781. 洋菓子店コアンドル
《ネタバレ》 主人公の造形がどこまでも雑で、安直。蒼井優ちゃんの芝居がこれほど空回りしている例も珍しい。江口洋介は、登場時にはなかなかの寡黙な迫力があるのに、その後物語上まったく効果的に使われていない。実は一番場を引き締めているのは江口のりこだと思うのだが、途中からは放り投げられっぱなしのようなひどい扱い。というわけで、いろいろとグダグダな内容でした。唯一ドラマ的な面白みを感じたのは、公園での「別れただろ」「別れてない」のやりとりくらいでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-04-26 01:54:13) |
782. 影の軍団 服部半蔵
《ネタバレ》 あえて忍者を主役にして、しかもわざわざダブル・キャスト的な分家設定!これはどれだけの忍者ワールドが!と期待したのですが、まったく思ったほどでもありませんでした。大体、この設定のはずなのに、忍者アクションがほとんどありません。ラストの対決も、忍者なら裏から回って隙を突くとか、相手に気づかれないような武器を使うとかいろいろあるはずなのに、普通に階段から正面突破しています。それなら普通のチャンバラと変わりません。●あと、渡瀬恒彦はどうやってもチンピラ浪人にしか見えないし、西郷輝彦は不自然に出番が少ないし、その他の人もほとんど使いこなされていません。よく見ると脚本担当が3人いますが、誰かが途中で飛ぶか降りるかして、ピンチヒッターでつながれていったのでは?という邪推すらしてしまいます。それくらい展開が適当です。 [DVD(邦画)] 3点(2023-04-07 01:01:43) |
783. 眠狂四郎 多情剣
《ネタバレ》 このシリーズは随所で定石無視の無茶を入れ込んでくるところが面白いんだけど、さすがにこれは・・・。一応、第4作の宿敵・菊姫が甦って狂四郎に復讐する、というのが大枠っぽいのですが、ただあちこちで現れて「狂四郎~~!」とかやってるだけなので、筋も何もあったものではない。何とかしようとしてサブで中谷一郎を投入していますが(この人が純朴系素直キャラというのは珍しいかも)、これも見事に機能していない。よって、狂四郎が何と戦っているのかもはっきりせず、ただ気まぐれに行動して、ときどきバッサバッサやっているだけで終わってしまいました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-03-18 00:10:30) |
784. 猫侍
《ネタバレ》 ところどころ面白いシーンもあるのですが、全体としてはえらくチグハグです。まず、これだけ多視点進行なのに、主人公のナレーションを入れまくって進行している時点で、制作の統一性がなされていないのでは?そのため、登場人物の動きもただ拡散しているだけで、物語が感じられませんでした。特に、主人公の妻と娘がどうこうという部分は、まったくいらなかったと思います。そんなわけで、内容にまるっきり合っていないエンディングテーマが、ぶち壊しにすらなっていませんでした。ただしそのような中で、殺陣が悪くなかったのは逆に驚きでした(場面は僅かですが)。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2023-03-01 23:59:26) |
785. 女必殺拳 危機一発
《ネタバレ》 前作とほとんど同じような作り方なんですけど、やっぱり前作よりしょぼくなっています。ほぼ全部が、「やってきた敵を悦ちゃんがやっつける」→「ぐぬぬ、あの小娘、今度こそ生かしてはおかん!」→「次にやってきた敵を悦ちゃんがやっつける」のループだし。それでも前作はサポーターで千葉ちゃんがいたりして、まだまともなストーリーっぽかったのですが、今作ではそれもありません(一応倉田さんがその役回りなんだろうけど、出番は少ない)。あと、医者っぽい敵の「腕切りシーン」で、折り曲げている本当の腕がしっかり映っているのはちょっと笑いました。誰か気づけよ。 [DVD(邦画)] 3点(2023-02-18 00:29:06) |
786. 地獄の掟に明日はない
このもったいぶったタイトルとは裏腹に、何ともしょぼい内容です。そもそも主人公の高倉健が、ヤクザといわれても堅気といわれてもどっちでも通用しそうなのは、演出の根本がおかしいのではないでしょうか。また、高倉・十朱・三國の中心3人の演技の息も合っていませんし、佐藤慶が敵ボスというのも変な感じです。脚本自体、担当者が締切に追われて1日半くらいで適当に書き上げたようなレベルです。そういったことを総合して、進めば進むほどつまらなくなっていくのにびっくりしました。 [DVD(邦画)] 3点(2023-02-06 23:29:24) |
787. 結婚しようよ
