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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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421.  GODZILLA 怪獣惑星 《ネタバレ》 
ゴジラシリーズ初のアニメ映画化となる三部作の第1作。来月からこのシリーズとは別のテレビアニメによるシリーズが始まるとのことでとりあえず一応この三部作を見ておくかという軽い気持ちでまったく期待せず見始めたのだが、前半はとにかく状況説明ばかりな印象が強く、主人公のハルオ(ひょっとして中島春雄からとった名前だろうか?)をはじめ、感情移入できる登場人物がいなく、誰にも魅力を感じられないのにも致命的なものを感じるし、ゴジラに地球を滅ぼされた人々が長い宇宙放浪の果てに結局ゴジラがまだいるかもしれない地球に戻り、ゴジラと戦うという展開も見ていて無理やり感があり、完全に物語としておかしいというレベルにまで達してしまってる。主人公であるハルオのゴジラへの憎しみや伝わりづらく、この主人公のドラマとしても弱さを感じずにはおれない。(このハルオの声を演じているのが宮野真守(ウルトラマンゼロの声)だもんで最後はウルトラマンにでも変身するのかと薄っすら思ってしまった。んなわけないけど。)後半になってようやく登場するゴジラであるが、このゴジラが無個性で怪獣としての魅力に乏しいのは困った。こういう壮大な宇宙SF風味の作風でもゴジラ映画なら主役はあくまでゴジラだと思っているのでせめてゴジラだけは魅力的にしっかり描いてほしかったところで、このあたりは本当に残念。「怪獣惑星」というサブタイトルも「怪獣総進撃」のようなものを想像してしまうのだが、なんか見事に肩透かしという感じが残る。でも、オープニングのニュース映像のシーンでカマキラスやドゴラが出ているというマニアックな選択(ドゴラ、今の時代に実写だと間違いなくフルCGだろうなあ。)は笑えたし、アナウンサーのセリフをよく聞くとヘドラやアンギラスの名前も出ていて、正直、このオープニングでのつかみはOKだったのだが、見終わってこの部分がいちばんおもしろかったという感想になってしまった感は否めない。あとの2本もとりあえず見る気でいるが、先が思いやられる。
[DVD(邦画)] 4点(2021-03-19 01:38:42)
422.  動乱 《ネタバレ》 
高倉健と吉永小百合が初共演した森谷司郎監督による歴史大作。226事件を題材にしているが、本作はそれを起こしたひとりである青年将校 宮城大尉(高倉健)と脱走し処刑された彼の部下(永島敏行)の姉である薫(吉永小百合)のラブストーリーを軸に描かれていて、歴史的事件を描いた骨太な大作映画というよりはまずこの二人の共演ありきの映画という印象が強い。映画としてはこの手の大作にありがちな大味な作品だと思うし、上映時間は2時間半だが、それでわざわざ二部構成にする意味がよく分からないし、その時間配分もちょっとおかしく感じた。高倉健はヤクザ映画やアクション映画で見ることが多くなっていたせいか、ちょっと心配だったのだが、やはりそれらとは違う魅力があってカッコいいと思わせているのはさすがといったところ。あまり映画自体に深みは感じないが、主役ふたりのラブストーリーとしてはそれなりに見れるし、この2年後に同じ監督・主演トリオで東宝で製作される「海峡」よりは高倉健と吉永小百合の共演作としては見どころのある映画にはなっている。しかし、話自体は「海峡」のほうがまだ面白かった気はする。ところで森谷監督は吉永小百合の単独主演映画の監督というのはやっていないんだなとふと思った。
[DVD(邦画)] 5点(2021-03-16 22:30:20)
423.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
