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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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421.  奇々怪々譚 醒めない悪夢の物語 《ネタバレ》 
全8話のオムニバスホラーである。以下個別に書く。 ①年取ってこうなったら怖いかとは思った。物悲しい。 ②オチ付きの小噺。ヒトコワ系だけかと思っていたら違った。 ③東京の安い一軒家は事故物件だろうという安易な予想が覆される。集合住宅に住めない理由はそれだったかと納得させるオチ。怪しい声がいい。 ④ラストは面白くないがそれほど悪くない。確かに、ユーズド商品として売っている古本など、こういう経過で市場に出たものではないかと思うことはあった。 ⑤第5話に至って初めて女性の俳優が出る。私事になるが、実は女性専用とされる掲示板サイトを時々見ることがあり(書いてはいない)、そこで「生霊を飛ばす」という表現が時々使われるので、そういう話かと思ったがそうでもない。その女性専用サイトには明らかに男が入り込んでいて嫌われているが(おれは書かない)、わざわざ女子だけの中へ紛れ込もうとする男の心情に通じるもののあるオチかとは思った。ただし面白くはない。 ⑥コーヒーを含めた総称として「お茶」ということは自分もあるので、その点だけは彼氏に共感した。それより彼女が発言しようとする顔に結構注目してしまう。表情に影が差していたのが輝きに転じるのもいい。これは結構好きだ。 ⑦川ゾンビと川テトラポッドと川河童(普通に河童)が語られる。何を探しているかわからない男が出たので、むかし読んだ夢に関わる非常に嫌な感じの怪談を思い出したがそれとは違っていた。二段階のひっくり返しは悪くなく、「めっちゃ恥ずかしい」の隣で時が止まったような男の顔も悪くない。これもいい方。 ⑧普通に怪談。  見ていると変な方向に発想が飛ぶが、結果的には違っていたという感じの意外性はある。また音の使い方が特徴的と思うところもある。いかにも低予算だが面白いところもあり、時々ある低劣オムニバスホラーよりはよかった。 なお各話冒頭の「こんな悪夢を見た」は、どちらかというと夏目漱石「夢十夜」の「こんな夢を見た」から直接取ったものではないかと思った(8話しかないが)。最初から夢オチ宣言かと思ったが、副題で「醒めない」とすることで現実との連続性を確保する微妙な戦術らしい。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-01-09 13:52:55)
422.  パラノイアック 《ネタバレ》 
「青鬼」「デスフォレスト」に続くフリーホラーゲーム第3弾とのことで、廃墟に侵入した若い連中が逃げ回って殺されていく展開になる。基本的には心霊系だろうが、「怪物」も出るのはもとのゲームに由来するものか。見る人が見れば怖いのかも知れないが、個人的にはやかましいだけのホラーだった。 特徴としては基本的にPOVであり、冒頭の自宅の場面からして劇中カメラで撮られている。また主人公グループ3人だけでなく、別のグループ3人(緑)が同様に逃げ回るのと並行する形で作ってある。ほかクラシックの著名な曲が使われており、映画の章立ても第一~第三楽章にしていたが、どういう効果を狙ったのかわからない。ホラー向けに作った曲ではないはずだ。 なお序盤で窓ガラス越しに怪しい人影が一瞬見えた場面があったが、その手の趣向はそこしか気づかなかった。  【以下個人的解釈】 題名のparanoiaとはどういうものか知らないが、少なくともこの映画では、要は強い妄想があるという意味らしい。廃墟で主人公が体験したことのほとんどが妄想だったと思えなくもないが、しかしビデオ撮りしているからには客観映像のはずだと解釈すれば、筋の通らないことは全て妄想のせいともいえない。死人が生き返ったりするのはゲームというものの性質上かも知れないが、まともな理由など考えても仕方ないという気もする(「ソラリスの陽のもとに」と関係あるかは不明、読んでない)。 それより主人公の主な妄想は、姉らしき人物(肩書付きのテロップが出ない)を「お母さん」だと思い込んでいたことのようで、これは叔母がクマを息子と思っていたのと同じということになる。その姉は、叔母がされていたのと同様の「経過観察」をしながら妹を世話してきたが、実は叔母と同じように破滅してしまえと願ったりしているのではないか。 本来この姉は問題ない人なのだろうが、上の階のピアノに怒るとかコップの縁をいちいち拭くのは神経質なようでもあり、また終盤で恨み言を劇団員風に述べるとか、凄惨な死体の傍らにあったカメラを冷静に拾うなどはもう変になっていたようでもある。最後の赤い空の場面でもなお妹を経過観察していたようだが、その光景をまた誰かが経過観察していたのかも知れない。  細かく考えようとすると面倒臭いホラーであり、結果として面白いともいえないが、それなりの企みはあったようなのであまり低い点にはしない。なお主演の小西キスという人(けっこう熱演)は、漢字であれば小西鱚と書けないこともないと今回思った。もう一つのグループの女子(奥田安沙)役は朝見心という人である(京都府出身とのこと)。
[DVD(邦画)] 5点(2021-01-09 13:52:52)
423.  コワイ女 《ネタバレ》 
題名を全体テーマにした3話オムニバスのホラーである。以下個別に書く。  【カタカタ】 バケモノの顔を見て最初はコメディかと思ったが、その後は特に笑えない。ラストは意外だったが別に驚くようなものでもない。かなり前に一度見た時のメモには「女子高生には全く見えない」と書いてあったが、そんなことを記録して何の役に立つかと今回思った。 なお個人的には中越典子さんを見ているのが好きなのでその点はよかった。色っぽい場面は特にないが脚はきれいに見えた。 【鋼】 かなり独創的。上の口と下の口という言い方があるが、下だけで上も兼ねているようなものか、または下だけあれば上など飾りですということか。中身はドロドロだとか針を飛ばして来るなど、荒唐無稽に見えても意外に現実に基づいた戯画化を意図したようでもある。 女優の菜葉菜という人の公式プロフィールでは出演作で『「鋼」ヒロイン』と紹介されているが、ヒロインであるのに最後まで顔を見せないのはひどい。