Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧。5ページ目
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2392
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順12345678
投稿日付順12345678
変更日付順12345678
>> カレンダー表示
>> 通常表示
81.  明日に向って撃て!
ニューマン&レッドフォードは映画史に残る鉄壁のコンビですが、意外なことに本作と『スティング』だけなんですね。やはりその中でもこの映画が最高で、彼らとキャサリン・ロスの三人こそベスト・オブ・三角関係と呼んであげたい(対抗馬は『冒険者たち』でしょうかね)。 この映画はよくニュー・シネマ西部劇と言われますが、ニュータイプのウェスタンかもしれないけど私は決してニューシネマじゃあないと思っています。まあ主人公が最後に死ぬということぐらいがニューシネマらしさで、ときにはコミカルそしてノスタルジックな撮り方はニューシネマという範疇を超えていますし、ジョージ・ロイ・ヒルの映画監督としてのセンスの良さを存分に愉しめます。バート・バカラックのサウンド・トラックも彼の最高傑作で、最初に観たときの感動は今でも忘れられません。 映像も音楽も今観直しても全然色あせていない、珠玉の傑作です。
[映画館(字幕)] 10点(2014-08-02 22:52:27)
82.  アジャストメント 《ネタバレ》 
観始めてからしばらくすると最近観た映画にすごく良く似ている様な気がしてなりませんでした。良く考えたら、『ルル・オン・ザ・ブリッジ』でした。しかし比べてみると、主人公の行動が恋人に及ぼす影響が真逆なんですね。『ルル・オン・ザ・ブリッジ』は決して褒められる映画というわけではないですが、同じラブストーリーとして観ると文学的な香りが強くて本作よりははるかに出来が良かったと思います。 帽子を被ったおっさんたちが天使で神さまが“議長”というのは、判り易いというか単純な発想とも言えます。全ての人間の運命を管理して調整するなんて、何と言うか天使という仕事も超ハードワークですね。でもそんな苦労を無にしてしまうあのオチ、テレンス・スタンプ可哀そう(笑)。それにしても最大の?は、あのハリーなる天使がなぜマット・デイモンを手助けするのかということなんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-06-27 22:57:42)
83.  アダムス・ファミリー(1991)
昔東京12チャンネルで放映してたアニメ版が好きだったので、「うわ―懐かしい、キャラそっくりじゃん」と感心したのですが、確認してみるとアニメ版にもオリジナルにも似ていない、それぞれのキャラををデフォルメしたって感じなんですね。周りのキャラはともかくとしてアダムス親子4人については、特殊メイクで顔を造ったというより単にメイクを濃くしただけでこれだけイメージピッタリになりました、というところでしょう。もうキャスティングの妙というか、たまたま同時代にこの4人がいたところに映画の神様が微笑んでくれたって言う感じです。だってもうラウル・ジュリアは死んじゃったしクリティーナ・リッチは成熟しちゃったしアンジェリカ・ヒューストンは・・・、つまりこのメンツではもう続編は撮りたくても撮れないってわけです。 ホラー・コメディとしては良く出来ていると思いますが、特徴的なのはミュージカル要素が濃厚だったことでしょう。ラウル・ジュリアの『マムシカ』をはじめダンスシーンがゴス調の舞台に良くマッチしています。近年、『アダムス・ファミリー』はブロードウェイでミュージカルになって大評判なんだそうです。それを考えると、この映画なかなか先見の明があったわけですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-24 20:09:02)
84.  アダプテーション 《ネタバレ》 
