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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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641.  ザ・マジックアワー
三谷幸喜監督の前作「THE 有頂天ホテル」を劇場で見た時すごく面白かったのだが、後になってDVDやテレビで見返すとそれほどでもなかったので、最初からDVDで見る本作にはあまり期待してなかったのだが、そこそこ面白かった。でも、売れない俳優を偽者に仕立て上げるという設定が「合言葉は勇気」の使い回しのようでややネタ切れかなと感じたのは残念。ボス(西田敏行)のいる部屋が「ゴッド・ファーザー」のドンのいる部屋を明らかに意識した作り(でも、西田敏行はマーロン・ブランドのようにはいかないよなあ、やっぱり。)だったり、伊吹吾郎がバーテンを務めるバーの名前が「赤い靴」だったりするのは笑えるし、深津絵里に名前をたずねたあとの佐藤浩市のセリフに大笑いしてしまった。(少しマニアックかもしれないが。)ほかにも、劇中劇映画に登場する鈴木京香の劇中での役名が小夜子というのも「犬神家の一族」の小夜子(川口晶、奥菜恵)を意識してるようでなんか笑える。「犬神家の一族」といえばやはりこの人の事を書かなければいけない。リメイク版に三谷監督が出演している関係からか、本作には劇中劇映画「黒い101人の女」(「黒い十人の女」)の監督の役で市川崑監督が出演。「ヨーイ、スタート」のかけ声とともに撮影が始まるのだが、これが市川監督にとって最後の「ヨーイ、スタート」なのかと思うとやっぱり何か感慨深いものがあるし、ああ、これが映画監督 市川崑の最後の姿なのかと思うと少し辛くもある。また、市川監督が撮っている映画の主演俳優役が中井貴一というのも、実際に市川監督の後期作品の常連だっただけに、それを意識したキャスティングなのかもしれないが、これもなにか感慨深い。そういえば、鈴木京香もテレビドラマが中心だったが、市川作品に数回出ているなあとそんなことも思ってしまった。全体としては6点くらいが妥当かなあと思う映画なんだけど、市川監督の関わった最後の映画ということで少し甘めに7点。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-25 11:56:04)(良:1票)
642.  WXIII 機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 
「機動警察パトレイバー」の劇場版第3作だが、監督が交代となり、主役も特車二課の面々から本作オリジナルキャラクターの刑事二人に変更されており、本来のパトレイバーとは違う雰囲気だが、絵の雰囲気や音楽は2作目に近い雰囲気で、主役の刑事が歩き回りながら捜査をするシーンなどは1作目を彷彿とさせている。しかしどうもねえ、シリアスなのはいいのだが、それに加えて暗く、特車二課の面々もほとんど出てこないので、本当にこれはパトレイバーなのかと思ってしまった。今回、登場するのが夫と娘を亡くしたマッドサイエンティストの女で、その女がガン細胞と娘の遺伝子を融合させて怪獣を作り出すという設定も「ウルトラマン」とかなら脚本的に違和感無いのだが、(実際見ていて「ゴジラVSビオランテ」の高橋幸治を思い出してしまった。)押井守監督が手がけた前2作で描いたサイバーテロやクーデターと比べるとリアリティーが全く感じられない。(まあ、前2作は現在だからこそリアリティーが感じられる部分もあるのだが。)それでもパトレイバーとは別物のSFアニメ映画と割り切ればそこそこ面白いとは思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-22 14:03:15)(良:1票)
643.  蘇える金狼(1979)
