Menu
 > レビュワー
 > Yuki2Invy さんの口コミ一覧
Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  クリムゾン・タイド 《ネタバレ》 
一番素晴らしいのはこの緊迫感ですかね。ここまで全編張り詰めた空気が持続する作品というのも珍しいです。核兵器撃つ撃たない、という特大のスケールのお話を、潜水艦という極限の密室に封じ込めた状況設定にリアリティまで十分に備えるという、非常に優れたコンセプト&題材選びの目の付けドコロだと思います。登場人物の毅然とした態度にもキレ味があり、戦争・軍事映画としての見応えまで持ち合わせていますし、その意味でも秀逸なジャンル作品だと思いますね。潔いハックマンが少しホッとさせてくれる様なラストも中々爽やかで好みです。  オーラス、米軍では今ではこのような問題は発生しないぜ!というテロップがしれっと出てきますが、これは嘘でしょう。戦争というカオスで想定不能な状況下では、様々な場面で今作の様に個々人の決断が必要な場面が発生し得る筈です(直接核兵器を使用する・しないという話に留まらず、間違い無くその引き金になってしまう、という様なキッカケを、という意味でも)。軍令の整備とそれを確実に実行する軍人の育成も重要なのでしょうが、それ以前にそのもたらす影響の甚大さを勘案した軍人の持つべきポリシーというものも不可欠なのではないか、と思われるバカリです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-01-02 13:57:54)(良:1票)
2.  黒猫・白猫
気が付くと、珍しく幾度も観直しているという作品。溢れ出る生命力を浴びることで、明日への活力を分けて貰えるような気がするからだろうか。この映画の登場人物の様に、愉快に、力強く、無頓着に歌い踊る様に生きてゆきたいと、無意識に願っているのかもしれない。  とは言え、クストリッツァの才気炸裂・真骨頂な内容は、一見は適当なようで細部まできめ細やかにつくり込まれた実に高い完成度を誇る。今作ではそれをコメディ面に全振りしており、とにかくとてもユニーク・唯一無二な「笑える」要素が満載。しかし、何と言ってもこの作品の魅力は、これこそが「生きてる」ってことだという様な登場人物(あと動物)たちの無軌道で型破りな活力・生命力だと思う。何度見てもこう思う、「人生は、生きることは素晴らしい」と。
[DVD(字幕)] 9点(2020-03-28 18:24:58)
3.  牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(188分版) 《ネタバレ》 
最大の特徴として、クソ長い上に非常に分かりにくいという作品で、説明的描写が全編通してとにかく少ない。まず登場人物の名前からしてサッパリ分からない(分かりやすく名前を呼ぶシーンなど無い)。背景の説明もほぼ無いので、登場人物が不良グループに属するという点も正直分からない(グループの名前が「小公園」つーのが理解が激ムズな展開上のポイント)。更に中盤ではグループ間で人間関係が入り乱れて展開するため、これも正直サッパリ分からない。もう一点、遠目で仄暗いカットが多い(人物単体のズームなどはほぼ無い)ことからも、顔的にも誰が誰だか分かりにくい状況に拍車がかかっている。置いていかれてしまうとクソ長いから非常に辛いので、あらすじサイト等をこまめに確認する等、工夫して鑑賞することをお勧めする。  ただし上記の難点を除けば(除いていいのかという問題はあるが)間違いなく傑作と言える作品である。長尺ながら極めて丹念・精密に積み上げられた構成・演出のハイクオリティぶりも然ることながら、最大の長所として「時代を切り取った」映画として非常に上質であることが挙げられる。  ①暗い世相を再現しながらもどこかノスタルジックで爽やかな素晴らしい青春の雰囲気 ②説明的な演出を排する等でリアリティある描写を極限に追求すると同時に、遠目のカット構成が非常に多いことで人物中心というより風景・情景・雰囲気を捉えている時間が多く、時代を追体験する効果を高めているようにも感じる  その上で、主筋はダレずに終盤に向けては中々衝撃的な展開で、かつそこからのラスト・余韻も優れており、長いが素直に観て良かったと思える映画なのは間違い無い。青春映画としては個人的には最高傑作。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-11-29 01:23:51)