“Adaptation”という言葉には“適応”の他には“脚色”という意味もあり、チャーリー・カウフマンが味わった既存の小説を脚色するという事の苦しみ、いわば脚本家版『81/2』というのがこの映画の醍醐味となるんでしょうね。それをスパイク・ジョーンズと組んで映像化しているのだから一筋縄でゆく訳がないです。この人の頭の中はどうなっているんだと感嘆させられるのは、双子の弟ドナルドはなんと架空の人物なんですよ。ライティング・クレジットに名を連ね、仲良くオスカ-にノミネートまでされた人物が実在していないとはちょっと凄いお話しですよね(アカデミー賞史上、架空の人物がノミネートされたのは後にも先にもこれだけ)。エンド・クレジットに“in loving memory”なんて弔辞まで出されたら、もう完璧に騙されます。 この双子をニコラス・ケイジが熱演というか怪演しており、こうやって観ると「ニコジーはヘンな奴だけど、やっぱ名優だよな」と再認識させて頂きました。性格が正反対の双子をメソッド演技で同一人物が演じる、やってるニコジーは頭がおかしくなりそうだったでしょう。ハゲで引っ込み思案のデブ中年、ハリウッド・スターでこんなキャラを演じられるのは、ニコジー、あなたしかいない! それにしても弟ドナルドが書いた『3』という脚本、なんか面白そうじゃないですか。映画化して欲しいな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-19 22:53:18)
85.  アドレナリン(2006) 《ネタバレ》 
アドレナリンを噴出し続けていないと毒がまわって死んじゃうというプロット、シンプルですけどなかなか良いアイデアです。主人公のジェイソン・ステイサム演じる殺し屋、とてもインモラルで凶暴な奴なんだけどなんか憎めないんですよね。お尻丸出しの患者着姿で走り回るところなんか、女性ファンとその種の趣味をお持ちの男性ファンには堪らないでしょう。下ネタとグロ描写が満載のおバカ映画なんだけど、これが思いがけなく面白いんだから困ってしまいます。今はやりの手ぶれカメラ映像の多用ですけど、編集が巧みなのでほとんど苦にはなりません。“Everybody's Talkin”を白バイを乗っ取って突っ走るシーンでバックに流すなんて、この監督なかなか良いセンスしてると思いました。 そして問題のラスト・シーンですけど、ジェイソン・ステイサムが一瞬とはいえ死んだ(ように見える)シーンとは、おそらく彼のフィルモグラフィの中で初めてなんじゃないでしょうか。なんせ不死身のジェイソンですからね(笑)。しかしこんな終わり方してるくせに続編を撮っちゃうんだから、『アウトレイジ・ビヨンド』の北野武も裸足で逃げ出す厚かましさです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-06-16 00:43:11)
86.  悪徳(1955) 《ネタバレ》 
まず邦題にひとこと。この映画を観て『悪徳』という邦題をつけると言うのは、ちょっと凄いセンスですね、まったく意味が通らないし映画の内容が伝わってこない。もっとも原題の“Big Knife”というのも相当に意味不明なんですがね。 内容はハリウッド・スターの内幕もので、アカ狩りでハリウッドから追放されたクリフォード・オデッツの舞台劇が原作です。主役のチャールズ・キャッスルというスターをジャック・パランスが演じているのですが、このキャッスルのモデルはやはりアカ狩りでキャリアを潰された伝説の名優ジョン・ガーフィールドであることは明白です。自分が主演しているボクシング映画を観るシーンが有り、もうこれが『ボディ・アンド・ソウル』のラストシーンそのまんまなんですから判り易い。アルドリッチは『ボディ・アンド・ソウル』で助監督してましたから、ガーフィールドにはいろいろ思い入れが有ったのかもしれません。 芸術性を追求する映画を選ぶかカネを優先して安易なスター映画に出続けるか、あのいかつい顔のジャック・パランスが苦悶する芝居を見せてくれます。ロッド・スタイガーも海千山千のプロデューサー役で粘着質な演技でジャック・パランスを苦しめます。奥さん役のアイダ・ルピノも含めてみんな大芝居な演技なんですが、ほとんど同じ部屋での室内劇なので観ていてあまり苦にならないのはアルドリッチの腕もあるでしょう。イメージと違ってジャック・パランスがなかなか高度な演技力を持った俳優だったんだと再認識させられました。 この映画は色んなところでフィルム・ノアールと紹介されていますが、ちょっとそれは違うんじゃないかなと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-26 23:53:09)
87.  アンタッチャブル
