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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2517
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1.  サスペリア(2018) 《ネタバレ》 
 ホラー好きの一部の人って、たまに妙にホラーが高尚なモノだってアピールするのよね。社会不安を象徴してるとか、深層心理を表現してるとか。  でも、ホラー、特にスプラッタとかスラッシャーとか言われるジャンルって基本、残酷シーンを見せてナンボなワケじゃない。血が噴き出したり、首や手足や胴体がちぎれたり、内臓がこぼれ出したり、頭とか体とか爆発したり、特に若いお嬢さん方が酷いメに遭ってこそ、みたいな世界よ。  そんな世界が好き、って言ったら人格疑われちゃうから、正当化するための理由付け、言い訳のために高尚化しちゃうんじゃないの?なんてアタシは意地悪く思うワケね。   で、ダリオ・アルジェントの『サスペリア』、今や神格化されてる感もあるけど(アタシがあの映画を評価してるのって冒頭15分だけ、しかも東宝東和の独自システムなサーカムサウンドのお陰ね)、アレって単にアルジェントのリビドーが爆発してるだけの映画じゃないの?って。そして、そんな『サスペリア』が大好き!なんて言ったら、アルジェントと同じリビドー抱えてまーす!って宣言しちゃうようなモノだから、ちょっと言い訳させて貰いますよ、っていうのを1本の映画にまでしちゃったのが今回の映画、という印象ね。しかも結局新たに監督自身のオリジナルなリビドーまで公開しちゃいました、みたいな。   77年当時の社会的な背景を盛り込みました、思想・信仰についての考察を盛り込みました、空想の余地を与えました、直接的な意味を示さない映像をたっぷり盛り込みました、それによって前衛的な、ゲージツ的な映画に仕上げました、ってカンジなんだけどね、でも結局はリビドーを正当化する行為に終始してるように映っちゃうのよ、アタシには。ちょっとミソジニー臭がしないでもなくて、それはやっぱりアルジェント版同様、イヤなのね(いや、真逆だろ、って意見もあるでしょうけど、だとしたらかなりのマザコンよ)。   魔女の方々がビジュアルは立ってるのにキャラとしてはメイン以外、没個性で単なる頭数揃えただけ、って状態とか、それは生徒さん達にも及ぶとか、登場人物多くてゴチャゴチャしてるワリに印象に残りにくい映画だったわね。音楽もさして印象的ではないし。オリジナル版の方がまだ色んな意味で印象的だったわ。
[映画館(字幕)] 4点(2019-02-05 18:38:44)
2.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
 前作が思ってたのと違ってたので、今回は期待値低めで臨んだ分、それなりに楽しめました(点数一緒ですが)。   前作の「裏社会へようこそ」な部分は小さくなって、ジョン・ウィックのバタバタとした、ちょっと泥臭いアクションが中心になっていて、キャラものとしてのスタイルが確立しました、という感じ。伝説の殺し屋は、結構撃たれるし撥ねられるし血まみれになっちゃうしで、でも死なないので伝説、みたいな。個人的にはもっとスマートで圧倒的な強さのキャラが好きなんですが、こういうのもアリでしょう。  アクション自体は増量してるけれど同じような画が続いてワンパターンだったかな。  今回の女殺し屋も魅力的で、だけどラブストーリーとか無し、そしてそんな彼女に対してジョンは一切容赦無しっていうのが潔く。  ローレンス・フィッシュバーンの登場によって、ネオとモーフィアスの再会を見せてくれたのはファンサービスって感じ。   今回はカンフー映画リスペクトが顕著で、クライマックスの『燃えよドラゴン』っぷりはかなり楽しませて頂きました。でもアレCG屋殺しですね。一体どれだけ写り込んだカメラをCGで消す作業が必要だったのでしょう?   ただ、今回の作品が『帝国の逆襲』ポジションつーか『リローデッド』ポジションだったのは、ちと肩透かし食らいましたねぇ。なんか終わっちゃいそうだけど、まさかそれで終わり?って思ったらやっぱり終わっちゃった。  次があるのならば(無いと消化不良)、どうかワンコは生かしておいて欲しいものです。ジョンはともかく。
