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1.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
「…気持ち悪いですよ」「俺だって気持ち悪いよ」不条理ギャグ漫画が流行る以前の不思議なコメディ映画。 郷愁を感じる昭和の工業地帯、団地、街並みの夕暮れの景色がとてもとても綺麗。 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ  夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ  夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 夕暮れ 茂之は吉本と会話するとき、常に薄ら笑い。学校ズル休みの時や、吉本にビンタ返しが決まった時の、したり顔がまた良い。近所の若い奥さんが来てるのにリビングでブリーフ一丁になるとか、いかにも当時の子ども子どもした中学生。 学校ではハラスメントとか気にしない、教師が偉そうにしていた時代。成績の悪い方から答案用紙を返すのは、なんか懐かしくて笑えた。今じゃやれないだろうな。 ブスでバカな浜本はそんなにブスじゃないが、ちょっと知能に問題あるのか?授業中紙袋被ってたり面白い子なんだけど、イジメでやらされてたのかな。当時の自分にはどう見えていたんだろう? 小~中学生は、ブスとか馬鹿とかクソ垂れ流しとか、そういうレッテルを貼られると、事実がどうであれ終わる。卒業まで言われ続けるから死活問題だろう。 ワンカットの合格祝いぶち壊し。父親が茂之は元々頭が良い。だの、私立の吉本が大したこと無いな。だのとデリカシーの無いことを言い出してからの吉本。サラサラのスープにスプーンを無意味にカツカツ打ち付けながらの静かな怒りが凄い。 最後のヘリコプターと昼寝。私も初見時(30年くらい前)、不気味だなぁって感じたけど、そう思った人、結構多いんだな。 当時は「睡眠性の毒ガスで、みんな死んじゃったのか?吉本が暴れてて、警察のヘリが来たのか?」なんて思ってたけど、今回見ても解らなかった。 戸川純が何かしたんじゃないか!う~ん…捻り過ぎて遠くなってる気がする。 死ぬまでにもう5回は見ると思うので、そのうち新しい解釈が浮かんだら書き足します。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2020-12-17 00:40:20)
2.  カラー・オブ・ハート 《ネタバレ》 
“Pleasantville”『プレザントヴィル』ってドラマのタイトル。地名で『愉快な町』とかって意味で、実際アメリカに幾つか同名の町があるので、きっとよくある田舎町の名前。 現実から異世界に行く&小さな町が主人公の影響で変わっていく映画というと、もう結構出尽くした感があったけど、こんなのも創れるんだって、かなりショックを受けました。私はケーブルテレビで遅れて観たけど、この作品、公開当時はどれくらい話題だったんだろう?もっと認知度高くても良いような、そんな印象です。  BTTFのように過去に行く物語の亜種として、視覚的にはカラーからモノクロの世界に行くんだけど、過去のドラマの“中の”世界。というのは面白い着目点です。紙は燃えないし、本は真っ白だし、メインストリートの先はメインストリートの始点。“本当の赤”みたく、お互いにモノクロなのも理解してます。カラーになったベティをファンデーションで助けるなんて、この世界観だからこそのアイデア。 デイビッドはバッドを演じ、ジェニファーはメアリー・スーを演じます。パターンとして、二人が時間が止まってる世界を壊さないように役を演じて、あれこれトラブルが有りつつも、最後は自分たちもモノクロ世界も壊さずに、無事現実に帰ってくるのが定石…だと思ってたところ、どんどんカラーが入ってきて、取り返しの付かない展開になっていきます。それも最初はカラーになっていくのがスカッと爽快で、だけどどんどん歪みが生まれていくのも上手いです。最初から最後まで『この先どうなっていくんだろう?』の連続でした。  最後も綺麗でした。古き良き'50年代から、世界が広がる'60年代へ。銀色の都市間高速バスが時代の変化を感じさせます。その後は退廃の'70年代に向かうのが想像できるけど、ドラマの世界の彼らはそんなこと知りません。一人残ったジェニファーも、たぶん詳しくは知りません(※今まで勉強してなかったのと、あの世界に未来の本は無いから)。だけど彼らの世界は私たちの世界とは違うので、同じ道を辿るとは限りません。プレザントヴィルがデイビッドが暗記するほど観てきたドラマの通りにならなかったように、彼らが向かう世界は素晴らしい'70年代かもしれない。 そして現実に戻ったデイビッドも成長しているのも嬉しいおまけで、あんな世界を体験しただけに、そこに説得力もあります。消えたジェニファーをどう説明するのか。あっちの世界もこっちの世界も、先のことはわかりません。だけどとても希望に溢れた終わり方でした。  結構完璧な作品です。完璧過ぎてアラが少ないのが、かえって“創りもの感”を感じます。エンディングのジョージがビルに変わるとことか、こういうのリメイク作でやるなら解るけど、ちょっと捻り過ぎかも。 あのテレビ修理の爺さんが何度か出てくるのは蛇足だった気がします。「おめーがリンゴ食ったからだー!」って言われても、いまいちピンときません。最初すぐ現実に戻ろうとしたけど戻れなくて、最後アッサリ戻ってしまうのは、リモコンの問題でなく爺さんの気分次第?1~2週間経ったから?う~ん… 『この先どうなるかわからない』映画なんだから。爺さんは最初と最後(帰っていくところ)だけで、あとは自分たちの選択した結果にしてほしかったかな。 ゲイリー・ロスの初監督作品。そのため力が入りすぎて、作品愛が溢れてしまったんだと思うところ。かなり好きな映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-02 09:50:10)
3.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