4.  蜘蛛女のキス 《ネタバレ》 
非常に濃厚なホモ映画にして、一つの美しい愛の物語。2人が信頼し合っていく過程はかなり丹念に描かれ(刑務所での2人きりの会話劇というのがここで非常に効いている)、ラストの幻想的で切ない感動を誘う。序盤、ごついオカマにしか見えないモリーナだが、終盤死にゆく場面では、私には彼(彼女)は美しい女性にしか見えなかった。2人の会話の内容として語られる映画の場面がふんだんに挿入される構成も、閉鎖空間での会話劇に目先を変えられるシーンをもたらしている点で非常に巧みで効果的だと思う。総じて、マイベストに近い恋愛映画。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-21 22:33:13)
5.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
後で調べてみると、そもそものシェークスピアの『マクベス』の映像化としても史上トップクラスの評価…というコトなのですよね。私見ですがソレは、妖婆=原作に於ける魔女と、そして浅茅=マクベス夫人の表現方式にポイントがあった様に思えています。特に浅茅について、彼女を多面性を備えた「人間」として描くより、その邪悪な権力欲や冷酷さのみをより際立たせた一種の「人成らざる者」として描く方が要点が分り易く伝わり易い、その部分に所謂「能」の方法論を取入れて、不要なモノを極限まで削ぎ落した抽象的な表現・演技として纏め上げたコトが、本作に更に高度な幻想み・幽玄みや寒々しさを付与している様に思えたのですね。モノクロで、画質も特に好くはないのですが、何処も彼処も凄い迫力だな…と思ってしまいました(こないだのジョエル・コーエン版『マクベス』にも、少なからず影響はあったのではねーかと)。  他、ラストの弓矢のシーン(+ソコでの三船敏郎の狂態)も確かにスゴかったと思いましたが、あのお城のセットがまたスゴかったですね。引きで全景を映すトコなんか、たぶんもう一生忘れられないと思います(あの寒々しさ・禍々しさ…)。正直、尺的な観易さも含めて、黒澤明でも一番最初に観れば好い作品なのではないでしょーか(『用心棒』とかも短くて面白いと思いますが、ちょっと西部劇的なノリもあるので慣れないと微妙…かとも常々思ったりしてましてですね)。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-02-27 10:38:20)
6.  グレイマン 《ネタバレ》 
正直、ライアン・ゴズリングよりはアナ・デ・アルマスの方を目当てに観に行ったのです(なにしろ『ノー・タイム・トゥ・ダイ』が食い足りなくて)。で、結果的にはごく非常にシンプルな作品でしたが、またごく非常にシンプルに爽快で面白かったですね。確かに、この作品を家のモニターでしか観れないとゆーのは如何にも勿体無い話だと思います(もはや人類の損失かと)。上映劇場は限られているかと思いますが、皆さんも是非。  とて、お話の内容としてはごく極めてオーソドックスで、かつ具体的な展開運びに観るべきポイントとゆーのも特に全く無い(=いつもの流れ)という感じです。要は、ほぼアクションの数珠繋ぎと言うべき「片側に寄りまくった」アクション作品であって、ただしそのアクション自体の質、そしてそれ以上にその「物量」とゆーのはかなり凄まじいモノでしたね。聞いたら製作費2億ドル!はネットフリックス史上最大(『レッド・ノーティス』と並んで)というコトらしく、ただ今作に関しては「正しいカネの使い方」だったかな…と思います。キッカリ2時間の作品ですが、アクションの投入箇所が非常に多いためテンポや密度は(普通のアクションの)3割増しくらいな体感でした。重ねて、スピーディで爽快でかなり楽しめましたね(かつアルマスちゃんをはじめ役者さん達もごく手堅く頑張ってらしたので)。  ただし一点だけ、ドラマなのか映画なのかは分かりませんがごく強力に続編の製作が期待されているだろう作品ではありまして、要はこのハナシ、今作だけではしっかり終わってくれませんのですよ。その意味では、ラストだけは率直にごくボンヤリ・ヨレヨレと(ココだけ)かな~りモヤっとしたまま終わっていく…という感じでして、コレは流石に少なからず残念に思われるトコロでありました。評点にしても実は相当に迷ったりもしたのですが、単純に面白かった(楽しめた)のは確実…なので結局ここまで上げておくコトにしましたです。続編を楽しみにしてます(配信限定とかになったら泣きますね)。
