521. 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007)
先に田中裕子主演のドラマを見ていたこともありあまり感動できなかった。原作小説は読んではいないが、映画の方が原作に近いということはすぐわかる。リアルだし、映画的だし、淡々とかつしみじみと物語を語っていく。ナレーションがはいるので、なおさらそう感じる。そしてオカンが死ぬ前も死んでからも長い。だがどうしても盛り上がってこない、そうあのTVドラマの印象が今も長く強く残っているからだ。 TVと比較するとどうして役者が地味だ。田中裕子のオカンを、樹木内田の親子で演じアイデアは良しとしても、田中の芸達者には遠く及ばない。そのほかの人物にしても、迫力不足を感じた。 [DVD(邦画)] 5点(2012-04-22 05:52:15) |
522. アヒルと鴨のコインロッカー
何とも奇妙なタイトルだしストーリーもあれれっという展開だったが、無事に収まってなるほどという感がする。瑛太を初めキャスト陣が良い味を出している。動物虐待はもちろんいけないが、それに憤慨して相手を○○するのも・・・。映画としては新鮮でおもしろいし、ボブ・ディランは懐かしい。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-19 21:34:20) |
523. 鞍馬天狗 角兵衛獅子(1951)
子どもの頃アラカンの鞍馬天狗は見たはずなのだが、この角兵衛獅子だったかどうかは定かではない。 時代劇はたいがい無敵のスーパースターみたいな主人公が登場し、格好良いところを見せるのだが、この映画の鞍馬天狗はそうとも言えない。杉作に助けられたりもする。 BSを録画したのを改めて見てみたが、映像が古く見苦しい。音声もひばりの声はしっかり聞き取れるのに、他の役者の声が聞き取れなかったり。その上ストーリーもよくわからない所があったり・・・。鞍馬天狗はどうやって水牢から逃れたのか、近藤勇との勝負はどうなったのかなど。 [地上波(邦画)] 4点(2012-04-14 10:40:19) |
524. 鍵(1974)
谷崎潤一郎の原作小説が持つエロスに焦点を当てて映像化した作品。小説は文字で表現され、読者は想像たくましくイメージするが、そのイメージを実像化したものと言える。(18禁映画)日記や鍵の意味合いなど、先の市川映画より原作に忠実でリアルだが、キャストは京マチ子、仲代達矢を配した市川映画とは比べものにならないし、主役の女性が好きでない。夫役は能楽師の観世栄夫が演じていて好演だと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2012-04-14 07:06:33) |
525. 野菊の墓(1977)<TVM>
木下恵介の「野菊の如き君なりき」には及ばずとも、松田聖子の「野菊の墓」とは比べものにならないくらいずっと良い。 映画は70数分という短時間だが、非常にコンパクトにまとめられている。アイドル山口百恵を女優山口百恵に近づけた映画と言えるだろう。情感が込められ実に感動的だった。 ところで山口百恵と言えば共演は三浦友和と決まっていたが、このドラマは別。何しろ相手が年下役なのだから・・・。 [地上波(邦画)] 7点(2012-04-13 20:22:22) |
526. 鍵(1997)
川島なお美に期待したが、やはり役不足だった。いや川島さんだけでなく他の役者も同様ずいぶんこぢんまりしているというか、木村役に至ってはただのちんぴらにしか見えなかった。それに反してセックス描写は赤裸々、これでは谷崎文学が泣く。 [DVD(邦画)] 3点(2012-04-13 15:44:04) |
527. 鍵(1959)
何本か見た谷崎潤一郎の「鍵」だが、原作が発表されてまもなくの映画だけあって、これが一番しっくり来る。それどころか原作以上に文学的で、格調高いものを感じさせる 。 この映画は少年の頃予告編を見たのだが、そのときは裸のシーンやセックスという文字が飛び込んできて、何か見てはならない映画のように思ったのをしっかり覚えている。 しかし後の世に出てきた映画と比べるとその方面の表現はずっと柔らかで、むしろサスペンス的な雰囲気を漂わせている。日記や鍵の扱いが原作と違っているのが気になるが、北林谷栄の婆さんがおもしろい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-04-13 15:37:10) |