と思ったら写真の顔が本人だったらしい(かわいく写っている)。下半身だけでのキャスティングでもないだろうが、かなり適役の体型であることはわかる。特に序盤で動きがかなりハードなので、こんな所から転げ落ちて本当に怪我をしたのではと心配になった。エンディングでは涼やかな衣装で踊りながら何度も回転していたが、目が回って倒れる直前でカットされているのは笑った。 【うけつぐもの】 「監修 清水崇」と出る。真面目な話なのはわかるが意味はわからない。 愛する者が自分を裏切って去ることを主人公が恐れていたのだとすれば、直前の離婚が影響していた可能性はある。また娘は対象外だった(2代続けて)ことからも、息子に対する近親愛とか小児性愛的な感情はあったかも知れない。しかしそれにしても今この段階でこういう行動に出ることに説得力がないわけだが、それを要は呪いのせいだということで正当化しているのか。オムニバスの1エピソードとして甘く見ていたので見落としがあるかも知れないが、ちょっと納得しかねる話ではあった。 なおホラーの作り方として、出来事の顛末を全部見せずに切り上げるのは嫌いでない。また主演の目黒真希という人はなかなか魅力的な女優さんだった。  以上、全体的にはそれほどでもなかったが、顔の見えない菜葉菜さんのためにもそれなりの点をつけておく。ちなみにこの人がちゃんと顔出ししている映画も見たことはある。
[DVD(邦画)] 5点(2020-12-26 15:29:53)
424.  オーライ 《ネタバレ》 
監督・脚本の安田真奈という人は「幸福のスイッチ」(2006)で名前を見たことがあるが、この映画はそれ以前の、現・パナソニック(当時・松下電器産業)の社員だった時代のものである。当時はまだ主要キャストとそれほど違わない年齢だったはずだが、その後は子育て期間を経て今も監督・脚本業を続けているとのことで、最近の作としては、小芝風花さん主演の近大マグロのドラマ「TUNAガール」(2019)というのがあるらしい(Netflixで見られるとのこと)。  この映画は20年前の低予算映画になるが、前記の映画と比べてもまだ習作のように見える。個人的感覚としては、まずは映画の紹介文に書かれていた主人公の現状が映像からは感じ取りにくかった。また他者の心をしっかり受け止めず、適当に流してしまったことへの罪悪感のようなものも出ていたようだがちょっと半端な気もした。 しかし終盤の燃えかすの場面で、主人公がその瞬間の思いのままに今なすべきことを実行し、そこから最後の題名の意味につながっていく流れは悪くなかった。また劇中芸術家の作品が、木で暖かみを出すという当初の手法から、金属(燃えない)でも同じように感じさせる形に変わっていたのは、作家の芯になるものを残しながら表現技法の幅を広げたという意味だろうから、この人物が2年間で確実に前を向いて進んできたことの証拠かとは思った。クリエーターの人は、何もないところからまた新しく作るからクリエーターなわけである。  キャストについては、監督が奈良県出身とのことで役者も関西方面が多かったらしく、主要人物4人のうち男2人は、自分としてもこの頃の他の関西映画で見たことがあったようである。女性2人に関しては、芸術家役の人が可憐で折れそうだが色気もある美女なのはなかなかよかった。また主人公(春日結)役の三嶋幸恵という人は、役者なので当然作ったところはあっただろうが、いわば素材を生かした料理法という感じで、ポスターのイメージとも違う実物の存在感に非常に惹かれるものがあった(惚れた)。男はどうでもいいとして、女性を魅力的に見せてくれる映画だったかとは思った。 そのほか関西映画らしい?可笑しみとして、電話での妹の態度には少し笑わされた。
[DVD(邦画)] 5点(2020-10-24 08:29:17)
425.  シライサン 《ネタバレ》 
小説版は読んでいない。 まず目に関して、失明してもその場では死なず、例えばバケモノだけが見える状態でずっと生きていかねばならなくなって絶望する、という話だったら怖いと思うが、今回はそういう趣向ではなかったらしい。また「〇〇」という言葉を20歳まで憶えていると死ぬ、という都市伝説のように、記憶が自分の意思で制御できないことは恐ろしさにつながるが、この映画ではその点は強調されず、呪いの開始時点を示すにとどまっている。 主人公が考案した対抗手段は独創的なようでもあるが、自分としては既に2011年の別の邦画ホラーで見たことがあり、正直またこれかと思わされただけだった。ただしその映画が、あからさまに観客を巻き込もうとする作りで悪意まで感じられたのに対し、この映画は遠慮気味でかえって意図が不明瞭になっている。エンドクレジットの「脚本…」には気づかない観客がほとんどではないか。 どうもホラーとして徹底せず、あえて怖さを削いでいるような微妙な感覚の映画だったが、ドラマの面では最後まで主人公男女が他人行儀だったのは悪くないと思った。特に男が善良そうで嫌味がないので、せっかく一度はつながったのに切れてしまった、という切ない心情を素直に受け取れなくもなかった。  その他雑記: ○真面目なホラーなら、わざとらしく声を作った小噺など披露しなくていい(怪談師志望か)。何でみんな話し方を真似するのか。 ○黒目がちなバケモノの顔は古代メソポタミアの男女像を思わせる。じっと見ることにどれだけの意味を込めてあるのかわからなかったが、とりあえず観客側も「映画一本分くらい」は気を散らさずにちゃんと見ていろ(エンドロールも)とは言われていたらしい。ちなみに複数のうち1人でも見ていればいいのなら便所には行ける。 ○主人公が読んでいた「民間伝承における死生観」という本のページをよく見ると、「死者の出た家で猫を飼っていた場合…」という同じ文章がなぜか二か所に書いてあるのは不気味だ。気づいてしまうと呪われる。 ○劇中時期が3/11の前後だったことに意味はあるか。あったとしても失敗している。 ○キャストに関して、主演女優は地味に見えるが印象は悪くない。江野沢愛美という人はモデルが本業だろうが今回は全体像でなく顔で見せている。また「地獄少女」(2019)にも出ていた仁村紗和という女優が個性的美女で目を引かれた。谷村美月さんは最後まで生き残る役だった。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-10-17 08:22:29)
426.  幽鬼<OV> 《ネタバレ》 