《ネタバレ》 ベタベタなハッピーファミリーものであるのは別によいのだけど、脚本の台詞の一つ一つがあまりにも稚拙すぎ。よって、芝居ではない段取りを見せられているだけです。そもそもこの父親が偏執し続ける「家族揃っての食事」って、この描写だったら、父の威厳でも何でもなくて、単に妻子に依存しているだけなのではないの?また、サイドストーリーの、次女のバンドがどうとか松方夫妻がどうとかいう部分も、見事に本筋と絡んでいません。●そんなわけで見るべきところはほとんどないのですが、真野響子さんの映画出演作は貴重なので(しかも出番も割と多め)、点数はそこに対して。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-12-22 01:05:44)(良:1票) |
788. 水の花
シンプルにして心理の綾や重なりも導けそうな優れた初期設定なのに、それが使いこなされていない。登場人物はボソボソ喋っているだけで、画面の中に「存在しているだけ」だし、生きても動いてもいない。長回しの反復に意欲的に挑んだ心意気は買いたいのですが、それも結局、回しているだけなのです。 [DVD(邦画)] 3点(2022-12-19 00:20:52) |
789. 舟を編む
《ネタバレ》 辞書の作成者という実に硬派な題材!と期待したのですが、肝心の描写自体が何とも凡庸でした。まず、掲載用語を中心とする言葉の扱いが軽すぎで、あれなら日常会話での雑談かあるあるレベルです。この辞書を作ろうと思ったら、たった一つの言葉でも何か月でも何年でも延々と考え続けてもおかしくはないはずで、そのような登場人物の執念を見たいところでした。また、実際の作業についても、それっぽく机に向かっている様子は映りますが、肝心の画面上とか紙の上で何をしているのかに対する配慮がない。つまり、料理人が厨房に立っているところは撮っても、手元の料理や包丁さばきを映していないのと一緒です。さらに、本を作ることがテーマでありながら、紙面構成や編集や校正の作業ディテールにも踏み込まれていません。作中では15年くらい経過しているようなのですが、それが画面上表現されていないのも気になりました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-12-17 22:22:53)(良:1票) |
790. ろくでなし(1960)
最初から最後まで、何か各登場人物のいらいらした前に進まないやりとりが繰り広げられているだけだった。役者の芝居にもほとんど個性や変化や差異が見当たらないのだが、監督もそもそも「演技」という概念自体が念頭になかったのだろう。としか思えない。 [DVD(邦画)] 3点(2022-11-30 23:49:17) |
791. 極道の妻たち 三代目姐
ショーケンは存在感はなかなかなのだが、演出上の人格造形が何ともまずく、下っ端のチンピラなのかそれなりの威厳のある若頭的存在なのかが分からなくなっている。輪をかけて、三田佳子とかたせ梨乃の双方に男女関係的なものを絡めてしまったのがまずく、三田佳子がさっぱり「極道の妻」には見えない(メロドラマの主人公にしか見えない)のを筆頭に、全員が共倒れになっている。●見どころとしては、上田耕一兄貴が幹部クラスで割と出番が多いところでしょうか。あと、画面の中にいるだけで周囲の空気まで変えてしまう、綿引勝彦の伯父貴。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-11-29 23:56:24) |
792. マリリンに逢いたい
《ネタバレ》 主演の彼の演技がびっくりするほど下手。安田成美も、後の名女優の気配すらない棒読み演技。●そもそも、肝心の兄弟がそれぞれ頭が悪いとしかいいようがなく、人間的魅力が皆無なのは痛いです。動物の頑張り(モデルという意味でも演技という意味でも)に対し、これほど周りの人間が足を引っ張っている作品も珍しいのではないでしょうか。しかも、犬自体も「泳いで会いに行っている」という以外には何も描かれておらず、出番の大半は人間の側なので、さらにそこが作品の質を落としています。●結局これって、作中でシロの「画」だけを撮ろうとしているテレビスタッフが揶揄的に描かれますが、それと次元において同じことを制作者自身がやってしまっているんではないの? [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-11-07 23:41:34) |
793. バッテリー
基本的に、ほとんどすべての登場人物の台詞が、頭が悪そうであるか、内心をそのまま言葉にしているだけかのどちらかなので、ドラマの広がりようがありません。主人公にとっての野球が結局何だったのかも不明。ただし、競技としての野球をできるだけ忠実に美しく撮ろうという最低限の意思は見受けられるので、点数はそこに対して。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-08-08 01:39:06) |
794. 笛吹川
