1. グラン・トリノ
《ネタバレ》 鑑賞前にある批評を読んだ。「老い先短い頑固ジジイが、家族や周囲と溶け込めづにいるが、近所のマイノリティとの心の触れ合いが進んでいく。しかし、テーマは重い。甘い感動など期待しないように」。確かに甘い感動はなかったが、何とさわやかな余韻が待っていた。悲劇的は主人公の死にかかわらずこの甘い感動は何なんだ。いや、さわやかな甘い感動、じゃなくて、甘い生活と、柑橘類・・。話を本論にもどそう。主人公の隣人や黄色人種に対する言動には人種差別が垣間見える。しかし、床屋や工事現場監督との会話を聞くと決して白人至上主義の堅物ではないことに気づく。彼の人に対する感覚は、自分と他人の2種類。他人は、気に入らないと家族でも付き合わない。気に入ったら人種や性別がどうあれ付き合う。しかし、感じたままに言いたいことは言う。偏見などない。自分の気持ちにあくまでも正直なのだ。病魔に蝕まれた体はもう長くはない。危機的な状況と友人を救うためには自分は何をすべきか。正に西部劇のヒーローそのものだ。自分を貫き、友人を助け、名を残す。カッコいい。自分で主役を演じるわけだ。音楽もいい。 [映画館(字幕)] 10点(2009-05-09 22:23:07)(良:2票) |
2. グッバイ、レーニン!
《ネタバレ》 嘘も使いようによっては、薬になるばかりでなく、人を幸福にする。愛する肉親の精神的な安定と安らかな死への旅立ちのためなら、歴史さえも変えることは苦にしない。何と言うメルヘンだろう。何と言う愛だろう。ついでに理想の世界を描いてみよう。わかる、俺もそうするだろう。想定外のハプニングにも臨機応変に対処する心意気が泣かせる。どんな事があっても、ごめん、実は・・・なんて死んでも言わない。父親が協力した場面は、さすがに笑ったが。嘘でも言い続ければほんとになる。夢もあきらめなければ実現する。全てが母親への愛なのだ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-09-07 23:41:34) |
3. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
人生における教訓がかなりちりばめられているけど、押し付けがましくない分、上質な印象を与えてくれる。特に、いま日本で問題となってる「いじめ」に対する答えがストレートに表現されているのには驚いてしまった。ロビン・ウィリアムスが主人公マット・デイモンに対して何度も繰り返す「君は悪くない」という肯定の言葉こそが、答えそのもののような気がする。いじめられている生徒が、いじめる生徒、先生、そして両親からも自らの存在を否定するような言葉や態度しか示されていないことが問題なのではないのか。誰でもいいから、この先生のように力強く自分の人格を肯定してくれる人がいるなら、きっと立ち直っていけるはずだ。そこの新米の先生も心して励め! [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-16 00:21:18) |
4. クレイマー、クレイマー
この作品は、観るときの状況やどんな視点で観るかによって印象がかなり違いますね。最初は、夫婦の争いで犠牲となる子供と母親の身勝手な行動が印象に残っていたのだが、今回再見して、夫婦と子供3人の言動が、自分の感情と相手への愛情に素直で人間らしく、全く違った印象を受け感動している。特に母親については、自分の人生を見つめ直した時、たしかに、あのような行動をとってもおかしくないし、むしろ自然な行動のような気がしている。愛情と犠牲は違うものであり、子供がかわいそうだからと言って、自分を犠牲にすべきとはならない。相手の立場を尊重し、自分自身も大切にする。意見が違えば、我を通さず、妥協点を探すことが必要か。たしかに難しいんだが。 9点(2005-02-26 22:11:07)(良:1票) |
5. クライング・ゲーム
