161. 男はつらいよ ぼくの伯父さん
《ネタバレ》 2度目のコロナで迎えるGWは、寅さんで始まった! 選んだ映画は「ぼくの伯父さん」! 自分の青春とも重なって、涙でいっぱいになって、大笑いをしました。 渥美清は天才です!間違いなく! [ビデオ(邦画)] 8点(2021-05-01 02:08:58) |
162. 夜の女たち
《ネタバレ》 田中絹代、汚れ役である。 メガホンをとるは、溝口健二。 先に小津さんの「風の中の牝鶏」や溝口の「歌麿をめぐる5人の女」を見てたので、デジャブがある。 ここでの田中は、メソメソしない。 居直って、他の猛者たちとも渡り合うし、収容所からの脱走までやってのける。 田中絹代の集大成のひとつ「西鶴一代女」にわたる流れである。 それにしても、この映画の田中の髪型。 まさしくサザエさんである。 小生、サザエさんのモデルも田中絹代ではないか、と睨んでる。 [DVD(邦画)] 7点(2021-04-25 23:36:58) |
163. 夢みるように眠りたい
《ネタバレ》 謎の依頼からはじまる。 これは未完の映画を終わらせるというタイトルにつながるとこがいい。 謎・・といえば、昔、学研やらなにやらで 謎の正体をあばいたような、おもしろ博物大百科みたいな 子供向けの本があったが、この映画もそのイメージだった。 ディテールとか、小物とか、 (日本的な)謎めいたものが多く、楽しかった。 観終わった後、古本屋に行きたくなった。 [DVD(邦画)] 7点(2021-04-25 12:51:57) |
164. 博士の愛した数式
《ネタバレ》 小泉・寺尾コンビの第3作。 どの作品も共演する女性がいいが、ここでは深津が光っている。 健康的で、まぶしいくらいのお母さんを好演している。 その深津に対する寺尾の純粋さがまたいい。 80分間の記憶というのは、くどい設定だと思ったが、 観てるこちらが不愉快にならないくらいの抑えた演出で良かった。 受験の頃の数学の楽しさを思い出した。 また寺田の鉄則本でも買って、解いてみようかな(笑)? [ビデオ(邦画)] 8点(2021-04-04 21:00:17) |
165. アルプススタンドのはしの方
《ネタバレ》 大まかなストーリーは、野球観戦で熱くなった観客が 自分らの本音もさらけだし、友情を獲得するという話である。 最初は明るかった「仕方ない」女子は、展開がひっ迫していくにつれ、 無理だよ、とかマイナス的なことをつぶやくのが印象的である。 この子が最後、試合の熱戦の中で、仕方ないことはない、もう一度、 演劇部の大会に挑戦する、という成長話がベースである。 傑作! [DVD(邦画)] 7点(2021-04-03 22:47:56) |
166. 歌麿をめぐる五人の女(1946)
《ネタバレ》 狩野絵師が浮世絵師に惚れこむという着想がいい。 その後、田中絹代などの女たちの男をめぐるバトルがあるのだが、 ラストは、壮絶な"おきた"の女の生きざまを 歌麿が絵にするところで終われば、良かったのだが・・ それを画面に映し出してくれれば、もっと良かったなぁ・・ 「美しき諍い女」もそうだが、絵を題材にした作品で、完成した作品を 画面に出す作品はない。 音楽なら「蜜蜂と遠雷」があるのだが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2021-04-03 02:52:18) |
167. 一度も撃ってません
《ネタバレ》 最高! これは阪本順治ワールドを楽しめるかどうかで、評価が分かれると思う。 チャンドラー風ハードボイルドの世界を彼がどう料理したか・・ チャンドラー風だから、派手なアクションシーンがないのは当然。 しかしここに阪本順治のツボがどう収まるかが最大の見せ場。 そして、それがあのバーでのにらみ合いになるのだ。 どんなジャンルにも、阪本順治のセンスが光る。 スゴイです! イブモンタンの真夜中の刑事、観た~い! 某レンタル屋の発掘良品でやってくんない? [DVD(邦画)] 9点(2021-03-13 17:03:06) |
168. 寝盗られ宗介
《ネタバレ》 こりゃ、落語だね。 成金親父のドラ息子が、親父の死ぬ前に結婚式をあげるという、簡単な話。 しかし、嫁が一筋縄でいかない。 原田芳雄演じる座長に惚れていながら、別の男と次々関係もってしまう、 素直になれない色気たっぷりの女性を藤谷美和子が演じる。 さぁ結婚式が始まった! 新しい間男と行ってしまった、藤谷演じるレイコは、果たして式場に来るのか!? スリル満点の結婚式の場面。 原田芳雄ショーも炸裂!愛の賛歌の場面は、こんな凄い俳優が日本にいたのか?と度肝を抜かれる。 結末は?・・言わない(笑) 是非、本編を観ましょう♪ [ビデオ(邦画)] 10点(2021-03-10 23:47:00)(良:1票) |