「殺人遊戯」と「処刑遊戯」の間に作られた村川透監督、松田優作主演の角川映画。大作だけあって遊戯シリーズより金がかかっていて、全体的に派手な印象で、松田優作に加え千葉真一、岸田森、小池朝雄、そして「探偵物語」でいい味を出していた成田三樹夫とキャストも豪華。このキャスト陣を見ているだけで楽しめる映画である。中でも暗殺者を演じる岸田森が印象的だった。でも、全体的に見ると少し冗長な印象があるし、村川監督の演出も遊戯シリーズ同様にテレビドラマっぽい。ラストの空港のシーンは確かに印象に残るけど、あのシーンは別に無くてもよかったような気がしないでもない。松田優作は相変わらずカッコつけてはいるが、それがあまり鼻につくことないから不思議。(「処刑遊戯」ではカッコつけてるのが気になってしまったが、本作ではそういう事はあまり感じなかった。)でも個人的にはこの映画では共演者である成田三樹夫や岸田森、千葉真一のほうが松田優作より魅力的に思える。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-21 18:33:19)
644.  超人機メタルダー 《ネタバレ》 
戦隊ヒーローシリーズと並ぶ東映のヒーロー番組シリーズであるメタルヒーローシリーズのうちの一つ「超人機メタルダー」。小さい頃に母親と見ていた番組だが、ひょっとしたら親の方がハマッて見ていたのかもしれない。(第一話から見ていたので今から思えば上原謙をリアルタイムで見たことになるのかと少々驚いてしまうが。)ほかのヒーロー番組と比べてけっこう内容が重かったように記憶しているが、この劇場版は(高校の頃に家に残ってた録画ビデオで鑑賞。)とくに重さはなく、東映まんがまつりで上映される映画としては妥当な作品に仕上がっている。ネロス帝国のタグスキーとタグスロン兄弟がメタルダーに挑むのだが、弟タグスロンが死ぬ間際にメタルダーの足に剣を突き刺してそのまま絶命したのは敵に対する執念を感じさせていて印象的。病に倒れたとウソをついて軍団員を逸らせる帝王ゴッドネロスがある意味すごい。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-07-18 01:42:42)
645.  処刑遊戯 《ネタバレ》 
「遊戯」シリーズ第3作。今回はコミカルさを排除し、最初から最後までひたすらハードボイルドに徹している。冒頭の銃撃戦などは派手な音楽もなく、淡々と進行してなかなか凝っていてカッコイイ。しかし今回は前2作ではそれほど気にならなかった松田優作のカッコつけたきざなセリフまわしというか、そういうのがかなり気になってしまった。このシリーズは毎回脚本家が違うわけだが、今回は「探偵物語」を同時期に書いていた丸山昇一が担当。この脚本家が個人的にちょっと苦手なのかもしれない。村川透監督の演出は前2作に比べるとこだわりが見えてだいぶ頑張っていると思うものの、テレビドラマのような印象がやっぱり少し残る。敵の黒幕が前回ヤクザの親分を演じていた佐藤慶なのだが、2作連続で同じ人を同じような役に配役しているのがちょっと面白みに欠ける気がする。(まあ、先週「殺人遊戯」を見たばかりというのもあるんだが。)それにしても以前見た大島渚監督の「夏の妹」でも思ったが、ヒロイン役のりりィの独特なしゃべり方はなんか気になるなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-13 13:10:30)
646.  殺人遊戯 《ネタバレ》 
「遊戯」シリーズ第2作。前作「最も危険な遊戯」のエピローグはコミカルなものだったが、今回の鳴海昌平(松田優作)はどことなくコミカルで、「探偵物語」の工藤俊作の原型を見ているよう。でも、キャラクターとしては工藤のほうが好み。(「探偵物語」も十年以上前に再放送で見たきりなのだが。)むしろ後半の喋れなくなってからの鳴海はその前のおちゃらけた鳴海の姿があるので、それと対比して鳴海=松田優作のクライマックスの戦闘シーンのかっこよさが際立っている。ただ、村川透監督の演出は今回も雑で映画というよりはテレビのアクションドラマを見ている感が拭えない。それでも中島ゆたかを殺すシーンはかなり印象的だった。佐藤慶演じるヤクザの親分がなんとも渋くて主役の松田優作よりもかっこいい。今年亡くなってしまったのは本当に残念だった。その部下を演じる佐藤蛾次郎は「男はつらいよ」シリーズの源ちゃんのイメージが強すぎて本作での風貌になにか違和感を感じる。
[DVD(邦画)] 6点(2010-07-07 19:32:16)
647.  最も危険な遊戯