雪を撮らせたら右に出る者はいないと言われるキャメラマンである木村大作が自ら脚本と監督を手がけた山岳映画。映画キャメラマンの監督作品を日本映画で見るのは初めてのような気がするが、どうしても新田次郎の原作を映画化したかったという木村監督の思いがよく伝わってくる反面、山の険しさ、厳しさと美しさを表現したいという思いが強すぎる故か、どうも木村監督の興味がただ山を撮ることだけにあるように思え、山に挑む主人公たちの人間ドラマにはほとんど興味がないかのように思えるほど、人間ドラマが薄く、葛藤というものが描かれていないばかりか、上映時間の都合か最後もいきなり頂上にたどりついたような印象で、カタルシスを感じないし、物足りない。全部生撮りで撮影の現場は録音技師の斉藤禎一が負傷するなど過酷だったようだが、映画を見ていてその過酷さが伝わって来ないし、作っている側は感動しているのかもしれないが、見ている側の感動は薄い。同じ新田次郎原作で木村監督が撮影を担当している「八甲田山」のほうがドラマとしての見ごたえはあるのではないかと思う。エンドロールが「俺たちは苦労してこの映画を作ったんだぞ。どうだ。」みたいな感じがして、なんだかこの映画がすべて撮影に関わったスタッフ・キャストの自己満足を満たすためだけに作られた映画のように思えてしまったのがなんかイヤだった。そういうことをされると所詮はそういう映画だったのかということしか印象に残らなくなる。ここに2点マイナス。
[DVD(邦画)] 3点(2021-03-16 18:43:12)
424.  宮本武蔵 巌流島の決斗 《ネタバレ》 
内田吐夢監督による中村錦之助主演の「宮本武蔵」五部作の完結編で、内田監督にとっても東映専属最後の作品になるわけだが、やはり前作でピークを迎えてしまったようで、この完結編単体で評価してしまうと正直そこまでの面白みは感じないし、内田監督の本作の一つ前の作品が「飢餓海峡」だったということもあり、その余力で臨んでいるような印象も受けてしまうのだが、それでも、剣に生きた武蔵の長い長い物語の最後として見れば武蔵のドラマとしてすごく見ごたえのあるシリーズだったと思うし、久しぶりに全作見返して、どの作品も重厚でまさにこれぞ大河時代劇と呼ぶにふさわしく、この五部作を初めて見た後にも武蔵を描いた映画はいくつか見ているが、やはりこのいちばん最初に見たこのシリーズが最高の武蔵映画であることを改めて確認できたのは良かったと思う。ラストで小次郎(高倉健)を倒し、己が今まで追い求めていた剣が所詮武器に過ぎないということを悟った武蔵からはどこか虚しさのようなものを感じずにはおれないが、剣をひたすら追い求めた武蔵の物語のラストとしては、見ていて説得力があり、同時に武蔵がこのあと、どういう人生を歩むのかということも少し気になった。脇に目をやると内田監督の映画の常連である千恵蔵が長岡佐渡を演じているが、千恵蔵は戦前の稲垣浩監督の「宮本武蔵」で武蔵を演じていた縁もあっての出演であることは想像に難くない。1作目でとても印象的だった沢庵和尚(三國連太郎)が再登場するあたりにもいよいよ完結という雰囲気がよく出ている。「般若坂の決斗」でも少し書いたけどもうこの頃は東映時代劇の末期に近く、小次郎を演じる高倉健も既に任侠映画のスターとしてブレイクし始めたころだっただろう。その中にあって、きっちりこの五部作を完結することができたのは内田監督にとっても本望だったのではと思えてくる。改めて本当に素晴らしいシリーズだった。(2021年3月16日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2021-03-16 00:15:39)
425.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
