101. 空気人形
《ネタバレ》 前半の意外なほどベタな展開から、後半の展開は驚き。きっと前半が予告編の全て。後半からがこの映画の真骨頂。 空気を抜いて、また入れて、というシーンにものすごく官能を感じました。 特に関わり合いの無い人物たちが出てくるのだけれど、きっと彼らは何か満たされないものを持っていて、それを代用している象徴が空気人形なのです。 空気人形が息絶えた時、その人たちは本当の自分を直視できたのかもしれません。 それにしても空気人形が腹を裂いて空気を口から入れるシーンや、ポリ袋に死体を入れるシーンなんかはぞっとするほど良かった。哀しいほどの愛情。 ちょっと雑な観は否めないけど、ペ・ドゥナがそれを補ったかな。 詩がかなり重要なファクターのようです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-30 23:41:55)(良:1票) |
102. ゆきゆきて、神軍
これを反戦映画と言って良いものか。何を題材にしたドキュメンタリーなのか。それは戦争でも何でもなく、奥崎謙三という人物そのものを題材にしたドキュメンタリーだろう。彼のしていることは戦争を根絶するための戦争とでも言うべきものであり、全く賛同することは出来ないが、カリスマ性というか人物そのもののいかんともしがたい魅力は有ると言わざるを得ない。確かにエクストリームなものは魅力的だが、それは所詮思想でしか有り得ないということもこの作品で同時に分かることなのである。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-24 18:01:42)(良:1票) |
103. A2
前作のような衝動というか、いい意味での雑さが無くなり、かなりスマートな作品になっています。森氏に余裕が感じられて、信者に投げかける質問も厳しくなっています。しかし身体ごとぶつかっていったような前作の方が重みがあったと思います。前作は荒木氏という人物に焦点を当てていましたが、本作は多くの指摘があるように、どこか滑稽さを強調している気がします。そして多数者の強さというものを改めて感じました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-24 17:46:58)(良:1票) |
104. ジョゼと虎と魚たち(2003)
《ネタバレ》 見終わって最初に思ったのは「意外と普通の恋愛映画だったな」ということ。悪い意味じゃないです。妻夫木演じるツネオはジョゼのことを好きになったわけだし、ジョゼも好きだった。障害者ということも含めて、一つの個性として好きになったんだと思う。しつこいほどのラブシーンはそれの表現じゃないかな? ただ最後にツネオは逃げた。さめたって程ではないけど…やはり「逃げた」が正しい表現だと思います。個性だった障害が重荷になったんだろうなぁ。実家に連れて行く、といいつつ「ひるんだ?」と弟に言われて無言で電話を切ったシーンがそれを象徴してるんじゃないかなと思います。確実にひるんでます。最後に元カノとヨリ戻している描写もあるし、ツネオを最低な男だなーって非難するのは出来るかもしれないけど、恋愛はさめちゃうこともあるんだなっていうこと。でも実際ツネオは最低だと思います(笑) ただそういういろんなことを自分で理解してるからこそ、最後彼は号泣するんだろう。あの涙は上手い。いろんな感情を爆発的に表現しています。 「結婚なんてあり得ない」とか言っていたジョゼ。「いつかは別れる時がくる」と思いながら、一時のデートを思う存分楽しんでいるジョゼ。覚悟を決めながら恋愛してたんだなぁと思うと悲しくなります。海で写真撮るシーンもどことなく顔が悲しそうだったのは、別れを予感したからかもしれません。「いつかあんたがおらんようになったら、迷子の貝殻みたいにひとりぼっちで海の底をコロコロコロコロ転がり続けることになるんやろ。」ってのもラブホで言ってたし、彼女の哀しいけれどそう考えなければ生きていけない人生観がにじみ出ていました。でも最後のシーンでは何となく希望が見えます。一つの恋愛を通して成長していく、という一種普遍的なテーマを変わった角度から眺めた良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-12 18:42:08)(良:1票) |
105. スワロウテイル
無国籍状態を規律しているのが音楽でした。charaは素晴らしいシンガーだなーということを再確認しました。 世界観をつくるためにここまで手のこんだことをするなんて驚きましたが、成功している部分もあり、失敗している部分もあり、という気がします。具体的に言うことは出来ないのですが、せっかく独特の世界観に浸っていたのに、どこかでハッと引き戻されてしまうようなシーンがたまにある気がします。 しかしこの映画の有り余る魅力は二時間半飽きることなく観させてくれました。ストーリーについては長くなるので言及しませんが、岩井俊二の映像ってのはやっぱり独特で好きです。 [レーザーディスク(字幕)] 7点(2009-07-09 01:16:26) |
106. 魔女の宅急便(1989)
世界観とマッチした音楽。ラストシーンというかストーリーの起承転結は他のジブリ作品と比べると弱い気がするけど、ほのぼのとした雰囲気がいいです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-03 01:10:14) |
107. ミステリー・トレイン
ジャームッシュはなんでこんなに日本人役者の使い方が上手いんだろう?個性的で魅力的で、ストーリーも練られていて、ユーモアがたっぷりで、好きなシーンは数えきれません。モノクロじゃないジャームッシュもいいものですね。 キスをしてタバコの煙を移す所と、口紅をつけてキスをした後の二人のシーンがお気に入りです。カールパーキンスー。 [DVD(字幕)] 7点(2009-06-27 22:48:45) |