“One Flew Over the Cuckoo's Nest”どうやら『キチガイ病院から1人飛び出した』って意味のようです。 目がギョロギョロしたクリストファー・ロイドに常にニコニコしてるダニー・デビート。他の作品を観ていなければ、こういう人なんだと思えてしまうほどのリアルさ。決められたルーティーンで薬を飲んで、徘徊したりゲームをしたり。社会生活が困難な人たちを、一か所に集めてまとめて家畜のように管理する。そんな印象を受けてしまう。 意思疎通の難しい精神病患者たちと、患者を機械的に管理するラチェッド婦長ら看護側。患者相手にはフェアとは思えない多数決と連帯責任。詐病のマクマーフィ目線で、患者側から精神病院を観る。だけど強制入院と自由入院が混在していて、その中に刑務所から移送されたマクマーフィが居るのが不思議。自由入院のチェズウィックも電気ショック受けてるのもなんか不思議。  ワールドシリーズのテレビ観戦にバスを強奪しての釣り船ツアー。やってることはメチャクチャだけど、マクマーフィに影響されて患者たちが自分の意志でまとまっていく様子が何とも清々しい。喋れないフリをしていたチーフが、マクマーフィだけに対し喋ったときは「おぉ~~!!」ってなったわ。ってか、チーフの一挙手一投足に「おぉ~~!!」ってなってしまう。 このままマクマーフィと仲間たちで、何か凄いこと(?)を達成してしまうんじゃないか?って、方向性が解らないけど、彼らの中で何かが進展していく感じがとっても心地良い。クリスマスの翌朝の、まさに“祭りのあと”感。『あぁ、全部終わったんだな』って空気。ビリーの悲劇。ちょっとした歯車の狂いからすべてが終わってしまう重たさ。  2人で脱走しようと誘われるチーフ。かつて大きかったチーフの父親は、抑圧されて酒に溺れ、どんどん小さくなって殺された…チーフはそうは言わず、始末された。と。その話にピンときてないマクマーフィ。 かつてインディアンは広大な土地を追われ、狭い居留地に押し込められ過去がある。その後一転して、'50~'70年代には、都市移住計画という名の同化政策のもとに、居留地さえ追われることになる。移住した先は仕事もなく頼れるものもない、貧困と差別の世界。そんな時代にチーフは、見せ掛けの自由を手放し、精神病院に入ることを選んで、今に至る。 舞台は'63年とのことだけど“ロボトミー手術”なんて、あったんだなぁ。理論だけで実在しない施術だと思っていたわ。 手術によって物も言えず、体の自由を奪われたマクマーフィに、精神病院に自ら入ったチーフ自身を重ねたんだろう。病院のシステムに抗い続けたマクマーフィの精神を開放し、自分の力で自由を手に入れる。 『飛び出した』のは『1人』。だけどその1人はマクマーフィの精神であり、インディアンの精神でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2023-11-16 00:16:46)
4.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 
公開当時は観客入れ替え制ではなかったので、同時上映のホームズと併せて、2回連続で観た初めての映画。 当時の私の年齢を考えると、内容を充分に理解していたとは思えないが、難しいながらも原作漫画も読んでいたし、映画についても子供向けのアニメじゃない、何かとっても凄いものを観ている気持ちになっていた。私にとって、アニメが子供が観るだけの娯楽じゃないと思えた、何かターニング・ポイント的な作品だったのが、このナウシカだ。  10代の頃は金曜ロードショーで放送される度に観ていたけど、そのうちビデオかLDを買おうと考えて録画はせず、20代以降になると一度鑑賞したくらいで、今回…久しぶりの鑑賞となった。高画質の必要性も感じなくなっているので、BDでなくDVDを買うことにしたんだけど、定価が結構高いので、ついケチって中古で買ってしまった。残念なことに中に入ってる説明書(?)がクシャクシャで…ジブリやピクサー作品を中古で買う時は、前の持ち主が小さな子供の場合があるから、注意が必要だわ。  久石譲さんの重厚な音楽、刺繍のような歴史絵巻。オープニングからなんかもう、感無量。 巨大な“蟲”と呼ばれる生命体。腐海と呼ばれる森。まだ謎だらけの巨神兵。騎士と銃と戦車があり、飛行機を船と呼ぶ世界。「父はもう飛べません」「ゴルが風が臭うと言うとります」セリフから創られる広い世界観。一気に公開当時の頃に引き戻される感覚。  ナウシカという不思議な少女。16歳と幼いけど、設定だとユパ様があの容姿で45歳なので、現代ならナウシカも成人以上の立場だと思う。村人に慕われる優しさを持ちながら、コマンド兵を殺す荒さを併せ持つ。今回観ていて気がついたのは、父が殺されて腐海の植物の研究を止めたこと。村人のため研究していたと言いつつ、内面では父親に対してかなりコンプレックスを持っていたようだ。幼少期に父に王蟲の幼生を殺されたことを、彼女の中でどう処理していたのか。原作や当時のガイドブックをもう一回見てみるかな。 一番好きなシーンは、腐海に落ちるバージを救うため、マスクを外して気持ち良さそうに風を受けるナウシカ。混乱する城おじを一発で従わせる行動力。あんな笑顔を見せられたら、誰だって従ってしまうよ。さすが村の長、ナウシカ凄い。  一方で酷い長がペジテの市長。映画観ていて『本当にコイツがラステルやアスベルのお父さんなのか?2人の父は他にいて(ペジテ王とか)、この人はただの行政の長なんじゃないか?』って思ったくらい。娘を人質(手枷が後のラステルの扱いを想像させて痛々しい)にされ、ペジテを放棄して少人数乗りの飛行艇で逃げて、恐らくまだ市民も残るペジテ市を蟲に襲わせるなんて。しかも最後、生存者を巻き添えに船ごと自爆まで考える始末。エンディングで風の谷がトルメキアとの戦争を回避(クシャナが本国に掛け合ったんだろう。)したのに比べ、なんと独善的で利己主義な人物だろうか。 ナウシカが最後に着たラステルの服(だと思う)。胸のマークは海亀だろうか?ペジテと海亀?…飛行ガメ…関係ないな。最後、生き残ったペジテ市民が風の谷で暮らしてるのに、今回初めて気がついた。そういえば、人間以外で今の世界と共通の生物が出てこないなって思ったら、川にカエルが泳いでた。  王蟲の暴走で明らかに跳ね飛ばされたナウシカが、どうして生きていたのかとか疑問は残るけど、映画は映画で特に不満なく観られるし、血みどろの漫画原作とはまた違った、スッキリした魅力があると思う。 安田成美のイメージソングも全然平気で、当時の予告編を観ていると、むしろこの歌と歌声が好きな私がいるのも、驚きの発見だった。
[映画館(邦画)] 9点(2021-12-12 19:25:41)(良:1票)
5.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
ゾンビ映画なのに監督のゾンビ愛が全然感じられない。こういう自主制作っぽいので言えば『桐島…』の方がゾンビ愛あるかも。それらしい設定を適当にくっつけた、悪く言えばオイシイとこだけパクった、駄目シナリオじゃないでしょうか? 日本軍の実験って話はアリだけど、どうして西洋のオカルトに結びつけてしまったのかなぁ…ゾンビ発生の原因といえば、宇宙からの怪光線、科学薬品、生物兵器。このあたりがお約束です。 ゾンビ映画の起源はロメロ・ゾンビ。バタリアンやバイオハザードなんかもそうだけど、死人が蘇るファンタジーに、リアリティを持たせたから、今のゾンビ映画史があるのに、血で書いた五芒星じゃオカルトだよ。とてもじゃないけど映画好きの作ったゾンビ作品とは思えませんでした。    『ONE CUT OF THE DEAD』という番組の裏側から、日暮監督が、映画好きの延長ではなく職業監督になってしまった理由が観えてくる。元女優の奥さんは役に入りすぎるため引退を余儀なくされ、映画好きな娘はこだわりが強すぎて撮影現場をクビになる。妥協に妥協を重ねて続けてきたであろう、今の監督の仕事。職業監督は自分の“好き”を入れちゃ駄目なんですね。 イケメン俳優に自分で「作品の前に番組なんです」って言っていたのに、カメラが回ると「これは俺の作品だ!」ってアドリブ。最初の鑑賞では笑えて、複数回鑑賞後はアツいものを感じました。 このシーンをカメラ(モニター)越しに観ていた真央は、きっと神谷くんだけを観ていたんでしょう。あんな熱演を終えて戻ってきた父にも素っ気ない。  こんなどうしようもない作品の中で、監督は何故か五芒星にこだわりました。思えば本当のゾンビの起源はブードゥー教=オカルトなんですよね。日暮監督はゾンビ映画好きのお約束を敢えて入れず、コッソリとオリジナリティを入れようとしたのかもしれません。 「日暮さ~ん。作品の前に、番組なんです」機材の故障で、オチをアッサリ捨てるプロデューサーに、食って掛かる日暮監督。普段の父を知っているだけに、驚いてる真央の表情がイイんだこれが。父の番組なんてチャンネル変えてしまうくらい、どうとも思っていないのに、カメラには映らないところで繰り広げられる作品への情熱。真央が考える“戦場”で戦っている父の姿。  愛を感じないゾンビ映画の裏側に、息を殺して潜ませた監督の作品愛。トラブル続きの中、どうにか完成させるために奔走するスタッフ。そして最後に父を支えた家族愛。事前にオチを知る事もなく、また期待が高まり過ぎることもなく、無事、上田監督が観せたいものを観ることが出来ました。心から笑えて、ほっこり出来ました。そして『私は映画が大好きだわ』って、再認識出来ました。
[映画館(邦画)] 8点(2024-04-10 23:58:47)(良:1票)
6.  ガープの世界 《ネタバレ》 
“The World According to Garp”『ガープの目から見た世界』。ストーリーを文字で起こしてみると、かなり悲壮感漂う内容。にも関わらず、明るくて可笑しくて、不思議な映画です。 観せかたも斬新で、OPののんびりとした『ホエン・アイム・シックスティ・フォー』にのって、ゆっくり空を舞う赤ちゃん。のどかですね。幼いガープの空想で、父親がアニメーションで出てくるのもほのぼのしてます。交通事故のシーンは衝突音とと静止画。ウオルトにゆっくりズームするカメラで、何が起きたかを連想させるのも上手い手法です。  ガープの出生はかなり衝撃的で、ジェニーの話に驚くとともに、校長先生の「君は死にかけている男をレイプしたのか!?」にとても共感してしまう。こんな人がベストセラー作家になって女性解放運動の中心人物になるのは、世の中は物事の一面だけを見ているんだなって思えました。 エレン・ジェームズ運動。エレン本人が望まないのに運動を続け、自分の舌を自ら切り落とす抗議運動は、本人たちの自己満足でしか無い。女性の自立は望ましいことでも、その方法は間違ってるんじゃないの?って、そんなメッセージにも思えました。  ガープも自己中な男で、クッシーとの関係を続けながらヘレンを口説こうとします。結婚後も最初に浮気したのはガープなのに、疑われると逆ギレ。子供の寝顔を見て「最高に幸せだ」なんて、どの口が言うのか。一時停止を無視する乱暴運転の男にキレるくせに、自分は無灯火運転で事故を起こす。ベビーシッターとの一件がバレてないからって、いつまでもヘレンを許さないガープの人間性は褒められたものじゃありません。 クッシーとプーの姉妹。Poohはうんこで、Cushyは快適=快楽。音がPussyに似てるってのもある?一人はガープに快楽を与え、もう一人は死を与えた。 この映画の中では一番異彩を放つロバータが、一番マトモです。  …なんか全然まとまりが悪いですね。まとめられない所がこの映画のレビューっぽいかな?空を飛びたい少年が、人生の最後にヘリで運ばれて、何か上手くまとまった感じに思える。そういう、捉えどころのなさもこの映画の魅力かと…
[地上波(吹替)] 8点(2024-02-12 18:21:18)
7.  風と共に去りぬ 《ネタバレ》 
