21. ある子供
《ネタバレ》 ブリュノは永遠に子供だ。生まれたとき、どこかに何かを落としてしまった。彼がもう少し賢ければ、死と金の狭間を漂いもう少し裕福かもしれない。もう少し愚かであれば緩やかに、長い時間を掛けて破滅するのだろう。 心に道徳や倫理という概念を持たない人間を子供であるとすれば、子供という人間は道徳や倫理を持たないだろうか。そうか、多くの子供は確かにそれらを全て持ちはしない。赤ん坊から子供になったその瞬間の何も備えていないまっさらな「子供」がそれらを持たない。少しずつ人間の心の肝心なものが理解できてくるにしたがい、大人びてくる。 どうやら二元的な判断はできない。こうなると大人の定義とはなんなのか。という背面にある事実に我々大人はたじろぐ。が、きっと身体が成熟していることや老成していると言うことではそれはあり得ない、と断ずることが出来ればまずは自分が子供寄りではないんだろうという安心感は得られる。 安堵感、この映画がもつ強すぎる情調に不快感や不安感を持つことに気づくと同時にそこに至る。きっと好転しないであろうブリュノの人生に、哀れみを感じつつも白眼視するこの感情も大人のもつまっとうな正直な感覚だと思う。周縁に哀れみや寂しさだけしか彼に向けない、彼と同じように何かを落としてきてしまった人間達が永遠に彼らのような子供達を再生産し続ける。叱責や黙殺のような浄化機能をそれこそ道徳や倫理にしたがって正常に使いこなす社会は、それを作るのは大人達であって彼ら子供達ではない。 そして子供達が身体だけ成熟して作り上げたコミュニティは、とても社会とは言い難い裏社会のような共棲集団であるが、それはこの映画の中の絵空事ではない。子供達は永遠に子供達を作り続ける。きっと抜け出すことが出来ないであろうその輪が、この社会のみえにくいどこかにあることを思い出すことが出来た。 と言うわけでなかなか面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-12 01:22:25) |
22. マラドーナ
クストリッツァがマラドーナのファンであると言うことは分かった。 [DVD(字幕)] 6点(2010-07-29 00:07:32) |
23. グリーン・ゾーン
《ネタバレ》 面白い。非常に面白い。なんかそれっぽい疑問をフィクションで投げかけることで、受け手の自尊心を満足させるハリウッドの巧さはこう言うところにある。実際は当時の報道を思い返すとそんなだったっけ?とすぐ気づく。 本作のカット、凄い。隊内のフォーメーションを上手に切り取った見せ方に痺れた。市街地の兵がそれぞれ役割をもって描かれる様は圧巻。もっと速く、もっと速くという欲求に極限まで応えるカメラワークに大満足だ。 また、GPSやヘリコプターを使った作戦も非常に見応えがあり、地上部隊と空からの連携がゾクゾクする。終盤のカットの速さはもっと速くという欲求を超えて、何が何だか分からないほどのスピードで(位置関係や追撃プロットはたぶん破綻してないと思われるが、確信犯的演出的破綻は有るかもしれない)、何度でも観たくなる中毒性がある。なんつう面白さか。久しぶりにゴリッと凄いアクションを観た。 他方、イラクにまつわることや、イラク戦争に関することはこの映画的にはあまり触れられていないかも。劇中のサスペンス的な創作や変に正義や巨悪を演じるアメリカを信じてしまう人が出ないかと心配になりもした。ネット上では日本語の湾岸戦争の情報は、日本教職員組合的というか、アメリカが悪でイラクが純真な世界という解釈をさせたがる結構過激な文章が多くて、参照すると変な方に思考が誘導される。日本語で読む人には他国の情報を入手できないだろう、という悪意の入った主観的な文章がちらほら見受けられる。 これはこの映画とそれほど関係のないところだけど、何となく日本に長くつきまとう問題ではないかと思う。っていうのも映画の感想とは関係のないことか。 [映画館(字幕)] 8点(2010-05-16 02:59:21) |
24. ジュピターの雷鳴
《ネタバレ》 ゼウスの雷霆をおもしろおかしく表現しているのだろう。当時の舞台にこういうのがあったんだろうか。20世紀の初めの人たちはきっとこれを物珍しく楽しく鑑賞したのではないか。 メリエスの敷いた、舞台劇をトリックで映像に置き換えるという線路をひた走ると現代のドラマチックで人の心をふるわせる数々の映画に帰着するのだろう。 とかなんとか言ってみたけど、今の人が見てもぜんっぜん面白くない。映像的な価値があるなぁー(棒読み)。で、良いんだと思う。 [インターネット(字幕)] 4点(2010-05-09 01:04:15) |