村川透監督、松田優作主演による「遊戯」シリーズ第一作。村川監督って昔見た「あぶない刑事」の劇場版でもけっこうつくりが雑に感じたが、やはり本作もかなり雑な印象で完成度は低いのだけど、とにかく松田優作がカッコよく、久々にアクション俳優としての彼の魅力を堪能できただけで満足。(アクション映画で優作を見るのは中学の頃にテレビで見た「ブラック・レイン」以来のような気が。)荒木一郎に銃を向ける姿などはどことなくターミネーターみたいだ。敵の乗った車を走って追いかけるシーンは「太陽にほえろ!」を連想させていて楽しい。(ジーパンが出てた頃の「太陽にほえろ!」見たことないのについ思い浮かべてしまう。)大野雄二の音楽が「ルパン三世」に似ているというかほとんど「ルパン三世」の劇中音楽そのまんまなような気がしてなんだか途中から本当に「ルパン三世」を見ているかのような錯覚に陥った。ところで柴田恭兵ってどこに出てたのだろう。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-29 13:57:38)(良:1票)
648.  眠狂四郎 炎情剣 《ネタバレ》 
「眠狂四郎」シリーズ第5作。これでこのシリーズを見るのは「勝負」、「無頼剣」に続いて3本目。(すべて三隅研次監督)三隅監督による光と影のコントラストを強調した映像美には感心させられるし、ラストの寺での決闘シーンの見せ方も工夫されていて見ごたえがあり、三隅監督の演出のうまさに改めて唸ってしまう。ただ、話の面白さとしては三隅監督が手がけたほかの2本よりは若干劣る印象。中村玉緒が悪女を演じているが、仇討ちの助太刀を狂四郎に願い出ておきながら実は裏があってという役柄をうまく演じていて、悪女役の中村玉緒もう何作か見てるけどこの役はなかなか印象的だった。その中村玉緒を犯す狂四郎のセリフがまあキザったらしいのなんの。もうここまで来ると変態的な感じさえする。ラストの中村玉緒をすれ違いざまに無言で斬り捨てるシーンは三隅監督のスタイリッシュな演出と相まってすごくカッコよかった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-06-24 00:50:19)
649.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
航空業界の舞台裏を描いた矢口史靖監督の映画。今回は「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」のような青春映画からは趣を変えて、伊丹十三監督の映画のようなハウツーものとなっている。飛行機に乗ったことがない自分にはあまりピンとこないのではないかという不安もあったが、最後まで楽しくそして興味深く見ることが出来た。でも、これまでの矢口監督の映画のような突き抜けた勢いがあまり感じられなかったのはちょっと残念だし、後半の展開は元々パニック映画として構想していた名残なんだろうけど、あれによって軽い雰囲気だった映画がいきなり少し緊迫した雰囲気に変わってしまうので少々戸惑ったのも事実で「ハッピーフライト」というタイトルでいくなら最後は無事目的地であるホノルルに到着してエンド、というのが望ましかった気がする。そうしなかったのはやはり矢口監督の中に「パニック映画が撮りたい」というのがあったからなのではと感ぐってしまうのだが。機長を演じる時任三郎が冷静に見えてなんか笑える。「ホノルルへいけ」とクレームをつける乗客に対し、すごく説得力のある言葉で対応するチーフパーサー(寺島しのぶ)がカッコよかった。まあいろいろと言いたいことはある映画だが、楽しめたから少し甘めに7点。矢口監督は最近の若手監督の中ではけっこう好きなのでこれからも手がけた映画は見ていきたいと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-22 14:08:11)
650.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 