[映画館(字幕)] 6点(2017-07-11 21:27:32)
3.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
 海に接する場所、霧の中に消え、霧の中から姿を現し、この映画に描かれる日本という閉塞的な世界には一貫して神の視点がありません。地理や位置関係を示す視点、生活や人物の関係性を語る視点、そういう作品世界を俯瞰する描写が存在せず、ひたすらロドリゴ神父の見聞きする世界のみがあって。その閉塞された混沌世界の描写は、己の信仰心と対峙する神父の葛藤を明確に浮き彫りにさせます。  絶対的な神を持たない民族の信仰の姿はキチジローに代表されて、それは今に至るまでずっと同じ日本人の姿を示しているところが面白いです。陰鬱な映画なのに、布教どころか自己の信仰すらも歪ませてしまいかねない、八百万の神を持つこの国の特異性を妙に面白く(自嘲的に)感じてしまう私でした。   踏み絵も拷問も処刑もお役所仕事、みたいな描かれ方もまた日本人らしさを示していて、なんとなく可笑しく思えてしまって、でも海の向こうの人から見れば恐ろしい事なのだろうなぁ、と。    だけどリーアム・ニーソンのキャスティングによってフェレイラ神父がクワイ=ガン・ジンに重なってしまい、そう言えばアンドリュー・ガーフィールドってヘイデン・クリステンセンに似てなくもなくて、ダークサイドに堕ちたクワイ=ガン・ジンがアナキンを誘う映画みたいに見えてしまい。オビ=ワンがいればなぁ、みたいな。日本はダークサイドか。   しかし蜩はあの時間には鳴かないのではないかいな?
[映画館(字幕)] 9点(2017-02-13 22:15:23)(良:1票)
4.  グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 《ネタバレ》 
 オープニングのスクリーンプロセス、あそこに大きな意味があるとばかり思ったんですよね。ニセモノの道を走るニセモノのドライブ。また、以降ヒッチコックがモナコの街を眺める峠やグレースが車を走らせる道など、『泥棒成金』ネタが頻出して。ところがそれらが大して意味持ってないし。グレースの人生を思えば、あのファーストカットのイメージをラストまで引っ張れば効果的だったのに・・・   冒頭にちょっと期待を抱いたけれど、中身は音痴でした。  全編やたらに説明的な音楽がうるさいですし、ここぞという時に極端なクローズアップが頻出します。まるでクローズアップの効果を盲信しているかのように。  その盲信っぷりは重要なクライマックスで多用される事でも明白。そして、それが実際にはさしたる効果を生みはしなかった事も。  映画全体をサスペンスとし、国家存亡の危機に王妃が一大勝負に出る、そのクライマックスの語りにちっとも説得力が無く、ボヤけた腰砕けの展開で終わるような感じ。  舞踏会に臨む王妃が「武装」するシーンは『ランボー』や『エイリアン2』のパロディみたいな映像なわけで、ならばそれはもっと徹底的にやるべきです。  何もかもがボンヤリした印象。   そう、ニコールの極端なアップは逆に表情の印象をボヤけさせます。ヒッチコックはキチンと明るい場所に顔を持ってくる事を避けますし、見終わってみれば、キャストに印象に残る表情が少なく、全体にモヤがかかったような映画だったと。  それは女優と王妃の間で実体の見えなかったグレース・ケリーという人を象徴しているのかと言えば、決してそうではなくて。  女優と王妃とを煌びやかに描き分けてこそ、その裏側の実体も浮かび上がってくるものなんじゃないですかねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2014-11-06 21:23:39)(良:2票)
