08:19) |
238. 復讐するは我にあり
苦手なタイプの邦画に特有の要素をしっかり感じてしまう映画。 この湿気のある暗さが好きになれない。 緒方拳と三国連太郎の面会での対峙は緊迫感があふれているが、それまでに中弛みがあって長く感じた。 [地上波(邦画)] 4点(2013-08-08 23:49:29) |
239. 39 刑法第三十九条
《ネタバレ》 心神喪失での無罪判決には腑に落ちないことが多いので、このテーマは興味深い。 完全犯罪を狙ったというよりも刑法第39条への問題提起。 対立する立場である鑑定医の香深を共犯者と呼んだことに主人公の真意が表れていた。 ただ、愛する幼い妹を惨殺された工藤の犯行は共感できるけど、その恋人は理解できない。 いくら工藤を愛していても、見ず知らずの男と夫婦になってまで犯行に協力するなんてありえない。 工藤がマンションに侵入したら畑田が妻を殺していたというのもあまりに都合がよすぎる。 ストーリーに無理のあるところを幾つか感じたが、緊張感が漂っていて見応えはあった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-07 23:29:01)(良:1票) |
240. はつ恋(2000)
《ネタバレ》 田中麗奈のインパクトが期待していたよりなかったけど、内容は悪くない。 心情の機微を丁寧に描いた静かな映画なので、地味でインパクトは薄いけどじんわりとくる温かさがある。 ネットでの再鑑賞。 年を経ての今回のほうが、良かった気がする。 この頃の田中麗奈は、演技は特別うまいとは思わないのだけれど他にないような独特の存在感があって、瑞々しくてちょっと刹那的な桜の花のよう。 原田美枝子も安定の演技力と存在感。 若い頃の恋人との別れ。そのことに思いを馳せながらも、後悔しているわけではない。 ありふれたようにも見える今の人生を否定することなく、感謝し満足もしている。 家族を残していく切なさが、重苦しくなることなくじんわり温かさを伴って伝わってくる。 [ビデオ(邦画)] 6点(2013-08-01 23:02:52) |