481. ハウス/HOUSE(1977)
昔、スクリーンで観たことがあるが、ぶっ飛んだ映画で呆れて口あんぐりした印象が。 久々にDVDで見直してみたが、ホラーコーナーに置いてあったけど明らかにファンタジーコメディ。 つっこみどころが満載で、子供向けびっくり映画のよう。 大林監督がCMで培った特殊効果を全編に駆使しているのがなんともチープ。 こんな内容の映画に、しかも必然性のないところできっちり池上季実子や松原愛を脱がしているのが、いかにも大林監督らしい。 [DVD(邦画)] 2点(2012-12-18 21:51:01) |
482. 異人たちとの夏
《ネタバレ》 一風変わった怪談風ファンタジー。 12才のとき事故で亡くなった両親に、浅草で再会した孤独なシナリオライター(風間杜夫)。 懐かしい両親の家に通いつめるうちに、精気が吸い取られるように衰弱していく。 胸に傷のある女・桂(名取裕子)は男を心配するが、男は通うことをやめられない。 片岡鶴太郎と秋吉久美子の両親が下町夫婦のいい味を出していて、ノスタルジーを刺激する。 桂との結末では、冒頭に男の部屋を初めて訪ねたシーンを振り返らせ、女の孤独感が浮かび上がってくる。 両親とのファンタジーと、桂との怪談は、それぞれまとまっているが、まったく異質なもの。 なので、二つの物語を無理に一つにしたような違和感はある。 あくまで両親との話がメインで、女との話を入れるならテイストを統一したほうがいい。 化け物変化する仰々しくてチープなホラーシーンを変えて、両親とのテイストに合わせてファンタジー色を強くしたなら、違和感はなかったかも。 原作は読んでないけど、山田太一の作風から、あのホラーシーンは考えられない。 そこは大林監督の演出の問題だろうが、傑作になりそこねた気がする。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-18 21:48:25) |
483. がんばっていきまっしょい(1998)
《ネタバレ》 さわやかな青春物の佳作。 主演の田中麗奈はいい女優だと思うが、今後もこのデビュー作を超えられないかもしれない。 台詞のたどたどしさはあるが、瑞々しい存在感が半端ない。 女優として経験を重ねてうまくなったとしても、当時でしか表現できないものがある。 きらめく水面をボートが走るシーンが象徴的。 バックに流れるLee-tzscheの「オギヨディオラ」がとてもいい。 ノスタルジックな気持ちで、なんだかせつなくなってしまう。 ラストでは、冒頭にも出てきた、廃墟になったボート部の部室。 その壁に貼られていた色あせた写真が、ぐっと胸に迫ってくる。 棒読みの役者、新入部員が悦子復帰後にストーリーから消えたなど、欠点も目に付く。 ところが、それを凌駕するだけの不思議な魅力があった。 一番輝ける時期のすばらしさ、はかなさのようなものを自分の過去と照らし合わせて懐かしむような感覚。 作品としての完成度など無視してしまえるくらい好きになった映画で、時を経て観直しても色あせない。 [ビデオ(邦画)] 10点(2012-12-17 21:02:25)(良:1票) |
484. お引越し
《ネタバレ》 両親の離婚を受け入れられない小学6年の少女。 懸命にあれこれ抵抗するが、両親はもてあますだけ。 風呂場に立てこもるレンコの前で、両親が言い争う場面。 なかなかわかりあえない気持ちが、もどかしい。 揺れる少女の心理と成長が、相米監督によって丁寧に描かれる。 テーマはありきたりだが、普遍的なもの。 地味な映画だが、じっくりと観させる。 終盤、幻想的な世界が展開する。 そこで、少女は昨日までの自分と決別する。 残念だったのは、幻想やらメタファーやらが目に付く映画は、個人的に相性が悪いこと。 そのせいか、自分の中ではラストにかけてやや失速した感が。 少女が成長したことは伝わってくるが、どうして急に両親の離婚を受け入れたのかがよくわからなかった。 幻想やメタファーに誤魔化された気になる。 デビュー作となる主役の田端智子がいい。 田中麗奈もデビュー作でそうだったが、セリフは棒読みなのに、不思議と自然体の存在感が光る。 替えの効かない重要なピースとなっていて、そのキャストがあって初めて作品が成立するほどにハマっている。 これはもう、天賦の才だろう。 それと対照的なのが、母親役の桜田淳子。 人気絶頂期の主役で見せた演技は、どうしようもないほどわざとらしくて見ていられなかった。 ところが、久しぶりに見かけた本作では、見違えるようでビックリ。 よっぽどの努力が察せられて、感心してしまった。 [地上波(邦画)] 6点(2012-12-17 20:46:07) |
485. 大病人
《ネタバレ》 伊丹十三監督らしく社会問題を含んだ作品。 末期がんの映画監督(三国連太郎)が、自分の病名を悟っていく過程が痛々しい。 あの幽体離脱と臨死体験はどうなのって思うけど。 「死を敗北と思いたくない。やりたいことをやった後の安らかなエンディングと思いたい」 いたずらな延命処置を拒み、映画の完成にかける姿には、死への敗北感などない。 般若心経の演奏はどうなのって思うけど。 [ビデオ(邦画)] 5点(2012-12-16 00:18:41) |