108. 犬猫
「人のセックスを笑うな」を観てからこれを観たのですが、二作品目になると何となくこの監督の趣向が見えてきますね。 手すりから降りるシーンはほんと素晴らしい。こういう演出大好きです。こぢんまりさが逆に日常的で、間の長く見えるカット割りも効果的だったと思います。 映画らしい映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-18 20:26:00) |
109. 家族ゲーム
テーブルに横一列に並んで食事する家族というアイディアとラストだけで7点あげられます。あとは正直古さも目立つけど、80年代を感じられるという利点にもなっている…気がします。 シュールさは面白いし、何をしたいかも大体分かるけど、統一感が無かったかな。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-15 00:02:15) |
110. メゾン・ド・ヒミコ
けっこう好きです。コミカルで飽きることなく観られるし、様々な示唆に満ちていると思います。映画としての深みは、春彦とさおりのベッドシーンや、涙にあると思います。この監督は泣き所が上手いです。複雑な感情や心情が伝わってきます。 オダギリジョーと柴崎コウはとても良かったと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2008-08-03 00:13:21) |
111. 天然コケッコー
けっこう好きです。微妙な人間関係や青春、、思春期の心、人間の成長といったものが自然の中で繊細に描かれています。単純な恋愛でもなく、単純なハッピーエンドでもなく、甘酸っぱい感じだけをうまく残しているのが良いですね。 ラストシーンの時間の飛ばし方はとても上手いというか良かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-15 00:08:29) |
112. 虹の女神 Rainbow Song
切ない感じで好きです。雰囲気が岩井俊二です。主演三人が良いです。相田翔子の編は「女運が悪い」というのは実は「外見だけで人を判断する」からだということを強調する役割だったのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-25 00:20:04) |
113. いつか読書する日
理解できないシーンは多数ありましたが、昨今の高校生や若い男女の病気や安易な死、セックスを扱ったテーマよりもよっぽどリアリティと感情が伝わってきました。まさに「純愛」です。無表情の中の表情を見せる田中裕子素晴らしかったです。 しかしストーリーにやや無理な部分と、理解できない部分というか共感できない部分がありました。 [地上波(邦画)] 7点(2007-11-12 22:13:37) |
114. フラガール
《ネタバレ》 とてもあっさりとしていて、泣き所もあり、良質の映画だと思います。しかしやはり既出路線の感が否めないのは仕方ないのでしょうか。題材によるところがとても大きいと思います。松雪泰子、蒼井優、豊川悦司、富司純子が素晴らしかったです。ヤシの木のくだりは必要だったのかな? あくまで軽く表面をなでる程度にストーリーは進むので、炭坑とかの部分に深みを感じませんでした。そこがマイナスですが、全体としては良かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-07 17:45:41) |
115. 12人の優しい日本人
素直に面白かったです。特に笑い所はありませんでしたが…。キャラがわざとらしすぎるきらいはありますが、類型的な日本人像が有りました。ただ設定の面白さは本家のものなので、あとは脚本ですが、これも非常に良かったと思います。無理矢理な感じは否めませんが、なかなか意外な展開で楽しめました。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-31 20:13:16) |
116. そして父になる
多くの人間との関係を描くというよりは、中心となる人物のを巡るストーリーで、中心となるのが福山雅治だったのは残念と言うほかない。電車の中で「二人でどっか遠くへ行っちゃおうか」と母が言い、電車がトンネルへ入ったときのキュビスム的形象は最高だった。ラストシーンのクレーン撮影も美しい。 [映画館(邦画)] 6点(2013-09-29 23:27:18) |
117. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
評価が難しい映画は観た直後の点数を。 [DVD(邦画)] 6点(2013-07-16 23:22:47) |
118. 菊次郎の夏
いい音楽ですね。これはタイトルが全てです。 [DVD(邦画)] 6点(2013-06-16 15:10:28) |
119. リアル 完全なる首長竜の日
要するにRPG、現実と虚構の交錯は黒沢清の長年のテーマ。どこまでうまくいっているかは微妙だとしても、一貫した作家性を感じる。明らかに作為的。 [映画館(邦画)] 6点(2013-06-10 23:07:29) |
120. SR サイタマノラッパー
ラッパーの話なのに肝心のラップを聞き取りづらかったのが痛い。かなり良くなりそうで、結局ならなかった。みひろの使い方や仲間たちとの関係など消化不良が目立ったが、めがねも帽子もヘッドホンも取り去った主人公の赤裸々さのような、恥ずかしいまでの純粋さ、とはいえ自分でもそれに無理があることはうすうす感づいている(何しろバイトを始めたくらいだし)後ろめたさのようなラストの場面は非常に良かった。日本版8マイル? 悪くない映画だ。 [DVD(邦画)] 6点(2013-02-12 23:23:25) |