[映画館(字幕)] 8点(2022-07-23 20:52:52)(良:1票)
7.  砕け散るところを見せてあげる 《ネタバレ》 
いや~中々に風変わりとゆーか、諸々と一見は個々の要素の取り合わせが整合性を欠きまくっている…とでも言いますでしょーか。お話の方も(オープニングから本編開始!辺りからしてそーですが)言うなればかなり「分かり難い」とゆーか非常に唐突にも思える展開が最後まで続いてゆきますし、とりあえず(そーは言っても)お話的にはごく極めてシリアスなヤツ…ぽい一方で、登場人物のキャラや言動・言葉遣いには多分に滑稽さや可笑しみ(=やや「厨二」的な質感)が感じられたり、それに主役2人は年頃の男のコ女のコで如何にも青春!て感じに(最初から)見えてはいるのですケド、彼らの互いに対する感情の正体だってコレも最終盤までまるでハッキリしない儘進んでゆくのですし…私自身も、そーいった諸々がようやく(自分の中で)繋がり始めたのは相当に後半深くになってからでしたし、率直なトコロ、コレが繋がらないまま終わってしまった…てな人も少なからず居るだろう、と思うのですね。  ただ、先ほど少し「厨二」な…と書きましたが、確かに格好好いモノを格好好く・あるいは美しい愛を美しく「分かり易く」描くという映画ではないにしろ、描きたいソレ自体は実はごく非常に恰好の好い・美しい・そしてオーソドックスで共感の容易なモノである…とは確実にそー思われたのですよ。ソレを非常に独特でやや「破天荒」とも言える手法で描こうとした、というチャレンジングな作品にも見えましたし、個人的には前述どおりソコら辺とて(最後まで観れば)十分に腹落ちはしたのですよね。ユニークさも含めて、私は非常に好きな映画です。とは言え、序盤~中盤の居心地の悪さと、その後終盤までのワケの分からなさは、重ねて「人を選ぶ」だろう作品だ、とも思われますが。   ※ちょっと原作を読んでからレビュー書いた方が好いヤツだな…とも思ったのですが、それだといつになるか分からないのでとりあえず書きました。そのうち、書き直すことになると思います。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-21 22:41:51)
8.  偶然と想像 《ネタバレ》 
ごく純粋な会話劇3作によるオムニバスですが、概ねその3話はそれぞれ3パートに分かれる、その中核たる第2パートとゆーのが各々かなり同じ様な特徴を強く備えておるのですね。ココだけ、台詞に感情が入るのを極端に排除しているとゆーか、非常に淡々とした朗読的な台詞読みになっていて第一にはとにかく独特だな、という印象を受けました(ただ思えば『スパイの妻』の東出クンとかも似た様な感じが実は強く出てた…かとも思います)。各々また第1・第3パートはもう少し自然に感情が入った演技に仕上がっているので、ソコも含めてコレは高度に意図的なモノだと思いますね。コレによって、まずは非常に文学的(詩的)で、かつ単なる恋愛事象にまつわる一個人の感情とゆーよりは、ソレがより(監督の)「思想」に近い様な思考・価値観としての表現に見えてくるとゆーか、単純に静かで文芸映画的な雰囲気が心地好かった以上にとても効果的な演出だと思いましたね。    1.魔法(よりもっと不確か):35分 濱口監督の作品には、偶にかなり「アレ」な女性が出てきますよね。元はと言えば『PASSION』の時の占部房子も相っ当にチャランポランな女にも見えましたし、続く『永遠に君を愛す』の河井青葉の逆ギレも中々なモンでした。何より記憶に新しい『寝ても覚めても』の唐田えりかちゃんたるや…おそらくこの人、こーいうのが「好き」なんでしょうね。