5.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
 「愛すらも偽れるのか?」とクドく語られておりましたし、家具を動かした云々だの、あのパーツがポツリポツリと出てくるあたりの不自然さからして、主人公が騙されているのは明白で、だけど、ああいう本当に愛の無い騙し方でしかなかった、っていうのは意外でした。もっと逆の、温かい方向で騙されてるのかな、とばかり思ってました。   となると「二次元コンプレックスのおたくがリアルに興味持ったらリアルは容赦なくおたくから何もかも奪っちゃったのでした、リアルは甘くないのです」みたいな教訓めいた切ない話しか残らないわけで。   美しい肖像画一点一点の視点、決して鑑賞者に偽る事なくこちらに向けられた視線、それに魅せられてゆく男の姿、それを捉えるウットリするような映像の美しさ、二次元を愛し(絵画やアニメやマンガだけでなくて、もちろん映画ってメディアも含む)、主人公に気持ちをシンクロさせてゆく観客に対して冷水を浴びせる意地悪さ。   意味ありげなカフェの窓辺の女性もポイントになるのは単に記憶力のみという激しい肩透かしっぷり。   上手くノせられたと舌を巻くべきなのかもしれないけれど、ここはやっぱり性格の悪い映画だなぁ、と思いたいです。   ラストで回想の中の回想という創作上のタブーを犯してまで描いたのは「それでも愛の思い出を抱きしめて余韻を生きる主人公の姿」ではなかったような気がするんですよね。  警察署の前で逡巡した上で被害届を出さず、その人が現れるのを待ち続けた主人公ではありますが、時系列の最後は施設で廃人のようになって無表情でリハビリに励む姿なわけですから。いっその事、死なせてあげた方がまだ幸せなんじゃない?って。  私にはあのラストもひたすら残酷に思えたのでした。こんなんじゃ、ますます二次元に逃げたくなっちゃいますよ。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-26 21:19:57)(良:1票)
6.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
トムが最初の殺人を犯した直後、荒れた海と風に翻弄される姿が、彼の戻る事のできない道を暗示し、二度目の殺人を犯した後、虚ろに眺める窓の外の幸せな日常の風景と部屋の中の食べ物と死体が転がる非日常の光景の対比が、その行く末を暗示して。トムが進んだ道は、貧しさや育ちのせいとか、フィリップへの復讐心のせいとかいうよりも、なんて言うのかな、渇いた心を満たそうとしてずっと満たされないままに破滅の道を進んだ、みたいな感じを受けました。そして、そんな物語を、フィルムに焼き付いたヨーロッパの深く青い色の海と空の空気感が、アラン・ドロンのナイフのようなシャープさが、ニーノ・ロータの音楽が、奇跡のように美しいアンサンブルになって一本の名画を成立させているんだなぁ、と。多少のアラ(撮影している船が立てる波やカメラマンの影が映ってたり、捜査上で写真や指紋による本人確認が行われなかったり)なんてどうでもいいと思わせるくらいに強力な素材に恵まれた映画だったのですねぇ。
[映画館(字幕)] 8点(2010-05-03 14:40:09)
7.  鉄道員(1956) 《ネタバレ》 
