221. レ・ミゼラブル(1998)
《ネタバレ》 いえ、全編を映像化するなんて到底不可能だと分かってるんですよ。原作は、「ファンティーヌがコゼットを妊娠するに至った経緯」だけで1章使ってるような話なんですから。で、見始めて、ファンティーヌ逝去くらいまでは、まあ何とか真面目に筋を追っているなあと思っていたのです。ところが、コゼット救出劇あたりから、物凄い勢いで進んでいく。というか、ほとんど別物の話になっている。(1)テナルディエの登場が、あの宿屋の1シーンだけだなんて!意味ないやん!(2)マリユスが全般的に弱っちすぎ、というかアホすぎ。コゼットがどこに惚れたのか分からん。(3)バルジャンがコゼットに自分の過去を滔々と語ってしまうなんて、それはやっちゃいかんでしょ。全部の罪を黙って自分1人で背負うという覚悟こそが、彼のアイデンティティなのに・・・。(4)革命の描写がしょぼすぎ。ちっとも民衆の威力が炸裂しているように見えない。それと、革命軍メンバーも、アンジョルラスはじめ幹部連の気高さと誇り高さがあってこその感動なのに、あれはその辺の武装オタクレベルです。(5)バルジャンに解放されたジャベルが、すぐに任務に戻って再びバルジャンを追い続けるなんて、脚本家はあの解放の重さと意味を分かってるのか?(6)下水道のマリユス救出は、それをバルジャンが行ったことを誰も知らずラストまで行くところに意味があるのに・・・。これでは、原罪もなければ救済もありません。(7)というわけで、ジャベルが入水して爽やかな笑みを浮かべるバルジャンに至っては、「何じゃそりゃ?」の世界なのです。 [DVD(字幕)] 5点(2015-04-20 02:30:18) |
222. サブウェイ123 激突
《ネタバレ》 デンゼルとトラボルタの個人技による会話の応酬だけでそこそこ楽しめるので、その点でオリジナルより上。しかし、しつこいくらいの細かいカット割やコマ送りは、何でそうする必要があったのか分からないし、終始目障り。あと、デンゼルの収賄の告白、あれは私は実際にもデンゼルはシロであり、ただ人質を殺さないためにあえてその場を取り繕ってでっち上げたものと思っていたのですが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-04-13 01:39:56) |
223. ワイルド・ギース
せっかく個性的なキャラクターを揃えたはずなのに、個々の描き方が凡庸で、ただ目前の課題に大騒ぎしているようにしか見えない。なので、いくら後の展開をひねってきても、それが生かされてきません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-02-09 23:04:22) |
224. ミニミニ大作戦(2003)
ノートンやステイサムが粛々と堅実に脇役をやっていて、突出した出番がさほどないのが良い。こういう地道な仕事こそ、豪華キャストの威力を際立たせる。マーク・ウォールバーグが一見普通の人っぽいのも、かえってプロフェッショナル性を感じさせる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-01-11 02:39:17)(良:1票) |
225. ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇-
《ネタバレ》 どうも全体的に描写が浅いし、照明や美術関係も安っぽいなあと思って見ていたら、これってもとはテレビ放映用の作品だったんですね。しかし、個々の選手の思考や背景にほとんど切り込んでいないこの脚本の浅さは、やはり問題ではないでしょうか。また、サッカー選手を素材としていながら、サッカーのシーンがほとんどないというのも問題で、試合の再現はエキストラの準備なんかが無理だったんだろうなあと思いつつ、それなら練習のシーンくらいはもっと真剣に撮るべきじゃない?とも思います。結局、ダイジェスト版の再現ビデオを見たような感じでした。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2015-01-05 02:45:39)(良:1票) |
226. クレアモントホテル
設定からしていかにも安直なんだけど、中身の方もやっぱり安直。登場人物の背景となるべき人生が作り込まれていないので、いくらそれっぽいやりとりをしても、台本をそのまま読んでいるだけにしかなっていない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-12-11 01:17:21) |