《ネタバレ》 あれ、この映画デコちゃんが主演じゃなかったっけ?と中盤でふと思い出して、そこから映像を注視してやっと分かりました。しかし、意図的かと思うくらい役者には画面の焦点が当たらないし、しかも各シーンはやたらブツ切りで、なぜそんな方向性を目指したのかがまったく分かりません。また、作中では数十年くらい経過しているはずなのですが、その時の移りも表現されていません。その割に、やたらと「お館様」だけは連呼されているので、結局構想が宙に浮いたままになっています。終盤、染五郎の若い頃が存分に堪能できるところに3点。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-07-06 22:32:05) |
795. TOPLESS(2007)
《ネタバレ》 レズビアンの女の子たちのあれこれというふれ込みなのですが、照準は中心の1人に合っている感じです。ただ、周辺人物も含めて、何かを深く掘り下げるわけではなく、さらっと表面を撫でて終わってしまいました。ところどころ変に安っぽい映像(セット感がまる出しになってしまう)も気になりました。ただし、ラストの時制が飛んでからの2人を描いたシーンの切なさは秀逸で、こういう角度を駆使してもっと立体的に作ってほしかったと思いました。 [DVD(邦画)] 3点(2022-06-23 01:18:27) |
796. 旅立ちの島唄 ~十五の春~
《ネタバレ》 冒頭の部分でラストまでの展開が予想できてしまうわけですが、そのとおりの内容でした。いや、展開がオーソドックスで定石通りなのはよいのですが、登場人物には特に個性がありませんし、人物の間にドラマがあるわけでもありません。よって、主人公の単なる独白映像を見させられているような感じでした。点数は、南大東島というエリアにスポットを当てた功績に対して。クレーンで乗船する光景にはびっくり。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-06-06 02:21:27) |
797. 天使を誘惑
百恵・友和作品というのがにわかに信じがたいくらい、内容もなければ見ていて面白くもない。とりあえず苦労して同棲している2人のああだこうだがあるんですけど、各エピソードはただ流れ去っていくだけだし、制作者はこの2人をどう持っていきたかったのかも分かりません。しかも、その主人公両名がそもそも魅力的でも何でもないというのが、何でこのキャストでこうなってしまうのかというか・・・。●あとそれとは別に、結城しのぶのひどい使われ方にもびっくり。この人の映画出演は貴重なのに。●一方で、比企理恵の女優デビュー作(出番は一瞬ですが)としては大いに意義ありかも。 [DVD(邦画)] 3点(2022-05-26 00:18:52) |
798. 幕末
導入部の饅頭屋をめぐる事件のねっとりじっくりした描き方に、これはなかなか濃い作品になるかもと期待したら、映画はそこで終わっていました。勝海舟にしても、西郷隆盛にしても、後藤象二郎にしても、登場人物としても役者としてもほとんど「使い捨て」レベルであって、ただそのシーンだけ登場したというだけです。つまり、なぜその登場人物がそこにいるのかという洞察と必然性がないので、役者も演技のしようがありません。結果、そもそも竜馬がどういう人だったのかということも分かりません。ミスキャストがどうこうという以前の問題でした。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-05-14 13:32:27) |
799. ダウンタウンヒーローズ
山田監督は、中年とか壮年とか老年の人たちとか、あるいはせめてこれらと絡む立場の若者だと描写が生き生きするのに、対象が中高生以下になると途端にダメになるということがとてもよく分かる作品。役者としての力の差はあるだろうが、石田えりがその場に存在しているだけで他の全員を食ってしまっているというのが、すべてを物語っているのではないか。肝心の薬師丸ひろ子なんか、ほとんど空気だし。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-04-29 01:14:28) |
800. ソラニン
まずそもそも、バンドマンの彼がバンドマンに見えず、趣味でたまにバンドもやってる人にしか見えない(同じ高良健吾でも「フィッシュストーリー」ではバンドマン以外の何物にも見えなかったから、これはひとえに演出の腕の違いだろう)。それから、同棲と言っているのがただ「一緒にいるだけ」で、生活感もなければ、後の原動力となるはずの倦怠感や焦燥感も見当たらない。よって、物語が何も始まりようがないのです。役者がお仕着せの台詞を言わされているだけです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-04-27 01:01:55) |