25. 日蝕と満月
なんか面白くない。100年前に凄いことをやっていると言うことが分かるけど、それ以上でも以下でもないっていう感じ。 そう、特に感想が浮かばないのである。 [インターネット(字幕)] 4点(2010-05-04 15:46:12) |
26. 月世界旅行
《ネタバレ》 映画好きならどこかで何度か見てるだろうとおもう。 改めてみると結構凄い。20世紀の初めっていうのは何でもありだなと思わせる。それでも、当時の人々も彼の作品群に飽きるあたりは今の人と要求水準があんまり変わらないんだなっていう風にも思う。 [インターネット(字幕)] 7点(2010-05-04 15:35:51)(良:1票) |
27. ジャンヌ・ダルク(1900)
《ネタバレ》 wikiでも読んだ直後に見ないと話がさっぱり分からない。 神の啓示(?)→王様に会いに行く→戦争に行く→とらわれる→魔女裁判→火刑→昇天 みたいな流れだが、もとの話の筋が分かってないとさっぱりだろう。話はつまんない。 とはいえ、100年以上前の映画だから意外なクオリティの高さには驚く。見て損はない。 [インターネット(字幕)] 5点(2010-05-04 14:44:39) |
28. レオン(1994)
《ネタバレ》 リュックベッソンはこの作品まで良い職人だったと思う。フィフス・エレメントあたりからおかしな方向に行ってしまったが、それはそれ。この作品が大変面白いこととはあまり関係のないことだろうからあまり考えないことにしている。 この映画の特徴の一つとなっているが、閉じられた世界観が精神的にも地理的にも支配的で、その小さな世界の中で逆らえない予定とも運命ともつかない時間の流れからの圧迫感が、登場人物にも観客にもそこから逃れる術を模索させる。 ほんの短い時間で不可逆的に変わってしまう彼らの生き方は壊れることで収束するが、大きな街の中で小さな箱庭が失われてしまったに過ぎないこの出来事は、観客の気持ちに小さな感傷を残す。生き残った登場人物のその後を思ってじっくりと憂鬱に浸ることができる。 そういう小さな世界で起こった大きな出来事はほんのちょっと私を切なくさせるが、そういう気持ちをちゃんと植え付けてくれる映画って言うのは実はそんなに多くない。だから大事にしたいお話なのである。 完全版の方は、追加されたシークエンスが私が持っていたイメージを強烈な力で矯正してしまい、この映画に持っていた幻想的な世界を打ち消してしまった。付け足して作られた新たな世界観は、何となくその後のリュック・ベッソン的でなじめない。 [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2010-04-30 00:54:14) |
29. WATARIDORI
病院で手術を受けるため、メンドクセェなっておもいながら麻酔科の説明会が始まるまでの時間ではじめ見た。たいそうなパンフレットを渡されちょっとした恐怖心をあおる記述(自分とは関係なくても)が気持ちをダウンさせるなか否応なしに流れていたのが本作。 このときCGが使われているとか全然思っていなかったし、後日DVDのジャケットにCG一切なし的なコピーがあったことからCGが使われているかもしれないということには一切疑っていなかったが、そうか、そうなのか。CGが混ざっていたのか。意外。(無責任に未確認) けど、この映画。良い映画だったな。ドキュメンタリ好きには何時間でも見ていたい映像が延々とながれ解説まで入っている。それこそ何時間でも見ていたかったのだ。麻酔の説明が始まってしまうだろ!説明遅らせろ!つうか良いとこなんだから止めるんじゃない!と、小心者なので言えず。検索して邦題がWATARIDORIとわかった時には拳を握りしめた。 この映画はほんとうに良い作品だった。生き物が好きでドキュメンタリが好きならおそらく日本語ナレーション版のBDが出たら買ってしまうだろう。しかし映画ドキュメンタリでこの邦題だから何コーナーに置かれるか予測できない。セガールコーナーの隣にそっと置かれていたらきっと間違って買ってしまう人もいるのかもしれない。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-20 14:49:41) |
30. バーン・アフター・リーディング