また私事から始まりますが、2ヶ月ちょっと前に父を亡くし、9日前に愛猫を亡くし、家に一人ぼっちになりました。思えば母を亡くした29年前、それよりもう少し前から家族はどんどんと変容し、壊れ、そして今に至ってとうとうここまで来てしまったんだなぁ、って。そんな私の目に、この映画は大変ツラいです。時の流れの中に入り込んだ様々な要素が家族を翻弄し、形骸化されたものすらも維持できなくなってしまう。それらは、本当は家族一人一人が少し互いを気にかけていれば済む事だけれど、それができない、同じ空間で顔を突き合わせながら距離を置き、隔たってゆく、それが実体験にシンクロして大変リアルに響いてきました。この映画の父親には最後に救済が与えられた上で終わりがやってきます。だけど、この家族にはもう決してそれまでと同じ日常が幸せに続いてはゆきはしないと。この時代のイタリア映画には何か言い様のない芸術の血が流れているみたいで、その淀みない語り口はガッチリと心を捉えて離しません。映画に教えられる事、取り戻す事はできないけれど気付かされる事。時としてそれは思った以上に大切なものなのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2010-04-19 13:17:41)(良:1票)
8.  NINE(2009) 《ネタバレ》 
フェリーニはもちろんですが、いちばんステキだった時代のイタリア映画とフランス映画の知識がしっかりあったらたっぷり楽しめる映画なんじゃないでしょうかねぇ。私は不勉強なものだからハンパに楽しめました、みたいな感じになってしまって。それでも絢爛たるミュージカルの世界を大スクリーンで堪能する悦びを存分に味わえました。中身なんてあってなきが如きモノですけど、ミュージカルなんてそれで正解だと思いますし。いやいや、亡き母の存在を引きずったまま女達を翻弄し、また翻弄されてゆくグイドのイタリア男っぷりも面白いのですけどね。だけど、六本木ヒルズの7番スクリーンを前側ブロックのど真ん中で、って状態で見ながら、これが35ミリなんかじゃなくて70ミリの湾曲スクリーンで、ドルビーデジタルのチャカチャカした音じゃなくて磁気式6チャンネルの音響で見られたら、もっともっとイイのにねぇ、ってすっかり私を懐古モードに突入させたこの映画は、今の映画の世界から失われてるモノを懐古しているような感じもして、映画も私もそれなりにトシを取ったよね、ってちょっぴり切なくもなるのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-23 15:45:08)
9.  昼顔(1967)
おフランスのブルジョアで欲求不満な若奥さん、ちょいと冒険したら泥沼ってハナシ。ゲージツ的に夢と現実の間を行き来して、罪悪感と充足感を秤にかけて、男の子供っぽさと女の母性とを対比して、なんとなくエロから半キャラずらしコイてるような映画ですけど、わし、スケベ心になんだかんだ理屈こねくりまわすのって言い訳がましくて好きじゃないんよ。スケベはどんな飾り付けをしたってスケベだーよ?
[DVD(字幕)] 4点(2009-04-21 23:45:27)
10.  ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 
デザインばっかりで使いづらかったり、人間性を無視したりして、エスプリを大切にしない文化をシニカルに笑う映画。近代化によってフランスから失われてゆくものに対する愛とそれを惜しむ気持ちが、伯父さんの周囲とお父さんの周囲との対比によって描かれてゆきます。だけどその批判精神は判っちゃいるんですが、どうしたってこの映画を支配してるモダンアートのオシャレさ加減はたまりません。シュミの悪さの象徴として描かれてるハズの、あのグリーンとパープルとピンクのクルマのなんとオシャレなコトか!(笑) 50年という時の経過が、モダンアートにどっぷり漬かった生活をワクワクする世界に見せてしまっているのは、ちょっと皮肉な気もしますね。もちろん、一方で、大人に同調できず子供が大好きな伯父さんの、独自のパルスの中で生きてる状態はとても魅力的で(バリバリな共感もあり・・・)、最後は淋しい気分にさせられますが。フランスの個性が色濃く出た楽しい映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-20 23:43:21)
11.  自転車泥棒 《ネタバレ》 