恐ろしいまでにくっきりと描かれた善と悪のコントラスト、それはもう漫画チックと呼んでも良いぐらいです。これってアメコミが原作だったっけ、と勘違いさせられるほどいじりまくったデ・パルマ、元ネタのTVシリーズや史実には全然思い入れがなかったのはミエミエですけどおかげで彼のめくるめく映像テクニックを単純明快なストーリーで堪能できるわけです。これですっかり“TVシリーズ映像化のマエストロ”という評価が業界で高まったのでしょう、それが『ミッション:インポッシブル』の監督に抜擢されることにも繋がったんでしょうね(もっともその後は続きませんでしたが)。 デ・ニーロもこの頃からヘンなキャラを怪演する悪癖が出始めたみたいで、勧善善悪ストーリーなのにカポネ演技があまりにド派手なのでどこかカポネが魅力的なキャラに見えてしまうのは皮肉です。ショーン・コネリー一世一代の名演技も、危うく喰われちゃうところでした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-02-05 21:20:05)
88.  アルマゲドン(1998) 《ネタバレ》 
数ある小惑星激突もの映画の中でも、発見から地球衝突までの時間が18日と言うのは最短記録じゃないでしょうか。政府から早期発見に失敗したと責められるビリー・ボブの言い訳がまた凄くて、「発見に必要な予算の3%しかもらっていない」とは恐れ入りました。そのせわしなさを反映して物語の展開も急スピードと言うか雑で、良くも悪くも2時間半なんかあっという間に過ぎてしまいます。でも小惑星で穴を掘り始めてからの時間感覚は逆に超スローで、あと18分で核爆弾を起爆しなければいけないと言う切羽詰まった局面でくじ引きなんかふつうしないでしょ。バラバラと幾つもの隕石が地球に降ってきたとしても、それがパリや上海をピンポイントで直撃する確率はどんだけだよ。 と、怒りがこみ上げる様なシーンのてんこ盛りですが、正月にボーっと観る様な映画としては最適なんでしょうね、今回は比較的平穏な気分で観ることが出来ました。ブルース・ウィリスもおバカ映画としては味が有る演技だった気がしますし、これでラジー賞受賞とはちょっと可哀想な気もします。でもこの人、この年には『マーシャル・ロー』と『マーキュリー・ライジング』でもラジー賞ゲットして前人未到の単年度三作で受賞という偉業を成し遂げていて、これはこれで凄いことです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-01-02 00:24:31)
89.  雨に唄えば
これぞまさしく“ザッツ・エンターテイメント”、やっぱ本作が史上最高のミュージカル映画と言うことになるんでしょうかね(個人的には『キャバレー』がトップなんですが)。“Singin’in the Rain”という曲は、『ザッツ・エンターテイメント』のオープニングを観ればMGMのミュージカルで何度も使われてきたことが判ります。でももちろんジーン・ケリーの躍動感あふれるダンスに勝るものはないし、本作以降のミュージカル映画でも彼のパフォーマンスは越え難い壁となって挑戦を跳ね返している気がします。コメディとしても秀逸ですし、「ミュージカル映画は苦手だ」とおっしゃるあなたも一度は観ておくべきですよ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-12-01 21:44:22)
90.  悪の階段 《ネタバレ》 
大金を強奪した5人の男女が仲間割れというありふれたプロットなのに、不思議なほど引き込まれる魅力を持った作品です。キャスティングだけでこの映画の評価の8割は決まったとも言えます。山崎勉は『天国と地獄』の竹内銀次郎からさらに人間的感情を削ぎ落してもっと冷酷にした様なはまりキャラです。西村晃がこういう役をするのは別に珍しくはないけど、きっちり期待以上の演技を見せてくれます。一味の中に加藤大介を入れるというのがまた絶妙で、彼としては珍しい犯罪者役ですがやっぱこの人は上手いわ。そしてあの東宝きってのお嬢様女優である団令子が崩れた悪女だというのが驚きです。こういう役は、彼女のフィルモグラフィ中でも唯一ではないでしょうか。 不動産屋の中にほぼ画面が限定される後半は、二階と地下に昇り降りする階段を意識した画面造りには拘りを感じさせます。でもあの水筒のシークエンスはちょっと不自然で、だいいちあんな水筒、お店で売ってないでしょう(苦笑)。それまで山崎勉があまりに怜悧だったから、このシーンにももっと裏があるんじゃないかと勘ぐってしまって拍子抜けしちゃいました。でもこの映画の持つ独特の雰囲気はフレンチ・ノワールを東宝映画調に昇華させることに成功しており、まさに隠れた傑作と呼んで過言は無いでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-10-20 20:05:30)
91.  アマデウス 《ネタバレ》 
