1. 時計じかけのオレンジ
この映画を観て「気分が悪い」といった類の感想をもつのは当然であって、それこそ監督の狙ったところではないでしょうか。そう思ってしまった時点で、監督からすれば10点満点の観客だと思うのですがどうでしょう。 なので、その「気分が悪い」の理由を考えず、ただ単に「気分が悪いのはダメなもの」と解釈して放り出して0点をつけてしまうのは、思考停止に過ぎないし、あまりにもったいない気がします。娯楽性のみを求めてこの作品を観たのならばなおさらもったいない。まぁそういった意味でも、この映画を前にしてしまっては、0から10の11段階の点数をつけるなんていうのはあまり意味を持たない気もします。あの「第九」へのイメージを180度変えさせられてしまった時点で見事に術中にハマってるんですからね。 「おもしろい」というのはなにも、腹をかかえてゲラゲラ笑うことだけを意味するのではなく、こういう衝撃も「おもしろい」という感情の部類に入るのだな、と実感させてくれる映画でした。この衝撃をうまく言葉に変換する能力がないのが残念です。知恵熱でそう。というわけで、9点です。マイナス1点は、観せたい人を選んでしまうから、という理由です。作品としては10点。もっと多くの映画や本を消化して成長してから、またこの狂気に触れたいと思います。 【追記】余談ですが、主人公が他人を殴ろうとすると吐き気をもよおすシーンを観て、力石徹戦後の矢吹丈を思い出しました。おっつぁん・・・テンプルに打ち込めねぇ・・・。 [DVD(吹替)] 9点(2005-11-02 04:28:01)(笑:2票) (良:2票) |
2. ALWAYS 三丁目の夕日
当方、現役大学生です。ちょうど親の世代がこの映画の舞台の主役になるのでしょうか。そんな現代っ子がこの映画を観た感想をひとつ、ふたつ。 なんせ自分にとって、この映画の舞台はテレビや映画でしか観たことのない世界ですから、「感情移入」という点では圧倒的に不利だと思います。だからと言ってまったく何の感慨もないかというと、そういうわけでもない。しかしリアルでもない。いたるところに違和感がありました。それは、序盤から中盤にかけてのテンポの悪さや、周りは笑っているけれども自分にはそれほどパシっとこない笑い、これみよがしに見せ付けられる「ほらこの時代は良かったでしょ?」というあざといメッセージ、はたまたその後の展開がバレバレな伏線など、おそらくこの映画がターゲットとしている層との感覚やセンスの違いからくるものだと思われます。そういう意味では、ターゲットの方々はきちんとハマれるような仕上がりなんでしょうか。 そして後半に泣かせどころがあるわけですが、これはまぁ気を許せば泣けるには泣ける。ただし、それは決して感慨深いものではなく、どんなモノでも食べればうんこと小便になるのと同じような、「こうされたらこうなるやろう」っていう必然的な泣きだったような気がします。生理的というか原理的というか。あとには残らない塩分の薄い涙が流れます。おまけに「さぁ小便しろ!うんこしろ!」と強いられてるようで、ちょっと素直にはなれませんでした。 勘違いしてもらいたくないのは、決して悪い映画ではない、ということです。ただし、観せたい人を選んでしまう(自分のような人種や外国人には不向き)という点を考慮して、この点数をつけさせていただきます。ちゃんとターゲットがはまれば、7点くらいあげてもいいかも。「涙を流させるという行為」をうまく商品化した典型例のようないい作品だと思いますよ。というわけで、6点。できれば予告編は観ずに劇場に足を運んでください。DVDが発売されて、この高すぎる平均点が落ち着くことを祈っています。 【追記】あの子役の彼はサンタクロースのことをどう思ってるんでしょうか。俺は小学校の5年生のときまで信じてたんですが。俳優やってると、いろいろ大変ですね。 [映画館(吹替)] 6点(2005-11-12 23:51:18)(良:3票) |
3. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