この映画の公開中の頃だったかに見た「ひみつの花園」がいい意味で余りにも突き抜けた勢いのある喜劇映画ですごく面白かったため、逆に今まで敬遠していた本作だが、ようやく見た。話としては「ウォーターボーイズ」と完全に同工異曲なので新味はあまりないが、それでも矢口史靖監督らしい勢いのある演出はやはり健在で、強引な展開やつっこみどころ満載なのもギャグ映画と割り切れば、何も考えずに見られる娯楽喜劇映画としてはかなり笑えるし充分に成功していると思う。(若大将シリーズなんかとノリとしては同じような気がする。)青春映画としては同じアルタミラピクチャーズ作品の「がんばっていきまっしょい」なんかと比べてしまうとドラマ的に物足りなさを感じるのも事実ではあるが、全体的にはなかなか面白かった。ラストの演奏シーンでは見ているこちらも思わず会場の観客たちと同じくノリノリで聞き入ってしまった。(演奏終了後エピローグを描かずすぐにエンドロール突入するというのも潔い。)今になって見てみると出演者に上野樹里(本作の後「のだめカンタービレ」でジャズからクラシックに行っちゃった?。)貫地谷しほり、本仮屋ユイカ(二人ともこの後NHKの朝ドラに主演してる。)など「ウォーターボーイズ」同様けっこう今を時めいている若手女優が出ていてその意味でも貴重か。チョイ役だけど竹中直人が通う音楽教室の先生を谷啓が演じているのがちょっと嬉しかったりもする。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-16 17:34:44)(良:1票)
651.  幸福(1981)
黒澤明監督の「天国と地獄」の原作者として、またアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」の脚本家としても知られるエド・マクベインの「クレアが死んでいる」を原作に市川崑監督が手がけた刑事映画。公開後、一度テレビ放送されただけで長らく幻となっていた映画で、市川監督の80年代のもう一本の幻の作品「鹿鳴館」と並んで見る機会は永遠にないかもなんて思ってたが、今回、DVDで見た。市川監督のサスペンスといえば金田一耕助シリーズをつい連想してしまうが、この映画でも冒頭の本屋での殺人事件の凄惨さなどは思わず金田一的なものを思い浮かべてしまい、まさか「天河伝説殺人事件」のような原作を勘違いしたかのような駄作だったらどうしようと一瞬思ってしまったが、映画は事件をきっかけとして浮かび上がってくる人々の悲しい人間模様や親子の絆、人間の温かさをじっくりと描いていて人間ドラマとしてなかなか見応えのある映画に仕上がっていて面白かった。最初はカラーでなく白黒で撮りたかったが、「カラーで」という要望があってやむなく「銀残し=シルバーカラー」で撮ったというのは「おとうと」でも聞いたことがあったが、やはり「おとうと」や「かあちゃん」と同じく本作でも効果的に使われ、その2本と違って公開当時の現代を舞台にしているにも関わらず、映し出される東京の雰囲気がノスタルジックで、この映画の公開された頃に生まれた僕ですら、不思議とある種の懐かしさを覚えてしまうほど。主演の水谷豊、永島敏行、中原理恵という市川作品には珍しい顔ぶれもなかなか新鮮な感じで、とくに水谷豊演じる妻に逃げられた刑事と、その二人の子供たちの絡むシーンがどれもよく、病院で子供たちを抱きしめるシーンや、ラスト近くのやりとりがとても感動的だった。中原理恵も「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」のマドンナ役で見た時と違ってとても印象的。(寅さんのマドンナよりこういう映画での薄幸な役柄のほうが合ってる気がする。)市原悦子の存在感も凄いものがある。草笛光子や加藤武、三條美紀といった金田一シリーズに出演していた役者が出ているのがやはり嬉しい。(そういえば市原悦子も松竹の「八つ墓村」出てたなあ。)ともあれこの映画が長年日の目を見なかったのが惜しいくらいの出来で、80年代の市川作品の中でも最も市川監督の実験精神というか、映像作家としての個性が際立った傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-08 18:38:14)(良:2票)
652.  (ハル)(1996) 《ネタバレ》 
