1. シベリア超特急
ほんとうに、もうなんていったらいいか。監督・脚本・主演、このうちどれかひとつでもほかの人がやってたら、ここまでのレベルのものを完成できなかったと思いまつ。シベリアってほんと寒いんだなと思ったでつ。 0点(2003-08-11 22:26:46)(笑:4票) |
2. スリー・ビルボード
《ネタバレ》 このところTwitterで読んで意識してきたこと。ひとつは、実社会は暴力が支配しているということ。もうひとつ、正しさは暴力の免罪符ではないということ。この映画を観ながらそのことを考えてました。レイプは暴力、さらに焼き殺してる。捜査が進まないことに対し名指しで看板を立てるのも、法律ギリギリを狙った暴力でしょう。署長が膵臓がんであることをわかってやってるなら尚更だ。紳士的で人格者なウィロビーの拳銃自殺は、それを周囲に見せつけることまで考えればまわりにとって暴力だ。ディクソンは幼稚で粗暴、コントロールできてない乱暴者。家を出て19歳と一緒になっちゃう元DV夫も乱暴だし、嫁の看板に放火するのは暴力。誤解とはいえ看板燃やされた腹いせに警察署に火炎瓶はないな。暴力が暴力を産む中、広告屋レッドのオレンジジュースで連鎖は止まる。ウィロビーの遺言もあってか、生まれ変わったようなディクソンは、もしかしたらいい警官になれたかもしれない。でも世の中そんなに甘くない。 暴力に対してただ単に無抵抗でいることは、消極的にとはいえそれを肯定することだ。だから泣き寝入りは論外。でも、変えられない状況を打開し抗議を示す行動は時として暴力となる。それは問題解決の手段としてベストじゃない。セカンドワーストかもしれない。暴力を重ねる愚かしさを許し合い、支え合って前に進む。 ラストでアイダホにドライブする2人は、どこかモヤモヤしたまま最後には思いとどまるのか。なんかそんな気がする。スッキリしないけどね。勧善懲悪のアクション映画よかこっちの方が現実的で余韻がある。 [映画館(字幕)] 6点(2018-04-15 14:53:40)(良:3票) |
3. シェイプ・オブ・ウォーター
《ネタバレ》 職場近くのシネコンのレイトショーで鑑賞。予告編のくたびれた感じのイライザに妙な色気を感じたもので。オープニングの水没した部屋は加藤久仁生監督の「つみきのいえ」を思い出しました。ファンタジー…っていうか、コミックを読む感じですね。全体的にカリカチュアライズされたキャラクター群。世の中がシンプルで暴力が今より容認されていた、ノスタルジックでいながら今見るとたしかにいびつなあの時代。時期としては少しズレてるかもだけど、「ブラックジャック」とかの手塚マンガに似てるなって思ったのよ。オナニーとか性交、血みどろのシーンもあったけど、それでもやっぱり手塚治虫な感じ。田中圭一ではなくて。目的はエロじゃない。人として繋がること、なのかな。ジャイルズよりもゼルダよりも、もっと強く、もっと近くに居たい。セックスは手段…だと思うんだけどねー。そもそも「話せない」「女性」が性的にアクティブであっちゃおかしいかな。あれは『私、生きてる!私は私のもの!』って叫んでたんだと思うよ。 それと、同じセックスでもストリックランド&嫁のセックスとイライザ&半魚人のセックスは見てて意味が全然違うのわかるよね。 でね、最後のシーン。半魚人…ていうか彼のヒーリング能力は、救いとか希望とかそんな感じ。バッドエンドではない、ハッピーエンドであってほしい、そんな希望をこめて。祈りなのかな。 [映画館(字幕)] 7点(2018-03-18 20:02:27)(良:2票) |
4. リング(1998)
ごめんなさい。良い点がみつかりませんでした。 4点(2003-08-09 20:59:59)(笑:1票) (良:1票) |
5. コレクター(1965)
むかしNHKでやってて2回観たの。で、大学の頃ジョンファウルズ(だったっけ?)の原作が新書で出ててそれも読んだの。理解されたい愛されたいって言いながら自己中に暴走してるようで、子供心にも「なんかちがう」っていう違和感を覚えつつ、なんか惹かれるのでした。『ボクシングへレナ』とか『完全なる飼育』なんていうほかの監禁ものに対し、ラストで再びワゴンを流すこちらの主人公には底知れない深い心の闇をかんじるの。そしてそれに対してかすかに共鳴している自分の中の闇の部分に気づくのかもしんない。 でね、やっぱり「恋」と「愛」は別物だなって思うんだよね。 [地上波(吹替)] 8点(2003-07-26 14:34:35)(良:1票) |
6. サベイランス(2008)