“Gone with the Wind”『行ってしまう』を『去りぬ』とするところに、当時の人のセンスを感じます。 タイトルの『風』って何でしょうね?自然に発生するもの。人に変化をもたらすもの。恋愛。家族。結婚。離婚。死別。戦争。発展。時代…どの時代でも変わらないもの。あぁ『川の流れのように』の『川』と同じような使われ方かな?日本人にも根付いた考え方で、とても共感しやすい発想ですよね。  2:30もの序曲から始まる、雄大、壮大なタイトルと激動の時代。時代の流れに翻弄される登場人物たち。雑草のようにたくましく生き抜く主人公。世界大戦が始まる年に創られ、日本では戦後復興後に公開された本作は、戦中戦後を生き抜いた人たちに多くの共感を持って受け入れられたことでしょう。 そして美しく奥行きのあるカラー映像。今観ても美しさを損なわない完璧な構図。テレビCMなんて無い時代、ポスターと広告の数点の写真、せいぜい観た人の感想しか情報が無い中、まるで“動く絵画”のような映像を劇場の大画面で観せられるんだから、観るものの度肝を抜いたことは容易に想像出来ます。 激動の時代と一人の女性の半生。まるでNHKの大河ドラマと連続テレビ小説をミックスさせたような物語。大河も朝ドラも共に'60年代から始まっているけど、この映画の影響ってかなり大きかったんじゃないかな?  映像の美しさは文句なし。キング・オブ・カラー映画とも言える本作。私は公開から60年近く経って観た訳だけど、まず想像と全然違ったスカーレットの人物像に驚いた。何とまぁワガママで自分本意な女だろう?これじゃ朝ドラの主人公としては大不評だろう。 そして南北戦争を題材にしているのに、戦闘シーンはほぼ皆無。せっかくのスケールの大きさも、後方の負傷兵と焼けた街ばかりが目に入る。これじゃ大河としてパッとしない。今なら映像美だけの映画扱いされそうだけど、それでも、ウケた。 スカーレットの生き様に共感した、当時の女性の支持が大きかったんだと思われます。  ウーマン・リブが叫ばれるちょっと前の時代。映画の中ではもっとずっと昔の時代。誰と結婚しても好きな男のことだけを考え、子供が生まれても“オンナ”を捨てなかった女。このオンナ像は当時の女性たちに、センセーショナルに受け入れられたことでしょう。 天使のようなメラニーを男社会の世の理想とするなら、自由奔放なスカーレットは当時の声なきオンナたちの理想。 有名なポスター観てください。レットがスカーレットを抱いた構図。『美しい女を捻じ伏せるハンサムな男のラブロマンス』に見える。たくましいレットと、か細いスカーレットの肩幅の違いを強調しつつ、最後の最後まで振り回されるのはレットの方。 男社会の中『主人公には共感できないけど、映像は凄い大作映画』を隠れ蓑に、世の女性たちは、声を出さず、したたかにこの映画を支持し、自分の中のスカーレット(=オンナ)を育んでいったに違いない。
[DVD(字幕)] 8点(2023-11-03 11:46:02)
8.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 
「コレが、コレなモンで」ってモトはコレだったのか。 とっても勢いがあって、サクサクとスピーディな展開に目が離せない。問答無用で小夏をヤスに押し付ける銀ちゃんの無理やりさに『ちょっ、えぇ!?』ってなりつつも、何だかんだ状況を飲み込んで、2人イイ感じになって行くところが面白い。 身勝手に自分のことだけ考える銀ちゃんだけど、要所々々でみせる気の弱さとか、言葉にはしないヤスへの気持ちとか、憎めないキャラに仕上がっている。  ヤスの地元の大歓迎っぷり。事情を察知してる母の言葉。コレはコレでありなのかもなぁって思えてしまう。大部屋の苦労も笑いに変えて、ヤスがスタントに体を張るごとに増えていく小夏の快適グッズ。 最初っからデーンと構える未完成の大階段が、後の波乱を物語っている。後半シリアスになるけど、散々引っ張っての大階段落ちは大迫力。その後の大団円で一気に緊張していた空気が溶解するのもお見事。  銀ちゃんだけでなく、橘こと原田大二郎、千葉真一、志穂美悦子、真田広之といった銀幕のスターたち。 対するスターを輝かせる名もない大部屋の人々。住む世界の違うスターと大部屋。 この映画は、大部屋のヤスが一瞬だけスターになった映画にも観えるけど、そこを“チャンチャン”として、コレは映画だ!って終わらせる。 撮影所の映画だけに、最後の大合唱が生きてくる。色んな人が関わって、色んな思いがぶつかって、一本の映画が出来てるんだなぁって。コレが映画だ!
[インターネット(邦画)] 8点(2022-09-17 19:17:39)(良:1票)
9.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
フィンランドという非日常空間で繰り広げられる日本人女性の日常。不思議な雰囲気とやんわりとした空気が、なんか良いのだ。 何でその話?って思えるオープニングのナレーション。太った猫の死と痩せた母の死。美味しそうに食べる太った生き物に弱いって話から、遠巻きに店を見る太めな現地女性3人組。このお話はどこに向かっていくのかな?  サチエがフィンランドに来た理由。ミドリにもっともらしい理由を話すけど実はその場の思いつき。「ここならやっていけると思った」と言うけど、結局サチエが日本を出てここに来た理由は不明。小さいけど綺麗なお店。ピカピカの食器に調理器具。統一感のある北欧家具。サチエ、お金はあるんだな。 ミドリがお店をガイドブックに載せて宣伝したり、現地の人向けのおにぎりの具を考案するのに対し、売上にまるで執着がないサチエ。ダメなら辞めます。ってのは、自信があるからというより、サチエは自分を曲げて商売に熱を入れるんじゃなく、好きなことをやってる今が大事なんだろうな。だから明日世界が終わっても良いような毎日を送っているんだろう。   目をつぶって地図を指差したミドリは、ムーミンが好きなくらい。親の介護が終わったマサコもエアギター選手権で興味を持ったくらい。サチエ含めみんなフィンランドに絶対のコダワリはない。 3人とも過去に何かがあって日本を出てきている。3人ともそんな過去をリセットして、たまたまここで出会って、同じ時を過ごしている。 夫が出ていった中年女性、コーヒーの煎れ方を教えた中年男性。共に過去をリセットして、これからリスタートするかどうかってところ。  食堂のメインはとんかつや唐揚げ、鮭の塩焼きといった日本食。ソウルフードのおにぎり。おにぎりにはシャケ、梅、おかか。 おにぎりにトナカイやザリガニを入れても合わない。こちらから無理に合わせるのではなく、自分に合うものを選んでもらう。 そんな生き方がしたくて、サチエはこの地で店を始めたんだろう。 日本を離れた彼女たちの生き方が、この映画自体が、遠い異国のフィンランドから、日本人に向けて発信されているメッセージのように思える。 そんなメッセージを受け取る勇気も行動力もなく、ただ忙しい日常に流される毎日だけど。 サチエの「いらっしゃい!」がとても心地よい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-08 14:46:44)