原作の戯曲および脚本を書いたのがピーター・シェーファー、どうりでミステリー色が濃厚なわけです。またこの脚本が、もう一部の隙もないという表現がぴったりな代物で、あまりに理論的でかっちりしたストーリーなところがかえってこの映画の弱みじゃないかと思えてきます。そこは「音ひとつでも欠けたら台無しになってしまう」というモーツァルトの音楽にも繋がるところがあるやと思いますし、ディレクターズ・カット版などはなんの意味があったのか理解できません。 恥ずかしながら、この映画を観るまでモーツァルトの天才ぶりや俗人としか言いようがないキャラについては、知識を持っていませんでした。楽聖モーツァルトにあのけたたましい笑い声をたてさせるなんて凄いアイデアです。でもトム・ハルスのモーツァルトはF・マーリー・エイブラムスのサリエリの演技には到底かなわなかったというのが正直なところです。このサリエリぐらい説得力のある演技は、滅多に拝めるもんじゃありません。まさに彼こそ、“凡人の神”だったというわけです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-01 18:19:09)
92.  アウェイク(2007) 《ネタバレ》 
術中覚醒のシーンを観てたら、局部麻酔で盲腸手術をした自分の体験が甦ってきました。麻酔が効いてるから痛みはないけど、メスがお腹を切開するのが良く判るんです。もちろん物音も良く聴こえていて、医者が看護婦に小言を言っていたのまで覚えています。まあ医者にとっては超簡単な部類とはいえ、局部麻酔で開腹手術をするのは盲腸切除ぐらいのもんでしょうけど。 だからもし本当に心臓手術中に麻酔が効かないで意識があったらとてつもない責め苦にあうことは間違いなしで、この映画は拷問系のホラーなのかと慄きました。でもあれではまるで幽体離脱している様なもので、術中覚醒と言うプロットがあんまり生かされていない様な感じです。しかしサスペンスとしたら実に良くできた脚本なのは間違いなく、なんでこの映画が不評だったのか理解できません。冒頭から伏線の張り方が上手で、登場人物たちのキャラ自体をどんでん返しの材料にしちゃうなんて実にお見事です。強いて粗を探すとすれば、医療過誤の訴訟を4件も抱えている医師が、あそこまでリスクを冒すかというあたりでしょうか。でも小品ながらテンポも良いし、観て損はないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-06-02 20:35:45)(良:1票)
93.  愛の神、エロス 《ネタバレ》 
このエピソードがM・アントニオーニの遺作になるわけですか。残念ながらアントニオーニという映画作家は私には合わないまま終わってしまったというのが正直なところです。たしかに映像は綺麗なんですけどね、映像詩として観る分にはいいけどあの独特の臭みがダメなんです、私。強いて言えば、「貧乳vs豊乳、みごと豊乳女の一本勝ち!」と言ったところでしょうか。 ソダーバーグの『ペンローズの悩み』ですが、短編としてはまとまっているけど、いかんせん自分には途中でオチが判ってしまったので悪印象が残ってしまいました。 ひとりだけ45分も尺を取っちゃったW・カーウァイですが、この『若き仕立屋の恋』はびっくりする様な傑作なので許しちゃいます。主演はコン・リーだけど、劇中まったく裸体と言うか肌を見せずにここまでエロを表現できるなんて予想外でした。「エロスは手から生まれる」と言うわけなんですが、単なるエロだけじゃなくて、最後に胸に突き刺さる様な悲劇にまで昇華させてしまうところはお見事! 倍の尺にしてもっとじっくり撮って欲しいぐらいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-15 22:52:59)
94.  穴(1960) 《ネタバレ》 
冒頭で「この映画は私の体験を友人J・ベッケルが忠実に再現しました」なんて登場人物のひとりであるロラン(つまり彼が原作者J・ジョヴァンニということか)がシャバで語るからてっきり脱獄に成功したのかと思いこんでしまいました(笑)。それがいい意味でラストのサプライズに繋がるのでまあ良しといたしましょう。でもお勤めを果たして無事に出所出来るのなら、『パピヨン』の悪魔島とは違うんで何も無理して脱獄なんかしなくてもと思ってしまいます。このパラドックスを吹き飛ばしてしまうのが、床に穴をあけ地下水道に下り、さらに壁にトンネルを穿つまでのプロセスを見せる音楽をいっさい排した偏執的ともいえる演出です。同年に同様な演出技法を使ったR・ブレッソンの『スリ』も撮られているのも興味深い。 ラストの顛末にはいろいろな解釈が可能ですが、わたしはなんだかガスパールが裏切ったのではないと感じてしまいます。どうとも取れる様に色んな伏線を並べているのは監督の意図であり、このカオスそのものと言った終幕は仏サスペンス映画の良質な伝統を受け継いでいると思います。