もとは「妖恋歌は一陣の風に」という題名だったとのことで、「幽鬼」よりはイメージが広がる名前だがますます意味不明である。ちなみにドラマCDも出ていたらしい。 映画としてはよくある安手のホラーだが、全体構成がかなり特徴的である。芸能事務所のタレント売り出し企画によくあるオムニバスホラーのようだが、実際はオカルト雑誌の投稿の再現映像を並べた形にして、そのうち一本が本筋につながっていくので純粋オムニバスではない。なお芸能事務所のタレントとしては、藤江れいな(主演、公開当時はNMB48)、溝口恵さん(吉川妹役、2017年「人狼ゲーム ラヴァーズ」出演)、笹丘明里(吉川姉役)といった人々がイトーカンパニー所属というのを確認した。 以下、一応オムニバスとして個別に書いておく。  【霧の中の死人憑き】 実体験として語られているが、壊れたものがいつの間にか直っていたとか半端な後日談など、単に投稿者が見た夢の話と思って間違いない。不採用で当然だが、ちなみに共時性の話とも取れる(ずれた正夢、過去との決別)。 【おまじない】 中2女子の投稿ということになっている。いたいけな少女が「殺す」などと不穏なようでいて、ほのぼの感も出ているので嫌いでない。早々にガセ認定されたので笑った。 【アパートの怪】 その辺のものが次々倒れる/崩れるよう仕込んであるのは可笑しい。投稿者がニヤリと笑うのは、創作小話ならともかく実話の映像化としてはウソくさく、後日談も取ってつけた感がある。結果的に不採用。 【蛇女の姉妹】 これが本筋。最初は再現映像だが、取材に行ってからの部分は劇中現実になる。投稿文で読んでいた時の人物イメージと、実際に会った時の印象が全く違う(演者も違う)のは面白い。よくある“田舎の怖い話”のパターンのようだが、劇中ではあくまで現実であり、東京まで被害が拡大するので怖がるべきである。なお蛇女(妹)の造形は「蛇女の脅怖」(1966年英)を真似ている。 【ひとり舞台】本編でなく特典映像。本筋とは無関係に、同じ出版社の他部署の社員が語るサイドストーリーになっている。言うほど怖い話でもなく、同僚に突っ込まれて終わり。  以上、よくある安手のホラーだが楽しいところもあり、またオカルトライターのお仕事映画も兼ねている。オカルトなめんな、という気概をもって頑張ってもらいたい。
[DVD(邦画)] 5点(2020-09-12 10:23:22)
427.  ふたりの旅路 《ネタバレ》 
ラトビア・日本の合作だそうだが、まとまりが悪い。 まず、場所がリガである必然性が感じられず、要は神戸市とリガ市が姉妹都市だから、ということで感覚的に正当化するしかない。観光映画という意味もあるようだが、ピンポイントの観光案内的で街全体としてのイメージが得られにくい。なお「ルンダーレ宮殿」は美麗だがリガにはない(南方約80km、リトアニア国境に近い)。 また着物の話かと思っていると、そのうち料理にテーマが移ってしまうのは変だ。着物+和食ということなら、ラトビア側からすれば要は「日本」だからと一括して問題ない??と思うかも知れないが、実際作っていたのは和食でもない。握り飯でも作ってみせればよかっただろうが米がないか。 ほかラトビア側からは人間の鎖(1989年)、神戸側は震災(1995年)の話題が出ていたが、6年も時間差があるものを同時期のようにごまかして語っていたのは無理がある。さらにいえば、日本側関係者が全て神戸の人間なわりに、誰ひとりとして関西弁を話さないのも何だとは思うが、まあそこまでは言わなくてもいいかも知れない。  監督・脚本はラトビア人とのことだが、悪い面で邦画くさいのが鼻につく。ドタバタじみた展開で見ている方が気まずくなり、またzutisだと何度言われても聞き取れないのは非常に苛立たしい。深夜の旧市街で、変な日本人が一人でしゃべっているなど近所がどう思うかと気が気でなく、また噛み合わない会話からとんでもない事態に発展していくのも素直に受け取れない。これは昭和の喜劇映画でも志向しているのか。 物語の本筋に関しては、何が表現したいかわからなくはない。主人公が独り言をいうようになった事情を聞くと心が痛いが、今回の旅行でやっと心の中の夫に向き合えるようになったらしい。また気に障るから怒鳴るなというあたりは、古い日本式の夫婦関係が表現されていたように思われる。「理屈っぽいかも知れないけれどもいつものようにね」というのは万国共通かどうか。 そのほかこの映画の最大の特徴は、日本を代表する名優の表情を大写しでじっくり見せることだった。良くも悪くもこの役者ならではという登場人物になっていて、人によってはこれが何よりの見どころかも知れない。あんな台詞が初めから書いてあったわけはないが、あとでからラトビア語に訳したということか。
[インターネット(邦画)] 5点(2020-08-08 08:57:27)
428.  デスフォレスト 恐怖の森5 《ネタバレ》 
監督・脚本がまた代わっている。福田陽平監督はこの手のホラーではお馴染み感がある。 今回は本格的な東京進出ということで、渋谷を舞台にした若者の生活圏が表現されている。「…チャン」とか「…メン」とかの若者言葉(オタク用語?)が多用されていたが、変にくどいので劇中人物までが「どうなってんだよ最近の日本語」と言っていたのは笑った。また若者なら知らない者のない?フリーゲームとの関係について、因果関係を逆にしていたのは一応の言い訳になっている。 映像技術の面では前回以下のようだったが、上空にいて獲物を見つけると降下して来るのは悪くない。今回も鳥のイメージだったかも知れない。  内容的には、若者の集まる街で被害が広がる展開のためやたらに登場人物が死んでいく。五次元だの仏教だの適当なことを言う奴は必ず死ぬ、とか思っていたら順当に死んでいたが、どうも最後は本当にそういう結末になっていたらしい。レギュラーの男はみなが行くところに毎回行けず、一人取り残される境遇を嘆いていたということか。また蝋燭が108本消えたからには、もしかすると平成の怪異はこれで終了なのかも知れない。 それにしてもバケモノ連中の正体は結局明らかにされず、前回のミステリー展開は一体何だったのかという思いは残る。しかし今回は時間も長くして(1時間半もある)、賑やかに盛り上げておいてから有無を言わさず終了した印象があり、ここでシリーズが打ち止めになったのも一応納得だった。いわば5連作の最後を飾る娯楽大作といった位置づけかと思われる。  なお今回は美少女・美女系だけでも大人数になっており、ほかにお笑い関係とかコスプレーヤーとかいろいろ出ていたようだがほとんど知らないので誰が誰だかわからない。個別の人物で印象的だったのはアイドルオタで、「女の子を守ったり…する…推しごと」を実践しようとする気概を見せていたのは感動した。こいつはヒーローだと思ったがやはり順当に死んでいた。 ほとんど唯一見たことがあったのが秋山依里(元・秋山奈々)という人で、前に見た「アイズ」(2015)では無駄にかわいい精神科医役だったが今回は刑事をやっている。同僚刑事の「正義の味方だよバカヤロー」も感動的だったが、この人もカワイイので絶対正義で間違いない。登場人物がほとんど全滅する中で、この人は無事に終わってハッピーエンドだった。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-25 10:29:35)