裏切られた印象だけど、心地よい感じは受けた。政治的な主義主張もそうだが、人間的な好みも変えられない。自分が生きていく上で、何に基準を置くかだよね。それにまっしぐらではないけど、何が大切かを考えたら、とりあえず優先順位が一番のものはある。いいと思うよ、色んな人生があって。 7点(2005-02-04 22:19:40) |
6. クリムゾン・タイド
潜水艦を舞台にし、その閉鎖的空間の特色である行き詰る緊張感をうまく活かし、見ごたえのある内容になっています。ハックマンとデンゼルの精神的な対立と軍隊の指揮命令の微妙なバランスに立った演技も見事です。自分の任務と状況に対する判断は、重要な職にある者ほど難しいですね。それだけ権限がある分、責任も大きくなる。 7点(2004-09-26 15:58:54) |
7. クール・ランニング
脚色はあるにしろ、実話なのが良いです。常識を打ち破る勇気と心意気に拍手を送りたい。勝負には負けても、観客の気持ちを打った「勝利者」として、記憶に残っていくはずです。オリンピックならではのストーリーで、選手がマジになり、世界が注目する大会であるからこその感動なのかもしれません。世界の国のトップ・アスリートが技を競うオリンピックは、今回も、予想を超えたドラマを見せてくれることでしょう。 8点(2004-07-22 20:34:22) |
8. クリムゾン・リバー
不気味な雰囲気と謎が興味を目一杯引っ張ってくれたので、ゾクゾクして観てました。しかも、ドミニク・サンダまで出てる。ナチスを絡めて、禁断の世界をちらつかせ、期待感が最高潮になったとき、突然、雪崩により足下すくわれてしまったのは、痛い。良い素材だったのに惜しい。自然災害はしょうがないか。あれ、何の話だっけ? 6点(2004-05-29 22:56:40) |
9. 蜘蛛巣城
マクベスは未見です。人間の欲望への執着と精神的弱さが織りなす悲劇が、日本が誇る最高のスタッフで表現された傑作です。物の怪の予言が本当かもしれないと判ったときの心理の変化や、自分の行為の罪悪感に正気を失っていく様子、さらには、予言に必死に縋ろうとするあがきぶりに、有史以来繰り返されてきたであろう人間の権力への執着と悲劇の本質をかいま見た気分です。人間が悲劇を引き起こすのを止めないの は、結局、我々自身がそれを望んでいると言うことなのかもしれません。悲しい事実です。音声だけが少し残念です。 9点(2004-04-27 23:01:14) |
10. グッバイガール
愛が生まれていく課程が、センスのいい台詞と見事なまでに計算されたストーリーで描かれていく名作です。子供と親の関係も考えさせられます。親の付属物や所有物ではなく、あくまでも対等です。主役の2人が、常に、自分の気持ちと同じくらい娘の気持ちを大切にしていることに、感動しました。生意気な娘にこびているのではなく、一人の人間として付き合っているのです。屋上でのパーテイーが良かった。第2章よりは、出来はいいけど、こっちは、一人で観たので、この点数。 9点(2004-04-18 00:03:24)(良:1票) |
11. グリーンマイル
原作は未読です。エピソードを盛り込みすぎている感じがして、まとまりに欠ける印象です。とは言え、わかりやすい丁寧な表現でキングの世界は十分堪能できました。不思議な力を絡ませて描く悲劇と救いの話と、複雑な余韻を残す最後のオチは見事です。有り得ない世界を、もしかしたらと思わせるところが魅力になっています。 7点(2004-03-16 23:38:36) |
12. グリニッチ・ビレッジの青春
《ネタバレ》 マザースキー監督自身の体験を基にした、ほろにがい青春ドラマです。ニューヨークのグリニッチ・ビレッジには、俳優、作家、画家を目指す若者が集まっていた。いずれも個性豊かで才能もあるが、当然、成功への道は決してたやすいものではない。芽が出ないまま、埋もれてしまう者がほとんどなのだろう。誰でも、若い頃、一度は、夢を追いかけようと真剣に考えたことがあるはずだ。成功したのだろうか。いま、後悔はないのか。最後は、主人公だけがオーディションに受かり、ハリウッドへ旅立っていく。未来への期待を全身に表現し、輝いている表情がまぶしい。 9点(2004-02-27 00:49:09)(良:1票) |