森田芳光監督の映画を初めて見たのは「家族ゲーム」で、その次が「模倣犯」。以降、森田監督の映画を見る際には「家族ゲーム」を超えるような傑作ではないかもしれないが、「模倣犯」を超えるような駄作でもないだろうという感じであまり期待していない。本作「(ハル)」は、パソコン通信を通して知り合った男女の恋愛ものだが、セリフを抑え、パソコン画面上のメールを直接字幕として映画の画面上に表示し、登場人物たちのメールでのやりとりを映画を見ている者に「読ませる」ことで展開していく構成はかなり実験的。その分、映画としては非常に淡々としていて静かである。ひょっとしたらこの淡々とした雰囲気に退屈するのではと思って心配だったが、互いに惹かれあっていく(ハル)と(ほし)に見ていくうちに徐々に感情移入していく自分がいた。確かに今見るとやや時代を感じる部分が多いのだが、森田監督の映画の中では佳作の部類に入るのではと思う。これが初主演となった(ほし)役の深津絵里、「踊る大捜査線」以外の出演作をあまり見ていないので恩田すみれの印象が強く、ちゃきちゃきした男勝りなイメージがあるのだが、この映画では寡黙な女性を演じていて、すみれとは全く印象は異なるのだが、はっきり言って深津絵里の魅力をこんなに感じられる作品を今まで見たことがあるだろうかと思うくらいにすごく魅力的だった。(ハル)役の内野聖陽も「黒い家」での異様にオドオドした主人公とは違ってとても誠実な印象で良かった。二人が初めてお互いの姿を確認する新幹線のシーンも印象的だったが、やはり二人が初めて出会うラストシーンの余韻の残し方が素晴らしく、今まで見た森田監督の映画の中では後味もよく最高のラストシーンだと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-01 19:00:42)(良:3票)
653.  大菩薩峠 完結篇(1959) 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演の「大菩薩峠」三部作の完結篇。今回は千恵蔵演じる龍之介の狂気が一作目のように戻ってはいるが、残したわが子を思う気持ちが描かれていたのは良かった。嵐によって橋が崩壊し、龍之介が奈落の底へ堕ちていくラストシーンは凄まじく、ちょっと複雑な気持ちにさせられるが、長い物語のラストとしては見事だった。兵馬役の錦之助が一作目に比べて随分と貫ろくがつき、「宮本武蔵」シリーズ同様に彼の役者としての成長が見られるシリーズでもあるのだなと最後まで来ると感じられる。この完結篇は大映版の完結篇と比べてもこっちのほうが違和感がなく、話としても納得がいく。(少し宗教臭いのはちょっと抵抗があるが。)でもシリーズ全体としては大映版のほうが入っていきやすいのも確かという気もする。これで三人の机龍之介を見たわけだが、三人それぞれの龍之介像というのがあって三人とも印象が違うのが面白い。中でもやはりいちばん印象にあるのは仲代達矢の異様に殺気を帯びた龍之介かな。それにしてもこの東映版が終わった翌年からもう大映の三部作が始まってるのはすごいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-30 14:01:48)
654.  小さき勇者たち ガメラ
ガメラシリーズの原点に立ち返るという意味合いを込めて作られた映画ということで、よもや昭和ガメラのようなチープな作品になっているのではと思ったが、さすがにあそこまでチープな印象はなく、前半は普通に少年とカメの交流を描いたジュブナイル映画としてそこそこ面白い。敵怪獣のジダース(「ウルトラマン」に出た「ジラース」のもじりだろうか。)が登場する後半以降の特撮描写はジダースが人間を食べるシーンなど金子修介監督の平成三部作のようなリアルさがあり、ストーリー設定は昭和ガメラを意識しているが、特撮部分は平成三部作を意識していてなにか二つの異なるガメラシリーズが融合しているかのような印象を受ける。平成三部作に出ていた田口トモロヲと石丸謙二郎が本作にも出ているのは偶然ではないだろう。映画としてはまあこんなもんだろうレベルを超えることはないものの、やはり特撮面では敵怪獣ジーダスにイマイチ魅力が感じられず、なにか東宝のバランと似たような印象が。ガメラも鳴き声がオリジナルでなかったのが少し残念。怪獣から逃げる群衆が時折CGっぽく見えるのは気のせいか。ドラマ部分も最後の石をリレーで運ぶシーンは確かに感動的ではあるがもうちょっと説得力が欲しかったなあ。今回も平成三部作に続いて日本テレビが出資してるんだけど製作が徳間から角川になったからか、劇中でテレビ東京でアニメが放送されてる「ケロロ軍曹」のコミックスが登場するのがなんか笑える。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-05-28 02:12:04)
655.  大菩薩峠 第二部
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の第二作。今回も千恵蔵演じる机龍之助は独特の存在感を放っていて他人を寄せ付けない得体の知れないオーラを放っているのだが、前作に比べるとやや丸くなり月を見ながら子供と戯れるなど前作からは想像もできないような一面が描かれているのが意外。龍之助が前作ほどの狂気を感じさせていない分ソフトな印象となり、前作よりは見やすくなっているが、大映版を先に見ているにもかかわらず登場人物のあまりの多さにはちょっと混乱した。(大映版ではそんなに混乱しなかったのになあ。)今回龍之助を助けるお徳を演じる木暮実千代がやはり素晴らしかった。ラストの千恵蔵の殺陣も見ごたえ充分。ところで本作は子供と戯れる千恵蔵や、ラストの槍を使った殺陣などどことなく同じ監督の「血槍富士」を思い起こさせる部分がある。きっと内田監督は意識して演出しているんだろうなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-22 00:19:18)
656.  放浪記(1962)
森光子が半世紀近くに渡って舞台で演じ続けていることでも有名な林芙美子の自伝的小説を成瀬巳喜男監督が高峰秀子主演で映画化した作品。成瀬・高峰コンビの映画の中でもけっこう有名な映画という認識を持って見たのだが、成瀬監督の演出は手堅く丁寧で、林芙美子という女の生き様を見事に描き出している。原作となった小説も舞台も見たことがないのだが、この林芙美子という女の男性遍歴を中心に描かれていて、その部分がなかなか見ごたえのあるものになっていて面白かった。とにかく芙美子と一緒になる男たちがみんなただの女たらしで徹底的に芙美子は男運がない。とくに宝田明などは見ていて本当にイライラするほどのわがままな男で、そんな男とはさっさと別れちまいなよと本気で思えるほど。でも、そんな主人公 芙美子の生き様に共感できるかと言われればそうとは言えない部分が多く、あまり感情移入も出来ないのだ。高峰秀子はそんな芙美子をわざと魅力的「でない」人物として演じていて、この間見た「二十四の瞳」(見た後、2週間たった今でも余韻が忘れられない。)の大石先生と本当に同じ人なのかと思うくらいの変貌ぶりでその役作りの凄さには驚くばかりで、役に完璧になりきっている。(今の役者でここまでやる人ってどれくらいいるだろうか。)でも、大石先生が強烈に印象に残っている分、なにか余計にこのキャラクターには感情移入出来ないし、少し違和感を感じてしまったのも事実。できる女優というのは十分に分かっているが、さすがに今回は見るタイミングを誤ったかも。映画としてもそれほど深いものは感じなかったし、傑作とも思わないが、ストーリー自体は思っていたより面白かったし、なかなか味のある映画にはなっていると思うので少し甘めだけど7点。加東大介が芙美子のことをいろいろ気にかける実直な男を演じているが、この人はやっぱり「黒の超特急」のような腹黒い悪役よりはこういう善良な役柄のほうが絶対似合ってる気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2010-05-20 00:08:55)
657.  大菩薩峠(1957)
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の一作目。何年か前に見た時は話についていきづらく、途中で屈折してしまったが、大映(市川雷蔵)や東宝(仲代達矢)で製作されたものを見ているなら、この東映版も見ておこうと思い、再挑戦。千恵蔵の机龍之介は、この頃の千恵蔵の年齢が50歳を超えていたこともあり、先の二人がそれぞれ20代、30代だったのに比べれば若さという点ではだいぶ劣っているが、狂気じみた独特の存在感とオーラがあり、不思議と違和感を感じない。映画としてはまだ三部作の最初だというのに展開がやたら早く同じく三部作だった大映版のほうがややゆったりとしてる印象ではある。しかし、大映版と東宝版を既に見ているのもあるのかも知れないが以前見た時のような退屈感はなく、むしろ本作は本作なりに見ごたえがありけっこう面白かった。のちに「宮本武蔵」五部作で内田監督と組むことになる錦之助が兵馬を演じているが、その初々しさも印象的。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-16 14:32:01)
658.  人間の約束