とゆーのも、そーいう(控えめに言って)「飛んでる」女性てのを総じてごく滑稽に描きつつも、やはり同時に彼女らがごく魅力的に見えてしまう様に(どいつもこいつも)描いちゃってるのですよね(=何故かナンだか憎めない…つーか)。コレは、フツーに考えればポジティブな価値観だとは思うのですし、男としても(=こーいう視点はやや不適切かとも思いますが)ある種「立派」なコトだと思います。とは言え若干ながらソコには、そこはかとなく「妙な」性癖とゆーのを感じ取れる…てな気もしますケドね。  今作はその系統としては、古川琴音ちゃんのキャラ自体はワリとシリアス方面に寄せて仕上げてた様にも思いますが、前述どおりの感情を排除した演出方針の所為もあってナンとゆーか一層「ヤバい」女の子にも見えて、名状しがたい「面白さ」とゆーのは逆に強く感じ取れた…とも思います。「感情」が彼女にそう言わせている・させている、のではなく、彼女のもっとより深く「魂」がそう囁いているかの様な、つーかね。第2パートからの(思いがけずの)緊迫感は中々に見事で一気に観入ってしまいました。そしてその意味からはオーラス、吹っ切れた彼女がふと表情を(ほんの微かに)緩めるラストショットが、個人的に非常に気に入りましたね(観てるコッチもやっと少しだけホッと出来た…とゆーか)。   2.扉は開けたままで:45分 文芸的な、という意味では、間違い無く一番文芸的な作品でしたね。とゆーか、あの小説のあのくだりはコレも監督が執筆したんすかね?だとしたら、何とも(やっぱ)変態な…もとい、素晴らしい才能ですね!コレをあーいう美人に読ませて、ソレを渋川清彦がただ聴いてる…てダケでもはや「勝ったも同然」かとも思いますが、前述どおりごく文学的・朗読的な静かな演技の中にそっと置いていかれる様な2人の感情の微かな発露の奥ゆかしさてのも、実に味わい深かったです。ラスト、あまりに間抜けな「バッド」エンドは個人的には少しだけ好みではありませんでしたが(=単に土下座小僧が「勝った」カタチになってるのが私ちょっと気に食わない…というダケのコトなのは重々分かってますケドさ)まあ3作のオムニバスなら一品くらいはこんくらいビターでも…とも思いますかね。   3.もう一度:40分 コッチは、その建付け自体は3作中で一番コミカルだと言えるとも思いますが(映画館でも結構笑いが起きてた)、ヒューマニズム的な傾向とゆーのも一番強め・かつ分かり易いモノだったかと思います(個人的には一番お気に入り)。伝えなかったことの後悔、忘れてしまったことの寂しさ、それでもふと一歩踏み出そうという勇気…誰しもが確実に共感できるという感情が色々と込められていた様に思います。第3話のこの「偶然」については謂わば「僥倖」と言って好い様なごく喜ばしいモノだったとも思いましたし、同時にソレは夏子が自分の人生を(辛さを乗り越えて)キチンと振り返った・総括したコトが呼び込んだ「必然」だったのかも知れない…とも思いました(少なくとも私は、そう思いたいですね)。
[映画館(邦画)] 8点(2021-12-31 20:39:18)
9.  クルエラ 《ネタバレ》 
まず、シナリオの出来がまま高いです。クルエラの生い立ち、デザイナーとしての異能と、その狂気の源泉、と(前日譚として)必要とされる要素を無理なく自然に繋ぎ合わせ、同時に見せ場もふんだん+テンポも良好で、やや長めの尺ながら無駄とゆーのが殆ど無い濃密な時間を楽しめました。難癖を付けるなら、クルエラ自身は「復讐」という意味では本作でも罪を犯していきますが(序盤、生きるためにコソ泥をやってんのは置いといて)、結局「根」はそこまで悪人でもないかも?と見えかねない部分は、スーパーヴィランの誕生譚としては少し違和感として残る、というよーな気もしますケド。  ただシナリオがいま一歩90点だったとしても、他方でひとつ美術面は確実にそれを超えてゆく、というクオリティでありました。なんと言っても肝心の衣装が実に素晴らしい。クルエラ或いはバロネスのデザイナーとしての能力というものにリアリティを与えているというか、これのおかげで本作は単なる娯楽映画になっていない(部分的には芸術映画の風をも纏っている)という様にすら感じました。