486. けっこう仮面2 「We'll be back・・・・」<OV>
《ネタバレ》 永井豪原作だが、同原作者の『デビルマン』がめちゃくちゃにされたら腹が立つ。 でも、『けっこう仮面』は正直どうなってもいい。 別に嫌いってわけじゃなく、B級感漂うふざけた作品になっても、原作もそんなもんでしょ?って意味で。 「顔を隠して体隠さず! けっこう仮面は誰でしょう?」 「おっぴろげジャーンプ!」 とことんおバカで、お下劣、ナンセンスなドタバタパロディ。 裸は出てくるけど、エロさはあまり感じない。 ストーリーの本筋なんかより、どんな気持ちで役者が「けっこう仮面」を演じているのか、そのバックステージに思いが及ぶ。 この作品のバックステージをシリアスに撮った映画が観てみたい。 そっちのほうがよっぽど面白いと思うんだけど。 [インターネット(字幕)] 3点(2012-12-15 00:16:21) |
487. ガチ☆ボーイ
記憶を失う男という重くなりがちな題材を、プロレス研究会という設定でポップに仕上げている。 ただ、映画館で観るほどのものではなかったか。 [映画館(邦画)] 5点(2012-12-15 00:11:42) |
488. 破線のマリス
《ネタバレ》 報道の恣意的な編集を扱ったのは、リアルな問題として面白い。 ミステリーを得意とする野沢尚脚本だけに、サスペンスとして最後まで引っ張られる。 ところが、ラストのオチにガッカリ。 最後まで引っ張って、それはないだろうと。 どんでん返しにも、スコンと胸に落ちてくるものと、無理筋で落ちてこないものがある。 これは後者のほう。 主人公が嫌な女というのも、好みじゃない。 真犯人のことはメインテーマではないので未解明のまま終わるというのもわかるが、やっぱり消化不良。 [ビデオ(邦画)] 4点(2012-12-15 00:05:04)(良:1票) |
489. ファザー・ファッカー
内田春菊の実体験を元にした映画とか。 ホントかよって感じる部分もあるが、事実は小説よりも奇なりということか。 [ビデオ(邦画)] 5点(2012-12-13 20:19:33) |
490. ナチュラル・ウーマン
レズシーンでの緒川たまきの小悪魔的なエロさがいい。 ただ、それしか見所がない。 [ビデオ(邦画)] 3点(2012-12-12 20:27:28) |
491. キッチン(1989)
川原亜矢子の存在感は面白い。 でも、こういう静かなさざなみのような映画は苦手。 [ビデオ(邦画)] 4点(2012-12-12 20:25:06) |
492. 僕らはみんな生きている
《ネタバレ》 山本直樹作画のコミックのほうを先に読んでいたが、コミックのほうがおもしろい。 映画は、コミックで表現されたエロ、風刺などの毒気が薄まっているように感じる。 表現方法として、漫画のほうが自由度が高いのかな。 それでも、映画版もけっして悪くはない。 社畜である日本人の悲哀と、現地人のデタラメっぷりが対比的。 軍とゲリラの銃撃戦に巻き込まれる日本人。 「私たちは日本のサラリーマンです!」 名刺をかざして連呼しながら、命からがら脱出を図る場面がおかしい。 ウィットとアイロニーに富んで、シリアスな問題を軽妙なタッチで描き出している。 惜しかったのは、ゲリラが日本人スパイを解放したところ。 解放する理由が、日本人としての苦労話の演説を聞いただけでは弱い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-12-11 21:27:54) |
493. 病院へ行こう
邦画で面白いと思えるコメディにはなかなか出会えないが、意外とよかった。 爆笑はないが、にやっとはできる。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-11 21:16:21) |
494. コキーユ ~貝殻~
《ネタバレ》 同窓会で再会した中年の男と女が不倫に発展という、なんだかありきたりな展開。 かなり古臭いが、最後まで見れる。 子供の頃の淡い恋、そして同窓会での再会。 誰にでもそれに近い思い出があるからだろう。 男(小林薫)は病気の後遺症で右耳が聞こえない。 そのために、中学卒業の日、女(風吹ジュン)が意を決してかけた言葉が聞き取れず、それっきりになってしまった。 30年もの時を経て、お互いの思いが通じ、子供の頃の恋を成就させた二人。 「やり直したい。戻れるのなら最初から」 眠っている男の右耳に、そう告白する女の気持ちが切ない。 風吹ジュンは、このとき46くらいか。 この年齢で、かわいいからなんとか成立してるお話。 一般人の中年で、こんなにキープできる人はいない。 現実の再会では、がっかりする場合のほうが多いだろうから。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-11 21:08:40) |
495. 漂流教室
《ネタバレ》 CGの発達してない時代に、この原作の映画化は無謀だった。 それに、ストーリーも思いつきのデタラメに改変。 意味のないアメリカンスクールの設定。教室で突然始まるミュージカル。 怪物との戦闘中にピアノを弾く教師。脈絡なく挿入される少女のシャワーシーン。 観る者を凍りつかせるクサいセリフと演出。 漫画の原作を台無しにした映画としては、『デビルマン』と双璧。 [ビデオ(邦画)] 0点(2012-12-10 19:13:04) |