[DVD(字幕)] 8点(2013-05-12 22:29:18)
95.  アレクサンドル・ネフスキー 《ネタバレ》 
チュード湖上の有名な氷上の大合戦は、さすがモブ・シーンが得意なエイゼンシュタインだけあって見応えがあります。ドイツ騎士団の悪逆ぶりも堂に入っていて、子供を次々と火に投げ入れて殺すなぞ、史実かどうかは知らないけれどやってくれます。騎士団の足軽(?)たちが被っているヘルメットがモロに20世紀ドイツ軍のシンボルである石炭バケツ型なのはちょっと露骨です。彼らに付き従うカトリック教会もまるでカルト集団みたいな悪役ぶりで、移動式パイプオルガンには笑ってしまいました。 対するネフスキー公側ですが、公をはじめみんな人間描写が薄っぺらというか無いに等しく、ここら辺はやっぱりプロパガンダ映画だなと感じます。思えば製作された1938年はスターリンの粛清が最高潮だった時期で、ドイツ騎士団の捕虜は解放されるのに内通したロシア人は民衆にリンチされて殺されるシーンなんかとっても意味深。ラストのネフスキー公の演説も、まあスターリンが映画を観ている大衆に説教している様なものでしょう。 この映画の三年後、ネフスキー公が守ったプスコフやノヴゴロドでソ連軍を打ち破って、ヒトラーのドイツ軍がレニングラードまで突進していったというのは実に皮肉なことです。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-06 20:19:23)
96.  アルフレード アルフレード 《ネタバレ》 
D・ホフマンがイタリア映画に出てイタリア語を喋ってる(もちろん吹き替えですけど)というだけでも一見の価値ありです。違和感が最初にはありましたが、だんだん彼がイタリア人にしか見えなくなってくるのはやはり名優のなせる技でしょうか。 イタリア映画のお得意ジャンルである離婚騒動ものでありますが、このジャンルでは離婚するために男と女が奇想天外な手を使って笑わせるというのがお決まりなのに、苦労はするけど離婚自体は至極まともに成立しちゃいます。これは70年代になってイタリアでも次第に離婚がしやすくなってきたことが反映しているのかもしれません。劇中アルフレードは愛人と離婚合法化を要求するデモに参加したりしますしね。でも愛人とベッドに入っているところを警察に踏み込まれたりして驚かされますが、これは当時のイタリアでは男にも姦通罪が適用されたからでしょう。 この映画では離婚よりも結婚生活の苦しみのほうがツボで、悪妻S・サンドレッリとその両親の振る舞いはもう笑うに笑えないレベルです。C・グラヴィーナにしたって、ホフマンとの仲が深まるにしたがってやはり両親との関係や性格など、先が思いやられる展開です。そこら辺はコメディとしてカリカチュアしてるけど観る者にとって身につまされることが多いです。彼女らを笑い飛ばせるのはよほど出来た奥さんを持っている人で、羨ましい限りです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-21 23:29:55)
97.  アフターライフ 《ネタバレ》 
最近は“演技ができるシュワちゃん”状態になってトップアクションヒーローと化したL・二―ソンが、霊と話が出来る葬儀屋というキャラです。 教師のC・リッチはレストランで恋人と諍いをおこしたあと愛車で帰宅、激しい雨でスリップし眼の前にパイプを積んだトラックが… 気がつく彼女は二―ソンの葬儀屋の作業場に居た。最初は体がマヒしていたがだんだん動けるようになり、そうなると「君はもう死んでいるんだ」と言われても信じるわけはなく、変態サイコ野郎に監禁されたんだと思うわけです。 恋人役はJ・ロングですが、彼はリッチが事故死したと言われても信じられず、なぜか葬儀屋が怪しいことをしているのじゃないかと疑念を持ちます。 土葬の習慣がある国に昔からある“生きたままの埋葬”に対する恐怖心をホラーに仕立てたプロットですが、二―ソンが立派過ぎてどう見ても真面目な牧師にしか見えないというのがまず失敗です。もっと変態性があるキャラの俳優を使うべきでしょう。C・リッチは健闘してます。オール・ヌードで歩き回ったりしますが、彼女が脱いだのはこの映画が初めてじゃないですか。J・ロングは『スペル』で演じたのとほぼ同一のキャラだったのはちょっとびっくりしました。 