流石、二度のオスカーを誇るジェニー・ビーヴァン女史のこれも卓越した仕事であると同時に、商業作品でこーいう部分のつくり込みにここまでこだわってワンランク以上に優れた結果を出せるとゆーのが如何にもディズニーらしいとも思いますね(毎度トンデモなくゴージャスな製作ですこと)。  もう一点、音楽がこれまた素晴らしかったのですね。劇中の年代が70'sに設定されており、劇伴は基本的に当時のパンクロック楽曲で構成されていますが、まずそれが「権威」に挑戦・反逆してゆくというクルエラのアナーキーな特性にもマッチしていましたし、レトロな聴き心地自体も非常に興味深い、というものでした。サントラを買おうかと思ってますデス。
[映画館(字幕)] 8点(2021-06-16 21:46:06)(良:2票)
10.  グランド・ジャーニー 《ネタバレ》 
稀にみる素晴らしい映画でした。絶滅危惧種の渡り鳥に安全な渡りのルートを教えるという「大いなる旅」は、自然科学・環境保護の観点からの深い意義を孕むと同時に、父の夢、そしてその息子の飛躍的な成長の道程でもありました。特に、日ごとに逞しく、また人と人との繋がりを得て正に子供から青年へと脱皮してゆく息子の姿には、観ているコッチも大いに勇気を貰えたという気がします。そしてそんな中で家族の絆というものも取り戻されてゆきます。人間ドラマとしても満足度は最高でしたし、爽やかなラストもとても好かったと思います。  映画の技術としては、諸々の撮影が非常に見事でした。繰り返される大胆な空撮はヨーロッパの自然の意外なまでの美しさ・雄大さを画面に収めると同時に、実に素晴らしい爽快感・高揚感を映画にもたらしていました。加えて何と言っても鳥たちを使用したシーンの出来の好さ・巧みさが素晴らしい。CGや特撮は未使用とのことなのですが、ちょっと信じられない、という感じですね(動物映画としても十二分に観る価値があるかと)。  邦題『グランド・ジャーニー』も中々悪くないと思いますが、原題の『Donne-moi des ailes』は”翼をください”という意味だそうです。こちらの方も、様々な意味・価値を包含する本作を言い表すものとしては、とても適確な言葉だと思いました。
[DVD(字幕)] 8点(2021-04-23 23:03:18)
11.  クォ・ヴァディス(1951) 《ネタバレ》 
古代中華のいわゆる「三王」、夏・殷・周の最後の王はいずれも、悪い(とされる)妃に誑かされて国を滅ぼした。このお話はつまり、神話的類型と不可分である中華古代史の特性を表していると同時に、歴史愛好者にとってのささやかなる希望的観測、即ち、古の人の世に王者たりし男というものは、その人の為に国を滅ぼすという程に深く女を愛するということが可能だったのかも知れない、というひとつの芳しい可能性を包含しているとも言えるのだ。  古代史の中に生きる人々からは、概して、より直情的で純粋な感情を感じ取ることができる。それは彼らが、過去から現在に至る過程で人類が身に付けてきた複雑な倫理観・価値観をいわば脱ぎ捨てた状態に在るからであろう。そして、人が人をただ純粋に愛し抜くには、今の世界もまた複雑すぎると言えるのかも知れない、とも思う。  本作は、キリスト教的価値観に応える部分を除けば、極めて単純な男女の愛の物語だ。尚且つ、男と女が互いに恋に落ちることの理由には何らの説明も為されない。これは、世界がよりシンプルで本質的な史劇の中だからこそ可能となることであり、そして、そこに無造作にも描き出される愛の結実にはまた、却って現代劇では得ることの出来ないひとつの高度な純粋性を感じ取ることが出来る様にも思われる。  最後に一言。史劇にこそ、描かれるべきは人の正しき在り方である。宗教的な価値観の表出に傾注しがちなこのジャンルの作品として、原典の持つその部分のテーマ性を決して疎かにしなかった本作には、個人的には非常に好感が持てるのである。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-25 01:26:23)(良:1票)
12.  グラン・プリ(1966) 《ネタバレ》 