《ネタバレ》 私はこの空気感というか、勿体ぶった謎めいた感じに違和感はなかったので楽しめました。謎解きというより、例えば『No Country for Old Men』のアントン・シガーをみているような、どこか共犯のようなというか、異常な犯罪者の行動をどこか期待して眺めていたような気がします。なんというか、「やっぱ、キ○ガイはこうでなきゃ」みたいな思いが私の中にあったんだと思います。たとえ悪徳警官やジャンキーであっても、本物のキ○ガイの前では無力でした。そしてそのキ○ガイたちも、無垢な少女には何か共鳴する部分を見つけて手出しをしない。誠に、私にとっては、こうあってほしいキ○ガイのありかたそのものでした。Bill Pullmanさん、だいぶ老けましたが良い感じでした。所長を撃ち殺した直後の、ブチ切れ方が素敵でした。微妙に抑えめの、そしてそれがかえってリアルなキ○ガイぽくて好きでした。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-20 15:38:34)(良:1票) |
7. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 う~ん…ごめん。この点数だ。なんでかな。イーストウッドも良かったし、フリーマンさんもいつも通りだったし。スワンクに至っては2度目のオスカーも当然って感じだった。たぶん先に原作の小説読んじゃったのと、先に"Boys don't cry"のスワンク観てイメージ固めちゃったのもあるかな。マギーの家族の最低ぶりは原作よりちょっとひどい、青熊の極悪ぶりもちょっと…あれ故意じゃなく事故だったはず。なんかこれでリアリティー薄れた感あった。それと宗教と自殺の問題。なんかそういうのにこだわって脚本いじってるのかな。そもそもフランキーがマギーに対して決断したのは、マギーの父がアクセルを葬ったエピソードが重要な役割を果たしてたと思うんだけど、心なしかこの重要な部分をあえてあっさり触れただけで済ましてる気がした。ていうかそこなんだよな。マギーを解放してやる理由、そこを原作のままストレートにやっちゃう訳にはいかなかったからいじった、そうじゃないかな。国内の宗教関係者の反発を少しでもそらしたかったからとか。個人的にそういったことがひっかかって醒めてしまったよ。なんか政治的なものが感じられてさ。それでもやっぱり論議は呼んだんだよね。ならこんな不自然なストーリィのこねまわしかたは避けて欲しかったかも。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-03 01:05:21)(良:1票) |
8. 万引き家族
《ネタバレ》 リベラルな嫁の希望によりレイトショーで鑑賞。公開前の前評判に政権批判を絡めたようなものや逆に感情的に叩くようなものが散見されたので、どんなもんかなと少し引き気味に観に行きました。リリーさん、期待通りのクズ感出してていいなー。樹木希林さん、あえて入れ歯なしのババア感出してて、おお、ぐいぐいきてるな。安藤サクラさん、クソだらしない食い方喋り方、うんうん。ちゃんと最低なモノは最低として撮してる。暖かい、でも下品、無責任。家族ぽいけど、どこまでが血縁なのかな…と、なかなか種明かしはされないまま。コソ泥的な罪をいくつも重ねながら、でも『〜であるべき!』みたいな価値観の押し付けはなく、『まあ、いいじゃん』ていう刹那的空気が流れ、やがて来る破綻の予感。初枝(樹木)の死を見越したように、みんなで海に。そして初枝の死とともに様々なものが崩れていく。そう、祥太にはわかってた。この安らぎはいっときの逃げ場なだけ。その先には何もない。だからゆりまでコソ泥の仲間になんて出来ない。終わらせなきゃいけない家族だったんだ。 パンフにあったと思ったけど、これタイトルはあくまで仮だったはずで、監督は『声に出して呼んで』みたいなのにしたかったのにプロデューサーの希望で『万引〜』になったとか。なんか色々、映画作るのも大変だ。治(リリー)が「おとうさん」てよばれたかったって下りがあったけど甘いよなぁ。最後に祥太を見送ってバスを追いかける場面あったけど、引きずっててるのは治。祥太は未来を見てる。ほんとは会いに行っちゃいけないよ。そして祥太もゆりも普通の世界に戻っていく。 この映画について、作品の中身と乖離したようなレビューやらインタビューやら様々に垂れ流されていますが、私が見る限りそういうイデオロギー論争を喚起するような内容ではないかと思います。パルムドールって言われてもピンときませんが。うーむ、点数辛いかな。 [映画館(邦画)] 6点(2018-07-22 16:20:48)(笑:1票) |
9. ピアニスト
切ないでつ。途中何度もDVD止めちゃいました。性的嗜好が異常っていうより、これは傷ついた心の悲鳴みたいに感じたでつ。逃げ場になるはずの母親は娘を見ていない。内面を理解しようとしてない。だから無表情な仮面で内面的に幼い自分を守る。そう、あたしにはエリカが少女のように幼くみえたのでした。ホッケーのクラブハウスのシーンなんて特に。幼いから不器用。恋愛でも直球勝負。剛速球すぎまつ。てゆうかもっと駆け引きしろよ~。エリカがっついてるぞ~。でもそれはセク~スにがっついてるんじゃない。心のつながりが欲しかった。受け止めてほしかったんじゃないかな。そう思ったの。と、今回ものめりこんでいるわたくし。 9点(2003-08-08 00:48:23)(良:1票) |
10. グレイテスト・ショーマン