当時はまだ痴呆症と呼ばれていた認知症をテーマにした吉田喜重監督による社会派ドラマ。新藤兼人監督が同じテーマで手がけた「午後の遺言状」は、重い中にも時折ユーモラスなシーンもあったと記憶しているが、この映画は最初から最後までひたすら重く、身内の一人が認知症になってしまったことで起こる家族の問題がとてもリアルに描かれていて、見ていてとてもつらくなってくる映画だった。病院で10円玉を欲しがり、つながるはずのない電話をかける認知症の患者である老婆の姿は見ていて痛々しいく、ボケてしまった妻(村瀬幸子)を介護する夫(三國連太郎)がトイレの鏡に向かって挨拶をするシーンなど認知症の症状に関してもものすごくリアルである。村瀬幸子が「早く死なせておくれよー。」と叫ぶ姿も切なかったし、在宅介護となったそんな義母を介護する嫁(佐藤オリエ)にも感情移入できる部分があるので、もう見ていて本当につらいとしか言いようが無い。この映画は約四半世紀前に作られたものだが、今でもこういう状況はありえるのではないかと思わせてしまうところが怖かった。ラストは本当になんの救いもなく、そうするしか道はなかったのかと見ていて鬱な気分になってしまった。人にすすめようとは全く思わないし、好きな映画でもない。でも、社会派映画としてのメッセージ性は非常に強く、問題作であることは確かである。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-15 15:54:45)
659.  風の視線
木下恵介監督の「日本の悲劇」、「女の園」、「二十四の瞳」などで助監督として参加し、木下監督が活動の場をテレビに移してからも木下監督を支えた川頭義郎監督による松本清張原作モノ。木下組出身の監督(ほかにも脚本は木下監督の妹の楠田芳子だし、音楽も木下忠司。)が松本清張とはちょっと不釣合いのような気がしたが、内容はサスペンスではなく4人の男女のドロドロした関係を描いていて、どちらかといえば「波の塔」に近い印象だ。出演者たちもいい芝居をしている(とくに新珠三千代はこういう役をやるといつもうまいなあと感じる。)のだが、面白いかと言われると正直微妙な感じで何か物足りない。ラストがドロドロした話のわりに救いのあるものになっているのはやはり木下監督の影響が大きいのだろうか。(でも、後味はそんなに良くなかったかな。)先日見たNHKドラマ「天城越え」でカメオ出演していた松本清張本人がこの映画でも冒頭と中盤に出演していて、ストーリーとはなんら関係のない役柄だが強く印象に残る。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-13 14:22:10)
660.  子猫物語 《ネタバレ》 
「協力監督 市川崑」というクレジットに釣られて見てしまったが、正直言って「南極物語」の大ヒットに気をよくしたフジテレビが2匹目のドジョウを狙った映画としか思えなかった。「南極物語」と違って俳優を一切出さずに動物だけ登場させて擬似ドキュメンタリーのように仕上げているが、ブースケがチャトランを助けに川へ飛び込むシーンとか明らかに誰から見ても作為的なシーンが多くてかなり気が滅入る。(出てる犬や猫が可哀想。)露木茂のナレーションも最初は気にならなかったが、だんだんうるさくなっていくように感じたし、時折入る谷川俊太郎が書いた詩、詩自体は深みがあって良かったが、この映画の中に入れることで何の効果があるのか意味不明。さらにそれを朗読するナレーションがアイドル時代の小泉今日子というのがあからさまに彼女のファン層を映画館に引き寄せようという意図が丸見え。市川監督らしいショットはところどころにあり、チャトランが崖から落ちるシーンもそうなのだろうが、そこだけは、やはり市川監督の映像テクニック云々以前に可哀想という言葉が先に出てしまう。当時、日本映画界では動物映画を作ればヒットするというのがあったようだが、まさに客さえ入れば、ヒットさえすればそれでいいと言わんばかりの製作者(フジテレビ)側の姿勢には驚くばかりだ。おそらく市川監督の名前が無ければ見なかったと思える映画だが、本当に見なきゃよかったと思えるような映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2010-05-11 12:24:57)(良:1票)
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