227. プレステージ(2006)
ノーランのオタク魂全開の作品。中身やディテールがどうのこうのというより、この窒息しそうなほど濃厚に凝縮された空気感が、オタク。 [DVD(字幕)] 7点(2014-11-10 02:10:38) |
228. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
俳優陣の皆様は、「歌の練習」と、「歌いながら演技をする練習」と、「振付の練習」をもう少しするべきでした。 [DVD(字幕)] 5点(2014-11-03 01:05:22) |
229. 汚れなき情事
《ネタバレ》 閉鎖的な女子校の中に潜む感情や思惑のぶつかり合いというテーマにはなかなかそそられるが、どうも突っ込み不足の印象を受ける。特に、日常的な一幕に見え隠れする官能性みたいな描写にあちこちでトライしているのは分かるが、元の人格設定が不十分なので、かえって上滑りになっている。あと、学校を舞台とするなら、その基礎として、授業やその他必修項目(この場合、礼拝とか)の描写はきちんとするべきでした。対外試合云々という象徴的伏線の残し方は品があったので、+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2014-10-27 01:38:39) |
230. ジャッカルの日
《ネタバレ》 ひたすらターゲットに向けて一歩一歩進んでいく暗殺者と、それを地道にじわじわ追っていく捜査官。その構造だけで、中途半端な盛り上げを入れずに最後まで通した構成は潔いが、それならば知能戦的な部分はもっと見たかった。この描写だと、能力に優れたから対決やバトルが生じたというよりも、互いに相手の抜けている部分に助けられたように見えてしまう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-10-19 02:58:12) |
231. ソフィーの選択
《ネタバレ》 最初に見たときは、現在の妙な三角関係の描写ばかりで話が前に進まないとか、ケビン・クラインが1人で切れすぎではないかとかいろいろ拍子抜けした部分があったのですが、よく見てみたらとんでもない。あの三角関係の中にこそ、ソフィーが背負ってきたものの重さが全部に滲みまくっているということが今頃になって分かりました。ネイサンはひたすら自己中心的でコミュニケーション不全なのですが、解放後に魂を抜かれたような状態になっていたソフィーとは、きっとお互いに同じものを感じ合ったはず。そうすると、ケビンの切れ具合も必須の描写であったことが分かります。また、一気に話を飛ばすことなく、一枚一枚薄紙をめくるように明かされるソフィーの過去も、強力な現実性をもって迫ってきます(「嘘をつきすぎてどれが本当か分からなくなった」というソフィーのさりげない一言が重い)。これこそが人間ドラマの描写です。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-09-27 01:24:44)(良:1票) |
232. スティル・クレイジー
《ネタバレ》 何よりも、作中で登場するストレンジ・フルーツの楽曲が、猛烈に格好良く、強烈に70'sブリティッシュ風なのに驚き。これって全部オリジナルなんですよね?音のボリュームを上げすぎて中断するシーンの曲なんて、ビル・ナイがアレックス・ハーヴェイに見えましたよ。中盤過ぎまでは、浅いエピソードを何となくつなげているという印象は否めなかったのですが、再会シーンとラストのブライアンのはにかんだ笑顔、あれは反則です。あれ一発で映画のイメージも全部塗り替えられてしまいました。マネージャーのジュリエット・オーブリーの立ち位置もいい感じ。こういう作品はイギリスにしか作れませんね。 [DVD(字幕)] 8点(2014-09-25 02:50:13)(良:1票) |
233. ライラの冒険/黄金の羅針盤
筋を追って映像の形にするところまでで手一杯だったらしく、表現とか演出とか創造というものをまったく感じることができませんでした。設定のための設定、危機のための危機に、物語としての面白みはありません。そのくせ、テーマソングにはケイト・ブッシュ(!!!)、声の出演でK・S・トーマスなど、妙なところで異常に贅沢だったりするから、さらに腹が立つ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2014-09-14 01:32:44) |
234. 華氏451