《ネタバレ》 嫁と近所のシネコンで鑑賞。たまたまやってて時間潰しに入った感じ。期待してなくて、ミュージカルだからかストーリーもありがち展開してて、ああもうって、はじめは寝る気満々だったのね。でもフィリップ出てきてThe Other Side、ジェニー・リンドがNever Enough(圧倒!)、そして髭面レティのThis Is Me(パワフル!そして圧巻のモブダンス)。もうね、シートの肘掛握りしめて腰浮かせて半立ち。すごい高揚感。いゃーミュージカルってほんっとうにイイですねっっ‼︎て言いながら(故)水野晴郎に頬ずりしたくなるくらい。ダンスと音楽だけなら文句なし満点です。理屈っぽい嫁も黙って最後まで観てたし。 p.s. 翌週、嫁の出張中に再度レイトショーで鑑賞、やっぱいいなー。最初はストーリー部分の薄さが気になってたけど、2回目は適当に脳内補正して行間が埋まる感じでそれほど違和感無いかも。嫁に出先でOSTアルバム買ってもらいました。 [映画館(字幕)] 8点(2018-02-18 22:30:06)(良:1票) |
11. グリーンブック
《ネタバレ》 嫁とシネコンのレイトショーで鑑賞。アメリカの公民権運動の時代が好みのテーマなので私の趣味に合わせてもらいました。うん、悪くなかったのですが、小綺麗というかなんか期待の手前くらいまでで終わっちゃう感じでですね。さわやかな友情モノというか、デート終わって門限までに玄関前に乗り付けてノータッチのままおやすみなさいみたいなね。思えば80年代から90年代にかけて何本か観てきた黒人社会やそれを含めたアメリカ社会を描いた作品、あれらに比べれば本当に軽い薄い味気ない印象です。50年代から60年代にかけての公民権運動の時代を実体験した世代が居なくなってしまったからなのか、昨今のポリコレによる自主規制なのか。ドンは黒人らしくない白人好みの黒人だし、トニーも下流の白人ながら優等生的な素直さで偏見をなくしてゆき、そして芽生える美しい友情…。いや実話がベースってことだし、一応南部社会の理不尽な差別・暴力や黒人社会の下衆い部分にも触れてましたが、全体的に「きれいなジャイアン」のような印象でなんだか素直に入って来ませんでした。こういうのが最近の流行りで作品賞とか取っちゃうんだ、どうなったんだアメリカ?てか、私が年老いただけなのか。 ま、悪くはないんですよ。 [映画館(字幕)] 6点(2019-05-14 09:57:18)(良:1票) |
12. 鮫肌男と桃尻女
はじめ原作の漫画を読んだときすでに十分映画っぽい内容でしたが、映画は原作そのままじゃなかったの。原作には若人"我修院"あきらの山田君はいなかったの。でも、この映画は山田君につきるの。暗視スコープで2丁拳銃のアブナイ山田君なの。すごいの。ブルーベルベットのデニス・ホッパーくらいの存在感。山田君最高でつ。もうこれは恋でつ。 9点(2003-07-30 23:56:09)(笑:1票) |
13. ゴッドファーザー
《ネタバレ》 何度か観てますが、年がいってから観て思うことのほうが多いでつ。 ヤクザ・ギャングものということで『仁義なき戦い』を引き合いに出す方もいらっしゃいまつが私は別物と感じたでつ。広能も武田も所詮は組織の中の一人であるのに対しビトゥやマイケルは責任を持つ代表者で、考え方や行動そしてその理由が全く別レベルにあるように思えまつ。確かに暴力や殺人といった手段を躊躇無く選択する点では同じかもしれないでつが、特にビトゥには社会との共存やある面での社会への貢献のようなものを志向しているように感じられまつ。街とともに生きる、これが古いタイプのマフィアということなのでしょうか。これに対しマイケルは戦後の経済的なパワーゲームに向かう流れの中、経営基盤の強化のためラスベガスへ本拠地移転してしまいまつ。拠り所を街ではなくファミリーに求めるようになり、その結束を固めようとしてさらに孤独は深まりまつ。一族経営のヤリ手二代目社長の苦悩みたいな、こんな感じがどこか共感を呼んでいるのではないかと思った次第でつ。 パート2とは続けて鑑賞、これ必須と思いまつ。 [DVD(字幕)] 9点(2006-12-26 11:45:18)(良:1票) |
14. 東京ゾンビ
ネット上で拝見。いやもうある意味すごい。これが哀川翔&浅野忠信でなけりゃクソもクソ、聳え立つクソの山なんだけどさ。花くまゆうさくの漫画が原作?メカ★アフロくん描いた人ね。そしたらこれは原作抜きにストーリーとか演出とかカメラアングルを語るべき作品じゃないよね。それでも、もとのコミック読んでないあたしにも、こんなおバカ丸出しの作品を哀川・浅野が引き受けたっていうのがスゲー面白い。さんざんセリフで繰り返される「ばっかじゃねーの」がまさにこの作品の言わんとするメッセージなんじゃないかな。しかも思いっきりすべってるし。柔術関係のとこだけはきちんと掘り下げてるから、野郎同士でビール片手に見ながら柔術ゴッコして遊ぶための作品…なのかな。てか、ほんとばっかじゃねーの? [インターネット(字幕)] 6点(2008-02-03 09:38:53)(良:1票) |