DVDを見始めてすぐに「あー、これ昔NHKで見たわぁ」と思い出しました。おいちゃん、もう何を見てるんだか見てないんだか判らなくなってきてます。さて、この映画「貧すれば鈍する」というワケで。今回じっくり見て、父ちゃんの問題は信仰心だ!って映画なのかなと思いました。預言おばさんに対する感謝を否定し、教会では謙虚になる事なく周囲に迷惑をかけ、子を大切にできず、神の教えに背くような生き方してる父ちゃん、貧乏はつらいけれど、貧乏であるがゆえにお金や物に執着して人間性を捨てちゃダメですよ、と。父ちゃんは協調性に欠ける人のように思え、それは仕事を求めて集まっている人々の一団から一人離れて座り込んでいて仲間に手間をかけさせるという物語の始まりで既に人間性が描かれているようで。映画中、二度の割り込みをしてみせる利己的な父ちゃん、最後に罪を犯しながら赦され、人の流れの中に溶け込んだ事で変化が彼に訪れたと願いたいところですね。そうでないと全く救いのない映画ですから。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-14 00:20:25)
12.  カビリアの夜 《ネタバレ》 
冒頭から恋人にバッグを奪われ、どつかれ川に落とされ溺れて死にかける、って、そこからどんだけ不幸な物語が展開するのかと思いました。でも中味は笑いと楽しさに溢れた物語で、どんだけ不幸なの!とボヤきながらも、実のところ喜怒哀楽に満ちてパワフルなカビリアの人生って、それなりに充実してるんでないの?っていう感じがあって。そりゃ、いちいち男に酷いメに遭わされるカビリアだけれども、浮いた瞬間があるからこそ沈む瞬間もあって、浮き沈みがある分だけ、彼女は生っていうものに一生懸命であったりする訳で。だから、最後にとても悲惨なメに遭いながらも、冒頭に帰って水の中に落ちると終わりになっちゃうのだけど、道に戻る事でまだまだ彼女の人生は続くって未来に繋げるラストシーンは、カビリアの表情と共に意外なくらいの清々しさを残すのでした。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-12 00:20:21)
13.  道(1954) 《ネタバレ》 
ジェルソミーナの表情がとても豊かで魅力的で、それだけで映画に流れる感情のゆらぎ、人生という道程での喜怒哀楽が伝わってきて、だからこそラストの切なさが沁みてきます。ひととき同じ道を行くザンパノとジェルソミーナ。他の道を歩めなかった、だけどそこにも幸せを見つけていた筈のジェルソミーナの悲しさ、その都度その都度、無自覚に道を外れ、遂には何もかも失ってしまうザンパノの弱さ。海が世界に境界を作り、そして海は命が生まれ、帰る場所。海に始まり海で終わるこの映画は、ザンパノの終点を示唆しているようで、この物語に相応しくも胸を締め付けられるような幕。祭りの道行く人の列、たびたびジェルソミーナの周囲に散りばめられる子供達、サーカスのテント、人々の言葉。全編に渡って示唆に富んだ映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-02 17:08:30)
14.  愛の嵐 《ネタバレ》 
実は復讐でしたとか罠にハメられたのでしたとかいう裏のあるハナシか、それとも違うのか、最後までずーっと考えながら見続けて、結局最後の最後でウラなんてありませんでした、って。こういうのってなかなか自分の心の中で納得して消化できなくて。起点が恐怖による支配であるならば、これも戦争が巻き起こした悲劇の物語なのか、あるいは戦後にまで及んだナチスの狂気の物語なのか、って言えば、どちらもどう見ても違いますしね。鉛色の闇の中で静かに進行する、光の下で生きられなかった二人の話は、そういう生き方に堕ちるコトにキモチ良さを感じる人もいるんだ、と自分に言い聞かせるしかないのですなぁ。この映画の闇の空気や静寂は独特な雰囲気があって好きですが。それにしてもDVDタイトルに「無修正ノーカット完全版」とか入れるの、やめてくれませんかねぇ。コレが入ると途端に下衆なイメージになっちゃう。『シンドラーのリスト』に入れたりしないでしょ?