《ネタバレ》 過去にリリースされたテレビや劇場版の「エヴァ」は、「ヤマアラシのジレンマ」という言葉にに象徴される「登場人物たちのギリギリのところで保たれる関係性」が見所のひとつだった。しかし新劇場版は登場人物たちが一歩二歩と互いに歩み寄り、その関係性を濃くすることに成功している。その結果、いくぶんかの希望が見える。これはエヴァンゲリオンという作品が当時エヴァに熱狂したいわゆる「エヴァ世代」の成長と歩調を合わせて進化した結果のように感じられる。過去のエヴァとは異なり、劇中に見られる登場人物たちの能動的な行動がそれを証明しているのではないだろうか。これはおそらく次回作以降への大きな複線だと思われる。よってこの作品は単体で評価されるべきものではないだろうし、あとから見直すことで異なる評価や見方ができると思う。そういった意味では、この作品は単なる中継ぎではなく、全体を通して計算された大いなる野望作だと感じた。 しかしエヴァの魅力のひとつだった「孤独感」や「緊張感」に端を発した「危うさ」が緩和されたことにより、そこに大きな物足りなさを感じたことは否定できない。これはまぎれもなく「エヴァ」だが、同時に「ヱヴァ」であり、「エヴァ」とは同質ではない。深夜にアナログテレビにかじりついて見た「俺のエヴァ」ではないのだ。「いつまでも友達でいよう」「翼をください」と、本来、アニメ的な描写により表現すべき主題を歌に託した演出は、かなり説明的で野暮ったく、おおよそ「エヴァ」らしい繊細な表現にかなわなかった。CGを駆使した尋常ではないクオリティは強烈な説得力を持ち、新しく構築されていく「ヱヴァ」の世界には大いに興奮させられたが、なぜそれを生かすことができなかったのか。どこまでいっても「エヴァ」とは袂を分けた「ヱヴァ」であることに違和感があった。しかし同時に、この違和感をうまく吸収し順応することを強いる作品としての「エヴァ」の影響力の大きさは偉大だと思った。 というわけでいまのところ7点。過去にエヴァを経験していなければ価値はぐっと下がると思います。次回作までに8点、9点がつけられるようになりたいです。 [映画館(邦画)] 7点(2009-07-06 16:14:17)(良:3票) |
4. DRAGONBALL EVOLUTION
《ネタバレ》 話のネタとしても、罰ゲームとしても、誰も得することのない90分を提供してくれる画期的な映画です。「ひょっとしたら化けてるかも・・・」と甘い期待を抱くのはこの映画には酷すぎて話になりません。レビュー書くのもアホらしい。というわけで、この映画をゲーム化したバンダイナムコゲームスに1点、あと、ハリウッドでも冷遇される(どころか出演すらない)もうひとりのマフーバの使い手、天津飯さんに情けの1点を献上します。映画自体は0点。ドラゴンボール世代なめんな! 【追記】やっと地獄から解放されたと放心しているところに襲いくる絶望の続編フラグをお見逃しなく! [映画館(字幕)] 2点(2009-03-22 01:42:13)(笑:2票) |
5. 茶の味
ようするに短編集。ショートコント集。全体的にほのぼのとしたシュール、というかナンセンスな空気が漂っている。それがことごとくさむくておもしろくないので、たまらない。アイデアが先行してしまってて、そのほかの部分がぜんぜんついていってない気がする。 監督はこの映画を「俺のセンスが分かるやつだけついてきてくれたらいい」という意気込みで作ったんじゃないだろうか。「俺はこんな画が撮りたかったんだよーほら観てくれよ」と。でも、その意気込みにまったくついていけなかった自分にとっては、観ているとちゅうで息絶えてしまいそうなくらい、むだに長くて、つまらなくて、けっきょく何をしたくて伝えたいのか、さっぱり分からない映画だった。 「茶の味」と銘打ってほのぼの感をアピールするのは悪くない。でも、「ほのぼの」というのは、たいしたフリもヤマもオチもない、ただただぼーっとしたモノのことを指すのだろうか。そうじゃないと思う。たとえそうだとしても、「映画」という場でそれをやってまうのは、俺のセンスには合わない。だからついていきません。3点。 [DVD(吹替)] 3点(2005-10-31 02:57:25)(良:2票) |
6. ブリジット・ジョーンズの日記
単純に「まったくおもしろくなかった」です。30年やそこらまったくモテなかった女性が、何の努力もなしにある日いきなり2人の男前に迫られる、ってまったくリアリティがないじゃないですか。「ありのままでいい」って、んなアホな。全体的にノリが軽すぎて、まったく感情移入できませんでした。というか、男性はこの映画のどこに感情移入すればいいのでしょうか。 少なくとも、この映画がおもしろい!という女性には迫りたくないなぁと思った次第であります。というわけで、4点です。4点というところに、俺の迷いがあります。俺もモテないので、女性を敵に回したくない。 [DVD(字幕)] 4点(2005-11-02 05:11:34)(笑:1票) (良:1票) |
7. しんぼる