この脚本は「L・二ーソンは、実は誤って死亡宣告されて蘇生した人を生きたまま埋葬するサイコ・キラーなのじゃないか?」と観客に謎をかける狙いがあります。でもこの女性監督はM・ナイト・シャマランが良くやる様な伏線張りやどんでん返しを全然使ってないのでラストにもキレがなく、またホラー要素とサイコ・キラー要素が分離してどっち付かずの印象です。 C・リッチの衣装や髪の色など赤を凄く強調した映像はちょっと幻想的で、見どころはありました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-05 00:06:22)
98.  アメリア/永遠の翼 《ネタバレ》 
実はわたくし、H・スワンクを初めて観たとき「この人A・イアハートと瓜二つだ」と言うのが第一印象だったので、まさに満を持しての主演じゃないでしょうか。きっと本人も自分がイアハートに似ていることを自覚していたので、自ら製作総指揮を買って出る大熱演となったのでしょう。 航空映画は空を飛ぶ飛行機をいかに美しく見せるかが命ですけど、その点は航空ファンである私も大満足でした。とくにアフリカの上空を飛ぶロッキード・エレクトラの姿は、『愛と哀しみの果て』の映画史に残る空撮シーンにも負けない素晴らしい画でした。 R・ギアやE・マグレガーといった取り巻く男たちのキャラが薄いのが難点ですが、もっとこの映画の脚本の困ったところは肝心なイアハートの人物像までもが曖昧なままで終わってしまうところでしょうか。純粋なヒコーキ馬鹿なのかなと思えば活動資金を得るために商売っ気もまる出しなところもありで、そこら辺のキャラが中途半端に描かれているのは失敗だったと思います。女流監督が撮った女性映画という見方もありますが、やはりここはスコセッシの『アヴィエイター』みたいにコテコテのドラマにした方が良かったのではないでしょうか。 イアハートの遭難は、アメリカの歴史に刻まれた“世紀の謎”なんですから。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-03-17 21:31:50)
99.  アリア(1987) 《ネタバレ》 
K・ラッセルの『トゥーラン・ドット』を目当てに鑑賞。古代エジプトの宮廷みたいな登場人物たちの怪奇な世界は、実は交通事故で瀕死の女性が観た夢だったといういかにもケンちゃんらしい映像は、そのチープさが魅力で面白かったです。この映画に参加した10人の映画作家の中で、妄想ワールドとしてはずば抜けていました。でももっとも衝撃を受けたのはD・ジャーマンの『ルイーズ』で、もうそれは素晴らしい映像詩です。 オペラに関心がない人でも、これは観て損は無い至福の映像詩集です。本作はアマゾンの中古DVDで50,000円(!)の値が付いているのにはびっくり、でもレンタル落ちの中古ヴィデオとはいえ10円で手に入ったのはとてもラッキーでした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-12-19 22:21:28)
100.  愛についてのキンゼイ・レポート 《ネタバレ》 
近親者がまだ生存している人の伝記映画は撮るのが難しいですね。キンゼイ研究所はまるで乱交クラブみたいで、やっぱ相当な変人だったことは確かです。『ビューティフル・マインド』ほどじゃないけど、この映画のキンゼイ博士はこれでもかなり美化されていると言う指摘もあるそうです。でも、ドキュメンタリーや記録映画とは違って、伝記ものは本質的には実在人物をテーマにしたフィクションなのであり、俳優の演技とドラマの内容で評価すべきものでしょう。その観点からはあまり成功したとは言い難いですね。 しかし史実通りなんでしょうけど、キンゼイ博士の調査手法は統計学的には意義があったんでしょうか?支援していた大学の学長が「彼のレポートは大学の宣伝になった」と図らずも言うシーンもありましたが、結局マスコミを騒がせたけど実は学問的にはあまり価値がなかったとほのめかしている様に感じました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-11-21 18:31:26)
030.13%
1110.46%
2351.46%
31285.35%
42048.53%
535915.01%
644218.48%
761525.71%
842817.89%
91375.73%
10301.25%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS