1. カオス・ウォーキング
《ネタバレ》 西暦2257年、ここは地球から遥か遠くに浮かぶ、未開の植民地惑星。この地を人が住めるように開拓しようとやって来た先遣隊は、この星の原生生物の反撃に遭い、壊滅的な打撃を受けてしまう。そればかりか、男たちは自らの考えた思考が映像となって見えてしまう謎の現象「ノイズ」に悩まされていた。原生生物によって女がすべて皆殺しにされてしまったこの星で生まれ育った青年トッドは、そんな男社会の中で鬱屈した日々を過ごしていた。そんなある日、なんと地球からやって来たと思しき宇宙船が近くに不時着するのだった。そしてその宇宙船の生き残りの中には、彼が生まれてから一度も見たことのない〝女〟がいたのだった――。ヴァイオラと名乗る彼女は、トッドをはじめとする男たちの思考が丸わかりになるノイズに戸惑いながらも、地球に帰る道を探り始める。そんな彼女を執拗に捕らえようとする村の首長。トッドは彼女のために二人で村を逃げ出そうとするのだが……。男の考えていることがすべて映像となって見えてしまう謎の星を舞台に、未来を求めて走り出した男女をダイナミックに描いたSFアクション。今もっとも勢いのある若手俳優トム・ホランドとデイジー・リドリーが初共演ということで今回鑑賞。いやー、久しぶりにきましたね、こーゆー設定勝負の出オチSF。『ハンガー・ゲーム』が大ヒットして以来、一時期大流行りしていたこのタイプの映画って、とにかく荒唐無稽な設定を勢いとお金だけを大量に掛けたCG映像とで強引に見せ切るのが常。ただ、本作はそんな勢いもないし、お金もそんなにかかってなさそうだしで、正直イマイチな出来でした。本作の最大のウリは、男の考えてることが女に丸わかりになっちゃうという日本のライトノベルなんかにアリがちな設定。童貞男子が大喜びしそうな、「僕のこの好きという気持ちをあの娘に伝えたい!でも、そんな勇気もないし、フラれるのも嫌だし、なんか僕の想いがあの娘にいつの間にか勝手に伝わったら良いな。ついでに僕の日々考えてるエッチな妄想も伝わっちゃって頬が赤くなったりしたら、なんかもう……ヒャハ!」というこの設定も、イマイチうまく使いこなせていないような。ここら辺、やはり日本のラノベの方が上ですね。またここまで大風呂敷を拡げといて、最後は二つの村同士の小競り合いみたいなんで終わっちゃったのも肩透かし感が半端ない。それに、あの途中で出てくる原生生物も何のために出したのか分からないくらい中途半端に退場してしまったのも残念。まあ簡単に言うと、さして面白くなかったです。 [DVD(字幕)] 4点(2022-04-07 07:00:48) |
2. アニー・イン・ザ・ターミナル
《ネタバレ》 地下鉄構内にあるカフェレストランでウェイトレスをしながら、裏社会では殺し屋として暗躍するセクシーダイナマイトな女性、アニー。彼女の復讐劇をスタイリッシュに描いたクライム・サスペンス。主演を務めるのは『スーサイド・スクワット』のハーレクイン役で鮮烈な印象を残してくれたマーゴット・ロビー、他にもサイモン・ペッグやマイク・マイヤーズなどけっこう有名どころが脇を務めております。なんですけど、これがまあ近年稀に見るダメ映画でありました。会話中心で進む前半が死ぬほど退屈で、無駄に時間軸をいじくってるもんだからからストーリーが分かりにくいことこの上ない。きっと監督はタランティーノを意識したんだろう(S・ペッグとM・ロビーのレストランのテーブルでの会話劇なんか、まんま『パルプ・フィクション』ですし)けど、残念ながら才能が全く追いついていません。もう最後まで眠気をこらえるのに必死でした。そして最後に明かされる真相も正直よく分かんないですし。てか、どうしてアニーは双子である必要があったの??見どころと言えば、ネオンを多用した見るからに胡散臭い世界観と、ナース服やポールダンサー、ウェイトレスやSM女王様などに扮したマーゴット・ロビー嬢の華やかなコスプレ七変化くらい。それ以外は見るも無残な結果になってしまってます。久々に、観るだけ時間の無駄と断言できる、どうしようもないクソ映画と出会ってしまいましたわ。 [DVD(字幕)] 3点(2019-05-27 22:53:36) |