10.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 
“功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。  少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。  漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。  ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)
11.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
“男勝りなお姫様”の元祖だろうか。そもそもの初登場が崖の上での仁王立ちである。 ただそっちの画より、湧き水のところで太平と又七が初めて雪姫に会うところ、こっちの画の方が黒沢監督が観せたかったんだと思う。太腿を観せてからの振り向きの構図。脚から胸、顎にかけての女性独特の美しい線とキリッとした顔。この構図一枚こそが“男勝りなお姫様”を表現する画なんだと思えた。宮崎駿監督の“男勝りなお姫様”でよく観た構図のモトは、この映画だったんだと思う。 一国のお姫様だから、その辺の女とは違い、高く綺麗な声質…なのに、男勝りなことを言う雪姫。彼女の独特な話し方は、恐らくそういう演出でしょう。上原美佐は経験不足ではあるけれど、決して実力不足ではないと思う。  一つ不思議に思ったのが、最後に本来の姫の姿の戻ったときの、画面一杯に寄った画が無いこと。落ち延びている最中のキリッとした眉の時とは違い、姫らしく眉や髪を整えた美しいお姫様の顔なのに、何故か寄って撮らない。ここは恐らく、太平と又七側から見た目線のためで、お姫様の顔を間近に観るなんて恐れ多い。という演出かもしれない。劇場の大画面で観ていたら、印象も違ったかもしれないけれど。  戦に間に合わなかった二人の百姓目線で進んでいく序盤はとてもわかり易く、展開も早い。秋月、山名、早川。聞いてるだけではこんがらがりそうだけど、砂に書いた丁寧な領地の説明。そこに放られる金塊。『七人の侍』の野武士の人数同様、解り易く胸躍る演出にグイグイ惹き付けられる。 題名にもなっている隠し砦が燃やされ、最後の抵抗をする秋月の老将らの最後はバッサリ割愛するのも、取捨選択が絶妙と言える。文句なしの前半。  ただ良くも悪くも百姓娘のその後なんかもバッサリ。というのは、少々味気なさを感じてしまった。太平と又七それぞれに金一枚づつあげれば良いのに。なんて思ったりも。いや、そういう予定調和にしない所もまた、黒澤映画の味わい深さなのかもしれない。 後半、三船の馬術の素晴らしさ、火祭りの躍動感に目を奪われつつも、『隠し砦の三悪人』という題名に少々違和感を感じてしまうのも事実。三悪人って誰のことだったんだろう? 普通に考えて太平と又七と真壁なんだろうけど、最後の雪姫・真壁・田所がズズイと寄ってくる場面を観ると、もっと別な解釈もあるような気がしてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2023-11-12 23:39:55)
12.  ガタカ 《ネタバレ》 
“Gattaca”劇中の宇宙局の名前。DNAの基本塩基の頭文字、G・A・T・Cを組み合わせた造語だそう。 核酸塩基には5番目の頭文字ウラシル (U)というのもあって、このUはDNAにはほとんど含まれず、RNAを構成(G・A・U・C)する基本塩基だそう。遺伝情報を永久保存するDNAと、一次保存するRNA…まぁあまり掘り下げてもだけど、不確定要素の話になっていきそうです。  '97年の映画だけど、登場する車が'60~'70年代くらいに作られた、当時考えられていた未来チックなデザインの車。ヘッドライトが何故か緑色。この映画公開時の時間軸の未来ではなく、'60年代くらいから観た未来の世界を、遡って表現したんだと思われる。 だから最後、リアリティある宇宙服でなく、空想科学SFの宇宙旅行らしくスーツで旅立つんでしょう。レトロフューチャー感が味わい深い。  アントンが遠泳で負けたのは、引き返すことを考えたから。そんな考えの「適正者」ばかりの世の中では、想像を超える世の中にはならないんだろうな。 エリートのヒューゴと、彼より年上の部下。彼は不適格者だろうな。だけどこの刑事の直感と執念で事件は解決する。 銀メダルで終わったジェロームの苦悩。適性者が買って当然の競技に、どうして順位を付ける必要があるのか。今思うと対戦相手は不適正者だったのかな。  生まれた瞬間にどんな病気の可能性があって、推定寿命まで伝えられる怖い未来。ビンセントにとって30歳が人生のゴール。 でも、だからこそ、どんな無茶をしても“土星のタイタンに行く”事をゴールに出来たんだろうね。帰ってくることを考える必要のない、片道切符の目標。 あまりお金掛かってないけど、ツッコミどころも探そうと思えばたくさんあるけど、人生が長いから忘れがちだけど、努力の瞬間の積み重ねが夢を叶えることを再認識させてくれる映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-11-05 16:12:48)
13.  カサブランカ 《ネタバレ》 