528. OUT(2002)
《ネタバレ》 やっていることは大犯罪でありサスペンスには違いないのだけど、映画はどこからどう見てもコメディである。人間を切り刻むという犯罪を超楽天的な考え方で行ったり、犯罪の意識がなかったりする。その通常の良識から外れた非現実な所が、OUTの世界だろう。4人のうち少しまともだったのは倍賞美津子のヨシエさん、年寄りをおいては逃げられないと言ったし、最後はグループから脱落してしまう。 こういう逸脱した映画をおもしろく見たのは、私自身もOUTの人間なのかもしれない。それにしても間さんの半端でない演技にはびっくりした。怖すぎる。 [DVD(邦画)] 6点(2012-04-07 13:52:00) |
529. 原子力戦争 Lost Love
《ネタバレ》 この時代の映画は結構知っているつもりだったが、この映画は知らなかった。それだけ話題にもならず埋もれてしまっていたということなのだろうか。 多くの方が指摘されているように、この映画は今いちである。今現在作られればもっと話題になっただろうし、映画だって鋭く描かれていたに違いない。 この映画は犠牲者が出ているにも関わらず真相は闇に葬られたままに終わってしまった。特に山崎明日香は何? [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-04-05 06:27:08) |
530. いつか読書する日
ラジオで美奈子の葉書が読まれ、リクエスト曲がかかる。「雨の日と月曜日は」だ。一般にはカーペンターズの歌として有名だが、元はといえばポール・ウィリアムズの作った曲であり、彼自身の歌が聞こえてくる。それが美奈子さんの心境と重なってくるようでもあり大変懐かしい。 映画は主役の二人とその周辺の人たちの心遣いが感じられ雰囲気がとてもいい。坂の長崎、長崎の雨という雰囲気も・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-04 19:41:44) |
531. ウホッホ探険隊
ホームドラマかと思いきや途中からずいぶんシリアスになる。単身赴任で遠く離れて暮らすというのは大変なものだとわかる。でも子どもは大変お利口さんだ。母親の朝食を用意したのには、思わず涙。 どこにもありそうなことを、奇策を講じることなく日常に密接した形で表現する、それでいていろいろ考えさせられる良い映画だったと思う。結末はよりが戻ったと思いたい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-28 21:32:55)(良:1票) |
532. うなぎ
《ネタバレ》 なるほど「うなぎ」なのですね。わかったようで、わからないようで、妙に納得。幸福の黄色いハンカチや遙かなる山の呼び声のように、わたし待っていますとか待っていていいですか言われると弱い。お子様にはちょっとというシーンもあるが、良い映画というか好きな映画だ。 [DVD(邦画)] 8点(2012-03-27 17:21:51) |
533. ひばりの森の石松
ボウリングの発祥の地が日本の讃岐地方だとは知らなかった。(笑) 子どもの頃何本か、美空ひばりの男役の映画を見たはずだが、この映画しか覚えていない。それほど印象に残った楽しい映画で、ひばりさんの石松あにいはぴったりだった。 [映画館(邦画)] 7点(2012-03-20 16:50:45) |
534. いつでも夢を(1963)
橋幸夫と吉永小百合のデュエット「いつでも夢を」は、私の少年時代に大ヒットした曲である。そのヒットにあやかって翌年製作された映画だが、やはり橋幸夫を出演せざるを得なかったんだろ。歌はうまいが演技はライバルの浜田光夫と比べようもない。 しかし、この点をのぞいてもまずまずの映画だと思う。三角関係になるところを、平等の権利とやらのデモクラシーに立った青春映画となった。それに定時制高校に対する偏見克服についても・・・。 主題歌だから「いつでも夢を」のメロディーが音楽の主になるが、吉永小百合のデビュー曲「寒い朝」も随所に使われていて良かった。 なおこの後吉永小百合はスター家業の忙しい合間を縫って、大学の二部(定時制)に合格し見事に卒業する。文字通りの実践だった。 [映画館(邦画)] 6点(2012-03-20 12:32:09) |