確かに子供向けを意識して作ったという感じでこの年になって初めて見たら物足りない部分も多いし、リサの危なっかしい車の運転や、初期の「クレヨンしんちゃん」のしんのすけの如く両親を呼び捨てにする五歳児などちょっと気になるところはあるし、突っ込みどころも探せばけっこうあるのだが、逆に子供向けを意識したのが良かったのか最近の宮崎アニメにあった説教臭さや堅苦しさという物が抜け、気軽に何も考えず楽しめる映画となっていて、「となりのトトロ」よりは劣るが、「もののけ姫」以降の宮崎アニメの中ではいちばん良かった気がする。(「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」にあったグロテスクな描写が抑えられているのも○。)最近のアニメでは珍しくなった全編手描きによる作画もどこか優しい感じでとても好きだ。声優陣も山口智子、所ジョージ、長嶋一茂などいつものように有名人でかためているが、その演技も今回は安心して見られるレベルだったと思う。ここからは完全に私事の余談なのだが、この映画、知り合いの娘さんがスタッフとして参加しているらしいのだが、エンドクレジットがよく読めず、名前を発見できなかった。(ちなみに現在はジブリを退社しているらしい。)
[地上波(邦画)] 7点(2021-03-13 15:42:24)(良:1票)
426.  宮本武蔵 一乗寺の決斗 《ネタバレ》 
武蔵(中村錦之助)と吉岡一門の最終決戦を描くシリーズ第4作。昔に見た時もこの回は見ていて思わず唸ってしまったのだが、やはり今久しぶりに見てもこのシリーズはこの4作目が最高傑作だと思うし、それだけではなく、連続ものシリーズということを考えなくても純粋に一本の時代劇として素晴らしい映画になっていると断言できるほどのすごさを持ち合わせている。ドラマとしては吉野太夫(岩崎加根子)の琵琶の話や、武蔵と城太郎(竹内満)との別れのシーンが印象に残るのだが、やはりクライマックスの一乗寺での吉岡一門との最終決戦はまさに壮絶という言葉がぴったりと当てはまるほどの壮絶さで、この部分だけ白黒になるという演出の効果も相まってすごくリアルに感じられる。また、武蔵の挑戦によって滅亡の道を歩むことになる吉岡一門の側のドラマもしっかりと描かれていて、それによって映画に深みが出ているのも良かった。中盤の伝七郎(平幹二朗)との三十三間堂での対決がクライマックスの大決闘とは対比的に描かれているのも印象的。一乗寺での吉岡一門との最終決戦で名目上の侍大将である子供を殺してしまった武蔵だが、やっぱりこれは今後の武蔵の人生に大きく影響することになるのだろう、ラストシーンの菩薩を掘っている武蔵からは虚無感しか感じられず、決して爽快感のあるラストではないのだが、この見る者に一乗寺の決闘の意味を投げかけてくるような終わり方も、すごく考えさせられるラストになっていて、ここにもこのシリーズの人間ドラマとしての深みを感じずにはいられない。(2021年3月7日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2021-03-07 18:22:27)
427.  リメインズ 美しき勇者たち 《ネタバレ》 
JACの結成20周年を記念して深作欣二監督の監修のもと、千葉真一が自ら監督を手がけたアクション映画で、マタギと人食い熊との戦いを描いた作品。見る前はつまらないだろうなと思っていたが、俳優の監督デビュー作にしてはそこそこといった感じでそんなに悪くないし、サスペンスとしての盛り上げ方も思ったより良かった。しかし、最初はリアルに見えた熊が最後のほうではもろに着ぐるみ丸出しで、クライマックスの熊との戦いはけっこう緊迫感が感じられるものになっているのにそこが気になってしまった。千葉真一は俳優としては出演しておらず、演出に専念しているが、これには話題作りのための監督業でないことが感じられた。(JACの映画だったら、菅原文太演じるマタギのリーダーを千葉真一が演じていてもおかしくはないのに。)主演の真田広之は音楽監督と主題歌の作詞・作曲も担当しているが、この映画のしばらく前にJACを退団しているので、本作は彼の置き土産的な映画でもあるのだろう。
[DVD(邦画)] 5点(2021-03-06 18:15:10)
428.  夕凪の街 桜の国 《ネタバレ》 