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-28 23:18:59)
15.  麦の穂をゆらす風 《ネタバレ》 
大義や理想の前で弱き者が犠牲になり、肉親の絆すらも断ち切られる。痛い映画です。戦争がもたらす傷は、その時だけのものではなく、ずっとずっと後の時代になっても残り続けます。この映画で描かれたような悲劇はアイルランドだけではなく、ドイツや朝鮮半島、ソ連崩壊後の国々、そしてイラクでも現在進行形で続いています。志を同じにしながらやがて仲違いしてゆく1組の兄弟の姿を通して、大義や思想に縛られる事、それを人間性よりも優先してしまう事の恐ろしさを説いています。この映画に出てくる人々は皆、熱く語りながらどことなくクールで、それゆえ強い感情移入はせず、ラストでも涙は出ませんでしたが、心にずっしりと重くのしかかってくるものが残りました。ちょっとカメラが動きすぎで像がブレてる事が多かったのが残念ですが、兄弟や幼なじみを殺さなければならないという異常さが異常ではない状態が訪れる可能性が誰にでもある、という事を力強く示してみせた力作でした。
[映画館(字幕)] 8点(2007-05-26 22:13:20)
16.  虹をわたる風船 《ネタバレ》 
この映画を語る時に、もう一本の映画を引き合いに出さないワケにはいかないのですが、タイトル出した時点でネタバレになるというジレンマにうーむむと苦悩。えーとつまりこの頃のイタリア映画界は節操がなかったなぁ、と。で、この映画は不幸な可哀想な少年の物語で、最後の最後にああ、なんて可哀想なんでしょう、とピークまで到達する・・・かと思いきや、いきなりサッと避けてみせます。うお?何故そこで盛り上げないで突如ファンタジーになる?って感じなんですが、それは少年に対するせめてもの救いとしての描写、という風に解釈しておきましょう。さあ、来るぞ来るぞ、と思ってたこちら側はスカーッと空振り状態になるカンジではあるのですが・・・。もっとも、名画座でこれを見た当時はまだ映画ファンになりたてな中学生だったワケで、今だったら確実に激しくツッコミ入れてますな。
[映画館(字幕)] 6点(2006-08-26 00:50:16)
17.  気狂いピエロ
ゴダールにとって映画とはキャンバスであり日記帳であり原稿用紙であり心のゴミ箱であり、何かを表現するための自由な場であるのだなぁ、とつくずく思わせる映画でありました。この鮮烈な色彩、詩的な語り、そして自在過ぎて追いつけない展開・・・。作る側も見る側も、映画というもののフォーマット、ルールを限定してしまいがちですが、ゴダールは遥かに自由な表現者で、だから見る側としては真っ白なままで向かい合うのがいちばんなのかな、と思ったりもします。経験が共感を生む瞬間もあるかもしれない、全く受け付けないかもしれない、でも、何かしらのイメージが心に残るとすれば、それで十分なのです。1から10まで、手取り足取り導いてくれる映画と違って、そこに求められるのは理解や共感ではなく、ただゴダールの色なのだと。私にとっての「気狂いピエロ」は、ただフランスの風景の中にアンナ・カリーナが存在しているだけで十分です、って状態なんですけどね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-03 14:06:47)(良:1票)
18.  グレート・ハンティング
今ならばとても考えられない事なのですが、こういう映画が、結構ご立派な映画館にかかってる時代があったのですよね。当時、1000人以上入る渋谷の映画館に、友達の誘いでイヤイヤながら見に行った私。風邪をひいていて上映中延々と咳き込むという、迷惑この上ない観客状態になっていて、結構お客さんが入っている中、なるべく咳が出ないように息を止め続け、ひたすら苦しかった記憶ばかりが甦ります。さて、映画はサファリランドのライオンが人を襲う8ミリフィルムがメインになっていて、このショッキングなシーンをメインにした絵柄の映画館の看板をしっかりと覚えておりますが(口を血まみれにしたライオン達の間から、靴下を履いた足が突き立っているとゆー)、実のところ、なんちゅーか「おっさん、あんたアホやろ」みたいな映像で、現在頭の中に再生されるそれは、相当にチープでバカっぽい状態です。ですが当時は結構恐い思いをした記憶があって、モンド映画の時代の経験をリアルタイムに刻んでくれた事に感謝・・・したくはないなぁ・・・。そうそう原住民の方々が大地に穴開けて、えっほえっほとハゲんでいる映像は、私がそーゆー知識に目覚めた時期に符号していて、なんとなく甘酸っぱい記憶かも・・・ってイヤな甘酸っぱさだな・・・。