“Casablanca”邦題まま。モロッコの大都市。当時はフランス領で、戦時中は仏が独に占領されたため、ヴィシー政権下。 学生時代、ハンフリー・ボガート(ボギー)って名前だけは結構知られていて、映画観たこともないのに、渋くてかっこいい男の代表みたい扱いだったわ。 名台詞『そんな昔のこと覚えていない』『そんな先のことは分からない』、そして『君の瞳に乾杯』は、40年以上経った日本の高校生でも知ってました。もちろん映画から直接でなく、バラエティ番組や漫画からとかだけど、それでも凄い浸透具合。 初見は割と最近。バーグマンとボガードではかなり年齢差を感じてしまったけど、ボギー当時まだ42歳か、あの渋さで私より年下か…  さて劇中4回も出てくる『君の瞳に乾杯』(※私が観たDVDでは1回めは『謎の美女に乾杯だ』だった)。“Here's looking at you, kid.”は「君のような可愛い子を見つめることが出来ることに(乾杯!)」みたいなセリフですね。つまり『君に逢えた(これから先の)俺は、なんて幸せなんだろう』って意味だと思いました。1度めは出会った時。2度めはパリを旅立ち結婚しようとした時。ともに回想シーンです。 3度めは現代のカサブランカで、ラズロとの間で揺れ動くイルザに言うセリフ。自分のもとに戻ってきたイルザに言うので、復縁の意味にとれますが、リックの表情を観ていると、前2回のように笑顔はありません。自分が今後どうするべきか、頭では解っていたんだと思います。 そして4度め、別れのシーン。パリの思い出を胸に生きていく事を決めたリック。イルザの居ないカサブランカで、ずっと時が止まっていたリックが、いよいよ、この狂った世界で自分がするべき事の為に立ち上がります。 “As Time Goes By”『時が経っても』イルザに逢えた幸せは失われない。という考えに至ったんでしょうね。  プロパガンダ映画として、自分の国土を守るためとか、直接的な利益が手に入らないながら、ヨーロッパでの戦争に参加するアメリカの立場として、正義という名の美学のための参戦というのが、イングリッドの次回作『誰がために鐘は鳴る』と被る部分だわ。 ドイツ軍人の合唱「ラインの守り」を打ち消すフランス人たちの「ラ・マルセイエーズ」の大合唱。シンプルながら自国を思う気持ちを高揚させる。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-23 23:50:03)
14.  カリートの道 《ネタバレ》 
“Carlito's Way”邦題まま。 逮捕前のカリート・ブリガンテの武勇伝についてはあまり語られないけど、もうアル・パチーノってだけで大物のマフィアでカリスマ性があったんだろうって想像できますね。そんな男が5年ぶりにシャバに戻って、カタギとして生きようとする。 時代が変わってベニー・ブランコのような(カリートから見て)チンピラが大物を気取っている。サッソが言う「彼は20年前の君と一緒じゃないか。」おそらく街もマフィアの世界も何も変わっていなくて、カリートの居ない間に時間だけが過ぎただけ。悪党は次の時代の悪党に代替わりし、古い悪党は沙汰される。ただカリートは自分の進むべき道を考え、ただそこに向かって進もうとしていた。 昔からの仲間、ラリーン、クラインフェルド、サッソ、パチャンガ。昔の仲間に大なり小なり裏切られるカリート。ここだっておそらく昔と何ら変わっちゃいない。カリートの価値観、進む道が変わっただけ。  クラインフェルドのクズっぷりが素晴らしい。カリートの刑期を短縮させるなど、それなりに有能な弁護士なんだろうに、突発的な行動が後先考えてなくて驚く。だけどトニーの脱獄の手助けがフランク一人だけって、マフィアって人材不足なのか?あれじゃクラインフェルドだって暴走するわ。でもカリートを道連れにする意味が…何かさせるつもりじゃなかったのかな? オープニングから撃たれるカリート。この場面がどこで出てくるのか?と思ったら一番最後だった。この映画で結末を映画のアタマに持ってきた意図が私には良く分からず。パチャンガがあの場面でカミングアウトする意図も私には分からず。ただカリートの脱出劇の緊張感。『楽園への脱出』看板と踊るゲイルの美しさは『ユー・アー・ソー・ビューティフル』と相まってとても美しかった。さすがデ・パルマ。  ブロードウェイを夢見ていたゲイルは、ストリッパーに身を落として働いていた。想像と違う現実のゲイルに、カリートは少なからずショックを受けたはず。 サプライズでゲイルに会いに行き、格好つけて帰ろうとしたときのゲイルの言葉。ドアチェーンを引きちぎるのは、想像していた自分の姿とは違ったはず。 最後の夕焼けの海岸で踊るゲイルは、あくまでカリートの理想とする将来像。自分抜きにでもバハマで幸せに暮らすゲイルを想像してのことなんだろう。 だけどきっとゲイルはバハマには行かないはず。カリートが死に、何のツテもなく身ごもったゲイルが、見知らぬ土地で一人生きていく未来は想像できない。マフィアの世界から足を洗おうとしても抜け出せなかったカリートと一緒で。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-04 22:43:57)
15.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
「お願い。ガメラを殺して」公開当時はまだ、日本の怪獣映画って子供を対象にしてるもんだと思ってたから、あの予告はショッキングだったなぁ。「倒して」じゃなく「殺して」だもの。パッパと切り替わるカメラワーク、被せ気味に入るセリフ。でも怪獣映画をこんなに格好良くして、どんな層がターゲット(本来は子供だろうけど)なんだ?って思ったっけ。  蝿がたかってリアルなギャオスの死骸。無数のガメラの骸。オープニングからかなり重たい。 そして渋谷破壊シーン。雲の上の火球の軌跡から燃え落ちるギャオス。人や建物との対比から想像される怪獣の巨大さ。甲羅がうねうね動き、生物感と兵器感が共生する禍々しいデザインのガメラ。これだけの巨体が歩けばガラスは割れるし地面は陥没するし建物は崩れる。瓦礫とともに吹き飛ぶ人。切断されるマルイをビルのガラスに映して観せるセンス。ガメラが火を吹けば人も舞い上がる。粉々に降り注ぐギャオスの肉片。 これこそ怪獣映画の疑問に対する回答。荒ぶる神と言える怪獣同士の戦いは、核爆弾にも匹敵する。人の被害なんて構ってられない。過去作では都合よく住民の避難が完了してたりしたけど、そんなの無理な話。