昭和30年代と現代の二部構成で描かれた佐々部清監督による広島原爆を描いた映画で、こうの史代の漫画を原作としている。昭和30年代が舞台の前半「夕凪の街」は原爆に遭った主人公・皆美(麻生久美子)が生き残ってしまったことへの葛藤を抱えながらそれでも懸命に生きていく姿が描かれていて、淡々としているが、情感たっぷりで心に刺さるようなセリフもあり、思ったよりはかなり良いし、思わず引き込まれた。それに現代の邦画戦争ものにありがちな回想形式でなかったのも良かった。しかし、やはり後半の現代パートである「桜の国」は、最終的に伝えたいことは伝わってくるものの、前半とのつながりがうまくいっているとは思えず、前半が良かっただけにイマイチに感じる部分が多い。「桜の国」の主人公である七波(田中麗奈)の子供時代の回想が入るのもせっかく前半は回想形式でなかったのにと思えてしまって何か残念だった。見たあとで調べて分かったのだが、原作では七波の子供時代も回想ではなく、現在進行の物語として書かれているみたいなので、たとえ三時間くらいになっても映画でもそうしたほうが良かったような気がした。また、原爆資料館で吐き気を催した友人(中越典子)を七波がラブホに連れていくところは思わず突っ込んでしまったし、二人で風呂に入りながらテレビでかかっていたプリプリの「diamonds」を歌うシーンは、原爆映画という本作の趣旨とかけ離れてしまっていて違和感があり非常に残念だったように思う。悪い映画ではないのだが、前半の良さを後半が足を引っ張ってしまった印象は否めず、あまり人にすすめようとは思わない。それに、映画を見ているときにふだんほとんど原作の存在は意識しないのだが、本作は久しぶりに原作の漫画を読んだほうが良さそうと思ってしまった。それでも、前半の良さに免じて6点を。
[DVD(邦画)] 6点(2021-03-01 23:55:24)
429.  炎の城 《ネタバレ》 
「ハムレット」を題材にした加藤泰監督の時代劇。シェイクスピア作品を翻案とする邦画では黒澤明監督の「蜘蛛巣城」と「乱」があり、加藤監督も黒澤監督の「羅生門」で助監督だったということもあり、変な期待もしてしまうのだが、加藤監督の仕事ぶりをただ確認しただけという感じで、作品としては正直凡作といったところで、あまり面白くない。「ハムレット」のストーリーはよく知らないのだが、それでも、時代劇としてはそれらしくない部分が多く、できるだけ忠実に作ろうという意図は伝わってくる。しかし、それが時代劇としては違和感を感じるものになってしまっているのは残念。「蜘蛛巣城」が本作の三年前とのことで、加藤監督はそれも頭にあったのかも知れず、自分もシェイクスピアに挑戦してみようという思いがあったのだろうとも思うが、もう少しうまく脚色すればなんとかなったのではと思ってしまう。音楽は伊福部昭が担当しているが、クライマックスでゴジラのテーマらしきものが早回しで流れたのはちょっとビックリ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-02-28 22:37:14)
430.  子猫物語 《ネタバレ》 
「協力監督 市川崑」というクレジットに釣られて見てしまったが、正直言って「南極物語」の大ヒットに気をよくしたフジテレビが2匹目のドジョウを狙った映画としか思えなかった。「南極物語」と違って俳優を一切出さずに動物だけ登場させて擬似ドキュメンタリーのように仕上げているが、ブースケがチャトランを助けに川へ飛び込むシーンとか明らかに誰から見ても作為的なシーンが多くてかなり気が滅入る。(出てる犬や猫が可哀想。)露木茂のナレーションも最初は気にならなかったが、だんだんうるさくなっていくように感じたし、時折入る谷川俊太郎が書いた詩、詩自体は深みがあって良かったが、この映画の中に入れることで何の効果があるのか意味不明。さらにそれを朗読するナレーションがアイドル時代の小泉今日子というのがあからさまに彼女のファン層を映画館に引き寄せようという意図が丸見え。市川監督らしいショットはところどころにあり、チャトランが崖から落ちるシーンもそうなのだろうが、そこだけは、やはり市川監督の映像テクニック云々以前に可哀想という言葉が先に出てしまう。当時、日本映画界では動物映画を作ればヒットするというのがあったようだが、まさに客さえ入れば、ヒットさえすればそれでいいと言わんばかりの製作者(フジテレビ)側の姿勢には驚くばかりだ。おそらく市川監督の名前が無ければ見なかったと思える映画だが、本当に見なきゃよかったと思えるような映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2021-02-28 12:00:48)(良:1票)
431.  亡国のイージス
同じ原作者の「戦国自衛隊1549」よりかは面白かったけど、前半と後半の落差が激しく、前半は社会派映画みたいな感じで良かったのに後半からは(既に指摘されてる方も何人かおられるが。)本作と同じ脚本家の「ホワイトアウト」とあまり印象が変わらないような展開でありきたりのアクション映画になってしまい残念。豪華な出演者陣もイマイチ生かしきれていないような気がする。真田広之を久しぶりに現代劇で見た。
[ビデオ(邦画)] 5点(2021-02-25 22:23:24)
432.  宮本武蔵 般若坂の決斗 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。今回からいよいよ武蔵(たけぞう)から武蔵(むさし)になった後の物語が描かれるわけだが、冒頭の幽閉から解放された武蔵は前作の荒々しさがなくなり、人間的になった武蔵は本当に別人のようになっており、演じる錦之助の上手さをこの冒頭から感じずにはおれないが、因縁の相手である吉岡一門の登場など物語的にもここからが本当のスタートといった感じがよく出ている。そんな今回はタイトルにもあるように般若坂の決闘がクライマックスの見どころなのだが、今見ると中盤の武蔵と日観(月形龍之介)との会話やその前の阿厳(山本麟一)との対決シーンのほうが印象深く、とくにこの阿厳のシーンはまず阿厳の強さを見せておいて、そのうえでその阿厳を一瞬で武蔵が倒してしまうという展開で、武蔵のその圧倒的な強さが初めて示されるシーンでもあり、とても印象に残る。阿厳を演じている山本麟一も短い出番ながらもすごい存在感を見せていて良い。クライマックスの決闘の後で明かされる日観のしたたかさもなかなかのもので、自分が利用されたことを知って憤慨・葛藤する武蔵で次回へつなげるというのがうまい幕引き。今回から武蔵の弟子となる少年・城太郎(竹内満)が登場しているが、初登場となる今回から既に活躍の場があって、立派な主要人物の一人であることを印象づけている。もちろん、内田吐夢監督の演出も前作と変わらず重厚で力強く、2作目でも高い完成度を保っている。冒頭に登場する沢庵(三國連太郎)が武蔵と別れる直前の会話で「三年たって時代は変わった」というのを言うのだが、このシリーズをやっている5年間の間に東映は時代劇からヤクザ・任侠映画に方向転換することを知っているので、この沢庵のセリフは思わずそれと重なって聞こえてしまう。(2021年2月20日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2021-02-22 17:31:24)
433.  ちいさこべ 《ネタバレ》 
田坂具隆監督が山本周五郎の小説を錦之助の主演で映画化した人情時代劇。火事により無一文となり、独力での再興を決意した大工の若棟梁がやがて情に目覚め、焼け出された孤児たちを引き取るという物語。田坂監督の映画を見るのは「乳母車」以来、かなり久しぶりだったのだが、実に人間味あふれるドラマになっていてやや冗長に感じる部分もなくはないがとても感動的ないい映画だった。どことなく山田洋次監督が手がけていてもおかしくないような感じもして以前、山田監督が田坂監督のファンであると聞いたことがあるけど、やはり、受けた影響が大きいのかなとちょっと思う。出演者に関しては個人的には剣豪を描いた「宮本武蔵」シリーズや「瞼の母」、「沓掛時次郎 遊侠一匹」のような股旅映画の印象が強い錦之助にこの若棟梁の役はちょっと最初はイメージ的にどうかなあと思っていたが、独力で家業の再興をすることに躍起になっていた前半から、孤児たちを引き取る決意をする中盤以降の主人公の心の変化をとてもうまく表現していて、こういう殺陣シーンの一切ないような人情ドラマでもさすがにうまさを感じさせており、刀を持った役とは違う一面を見せている。主人公の幼馴染を演じる江利チエミは出演作をあまり見ていなかったのだが、子供たちに見せる母性愛や、健気な中にある儚さといったものを見事に表現していてこちらも素晴らしく、今までどちらかといえばアイドルのようなイメージが強かったが、(ちなみに「三人娘」シリーズはすべて未見。)初めて良い女優だと思った。 8点でもいいと思う映画なのだけど、やはりちょっと長すぎるので7点。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-02-20 23:27:32)
434.  宮本武蔵(1961) 《ネタバレ》 
内田吐夢監督の晩年のライフワークとも言える五部作の一作目。長い物語のほんの序盤ということもあってストーリー的な盛り上がりはそれほどないものの、内田監督の骨太で重厚な演出とそれに応える錦之助、三國連太郎といった出演者の演技の素晴らしさによって見ごたえのある映画になっていて、やはり見ていて引き込まれるし、昔にもこの五部作は見ているが、(いちばん最初に見た武蔵映画がコレだった。)稲垣浩監督の東宝版や加藤泰監督の松竹版も見たあとになって改めて見るとこの1作目から武蔵の人間としての成長と人生を丁寧に描くという作品としての風格も出ている。今回は武蔵(むさし)が武蔵(たけぞう)と呼ばれていた暴れん坊だったころを描いているわけだが、錦之助の演技はそんな武蔵の荒々しさと弱さを見事に表していて、その中に人間臭さとでも言おうか、そういうものをも感じさせているのがやっぱりいいなと思う。そんな武蔵を諭し、導く存在である沢庵和尚を演じる三國連太郎も飄々としている中にも重みのある存在感で素晴らしく、映画に深みを与えていて、この配役が本作の肝だったとも言っていいだろう。千年杉に吊るされた武蔵と沢庵のやりとりがとても印象深い。そして、幽閉された武蔵がこれまでとは全く違う鋭く重厚な表情を見せるラストは、これから武蔵を待ち受ける運命を予感させていて、まさに壮大な物語の幕開けといった感じである。(2021年2月14日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2021-02-14 16:29:18)
435.  ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎<TVM> 《ネタバレ》 
テレビスペシャル第2作。(この作品から「金曜ロードショー」で放送されるようになったとのこと。)本作は序盤にルパン、次元、五右衛門の三人が完全に別行動というのが新鮮だし、西部劇を意識した演出も利いていて、ハードボイルドタッチな雰囲気も良いし、出崎統監督らしい止め絵演出も効果的に使われていてスペシャル版の中ではかなり好印象な一篇。中でも次元が帽子を脱いでいるシーンが多いことにちょっと驚いたし、帽子を脱いで銃を外さず撃っているのを見て、セカンドシリーズの一篇である「次元と帽子と拳銃と」が印象にあっただけにやっぱり次元はどういう状態でも銃の名手でなければと感じた。(あの話も面白かったんだけどね。)話的にもテレビレギュラーシリーズの一篇でちょうどいい感じなのに冗長な感じはほとんど受けなかったのがまた良かった。ただ、銭形がほとんど活躍せず、むしろ空気のような存在になっていたのはちょっと残念だったかな。(2019年11月2日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2021-02-14 12:47:53)
436.  續 宮本武蔵 一乗寺の決斗 《ネタバレ》 