429.  成熟 《ネタバレ》 
昭和の怪獣映画「ガメラ」シリーズに携わった監督と脚本家が、大映の倒産直前に完成させた最後の映画とのことである。冒頭からテロップが出る通り山形県庄内地域のPR映画で、これほどあからさまなご当地映画が当時あったのかと思ったが、監督の評伝「ガメラ創世記 映画監督・湯浅憲明」によれば、県が中心になって商業映画を作るための資金を出したので大映側の負担はなかったらしい。 内容としては、田舎のPR映画には過ぎた豪華キャストによる青春純情ラブストーリーになっている。水産高校と農業高校の対立感情(ジェット団とシャーク団?)とか、漁家と農家の利害が一致しない(モンタギュー家とキャピュレット家?)とかいう障害はあるにせよ、全体的には緩い感じで笑わせるところもある。主演女優のオッパイは見られないが、主人公の乳首が黒いのは妊娠しているからだとシャワー室で指摘される場面があり、うち妊娠については当然ながら事実無根ということになっていたが、乳首が黒いことの方は否定されないで終わっていた(見えないので不明)。また初めてのキスで鼻が邪魔だったというのは笑った。菊池俊輔氏の音楽が当時の特撮TV番組のように聞こえるところもある。  当時の世相として興味深かったのは、外来種であるアメリカシロヒトリの大発生が全国的な問題になった時期らしいことである。劇中では高校生が公園地で桜の防除作業を大々的にやっていたが、実際は行政主体で本当にこういうことをやっていたと想像される。 方言に関しては、地元民の助言がなければ出て来なかったであろう表現(「んだなしや」など)も入っており、庄内方言の特徴を捉えようとしたといえなくはない。しかしこの地方では絶対使わない助詞が残っているほか、特にアクセントが考慮されていないのでそれらしく聞こえない。この映画に限ったことではないが、どうしても東京語の話者が勝手にイメージした田舎言葉がベースになるのは残念なことで、この点では「隠し剣 鬼の爪」(2004)の田畑智子さんを見習ってもらいたいところだが(30年も後の映画だが)、地元言葉を積極的に取り入れようとしていたのは努力賞である。なお伴淳三郎氏は同じ県内でも方言の系統が違う地域の出身者なので当てにならないが、「おっかねぞ」は少しよかった。  ほかキャストに関して、ヒロインの友人役の八並映子さんは、同年の「ガメラ対深海怪獣ジグラ」にも出ていたので知らない人ではないが、2017年に亡くなられたのだそうで少しショックだ。また若手芸者の千鳥(演・深沢裕子)がなかなか可愛い人で、ヒロインと同じ豊田地区の出身ということになっていた。美人の産地という設定らしい。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-01 09:17:35)
430.  でんきくらげ 《ネタバレ》 
昔から名前が気になっていたので興味本位で初めて見た。このシリーズは6作あるそうだが全部制覇しようという気は全くない。 内容としてはそれほど盛り上がるものでもなかったが、話はちゃんとできているので一応見られる映画にはなっている。結果的に主人公はどこまでものし上がるつもりがあるわけでもなく、母親を楽にさせて一緒に暮らすことが目標だったようで意外につつましい望みだが、これから一生それで済むのかはわからない。 主演女優はあまり馴染みがなかったが、「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968)には出ていたので見たことがなくはない。不自然なまでにオッパイを隠す(一人で電話している時も隠す)割に時折乳首が見えたりして徹底しないのはどういう方針なのかと思ったが、単にチラ見せが尊いというだけのことか。昭和の女性にしては脚がきれいだと思わせるところはあった。 自分としては何を面白がればいいのかよくわからない映画だったので、とりあえず現時点での平均点をつけておく。  以下余談として、この時代には5万円というのがそれなりの金額だったと思わせる台詞があったが当時の感覚がわからない。消費者物価指数の推移からみて現在の1/3程度の物価水準だったと思えばいいか。歴史的事件としては、昭和28年の鶴田浩二襲撃事件に関連して5万円という金額が出て来るが、その頃と高度成長期でも金銭価値は違うだろうから、劇中で怖い人が5万円掴まされて納得していたのは扱いに差が出ていたと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-01 09:17:33)
431.  仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 《ネタバレ》 