わるく言うと、「自分の作りたいものを作ってハナっから観客を楽しませようという気概のない作品」である。最近の彼の言動はその傾向が顕著だったが、やはりこの作品も同様だった。もはや「分かるやつが分かったらええねん」という意思すら感じられず、観客不在で自分の思考を表現することのみに執着している気がする。しかし、残念ながら「表現したいこと」に対して「どう表現するか」がまだまだ追いついていない。「修行」「実践」「未来」と伝えたいことはかろうじて分かるが、このテーマを扱うにはちょっと早すぎた。 肝心の笑いのパートも間が悪くアイデア不足。彼を知る人ほどむず痒いのではないか。まるでWBCで不振を極めるイチローを見るような気分だった。最後にスコーンとタイムリーヒットでも打ってくれれば救われたのだが、ラストに待ち構えていたのはNHK教育の「天才てれび君」を観ているのかと思わせるようなCG。予算か納期に難があったとしか思えない。演技も狙いなのか何なのか分からないがお世辞にも上手いとは言い難かった。ここまでくると松本信者であっても救いようのない出来だと感じた。 松本監督の前作「大日本人」でも同じようなことを指摘したが、この作品はその性格上、宣伝のために松本人志が自らテレビのバラエティ番組に出演するなど大掛かりなプロモーションを展開して全国で拡大上映するようなものでは決してない。「かわいいパジャマが」とか「天使が」とか、そこは本質ではない。から騒ぎを毎週楽しみにしているような女の子でも誘おうものなら間違いなく痛い目に遭うので要注意。あくまでひとりで観る映画だと思う。 次作があるのかどうか分からないが、もしかすると彼は一度、いつものブレーン達と仕事をするのをやめたほうが良いのかもしれない。少なくとも主演から降りて、誰かに演じさせることを学んだほうが良いだろう。何にしてもこの作品と結婚がきっかけになって、彼によって植え付けられた笑いのDNAが再点火するような作品が登場することを心待ちにしている。 [映画館(邦画)] 4点(2009-09-13 05:35:47)(良:2票) |
8. 秒速5センチメートル(2007)
どうしようもなく切なくなるからあえて自分から遠ざけていた青臭さと、実写よりはるかにリアルな繊細な映像美に、たった1時間で心をかき乱だされる良作。このテのテーマを直球勝負で語られることに拒絶反応を示す人は必ず存在しますので、賛否が大きく分かれるのであれば、それはこの作品の完成度の高さを裏付けているのではないでしょうか。その真偽は、レビューではなく一度作品を観ることで判断してください。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-03-08 22:23:22)(良:2票) |
9. ターミネーター4
ことあるごとに地上波で放送されるターミネーター2を観るにつけ、このシリーズの魅力は、人間のカタチをした無機質で無表情なロボットがいつになってもくたばらずにいやらしくネチネチと愚直に地の果てまでも追いかけてきて、屈強なお母さんをして「もうやだこの子!」と言わしめる恐怖感であるとつくづく思う。しかし最新作である本作は「ターミネーター」を冠しているにも関わらず、そのスキームはさておきなにやら怪しげなサーガを築こうとしている。4作目ともなればこういう方向への鞍替は想定の範囲内だが、それにしてもつっこみどころ、というか、合点のいかないところが多すぎる・・・というのが正直な感想。 たとえば、戦いを通して「人間」であることを証明したマーカスに対して、かのような方法でコナーを生かせる、というのは脚本ミスでないかと思う。「ターミネーターとの戦いにおいて犠牲の上に成り立つ生を描いた」のであれば、それはこの作品においては詭弁だ。散りばめられた旧作へのオマージュもファンには嬉しいが、コンセプトの段階でちょっと「ちがう」んじゃないかと思う。戦争映画として鞍替えするならとことんやるべきで、人類軍やジョンコナーの悲壮感をもっと丁寧に描くべきだと思う。そうでないなら「ターミネーター」である以上、絶体絶命の恐怖感をとことんまで追求するのが筋ではないか。大量のターミネーターたちがどこかで見たただの戦闘ロボットとしてそこに存在してしまっているのはいささか寂しい。そこをふまえたうえでオマージュをやってほしい。なんのための「ダダン・ダン・ダダン!」なのか、なんのためのカリフォルニア州知事なのか、さっぱり分からない。やりたいだけやん、っていう。そしたら俺も「おお、そうなのか」としか言えない。化学調味料のように「ターミネーター」をふりかけるのであれば、俺は最新作ではなく、いつになってもターミネーター2を観る。 この作品がつまらないわけでは決してない。押さえるべき文法はしっかり押さえられており、娯楽映画としては十分に楽しめる。さらに、本編の時間軸の把握がしにくいため、過去のターミネーターを振り返ってみたい、と思わせる点においても秀逸だ。これは怪我の功名とも言えよう。しかし、「ターミネーター」としてはもう少し練り込む余地と責務があったのではないかと思う。惜しい。というわけで6点。次回作に期待。 [映画館(字幕)] 6点(2009-07-06 18:10:12)(良:2票) |
10. マッハ!!!!!!!!