《ネタバレ》 作品内の社会の雰囲気はむしろ牧歌的ですらあるんだけど、それがかえって、現実的な生々しさを感じさせるのです。公園内での所持品検査が、当たり前のように行われている。検査側も、特に威嚇したり、力を誇示したりすることはない(必ず言うことを聞くと分かっているから)。文字というのは1つの隠喩であって、そこに見る側が何を当てはめるのか、ということなんですね。だから、「頭の中までは奪えない」という回答はきちんと着地点になっているし、そのテーマは現在でも普遍性を持っています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-09-07 02:52:43) |
235. いつか晴れた日に
様式時代物の体裁を纏ってはいますが、中身は完全な「ラブコメ」そのものですね。各人物の関係や動きなどはなかなか凝っていますが、場面場面が比較的短時間に抑えられているのが惜しく、せっかく巧者の俳優を集めたのですから、もっと長い会話と芝居の応酬が見たかった。しかし、本作のMVPは何といってもケイト・ウィンスレット。当時20歳、映画デビューした直後とはとても思えないほど、台詞のない場面でも確固たる存在感を示している。エマ・トンプソンも、いつものように堂々と風格のある芝居をしているが、内心ではびびっていたんじゃないだろうか。 [DVD(字幕)] 8点(2014-09-05 02:50:56) |
236. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 ランジェラとブルーノ・ガンツの対決シーンに象徴されるように、ところどころやたら出来が良い一方で、相も変わらぬ無意味なカー・チェイスとか、相も変わらぬ無駄な肉弾戦とか、どうみても足を引っ張っている部分も存在する。いろいろ削って100分以内くらいにしていたら、もっとすっきりしたのでは? [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-09-02 01:30:35) |
237. 日の名残り
《ネタバレ》 冒頭、エマ・トンプソンの気品と迫力溢れるモノローグで、一気に作品に引き込まれる。職務に忠実であることを至上命題とする(しかし、それに嫌味がない)執事と、理知的でありながら自然に内面を表している女中頭の、無言の心理攻防戦。本を取り上げようとするシーンの一瞬の接近がもたらす官能性と、ホプキンスの冷たい一言にエマ・トンプソンが涙するシーンがもたらす感情の重さ。これこそ名演だと思う。さらには、音楽や美術や照明関係の充実も素晴らしく、まさに作中の使用人たちのような職人芸の誇りを感じさせる。つまり、この映画そのものが、私たちにとってのダーリントン・ホールなのだ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-08-27 02:36:14)(良:3票) |
238. ザ・バンク -堕ちた巨像-
《ネタバレ》 せっかく巨大銀行との対決という設定なのに、知能戦の側面がほとんど感じられないのがマイナス。登場人物の描写も、敵側・味方側ともに、類型的で平坦で面白くない。あと、世界各地を飛び回っているのが、さしたる必然性が感じられず、移動のための移動に見えてしまったのだが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-08-01 03:20:53) |
239. レクイエム(2009)
いや、結構期待したんですよ、これ。題材からいっても監督からいってもキャストからいっても。ですが、じめじめと感情のない描写がずーっと続いて、結局そのまま最後まで行ってしまいました。この設定だったら、役者にただカメラがくっついて撮っているだけではほとんど意味がないと思うのですが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2014-07-17 01:33:16)(良:1票) |
240. 終着駅 トルストイ最後の旅
ヘレン・ミレンとクリストファー・プラマーは安定した演技力なんだけど、制作側が逆にそれに寄りかかって、そこから何を引き出すかというところまで手が回ってないんだよなー。いろんなシーンを継ぎ接ぎのように最後までつないでいるだけで、この二人の何を表現したかったのかというところが見えていない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-05-23 01:48:55) |