《ネタバレ》 なかなか。ツボに入った。元工作員が書いたインチキ自伝小説を機密書類だと勘違いする微妙にアホな人たちと、それに振り回される微妙にアホな人たちが良い。スパイものの極秘指令のお約束をタイトルにしてて見たり、どこまで本気か分からない微妙さもまた良い。 微妙なアホさ加減に終始ニヤニヤさせられるが、その塩梅たるや練られまくった印象。ガイリッチーがやりそうなプロットだが、その演出やストーリーが全然違う。つまり同じような題材を使いつつ全然違う楽しみが込められていてなかなか良い。 なぜコーエンズがガイリッチー的世界観なのかというところはよく分からないが、まじめさにウケる。こう言う映画ならまず音や画で楽しませようとするような、自転車で追いかけるシーンやあのバキューンなシーンでさえこう言うアホが居るよな、な実在感で迫る。 それだけに予測不能な演出にプッの連続。さすがにバキューンでは大笑いしてしまったが、全員狂ってますな世界は妙に静かな可笑しさで楽しめた。そういうテンションが好き。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-02-17 23:52:11) |
31. 白い馬(1952)
《ネタバレ》 なかなか面白かった。手に入らないあこがれの対象を手にした少年を、童話的構成で見せる話というのは好きだ。 ストーリーは形式を考えると常識的で伝統的な作り。オーソドックスではあるが、完成度の高さは一見の価値ありだろう。どこか遠くへ行ってしまった後の世界を想像させるラストのカットは、感動を誘うし映画との一体感を堪能できる。 背景にある、何もない、という世界観は白い馬の魅力を最大限に引き出している。一方で牧場や道具、いろいろなものを持つであろう馬飼いの脅威を楽しむことができた。このフラストレーションがあってこそのあのラストだ。 骨組みと要素を楽しむ映画だし、これだけ無駄なところがないシンプルな話だ。さらに作り込むことで果たして本作の完成度を超えられる翻案が作れるのかどうかはナゾ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-11 17:48:29) |
32. 夏至
《ネタバレ》 不倫不貞の話を面白く見られないので、そこでやや先入観丸出しで見始めてしまったが、雰囲気も合わず結構苦痛だった。 苦痛だったため、先入観が嫌悪感になって面白く見ることができなかった。いろんなところの評価が高いので、おそらく私の補完能力が劣るということなんだろう。だけどそれならそれでいいやと思える。 [DVD(字幕)] 3点(2010-01-04 14:42:01) |
33. 赤い風船
《ネタバレ》 ものすごく良い映画だと思う。 手を離すと飛んでいってしまう風船が、自分から離れずにいつも一緒にいてくれる。それだけでも胸がいっぱいになる。意地悪だったり優しかったりする赤い風船は、友達だったり彼女未満の大事なガールフレンドみたいな存在になってずっと心に残るかもしれない。 映像のきれいさとか、風景のきれいさはもちろん、生活が垣間見られるたくさん出てくる子供のかわいらしさ小憎らしさとかには、特に隠された意味って無いように感じる。そこを排除して純粋に少年に感情移入することができるからこの映画の良さって引き立つのではないかと思う。 こういう純粋な短編に、簡単に比喩や寓意を乗せてしまうのはあまり上手ではないと思う。だから作り手がくれた世界に素直に甘えて、描写から方々に意味や結論を引き出すよりは風船に乗ってパリの上を飛んでいくという幻想を純粋に楽しむのも大いにありだと思う。 [DVD(字幕)] 9点(2009-12-20 23:38:50)(良:1票) |
34. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 面白い。人に勧められなくもない。 想像が及ばない世界の、日常的ラブストーリー的な何かだろうと、ドサッとそろえたDVDの中に埋もれていたものを忘れた頃に観る。そういう中の1本だった。 だいたいそういう映画は観てみるとラブストーリーではなかったりする。時にはドキュメンタリだったりする。この映画もラブストーリーではない。だから、この映画を観たときの、「突然クビの後ろを触られてビクッとする」ようなヤメレよ的不意打ちではなく、「夏に買っておいたガリガリ君を冬に食ったら、それが当たってた」的な心くすぐる度は非常に心地が良かった。 日常をベースとして、物語がきちっと時間軸を狂わせることなく、3組のカップルと主人公と一人の女性たちが明確な接点を持たないまま、微妙な共通の上で虚ろさに悩む。こういった設定はアメリカやヨーロッパよりも、こういう中東とかアジアとか、そういう世界のベンダの方が得意なのかもしれないな、などとも思う。 不思議な少女の役割は決して明確ではないが、それは果たして主人公にとってのセラピーになったのだろうか、そのあたりをあからさまに表現しないあたりの繊細な力業は感服してしまう。すべての登場人物が、何らかの解答を得てそれに従うけれど、それが果たしてどういう未来を生むのかな、なんてぼんやりと考えられる味わいは秀逸。 また、日常を収めた画が非常に綺麗で、DVDが液晶テレビに映し出されるときの、不快なぼやけもなぜかそういう味かもね、という独特の雰囲気になっていた。もしかしたらブルーレイ(がでているかは知らないが)で観たら全然違う空気なのかもしれないが、作者も意図していないだろうその雰囲気に没頭することができた。 なんか得したな、そういう気持ちになれた。 [DVD(字幕)] 7点(2009-12-06 15:44:13) |
35. ザ・カンニング〔IQ=0〕
《ネタバレ》 面白い。テレビでやってるとボーッと必ず観てしまう型映画だ。 くだらないとしか書きようがないイタズラでグイグイ引っ張っていって、中盤で爆破! 中盤で爆破クライマックスしてしまう。子供心、フランス映画のセンスに慄然とした瞬間である。 このシーンの笑って良いのかいけないのか分からない、ギャグの調合具合に初見では凍り付いた。そのあとプププだ。「ありましたー!」ボーン!である。あの骨の有り様はドリフだ、これの根底にあるのははドリフだたぶん。 この後カンニング作戦と相成るが、実は中盤までの流れが美しすぎてこの部分が後日談のようになってしまっている。やっぱりハリウッドの方が構成が巧いんじゃないかって思った。 とはいえ、頭空っぽにして観られる非アメリカ映画としてかなり貴重だ。もう一度12チャンで昼間にでも放映してほしい。 [地上波(吹替)] 7点(2009-11-15 21:59:11) |
36. ランド・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 ロメロ補正で楽しく観られました。 やっぱこの緩慢なゾンビたちが、のんびりと不可避におそってくるってのが良いですよ。怖いですから。ゾンビに知恵がついちゃうっていうのはどうなのそれ?って最初思いましたけどね、なんか慣れちゃうんですよ。 ロメロ以外が知恵付けたりしちゃうとかなり厳しいと思うんですけど、本人がやる分にはまぁいっか。アリアリ。って感じられるのが不思議。あの戦闘トラックとか絶対NGのはずなんですけどね、まぁ良いです。 というわけで、もしかしたらいまいちなんじゃないのこのB級ムービーは・・・というきがしないでもないんですが、ロメロだから気にしない。っていう人多いかもしれません。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-16 22:13:49) |
37. トランスポーター
《ネタバレ》 ダラダラみるにはちょうど良い感じ。 基本的に、アクションで主人公がどう生き残るのかと言う部分だけ良くできていれば、映画ってそれだけでそれなりに面白い。それなりに楽しめる。だけど、体術系のアクションだとどうしても問題が出てくる。 それは、初期セガールのようにポカーンとするほど生々しいものや、ボーンシリーズや一昔前のジャッキーのようにスタントが楽しいもの。トランスフォーマーのように普通の人が想像できないせいで、無茶苦茶リアルに作られているのに現実に見たこと無いせいで逆に嘘見えてしまうほど作り込まれた人形もの。そういう斜め上を行くものを過去に観ていると、どうしても普通かなって思ってしまう所。 本作もかなり良くできたアクションだったけど、激しい映画が多い今年あたりに観てしまうとアクションだけでは物足りなくなってしまう。そこでやっぱり設定に緻密さが欲しくなってくるわけだけど、残念ながら運び屋というおいしい設定を作り込み切れていなかったのが残念。後半は強引に設定をキャンセルしてしまって、違う話と合体してしまったような雰囲気になっちゃっていた。 でも、やっぱりアクションが最初から最後まで筋が通っていたのでつまらなくはない。こういう映画は突っ込まないで観るのが正しい。 時々テレビでやってたら儲けもの。リュックベッソンの良さはそこにある。 [DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2009-08-14 01:31:24) |
38. バリー・リンドン