要するに、走ったり跳んだり、とにかくすごいことをやってみた、というシーンを見せたかっただけでは。流れをぶった切ってるリプレイがそれを象徴してますよね。障害物の配置もあきらかに狙ってるし。「ほらこれ越えまっせー!どやすごいやろ!俺こんなんもできるんやでー!見たってーやー!この角度なんかどないでっかー!」みたいな。 すごいことをさらりとやってのけて、さらにそこに工夫やユーモアがある、というのがこの手のアクション映画の理想だと思うのですがどうでしょう。べつに俺はびっくり人間ショーを見たいわけじゃないです。アクション映画を観たいのです。というわけで、4点。そこまでできることはよく分かったので、もういっこ上のレベルで頑張ってほしいです。 [DVD(字幕)] 4点(2005-11-13 03:16:04)(良:2票) |
11. アメリカン・パイ
高校生がセックスすることにありえないくらい情熱を燃やすのはどの国でも同じなんですね。下ネタ大好きなのでこういうのはおもしろく観れる自信はあったんですが・・・。 描き方が陽気なアメリカーンでおもしろくなかったです。日本の高校生はセックスのことを考えていますが、女の子と合コン同然のパーティーをする文化なんかないですし、そもそも「セックスしたいわー」というのは男だけの共通認識の世界なんですよね。その狭い世界だけをもっと大きく描いてほしかった。女の子との間には常に溝があるべきです。あ、そう思うのは俺だけですか? これはもう、笑いのツボが全然違うんでしょうね。セックスするために見当はずれなことを必死になっていろいろ努力するってのはおもしろいんですけど、最後にセックスできてしまったらもうおもしろくないんですよねぇ。「おまえなんでそんなことやってんの!?しかもセックスできてないやーん!」というちょっと哀愁漂うバカバカしさのほうが好みです。 というわけで、5点です。高校時代にセックスのことばかり考えてた俺みたいな方は、これを観て異文化交流をしてみてください。【追記】レビューサイトに必死になってセックスセックスと書くのはどうかと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2005-12-12 14:46:37)(笑:1票) |
12. ディナーラッシュ
おもろい映画でした。いい意味で完全に裏切られました。こういう映画、けっこういけるクチです。 脱線、というかサブストーリーがけっこう多いのでどれが本線か分からず、後半まで何がしたい映画なのかさっぱり分かりませんでしたが、オチでぜんぶ解消しました。そこに至るまではややだらっとした印象はあるものの、スタイリッシュにテンポ良く観せようという気遣いがみられます。その意図に反して退屈さを感じるかもしれませんが、とりあえず我慢して観てください。そしたら「あ、あれもこれも伏線やったんやな!」という見方で2周目もいけるんじゃないでしょうか。 というわけで、7点。完全に騙されてたので8点あげてもいいかも。でも、ややインパクトに欠けるのでこの点数です。この映画の舞台はニューヨークですが、少し前に行ったバルセロナのレストランを思い出しながら観ていました。あーうまいもん喰いたいなぁ。 【追記】しかし汚い顔のババアやなぁ、あのヅラのオバハン。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-09 04:55:33)(良:1票) |
13. ドラムライン
隊列移動のシーンで、ふと「ウォーターボーイズ」を思い出しました。 ただ、異なる点は「ウォーター」のほうは全員凡人なのに対し、 こっちはひとりの異才が全員を巻き込んでいくっていう構図。 アメリカのスポ根青春ものって圧倒的に後者が多いよなぁ。日本で生まれ育った良い子ちゃんの俺には前者がお似合いです。でも後者にあこがれたり。 ラスト手前まではベタながらもそこそこ楽しんで観ることができましたが、ラストは両チームともに「すごいドラム叩き合戦」の鑑賞会みたいになってしまって、「おいおいどっちがすごいねん」と、ただぼーっと眺めるだけでした。ベタならベタでオチまでしっかり徹してくれてもよかったかなぁ。個人的には中盤のドラムソロのシーンがよかったです。 というわけで、5点。 [DVD(字幕)] 5点(2005-10-31 05:07:59)(良:1票) |
14. プライドと偏見