人間ドラマ部分がかなり重厚なつくりで面白いのだが、特に前半、ちょっと重厚過ぎて少しダルい(男女のグダグダが小一時間続く)。ただ、レースに命を賭けざるを得ないという重圧を映画で表現するテクニックとしての構成のコンセプトとしては上々で、加えてそこからの後半のレースシーンはどう撮ってるのか知らんが全てモノホンにしか見えない(クラッシュシーンさえも)。F1という題材の王道をゆく映画にして、横綱相撲と言えるほどに出来の良い作品。このジャンルでは随一。
[DVD(字幕)] 8点(2019-11-21 22:31:21)
13.  クロール -凶暴領域- 《ネタバレ》 
ハリケーンが来た!と思ったら家の地下に複数のワニ、という若干(いやかなり)ピンと来ない導入部だが、全くダレずに見せ場が続き、かつ後半は着実に派手になっていく展開運びにせよ、珍しくワニを主役にするというチャレンジングながらもモンスター映画として十二分に恐怖を引き出せているショック描写にせよ、この手の動物スリラーとしては完全に大成功。オススメ。
[映画館(字幕)] 8点(2019-11-15 23:11:49)
14.  グリーン・ナイト 《ネタバレ》 
中世イングランドの物語詩『ガウェイン卿と緑の騎士』を映像化した作品です。そもそもソレ何?てハナシをするなら「アーサー王伝説」のスピンオフみたいな感じでしょうか、主人公の騎士ガウェインはアーサー王の甥、という設定ですかね。そのお話の内容自体は、かなり高度に寓話的な…とゆーか随所に教訓めいたモノが散りばめられた物語にはなってまして、全体の構造自体はそれでもシンプルですが⇒細かいトコロは(現代的な感覚からは)ちょっと辻褄が分り難い…みたいな感じでもありますね。でも正直、そのお話の内容そのものとゆーよりは、どっちかちゅーと映像や音楽の方にこだわり抜いてるごく本格的な方の雰囲気映画…てのが表現としてはよりしっくり来る感じです(たぶんもう、アート系に片足突っ込んでる…と言っても全然好い方のヤツかと)。それでも、テンポはまたワリとまったりしてるのですがソレも相まって描き出される荘厳で重厚な空気感(世界観)とゆーのは、率直に中々のモノだったと思いますね(ある種、非常にA24ぽい…とも)。なのでそーいうのがお好みな方になら是非、という感じです⇒私自身は、かなり好きな方のヤツでした。
[DVD(字幕)] 7点(2023-12-24 17:34:41)
15.  グランツーリスモ 《ネタバレ》 
どだいクルマにほぼほぼ興味が無い人種なので(⇒免許は持ってるケド教習車しか運転したコト無い)、当然モータースポーツにも疎いですし+原作のゲームもやったコト無いですし、だからそもそも今作が(思ったよりワリと結構な範囲で)実話だ…とゆーのが全然理解できてないままで観に行ってしまったのですね。しかしソレでも、カーゲーマーとゆーのは(あくまでシミュレーションではありつつも)概してその運転時間=プレイ時間がトンデモないから、その経験値を武器に現実のレースに挑んでゆくコトだって出来るかも…という根本的な映画のコンセプトについては難なく理解できましたし、その部分でチャンと「一捻り」があるから(こんなシンプルなレース系スポコン映画で+映像技術の進歩を唯々見せつけるのが目的だ!みたいなヤツでも)いちおう娯楽作品としては十分に成立していたかな…とも思いました。とは言え、共感もし易くて観易い…とゆーて相っ当にベタベタな話ではありますね。特に、各種「フラグ」が随所で立ちまくってく様子なんかは、まるで効果音でも付いてるかの如く…といった感じでしたですよね(次に何が起こるか手に取る様に分かってまう…)  重ねて、ベタなストーリーですが映像の出来も全然悪くないので、車好き向けの娯楽コンテンツとしては全然上々なヤツだと思います⇒公開のタイミングも好かったですかね(もし競合があったらこのシンプルさだとそりゃ厳しくなる+ちょっと雰囲気『トップガン マーヴェリック』にも似てるのでまだその余韻がある今時分がタイミングとして最適だったかもと)。ただし、ニ点ほど指摘したいコトがありますね。一つは、コレは単に私が(前述どおり)モータースポーツに疎いからだとは思うのですが、主人公がアカデミー卒業後に参戦したレースってのは一体どーいう位置づけ(ランクづけ)のモノなのでしょーか?+ソコからいきなりル・マンに出るコトになるのですがル・マンとゆーのは出ようと思えば出れる…というヤツなのですかね?