稲垣浩監督の「宮本武蔵」三部作の第二作。三船の武蔵は前作よりも良かったと思うが、やっぱり錦之助の武蔵に比べると何か違和感があるし、一乗寺の決闘といえば東映版ではいちばん面白かった部分なのにドラマもクライマックスの決闘シーンもあっさりとしていて完全に中だるみの一篇という印象。八千草薫のお通と岡田茉莉子の朱美の武蔵をめぐる恋敵の関係など、東映版や松竹版よりも恋愛ドラマ的な部分がクローズアップされてるのが面白いところだが、武蔵の成長物語として見た場合、かなり物足りなく感じる。とくに決闘シーンに吉岡側に子供がいないのはなぜ。このあたりの東映版の記憶が少しあやふやだが、東映版とはかなり違う気がしてドラマ的に物足りなさを感じた。前作で又八を演じた三國連太郎がなぜか降板していて堺左千夫になっているのに違和感があるが、東映版でお甲を演じた木暮実千代が吉野太夫を、同じく東映版に出ていた東野英治郎が宍戸梅軒を演じるなど今回も東映版の出演者が違う役で出てるのはちょっと興味深いものがある。そして鶴田浩二の佐々木小次郎は高倉健や田宮二郎の小次郎よりも色気があってかっこよかった。
[DVD(邦画)] 5点(2021-02-12 22:33:47)
437.  武士道残酷物語 《ネタバレ》 
ある家系の戦国時代から現代までの歴史を7話のオムニバス形式で描いた今井正監督の映画で、各エピソードに登場する先祖代々七人の主人公を錦之助が一人で演じているのが見所。現代のパートでは錦之助は普通の会社員を演じているのだが、今まで現代劇での錦之助を見たことなかったのでちょっと違和感を感じた。それでも七人を見事に演じ分ける錦之助はやはりうまいと思うし、武家社会に対する忠義をこんな手法で描いた構成は新鮮だった。それぞれのエピソードがとても完成度が高いのだが、とくに第4話はいちばん力の入ったつくりで、内容もかなり重苦しいのだが、この話が個人的にもっとも見応えがあった。第3話の錦之助に言い寄る森雅之演じる殿様や、第5話明治篇の加藤嘉もインパクトのある熱演で印象に残る。第6話の太平洋戦争篇だけはちょっと唐突に感じられるんだけど、一話一話に今井監督のメッセージのようなものが感じられる作品になっていて、予告編を見ると主演俳優一人七役ということが最大のウリになっているみたいだが、それだけではない映画だと思う。でも、僕も敢えて他人にすすめようとはあまり思わないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2021-02-03 18:38:19)
438.  春の雪
三島由紀夫原作の映画の主役が妻夫木聡と竹内結子(テレビ初放送時の「タイタニック」吹き替えコンビ)ってちょっとどうなんと思いながら全く期待せずに見たが、映像が美しく、いかにも大正時代の貴族社会という雰囲気がよく出ていたと思う。岩代太郎の音楽も良い。主演の妻夫木聡は「ウォーターボーイズ」とかで爽やかな印象が強いのだが、なかなか頑張っていて予想よりはよかったと思う。が、一方の竹内結子は頑張ってはいるのだが、なんか違うような気がして似合わない感じがする。映像の美しさは先ほど書いたとおりなのだが、ストーリーにあまり深みがなく、主人公二人に感情移入が出来ないのが難で、原作(未読)が4部作の1編ということもあってかただ出てきただけというような人物がいたり、輪廻転生について話すシーンなどの伏線が投げっぱなしの印象なのもちょっとなあ。それにこういう高尚な映画の主題歌が宇多田ヒカルというのも違和感がある。(普通にインストゥルメンタルが良かった。)それでも、大楠道代(安田道代)、岸田今日子、そして若尾文子という増村保造監督の映画で印象に残る演技を見せた三人が出ている(これは企画に藤井浩明が名を連ねているせいもあるかも。)のが自分にとって最大の見どころ(若尾文子、大楠道代(安田道代)に加えて山本圭も出ているので山本薩夫監督の「氷点」も思い出される。)で、中でもこれが久々の映画出演となった若尾文子はやっぱり年をとっていても品があって美しく、独特のオーラを放っていて存在感があり、いい年の取り方をしているなと感じさせてくれたのが嬉しい。ところで晩年の市川雷蔵が清顕を演じたがっていたそうだが、もしも、雷蔵と若尾文子のコンビで映画化されていたらどんな感じの映画になっただろうか。