《ネタバレ》 誘われて行った試写会にて。男としての「プライドと偏見」に基づいた独断を少しばかり。 この映画はラブストーリーですが、デートムービーではないです。カップルではなく「『ブリジットジョーンズの日記』をおもろいと思う女性」にオススメしたいです。「ブリジット~」もこの作品も原作は同じですが(「ブリ~」は原作を現代風にアレンジ)、前者はコメディ・こっちはラブストーリーという決定的な違いがあります。しかし狙っているターゲット(独身F1層?)は同じかと。で、独身M1層に属する俺にとってはどうだったかというと、おもしろみもなにもないただ苦痛な映画でした。 一言で言い表すと、「色狂いの一家が目の色を変えて金持ちの独身男性を探す映画」です。登場人物はみんなどこかマイナス方向にズレているように描かれていて、魅力に乏しいです。ヒロインとヒーローも最初は例外ではなく、皮肉屋のヒロインが、金持ちだが愛想の悪いヒーローのことを一方的に誤解し毛嫌いします。 一方でヒーローはヒロインに惚れるのですが、残念なことにその理由は明らかにされません。で、最後はお約束どおり、誤解が解けて晴れて婚約!に至ります。しかしその動機は「金持ちのヒーローは実はいいやつだったということに気付いたから」でしかなく、ふたりが惹かれ合うに至る繊細な描写はほとんどなされていません。あくまで「金持ちであること」が婚約の前提にあるため、「金持ちでええやつやったら誰でもええんかえ」と、自分にとっては感慨深いものではなかったです。 「ラブアクチュアリー」の製作者が絡んでいるだけあって、複数の登場人物を集約させてストーリーを展開していく流れはなかなかでしたが、そのせいで世界が小さくなってしまい、前述のように設定もよくないので感情移入するには至りませんでした。こういった少女マンガのようなデキた話にどこまで首をつっこむことができるか、がこの作品の評価のボーダーラインではないでしょうか。 というわけで、4点です。上映後、ハンカチを持って目を腫らしている女性を見て「やっぱりここまで温度差が違うもんなんやなぁ」という実感を持てた、という意味ではいい映画でした。 【追記】キーラナイトレイのうなじには10点をあげたいです。 [映画館(字幕)] 4点(2005-12-15 01:23:20)(良:1票) |
15. 笑の大学
三谷幸喜氏の作品は、「12人の優しい日本人」と「ラヂオの時間」が好きです。でもこらあかん。上記ふたつをそのまんま足して2で割っただけです。しかも割り方がまずくて中身が薄くなっています。水っぽい。さむいです。 稲垣クンも役所さんと並べるとどうもなぁ。アンバランスな気がしました。その役所さんのほうも、検閲室で走り回るシーンは本格的にさむいです。劇中で修正されてく台本もおもしろくない。ベタを意識しすぎてすべってしまうパターンではないでしょうか。 その「ベタ」な台本を「おもろい」ということにしといて、この物語に説得力を持たせようとしたものの、見事に破綻した感が。 で、最後は「ほら、この映画は笑わせる映画じゃないんだよ。泣かせる映画なんだよ」ってのはずるすぎます。逃げもええとこやん。はい「不許可」。というわけで、5点です。いや、4点でもええかな。じゃあ4点で。 [DVD(吹替)] 4点(2005-10-31 05:14:53)(良:1票) |
16. スチームボーイ STEAM BOY
もうぜったいに「AKIRA」と比較されますよね。そして俺も、比較しながら観ていました。いやぁーひどいです。おもしろくなかったです。 映像はめちゃくちゃにキレイなんですがね。それだけ。誰ひとりとして魅力を感じないキャラクター、なんかいまいちパシっとこない声優、「いまさらなんでこれなん?」っていう感じのテーマ、とまぁなんだか。 これを観るなら「AKIRA」を観たほうがいいですし、他にもいっぱい観るべきアニメはあると思います。そんなにアニメ観てない俺が言うんですから、それくらいの出来なんです。というわけで、ちょっとカラクチですが5点か4点か迷って、4点。 [DVD(吹替)] 4点(2005-10-31 04:23:32)(笑:1票) |
17. 嫌われ松子の一生
劇場で観て「とても疲れた」という印象。 CM出身の監督がつくった映画って、1シーンあたりの情報量が異常に多くて観客を置いてけぼりにするオナニー的なイメージがあるが、この映画もそれが顕著。これでもかこれでもかと迫ってくる情報量に気圧されて鑑賞後はぐったりしてしまった。 ギトギトベトベト濃厚で化学調味料たっぷりなラーメン、みたいな。これは映像美とかそういう表現は相応しくない。ケミカルすぎる。このケミカルさが魅力、と言ってしまえばそれがすべてかもしれないが、こんだけ喰わされるとゲップどころかゲロ吐くよ。旨味成分足し算オンリーで映像を作るとこういう映画ができるんやなぁと素直に思った。 扱っているテーマ自体は陰影があって良い。でも、もうちょっと抜き差しして提供してくれても観客は十分に感情移入できるし、それを補完する能力はあると思うんやけどなぁ。というわけで、あともうちょいで7点、でも、くどさが不幸して6点、ということで。自宅で気楽に眺めるぶんにはちょうどいいんじゃないでしょうか。 「下妻物語」にもハマりを感じられなかった自分にとっては、この監督の映画はあまり観たいとは思えない。ま、これは相性の問題ですな。 [映画館(邦画)] 6点(2009-03-24 01:51:46)(良:1票) |
18. SURVIVE STYLE5+
ユニークさはあまり感じないが、カラフルな色彩やデザインはそこそこ楽しめる。アイデアのセンスも、あるような気もする。でも中だるみが尋常じゃない。とちゅうで昇天しそうになった。もうちょっと短いほうが見やすい。 あと、この映画の「主題」と思われる部分を、少年の「語り」だけでさらっと伝えるんじゃなくて、映像を通して伝えていってほしいと思った。ずるいやん、語りで済ませるって。 CM出身監督特集!ということで「茶の味」と同時に観たのだが、どちらも全体的に散漫な作りになっていたと思う。「あまり脈絡のない短編の集まり」のような。でも、ラストへの収束の仕方はこちらのほうがよかった。あと味も、こちらのほうが良い。 レビューの平均点は、こちらのほうが低いけど。点数も、平均点より低いけど。ラストあたりがちょっと好きなので、ギリギリ6点。 [DVD(吹替)] 6点(2005-10-31 03:15:06)(良:1票) |
19. アメリカン・ビューティー
皆さんのレビューはすべて読まさせていただきました。そのうえで、ただ一言だけ言わせてください。 アカデミー賞にふさわしいか否かという論点でしかレビューできない方、ただ単に笑ったとか下品だったとしか感じなかった方、何のおもしろみも見出せなかった方、あなた方はとても幸せだと思います。いつまでも何も疑うことなく、既存の「幸せ」のなかで暮らしていってください。でも自分にとっては、そういう方があまりに多かったことにかるい絶望を覚えました。だからと言って、ここでくたばってしまうわけにはいかんのですがね。俺はどう生きるのか。どう戦っていくのか。そんなことを考えるのはしんどさの極みですが、もはやここから逃げることはできません。この作品はアメリカだけの話じゃない。俺の話でもあり、あなたの話でもあるんですよ。 あー、とても一言じゃ終わりませんね。とりあえず、いろんな意味で正月早々に見る映画じゃないことだけは確かです。とまぁキリがないので、これにて失礼させていただきます。 [DVD(字幕)] 9点(2006-01-02 04:53:06)(良:1票) |
20. ウォーターボーイズ
テレビでも散々やっているので、もう4回目かな。演技がどうとか、商業的とか、色んなつっこみがあるでしょうが、この「学芸会的なノリ」こそが、最後のシーンの笑顔&マジ泣きの顔たちにリアリティを持たせてる気がします。あの自然な涙を見ると、いつも熱いものがこみあげてきます。 これに関しては「映画やしええやん」と言っちゃっていいんじゃないか、と思う良質の「テレビ映画」です。でも何回もドラマ化すんはどうかと。それ込みで作られてるのが残念。なんぼネタ不足か知らんが、男のシンクロで商売すんのそろそろやめよう。 もうすぐ学生を卒業してサラリーマンになる俺ですが、もしかするととんでもないお楽しみ期間をまざまざと逃してしまったんじゃないか、と泣きそうになる映画です。中学や高校のときにできなかったことは、今はもうできないけれど、今できることは今のうちにやってしまおう。そう前向きになりたい。 あとは、平山綾が反則です。あんなもんは、可愛いにきまってるやん!勘弁してくれ。というわけで、7点。 [DVD(吹替)] 7点(2005-10-31 12:37:21)(良:1票) |