意外と面白くない。時代とか世界とか衣装とか、そういうのは目を引くし飽きない。 でも話がつまんない。題材は良いと思うのに、つまんない。 この長さにしなきゃいけない理由もよくわからないし、2時間に収めるのも技術のうちなんだと思うけど、放棄しちゃってないだろうか。時代物の大作というカテゴリーにあぐらをかいちゃってるような気がしてならない。 アカデミックな雰囲気をまとえばどんだけ長くても許されるみたいな雰囲気がこしゃくな感じがして全然感情移入できなかった。 こういう玄人受けを狙った作りであれば、愛好家同士で良作だよねって話し合っていればいいと思う。面白い映画が単純に好きである、と言う人が観て面白いか?オレは全然面白くないと思う。と素直に感じてしまった。 一緒に観ようと言われて、二人で観たわけだがスゲエつまんねえなオイとは言えず「なんか、全然面白くなかったね」とどうでも良いところで気を遣ってしまったのも妙に自分に腹が立った覚えがある。 自分の感性からすると万人受けしないと思うんだけど、なんで平均点が高いんだろう。 画的にはすごいなって思うし、話はわくわく感があるけど脚本になってみるとスッゲーつまんないと思うんだ。 絵に描いたような「意外と面白くない映画」っていう感じだし、絵に描いたように「期待しなければひょっとしたらひょっとするかも知れない映画」だと思う。 でも「ひょっとしてしまった」人の多さに、自分の感性の鈍さと単純さにがっかりしてしまった。 そういえばキューブリック作品であると知ったのはみてから何年か経ってから。平均点にキューブリック補正掛かってるってことは無いだろうか。 [DVD(字幕)] 4点(2009-07-26 01:25:32)(良:1票) |
39. 氷の微笑
《ネタバレ》 これを公開当時今はもう無いであろう湘南の劇場で見た時、 たしか、確か記憶では。確かにそういう気がしたんだけど、シャロンストーンが足を組み替えるシーンでぼかしがなかった気がする。 もうそれだけで評価が正常な心理で付けられない訳で、少年少女で見に行ったあの帰りに皆そこに触れなかったのはやはり見えていたからなのではないだろうか。 サスペンス物としてもエロティック物としても秀逸な本作。後に何かの番組でたしかバーホーベン自らがシャロンストーンが犯人であることとその証拠をいちいちくどくどと、どうしても聞き入ってしまう話しぶりで解説していた。やっぱり犯人は彼女だったんだろうな、その後はどうなるんだろう・・・と想像した瞬間、たしかマイケルダグラスは殺されないでしょなどと身もふたもないことを言っていた気がする。何というかプロらしく物語のバックグラウンドまで提供するとか、そういう所もセットで考えて非常に良くできたイベント的な映画だったんだな、とか非常に感慨深い。 でも、そうじゃない。問題なのはそこじゃなかった。 あのときの少年少女達は時が経ちすぎれば離ればなれになっており、あのスジは今ではすっかり永遠の謎になってしまっている。 [映画館(字幕)] 7点(2009-07-25 15:23:29) |
40. ターミネーター2
《ネタバレ》 子どもの頃映画館で始めてみたとき本当に、本当に驚いた。 情報を全く入れずに見たため、驚きの連続で、驚きすぎてどうしようもない恐怖の連続だった。 そもそも、サラの息子が「シュワルツェネッガーとT-1000」に追われるんだと思っていたため、ショッピングモールで挟まれたとき驚きで唖然。 あの瞬間の驚きは容易には忘れることが出来ないと思う。 巧いのはこの後サラコナーを救出するとき、サラコナーが今度は先ほど客が感じた恐怖を感じるわけで、さらに絶対的恐怖の対象が、新しい恐怖の対象に実は刃が立たないというプロット。 秀逸、巧すぎて悶絶。 ターミネーターが護衛であるという、一瞬の安堵感のあと終始追われ続けるプレッシャーが最後までとぎれない設定も余りにも作りが丁寧。 あきらめずに逃げつつも常に立ち向かうという部分がズシッとくる。最後に教訓的な物がしっかりとセリフで入っているのもわたしは良いと思う。 なかなか出来ない気づかない当たり前のことに気づかせてくれる本当に潔い映画だと思う。 基本的に、あの時代以降はこの映画の巧いポイントが台無しになってしまうような、ネタバレがネタバレと思われないような状態が普通になっていることが残念でならない。 少なくとも映画は普通2時間しかないため、ほんの数分のネタバレで多くが台無しになってしまうことだってある。 自分の要望や願望を、自分なりの作者や俳優のらしさに置き換えて「本来のイメージと違う」と言ってしまわないように、お金と時間を払って楽しむ以上余計な情報ではなくて映画本編そのものを楽しめるようにするべきと子どもの頃に学べたのが大きかった。全然この映画の内容とは関係ないけれど。 [映画館(字幕)] 10点(2009-04-19 12:40:46)(良:3票) |