169. ラストレター(2020)
《ネタバレ》 岩井俊二らしさがよく出てた。 さわやかで、それでいてヒリヒリと・・ 初恋の傷に、塩を塗り込むように、ヒリヒリと・・ でもそれを女性全部で受け止めるといった感じ。 「Love letter」のさわやかさと「スワロウテイル」のヒリヒリさ。 なんて新人が現れたろうと思ってたら、その二面性を保ったまま、 どんどん新作を発表していく、不思議な感じの作家だ。 「リップヴァンウィンクル」てドンと構えたかと思ったら、 本作で、またさわやかな風を吹かしてくれた。 本当に次回作が楽しみです。 [DVD(邦画)] 10点(2021-02-20 03:06:00) |
170. 大怪獣東京に現わる
《ネタバレ》 CGでリアルな怪獣映像があふれるなか、 怪獣がまったく画面に登場しない、怪獣映画があった~! 東京や日本各地が怪獣被害で無茶苦茶になるなか、福井のある地方の町では、 町民が勝手に興奮して、みんな感情が燃え上がるというお話。コメディですね。 最後は原発問題にまで触れ、令和の今では、多分再評価されにくい映画ではあるが、ストーリーとしては面白い。 これってコロナで都会が騒然となってるときに、意外と田舎の方では、 日本おしまいじゃねって盛り上がってたのかな、とか・・ (まぁ俺も中都会だから、何も言えないか・・失笑) [ビデオ(邦画)] 7点(2021-02-12 00:03:01) |
171. その日のまえに
《ネタバレ》 大林さんらしい、ファンタジックな映像世界。 死と乙女は、大林さんの世界では、よく扱われるテーマ。 大林演出がスピード感を増して、伸びやかになってくる頃である。 続く「戦争3部作」への予感が十分に感じられる。 乙女のようなお母さん、永作博美。 子どものような青年のお父さん、ナンちゃん。 初恋のまま、夫婦になったような二人である。 そこに宮沢賢治の世界が被さる。 最後は、汽車が空を飛ぶかなぁと思いましたが・・(笑) [DVD(邦画)] 7点(2021-02-08 00:46:38) |
172. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 戦艦大和の模型を作っていると、必ず驚かされるのが、 側面の機銃の多さ。 この映画は、その機銃部隊の話である。 小さい頃、戦艦大和に誇りを持ち、そしてその最期に、皆、ショックを受ける。 帰りの燃料のない旅に出る、そのドラマを丁寧に見せる。 飛行機の時代と分かっていたのに、どでかい戦艦を作ってしまう日本という国。 戦闘シーンは、なぶり殺しの感すらある。 アメリカはそれにしても、やりすぎっちゃ。 P.S.戦艦大和のどでかい模型を使った映画は、ほかに「連合艦隊」。 こちらは、さだまさしの唄が心に刺さる。 [DVD(邦画)] 7点(2021-02-06 20:44:05) |
173. 明日の記憶
《ネタバレ》 泣きました。ホントに・・ 前半1時間は、病気が発症してから、仕事についていけなくなるという サスペンスタッチ。 娘との結婚式のスピーチで、クライマックスを迎えます。 一転、後半は、家族との静かな病気との生活が始まります。 そして奥多摩での妻との思い出の陶芸教室での幻想体験。 そして妻が迎えに来るのですが、そこでとうとう最愛の妻さえ忘れてしまうのです。 その時の樋口可南子の静かな嗚咽。 もう泣きました・・ 純愛映画としても記憶に残る映画でした。 [DVD(邦画)] 8点(2021-01-31 19:28:00) |
174. 罪の手ざわり
《ネタバレ》 中国に急速に入ってくる欧米文化。 その文化同士の衝突による化学反応をジャジャンクーは、描く。 でも考えてみれば、日本もそうなんだよね。ただゆっくり入ってきたから、 こんなに分かりやすい反応はしなかっただけで・・ 「世界」ではテーマパークを、「長江哀歌」では都市開発によるダムなどの環境の変化を、 ジャジャンク-は、中国のとまどいをクローズアップして描いてきた。 この作品は、欧米の銃やジャックナイフなどの武器、企業経営による雇用される側の非人間的対応を迫られる辛さ、それらを4編のオムニバスで描く。 最後、罪を犯した女性が中国歌劇の「罪を認めるか」と言う歌を聞くシーンは、こういう金による支配、欧米のハンディな攻撃武器がなければ、女性は罪を犯したか?という問いを監督は言っているのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2021-01-30 22:59:14) |
175. 水の声を聞く
《ネタバレ》 イカサマ宗教の破滅を描いている。ラスト、教祖の女性がヤクザに暴行受ける場面などあり、不快な気持ちになった。集中して観ることができなかったが、済州島の歴史など描かれており、ただの破滅映画ではないのかも・・。 教祖の女の子が段々正義に目覚めていく過程など、集中して観れば、また感想が変わったかも・・。 ラストの後味の悪さは、本当に人生分かったうえで表現しているのか、映画の見すぎで安易に思いついたのか、一度キネ旬の評論を読んでみたい。 [DVD(邦画)] 7点(2021-01-30 22:55:44) |
176. よこがお
《ネタバレ》 女性の復讐ものである。 しかし、悪いのは男性ではない。 女性である自分を好きになってしまった女性への復讐である。 そこが新しいところである。 筒井真理子が好演してる。 今まで地味で、ノーマークだった女優だが、 普通のおばさんがちょっとしたことでどん底に落ちていき、 そこからの演技が凄まじい。 もうベッドシーンあり、犬になったり、 それはもう女優魂だろう。 面白かった。映像技術があがって、 こんな地味な素材でも、観客が集中できる絵に仕上がってる。 [DVD(邦画)] 7点(2021-01-30 22:47:20) |
177. 海よりもまだ深く
《ネタバレ》 是枝監督作品の中でも好きな作品だ。 何より、小説家志望のくたびれた男(阿部寛)に共感できるし、 彼の家族(樹木希林もまた!)の話す台詞が、とても心地よく刺さる。 いつもの是枝時間の中に、今回は台風という時間が入ってる。 「歩いても歩いても」と似てる映画ではあるが、両作とも好きだ。 リリーフランキーもいて、是枝組、真骨頂である。 [DVD(邦画)] 8点(2021-01-30 22:19:14) |
178. 空気人形
《ネタバレ》 是枝監督は、静かな映画をつくる監督だ。 その静かな映画でできる素材を常に探している感じだ。 今回のは、静と俗。 セックスドールが心を持ち、世界の美しさに触れ、恋もする。 そこで失恋の気持ちも味わい、 「ココロヲモツコトハセツナイコトデシタ」とつぶやく。 東日本の前の作品で、日本全体が、閉塞感で心を失っている頃の作品で、 まさに時代の作品だと言える。 今の子たちには分からないかもしれないが、オジサン連中には 心に沁みる映画です。 心を持ったセックスドールが、恋した相手を殺してしまうことで、 また心を手放す・・・?というか、あまりラストに意味は感じなかった。 でも「エクスマキナ」も同じような素材の映画だが、 アメリカの作品は、結末が荒いし、是枝さんの作品がはるかに上と思った。 [DVD(邦画)] 8点(2021-01-23 17:28:32) |
179. メゾン・ド・ヒミコ
《ネタバレ》 少女とゲイの友情を描いた映画・・・昔観た「非バランス」という映画を思い出した。 まぁそれは置いといて、ゲイのやさしさは、無防備な少女と相性がいい。 しかし、やさしいゲイたちは、実は現実の過酷さに向き合えない。 それが施設の一人が脳卒中になったときにあらわれる。 柴咲コウは、そんなやさしいゲイ演じるオダギリと寝る機会がある。 しかしその時の一言「触りたいとこ、ないんでしょ」 その後、身勝手な男の専務に抱かれるが、彼女の涙が意味するものは・・ ゲイのエゴと、女を食い物にする男のエゴ。 この両者を経験する柴咲演じる女性の涙は、一体・・ ダレがちな展開を、母親の写真の謎で引っ張る。 商業映画を巧みにこなす犬童監督の巧さである。 (それにしても侍のような田中泯が伝説のゲイバーのママとは・・) [DVD(邦画)] 7点(2020-12-27 20:13:55) |
180. ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う
《ネタバレ》 漫画家でもある石井隆監督の最高傑作だと思う。 そして竹中直人の魅力をここまで引き出した作品もこれが最高! 俳優は名が売れてくると、探偵役か刑事役のシリーズものを背負うのだが、 竹中の場合、代行屋だった。 前作も切なかったが、本作の方が竹中の味が思う存分引き出せてたと思う。 クライマックスで薄幸の女性、レイの怒りの最期を見届けたのが、 代行屋の竹中だった。 石切り場でのアクションは、哀しさすら感じさせる名場面である。 もう最後はエロスを超えて、宗教画の世界である。 代行屋の再生に女刑事の手弁当と猫だったというのが、なんと優しい。 (石井さんの作品には「ナミ」が出てくるのが多いが、本作にもチラリと名前が出ているのが嬉しかった) [DVD(邦画)] 9点(2020-12-26 19:18:13) |