[映画館(字幕)] 2点(2005-05-19 00:14:23)
19.  キングダム・オブ・ヘブン 《ネタバレ》 
最初の方は波乱万丈、怒涛の展開でホンマかいな?って状態なんですけど、中盤以降は良くも悪くも、それなりのポジションに落ち着いてきます。んー、正直に言っちゃうとリアルで良くできた「ロード・オブ・ザ・リング」。「ロード・オブ・ザ・リング」にはまだ『CGです』『ミニチュアです』っていうのがモロに出てしまっている映像があって、それが風景を狭く感じさせてしまっていたりしたのですが、これはもうどこまでがロケでどこからがCGなのか、ちっとも判別できない状態。雄大な風景の中で展開する活劇はさすがのダイナミズム。一方で美しい映像も沢山あって、落ち着きのないカメラワークとさっさと切り替わるカット割りが残念。でも、この映画最大の問題は、ファンの方には申し訳ないのですが、オーランドに主役を張るだけの魅力が欠けてる気がする、って事ですね。これを、もっと強いオーラを放つ人が演じたならば、脇までも輝かせたと思うんです。リーアム・ニーソンにしろ、ジェレミー・アイアンズにしろ、主人公との繋がりに強いイメージが湧いてこないんですよね。ヒロインもなんだか影の薄い感じですし(時々ミニー・ドライバーやジャニーン・ガラファロみたいに見えたり)。リドリーの映像美とダイナミズムを描く力によって、「史劇ぃ?ラブロマンスぅ?」という私をあんまり刺激しない題材が、とても見応えあるものに昇華されていましたが、いかんせん、主役がねぇ・・・。つーか、あの厚みのあるカブリモノみたいな髪型だけでもどーにかならなかったのかなぁ。そうそう、自作のパロディをワザとやってるでしょ?みたいな映像満載だったのですが、流石に「エイリアン」や「ブレードランナー」はないよなぁ、と思ったら・・・笑いました。
[試写会(字幕)] 7点(2005-04-14 00:06:52)
20.  スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 《ネタバレ》 
あー、なんかもー絶対に判る人にしか判らない、でも判る人にとってはこの監督、バカでしょ、すっげーバカでしょっ、ってツッコまれちゃう(と言っても褒め言葉ですけど)映画ではありました。なんでまたジュード・ロウにしろグウィネスにしろ(まあ、アンジェリーナ・ジョリーはともかく)、こんなおバカ映画に出ちゃってますかぁ、とツッコミたいところですが、懐かしのレトロフューチャーでコテコテに彩られた世界にぴったりとハマっております。ソフトフォーカスの中で輝くグウィネスなんか、この人、こんなにキレイだったっけ?ってくらい。古き時代のアメリカ漫画映画をそのまま再現する、ブリキと手描きイラストで作られたような世界にうっとり。安易なアクションやスペクタクルの代用ではなくて、明確な美術を表現するために使われているCGは、デジタルの正しい使い方を示しているような気がします。一方で、ジュディー・ガーランドを背景にしちゃったり、『キング・コング』だったり『007』だったり、はたまた番地が1138だったりと節操のない映画バカっぷりを見せちゃってたりするあたりに、ミョーな親近感を覚えたり。古き良き時代の漫画映画を実写で再現した、ただそれだけの映画なので、最近のハリウッドの最先端娯楽映画を期待してしまうと激甘に感じてしまうかもしれませんが、私としては無条件に「最高のバカですね!」と褒めてあげたい映画でした。さて、あちこちで宮崎アニメの影響が取り沙汰されてしまっているこの映画、実はフライシャーのアニメが原点で、宮崎駿も同じフライシャーの影響を受けまくっているのよ、という事を知っておいて下さいませ。最近、日本のアニメのパクリ!というのが色々と問題視されておりますが、これも同一視されちゃうと、フライシャー兄弟が可哀想。
[映画館(字幕)] 9点(2004-11-27 20:49:26)(良:3票)
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