3. ジャッキー ファーストレディ 最後の使命
《ネタバレ》 ケネディ大統領暗殺直後のドラマを妻の視点から描いた作品。ジャッキーの愛称で親しまれたケネディ夫人役にはナタリー・ポートマン。なんか実話を基にした映画のダメな部分が前面に出た作品でしたね、これ。実話というのは得てして面白くないもので、映画はそれを如何に面白く見せるかが監督の腕の見せ所なのにこれがさっぱり面白くなってない。時間軸をバラバラにするという工夫が凝らされているものの、これが全然効果を発揮していない。それに暗殺直後の頭を吹き飛ばされたケネディ大統領をうつすとこなんて悪趣味さの方が際立ってしまってます。うーん、4点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-07-13 23:11:55) |
4. アサシン クリード
《ネタバレ》 なんかよく分かりまへんでしたわ、これ。ゲームが原作なんですね?豪華キャストに惹かれて鑑賞してみたのですが、なんか独り善がりな設定やらストーリーやら続出で最後まで観るのが苦痛でしかありませんでした。まあ映像はぼちぼち迫力あったのでおまけの4点で。あと、どうでもいいことなんですけど、エンドロールが15分近くあったのはびっくり!!恐らく僕が観た中では過去最長なんじゃないでしょうか。ゲームの権利関係?それか物凄くたくさんのスタッフたちが関わった作品だったのかな?で、この出来(笑)。 [DVD(字幕)] 4点(2018-04-13 22:55:33) |
5. ラ・ラ・ランド
《ネタバレ》 映像や音楽のセンスが凄く良かったです!!ただお話的には普通かな。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-09 19:50:08) |
6. ボーダーライン(2015)
《ネタバレ》 メキシコ国境地帯で凶悪な麻薬組織と日夜命がけの攻防を続けているFBIやCIAの姿を描いた社会派アクション。監督は重厚でリアルなサスペンス描写に定評のあるドゥニ・ヴィルヌーヴ、男勝りの主人公を演じたのはエミリー・ブラント、そして一癖も二癖もありそうなベテラン捜査員を演じたのはベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンという二大個性派俳優。とにかく全編に漲るこのただ事じゃない緊張感には素直に圧倒されました。冒頭の敵のアジト襲撃シーンに始まり、アメリカ・メキシコ国境で突発的に起きるリアルな暴力描写、捕まえた組織の人間を容赦なく拷問にかけるような先輩捜査官に必死に抵抗する主人公の葛藤、どれも満足のいく見事な出来栄えだったと思います。特に野獣のような狂気性を内に秘めたベニチオ・デル・トロの他を圧倒する存在感は凄かったです。ただちょっと残念だったのは、クライマックス。このデル・トロ演じる〝暗殺者〟が組織のボスを殺すためにアジトに忍び込むのですが、その過程がけっこう簡単に行きすぎるのがいまいちリアルさに欠けるかなと。ボスのアジトなんだから、さすがにもっと厳重な警備がされていると思うのですが。とはいえ、なかなか見応えのある作品でございました。7点! [DVD(字幕)] 7点(2017-07-05 21:52:53) |
7. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 イニャリトゥ監督の渾身の力作。とにかく映像が素晴らしい。どこまでも拡がる雄大な大自然と凍てつくような雪の大地。そこで繰り広げられるちっぽけな人間たちの醜悪でありながらも力強い生命力に満ちた愛憎劇。本作で念願のオスカーを勝ち取ったディカプリオも、息子の仇を鬼気迫るような執念で追う父親役を熱演していて見事だった。個人的には前作の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の方が好みではあるのだが、こちらもなかなかの良作であった。 [DVD(字幕)] 7点(2017-06-12 00:02:04) |
8. リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン
《ネタバレ》 1983年、世界中から様々な人々が集う人種の坩堝ニューヨーク。独自の習慣と閉鎖性に支配された中国人たちの街チャイナタウンには、今日も本国から色んな人々が夢を求めてやって来る。幼いころに中国から越してきた不法移民の子サニーとスティーブンは、ずっと兄弟同然で過ごしてきた幼馴染みだ。だが、ふとしたきっかけで、彼らはその地で警察よりも強大な権力を有する凶悪なギャング組織〝青龍(グリーン・ドラゴン)〟の一員となるのだった。麻薬密売、レイプ、拷問、殺人…。何でもありの無法者集団の中で過ごしてゆくうちに、2人は一人前のギャングへと成長してゆく……。生々しい暴力が渦巻く80年代のチャイナタウンを舞台に、生きるために犯罪者とならざるを得なかったそんな青年たちの青春をエネルギッシュに描いたクライム・ドラマ。大御所マーティン・スコセッシが製作を務めたくらいの情報のみで今回鑑賞してみました。さすがスコセッシ御大が絡んでるだけあって、なかなか見応えのある骨太のギャング映画に――幾分か問題があるとは言え――仕上がっていたと思います。実話を基にしていることもあり、いつ殺されてもおかしくないような狂った世界に生きるギャングたちの、まるでこちらまで汗の匂いが漂ってきそうなほどの生々しい迫力には素直に圧倒されました。中華料理の脂っこい臭いや麻雀牌が掻き回される雑多な音が充満する街の中で、餓えた野犬のように生きる男たちの生き様は観ているだけで火傷しそうなほど。全編に漲るこの熱量はなかなかのものでした。ただ、実話を基にしたからなのか、お話がけっこうごちゃごちゃしてて、いまいち分かり難かったのが本作の欠点。具体的に言うと、登場人物がやたらと多いうえに彼らが組織内でどのような立場で誰とどういう関係にあるのかいまいち理解しづらい。なのに、お話自体はどんどんと進んでいってしまう。途中、僕は何度か置いてけぼりを喰らってしまいました。映画として、これは大きなマイナス・ポイントと言わざるを得ないでしょう。もう少し丁寧な演出を心掛けてほしかった。ほとばしるような生命力を感じさせるエッジの利いた演出は凄く冴えていただけに残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2016-07-08 21:33:37) |
9. アイアン・フィスト
《ネタバレ》 舞台はいつの時代かすら分からない、悪党どもが群雄割拠する中国の山村。X刀(X-ブレイド)という男が、父親を裏切り無残にも殺した男・銀獅子へと復讐を果たすため、村へと帰ってくる。迎え撃つ銀獅子も、身体を自由自在に鋼鉄へと変えられる殺し屋を雇い、さらには金塊強奪計画をも進めていた。そこに、様々な思惑を抱えた個性豊かな男や女が絡んでき、まさに無国籍な何が出るか分からない闇鍋のような濃ゆ~い世界が展開されていく。ラッセル・クロウ&ルーシー・リュウが出演、タランティーノが絶賛していた(?)くらいの情報のみで鑑賞しちゃいました。いやー、くだんなかったっすね~。個人的に、こういう中国の古臭いカンフー時代劇ってあんまり好きじゃないんで、最後までいまいち乗り切れなかったっす。つーか、いくらなんでも、ちょっとお馬鹿過ぎますね、これ。まるで中学生が学校の休み時間に考えたようなキャラクターがてんこ盛り(笑)。それに誰が主人公なのか最後までよく分かんないから、クライマックスも誰に肩入れすりゃいいねん!って感じでした。突然ですが、もうすぐ消費税増税(本日2014/3/27)ってことで、ゲオで買い溜めならぬDVDの借り溜めしたせいで、今週は仕事も忙しいってのにやたらと映画を観なけりゃいけない羽目に(泣)。というわけで、いま、この映画を「アホな映画やで」と非難できる立場かぁって自己突っ込みを入れつつ、ヘロヘロになりながらこのレビューを書いております。あと4日で5作品…。我ながら、アホだ~(笑)。 [DVD(字幕)] 4点(2014-03-27 00:17:15) |
10. クラウド アトラス
《ネタバレ》 1849年、太平洋諸島、奴隷商人の青年がひょんなことから一人の迫害された奴隷を助けようとしていた。1936年、ケンブリッジ、同性愛者の青年が高名な老作曲家の指導のもと荘厳な楽曲を書き上げようとしていた。1973年、サンフランシスコ、正義感の強い女性ジャーナリストが原発を巡る醜聞をスクープしようと奮闘していた。2012年、ロンドン、冴えない編集者が借金のせいで悪辣な老人ホームへと監禁されようとしていた。2144年、ネオ・ソウル、クローン人間の少女が自由と愛を求めて立ち上がろうとしていた。崩壊後、106度目の冬、悪魔の幻影に脅かされる男は一人の女性を女神の神殿へと案内しようとしていた。輪廻転生をテーマに、一見、全く関連性のなさそうな6つのお話が同時並行的に描かれる壮大な群像劇。ほとんど予備知識もないままに観始めたのですが、複雑怪奇なそんな世界へと圧倒的な映像美と壮麗な音楽とで観客をぐいぐい引き込む冒頭部分から、「これはもしかしたら凄い映画になるかも!」といやが応にもテンション上がっちゃいました。綿密に考え抜かれて構成されたであろう編集は本当に見事で、3時間という長い作品なのに最後まで退屈させずに一気に見せ切るこの監督たちの手腕は素直に素晴らしいと思います。トム・ハンクスを初めとする実力派の役者陣が織り成す、怪演といってもいいくらいの芸達者ぶりにも楽しませてもらいました。ただね~、ここまで大風呂敷を拡げたお話をどう纏め上げてくれるのだろうとワクワクしながら観ていたら、「え、これで終わり?」というラストを迎えてしまい、ちょっぴり肩透かし感は残念ながら否めなかったですね、これ。最後、クラウド・アトラス六重奏が荘厳に鳴り響き、6つの物語が互いに共鳴しあう、壮大なラストを期待してたんだけどなー。うーん、なんとも竜頭蛇尾。とはいえ、この唯一無二とも言えるスタイリッシュで壮大な世界観には素直に圧倒されました。よって7点! [DVD(字幕)] 7点(2013-11-28 08:37:50) |
11. グリーン・デスティニー
《ネタバレ》 アン・リーって監督はつくづく何を撮っても上品になってしまう監督なんだなぁと改めて思った作品。ワイヤーアクションを多用したカンフー(?)アクション映画なのだけど、雰囲気はとっても女性的で繊細。それがその後の「ハルク」で見事に失敗してしまったのだけれど、この作品ではそれが大きな魅力になっている。アジアの泥臭いアクション映画とは一線を画する美しい作品だった。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-25 23:37:32) |
12. ラスト、コーション
《ネタバレ》 これはとても深い映画。女の魔性と男の愚かさをここまで大胆に描出した映画を僕は他に知らない。どうして女が男を狂わせるのか、そして男は暴力をふるってまで女を支配下におこうとするのか、そんな男と女の普遍的な駆け引きが大胆でありながら何処かに上品さをも感じさせる過激な性描写と共に描き出されていく。支配と被支配、復讐と赦し、サディズムとマゾヒズム、感情と肉体、そして憎悪と愛情。疑心暗鬼と肉欲と情愛が複雑に交差する、男と女のそんな深遠な世界へとアン・リー監督はスリリングに迫っていく。最後、極限状況下で女が男にかけた「逃げて…」という言葉は、人間の本能が搾り出した、まるで光り輝く宝石のように美しいものだった。やっぱり女って光り物に弱いんだよねぇ……。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-25 23:11:20) |