シーズン1(2016)、シーズン2(2017)に続く総まとめの劇場版で、それぞれの再編集版の劇場公開(2018/5/5、5/12)に続き5/19に公開されている。 今回は畜産計画なるものに関わるエピソードだが、最初に出た食料事情の説明が荒唐無稽な上に、そもそも食料としての優位性がどこにあるのかわからないので現実味は薄い。山中の養護施設のようなものも浮世離れしてスケールが小さいが、ダークファンタジーというか寓話的な物語とはいえる。無垢な少女の肢体を欲する好色ハゲオヤジというのも古色蒼然たる図式だった(芸能界では普通なのか)。  内容的にはこれまで同様激しいアクションで暴力沙汰が多く、こんなに血が出てよく生きているものだと思った。 一方で、以前からのトーキョーグール路線にはここで一定の結末をつけたように見える。人間を食わなくても生きられる、という点は非常に大事なことで、これで例えば現実世界のクマのようなものかと思えるようになった。赤の方はクマとみれば全部殺す執念の男だが、緑の方は人に害をなさない限り生かすべきという立場とすればわかりやすく、それで最後に赤が敗退したのは自然ともいえる。ただしいつ豹変して人を食うかわからないのでは、本来は人を食わないクマより危険だろうが、話が通じる点ではクマよりましであり、ここはクマとの決定的な違いである。 また、食う食われるの関係を善悪の話で終わらせなかったのもまともな態度である。結果としては気色悪いジジイが言っていたように、生態系が常に変化する中で、生きるために生きる生物が生き残る、という普通の見解で終わったようで、あとは人間の立場として人間が生き残れるよう、やるべきことはやらせてもらうということになる。ただ何をどうするにしても冷徹な判断だけでなく、気持ちとか思いとか心も重要だということを言っていたような気はした。 自分としては特に面白いシリーズではなかったが、あまり観客が関心を持たなそうな面でもいろいろ考えながら作っているようではあった。  ほかキャストとしては、武田玲奈さんが最後まで良心的な役柄で、優しいお姉さんの顔を見せていたのはよかったが、ただ劇中事情に即していえば、この人物はそのうち不良少年に食い殺されて終わりと思われる。また東亜優さんはクラゲでもなく慈母のような存在で、こんなところで膝枕もいいかも知れないとは思った。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:48)
432.  劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season2 輪廻 《ネタバレ》 
シーズン1に続くその2である。前回と同じく2017年4~6月の13話からなるシーズン2を1/5弱に短縮した再編集版で、シーズン1の公開(2018/5/5)一週間後の5/12に劇場公開されている。 単純な続きではなくいきなり5年後になっており、冒頭に少しだけつなぎの部分があるが超ダイジェストのため、かろうじて子ができたことがわかっただけである。その後も何をやっているのか不明な場面が多く、さすがに総集編だけで見るのは厳しい気がした。例えば赤いのが人間を守る方針だった理由は、つなぎの部分でも説明があったようだが、結局Wikipediaの記事を読むまでわからなかった。  物語的には前回に続いて「東京喰種 トーキョーグール」路線に見えるが、登場人物の間で劇中世界への対応姿勢に違いがあることは明瞭になっている。対立する立場のうち、赤いのが「人間は守る」と言っていたのは人類にとっての共通認識であるから、視聴者の立場としてもモグラに死んでもらう必要があったのは間違いない。一方の緑は当事者として自分なりの判断基準を持っていたようで(よくわからなかったが)、目的に応じて赤とも人とも共闘する姿勢だったらしい。 今回少し注目したのは「楽をした分誰かにつけが回る」で終わる一連の会話だった。前回の駆除班がなぜかいつまでも5円玉の御縁にこだわるのは呆れたが、そういう情に流されてどっちつかずの態度を取るのでなく、まずは自分の立場をはっきりさせる(旗色を鮮明にする)ことが大事ということかと思った。劇中でいう「ちゃんと向き合う」というのも、その上でのことだったようである。  キャストについて、武田玲奈さんはやっと前面に出るようになったが、今回はどうもヒロイン役を別人に取られてしまった印象もある。そもそも可愛く見せようという気がないのではと思ったが、しかし劇中人物としては自分の方針をしっかり持っていたのがいい役柄に見えた。また東亜優さんはいきなりお母さんになったあげくにクラゲというのも困った展開だが、上半身裸になって(!) 胸は見せない場面もあったりした(特にエロくはない)。子が父母のそれぞれに似ているというのは泣かせどころだったかも知れない。 そのほか、この手の番組でウニが出て来たのは初めて見たと思ったが、実は昔の仮面ライダーシリーズでも結構出ていたらしい。今回は殻の中身まで見せたようなデザインが秀逸だった。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:45)
433.  劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season1 覚醒 《ネタバレ》 
仮面ライダーシリーズの劇場版である。今どき「アマゾン」である理由に関して、劇中でも開き直ったような説明は一応あったが、それよりこれ自体がAmazonプライム・ビデオで公開されたオリジナルコンテンツだそうなので、そのこととの関連で捉えた方が素直に納得できる。 この映画は、2016年4~6月の13話からなるシーズン1を1/5以下に短縮した再編集版とのことで、総まとめとなる劇場版の公開(2018/5/19)に先立ち5/5に劇場公開されている。総集編のため細かいところは飛ばしているのだろうが、大まかな話としてはわからなくはない。ちなみにもとの13話も追加料金なしで見られるがそこまでの熱意はない。  まずアクション部分はかなりハードな印象があり、力任せの生体破断など残酷というより豪快で、自己の存続をかけた容赦ない闘争の表現に見える。ただし自称が「ボク」の男が2人もいるのは気色悪く、そんなことで同情を買おうとするなと言いたくなったが、そういう甘ったれも最初のうちだけだったらしい。 一応は子どもを含む広い世代が見る想定のようだが、ただし製作側が意図したように「30~40代の男」にとって「見応えのあるもの」かどうかは何ともいえない。特に、ちょっと恥ずかしいほど「東京喰種 トーキョーグール」と似たようなことを言っている(2017年の映画しか見ていないが)のでまたこの話かと思わされるが、しかし最後になると赤いのがあくまで「人間を守る」と宣言する一方、駆除班までが反対側に味方したりして、それほど単純な図式でもなかったらしい。これを見た限り緑の立場は微妙なようで、そのうちどこかで無理が出るのではという気はしたが、とりあえず今後の動向を見るしかない。  キャストに関しては、個人的に最大の見どころになるはずだった武田玲奈さんが、この再編集版ではほとんど出番がないので落胆させられる。こんなことならかえって変に危ない場所に出て来ないで別のところで可愛く女子高生でもやっていればいいのではと思ったが、キャスト配列順を見るとヒロイン役(緑の方)の位置付けのようで、次回以降は活躍の場があるのかも知れない。また東亜優さんも素性不明の役だが、同じく大人のヒロイン役(赤の方)ということになるので、そういうことも含めて期待感を高めておくことにする。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:41)