496. ひみつの花園
《ネタバレ》 お金だけをひたむきに追い求める女の子(西田尚美)のキャラがいい。 銀行強盗に拉致され、犯人が逃走する過程で事故に遭い、5億円の入ったケースが樹海の池に沈んでしまう。 犯人は死亡、お金のありかを知っているのは主人公だけ。 その金を手に入れるために必要となるあらゆることに突き進む。 車の免許を取り、スキューバダイビングやロッククライミングをマスターし、大学の研究室にもぐりこみ―― 他人を一切気にすることのない、すさまじいまでの行動力。 そうして、苛酷な障害を乗り越え、ようやく手に入れた5億円。 ところが、使うことなく秘密の場所に埋めてしまう。 ラストの場面、バミューダトライアングルの海で沈んだ豪華客船の金塊を狙って、アマチュア探険家が集まっているとのニュースを聞き、目を輝かせる。 「私、行くとこできちゃった」 お金を使って何をしたいというのが目的でなかったのが、馬鹿がつくほどの純粋さを感じさせてすがすがしい。 かなりぶっとんだスラップスティック・コメディになっており、単純に楽しめる。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-12-10 19:10:18)(良:1票) |
497. ザ・中学教師
《ネタバレ》 原作は別冊宝島の「ザ・中学教師」シリーズ。 そのシリーズは幾つか読んだことがあるが、リアルな現場の声が聞けてなかなか面白い。 映画も、よくある学園ものではなく、リアルな分、地味な感じ。 長塚京三演じる中学教師は、生徒がこんな先生がいたらいいなと願うような熱血先生でも面白い先生でもない。 金八先生やGTOの鬼塚先生とは、まったく異なる教師像。 生徒とは距離を保ち、真面目に淡々とした姿勢で向き合う。 それが教師としてのプロ意識。 教師という役に徹し、生徒に対しても生徒という役を要求する。 あくまで、役の上での関係性だ。 だから、マラソン大会が成功しても、この教師と生徒に人としての交流は生まれない。 教師が笑顔もなく拍手でたたえても、生徒はシラケて黙っている。 こんな面白みのない教師を軸に、ストーリーを展開されてもねぇ…。 映画に求めるのはリアリティではなく、エンターテイメントだから。 リアルなら、生徒にいい顔ばかりする安っぽい女教師(藤田朋子)より信頼できるけど。 でも、慕うことにはならないだろうな。 スケッチ的な描き方で、一本芯になるものがない。 いじめ、シンナー、家出、無関心、不登校、ナイフによる教師への傷害…。 さまざまな問題が提示されるが、エピソードがあまりリンクしておらず、散漫な印象を受ける。 映画である必要が感じられず、原作を読んだほうがよっぽどいい。 [ビデオ(邦画)] 2点(2012-12-10 00:18:39) |
498. 病は気から 病院へ行こう2
小泉今日子がかわいい。それに尽きる。 病状の描写はリアリティがなく、重くて暗くならないように軽いタッチで仕上げているようだ。 ある意味、小泉今日子のプロモーションドラマかも。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-09 18:40:14) |
499. 八月の狂詩曲
天下の黒澤明でも、こんな凡作を撮ってしまうのか。 残るものが特になく、『生きる』『七人の侍』など数々の名作を創り出した人とは思えない。 リチャード・ギアの片言の日本語が気になって、ストーリーに入っていけないし…。 [DVD(邦画)] 3点(2012-12-08 22:19:48) |
500. リアル鬼ごっこ(2008)
《ネタバレ》 山田悠介原作の映画化。 以前に、小説が面白いと聞いて読んでみたが、ある意味衝撃的だった。 内容以前に、文章が間違いばかりだったことに驚き。 これをろくに校正もせず、商品にして世に出せたのがすごい。 発想だけはマンガ的で少し変わっていたので、それを映画でどう生かせるかに興味があった。 映画では設定がパラレルワールドになっている。 その設定が妹(谷村美月)の口から説明されるが、いかにもご都合主義。 いくつか矛盾点が引っかかって、すんなり入ってこない。 セリフも展開も、陳腐でクサい。 まるでコントを思わせるような場面も散見する。 これなら、マンガかゲームにするほうがよっぽど適している。 ご都合主義で作り出した設定を伝えるため、妹の説明セリフが長々と続く。 破綻しているストーリーを、破綻していないように見せるため、ジタバタしている感じ。 佐藤姓の人間を全員抹殺するための理由を、もっともらしく作っているが、これがまたつまらない。 説得力のある理由にしたかったんだろうけど、逆効果。 原作にあった、王様の馬鹿げた思いつきのような軽いもののほうが、シニカルで面白いのに。 原作の一番使えない部分(酷い文章)を捨てて、一番使える部分(発想)を利用できたはずなのに、原作を下回るとは…。 材料がどうあれ、料理人が上手に使えなければどうしようもないということか。 [インターネット(字幕)] 1点(2012-12-08 20:53:27) |