535. 日本沈没(2006)
映画の進歩によって生まれたCG以外は、1973年版の日本沈没に勝るものは何一つないように思う。ドラマが持つメッセージは大きく損なわれ、人間ドラマはどこへ行ったのやら。何よりもストーリーを変えてしまったことには大いに疑問を持つ。 そもそも日本列島全体が沈むというのは、常識を遙かに超えた想定なのだが、それが意図も簡単に?救う方法があるとは到底信じられない。 [DVD(邦画)] 4点(2012-03-16 07:33:57) |
536. 三本木農業高校、馬術部 ~盲目の馬と少女の実話~
目が見えなくなった馬と馬術部の女子高校生との心の交流を描いた感動の実話。派手な演技や奇跡というものではなく、小さなエピソードをつなぎ合わせただけの構成ながら、しっかりとした感動を与えてくれる。 馬術部員を演じている若手のキャストも、実際に三本木農業高校馬術部に仮入部し、馬の世話から乗馬まで、生活をともにしたそうな。人馬一体という言葉に共感がもてる良い映画だった。 [DVD(邦画)] 8点(2012-03-15 23:50:54) |
537. 高校生ブルース
《ネタバレ》 若干15歳の関根恵子の大胆ヌードとか体当たり演技だとか、とかくそちらの方面だけが取りざたされるが、これはある意味大変な映画だ。 15歳の妊娠というとTV人気ドラマシリーズの金八先生で相当話題を呼んだが、この映画はそれより10年近くも前のことである。その上、金八先生よりもずっと大胆にリアルにかつシビアに描いていると思う。特に、妊娠した側(少女)とさせた側(少年)の考え方の違いは、問題点提起として注目して良いと思う。 映画は鋭く描き出した面と幼く見える点が交差する。後者の例としてあげるなら、硫酸の取り扱いの件、劇薬を使う実験で先生がいなくなるという設定はあり得ないし、紛失事件が起こっても騒ぎが大きくならないのはどう見てもおかしい。 だがこういうマイナスがあったとしても、少女のとった行動には驚かざるを得ないし、それを演じた関根恵子は大器の予感をさせた。 [映画館(邦画)] 7点(2012-03-13 23:16:13) |
538. 夜の診察室
《ネタバレ》 オープニングにでかい唇が出てきて、SEX、SEXとささやいた時はどうなるかと思ったが、何のことはない、純然たる喜劇映画だ。性を扱っているから、分類はエロティックになるのかもしれないが、それよりは医学的でまじめである。とにかく変な想像はしないで、映画に集中すべきだろう。19歳松坂慶子の初主演で、峰岸徹がまだ峰岸隆之介と言っていた頃の映画。 軽い作りの映画のように思えるが、同時上映だった関根恵子の「遊び」よりは好きだった。ラストに原爆投下?があるが、見てのお楽しみ。 [映画館(邦画)] 6点(2012-03-13 22:27:11) |
539. 遊び
《ネタバレ》 家庭的に恵まれない少年少女の青春映画は嫌いではないが、やくざがからんだ映画は好きでない。また二人とも現実逃避にしか思えず、将来性はまったくのゼロ、ラストの沈みかけた舟がそれを物語っている。これが増村映画でなければ、途中で映画館から出てしまっていただろう。なお同時上映映画は松坂慶子の「夜の診察室」この映画でも松坂は大門関根が踊りに行ったゴーゴーホールで、二人の間に割って入った常連のフーテン娘として1シーンだけ出ている。 [映画館(邦画)] 5点(2012-03-13 21:29:53) |
540. 熱海殺人事件
はちゃめちゃなストーリーだが、いかにもつかこうへいらしい舞台劇。好き嫌いの好みは分かれるだろうが、教育上よろしくない言葉もあり私は減点。舞台の評判は良かったらしいが・・・。 なお70年から80年代の世相が知らないとわからないことがたくさんあるだろうなと思う。三億円事件、日航羽田空港沖墜落事故、三田明、大阪しぐれとか・・・。 [DVD(邦画)] 6点(2012-03-12 08:57:16) |