434.  指恋 ~君に贈るメッセージ~〈web〉 《ネタバレ》 
エイベックスとソフトバンクが運営していたスマートフォン向け配信サービスのUULA(2013~2017)が製作したwebドラマである。本来は1話10分で全12話あり、全部つなぐと映画1本分の長さになる。 宣伝上は「恋に踏み出せない女の子」を応援するドラマということで、中高生向けのケータイ小説とかが原作かと思ったらオリジナルの脚本らしい。最初のうちは中高生というより中学生向けかとも思っていたが、後の方では少し対象年齢が上がったように見えるので、あまり侮ってかからないで虚心に見た方がいい。  物語としては、日本人男女になぜか外国人の男を加えた三角関係ということになっているが、実際はさらに2人を加えたW形にして一定の複雑性のある話を作っている。終盤の「おれに聞くなよ」以降、次第に明らかにされていく真実はありきたりともいえるが、それまで納得いかなかったことも最終的に全て解消され、結果としてけっこう悪くない話ができていた。 また題名に関して、映画紹介ではスマホのメールで思いを語ることだと説明されており、いかにもケータイ小説じみた軽薄なネーミングと思っていたが、実際見ればちゃんとまともな意味があることがわかって少し感動的だった(こんなドラマで感動したなどと言いたくないが)。また副題にいうメッセージは、字で書くと「웃어줘」だと思われる(これで正しいかどうか)。  キャストに関しては、主演の瀧本美織という人はよく知らないが、劇中で「普通の子」と言われていた通りの地味な容貌に見える。ただしそもそもが美形のため、これで「“非モテ”女子」といわれても現実味はない。 一方でライバル役の山谷花純さん(エイベックス所属)は、この頃まだ16歳くらいだろうが主人公と同じ女子大生役で、単純な可愛さではなく大人っぽさと個性を前面に出し、主人公が劣等感を覚えるだけの存在感を見せている。こんなwebドラマの場ではあるが、なかなかの大役を務めている印象はあった。ほか主人公の叔母役は、発声のせいで台詞が聞き取りにくかった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-12-14 08:58:11)
435.  ロスト・メモリーズ 《ネタバレ》 
日本がらみの歴史改変物語である。2009とは伊藤博文暗殺から100年後の意味らしい。 合作というだけあってそれほど激しい怒りを感じるところはないが、それは見る側の慣れもあるのと(最悪なのは他にある)、日本人との友情や日本人の家族愛も描写されるので悪印象が緩和されている面はある。  突っ込みどころはいろいろあるが最も困るのは、制作側がいったい何をもって“正しい歴史”と考えたのか理解できないことである。 まず映画の開始時点では、[A]伊藤博文が暗殺されなかったため?日本が第二次大戦の戦勝国となり、半島も満州も領土として維持したまま2009年に至った世界である。これを耐えがたいものとして主人公らが改変したあとの歴史は、[B]伊藤博文が暗殺されたため?日本が第二次大戦で敗れ、以降も現実世界と同様に推移したが、2008年に南北が統一され(どうやって?)、強大な経済力と軍事力によって「アジアの手本」となり、さらに高句麗の領土回復運動を起こした世界である(中国から見れば侵略的発想)。 このうち[B]は、2008年以降は向こうの立場として正しいのかも知れないが、しかし[A]であっても劇中の京城府は東京なみに繁栄しており、別に日本が植民地的に収奪してきた世界とも思えない。朝鮮戦争もなく、南北も分断されずに半島全土が豊かになっていたのだろうから、その状態から独立運動でも起こして[B]の2008年以降に繋げば一番都合がいいのではないか? それでも[B]が正しいと制作側が思ったとすれば、やはり日本に原爆が落ちて惨めに敗れた(自分らは戦勝国になった?)ことが不可欠であって、そのためには朝鮮戦争の惨禍も南北対立の歴史もあえて受け入れる覚悟と思うしかない。要はプライドの問題ということだろうが、他国の支配を嫌うのであれば、19世紀後半まで遡って自らその身を正すのが筋だろうと個人的には思った。日本にできたことができなかったはずはない。 ちなみに現代の感覚だと、過去に遡って歴史を改変した場合、単にそこから別の歴史が分岐するだけで、元の歴史はそのまま別世界として残ると考えるのが普通ではないか。唯一絶対の正しい歴史などはないと思わなければならない。  以下雑談として、 ○上記[A]はなぜかポカリスエットが蔓延する世界だった。 ○日本語の発音が不得意な人物はみな現地出身者という意味か。局長の金田という男は内地出身かも知れない。 ○花火の場面では、日本人の子役が日本風に可愛らしいので、他はどうでもこの子だけは無事でいてもらいたいと思った…こんな場所にいては制作側に殺されかねないので早く内地へ引き揚げろ。
[DVD(字幕)] 5点(2019-12-14 08:58:08)
436.  おクジラさま ふたつの正義の物語 《ネタバレ》 
題名(副題の方)にクレームを付ける目的で見た。 かつて“正義の味方”という言葉があったが、そこでの“正義”とは社会の構成員が安全・安心に暮らすために必要な共通認識を規範として守り、あるいは守らせるよう努めることだったと考えられる。要は“人を殺してはならない”といった類の極めて基本的なもので、だからこそ“正義の味方”の登場は子ども向け創作物に限られていたわけだが、だからといって子どもの世界にしか正義が存在しないわけではない。わざわざ口に出して言わないにしても、大人を含めた社会の全員が“正義の味方”でなければならないことになる(程度の問題はあるとして)。 そのような前提でいえば、副題のように正義が複数などということはありえない。現実には、何が正しいかについて社会の共通認識が得られにくい問題が多いにしても、逆にいえばそのような問題に対して“正義”という言葉を使うのは誤りだということになる。確かに個別の個人的見解や信念を揶揄するためにこの言葉が濫用されているのも事実だが、それが日本語の“正義”の意味を変質させ、さらには社会の構成員が守るべき規範が存在するという意識までも希薄にしていくことはないのかと危惧される。 この映画の副題は、そのような風潮を助長するとまではいわないにしても(そこまで影響力はないだろうが)社会の安全・安心を損なうことを平気で表現しているのは間違いない。解説文にある「正義の反対は悪ではなく別の正義」という言葉を使うなら、“人を殺してはならない”という正義の反対は“人を殺してもよい”という別の正義であって悪ではない、ということになるが、そういうことをこの映画は意識していたのかどうか。 さらにいえば、捕鯨問題のように人類全体の共通認識が得られにくい題材をわざわざ選んで“正義”を相対化して骨抜きにし、アメリカ発という高級そうな見かけを装って、日本人の多くが正しいと思うことをポピュリズムとして否定し侮蔑して貶めようとしているのではないかと疑っていた。全て副題の印象が悪かったためである。  そういう最悪の先入観のもとで見たが、実際は自分がこの問題に関して感覚的に思っていたことに沿った内容で、日本側へのメッセージも含めてそれほど反発を感じるところはない。外部情報によれば、完成前からアメリカで激しく批判されていたのをものともせずに発表したとのことで、少なくともアメリカに迎合しようとするものではなく、かえって作中で言われていた日本人のPR下手を助けるものになっている。結果として先入観の方が間違っていたことになるが、点数は本来の数字から副題分を減じてつけておく。「正義の反対は…」の英語原文の訳し方に対する反感である。 ほか余談として、登場人物の中立的(親日的)アメリカ人の話の中で「海兵隊を内陸(アイダホ)に投入してるようなもの」という表現はユニークで笑った。これ自体は反捕鯨団体の行動力に一定の敬意を示した上での発言だったが、ここで自分としては“活動的な馬鹿より恐ろしいものはない”という言葉を思い出した。もう一つ、少し可笑しいところとして、小学校で「ろうかはあるこう」と書いてあるのに平気で走る子どもらを映していたのは“元気な子どもたち”(または“大らかな学校”)の表現かと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2019-10-19 17:23:35)
437.  樺太1945年夏 氷雪の門 《ネタバレ》 
DVDの冒頭で「表現の自由」を訴えるキャプションが出るが、これは1974年の公開時に、傲慢な軍事大国からのクレームがもとで上映が妨害されたことへの抗議の意思表示らしい。2019年に注目された「表現の不自由」と同様の問題ということになる。 内容は1945年にソ連軍が樺太に侵攻した際、真岡町の電話交換手が最後まで職場を守って自決した物語である。登場人物は若い女性が多いので、「お前をソ連の兵隊にくれてやるために今日まで育てて来たんじゃない」という台詞には観客誰しも共感して心配させられることになる(いいから早く逃げろ!)。ちなみに主人公の母親役の赤木春恵という役者は、実際に終戦後のハルビンでソ連兵からの難を逃れた経験があるらしい。 戦闘場面に関しては、戦車の撮影で自衛隊の協力を得たほか、敵海軍の砲撃で真岡の街並みが炎上するといった映像をミニチュア特撮で作っている(少し貧弱)。いわゆる反戦映画的な性格はそれほど強くない。  ところで最後のキャプションによると、劇中の電話交換手は「生きたかった」と思っていただろうとのことだったが、それをいうなら最初から迷わず職場放棄すればよかったではないか、ということになる。専門職の使命感が勝るのは立派ではあるが、若い女性が率先して生命を捨てる必要などは全くない。これを見た現代のわれわれが思うべきことは、何はどうでも自らの保全を最優先する判断が必要だということである。 また「いくさなき世界平和の確立を」というのがまた薄っぺらいメッセージであって、ここでの本当の教訓は、日本の国土に外国軍の侵攻を許してはならないということである。同盟国のはずのアメリカ軍でさえ、いれば住民に害をなすのであるから、その他の軍隊など寄せ付けない実力が絶対に必要だと思わなければならない。 この事件を後世に伝えたいとの思いには共感できるが、どうも素直に受け取れる物語にはなっていないと正直思った。時代の制約というのもあっただろうが。  なお真に憎むべきは当然ながら悪の帝国ソビエト連邦であって、冷酷で野蛮なソ連兵に民間人が無為に殺されていくのは耐えがたい。劇中の台詞にも出ていたが、樺太からの引揚船を撃沈し、生存者を銃撃して笑っていたという「三船殉難事件」に関わったソ連潜水艦2隻のうち、1隻(L-19)を沈めてやったのはせめてもの救いである。もう1隻(L-12)も沈めてやれればよかったが、そうならなかったのが忌々しい。 また腹立ちついでに書くと「勲八等」という言葉には反感を覚える。この人々が八等というなら一等はどれほどの上級国民がもらえるのか。人に格付けしようとする態度が気に食わない(※今は数字がつかなくなったらしい)。
[DVD(邦画)] 5点(2019-10-12 10:25:43)
438.  ひとりね 《ネタバレ》 
かつて清純派として活躍した榊原るみという女優が裸身をさらすことを売りにした(多分)映画である。個人的にはそれほど馴染みのない人だが、特撮番組「帰ってきたウルトラマン」(1971-72)のヒロイン役(ただし2クールで降板)の記憶はある。ちなみにこの人と監督は夫婦の関係らしい。 白黒映画というのは裸体を生々しく見せないためかと思ったが、同時に年代感や閉塞感の表現にもなっている。全般的に映像が暗く陰鬱で気が滅入る映画であり、また特に序盤は殊更に古臭く見せている。公開規模が小さかったらしく、ネット上の評判を探った限り、ほとんど誰も見なかったのではという印象がある。  【ここから解釈】 キャッチコピーにいう「もう一人の私」とは、本人の持つ理性を体現する存在ということらしい。44歳になった主人公が、いわば人生の中間点を迎えるに当たって適切にリードするため出現したように見える。 中間点の前段階では、同居のエロジジイが不倫常習者だったことから、主に男女関係にまつわる人間の醜さが描写されている。主人公は家に従属する古風で貞淑な妻に見えたが、実は性的な面で本質的に他の連中と変わらず、またエロジジイと同居していたのも打算があったからで、そういう自分をしっかり認識することが中間点を越える準備になったらしい。 もう一つ必要だったのは、中間点を過ぎて下り坂になり、やがて老境を迎える心構えである。エロジジイを看取って否応なくそのことに向き合わされたようで、20年という年齢差を「わずか」と言っていたのは、自分もほどなくそこに至ると自覚したのだと思われる。性的な快楽に溺れたのもいわば最後の花火で、中間点を越えればもう独りということを実感させられた終幕なのかと思った。 ちなみに白蛇の表すものは、夢占いだと幸運(金運)到来ということらしく、また一般的には性欲のイメージかも知れないが、劇中にはキリスト教会の場面もあったので、知恵の樹の実を勧めた者の意味があったのかも知れない。 【ここまで解釈】 以上に関して上り坂の人々には意味不明だろうし、すでに下り坂の人間は暗澹とさせられるだけで誰が得するのかわからない。いい映画だったとは言いたくない映画だった。  なお主演女優のほか、エロジジイ役をはじめ名のある役者が出ているが、意外な出演者として、主人公の少女時代の子役は飯田里穂という人ではないか。よく知らないがとにかく見覚えのある個性的な顔だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-09-28 08:27:54)
439.  I am 日本人 《ネタバレ》 
企画・製作・原案・脚本・出演・主題歌の森田健作氏が、2005年に千葉県知事選挙に落選してから2009年に当選するまでの間に制作された映画で、劇中商店街は千葉県市川市にあることになっている。ただし実際の撮影地は東京都葛飾区の京成押上線四ツ木駅周辺らしい。 森田健作演じる八百屋の見合い相手が酒井法子とはどういう年齢設定かと思うが、同じ葛飾区の寅さん・さくらからの連想でいえば本人が40代、妹が30前後といった感じか。妹役の小野真弓という人(個人的に好きだ)は当時20代前半だったろうが、この設定のせいで今回は極めて地味系女子になっている。また登場人物の言葉として、商店街が「日本の宝」とまで言っていたのも寅さんの世界が念頭にあってのことかも知れない。ちなみに市川ということでは「野菊の墓」の雰囲気もあるかとは思った。  テーマに関していえば、製作者の言いたいのは八百屋が言った「日本が大好きだ」「日本人に生まれて本当によかった」だと想像される。また題名の意味についてはアメリカ人が言ったように、国籍はともかく「日本が好き」なら日本人ということで(若干意味不明だが)日本が好き、というのが両者の共通点になっている。 うちアメリカ人が日本を好きになった理由は「和」の心を知ったことだったようで、この映画としても「和」を最大の長所と捉えていると思われる。ただし日本人の立場としては、「和」とか「大和魂」があるから日本が好きなどという理屈を言う必要はないはずで、要は生まれ育った土地(市や町や村・国・地球)や人々への素朴な愛着があれば十分である(愛に理由は必要ない)。この映画としてはそれをまず地元商店街への愛という形で語り、その拡大版としてワールドカップを引き合いに出したと思えばいいか。 ほかにも話題が盛りだくさんのようで、見る側として物申したくなるところがかなり多いが、それが文字通り“考えさせる映画”を意図しているとすれば、なかなか巧妙に作ってあるということかも知れない。  以上で終わりにするかと思ったが書かずにいられない気がしたので一つ書くと、政治に対する不満を国全体の否定に結びつける人物がいたが(劇中では国旗を嫌悪、近年では「日本死ね」)、しかし政府=日本ではないのであって、一人ひとりの日本人が日本という国の一部だという意識がない限り、日本を侮辱されて怒るという感覚もわからないことになる。そういうことをあえてわかろうとしない国民がいる日本を、自分としては丸ごと好きだとは全くいえない。
[DVD(邦画)] 5点(2019-09-21 23:50:20)
440.  人間失格 太宰治と3人の女たち 《ネタバレ》 
初日に行ったが年齢層は若干高めだった。 実話をもとにしたフィクションとのことで、主人公のほか登場人物は実在の人物らしい。冒頭の入水事件を除き、ほとんどの部分は1946年に主人公が東京に移転してから1948年に死去するまでの足かけ3年の話である。 日頃この作家の著作に親しんでいるわけでもない男(走れメロスしか知らない)として共感できるものは特にないが、文豪の創作の背景を描いたものとして見ごたえのある映画と思われる(ただし少し眠くなる)。物語のほかにも映像面や役者の演技で見どころは多いだろうが、自分としてはカニを買った場面が好きだ(台詞と顔)。また題名の小説を書く前に主人公が死んでしまうのではないかと思っていたが、最後に執筆経過を手際よくまとめていたのはよかった。  事実がどうかは別としてこの映画で見た限り、主人公が創作のために何人もの女性を身勝手に翻弄したのは非道ともいえるが、しかしできた作品が傑作だから許されるなどと言い訳するまでもなく、この男はこのようにしか生きられなかったというだけに見える。主人公は最後までバカなままで死んだようだが、そのことで「3人の女たち」はそれぞれ最後に得たものがあったらしく、これで基本的にはハッピーエンドと取れる。また最後に傑作が残されたからには読者も得をしたわけで、他のみんなが喜ぶ一方で主人公だけがブチ壊れて滅んだという結末らしいが、そういう理解でこの作家のファンが納得するのかはわからない。 登場人物に関しては、何といっても「3人の女たち」が見どころだろうがそれほど極端にエロい場面はない。個人的な関心事として、山谷花純という若手女優がどこに出ているかと思っていたら最後まで気づかないまま終わってしまったが、本人によれば「田部シメ子役」とのことで、冒頭で入水した人物(実在)がそうだったらしい。出番は短いが「3人の女たち」に加えたもう1人の女としての位置付けになる。 なお主人公の長女役は名の知れた子役のようだったが、長男役の子役はどこから連れて来たのか気になった。  以上のようなことで、自分としては特に大絶賛ということにはならないが、鑑賞者側の限界のために評価しきれていないところが多いと思われる。そういう場合の通例としてとりあえず点数は5点にしておく。
[映画館(邦画)] 5点(2019-09-14 19:44:20)(良:1票)
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