(スミマセン全くココら辺の知識が無く…)⇒ソコがもうチョイ分かり易いと好かったな~という単なる個人的な希望ですね。  もう一点、乗り物映画は4Dだ!というコトで池袋で鑑賞しましたが、今回の4Dは特に序盤~中盤の「椅子の動き」がちょっと雑だった様な気がしました。あんな舗装の綺麗なサーキットで走ってて⇒でこんなに横にグラングラン揺れる?というコトでして、イマイチ主人公の車の動きともリンクしてないので臨場感が乏しかったです。まあ、高い追加料金取ったうえであんまり椅子が動かないのもソレはソレで微妙…かとも思うのですが、少なくとももうちょっとメリハリがあると好いな…と(=本当に車が揺れた時だけ大きく椅子が動く様に)。でもしかし、流石にラストでル・マンのレースに入ってからは(荒っぽい展開にもあまりならなかったので)気持ち好く走行してるドライブ感の方が大いに感じられて+風も気持ち好くて十分に楽しかったですケドね⇒池袋だとScreenXの三面マルチプロジェクションでもあるので、その点での臨場感は(終始)好かったと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2023-09-17 17:03:20)
16.  群盗荒野を裂く 《ネタバレ》 
第一には、ごく初期のマカロニ・ウエスタンの一作…かと思うのですが、しかし既に中々に過激!とゆーのが、主役の「群盗」とかいう連中がのっけからトンデモなく極悪・残虐非道なのですね(も~『ワイルドバンチ』が尻尾巻いて逃げ出す…みたいな勢いで)。メキシコ革命が舞台の作品なのですケド、調べるとそもそもメキシコ革命自体が(日本でゆーたら)戦国時代のお話?みたいなハチャメチャな代物にも確かに見えるので、今作が部分的に(コレも日本でゆーたら)『羅生門』みたいな高度に荒んだ空気感に包まれているのは(時代は全然違うんだケド)ある意味当然のコトなのかも知れません。同時に、中盤~終盤にかけてややテンションが下がってゆく辺りには、またごく高度にアメリカン・ニューシネマ的なナニかをも感じ取れたのですが、ところがどーしてオーラスは全っ然暢気にヒャッハー!な終わり方をしていったりもするのですよ。やっぱ、ちょっと面喰らってしまいましたよね⇒メキシコ?イタリア?ラテン系?…恐るべし…と言いましょーか。。  要するに、ちょっと危うい表現かとは思いますが、ラテン系が共産主義なんぞに染まっちゃうと⇒こーいう支離滅裂な有様が出来上がる…てコトかな~と。とにかく今作、最後まで観ると、根本的にこのジャン・マリア・ヴォロンテの支離滅裂なキャラってのはマジで相当に映画表現的にもユニークな(ちょっと到底真似できない=てか真似なんかしたくもない…と言う様な)トンデモ野郎だったと思うのですね。でも、ソレでも尚このキャラにはまた、実に強力な説得力もが在るな…と思われたのも確実なのです。だから、またこのかなり意味不明ぎみなオーラスにおいても、私自身は実に爽やかに大爆笑してしまったのですよ。流石ヴォロンテ…その懐の深さ、恐るべし…と言いましょーか。。  ただし、単純に映画としては、前述どおりヴォロンテはヴォロンテでごく完成度高いと思うのですケド、他のキャラ…は実はそーでもなかったか?つーのがまた正直なトコロでもあるのです。第二主役的なルー・カステルは、途中まではともかくオーラスは単に油断が高じているダケにも見えてしまってるのがチョイとイケてないと思いましたし、クラウス・キンスキーはイマイチ存在感自体が在りませんですし、個人的にはもう一人アデリータもシンプルに途中退場してしまうダケなのはやっぱ勿体無かったかな…と思います。その辺も含めて、一点下げてのこの評価としてます。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-07-15 14:00:58)
17.  黒い司法 0%からの奇跡 《ネタバレ》 