[DVD(邦画)] 5点(2021-02-02 22:37:45)
439.  鉄男 TETSUO 《ネタバレ》 
冒頭からインパクトのある衝撃的な映像の連続で、不安を煽るような耳障りな音楽も相まって、それだけで何か得体の知れない映画という感じがして引き込まれた。見るからに低予算な映画ではあるが、それを逆手に取ったような独特な映像表現がそれを感じさせていないのがすごい。真面目にストーリーを追おうとするとハッキリ言ってまったくわからないのだが、頭で考えるのではなく、この映像を素直に体感できればそれでいいような映画なのだろうと思う。塚本晋也は「シン・ゴジラ」とかで俳優のイメージが強く、監督作を見るのがこれが初めてだったのだが、これで一躍注目されたのもうなずける話だ。ただ、男(田口トモロヲ)とやつ(塚本晋也)が対決するあたりからはちょっとだれ気味だったのも事実で、後半はその分失速してしまった印象があるのはちょっと残念。劇中何度か登場するVHSビデオのようなビリビリ砂嵐は今になって見るとなんだか懐かしく思える。(本当にVHSの時代にビデオで見ていたらデッキの故障かと思ってかなり焦ったかも。)既に指摘されている方もおられるように見ていて「AKIRA」を思い出すような主人公の変貌描写でタイトルも「鉄男」(鉄雄)なのが偶然とは思えないのだが、つい、「金田」ってタイトルの映画は存在しないのねという無関係なことを思ってしまった。本作を見たのは先週に見た「桐島、部活やめるってよ」の影響なのだが、逆に桐島を見ていなければずっと見なかったタイプの映画だったかもしれない。ただ、最初にも書いたように確かに引き込まれる映画で、面白かったことも事実なのだが、好みかと言われればだいぶ微妙なので、まあ6点が妥当なところかなと。
[DVD(邦画)] 6点(2021-01-28 23:54:50)
440.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
見る前は正直もっと退屈するかもと思っていたが、意外に最初からすんなりと入ることができ、最後まで退屈することなく見ることができた。学校を舞台にした生徒たちの群像劇ということもあってか、見ていて「櫻の園」(1990年)を思い出したが、本作で描かれる高校生の日常はよりリアルで切実に感じる部分がありながらも、一方でどこかまったりとした青春映画という感じがあり、そのバランスも良い。このタイトルだとバレー部を辞める桐島を中心に話が進むのが普通だと思うのだが、当の桐島が一度も登場せず、退部の理由も結局明らかにされないまま終わるのはかなり斬新なプロットで、もうこれだけで本作は後世に残りそうな感じがする映画になっていると思う。もちろんそれだけではなく、登場する生徒たちが本当にどこにでもいそうな感じがするので、生徒たちそれぞれにさっきも書いたようにリアルさや切実さが感じられるのが本作の魅力になっているのではないだろうか。(生徒たちのなにかダラダラした感じも逆にリアリティを感じさせる。)同じ出来事を視点を変えて何度も描くという手法も映画ではよくある手法だが、やはり効果的に使われているし、やはりこういうのを映画というのだとあらためて思う。クライマックス、屋上でゾンビ映画の撮影をしている映画部の前に桐島を探しにきたバレー部が現れ、ひと悶着起こるところでバックに吹奏楽部が演奏するワーグナー「ローエングリン」が被さるのがとても印象的で、その後のラスト近くの菊池(東出昌大)と前田(神木隆之介)のやりとりがすごく良く、思わず、自分がこのくらいの年齢の頃は前田のような現実を見た考え方はできてなかったよなと妙に懐かしくなってウルっときてしまった。確かに見る人を選ぶ万人受けは難しい評価も分かれる映画だと思うが、見る前の不安が嘘のように面白かったし、見てよかったと思える映画だった。それに見終わって「鉄男」やロメロの「ゾンビ」に少し興味がわいた。
[DVD(邦画)] 7点(2021-01-25 00:21:52)
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