まして無警戒の渋谷に突如現れたら… 死傷者15000人以上。生々しい死体を撮るのは避けて、そこは想像させる。たぶん今現在に至るも日本映画の中で最高品質の都市破壊映像だと思う。 そして後半のF-15との空戦。京都駅破壊も力が入っていて素晴らしい。絶望的なギャオスの大群に立ち向かう満身創痍のガメラも画になる。 1<<2<<3と特撮技術の進歩を観せた本シリーズ。マンネリになる前にピタッと幕を閉じたのは残念な気もするけど、クオリティの高い好作だと思う。  子供「ガメラが僕を助けてくれたよ」偶然自分を守ったように見えたのを、この子が都合よく解釈してるだけだと思うんだ。敢えて助ける風のシーンと、子供のセリフを入れることで、どっちでも解釈出来るようにして。だってガメラ、子供守った直後にサラリーマンの詰まったビルに火球放ってるしね。 綾奈「イリス、ごめんね、寂しかったんだね、私を探してたんだよね」これもイリスは餌の動物を捕りに行っただけで、綾奈は生体融合だかの素体としか思ってないしね。今回、意思疎通の出来ない怪獣の気持ちを、人間が自分に都合よく勝手に解釈してるだけって思えるシーンを敢えて入れている。 でも融合するのが綾奈でも朝倉(古代人の末裔)でも、ガメラは排除する対象だったんだな。綾奈がイリスを育てなくても、日本は襲われてたわけだ。 そしてイリスは人間と完全融合できなかったから、ガメラに負けた。ガメラが綾奈を助けたのも、そう観えるだけで別な理由があったのかもしれない。綾奈を殺すとイリスが完全体に進化復活するとか、実はギャオスの大群をおびき寄せるための囮とか。 浅黄はガメラを信じているけど、人間の理解なんて超えた存在だろうし。  当時の流行、エヴァっぽさが怪獣映画にも入ってた。主人公の少女が綾奈だし。ショートカットの少女が胸をはだけ、怪獣の触手が絡まり、ドロドロの体液にまみれるのは、エロい。帰国してきた浅黄がハーフなのは偶然だろうけど、でもセリフは棒のままでも表情は豊かになってたね。 長峰が缶ビール片手に仕事してるのとか、短いスカートで生足見せたりはサービスサービス。この辺、監督の趣味全開。 東西南北を守る四神獣のうち、本作は玄武と朱雀の物語。それに中央を守る麒麟を入れて、五霊って言うんだって。・・・だから長峰キリンビール飲んでたのか?このクオリティで残る二神獣(青龍と白虎)の戦いも観てみたかった。 大迫刑事の再々登場。ガメラ専門家の斉藤さんのデスクに亀の置物。渡辺裕之の自衛隊の現場隊長は3作フル出動。でも今回一番嬉しかった登場人物は、売れる前のTRICKメンバーの仲間由紀恵と生瀬勝久。
[ビデオ(邦画)] 7点(2022-06-19 14:21:34)
16.  ガメラ2  レギオン襲来 《ネタバレ》 
前作から僅か1年で、しかもこれほどの進化を遂げての映画化が凄い。 前作の丸々したガメラに対し、クワッと凛々しい本作のガメラ。同じガメラとは思えない造形から醸し出される雰囲気は、もう子供の味方という愛嬌は感じられない。しかも本作は、血が飛び散るなどのスプラッタ描写、巨大昆虫が群がってくる気持ち悪さ、水野美紀の健康的な太ももを撮り倒すカメラワークと、前作以上に対象年齢が高め。前作の大迫刑事がチョコっと出てくるのも面白い。浅黄は結構重要なポジションで出てくるけど、相変わらず、どこか遥か遠くを見つめてるような目。頑張って演技してるんだなって、ある意味可愛く思える。  さて、はい。もう札幌市民としては嬉しさと懐かしさがギュッと凝縮された映画ですよ。四半世紀前の札幌の空気が感じられる映画。不謹慎に思われるかもしれないけど、自分の街が怪獣に壊される嬉しさ、怪獣が地元に来るって、こんなにワクワクするんだって、この作品でようやく私も実感できました。 初っ端からラジオの周波数が1440と来た。青少年科学館の学芸員って、当時あんな制服だったっけ?今は廃墟のパーラー・マコマナイ、真駒内駐屯地があるからって南区ばっかりズルい。あミスターだ、ヤスケン痩せてる。…って、札幌市民は大興奮ですよ。むしろ当時当たり前だった光景が無くなってたりで、当時観たとき以上に興奮してました。 そして改めてミニチュアの街の再現度の凄さを実感。つい数年前に解体されたロビンソン百貨店、当然ながら4号エレベーターまで造ってある。レギオンに巣食われるロビンソンは、ちょうど真下が地下鉄すすきの駅で、当時の飲み会の待ち合わせスポットだったから、札幌で一番、携帯の電波とかが飛んでいた場所かもしれない。  クローバーフィールドの10年以上前に、ゴジラUSAより数年前に、大怪獣とミニ怪獣のコンビネーションを出していたのには、さすが怪獣映画大国日本!って思った。CG技術はハリウッドに劣るけど、アイデアと特撮の味わいは決して負けてないぞ。その自覚があるから、CGは味付け程度にして、得意分野の特撮技術を全面に押し出す心意気が素晴らしい。 本作で地元が舞台だったのも大きいけど、ガメラと日本人、自衛隊員と勇気ある民間人(アメリカ軍のチカラ借りてないんだから人類とは言わない)が、お互い意志疎通出来ないながら、共同で宇宙怪獣を倒す。エンディングのウルフルズを聞いていて、ガメラという存在がとても愛おしく感じられた。
[ビデオ(邦画)] 7点(2022-06-13 23:18:45)(良:1票)
17.  髪結いの亭主 《ネタバレ》 
-Le Mari De La Coiffeuse- “美容師の夫”。美容師を髪結い、夫を亭主にすることで、味気ない訳になるところを、独特の雰囲気を出しています。まるでおとぎ話のような、リアルじゃない世界。 え!?あのプロポーズ受けるの?? から2人の生活がスタートし、 えぇーーーー!!!?という結末。 時々、黒バックに悲しそうなアントワーヌの映像がインサートされてたから、ず~っと幸せって話じゃないとは思ったけど。  シェーファー夫人の最後。手編みの海水パンツ。ブルドーザーの思い出。ウエディングドレスで髭剃り。オーデコロンで乾杯。これだけのアイデアを一本の映画に詰め込むなんて。極めつけがアントワーヌのダンス。あの変なダンスに子供メッチャ魅了されてる。なんて素敵な時間だろう。 美しいマチルド。ジャン・ロシュフォールとアンナ・ガリエナの年齢差24歳。この幻想的とも言える奇妙な物語には、きっと“童謡、実は怖い歌詞の意味”みたいな、違う一面があるようにも思える。 でもな、何かこう、そういうのは知りたくないというか、映画で観せられてる世界で完結したいって気持ちになってしまう。 2人で過ごした期間、マチルドもアントワーヌも、最高に幸せでした。みたいな世界で、この場合は良いんだと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-05 16:32:11)
18.  がんばれ!ベアーズ 《ネタバレ》 
原題は~The Bad News Bears~『厄介者のベアーズ』とかだろうか? 映画観れば解るけど邦題『頑張れベアーズ』は勝利チームが負けチームに贈るエール。少年野球の健全さとスポーツマンシップから生まれたエールだろうけど、実際は歌う側の優越感、歌われる側の屈辱感が滲むのが伝わる。良い邦題だと思う。 出来損ないの寄せ集めチームのベアーズ。ユニフォームがyellow(臆病、卑怯)なのも意図的なものか? 出てくる子供達は悪ガキくそガキばかり。マセていて口が悪い。でも彼らを知るほどに愛着が増していくのは、撮り方上手いなぁ。 子ども目線中心に撮ってしまうと、一気にお子様向け映画になってしまうが、少年野球に係る大人の生々しさを見せることで、大人も楽しめる作りになっている。 デッドボール指示。上手い選手に一人野球をさせる。相手チームだけど強打者への敬遠策。アマンダの帽子にワセリンはバターメイカーが教えたに違いない。主役チームなのに、この大人げなさというかスポーツマンシップに反する試合運び。でも大人の世界では勝つために結構行われていたりする。 子どもたちが引いてしまうほど、勝つことだけを目指してきたバターメイカーのベアーズ。最後になって健全なチーム全員野球からの団結しての「来年見てろよ!」の展開は、ここに来て少年スポーツ映画の王道展開だ。子供たちビール飲んでるけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-18 00:33:26)(良:2票)
19.  学校 《ネタバレ》 
卒業間近を現在として、過去のエピソードを交えていく創り方が上手い。悪く言えばツギハギなんだけど、生徒一人ひとりを中心に時間を行き来することで、生徒と学校の関わりもきちんと観えてくる。それをもし時間軸に沿ってエピソードを紹介していったら、恐らくダラダラした展開になっていたと思う。 修(誰かのサブキャラとしてしか出てない)やチャン(ピンポンのチャイナのコーチの人だな。でも本作では悪いイメージしか持てない。)のエピソードが割愛されたようにも思うけど、生徒7人+黒井&田島先生を均等にするか、悩んだ結果のイノさんメインの映画だったんだろう。後半に向けてイノさんと仲間たち感が強く出ていた。  イノさんの田島先生への気持ちに対し、上辺だけのあまりに雑な方法で説得しようとする黒井先生に対し、酔っ払ったイノさんの、言葉一つ一つが説得力があった。『口じゃ上手く言えない気持ちを文章で伝えよう』凄い説得力のある手紙の授業。イノさんのラブレターへの返事を、言葉で説得しようとしちゃダメでしょう黒井先生。教師は絶対の存在ではなく、学校は教師が生徒に勉強を教え、教師も生徒から人生を教わる場なんだなぁって思ったわ。  イノさんの死について語り合うホームルームに、学校で過ごす時間の、何が大事だったかの多くが集約されていた気がする。社会に出たら目的のある会議とカタチだけのミーティング、あとは酒の席だからなぁ。懐かしいなぁホームルーム。答えがない時間の如何に大切な事だったか。あと給食美味しそうだった。 あ、でも奈良の起源がウリナラにはビックリしたけど、やっぱりデマでした。この時代、自虐史観とか君が代不起立とか、教育現場が可笑しな方向に舵取りしてた時代だったなぁ。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-11-04 02:06:20)
20.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 
“Gaslight”邦題まま。ガス灯の街灯は国内でも限られた場所でしか見られないけど、もっと灯がゆらゆらしてるもんだと思っていたわ。 また、相手を自分の思うままに操るために、相手の記憶や正気に疑いをもたせるような、些細な嫌がらせをする心理的虐待を、“Gaslighting”『ガスライティング』と言うそうな。この作品と、元になった同名の演劇から、'70年代に生まれた言葉だそう。公開当時はこの心理的虐待を、なんて呼んでたのかな?  映画ではポーラ側の視点となるけど、ブローチ紛失や手紙の行方など、グレゴリーのやってることが、かなりえげつない。客人を追い返し、落ち込ませ、急に外出しようと言い不安にさせ、サプライズだとホッとさせ、大喜びのところを絵が無くなったと叩き落とす。今で言う“モラハラ”だ。更に追い打ちを掛けるように家政婦に確認。この時代にここまでネチネチした“モラハラ”を題材にした映画(演劇)を創る懐の深さが凄い。  一方でグレゴリーの目的が宝石強盗(泥棒?)で、それを成すための執拗な『ガスライティング』だった。というのがこの物語の顛末だけど、アリスの姪と結婚して、宝石のある家に住むことも出来たなら、ポーラに対し、そこまで回りくどい嫌がらせをする必要があったのか疑問。消えた手紙と、元から無かった手袋の片方。出来過ぎにも思えるけど、一本のサスペンスとして上手に伏線を回収出来ていた。 ただもちろん、この映画の見どころはサスペンスの結末(オチ)ではなく、徐々に精神的に追い込まれ、弱っていくイングリッドを愛でる映画…なんて少々悪趣味な気もするけど、そっちだと思う。 最後助けを求めるグレゴリーに、立場が逆転したポーラが突然まくしたてる展開にはビックリ。「おやまぁ!」って感じ。 印象深い顔つきのナンシーが、若きジェシカおばさんだったのにも驚き。
[DVD(字幕)] 6点(2023-10-23 22:42:11)
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