裁判もの・ヒューマンドラマ・人権もの、どのジャンルの作品としても非常に「手堅い」という印象。ややオーソドックス・一本調子すぎて少し捻りが欲しい、という気もするが、別に悪いコトでもないかと。つくりとしての特徴はその重厚さ。間合いが非常にゆったり取られていて、これは特に本事件の困難さ(無罪を勝ち取るまでの道のりの遠さ)を体現しているモノなのだろうと感じる。そして、そのローテンポをこれも静かで真摯な演技で繋いでゆく俳優陣の理知的な仕事も素晴らしかったと思う(マイケル・B・ジョーダンには惚れ惚れとしてしまいました)。諸々、間違いの無い良作だと言えるでしょう(青少年の教育向けとか特に)。かなりオススメ。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-10-24 14:41:27)
18.  狂ったバカンス 《ネタバレ》 
カトリーヌ・スパークちゃんの出世作、というコトで、見た目的にも今作はサービス精神がごく旺盛とゆーか「挑発的」そのものですね。ド初っ端からダボダボセーター上一枚だけ(下は水着)に始まり、その次もタオル一枚巻いただけ風(下は水着)→ヘソ全開のノースリーブにギリギリローライズ→そして背中全開の着替えシーン→からの白水着全開、と正に小悪魔・罪つくりと言った風情極まりないですね(トニーノくんがコロッと参っちゃうのも分からんでもねーなと)。  しかし、その小悪魔ぶりが高じてくる後半は、トニーノくんも流石にだんだんイライラし始めて→からかい方もちょっとタチが悪くなってゆき→最終的には暴力沙汰にまでなる、そこら辺は少し(いくら自業自得とは言え)オッサン可哀そうだな、と思われる様な話ではあります(私も完全にトニーノくん側に感情移入する歳になったとゆーコトですね)。ただ、そんな中でもスパークちゃんの眼差しは(多分に小悪魔的で在りながら)どこか実に無垢で美しいモノで在り続けた、様にも見えるのですね(何故だか)。まあ、そーいう目付きを必要なだけつくり込める、とゆーコトまでを含めての「真の」小悪魔なのかも知れませんケドも。
[DVD(字幕)] 7点(2021-10-09 02:25:13)
19.  クワイエット・プレイス 《ネタバレ》 
作中で描かれない「何故こーまでの事態になってしまったのか」の部分の整合性はいったん置き、あくまでこの特殊な状況が生み出すスリルを楽しむべき作品だと言えます。その意味では、とにかく非常に高度な緊迫感が本当に全編通して維持されるというのが、ホラー・スリラーとしては純粋に超一級でした(特に初見、映画館で鑑賞した際はスゴかったですね)。適度にコンパクトな90分という尺も極めて適切だったかと思います(この緊迫感で120分だと、ちょっと疲れすぎる、というか)。  続編が公開間近ですが、1作目はこの状況の面白さ・ユニークさだけで十分にシンプルにお話を展開してゆけたトコロを、今度はどのように進化させるか、が見所かと。アメリカらしく、これもシンプルにバトルアクション方面に派手さを求めてゆく、というのがありがちな道かと思いますが、予告の感じを見る限りそーでもない様な気もしています。いずれにせよ期待。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-06-10 09:55:28)
20.  グレート・ウォリアーズ/欲望の剣 《ネタバレ》 
憎しみの連鎖が彼我双方の残虐な行為と悲劇を生む、なかなか誰にも感情移入できない物語だが、ポールドゥリスの中世チックで勇壮な素晴らしい音楽と、ヤン・デ・ボンの臨場感・迫力最高の優れた撮影によって野卑ながらも非常に力強く語られる本作には、どこかに確実に爽快さと痛快さを感じ取ることが出来るだろう。そもそも個人的には、倫理観溢れる優等生な歴史物語などに殆ど観る価値は無いと思っている。そこに現れる愚かさ・醜さこそが人類が進歩した証、そして我々が歴史を省みることの真価であり、それを通して現代の我々が尊重すべき美徳を表現することが歴史映画の本分なのだから。良作。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-16 21:48:49)
040.25%
1120.74%
2191.18%
3905.57%
420312.57%
528017.34%
637423.16%
732320.00%
823314.43%
9704.33%
1070.43%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS